歴史問題を除く韓国歴史教科書へのツッコミ




 授業終了後。

エヴェリーナ・ミュンスター「ただいま〜」
醍醐ソウジ「おや、先生。お疲れ様」
神凪羽常「お疲れ様でした〜」
刀和祥子「ふう……韓国の歴史教科書を使った授業がここまで疲れるものだとは思わなかったですね」
醍醐ソウジ「日本の歴史教科書と書いてあることが全然違うのが原因なのですか?」
刀和祥子「そうですね、日本で常識だと思っていたことが全然通用しませんでしたからね。任那日本府の記述が抜けていたり白村江という重要な地名に全然触れられていなかったり森のクマさんが御先祖様になっている朝鮮の建国神話が『神話』ではなく『歴史的事実』として扱われていたり……古代史だけでもツッコミどころは山ほどありました」
神凪羽常「森のクマさん……って、『FINAL FANTASY TACTICS』の?」
刀和祥子「同じボケ、本編の授業でも言われました……」
ボルジア家の端役「そういや、箕氏朝鮮に関する記述がえらく等閑だったな」
エヴェリーナ・ミュンスター「箕氏朝鮮に関する記述は、韓国の歴史教科書でも名前だけはチラッと登場しているのよ。でも、書かれている場所は同じ章の注釈で、その量はたったの4行。檀君朝鮮が約3ページに渡って続いているのとは大違いね」
醍醐ソウジ「箕氏朝鮮……って、中国の春秋戦国時代に存在したことが推測される国のことなんでしょう? どうしてその国の記述がなおざりになってるんです?」
空有紗中国人が朝鮮最初の国家を築いたということになってたら、何かと都合が悪いからじゃないんですか?」
神凪羽常「政治的配慮ですか……」
刀和祥子「だけど、衛氏朝鮮の記事はちゃんとあったんですけどね」
エヴェリーナ・ミュンスター「教科書の中身については、これからも山ほどツッコミを入れる余地がありそうだから、授業をする身としても結構楽しみなのよね。そのついでに左の言説だけじゃなくて右の言説にも容赦の無いツッコミを入れることに成功すればベストなんだけどね」
醍醐ソウジ「あれ? 世界史コンテンツで揶揄の対象になるって、いわゆるアカの皆さんの言説ばかりとばかり思ってましたが……」
エヴェリーナ・ミュンスター「所変われば品変わる、と言うじゃない?」
醍醐ソウジ「まあ、確かにそうですが……」
エヴェリーナ・ミュンスター左だろうが右だろうが、事実誤認や思い違いが見つかった場合には、その場で容赦無くぶった斬っていくのが作者の流儀だからね」
神凪羽常「でも、今のところ、左の意見のほうが事実誤認の箇所は多そうですね?」
エヴェリーナ・ミュンスター「そうね。だから、左叩きがやっぱりメインになってしまっているところはあるんだけどね」



醍醐ソウジ「そういや、歴史問題を全部取り除いた後で、純粋に学術的な観点から韓国の歴史教科書を評価した場合、その評価ってどんな感じになります?」
エヴェリーナ・ミュンスター「政治的な問題を全部抜いた後?」
醍醐ソウジ「はい」
エヴェリーナ・ミュンスター「だとすると……正直言って、ちょっと肯定的な評価は出しにくいわね。このテキストの作者が、韓国の高校で使用されている国史の国定歴史教科書を一読した限りでは、これだけの問題が見つかっているわね」

  (1) 本文と脚注の位置が離れている
  (2) 余計な修飾語が多い
  (3) 年代が括弧書きになっている
  (4) 地図が見にくい
  (5) 民族的意義に関する記述


神凪羽常「こっちもツッコミどころ満載じゃないですか!」
醍醐ソウジ「順番に説明しもらえます?」
エヴェリーナ・ミュンスター「そうね」


  (1) 本文と脚注の位置が離れている

エヴェリーナ・ミュンスター「まずは(1)の『本文と脚注の位置が離れている』という問題。これは、韓国高校の国定国史教科書が抱える、歴史問題以外での最大の欠陥だと思っているわ。韓国高校の国定国史教科書では、大学以上の学術書と同じように、1つの章の末尾に脚注をまとめて記述するというスタイルなの。普通の学術書なんかだったらこの書き方でも大した問題は無いんだけど、この記述スタイルでは受験勉強で色々と苦労しそうなのは目に見えているわ。注釈の記号が現れたら、ページをめくって章末まで飛ばないと詳しい記述が見つからないんだから」
刀和祥子「同じページの中に脚注が書かれていたほうが明らかに便利ですよね」


