ダレン・シャン

「ダレン・シャン」シリーズのあらすじ紹介と、少し感想を書いています。ネタばれありです。「ダレン・シャン」7巻〜12巻、外伝、「ロード・ロス」の紹介文は、別ページにあります。

「山椒のこつぶっこ」トップ読書ノート*外国児童文学>ダレン・シャン Darren Shan



ダレン・シャン−奇怪なサーカス−

絵:田口智子 訳:橋本恵 2001年 小学館 高学年から

Cirque Du Freak 2000

主人公のダレンは、サッカーが得意で、クモが大好き、好奇心いっぱい、先のことをあれこれ考えるより、まず行動するタイプの子です。身近にいる男の子という感じです。

両親から愛され、平凡な日々の生活を楽しんでいたダレンですが、フリークショーを見たのち、人生が変わっていきます。

異形の人を見せ物にしたフリークショーは、法律で禁止されているはずです。しかし、クラスメイトが「シルク・ド・フリーク」のちらしを学校に持ってきました。これがすべての始まりでした。

ダレンと、友人のスティーブは、ひそかに開催されるショーを見に行きました。「シルク・ド・フリーク」のオーナーのミスター・トールや、出演者の人たちには、人間ばなれしたところがありました。というより、彼らは、人類とは違った種類の人たちなのかもしれません。ホラー映画に出てくる狼男そのものといったウルフマン、全身がうろこにおおわれた蛇少年、毒グモをあやつるクレプスリー……「シルク・ド・フリーク」の人たちの容姿や能力は興味をひきます。だが、彼らは、危険な雰囲気を漂わせていました。

ダレンの平穏な日常がくずれるのは、二つの事件がきっかけでした。ひとつは、スティーブが、クレプスリーはバンパイアであることを見抜き、自分もバンパイアにしてほしいとたのんだことです。クレプスリーは、「スティーブには人殺しの本能が宿っている」という理由で断わりましたが……。もうひとつは、ダレンが、クレプスリーから毒グモを盗んだことでした。

スティーブは、毒グモからかまれて、重態におちいってしまいました。ダレンは、スティーブを救うために、クレプスリーと取り引きをします。それは、ティーブに薬を与える代わりに、バンパイアの手下になる、というものでした。

ダレンは、バンパイアになるために、家族や友だち、今までの生活すべてと別れをつげざるを得なくなりました。死を体験し、家族が悲しむ姿を目の当たりにしました。

ダレンは、スティーブのためにバンパイアになる道を選んだのですが、スティーブは、ダレンをうらんでいました。自分がなりたかったバンパイアに、ダレンがなってしまったからです。スティーブは、「バンパイア・ハンターになってやる」とまで言います。

「ダレン・シャン」のシリーズは、全12巻の長編です。1巻目の「ダレン・シャン−奇怪なサーカス−」では、バンパイアとなったダレンの将来、子どもがバンパイアに引き入れられたこととバンパイアの秩序、スティーブとの対決の予感といった不安要素を残して、物語が閉じています。ダレンと、シルク・ド・フリークとの関わりも気になるところです。 05.3.10

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ダレン・シャン2−若きバンパイア

絵:田口智子 訳:橋本恵 2001年 小学館 高学年から

The Vampire’s Assistant 2000

半バンパイアになったダレンは、身体能力が高くになり、人間の5分の1のスピードでしか年をとらなくなりました。ダレンの生活も、人間のころと比べ一変しました。クレプスリーとともにさすらう日々をおくっています。ダレンは、クレスプリーが人間をおそう手伝いをし、クレスプリーから、バンパイアとして生きる心得を教わります。

半バンパイアとして生き、人間の生活を捨てたかに見えるダレンです。しかし、動物の血は飲んでも、人間の血を飲むことはいやがります。いつか人間にもどれるかもしれないという望みを捨て切れません。

クレプスリーは、人間の血を少量飲むだけならば、人間を殺すことはないと言います。もし、人間の血を全く飲まなかったら、ぎゃくに老けるのが早くなり、弱って死ぬのです。それでも、ダレンは、がんとして、人間の血を拒否します。数年前までは同胞だった人間を、えものとして見ることができないのでしょう。半バンパイアとなっても、人間性を失いたくなかったのかもしれません。

