『明治唱歌』全六集

大和田建樹,奥好義 共編(中央堂,1888年5月〜1892年4月)


その1 第一集〜第三集



明治になり本格的に西洋音楽教育をスタートし,民間でも音楽教材も盛んに出版されるようになった.『明治唱歌』はその中の一本である. 収録された曲の約 2/3 は外国曲である.歌詞の殆どは大和田建樹の創作で,大和田の創作詩集の感がある.

現在でも歌われている曲として,「共に学びし」(現在の「庭の千草」),「故郷の空」(または原詩に忠実な「誰かと誰かが」),「旅の暮れ」(現今の「久しき昔」または「想い出」),「二月の海路」(「ローレライ」),「上野の岡」(モーツァルトの「うるわしの五月」),「慈愛の笑顔」(「アルプス一万尺」),「あはれの少女」(「故郷の人々/スワニー河」),「楽しみの時」(「子ぎつね」),「別れの鳥」(ウェーバーの『魔弾の射手』序曲),「旅泊」(「灯台守」)などがある.

編者の大和田は後の「鉄道唱歌」の作詞者で,この頃東京高等師範学校で国文学を教えていた. 共編者の奥好義(よしいさ)は元々式部職楽師兼伶人で「君が代」の作曲者であるが,この頃は東京高等師範や東京高等女子師範で音楽を教えていた.



『明治唱歌 第一集』表紙

大和田建樹(1857−1910)


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右ニ掲グルハ米国音楽博士ルーサル、ホワイチング、メーソン先生([注] Luther Whiting Mason,1818年4月−1897年7月)の肖影ナリ。先生ハ去ル明治十三年ヨリ明治十五年マデ我文部省ノ聘ニ応ジテ音楽取調掛、東京師範学校、東京女子師範学校、及ビ学習院ニ於テ教授ノ労ヲ執リ実ニ我邦学校唱歌ノ基ヲ闡カレテリ、好義不肖ト雖ドモ嘗て同僚上真行、辻則承二氏ト共ニ先生ニ就キテ業ヲ受けケ今尚ホ其教授法ヲ継ギ唱歌授業ニ従事スルハ全ク先生ノ賜ト謂フベシ。此度明治唱歌ノ選成ルニ当リ聊カ厚恩ヲ謝センガ為メ其肖影ヲ写シテ世ノ同学諸君ニ示ス。
  明治廿一年三月    奥  好 義






  序に代ふる歌

あさがすみまだ夜をのこす  谷かげのさびしき空に  たれかまづ春をいざなふ。  うつくしき、ただ鳥の歌。
雲ふかく里へだたりて  友とほき旅路のくれに憂き心たれなぐさむる。  いさましき、ただ水の歌。
鳩車ひきつかれたる  をさな児を夢におくりてたれかそのねむりを守る。  愛ふかき、ただ母の歌。
人の世のはかなきねがひ  浮き沈み身をおほふ時  胸の火をたれかしづむる。  清浄のただ神の歌。
おもへ人、耳にわかれて  うまれなん世はいかならん。  もろともに謡ひて謝せよ。  世にあまる、ああ神の恩。
          大和田建樹




  凡例

此書は学校と家庭とを問はず、世の唱歌を誘導して、高尚の域にすすめんとのぞむ熱心より、不完全の謗をうけんもかへりみず、稿を起したるなり。されば第一集には、なるたけ簡単にて独習にやすきものよりはじめ、二集三集と順序をおひて、高等のものにおよぼさんとす。
毎年春秋二期に、一集づつ出板すべし。 巻頭に撰者の曲をおきたるは憚なきに似たれど、これは新年より事を始むるの意によるのみ、不敬の罪はゆるされよ。巻中に、作歌者の名ありて作曲者の名なきものは、西洋大家の歌曲集より撰べるなり。
撰曲校正等のことにつきては、学友上真行、辻則承の二君、もっとも懇篤にその労を取られたり。



  目次

第一集 (1888年5月14日発行)
第一   新年
第二   春の歌
第三   鳥の歌
第四   春風
第五   暮春
第六   遊歩の庭
第七   学の力
第八   勧学の歌
第九   共に学びし
第十   故郷の山
第十一  紀元節
第十二  家にいなん
第十三  日本男児
第十四  皇国の守
第十五  母なき吾屋
第十六  故郷の空
第十七  別れの歌
第十八  千里の友
第十九  草刈の歌
第二十  けふよる友
第二十一 競漕の歌
第二十二 別れの血しほ
第二十三 若竹若松
第二十四 朝雲雀
第二十五 旅の暮
第二十六 二月の海路
第二十七 沖と磯
第二十八 天長節
第二十九 クリストマスの歌


第二集 (1888年12月5日発行)
第一   柳桜
第二   砧の声
第三   時
第四   樵の歌
第五   春の朝
第六   あすは千里
第七   命の雨
第八   自然の友
第九   浦の夏
第十   すゝめや子供
第十一  神は我に
第十二  上野の岡
第十三  舟あそび
第十四  慈愛の笑顔
第十五  箱庭
第十六  船路の歌
第十七  岩間の清水
第十八  暮の星
第十九  あはれの少女
第二十  学課の後
第二十一 夜半の曲
第二十二 楽しみの時
第二十三 隔てぬ影
第二十四 暗夜の光
第二十五 花の少女
第二十六 首夏
第二十七 汀の夕
第二十八 別れの鳥
第二十九 謡ひて謝せよ


第三集 (1889年6月14日発行)
第一   千代の声
第二   少女の望
第三   霞む夕日
第四   初花
第五   昔がたり
第六   亡き友
第七   谷の庵
第八   歴史は我を
第九   菫つみ
第十   皆わが眼
第十一  読書の窓
第十二  旅泊
第十三  なごりをし
第十四  雲のけしき
第十五  少女の死
第十六  幼き昔
第十七  海のあなた
第十八  かたみの琴
第十九  今宵の心
第二十  愛の歌
第二十一 早苗
第二十二 月の影
第二十三 あすも来て
第二十四 雲霧
第二十五 あられ
第二十六 師の恩
第二十七 帰郷の前


参考

     * 外国曲


第一集 (1888年5月14日発行)


@ 第一 新年 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 さひはいおほきしんねんを
   むかへしけふのうれしさよ。
  めぐみいあまねき君がよを
   八千歳(やちとせ)かけて共にいはゝん。
二 よろこびふかきしんねんを
   むかへしけふのうれしさよ。
  慈愛はてなきちゝはゝを
   万代(よろづよ)かけてともにいははん。
三 たのしみながきしんねんを
   むかへしけふのうれしさよ。
  こゝろへだてぬ友だちと
   手を引きつれていざや謡はん。



@ 第二 春の歌 (大和田建樹 作詞 Boieldieu 作曲)

一 うたへうたへ春をむかへて。
   うたへうたへ鳥とともに。
  いざや野も山も歌の声そへて
   合はせその訓(しらべ)かへせこだま。
  空ものどか花もさかり。
   うたへうたへ鳥よともよ。
二 あそべあそべ野辺の芝生に。
   あそべあそべ蝶とともに。
  袖にちる露もけさは心地よや。
   袖にふく風もけふはうれし。
  春よ友よこころゆたかに
   われとあそべうたへ。

[注] [FSSC 2: p. 12]: Fran¸ois-Adrien Boieldieu (1775-1834) 作曲
"Rejoice, rejoice" (4部合唱); L.W. Mason, "The Young Singer" Pt. II
(1860), p. 122: "Good night" (3部合唱).[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
オペラ "La Dame Blanche" (1825 年初演) 第 1 幕の初めにある合唱
曲 "Sonnez, sonnez, sonnez cors et musette!".[桜井雅人: 私信 2011. 05. 18]

以下で歌唱を聞くことができる:
Francois-Adrien Boieldieu - La dame blanche - Introduction (1/2)
http://www.youtube.com/watch?v=XAAsScwQVWI



@ 第三 鳥の歌 (大和田建樹 作詞 芝 葛鎮 作曲)

一 朝霧はれてさす日のかげ  むかへて親子そらに翔(かけ)る。
   たのしさいつもかはらぬ声。  歌へや遊べやなつかし鳥よ。
二 あるひは雲につばさをのべ  あるひは森にねぐらをとひ
   こゝろのまゝに憂もなし。  歌へや遊べやむれゆく鳥よ。



