2017年9月3日(日)晴れ・稽古640回目・夏季合宿2日目「馬鹿なこと言うな!」

朝5時、古川先輩の「5時ですよ!」という声で目覚める。同室の荒井さんも着替えている。すぐに〝ランニングセット〟が入っている袋からウエアと靴を取り出して着替えて外に出る。「寒い!」と思わず声が出た。少し迷ったが急いで部屋に戻り、こんなこともあろうかと用意してあった長袖・長ズボンを持ってきて上に着る。

5時少し過ぎたが、徳昭塾長、古川先輩、金谷先輩、松山先輩、荒井さん、義都くん、達平くんとで準備運動を始める・・・が、「イチ、ニ、サン、シ」の号令の替わりに「イテテテ」といううめき声が出る。それでもいくつかの筋肉と筋を伸ばし、歩き始める。少しして早歩き、遅いジョギング、少し早めのジョギングと少しずつペースを上げていく。僕は体全体がだるく全くペースを上げることができず、超遅いジョギングでついていく。

途中にある神社に続く坂道でダッシュ。これを2本行い、また歩き始める。宿舎に戻るころには日は高く上がり、うっすら汗をかいていた。始める前にあった変なだるさと頭痛は和らいでいた。シャワーを使わせていただき、食堂でコーヒーをいただく。そして20分ほどだったがもう一度横になった。

7時からの朝食は、少なめのご飯に生卵をかけ、なんとか胃に流し込んだ。午前稽古に備え、もう一度布団に横になる。

9時過ぎには着替え、iPhoneに入れてある『王道の型』で「征遠戦」を再生しながら何度か予習する。ずいぶん前だが一度覚えてあったので、数回行ったら一応思い出すことができた。ただ、一つ一つの動きの「狙い」「気持ち」を全く理解していないため、〝下手なダンス〟の域を出ていない。

ふと見ると、白帯の佐藤君がにこやかにおしゃべりしている。僕は横に行き、「他の人は優しいから言わないけど、僕は言うよ。白帯の君に、『朝のランニングをしない』という選択肢はないからね。疲れていても、痛くても、二日酔いでも必ず出るんだ。先生方とは違うんだから」「申し訳ありません」「でも、僕のこと嫌いにならないでね」「いいえ、大丈夫です」・・・なんかピンとこない受け答えだけど、いいか。同じことを青帯の木村さんにも言った。

近くにおられた徳昭塾長が、「そういうことは大事なことです。言ってくださってありがとうございます」と言ってくださった。

10時半、宗師、徳昭塾長、山崎師範が師範が前に立たれ、2日目の稽古が始まる。

1日目と同様、様々な種類の〝効く〟トレーニングを行う。体感を鍛える、バランスを鍛える、筋力を鍛える、瞬発力を鍛えるなど、「これでもか!」と続く。最後30分型の練習をするとして、「あと何分」など心の中で考えていたことを告白します。

11時30分、宗師のご指導で型の練習が始まる。昨日と同様「酒井、前へ」と促され、「突きの型」の練習を行う。宗師が号令をかけてくださり2回、無号令で2回行う。そして一人でもう一回行う。

次に「『征遠戦』を教えます」。何年か前の合宿でも教えていただいたが、結局その時には「号令3」までしか覚えられず、自分で最後まで練習していた。今回は予習していたこともあり、一つ一つの動きを、「格好」だけでなく、「狙い」「気持ち」も併せて学ぶことができた。自分が理解していたつもりの動きと全く違うものもあり、また、その部分に集中して聞くことができたので、すんなりと心に落ちてきた。

何度か行った後、「誰かやってみるか?」と宗師が言われたが、そこまで自信がなかったので黙っていたが、「酒井、やってみろ」と言っていただいた。みんなが見ている前で何カ所か間違え、直していただきながらだったが、何とか最後までやり切った。そのあとで徳昭塾長が模範を見せてくださり、当然だが〝全然違うなあ〟と再確認した。

そして終了。

「あと午後の稽古を頑張りましょう」と宗師が稽古を締めくくられた。

僕は宗師の所に行った。「押忍、この稽古で帰らせていただきます」「何でだ?」「夕方までやると、家につくのが何時になるかわからないので・・・」
「馬鹿なこと言うな! だから稽古時間早めたんじゃないか」「・・・」「稽古していけ!」「・・・押忍・・・」

参った。宗師のこの言葉を振り切って帰る勇気は僕にはない。実は、2日目の午前中までで帰ることは以前から決めていた。日曜日の高速の下りの渋滞は半端ない。遊んだ帰りならまだしも、激しい稽古をしたあと一人で運転してたら、眠くなってそれこそ何時間かかるかわからない。でも、最初に山崎師範が「久し振りに全日程出られる」とおっしゃったのを聞いた時には、少し気持ちは揺れていた。ただ、今のこの体の状態を考えると、「帰るべきだ」と判断していた。

昼食は宿の計らいで「餅つき」をしてくださった。つきたての餅をいただきながら、僕は覚悟を決めて宗師の前に立った。

「押忍、心を入れ替えて、午後の稽古をさせていただきます。押忍」「そうか、うん、頑張れ。押忍」

午後の稽古は3時に始まった。そして「遠くまで帰る人のことも考えて、4時に終わります。1時間だけどぎゅっと中身のある稽古をしますから、気合いを入れて頑張ってください」・・・いろいろとご配慮いただき、感謝の気持ちでいっぱいだった。

一度「帰る」と決めてしまっていたので心が折れかけていたが、自分を鼓舞するために率先して声を出した。突き、蹴り、ステップ、コンビネーション、そして組手。「これで終わり」と、最後の力を振り絞った。もう気力も体力も残っていなかった。そして終了。

山崎師範の講評。「最初にも言いましたが、今回全日程参加して、みんなと一緒に過ごすことができて、いい稽古をすることができて、本当にいい2日間でした。このことを今回参加できなかった人にも伝えたいと思います。ありがとうございました。押忍」

徳昭塾長の講評。「あちこち痛くて、本当に最高です。ありがとうございます。押忍」

宗師の講評。「山崎師範も言ったように、本当にいい合宿だったな。みんなよく頑張った。まだ40代だと思っていた小松が60なんて、びっくりした。高田も、ドクターも、酒井も、金谷さんも、凄い。年なんて関係ない。まだまだやれる。頑張りましょう。押忍」

ふ~っと息を吐き、しばし力を抜く。そして部屋に戻り荷物をまとめ車に詰め込む。師範、塾長、先輩たちにお礼を言い、宿舎を後にする。妻には「何時になるかわからないから、待ってなくていいから」と伝える。

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