半バンパイアとなったダレンは、とても多くのものを失いました。家族、平穏な日々、人間の体。ダレンにとってつらかったのは、心を開いて何でも話せる友達をも失ったことでした。

人間のころのように、友達とサッカーをすることもできないし、人間とつきあうには、自分をいつわらなくてはならないのです。

クレプスリーは、そんなダレンを見かねて、シルク・ド・フリークと合流します。このサーカスには、ダレンと同じ年ごろのエブラ・フォンがいました。

シルク・ド・フリークのメンバーは、ダレンが半バンパイアと知っており、温かくむかえ入れます。ダレンとエブラは、すぐに親しくなりました。

エブラは、体全体がヘビのうろこでおおわれ、ヘビの特徴を持つ少年です。彼は、異形の者として、親に捨てられ、以前いたサーカスでは、虐待されていました。人間ではないダレンのつらさに、共感できたのかもしれません。

ダレンには、もうひとり友達ができました。シルク・ド・フリークにあこがれるサム・グレストです。サムは、人間の男の子です。小難しいことばをつかい、おしゃべりで、頭のいい子です。それでいて、子どもらしい素直さ、くったくのなさを持っています。

「人間とは友達になれない。人間とつき合えば、人間に傷を負わせるかもしれない。人間には、本当の自分をさらせない」と思っていたダレンです。

そんなダレンが、サムと友達になったのは、偏見を持たないサムのことを、安心して心を開ける相手だと思ったためかもしれません。

サムと同時期に知り合ったR・Vは、一見、環境や動物を守るという崇高(すうこう) な目的を持っているように見えます。しかし、ただれた生活を送り、執念深い性格を持つ人物でした。

R・Vのあやまった判断と、悪意のために、サムは、ウルフマンにおそわれ、命を落としてしまいます。

悲しむダレンに、クレスプリーは、「サムのたましいを自分のなかに取りこめば、サムが自分のなかで生きることになる」と言います。そのためには、サムの血を飲みほさなければならないのです。親しい人をいつまでも生かすためのバンパイアの流儀なのです。

ある人間のたましいを取りこむために血を飲みほすこと――これは本当によいことなのか、その問題点とこたえは、3巻「バンパイア・クリスマス」に持ちこされています。

(2巻のつっこみを「ダレン・シャンつっこみページ」に書いています。ファンの方は読まない方がいいです。。むしろ読まないでください;)

05.4.17

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ダレン・シャン3−バンパイア・クリスマス−

絵:田口智子 訳:橋本恵 2002年 小学館 高学年から

Tunnels of Blood 2000

シルク・ド・フリークの一員となったダレンと、クレプスリーの前に、ガブナー・パールが現れます。彼は、クレプスリーの古い友人で、バンパイア将軍です。

ガブナーが、クレプスリーにもたらしたある情報がもとで、クレプスリー、ダレン、エブラの三人は旅をすることになりました。

ダレンには、旅の目的も、行き先も知らされませんでした。クレプスリーは、自分の手下だからダレンを同行させ、ダレン一人では心配だから、エブラを連れて行くことにしたのです。

三人は、都会のホテルに滞在します。クレプスリーは、ダレンに何の説明もしないまま、毎晩外出します。ダレンは、そんなクレプスリーが気になっていますが、クレプスリーやシルク・ド・フリークにしばられない自由な生活を楽しんでいます。エブラと町に出かけたり、デビーというガールフレンドをつくったりします。デビーは、偏見を持たない、気さくないい子です。ダレンとも、エブラとも、すぐに仲良くなりました。

旅の目的とガブナーの情報が明らかになるのは、物語の中盤を過ぎたころです。クレプスリーが、ダレンに、全てを打ち明けようと決めたのです。ダレンのかん違いと軽率な行動によって、問題が発生したためです。

ダレンとエブラは、ニュースで、ある殺人事件を知りました。血を一滴残らずぬき取られて殺された六人の死体が、人気のないビルで発見されたというのです。ダレンは、これはクレプスリーの仕業だと考えました。バンパイアのクレプスリーにとって、血を抜き取るのは容易であることと、都会に来てからのクレプスリーの不審な行動が、この事件とぴったり重なったのです。