@ 第四 春風 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 草葉にふけやはるのかぜ  ひばりの夢をさますまで。
   菜種のうへをとぶてふの  つかれし羽ねに触れぬほど。
二 こずゑにふけやはるのかぜ  花のにほひをさそふまで。
   枝さしかはすあをやぎの  糸のもつれを見せぬほど。
三 ああ 愛らしのはるかぜよ  わが身をふきていつまでも
   老せぬ空にまひあそべ。  若き野山にゆたかよへ。



@ 第五 暮春 (税所あつ子 作詞 上 真行 作曲)

  かぜのまにまにちりはててゝ
   さくらははやく実になりぬ。
  ながき春日をいたずらに
   くららしゝ身こそはかなけれ。



@ 第六 遊歩の庭 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 いでよいでよ遊歩の庭に。
   休のかねのおときく時は
  皆うちつれておくれずいでよ。
   楽しく共に遊べ遊べあそべ。
二 あそべあそべ中よく遊べ。
   鈴菜の花にとまりしてふも
  友だちつれて空にぞあそぶ。
   楽しく共に遊べ遊べあそべ

[注] 原曲は D. Caughie eds., "The Glasgow Infant School Magazine",
1st series (London: Darson & Co., 1860), p. 31; W.W. Pearson, "The
national method of vocal music" (Manchester: John Heywood, 1873),
p. 80 に収録の "March Away" (歌詞:March away! March away! / To
the playground lead the way).
『明治唱歌 第六集』第十一
「待つらん人」
も同じ曲.
また真鍋定造編
『幼稚唱歌集』 第十「ゆけよゆけよ」の曲.ただし真鍋版では旋律に
改変がある.[桜井:私信 2013. 1. 26]



@ 第七 学の力 (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 はてなき海にたれあとつけし。 影見ぬ国にたれみちびきし。
   学びのちから智識のひかり。
二 目に見ぬ星も手にとるごとく  かくれし数をたれかは告げし。
   学びのちから智識のひかり。
三 蒸気車はせて世界をちゞめ   風舩あげてつばさをそへぬ。
   学びのちから智識のひかり。
四 国を守るあゝこのちから。   暗(やみ)をも照らすあゝこのひかり。
   たゆまず積めや月日の倉(くら)。
五 勉めば得べきこのわがちから。  研(みが)かばいでんわがひかり。
   うづめなすてな身にあるものを。



@ 第八 勧学の歌 (高崎正風 作詞 奥 好義 作曲)

  あだにすぐすなけふの日を
   けふはふたゝび帰り来ず。
  むだにくらすなこの年を。
   ことしはまたと回り来ず。
  学のにはにつどふ子よ
   たゆまずつめやをしへ草。



@ 第九 共に学びし (矢田部良吉 作詞 西洋曲)

一 共に学びしやまとぶみ。
   共にしらべしあずま琴。
  あゝなつかし、その昔の
   けふのわかれに忍ばるゝる。
二 松のみどりのかはらじと
   いひし言葉はかた糸の
  ああ友垣そのちぎりは
   かけて千年(ちとせ)もたにせじな。
三 君は筑紫われは越(こし)
   雲井はるかに立ちわかれ
  ああ年月あひみぬとも
   雁はゆきかへ春秋(はるあき)に。
四 霜にやつれぬ白菊の
   色をこころにそのわざを
  ああ月日にいやみがきて
   清きみさをを世にのこせ。

[注] 元の歌詞は Thomas Moore (1779 - 1852)"A Selection of Irish
Melodies" Book 5 (1813) 中の No. 4: "The last rose of summer".メロディーは,
"The Groves of Blarney" の改作. これは Alfred Milliken による1796 年の作
(あるいは,既存の曲の改作)とも言われている [4].
既に『小学 唱歌集 第三編』(1884)に「菊」として採用されていた.
現在は「庭の千草」として知られている.第五集第二十一番「花がたみ」も同じ曲.

歌唱は多数あるが一例をあげれば,
The Last Rose of Summer - The Celtic Tenors, Deirdre Shannon
http://www.youtube.com/watch?v=Yfq9j8qYSAw



@ 第十  故郷の山 (大和田建樹 作詞 辻 則承 作曲)

一 ここ ろも晴れゆく朝日のそらよ  ほのかに見えたるふるさとの山。
  まぎれぬ面影かはらぬかたち。   あれあれ見えたるふるさとの山。
二 むれたつ鴎のひまなき羽ねに    あらはれかくれてあれ近づくは
  慈愛のかほむせ楽土のひたひ。   あれあれ見えたるふるさとの山。
三 恋しきわがやはあの山もとよ。   わかれし木陰をはや行きて見ん。
  妹と植ゑたるかきねのすもゝ    丈にもあまりて身をむすぶらん。
四 書読む小窓にかかりし薔薇(せうび) 毬打つ園生をおほひし葡萄
  かはらで茂るかむかしのまゝに   雀は誰が手になきてかあそぶ。
五 こひしき父母あの山もとよ。    とびたつ思をはや告げまほし。
  夢路にかよひし十年(ととせ)のこころ くまなくかたるは嬉しや今宵。
六 わが舩むかへてなつかしがほに   あれあれ立てるよふるさとの山。
  別路(わかれぢ)おくりしすがたのまゝよ あれあれ立てるよふるさとの山。



@ 第十一 紀元節 (下田歌子 作詞 作曲 奥 好義)

  扶桑の海にうかみてし
   あさひの光さながらに
  いまもににほひて日の丸の
   御旗かゞやく紀元節



@ 第十二 家にいなん (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 いざやわれ家にいなん
   いつも楽しきわは家に
  母のひざにねむるちごの
   ゑがほいざや見にいなん
二 いざやわれ家にいなん
   いつも春日(はるび)のわが家に
  窓のすずめ園のこてふ
   いつもわれと遊ぶなり
三 いざやわれ家にいなん
   胸に絶えせぬわが家に
  とほくむかふ森のこずゑ
   われをまちてにおふなり



@ 第十三 日本男児 (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 日本男児のまごゝろは   君が代まもる国の楯。
   事あるときには進むべし。 うしろを見せず進むべし。
    雪に路なき山までも    波にはてなき海までも。
二 日本男児のまごゝろは   はらから守る国の城。
   忠義の鎧を身にきつゝ   いのちをすてゝむかふべし。
    あさゆふみがく真心を   挫くな折るな国のため。
三 日本男児のまごゝろは   せんぞを守る国の垣。
   いさををたてゝ後の世に  くちせぬ誉のこすべし。
    せんぞに承けたる魂を   みがきて照らせわが国を。



@ 第十四 皇国の守 (外山正一 作詞 伊沢修二 作曲) (作者許可)

一 きたれやきたれやいざきたれ。 皇国(みくに)をまもれやもろともに。
  よせくる敵はおほくとも    おそるゝなかれおそるゝな。
  死すともしりぞく事なかれ。  皇国のためなり君のため。
二 いさめやいさめやみないさめ。 つるぎもたまもなんのその。
  皇国をまもるつはものゝ    身は鉄よりもなほかたし。
  死すともしりぞく事なかれ。  皇国のためなり君のため。
三 まもれやまもれやみなまもれ。 他国の奴隷となることを
  おそるゝものは父母の     墳墓の国をよくまもれ。
  死すともしりぞく事なかれ。  皇国のためなり君のため。
四 すゝめやすゝめやみなすゝめ。 皇国の旗をばおし立てゝ
  すゝめやすゝめやみなすゝめ。 先祖の国をまもりつゝ
  死すともしりぞく事なかれ。  皇国のためなり君のため。

[注] 初めは豆本の『軍歌集』(1886年5月)の巻頭に(九番まである)
歌詞だけが載った.ここではそのうちの第一・第三・第六・第九番が採用され,
楽譜が付いた.日本人作曲の最初の軍歌らしい軍歌.後に伊沢修二編
『小学唱歌』巻五(1893年9月)で「来れや来れ」と改題され,最初の二番に
短縮された[堀内敬三『定本 日本の軍歌』(実業之日本社,1969年9月)
pp. 40−45]



@ 第十五 母なき吾屋 (大和田建樹 作詞 Joseph Philbrick Webster 作曲)

一 ははなきわがやは暗(やみ)ゆくここち。のこれる幼兒(おさなご)目も泣きはれぬ。
  ちちうへあねぎみ何とかすべき。 母なわがや暗ゆくここち。
二 ははなきわがやは暗ゆくここち。 春日(はるび)の光もここには照らず。
  鳥啼き花散りなつさへとはず。  母なきわがやは暗ゆくここち。
三 ははなきわがやは暗ゆくここち。 朝夕むかひしつくゑのうへに。
  つもれるその書(ふみ)たれとか読まん。母なきわがやは暗ゆくここち。
四 母なきわがやはやみゆくここち。 なれたる言葉を耳にも聞かず。
  われらを遺していづこに行きし。 母なきわがやは暗ゆくここち

