自動車運動力学~気持ちよいハンドリングのしくみと設計~(以後「本書」)に用いられる記号を紹介いたします.

■慣用と異なる変数について

   本書では,各種性能指標の文字式が簡単になると思われる変数を使っています(表1).その理由は,簡単に表されるほど,その性能についてはより本質に近いと考えるからです.例えば,流体力学では生の速度の代わりに,レイノルズ数やマッハ数が用いられます.機械力学においても,例えば,ばねの性質を表すときに,線材の径やばねの径・まき数・ヤング率を使う代わりにばね定数を使います.この理由は,これらの設計変数よりもばね定数のほうが,機械力学的にはより本質に近いからだと思われます.

 

表1 設計変数対応表

慣用的な車両設計変数

本書で用いる設計変数

備考

ヨー慣性モーメントIz

ヨー慣性半径係数kN(無次元)

kN2は,自動車の運動と制御(安部正人著)のζを表す式(3.68)等におけるk2/lflrのことです.k2/lflrの力学的意味をお知りになりたい方には,本書1.1.5項がお役に立つかもしれません.

等価コーナリングパワ2Kf,2Kr

等価コーナリング係数(に重力加速度を乗じた値)CfCr

例えば,自動車の運動と制御(安部正人著)では式(3.82)においてTr=mlfV/(2lKr)と表されますが,本書ではTr=V/Crと表されます.

 

■自動車の運動と制御(安部正人著)をお持ちの方へ

・拙著の文字は,自動車の運動と制御に準じています.ただし,βは車体の横滑り角だけに使用し,タイヤのスリップ角には,SegelやPacejka,Ellisと同様にαを用いています.また,本書では数または量を表す文字のみ斜体にしておりますので,前輪を表すfや後輪を表すr立体です.なおヨー進み時定数Trrはヨー角速度rを表しますので,斜体です.

・自動車の運動と制御第2版の場合,5.3.2項の式(5.25)にて表されるωy2(p.168)を1/2倍したものが,本書9.2.3項におけるωz2に相当します.ωy2にご興味がある方には,9.2.3項がお役にたつかもしれません.

・自動車の運動と制御第2版の場合,3.4.1項の式(3.62)’直上の段落にあるk/l≒1/2×(k2/(l/2)2)1/2≒1/2(k2/lflr)1/2は,本書の式(3.12)~(3.13)に相当します.

 

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