「クレプスリーは、人を殺すようなやつじゃない」とエブラは言います。しかし、ダレンは、クレプスリーが、むかし、バンパイア将軍だったことを思い出していました。バンパイア将軍は、バンパイアを監視し、悪いことをすれば殺すのです。「クレプスリーも殺すことがある」と、ダレンは思ったのです。

ダレンは、バンパイアになってからというもの、生活する上でも、精神的な支えとしても、クレプスリーにたよっているように見えます。また、クレプスリーも、旅に出る前に、「おまえの力を、借りることになるかもしれんし」(p45より引用)と言って、ダレンを同行させたのです。ダレンとクレプスリーは、たがいに信頼し合っているようでした。しかし、そうではなかったのです。クレプスリーは、大切なことをダレンに全く語らず、ダレンは、クレプスリーを疑い、殺すことを簡単に決めてしまいます。

ダレンは、クレプスリーが人殺しをするのなら、それを止めるために、自分がクレプスリーを殺すと言います。ダレンの決意は、人間の被害者を出さないためだけでなく、バンパイアとなった彼が、人間性を失わずに生きていくための選択だとも思えます。それにしても、ダレンは、重要な決断を下すのがあまりに早く、あらゆる可能性を検討したり、自分の行動の結果を予測したりする熟慮(じゅくりょ)が欠けています。

ダレンは、クレプスリーの殺人を阻止(そし)したつもりで、大変な間違いをしてしまいました。クレプスリーが追っていたのは、人間ではなく、バンパニーズのマーロックだったのです。ダレンのじゃまが入ったので、クレプスリーはマーロックを逃がしてしまいます。しかも、エブラがマーロックに連れ去られたのでした。

このような状況に追い込まれて、やっと、ダレンの誤解が解け、クレプスリーは、事情を説明します。

バンパニーズとは、「人間の血を一滴残らず飲み干して、その魂を取り入れることこそ気高い」(p161)と信じる集団です。マーロックは、正常な判断力と思考力をなくしたバンパニーズだったので、何人もの人間を殺したのです。ダレンやクレプスリーが守ろうとしている、人間性を失わないための境界線を、マーロックは越えてしまっています。

バンパイアとして200年ほど生きているクレプスリーですが、人間のころの故郷を大切にしています。彼には、人間としての部分が残っているように思えます。一方、マーロックは、外見や能力だけでなく、心も、人間とは違った種類の生きものになり変わっています。だから、クレプスリーは、マーロックから故郷をあらされたくなかったのでしょう。

ダレンは、エブラ救出のために、危険なかけに出ます。それは、ひとつ間違えると、エブラやダレンだけでなく、せっかく親しくなったデビーと、彼女の家族の命をも危うくするものでした。

結果的には、ダレンとクレプスリーの連携がうまくいき、エブラを救い、デビーたちを守ることができました。この危機を乗りこえることで、ダレンとクレプスリーは、信頼関係が築けたのです。

(3巻のつっこみを「ダレン・シャンつっこみページ」に書いています。どうでもいい内容です。。)  05.3.29

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のページに、エブラの全身画像を置いています。


ダレン・シャン4−バンパイア・マウンテン

絵:田口智子 訳:橋本恵 2002年 小学館 高学年から

Vampire Mountai 2001

子どもをバンパイアに引き入れるべきではない――このことは、ダレンにとっても、クレスプリーにとっても、何度か直面してきた問題でした。

ダレンは、家族や友達と別れ、何でも打ち明けられる友達を持てず、身体能力が高すぎるため、人間の子どもと思い切り遊ぶこともできませんでした。一方、クレプスリーは、子どもを手下にしたことを後悔し、いずれバンパイア将軍に弁明しなければならない、という不安をかかえていました。

4巻「バンパイア・マウンテン」では、ダレンがクレプスリーからバンパイアの血を流し込まれてから8年が経過しています。ダレンの友達のエブラは青年になりました。ダレンが人間であるならば成人しているはずです。しかし、体は1歳分しか大きくなっていません。心は大人になっても、体は子どものままなのです。「子どもをバンパイアにすることの問題」が、より重くなって、ダレンにも、クレプスリーにも、つきつけられています。

クレプスリーは、ダレンを連れて、バンパイア総会が開かれるバンパイア・マウンテンに行くことを決めました。そこで、ダレンをバンパイア将軍や元帥たちに引き合わせるのです。