[注] 田村虎蔵 編『教科統合 女学唱歌 巻の二』の「墓詣で」と同曲で
Webster 作曲.[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
原曲は H.S. Perkins, ed., "The Song Echo" (New York: J.L. Peters, 1871),
p. 99: Joseph Philbrick Webster (1819-1875) 作曲 (1859), Henry De
Lafayette Webster (1824-1896) 作詞,"Home Is Sad Without a Mother".
[桜井: 私信 2013. 02. 03]



@ 第十六 故郷の空 (大和田建樹 作詞 スコットランド民謡)

一 夕ぞらはれてあきかぜふき
   月かげ落ちて鈴虫なく。
  おもへば遠し故郷のそら。
   ああわが父母いかにおはす。
二 すみゆく水に秋萩たれ
   玉なす露はすすきにみつ。
  おもへば似たり故郷の野辺。
   ああわが兄弟(はらから)たれと遊ぶ。

[注] 原曲はスコットランド民謡の "Comin' thro' the rye".初出は
John Watlen の "Old Scots Songs," no. 8 (Edinburgh, 1794) とも言わ
れているが、確認できる最初の印刷版は1796年出版の "If a Body Meet a Body"
と題するシート・ミュージックである.James Johnson and Robert Burns ed.,
"The Scots Musical Museum," Vol. 5 (W. Blackwood & Sons, 1853) p. 431:
song 418 に収録されている.
しばしば Robert Burns (1759. 1−1796. 7) の作詞と伝えられることがあるが,
Burns の作品("The Scots Musical Museum," Vol. 5, p. 430: song 417)は
歌詞・旋律共に前者と異なる[4, 5]

歌唱は
Comin' thro' the Rye - 'British and Irish Bouquet' download album - DKJ
http://www.youtube.com/watch?v=9mEkVY1i0Jo
日本語版は
フォレスタ - 故郷の空
http://www.youtube.com/watch?v=5yyXz-iCGNo



@ 第十七 別れの歌 (加部厳夫 作詞 辻 則承 作曲)

一 たとひ千里(ちさと)をへだつとも
   こころへだてぬ友どちは
  のぼる朝日におもいまし。
   かたぶく月にわするなよ。
二 わかれは逢ふの始ぞと
   むかしの人もいひおけり。
  袖のなみだを緒に貫きて
   またの逢ふ日の数よまん。



@ 第十八 千里の友 (大和田建樹 作詞 奥好義 作曲)

一 共に見し月は梢にかかるなり。
   千里の外の君ぞこひしき。
二 面影は今もみ空にうつるなり。
   雲井のよその君ぞ恋しき。
三 淋しさに庭の木陰を歩めども
   君なき春は花もにほはず。
四 面白く君と謡ひし歌のねも
   けふは帰らず吾をはなれて。



@ 第十九 草刈の歌 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 けふもさらば谷の水
   しばしともに別れなん。
  朝日かげきよく浮かぶとき
   ここにまたも君を見ん。
二 さらばいざや野辺の花
   笑顔たれてやすく寝よ。
  雲雀そら高くうたひつつ
   君の夢をさますまで。
三 なごりをしやなれし野の
   姿みえずなりにけり。
  星よわが家路てらしつつ
   ははの膝に身をおくれ。



@ 第二十  けふよる友 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 けふよる友は国の友。   事ある時はもろともに
   いのちをすてて進むべし。 曇らぬ心惜しまぬ身
    まもれやわが国を。    ひくな友よいざいざ
     つくすべし国の酒を
二 けふよる友は国の友。   けふのむ酒は国の酒。
   酒のむ時はうたふべし。  こころをあけて語るべし。
    義のため国のため。    ひくな友よいざいざ
     つくすべし国の酒を

[注] Fr. Silcher and Fr. Erk, "Schauenburgs allgemeines deutsches
Kommersbuch" 31 st ed. (Lahr: Moritz Schauenburg, 1888) p. 627: Friedrich
Haug 作詞 "Vorbild und Lehre" ('Trinken sang Anakreon, trinken sang Horz').
[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15/ 桜井雅人: 私信 2011. 05. 18]

楽譜とmidiは:
Trinken, sang Anakreon ? MarkomannenWiki
http://www.markomannenwiki.de/index.php?title=Trinken,_sang_Anakreon



@ 第二十一 競漕の歌 (上 真行 作詞作曲)

一 いまをさかりの花の時   うらゝの天気こゝちよや。
   いざやゆかん隅田川に。  はれの競漕はれの競漕。
    まけてはならぬぞ     みな、みな、みな、みな、みな励め。
二 わが目はわれの舟にのみ  そゝぎてよそを見るなかれ。
   いざやこげよ楫をそろへ  負けず漕げ負けず漕げ。
    ちからのかぎりを     こげ こげ、こげ こげ、こげ小舟。
三 あひての舟はおくれたり。 われらの舟ははや着きぬ。
   けふもかれらはまたも負ぞ。 腕のよわさ腕のよわさ。
    さんどにいちどは      なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ勝たぬ。
四 数万の見物てをうちて   喝采くがにみちわたる。
   けふの勝はわれらの手柄  こゝちよやこゝちよや。
    勝旗かつぎて       いざ、いざ、いざ、いざ、いざいなん。



@ 第二十二 別れの血しほ (大和田建樹 作詞 Silcher 作曲)

一 日本男兒のこころのひかり   ますますみがきて世界を照らせ。
   いま酌む酒こそわかれの血しほ。 そそぎてわするな誓の言葉。
二 雨風さかまく万里の海に    怒濤ををかしていざゆけ君よ。
   見知らぬ海山(うみやま)すぎゆくみちに 迎へてまつなりいざゆけ君よ。

[注] Friedrich Silcher and Friedrich Erk, "Schauenburgs Allgemeines
Deutsches Kommersbuch" 31st ed. (Lahr: Moritz Schauenburg, 1888) p. 158 :
Friedrich Silcher 作曲 (1810/ 1848) "Abschiedslied" ('Brüder
sammelt euch in Reihen ').[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15;
桜井雅人: 2011. 05. 18]

歌詞とmidiは
Bruder sammelt euch in Reihen
http://ingeb.org/Lieder/brudersa.html



@ 第二十三 若竹若松 (大和田けい子 作詞 芝 葛鎮 作曲)

一 まんびのまどのわか竹  しげれや千代のすゑかけて。
  露ふきはらふ朝風の   おとも涼しくかよふなり。
  草木かれゆく冬のきて  霜はおけどもいろあせず
  雪はふれども折れもせず。 かはらぬ姿たぐひなや。
  すぐなる心たぐひなや。 あけくれまなびの友とみん。
              すぐなるふしを友とせん。
二 まなびのにはのわか松  さかえよ鶴の巣ぐふまで。
  ふきくる風もおのづから 琴のしらべに通ふまで。
  木木はもみぢの秋くれど 同じときはの陰ふかく
  野山そめゆくしぐれにも うつらぬ節(みさを)たのもしや。
  かはらぬ節たのもしや。 よるひるこゝろの友とみん。
              かはらぬ色を友とせん。



@ 第二十四 朝雲雀 (大和田建樹 作詞 Weber 作曲)

一 霞にあがれりあはれ朝雲雀。菫のねぐらを早くおきはなれ
  むらさき深きそらに   そのうたかをりわたる。
二 雲井になのれりあはれ時鳥。深山(みやま)の木の間をあとに立ちいでて
  月かげきよきそらに   そのこゑひびきわたる。
三 門田(かどた)におちたりあはれ天つ雁。かさなる海山とほく飛びこえて
  うす霧かかるかたに   そのかげいまぞしづむ。
四 波間に操(さわ)げりあはれ小夜(さよ)千鳥。ねざめの枕をよそに とひすてて
  潮風さむきはまに    その友ゆききあそぶ。

[注] Carl Maria von Weber (1786−1826) 作曲の歌劇『魔弾の射手』
"Der Freischütz"(初演1821年6月)第三幕の花嫁をかこむ歌 「花嫁の
花冠を編んであげましょう」'Wir winden dir den Jungfernkranz'.
[FSSC 2: p. 31]の英語版 "The Rosy Crown" (D. Dutton 作詞) からの採用か.[4]


Carl Maria von Weber (1786. 11-1826. 6)


@ 第二十五 旅の暮 (大和田建樹 作詞  T.H. Bayly 作曲)

一 落葉をさそふ森のしぐれ  なみだと散りて顔をうつ。
   ふるさと遠き旅のそら。  ゆきがた知らぬ野辺の路。
    一夜をたれにやどからん。
二 すすきにむせぶ谷のあらし  夕ぐれさむく身にぞしむ。
   木(こ)の間をもるる日の光。 山辺にひびく鐘のこゑ。
    うれしやあれにやどからん。
三 夢にも見ゆるこひしわがや。 そなたの空は霧こめて
   月影ほそくけむるなり。   なきゆく雁もあときえぬ。
    あけなばいそぎ文(ふみ)やらん。

[注] 原曲は Thomas Haynes Bayly(1797-1839)作詞作曲(1839 ?)の
"Long, long ago".
日本では近藤朔風作詞 (1913 年)「久しき昔」[語れめでし真心 久しき昔の],
戦後の文部省唱歌 (1947 年) で古関吉雄作詞の「思い出」[垣に赤い花咲く]
として知られる.
日本初出は,真鍋定造監修撰譜 『幼稚唱歌集 全』 (普通社,1887年3月)
の第十五曲 「むかしの昔」 [むかしのむかし いにしむかし] である.