  (2) 余計な修飾語が多い

エヴェリーナ・ミュンスター「それから(2)の『余計な修飾語が多い』。これは歴史問題にも微妙に関わっていることなんだけど、歴史上発生した事件・行為の説明に、執筆者の価値観や感情が露骨に分かってしまうような表現が付け加えられているのよ。例えば、古代史の授業で取り上げた新羅と唐の抗争では、唐が旧百済領の一部を支配下に置いたことについて、こんな書き方がなされていたのよ」

新羅の発展

 新羅・高句麗が倒れると唐は百済の昔の土地に熊津都督府をおき、再び高句麗占領以後、平壌に安東都護府を設置し、はなはだしきは新羅本土に鶏林都督府をおいて、韓半島全体に対する支配権を確保しようとした。これに対して新羅は百済、高句麗の遺民と連合して、唐と全面的に対決した。

(後略)

出典:国定韓国高等学校歴史教科書(和訳)78ページ

醍醐ソウジ『はなはだしき』……?」
神凪羽常「……結構どきつい表現ですね」
刀和祥子「これは序の口ですね。近代史に入ると、大日本帝国の行動に関して『無慈悲』などの単語が被せられる箇所も出てきますから。明成皇后の暗殺に関しては『弑殺』なんて言われましたよ」
醍醐ソウジ「価値観丸出しですね……」
神凪羽常「伊藤博文暗殺事件では、『処断』という表現もありましたね……」

義兵戦争の展開

(前略)

 一方、全国の義兵部隊がソウル進攻のために連合戦線を結成したこともあった。(中略)……義兵として活躍していた安重根は満州ハルビン駅で韓国侵略の元凶であった伊藤博文を処断した(1909年)。

(後略)

出典:国定韓国高等学校歴史教科書(和訳)354ページ

醍醐ソウジ「まるでヒーローものの映画みたいな表現だな……」


  (3) 事件等の発生年代が括弧書きになっている

刀和祥子「事実関係は時系列を追ってちゃんと書かれているのですが、事件等の発生年代を明記した箇所が少ない上に、明記されている年代も括弧書きの中なんです。良し悪しは別にして、年代に注意を払いにくい構成になっていることは確かですね」
ボルジア家の端役「年表も大雑把な作りだったな。その割には、韓国KBSによる南北離散家族探しに関する生中継番組の放送(1983年)が年表に明記されていたりする。訳の分からん年表だ」
神凪羽常「KBSの番組って、歴史上そんなに大事なんですか?」
ボルジア家の端役「そんなわけ無いだろうが」
刀和祥子「年代の記述不足に関しては、歴史資料の引用に際し、その資料の作成年次が明記されていないこともありましたね。その際たる例が、李氏朝鮮末期に日本とアメリカの間で交わされた『桂−タフト協定』なんですが、これについては李氏朝鮮末期の歴史を解説するページで細かく説明したいと思います」
醍醐ソウジ「年代暗記は歴史学習の最大の関門にして一種の名物でしょう? 年代に関する記述が少ないのは色々と不便じゃないんですか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「そうね。受験勉強だけのことを考えると、ちょっと記述不足の感が否めないわね」


  (4) 地図が見にくい

エヴェリーナ・ミュンスター『地図が見にくい』という問題だけど、これは韓国の歴史教科書に限らず、白黒で印刷された各国の歴史教科書に対し、共通して指摘されるべき問題点ね」
空有紗「歴史地図帳の併用が不可欠ですね〜」
醍醐ソウジ「なるほど……」