子どもをバンパイアにすることは、バンパイアのしきたりを破る行為でした。ダレンを仲間に認めさせ、必要であれば罰を受けるために、クレスプリーはバンパイア将軍や元帥たちと会わなければならなかったのです。

バンパイアたちは、仲間とおきてを重要視しています。クレプスリーとダレンは、バンパイア・マウンテンに行くまで、フリット禁止、はだしで行くことという規則を守り、きびしい旅路を徒歩で進みました。

ダレンたちの旅に同行したのは、リトル・ピープルの二人と、旅のとちゅうに出会った狼たち、バンパイア将軍ガブナー・パールでした。リトル・ピープルのひとりは、ダレンが親しく「レフティ」と呼んでいた者です。リトル・ピープルたちは、ミスター・タイニーから、バンパイア元帥あての伝言をたくされていました。

旅のとちゅう、ダレンたちは何度も危機におちいります。ダレンは、クレプスリーとガブナーが留守の時、くまからおそわれました。バンパニーズの死体を食った凶暴なくまでした。ダレンは、狼やリトル・ピープルの助けを得て、くまをたおしました。その時、リトル・ピープルのひとりは、くまから殺されてしまいました。もうひとりはダレンに心を開き、口をきいたのです。

ダレンが「レフティ」と呼んでいたリトル・ピープルは、「ハーキャット・マルズ」と名乗りました。そして、ミスター・タイニーの伝言を明かしたのです。それは、「まもなくバンパニーズ大王の夜が来る」というものでした。ミスター・タイニーは、かつて、階級を持たないバンパニーズたちが、いつの日か、大王の前にひれふし、バンパイアたちに戦争をしかけるという予言をしていました。しかも、その戦争で、バンパイアたちは全滅するというのです。

バンパイア・マウンテンに向かう旅路に、バンパニーズの痕跡(こんせき)がいくつも残されていました。バンパイアのなぞの死体、くまに食われたバンパニーズの死体があったのです。バンパニーズが近くにいることは確かでした。

ダレンたちは、不安をいだいたまま、バンパイア・マウンテンに到着します。

そこで、ダレンは、さまざまなバンパイアたちと会います。クレプスリーの恩師である、年取った需品長シーバー・ナイル。元帥に叙任されているバンパイア将軍のカーダ・スモルト――彼は、バンパニーズと和解をすべきだと考えていました。八百歳をこえる元帥パリス・スカイル。片目のゲームズマスター、バネズ・ブレーン。女性で、すご腕の格闘家、エラ・セイルズたちです。

ダレンは、バンパイアたちが戦いを好み、高潔を誇りとする人たちであることを知ります。また、バンパイアの生活習慣、バンパイア・マウンテンの施設も、わかってきます。

ダレンは、バンパイアの流儀にならって、エラと戦いました。実力の差は大きいのですが、堂々と戦い、エラやみんなから認められました。

その後、ダレンとクレプスリーは、元帥の間におもむきます。

元帥の間は、ミスター・タイニーが造らせた材料や工法が不明の建造物でした。元帥の間には、血の石もありました。血の石は、バンパイアたちの「精神的な集合体」となるためのもので、この石をつかえば、バンパイアたちの居所をつきとめることができるそうです。この石がバンパニーズの手に渡ったら、惨事(さんじ)を引き起こすかもしれません。カーダは、血の石を破棄(はき)した方がいい、という考えの持ち主です。血の石があるから、バンパニーズと和解できないと言います。

クレプスリーは、元帥たちや将軍たちの前で、マーロックの一件を報告し、ダレンを手下にしたことについて、尋問(じんもん)を受けました。

バンパイアたちは、現在、子どもを仲間に引きこまないようにしているのです。正当な理由もなく、ダレンを手下にしたクレプスリーは、責めをおわなくてはなりませんでした。

クレプスリーは、自分が犯した罪について申し開きはしませんでした。ただ、ダレンをほめ、ダレンが責められることがないよう、元帥たちを説得しました。クレプスリーがダレンを信頼していることがわかります。