原曲は
Listen - The Virtual Gramophone
http://www.collectionscanada.ca/gramophone/m2-9002l-e.html
の中の "Long, long ago"
125LongLongAgo.mp3
で聞ける.
日本語では
久しき昔 (唱歌)
http://www.youtube.com/watch?v=2_FB7guCBW8


Thomas Haynes Bayly (1797-1839) [National Portrait Gallery, London]


@ 第二十六 二月の海路 (鳥居 忱 作詞 F. Silcher 作曲)

一 春のうららの海原や 遠(をち)の山々かすむなり。
   雲か帆影かみづとりの むれてとぶさへおもしろや。
二 闇の雲間の星のかげ 光かくれてすごき夜や。
   やがて嵐かおろしこん 空のけはひもただならず。
三 雨にあらしに大海(おほうみ)は 怒涛さかまきあるるなり。
   いまやわが船かくれ岩に ふれてくだけんおそろしや。
四 いづこなるらん名もしらぬ はなれ小島に流れつき
   あらしふきやみ春の夜は しほぢかすみてあけそめぬ。

[注] 原曲は Heinrich Heine(1797−1856)作詞 Friedlich Silcher
1789−1860)作曲(1838)"Lorelei". 1892年11月3日音楽学校学生
により鳥居 忱 作詞「領巾麾嶺(ひれふるやま)」[なじかは知らねど]
として合唱された.
第二集第一番「柳桜」も同じ原曲.

鮫島友美子の歌唱は以下で.
ローレライ
http://www.youtube.com/watch?v=rLrX5uxbkIY


Friedlich Silcher (1789年6月−1860年8月)


@ 第二十七 沖と磯 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 いその山しろく月はいでぬ。  けふもはやなごり釣をやめん。
   蘆火たくかげのとほく動く。  恋しわが妻は松のあなた。
    得物かず見えてふねに躍る。  これぞわが命いざや家へ。
二 おきの色くれて夜風さむし。  あはれまつひとの舟はいづこ。
  そらか海原かはても見えず。   こゝろぼそ君が日々のゆくへ。
   馴れし艫のおとのわれに聞ゆ。  いまぞわが胸の波はよそに。



@ 第二十八 天長節 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 天長節のあさぞらに
   とゞろく祝の歌声たのし。
  きけやひとびとあれあそこ
   わが日本のまもりのひゞき。
二 天長節のあさかぜに
   ひらめく日の出の旗影高し。
  みよやひとびとあれこそは
   わが大君の御威(みいつ)のひかり。



@ 第二十九 クリストマスの歌 (大和田建樹 作詞 E.M. Arndt 作曲)

一 天地にみちたる神の恩。
   やみにもかくれぬ神の恩。
  みそらの星とぞわれらを照らす。
   うれしや神の恩。
二 こころに余れる友の愛。
   霜にも枯れせぬ友の愛。
  園生の菊とぞわれらにかをる。
   うれしや友の愛。

[注] Wasson, "Hymntune Index" によると,Ernst Moritz Arndt
(1769-1860) 作曲 (1817),William Edward Hickson 作詞 (1836) 賛美歌
"God Speed the Right".末日聖徒イエスキリスト教会の賛美歌第 60 番
「正義守れと主に祈る」[4]
ドイツ語原詞は Friedrich Silcher and Friedrich Erk, "Schauenburgs
Allgemeines Deutsches Kommersbuch" (Lahr: Druck und Verlag von Moritz
Schauenburg, 1888) 31st ed., pp. 153-54: E. Arnt 作詞・作曲 "Der Freiheit"
('Bringt mir Blut der edlen Reben').[桜井雅人: 私信 2011. 04. 28]

ドイツ語歌詞は
Bringt mir Blut der edlen Reben
http://ingeb.org/Lieder/bringtmi.html
左上の Melodie マークをクリックすると音声が聞ける.
英語版歌詞と音声は
God Speed the Right, p.106-William E. Hickson
http://people.uleth.ca/~anderson/hymns/106.htm

Ernst Moritz Arndt (1769. 12. 26−1860. 1. 29) [Wikipediaより]



第二集 (1888年12月5日発行)


A 第一 柳桜 (大和田建樹 F. Silcher 作曲)

一 野辺のながれに影を見せて
   立てる柳のまゆよあはれ
  心すなほにかぜをうけて
   見よや少女(をとめ)のなびく姿
二 のぼる朝日に顔をあげて
   にほふ桜の色香あはれ
  雲もかすみもはれし空に
   見よや少女のよそふ姿

[注] 原曲は Friedlich Silcher 作曲「ローレライ」.
同じ原曲の第一集十番 「二月の海路」を参照されたい.

A 第二 砧の声 (大和田建樹 作詞 外国曲)

一 木の間ふけゆく夜半の嵐
   たびねの枕の友か仇か
  わすれぬ千里(ちさと)の夢をさらに
   おもえへと響かす遠(おち)の砧(きぬた)
  身を斬る霜夜もたれがために
   おきゐていとなむわざやらん
二 弟はあるなりひとの国に
   いもとはすむなり母のそばに
  またこん月日(つきひ)のけふかあすは
   ひとつのむしろに共にあはん
  秋風とほさぬのいへに
   砧のひびきもよそにして



A 第三 時 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 ひろへや時をよくひろへ
   ひろはばわれに来る時を
  こがねの光ちらして前に
   まねくぞ時はわが前に
二 このわが時をのがすなよ
   のがさば又と来ぬ時を
  するどき羽ねをひろげてよそに
   飛ばんとするぞひまをみて
三 すすめよ時のふる中に
   たのしきかげのみゆるまで
  はる風わかくふきそふ道に
   わがものならぬ花もなし

[注] 原曲は [FSSC 1: p. 81] 所収の作曲者不明, William Edward
Hickson (1803-1870) 作詞 (1836 ?) "Try, Try Again"[4]



A 第四 樵の歌 (大和田建樹 作詞 Lowell Mason 作曲)

一 峯のあらしもなれし調べ
   谷の小川もなれし声
  月はしたしきかほをみせて
   けふも送るか老が身を
二 烟にもるる里の火(ほ)影
   いそぐ山路もはやわづか
  いづくなるらん鹿の遠音
   なれも恋ふるか妻や子を

[注] 原曲は Lowell Mason (1792−1872) 作曲 (1864),Anna L. Coghill
(1836-1907) 作詞の賛美歌 'Work, for the night is comin, etc.' (旋律名
"WORK SONG").『讃美歌』368番「つとめいそしめ 花のうえの」[4]
[FSSC 1: p. 116] にあり.