  (5) 民族的意義に関する記述

エヴェリーナ・ミュンスター「ここは歴史問題と密接に関係する話なので、本当ならば控えておこうかと思ったんだけど、やっぱり書かないと不味いだろうって思ったから付け加えたところよ」
醍醐ソウジ「その『民族的意義』というのは?」
エヴェリーナ・ミュンスター歴史的運動や事件が発生した後、その運動や事件が韓国史と韓国民の民族性に対してどのように影響を与えたのかを記述している箇所ね」
醍醐ソウジ「それだけ聞くとあまり問題が無さそうに聞こえますけど……当然『裏』はあるんですよね?」
エヴェリーナ・ミュンスター「ええ。試しに、このテキストを読んでみて」

3・1運動の意義

 3・1運動は独立運動の分水嶺として、わが民族に独立できるという希望と自信感を抱かせてくれた。そしてわが民族は3・1運動を通じて主体性を確認し、民族の知恵と独立の意思を全世界に明らかにした。
 3・1運動は民族の底力を国内外に示した快挙であり、日帝に同調していた世界各国に、わが民族に独立問題を正しく認識させる契機となった。また、3・1運動は中国、インド、東南アジアおよび中東地域において反帝国主義民族運動を起こす先駆的な役割を果たすことにもなった。さらに3・1運動は国内外の民族独立運動を挙族的な抗争に誘導し、より組織的で体系的な独立運動へと発展させた。
 一方、3・1運動を契機に上海で正統政府である大韓民国臨時政府が樹立されたが、これはわが民族が自主的に民主共和制の政府を立てたという点で大きな意義があった。

出典:国定韓国高等学校歴史教科書(和訳)407ページ

醍醐ソウジ愛国心を高める為の道具として歴史教育が使われている様が、手に取るように分かりますな」
神凪羽常「うーん……これっていいことなんでしょうか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「正直言って分からないわね。今までの日本の歴史教育で、愛国心の育成という一面がかなり無視されていたという現実があるから、韓国の歴史教科書で愛国心を育成する教育が行われているのを見て変に思えてしまうんだけどね。ただ、『愛国心に関する教育を行っていない日本のこれまでの歴史教科書のほうが余程変だ』と言うこともできるわけだし……」
刀和祥子「愛国心を育てる歴史教育を実践する場合も、正しい歴史的事実に立脚した教育が実践されているとするならば、あまり大きな問題にはならないんです。韓国の場合、この『正しい歴史的事実』という部分が問題ですからね」



醍醐ソウジ「逆に、韓国の歴史教科書で評価できるポイントってあるのですか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「無いとは言わないわね」


  (a) 「研究課題」のコーナーが用意されている

エヴェリーナ・ミュンスター「韓国の歴史教科書では、各節の冒頭に『研究課題』と称して、この節で学習する内容を研究・予習する際のポイントが列記されているわ。研究課題として書かれている内容には、一部政治的に偏った記述も含まれているので、そこは問題として指摘しなければいけないけど、学習内容のガイドとして機能している点は評価してもいいと思うわ」
醍醐ソウジ「政治的に偏っているというのは?」
刀和祥子「近代史の研究課題として、こんな項目があったんです」

◇研究課題◇

1 日帝の国権被奪はどのような段階を経て行われたか。
2 日帝の韓国侵略に対する列強の態度はどうだったか。
3 乙巳条約が無効である理由は何か。
4 (略)
5 日帝の植民地収奪政策の目的と方法はどうだったか。

出典:国定韓国高等学校歴史教科書(和訳)392ページ

醍醐ソウジ「……………………」
神凪羽常「……乙巳条約、実際には違法だったんですか?」
刀和祥子「20世紀初頭の国際法では有効と認められます。詳しいことは李氏朝鮮末期の歴史で触れますよ」

醍醐ソウジ「……ところで、良い点だと気付いた箇所はこれだけなんですか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「作者が気付いた範囲ではこれだけだったわね」
刀和祥子「つまり、総合して判断すると、『歴史問題を抜きにして評価しても問題が多く、歴史地図帳などの副読本の併用が必要不可欠』ということですか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「そういうことになるわね」

レキリス・キャソル「ところが、その副読本こそが落とし穴なのかもしれないのでございます」

空有紗「あれ? 何時の間に戻ってたの?」
レキリス・キャソル「つい先程のことでございますよ。それより、以前授業で使用しました『親日派のための弁明2』に、こんな記述が見つかりましてございます」