バンパイアたちは、クレプスリーの誇りを尊重しつつ、何らかの責任をとるべきだとせまります。クレプスリーもそのつもりでいます。

しかし、元帥たちが決めたのは、ダレンに試練を受けさせる、ということでした。リタイヤすることはできない、完遂(かんすい)するか、死か、というきびしい試練です。ダレンが試練を受けることを決意し、この巻は物語を閉じています。 

「ダレン・シャンつっこみページ」につっこみを少々書いてみました。ファンの方は読まない方がよろしいかと…)

05.4.24

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ダレン・シャン5−バンパイアの試練

絵:田口智子 訳:橋本恵 2002年 小学館 高学年から

Trials of Death 2001

4巻「バンパイア・マウンテン」に続く物語です。4巻で、ダレンは、バンパイアの試練を受けることになりました。リタイアすること、失敗することは死を意味する過酷な試練です。それを5つ、クリアしなければならないのです。たくさんある試練のなかから、くじで決めることになっていました。

ダレンがひき当てた第一の試練は、「水の迷路」でした。低い天井とかべに囲まれた人工の迷路の真ん中に、ダレンはおきざりにされました。(p31) 四方の外かべに出口がありますが、体重の半分もある岩を引きずって行かなければならないのです。しかも、スタート直前、迷路には水が流され、きっかり17分後に、水が天井にとどいてしまいます。時間との勝負でもあるのです。ダレンは迷ってしまい、なかなか出口を見つけことができません。迷路の水は天井に達しました。しかし、ダレンは、岩をかかえて泳ぎ、出口に到達することができました。

第二の試練は、「針の道」でした。長くてせまい鍾乳洞(しょうにゅうどう)を通り抜ける、というものです。天井からは鍾乳石がぶらさがり、地面には石筍(せきじゅん)がびっしりと生えています。石筍の上に倒れたらくしざしになりますし、鍾乳石はもろくて、ちょっとの衝撃で落ちてくるのです。(p66) ダレンは血まみれになりながらも、この試練をクリアしました。

次の試練にうつる前に、最後のバンパイアがマウンテンに到着し、バンパイア祝祭が開かれることになりました。祝祭の間、試練は行われず、ダレンは、三日間、体を休めることができました。バンパイア祝祭の様子は、細かく描写されています。バンパイアたちは、戦いのゲームやダンスを楽しみ、伝説を語り、仲間との親交を深め、高潔さと勇敢さをほこりました。

第三の試練は、「炎の間」でした。金属でできた部屋の床のあちらこちらに穴が空いていて、そこから炎が吹き出すのです。その部屋で15分間持ちこたえるという試練でした。ダレンは全身にやけどをおい、足の感覚をなくしました。クレプスリーらが炎の間のとびらを開けたとき、試練を終えたことにも気づかぬほど、混乱していました。

試練の間中、クレプスリーは、ダレンを気遣い、はげましています。バネズ、エラ、カーダ、ガブナー、ハーキャットらも、ダレンの試練クリアのために協力しています。ダレンは、バンパイア一族の人びとから認められはじめています。

第四の試練は、「血を飲んだイノシシとの決闘」でした。バンパイアの血を飲み、凶暴化した二頭のイノシシと戦うのです。傷がいえない体で、ダレンはイノシシに立ち向かい、戦いました。しかし、死んだイノシシの下じきになり、もう一頭のイノシシから突進され、のがれられないピンチにおちいりました。

それを救ったのは、ハーキャットでした。ハーキャットは、突進してくるイノシシを殺し、ダレンを引っ張り出しました。ダレンは、あわや命を落とすという場面で、危機をまぬがれたのでした。

しかし、ひとりで成しとげるべき試練で、第三者の助けを得るという行為は、バンパイアにとって恥ずべきことでした。高潔さをほこりとし、正々堂々とした戦いを重んじ、規則にしばられた彼らにとって許しがたいことだったのです。ダレンは、必ず罰せられるであろう、とだれもが思いました。罰とは死を意味するのです。

カーダは、ダレンに、いったん逃げて、試練に再挑戦するチャンスを待つことがベストだと話しました。そして、逃げ道を案内します。カーダは、バンパイア・マウンテンの地図を作っているので、地形や通路にくわしいのです。

ところが、ふたりのあとをつけてきたガブナーに見つけられてしまいました。最初のうち、ダレンにもどるようにと言っていたガブナーですが、カーダに説得され、ダレンを逃がすことに同意しました。