歌詞とmidiは
Work, for the Night Is Coming
http://www.cyberhymnal.org/htm/w/o/workfort.htm
にある
204WorkSong.mid


Lowell Mason (1792. 1. 8−1872. 8. 11) [Wikipedia より]


A 第五 春の朝 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 おきわたす露のにほひ
   をちこちの鳥のうた
  春の野にみちておもしろきけしき
   おきいでてみよやけさの空を
  われも人もこころ野辺に
   うきたつ頃は花さくあした
二 朝日かげにほひいでぬ
   かすみたつ山のはに
  うれひなき春はけふも来てわれを
   はれわたる野辺にさそひいづる
  雁よ雁よはるをすてて
   かへるなひとり花なき里に

[注] 曲は H.S. Perkins, ed., "The Song Echo" (New York: J.L. Peters,
1871), p. 124: Reginald Heber 作詞,作曲者不詳、"May-Day Carol"
(歌詞:Queen of fresh flowers,/ When vernal stars obey).[桜井: 私信
2013. 02. 03]



A 第六 あすは千里 (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 けふとりかはす君が手も
   あすは千里(ちさと)の旅のそら
  くれてもよしやなほうたへ
   かたみとならんこの本(もと)に
二 こよひは同じまどの月
   あすは幾重の雲のよそ
  ならぶる影もいましばし
   かたれや月の眠るまで



A 第七 命の雨 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 ふれふれ雨よふれふれ雨よ
   垣根の花のいのちの雨よ
  青葉をはしる 白玉(しらたま)こがね
   くだけて散りて涼しやここに
二 落ちくる瀧か逆まく波か
   にはかにまさるさけびの響
  暑さにかれし小川(こがは)の水も
   息ふきたてて躍(おど)るぞあれに

[注]  スコットランドの Mary Grey Lundie Duncan (1814年4月-1840年
1月) 作詞のアメリカの唱歌 "Little Brother" [Little brother, darling boy,
You are very dear to me! etc.]. 出典は [FSSC 1: p. 50]である.[遠藤:
p. 222],[4]

音源は
207LittleBrother.mid



A 第八 自然の友 (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 さびしさも思はざりけり山里は
   自然の友にいつも訪(おとな)はれて
二 読む書のまどをたゝくは誰々ぞ
   ゆふべの木の葉あさのおち栗
三 弾く琴にしらべ合はすは誰々ぞ
   したゆく小川をかのまつ風



A 第九 浦の夏 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 いざ見に来ませ友だちよ
   わが浦里のゆふぐれを
     夏のよを
  さわがぬほどのさざ波に
   躍れる月のかげもよし
     風もよし
二 すごすなこよひ友だちよ
   ちぎりし里のゆふぐれを
     夏のよを
  芦間のしほもこゑそへて
   うたふか友をほしがほに
     まちがほに



A 第十 すゝめや子供 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 愛せよ子供まもれよ子供
   先祖の骨のをさまる国を
二 神武のむかし立ちたるまゝに
   うごかぬ国ぞわが日の本は
三 世界をてらす朝日の御旗
   こころにたてゝ進めや子供

[注] 原題 L. Erk, "Liederkranz" Vol. II ([s.n.], 1882) p. 68: Peter Ritter
作曲 "Der Ambrosianische Lobgesang: "Großer Gott, wir loben dich".
アメリカでは C.H. Hohmann, "Practical Course of Instruction in Singing"
Pt. IV (Boston: Oliver Ditson, 1856?), p. 60: "Song of Praise"; Charles
Aiken, Alfred Squire, J.P. Powell and Victor Williams, "The Young Singer's
Manual" (Cincinnati: Wilson, Hinkle & Co., 1866) p. 67: "Child's Prayer".
[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
賛美歌版では "HURSLEY" という旋律名. Wasson, "Hymntune Index"
よると,原典は "Allgemeines katholisches Gesangbuch" (Vienna, 1774).
[桜井: 2011. 05. 18]

歌詞(歌詞は他にも数種あり)とmidiは: Come, Sinners, to the Gospel Feast
http://www.hymntime.com/tch/htm/c/o/m/comsinrs.htm



A 第十一 神は我に (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 朝日かがやく花の上に
   鳥も蝶もたはれあそぶ
  うたへ幼児(をさなご)つゆをふみて
   たのし此朝を神は我に
二 牛はかへりし野辺の空に
   慈愛こぼるゝほしの光
  いそげ幼児母のひざに
   うれし此暮を神は我に

[注] [FSSC 1: p. 136]: William F. Sherwin 作曲 "Sing Always" (From
"Bright Jewels").[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
初出はRev Robert Lowry, "Bright Jewels for the Sunday School" (New
York: Biglow & Main, 1869) p. 25.[桜井雅人: 私信 2011. 05. 18]

以下にmidiが掲載されている.作詞は Fanny Crosby.
http://www.hymntime.com/tch/htm/s/i/n/singalwa.htm



A 第十二 上野の岡 (大和田建樹 作詞 Mozart 作曲)

一 春のさくら秋のもみじ
   ながめたえぬ上野の岡
  知るやむかしあの木陰に
   ふりみだれし矢玉の雨
二 ゆふべ霞む忍ばず池
   岸の火影(ほかげ)たかくひくし
  やなぎを吹く風の外(ほか)に
   いまは聞かぬときの響(ひびき)

[注] 原曲は Christian Adolf Overbeck(1755−1821)作詞 (1781),
Wolfgang Amadeus Mozart 作曲 (KV 596, 1791)「うるわしの五月」"Komm!
Lieber Mai".
音楽専門家は和声進行が異なるので別曲とするが,それにしてもメロディー
は吉丸一昌作詞,中田章作曲「早春賦」と似ている.

音源は例えば,
Vienna Boys Choir - Komm Lieber Mai
http://www.youtube.com/watch?v=hgfkfYlM9Hk


Wolfgang Amadeus Mozart (1756. 1-1791. 12)


A 第十三 舟あそび (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)
一 風と波とにおくられて
   なつものこらぬ舟の内
  ゑがほすゞしき松島は
   はやわが前に向ふなり
二 舟には絶えぬ友の歌
   海にはかはる島のさま
  朝日のいろも興そへて
   たのしきなかに匂ふなり
三 友のひたひに照り返す
   島のみどりの波の影
  あゝけふの日は流れても
   消えぬ記臆(きおく)はいつまでぞ
四 あの島がくれこぎゆくは
   友よぶ鳥かつりふねか
  かかるけしきをわが庭に
   なれすむあまと身をなさば

[注」 第六集第十二「汽車」と同じメロディー.




A 第十四 慈愛の笑顔 (大和田建樹 作詞 アメリカ曲)

一 怒れや人々こころのままに
   鞭うてわが身をここののままに
  ただわがかへす恨の太刀は
   慈愛の言葉じあいのゑがほ
二 身をきる風にも梅こそかをれ
   身をうつ波にも月こそやどれ
  うらみもあたも世になき身には
   いかりの声もわらひの唱歌

[注] 原曲は作詞作曲者不明の "Yankee doodle". アメリカ独立戦争
当時から歌われているアメリカの愛唱歌.日本では「アルプス一万尺」と
して知られる.
ここで採用した楽譜の元は 替え歌の [FSSC 1: p. 164]: George P. Morris
作詞 "Origin of Yankee Doodle" (イ長調)か[4]
アメリカ海軍の Matthew Calbraith Perry (1794年4月−1858年3月) 提督の
率いる東インド艦隊4隻が嘉永6年6月3日(1853年7月8日)江戸湾入口に姿を
現し,大統領 Millard Fillmore の国書を渡すため,6月9日(7月14日)浦賀
の久里浜に上陸したが,その際海兵隊によって演奏された行進曲が "Yankee
Doodle" であったという[Wikipedia-ja「ヤンキードゥードゥル」]
ちなみに日米通商条約締結のための嘉永 7 年 2 月 - 3 月(1854 年 3 月)
の再来日では,上陸の際 "Hail Columbia" 『中等唱歌集』第十 「御国の民」
参照]が演奏されたという.

演奏は web で多数見つかる.例えば
http://www.youtube.com/watch?v=AwHvyqNDUvE
日本では遊び歌になっている:
アルプス一万尺 acoustic garden's children 001
http://www.youtube.com/watch?v=4mlYhlaSLpE



A 第十五 箱庭 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 来てみよ君もわが箱庭を
   金魚のひれに波たつ海を
二 帆かけて浮けし附木(つけぎ)の舟を
   むかひの岸に吹け吹け風よ

[注] Marianne und Thekla Naveau, "Spiele, Lieder und Verse"(Hamburg:
Hoffmann und Campe, 1873), p. 144: J. Stangenberger 作曲 "Die Mühle
wie sie geht".
アメリカでは Philip Phillips, "Day School Singer for Public and private schools"
(New York: Van Antwerp, Bragg & Co., 1870), p. 55: "The windmill
and water-mill".[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
幼稚園教師には Horace Mann and Elizabeth P. Peabody, "Moral
Culture of Infancy, and Kindergarten Guide" (New York: J.W.
Schemerhorn & Co., 1874), Songs: p. 6 が良く知られていた.