 『国史』が記述する一八七六年から一九四五年までの歴史は約五〇ページだが、そのほとんどがこのような嘘で塗り固められている。二〇〇二年版はまだましになった方だ。教科書以外の参考書や教材、孝試書籍、公務員受験テキストなどの記述は、教科書よりもさらに荒唐無稽であきれた嘘を今なお維持しているのが現状である。

出典:金完燮『親日派のための弁明2』90ページ

ボルジア家の端役「裏は取れているのか?」
レキリス・キャソル「いえ、韓国で使用されている参考書や教材などを目にしたことがありませんので、裏付けは全くありません。韓国の歴史教科書を拝見した限りでは『有り得ない話ではなさそう』と思いましたが、いかんせん実物を目にしたことがありませぬ故、『こういう意見がある』という紹介の方法が限界でございましょう」
エヴェリーナ・ミュンスター「これについては、読者の皆様からの情報提供待ちになりそうね……」



醍醐ソウジ「逆のツッコミは入れなくても大丈夫なのですか?」
エヴェリーナ・ミュンスター「『逆の』?」
醍醐ソウジ「ええ、中国や韓国が騒いでいた扶桑社の日本史の教科書ですよ。左右のバランスを取るんだったら、こちらにもちゃんとツッコミを入れておかないと不平等でしょう?」
神凪羽常「ソウジ先生、そんなことをやったら『世界史コンテンツ』の読者から総スカンを食らいませんか?」
醍醐ソウジ「うーん……」
エヴェリーナ・ミュンスター「こっちについては本屋で立ち読みしただけなので、ぱっとした印象しか伝えられないんだけど、歴史問題を除いた記述については、1つ軽視し得ない大きな問題はあったわね」
ボルジア家の端役図表不足の問題だな?」
エヴェリーナ・ミュンスター「ええ。文字がたっぷり書かれている割に、その文字量に見合うだけの図表──特に地図が少ないと感じたのよ。本のサイズもA5版のままで、B5版にサイズを大きくした他社の教科書と比べて使いにくいと思ったし。教科書の中身以前のところで差を付けられている感はあるわね。2005年の教科書検定ではどうなるかは分からないけど、現状のままの教科書だったなら、歴史地図帳のような副読本は絶対に欠かせないわね」

会社名総ページ数 年表数地図数挿絵数写真数表・グラフ数
日本書籍 1978
(4.06)
73
(37.06)
243
(123.35)
421
(213.71)
50
(25.38)
東京書籍 18634
(18.28)
61
(32.80)
378
(203.23)
424
(227.96)
69
(37.10)
大阪書籍 20320
(9.85)
73
(35.96)
89
(43.84)
591
(291.13)
54
(26.60)
教育出版 21474
(34.58)
65
(30.37)
290
(135.51)
493
(230.37)
56
(26.17)
清水書院 19811
(5.56)
69
(34.85)
304
(153.54)
395
(199.50)
43
(21.72)
帝国書院 20418
(8.82)
103
(50.49)
580
(284.31)
505
(247.55)
74
(36.27)
日本文教出版 22225
(11.26)
82
(36.94)
95
(42.79)
492
(221.62)
67
(30.18)
扶桑社 29914
(4.68)
63
(21.07)
42
(14.05)
444
(148.49)
32
(10.70)

出典:東京都教育委員会・平成14〜17年度使用 教科書調査研究資料(中学校)を元に計算
(下段カッコ内は100ページあたりの当該資料数を表す)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/chu/chu2.pdf)※PDF形式


エヴェリーナ・ミュンスター「歴史問題を含む中身の論評はパスするわね。このコーナーは韓国の歴史教科書を歴史問題以外の観点で滅多切りにすることが目的だったからね。それに、扶桑社の歴史教科書に対してツッコミを入れたい方は、このページよりも日教組のホームページを調べたほうが良いと思うわ」
空有紗「でも、このページを見ている人の中で、日教組のホームページを見に行こうとするような人って、冷やかし以外にはいないんじゃないですか?」
醍醐ソウジ「それを言ったらダメでしょうが」




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