逃げるとちゅうの横あなで、ダレンたちは、何人ものバンパニーズを発見しました。バンパイアたちの根拠地というべきバンパイア・マウンテンに、多数のバンパニーズが潜伏(せんぷく)していたのです。

しかし、ダレンにとって、最も衝撃を受けたのは、カーダがバンパニーズと通じていたことと、カーダがガブナーを殺したことでした。

「ダレン・シャンつっこみページ」につっこみを書いています。もし読まれても流してください;)

 05.5.1

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ダレン・シャン6−バンパイアの運命

絵:田口智子 訳:橋本恵 2002年 小学館 高学年から

The Vampire Prince 2002

5巻のラストで、ダレンは、カーダの裏切りを目撃し、カーダやバンパニーズたちに追われることになりました。水路に落ちたダレンに、カーダは救いの手をさしのべます。けれども、ダレンは、それにおうじず、流されていったのです。

その後のダレンの行方は、6巻で語られています。バンパイアの死者を流す水路で傷つきながらも、どうにかバンパイア・マウンテンの外まで流れて行きました。

重い傷をおい、寒さとつかれのために消耗(しょうもう)しきったダレンは、狼たちに助けられました。バンパイア・マウンテンに向かう旅路を同行したストリークやルディと、なかまの群れです。4巻で、バンパイアと狼は近しい生きものだ、と説明されています。ダレンは、狼たちから、傷ついたなかまとして受け入れられました。かいがいしく世話をやく狼によって、命をとりとめ、体力を回復させました。狼たちと心を通わせ、ともに狩りをするまでになりました。

平穏(へいおん)な毎日をすごしていたダレンですが、バンパイア・マウンテンにもどる決意をします。カーダの裏切りを元帥に知らせなくてはならないと思ったのです。「カーダは元帥となって、血の石を手に入れ、それをバンパニーズたちにわたすつもりだ」――ダレンは、そう考えました。阻止(そし)しなければ、バンパイアたちはバンパニーズたちに滅ぼされてしまうかもしれないのです。

ダレンは、狼の助けを得て、バンパイア・マウンテンにもどり、シーバーと接触することに成功しました。

カーダの元帥叙任式で、ダレンは、カーダを告発しました。シーバーのささえがあってできたことでした。最初は半信半疑で聞いていたバンパイアたちですが、何の弁解もしないカーダの姿、逃げようとするカーダの手下を見て、ダレンの話が真実であることを知りました。カーダと手下たちは裏切り者としてとらえられました。

それから、バンパイア・マウンテンにひそむバンパニーズとの戦いが始まりました。バンパイアたちは、だれも、戦いを恐れてはいません。それどころか、スポーツのように楽しんでいます。バンパニーズを殺すことに、何のいたみも感じていませんでした。

ダレンは、そんななかまたちを見て、嫌悪感(けんおかん)と疑問をいだきました。

バンパニーズとの戦いで、エラ・セイルズは命を落としました。ダレンの友達で、クレプスリーが結婚していた女性です。

バンパニーズとの戦いに勝っても、ダレンの気持ちは晴れませんでした。ダレンは、「バンパニーズがなぜ攻めてきたのか、理由を聞くべきではなかったか」とシーバーに言います。

やがて、カーダの尋問が始まりました。カーダは、「バンパニーズ大王が見つかった」と言います。まだ人間だけど、大王になるはずの者が現れたのです。そして、バンパイアたちが生きのび、バンパニーズたちとの戦いをさけるためには、手を結ぶしかなかったのだ、と説明しました。ミスター・タイニーは、バンパニーズ大王が出現すれば、バンパイアたちは滅びる、と予言していたのです。

カーダは、バンパイアたちの意識と、ミスター・タイニーによって予言された運命を変えようとしていました。しかし、彼の真意は伝わらず、裏切り者として処刑されました。

ダレンにも、裁きが待っていました。試練をなしえなかったこと、脱走したことが理由でした。バンパイアたちは、ダレンの処刑を望んではいませんでした。ダレンは、バンパイアたちを危機から救った英雄でもあったのです。バンパイアのおきてを守ったまま、ダレンが死をのがれる方法がひとつありました。それは、ダレンが元帥となることでした。  05.5.5

「ダレン・シャンつっこみページ」あります。)

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