A 第十六 船路の歌 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 夕日きえゆく海の末に
   ひとりたゝずむ富士の高嶺
    あはれ故郷のかげもなごり
二 今ぞ千里(ちさと)のたびのはじめ
   のさん翼を雲路までも
    いさむこゝろは波もものか

[注] Friedrich Silcher and Friedrich Erk, "Schauenburgs Allgemeines
Deutsches Kommersbuch" (Moritz Schauenburg, [1858], 1888) p. 194:
"Lebenslust". [長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15; 桜井雅人: 2011.
05. 19]



A 第十七 岩間の清水 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 岩間のしみづ苔の露
   つもれば淵となるものを
  つとめよ子ども朝夕に
   おこなふわざも学問も
二 のぼらば峯の白雲も
   ただ足もとになりぬべし
  神よりうけし身の宝
   すつるもとるも心から

橋本(楊洲)周延(ちかのぶ)画の錦絵「欧州管弦楽合奏之図」(1889年5月)に「岩間の清水」
の歌唱風景が描かれた.ピアノは東京音楽学校の瓜生繁子,ヴァイオリンの一人は同じく
幸田 延,フルートは同じく奥好義がモデルと言われている.

A 第十八 暮の星 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 なつかしき暮の星
   森のうへに三つ四つ
  峯のそらに六つ五つ
   かはらぬかげ夜の友
二 うつくしき暮の星
   雲のまへに七八つ
  くものあとに九(ここの)十
   そらのかざり夜の花



A 第十九 あはれの少女 (大和田建樹 作詞 Foster 作曲)

一 吹き捲く風はかほを裂き
   みるみる雪は地にみちぬ
  あはれすあしのをとめ子よ
   別れし母をよばふらん
二 つづれのきぬのやれまより
   身を刺すさむさいかほどぞ
  あはれぬれゆくをとめ子よ
   世になき家をたづぬらん
三 こがねのはしら玉の床
   世界は同じうちなるに
  あはれこごえしをとめ子よ
   たたずむ軒もうづもれぬ

[注] 原曲は Stephen Collins Foster(1826−1864)作詞・作曲(1851)
「故郷の人々(スワニー河)」"Old folks at home".
1851 年の初版には E.P. Christy 作詞とあるが,実際は Foster が作詞しており,
Foster は自分の名前を出さなかったことを後悔したという.[4],[Wikipedia-en−
"Old Folks at Home"]

ちょっと古いがアメリカの名ソプラノ,ローザ・ポンセルによる歌唱が
Rosa Ponselle--Stephen Foster My old folks at home
http://www.youtube.com/watch?v=rgpJM17KVZw
で聞ける.

Stephen Collins Foster (1826年7月−1864年1月)


A 第二十 学課の後 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 楽しやわがあそび時
   学課ははて日は高し
  いざや友よあの野辺に
   習ひし花あつめ来ん
  ながれふく春風に
   唱歌の譜もさらはせて
二 小高き森ほそきみち
   みよやふるき城の山
  写せ君も座をしめて
   神のかきしあの手本
  筆も紙もこがたなも
   うれしやみなわが包み



A 第二十一 夜半の曲 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 ねむれ星よひかりをさめて
   神の守る雲の夜床に
  しづかしづか天女も夢路に
   ねむれ星よひかりをさめて
二 やすめ風ようたをとゞめて
   けむりしづむ森の枕に
  しづかしづか世界もねむりに
   やすめ風ようたをとゞめて



A 第二十二 楽しみの時 (大和田建樹 作詞 ドイツ民謡)

一 谷間にみちてうたふ小鳥
   ながれにむれてあそぶ小魚(こうを)
    時よ時よやまもかはも
二 あしたにまさる花の薈(つぼみ)
   ゆふべにあをむ 野べの千草
    時よ時よあめもつゆも

[注] 原曲は "Fuchs, du hast die Gans gestohlen". 日本では戦後
の勝承夫作詞「子ぎつね」(1947年国定音楽教科書)[こぎつね こんこん 
山の中 山の中]が有名.[「みんなの歌」研究会:pp. 77-90]
編者は小学3年のとき合奏したが,原曲は物騒な歌詞だったとは知らなかった.

歌唱は
Wiener Sangerknaben - Fuchs, Du hast die Gans gestohlen
http://www.youtube.com/watch?v=u307uILrZGY



A 第二十三 隔てぬ影 (大和田建樹 作詞 辻 則承 作曲)

一 はじめて君と手を取れば
   梅が香そでにかをり来ぬ
    ゆく末ながき春をこめて
  ふたゝび君と手を取れば
   若葉のこずゑ夏ふかく
    いまはへだてぬ風の色
二 うれしきものは友の縁
   たのしき時もうき時も
    なぐさむる君はげます君
  父母とほきたびの身に
   あきかぜ落ちて月寒し
    いまは夢にも君のうへ

[注] 第一番3行目「よく末ながき」は楽譜では「ゆく末とほき」となっている.



A 第二十四 暗夜の光 (大和田建樹 作詞 Abt 作曲)

一 ほたるよほたるとびこよ蛍
   雲間の星とあつまりちりて
  草葉の露とみだれてちりて
   てらせほたるよその玉よ黄金よ
          その玉よ黄金よ
二 ほたるよほたる心のままに
   のぼればおりてちらせよ影を
  わがゆくみちの暗夜(やみよ)のひかり
   ともせほたるよその花よ錦よ
          その花よ錦よ

[注] 作曲はFranz Wilhelm Abt (1819-1885) , "Agathe", op. 39 no. 1.
直接の出典は [FSSC 1: p. 62]: "When the Swallows Homeward Fly (Agathe)" か.[4]

歌詞(独語、英語)とmidiは
Wenn die Schwalben heimwärts ziehn - When the swallows homeward fly
http://ingeb.org/Lieder/wenndiez.html
に置いてある
224WennDieSchwalben.mid


Franz Wilhelm Abt (1819. 12. 22-1885.3. 31)


A 第二十五 花の少女 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

  ああをとめ子夕日のまへに
  笑顔ぬれてたてる面影
 永き春日のねむりはさめて
  いまぞにほへるあはれ君
 蝶の羽風にすがたちらすな
  わがやどのやようれしき友
 そでにかをれやよ花の少女
  やよやよいばらの君



A 第二十六 首夏 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 夏は立ちぬ丘の森の木々に
   月のかげも風のいろも
     すずしやみどりに
二 夏はうかぶ野辺の水の上に
   たかくひくくわたる燕
     すずしやそのかげ
三 夏はさめぬ園の花の床に
   いけの菖蒲(あやめ)かきのいばら
     ゑがほもしづかに

[注] Friedrich Silcher 作曲 "Vöglein im hohen Baum" または "Gott
der Schopfer".[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]

ホルン四重奏の演奏は
Voglein Im Hohen Baum - Horn Quartett 'Meistersinger'.MP3



A 第二十七 汀の夕 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 雨の後のゆふひかげ
   みづをそめてなほしばし
  つつみがくれとぶ鷺の
   色さへぬれておもしろや
    風よ露よ吹けやちれや袖に
    露よ風よちれや吹けや袖に
二 招きかへす芦間より
   かくれみゆるはすの花
  ちかき守になくせみの
   声さへにほふここちして
    風よ露よ吹けやちれや袖に
    露よ風よちれや吹けや袖に



A 第二十八 別れの鳥 (大和田建樹 作詞 Weber 作曲)

一 ひとつの野辺にそだちし雲雀
   へだてぬかげも今宵ぞなごり
  のこるもゆくも春日(はるび)のめぐみ
   あそべやよもにうたへやそらに
二 朝風ゆるく草葉にそよぎ
   夕露しろくすみれに匂ふ
  そのをりをりはおもひぞいでん
  今宵のままにはなれぬ陰を

[注] Carl Maria von Weber (1786 - 1826) 作曲『魔弾の射手』"Der
Freischütz" 序曲から.
Joseph P. Holbrook が編曲.賛美歌273番B「わがたましいを愛するイエスよ」
(旋律名 JEWETT)[大塚:25]
他に讃美歌285番「主よ、み手もて ひかせたまえ」,讃美歌365番「わが主
イエスよ」,讃美歌21の504番「主よ、み手もて」などに使われている.[6]

音源は例えば
My Jesus, as Thou Wilt
http://nethymnal.org/htm/m/j/mjesuatw.htm
にある
228Jewett.mid



