*インドネシアの人々をモノクロで撮る 翻訳 Kochiさん
家具会社のファイナンス・ディレクターであり、趣味の時間には熟練
のフォトグラファーとなる岩崎さんに会った。この国に15年住む間に、岩崎さ
んはお気に入りのカメラを通してインドネシアの人々を何千人もフィルムに焼
き付けてきた。
彼はインドネシアの様々な人々の日常の姿、飾らない姿を撮影する。彼はその
すべてを特徴的なニュアンスで、つまりモノクロ写真に収める。彼はもう10年
ほどそのメディアを使っているという。今日に至るまでそこに拘っている。カ
ラー写真も使ってはいるが、それは写真の被写体の一次資料として、そして同
時に被写体へのアプローチとしてである。
そうしたわけで、彼と写真の被写体はそれ以前から知り合いなのだ。そのアプ
ローチを通してこそ、岩崎さんは被写体の人間的な側面を一枚一枚の写真のな
かで掘り起こすことができる。被写体の飾りも気取りもない無邪気な姿、それ
どころか流れゆく日々の生活と格闘するなかでの疲弊困憊さえも、彼の写真に
強く映し出されている。
モノクロ写真に浮かび上がる個性の強烈さは、カラー写真には見い出せない。
そのように強烈な個性が現われるや、想像力を掻き立て、ときとしてその作品
を解釈するときにその想像力を抑えられない。ましてや、フォトグラファーの
想像力が、一枚の作品のなかに表出せんとする意味付け、個性の形成を色付け
ているのだ。
彼のひとつの作品では、一袋の荷を背負う男の重労働を印象深く、うす暗い背
景に浮かび上がらせる。この作品にどのような意味を与えることもできるし、
それどころかその作品を見たときに想像力が迸ることも稀ではない。背景となっ
ている暗がりが荷を背負う男の歩んできた人生の苦渋を象徴するということも
できよう。けれども岩崎さんは、その作品を、明日を支える重労働と意味付け
る。
もう一つの作品で、岩崎さんは小屋にいる疲れたバンテンの男の姿を捉えてい
る。岩崎さんは、その疲れた男の顔に浮かんだ微かな喜びを捉えただけではな
く、被写体の後方から差し込む自然の光を上手に利用している。彼によれば、
このとき彼のカメラの弱点を作品中の長所としたのだという。ひとりのフォト
グラファーとして彼が強調するのは、頼れる道具となるカメラの性格を、その
短所を長所に転じるために、できるかぎり理解することだ。実際彼は、数十台
のコレクションのうち、それぞれのカメラの特徴を実に良く覚えていた。
*収集し、修理もする
岩崎さんのお気に入りのカメラは、Mamiya C220だ。2百万ルピアで手に入れた
この大柄なカメラは、彼の望みにぴったりだと感じられる。彼はまた85mmの望
遠レンズを付けたNikon F3もよく使う。この2ブランド以外にも、写真と格闘す
るなかで相当数のカメラを収集している。「これはチェコスロバキア製のカメ
ラです」と言いながら、テベット地区の自宅にあるコレクションの一台を示し
た。コレクション数は数十にも及び、どれもが正常に機能する。
購入する以外に、コレクション中のカメラには友人や知り合いから貰ったもの
もある。大抵彼らは、岩崎さんがウェブサイトで展示している一連の作品を見
たあとで、カメラを呉れる。「たぶん、デジタル・カメラを持っているという
ことのほかに、もう元を取った(減価償却した)から呉れるんでしょう」と笑
いながら説明してくれた。彼を驚かせるのは、フィルム・カメラであれデジタ
ル・カメラであれ、技術仕様においても用いられている材料においても違うと
ころはないということだ。「重さも同じようなものだけれども、売値はまるで
違うんです」と続けた。
コレクションの全カメラは日常的に手入れがされている。それどころか趣味の
時間には、様々な故障箇所の修理もする。「あまり難しかったり時間がかかっ
たりするようなら、パサール・バルに持って行って修理してもらいます。」微
笑みながらそう語った。
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