A 第二十九 謡ひて謝せよ (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 朝霞まだ夜をのこす
   谷かげのさびしき空に
  誰かまづ春をいざなふ
   うつくしきたゞ鳥の歌
二 雲ふかく里へだゝりて
   ともとほき旅路の暮に
  憂きこゝろたれなぐさむる
   いさましきただ水の歌
三 鳩車ひきつかれたる
   をさなごを夢に送りて
  誰かそのねむりを守る
   愛ふかきたゞ母の歌
四 人の世のはかなきねがひ
   浮き沈み身をおほふ時
  胸の火を誰かしづむる
   清浄(しやうじやう)のたゞ神の歌
五 おもへ人耳にわかれて
   うまれなん世はいかならん
  もろともにうたひて謝せよ
   世にあまるあゝ神の恩




第三集 (1889年6月14日発行)


B 第一 千代の声 (大和田建樹 作詞 Bishop 作曲)

一 水ようたへ声たかく
   風ようたへ声たかく
  春はつねに訪ひ来つつ
   憂ひ知らぬおのが宿
  天なほわれに
   めぐみそへし子の笑顔
二 松の下に座をしめて
   父もうたへ子もうたへ
  けふも琴を鳴らしつつ
   風の合はす千代の声
  天わがさちを
   守りみたす日のひかり

[注] 原曲は John Howerd Payne(1791−1852)作詞,Henry Rowley
Bishop(1796年9月−1855年4月)作曲(1823) "Home, sweet home".
里見義が原詩を訳し,「埴生の宿」という表題で『中等唱歌集』(1889年12月)
に発表した.[金田一春彦・安西愛子共編『日本の唱歌(上)』(講談社文庫,
1977年10月)p. 84]

Samuel Wells Williams (1812-1884), (ed. by Frederick Wells Williams),
"A Journal of the Perry Expedition to Japan (1853 - 1854)" (1910), p.158
によると,1854年4月4日 (火曜日,安政元年3月7日) ペリー艦隊の「サラトガ」
(艦長アダムズ) が本隊より一足早く横浜を出港するとき,僚艦「ミシシッピ」の
楽隊が "Home, sweet Home"を演奏した.日本の聴衆は居なかったが日本
国内で初演と言えよう.[桜井私信: 2013. 06. 06]

歌唱は例えば
Kiri Te Kanawa - Home,Sweet Home (マオリ語か)
http://www.youtube.com/watch?v=7R67rji5aTI


Sir Henry Rowley Bishop (1796年9月−1855年4月)


B 第二 少女の望 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 うつくしきその望
  花の莟をあらはして
   少女のむねに笑みそめぬ
  雨も嵐もけさはたゞ
   色香をまもる愛の友
二 うつくしきその望
  眉あたらしき三日月と
   かすむ額にかゞやきぬ
  夕暮ごとにまさりゆく
   影に未来をてらしつゝ
三 うつくしきその望
  雲雀の羽をうちひろげ
   むかふよ空の海原に
  下(お)りも上りもまだ知らぬ
   かなたに星のほの見えて



B 第三 霞む夕日 (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 霞む夕日のおくられて
   花の雪ふむ岡のみち
  たゝずむ影は消えぬとも
   なほ奥ふかくわけ入らん
二 菜種につゞく山寺の
   森よりひゞく鐘のこゑ
  雲雀を床にいそがせて
   歌思ふ身にしみわたる
三 野末はうすく暮れそめて
   土筆(つくし)つむ子も帰るなり
  あすも又来んあな恋し
   花よこてふよ春風よ



B 第四 初花 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 朝露うるほふ初花の
   いろかを自然の乳児(ちご)の顔
  さいはひまもれよ天津神
   未来のひかりは目のうちに
二 磨かば照らさん白玉を
   しづかにをさむる乳児の胸
  罪なきのぞみを春風よ
   いざ吹きのぼせや母の膝

[注]  原曲は George P. Morris 作詞,Charles E. Horn 作曲の "On
the Lake Where Drooped the Willow" (1837)で,直接の出典は
[FSSC 1: p. 9] の改題された "Near the Lake"[6]

アメリカの作曲家コープランド (Aaron Copland) に 'Long Time Ago'
と題する編曲作品があり,以下で聞くことができる:
Marilyn Horne - Long Time Ago (Aaron Copland)
http://www.youtube.com/watch?v=4LAjpK2AXAo



B 第五 昔がたり (大和田建樹 作詞 Taubert 作曲)

一 ともしびをかきたてて
   夜ふかき窓の机によれば
  過ぎにし代々の姿ぞうつれる
   いざいざかたらんその昔
二 洛陽のはなざかり
   大宮人の管弦のあそび
  ただこれ栄花のまくらの一夢
   なごりをしらぶるさよ嵐
三 雷(らい)ひびき山くづれ
   都にみつる軍馬のけむり
  さめたる眠も見ぬ世の古(いにし)へ
   勝ちしも負けしもただ夜風

[注] 作曲は Karl Gottfried Wilhelm Taubert (1811-1891)『タウベルト
の子守唄』  英語題は [FSSC 1: p. 119]: "Cradle Song". [5]
原曲は Op. 27, No. 5: "Wiegenlied" ('Schlaf in guter Ruh').[桜井:私信
2011. 04. 14]

演奏は
タウベルトの子守歌 オカリナ演奏
http://www.youtube.com/watch?v=Y4wyY6nJaTU


Karl Gottfried Wilhelm Taubert (1811. 3. 23−1891. 1. 7) [Wikipedia より]


B 第六 亡き友 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 雲か霧か雨のあとか
   今はいづこそのいろ
  空は青くたかくとほし
   友よ友よそのかげ
二 風か波かあまつかりか
   今はいづこそのこゑ
  海は青くふかくひろし
   友よ友よそのうた
三 けふは訪はんあすは来んと
   ちぎりあひし言の葉
  今はきかぬよそのむかし
   友よ友よそのゆめ

[注] [FSSC 1: p. 43] 所収の "The Mourner" (German folk-song)
からか.ドイツの原曲は不明[6]



B 第七 谷の庵 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 あけぼの楽しき谷のいほり
   霞にひまより見えゆく花も
         こなたかなた
二 夕暮れしずけき谷のいほり
   ねぐらに急がぬきぎすの声も
         ひとつふたつ

[注] L. Erk, "Liederkranz" Vol. I ([s.n.], 1882), p. 141: "Es waren
einmal drei Reiter gefangen".
アメリカでは Charles Aiken, Alfred Squire, J.P. Powell and Victor Williams,
"The Young Singer's Manual" (Cincinnati: Wilson, Hinkle & Co., 1866) p. 78:
"The summer".[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
アメリカ系資料では Burgmüller 作曲だが,ドイツ系の資料では,Karl von
Holtei (1798-1880) 作詞 (1824) T.M. Eberwein 作曲 (Albert Lortzing 共に)
"Der alte Mantel"とある.[桜井雅人: 2011. 05. 22]

Der alte Mantel
http://de.metapedia.org/wiki/Der_alte_Mantel



B 第八 歴史は我を (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 秋風さむけき逢坂山を
   夕べにすぐれば琵琶の音すなり
  歴史はわれを夢路にさそひて
   きこえぬ声をこひしやそこに
二 月影さやけき足柄山を
   夜深くこゆれは笙の音すなり
  歴史はわれを昔にかへして
   見知らぬ人をうれしやここに
三 霞もかをれる吉野の峯を
   あしたにのぼれば天女ぞあそぶ
  歴史はわれをみそらに迎へて
   立ち舞ふ袖を尊とやあれに

[注] 原曲は William Oscar Perkins ed., "The Golden Robin" (Boston:
Oliver Ditson & Co., 1868) 所収の "Geography Song" (M.B.C. Slade 作詞;
作曲者不明) で,「歴史は我を」は [FSSC 1: p. 172] から採られたと思われる.[6]

以下に midi 音源がある.
Lyr Req Green Little Islands - geography song
http://www.mudcat.org/thread.cfm?threadid=60376
にある
308Geography.mid



B 第九 菫つみ (大和田建樹 作詞  Kücken 作曲)

一 春の風のべにみちて
   吹くよ空ものどかに
  けふも出でんあすも出でん
   すみれ摘みにはな見に
二 すみれ摘み誰におくる
   家のちちに母御に
  母は針を止めて待たん
   いざや夕日見すてて

[注] Friedlich W. Kücken (1810 - 1882) 作曲 "Treue Liebe" ('Ach,
wie ist's möglich dann!').[大野:34]
[FSSC 1: p. 106]: "How Can I Leave Thee".[6]

歌唱は
RICHARD TAUBER ACH WIE IST MOGLICH DANN 1926
http://www.youtube.com/watch?v=YzrcodD84y8



B 第十 皆わが眼 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 虚空にはねうつ大鳥見ずや
   その身の自由は千里も一時
  丈夫の望を照らすはかげか
   天地の海山みなわがまなこ
二 アルプの雪には古人をたづね
   羅馬の月にはむかしをとはん
  未来の旅路はうつつかゆめか
   古今の朋友ただわがまなこ



B 第十一 読書の窓 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 読書の窓をたたくは誰(た)ぞ
   落花を送るあしたの風
二 散歩の庭にまねくは誰ぞ
   たもとも軽く舞ひくる蝶
三 いざ出てながめんなごりの春
   みそらに仰がん尽きせぬ愛



B 第十二 旅泊 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 磯の火ほそりて更(ふ)くる夜半に
   岩うつ波音ひとりたかし
  かかれる友舟ひとは寝たり
   たれにかかたらん旅のこころ
二 月影かくれてからす啼きぬ
   年なす長夜もあけにちかし
  おきよや舟人をちの山に
   横雲なびきて今日ものどか

[注] 原曲は [FSSC 1: p. 9] にある "The Golden Rule".
Richard Storrs Wills 作曲(1850)賛美歌114番「天なる神には」とする説
[手代木俊一『賛美歌・聖歌と日本の近代』(音楽之友社,1999年11月
p. 104]は正確ではない[桜井]
後,佐々木信綱 作詞「助船」や勝承夫(のりお) 作詞「灯台守」として親しまれる.

桜井雅人氏から最近の調査を踏まえた最新版をお知らせいただいた
ので,ここに転載する[桜井:私信 2009. 7. 21]
「原曲はアメリカの日曜学校唱歌の "The Golden Rule" である.
I.J. Zimmerman(経歴不明)の作詞で William Oscar Perkins ed.,
"The Golden Robin" (Boston, 1868) p. 147; "Hymn, Tune and Service
Book for Sunday Schools" (Boston, 1869) p. 72; "Philip Phillips'
Day-School Singer for Public and Private Schools" (Cincinnati, 1869)
p. 26 などいくつかの唱歌集に掲載された(初出は W.O. & H.S. Perkins,
eds., "The Sabbath School Trumpet: A New Collection of Hymns and
Tunes" (Boston, 1864) と推測される).同じメロディーで "The Voice
Within" という題の歌詞もある.「旅泊」は "Franklin Square Song Collection",
No. 1 (New York, 1881) p. 9 に掲載の "The Golden Rule" から旋律をその
まま借用した."The Golden Rule" は20世紀初頭までの歌集に収録されてい
たが,現在のアメリカではまったく知られていない.作曲者は不明であり,「イギ
リス曲」説[堀内敬三・井上武士編『日本唱歌集』(岩波文庫,1958年12月)
p. 36]はきわめて疑わしい.」

丹羽博之氏は 「大和田建樹作詞「旅泊」と唐張継「楓橋夜泊」:
明治唱歌による和洋中文化の融合」大手前大学人文科学部論集,
6 pp. 17-24 (2006) [ http://ci.nii.ac.jp/naid/110006178412/] で,
張継の有名な七言絶句

  月落烏啼霜満天    月落ち烏啼きて 霜天に満つ
  江風漁火対愁眠    江風漁火 愁眠に対す
  姑蘇城外寒山寺    姑蘇城外の 寒山寺
  夜半鐘声到客船    夜半の鐘声 客船に到る

と大和田の歌詞との類似性を論じている.

以下に音源の例をあげる:
韓国では「知らない人がいない」くらい有名な曲(「灯台守」の訳詞か)
と言われる:
http://www.youtube.com/watch?v=m-Xkmbe984g
日本語版は
灯台守 (唱歌)
http://www.youtube.com/watch?v=tH2W3WjX3CQ



B 第十三 なごりをし (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 花しろくかすみて
   暮れわたるやまざと
  なごりをし
   見捨ててかへる心
  春風ふきおくれ
   里までふもとまで
二 かへりみる梢に
   月かげものぼりぬ
  いざやいざ
   春風なれもここに
  わが歌をはりなば
   うちつれ又ゆかん



B 第十四 雲のけしき (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 大地をたたく雨のしづく
   虚空にはしる森の木の葉
  見る見るかはる雲のけしき
   たちまちかはる空のけしき
  いそげよ舟人みなとをさして
   いそげよ舟人みなとをさして
二 いかれる白浪しまをかくし
   いくさのさけびは海に陸(くが)に
  見る見るつよか風のちから
   たちまちまさる雨のちから
  たすけよ浦人おきのふねを
   たうけよ浦人おきのふねを



B 第十五 少女の死 (大和田建樹 作詞 辻 則承 作曲)

一 一嵐こずゑにすぎて
   初花のいろもとゞめず
  宵の雨くもよりおちて
   見えそめし月もかくれぬ
  あな君は月か花か
   春ふかきさかりのこして
     のぞみのこして
二 霞たつうみのあなたに
   君すむとたのみをかけて
  雲のみち[雁だれに鳥=雁]のゆくへも
   なつかしく眺めしものを
  玉章(たまづさ)もゆかぬ里に
   うつりぬといふは真か
     きくはまことか
三 父母はなどてかきみを
   しばしとはひきとめざりし
  ひとりゆく旅路もかなし
   のこさるゝ此世もさびし
  そらに飛ぶ星とみえて
   消えしづむはかなの君や
     あはれそのかげ



B 第十六 幼き昔 (大和田建樹 作詞 Kücken 作曲)

一 をさなきむかし父と遊びし
   わがやの前の小川のけしき
  魚(うを)つる人も木陰に見えて
     すずしやいまもなほ
二 くるれば又も父のたもとに
   すがりて渡るかの橋ひとり
  蛍はそらにかはづはしたに
     いまこそその時節

[注] 原曲は Friedlich W. Kücken (1810 - 1882) 作曲 "Alles still in
süsser Ruh (Schlummerlied)".
直接的には,英語版の [FSSC 2: p. 70]: "The Slumber-Song" (ドイツ
語歌詞あり). または [FSSC 4: p. 70]: W. Powell 作詞 "Gently Rest"
からの採用と思われる.[6]
Joseph Perry Holbrook (1822-1888) 編曲の賛美歌356番『わが君
イエスよ,みゆるしなくば』(旋律名 "REPOSE").[大野:36]



B 第十七 海のあなた (大和田建樹 作詞 奥 好義 作曲)

一 いさり火遠く見えそめて
   沖よりよする暮の色
  なかば夢路とすぎさりし
   たびの月日も幾日(いくか)
    あゝ恋し海のあなた
二 親子うちつれ岩かげを
   おくれて帰る海士(あま)小舟
  あすの日和の外(ほか)にまた
   ものおもひなき世の中や
    あゝ恋し雲のあなた
三 こゝろ千里(ちさと)の旅びとを
   いつまで吹くか春の風
  寝られぬ夜の友とては
   まくらをたゝく波の声
    あゝ恋し家なるひと



B 第十八 かたみの琴 (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 わが母はいづくにゆきし
   手にふれし琴をみすてゝ
  わが母はいづくにゆきし
   弾きなれし琴をのこして
  塵はらふ人もなければ
   こゑ絶えて日は重なりぬ
二 片言にくりかへしたる
   わが歌を汝(なれ)もわすれじ
  ほゝゑみし母のおもかげ
   汝(な)が面(おも)にいまもうつれり
  なつかしき指にひかれて
   うごきしはあはれこの糸
三 壁に立ちのこれる琴よ
   もろともに汝も忘れじ
  朝夕にむかひし影を
   目にあまる愛のひかりを
  花も散れ鳥もよし行け
   わが母の歌声かへせ
四 月白し空おもしろし
   わが目には霧こそかゝれ
  春も来ぬ山もわらひぬ
   わが胸はこほりぞとけぬ
  いかにせん母なきやどを
   いかにせん声せぬ琴を



B 第十九 今宵の心 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

  誰にかたらんこよひの心
   灯火またたくすきまのあらし
    まくらにおちくる遠音の帰鳫(きがん)
  わかれし花をば恋ふるかなれも
   たれとか忍ばんきのふの春を
    きのふの夢を

[注] Friedrich Silcher and Friedrich Erk, "Schauenburgs Allgemeines
Deutsches Kommersbuch" (Lahr: Druck und Verlag von Moritz Schauenburg,
1888) 31st ed., pp. 188-89: Friedrich Schiller 作詞 (1785) "An die Freude"
('Freude, schöner Götterfunken'). この歌詞は Beethoven の交響曲
第九番「合唱付き」の合唱にも使われた.[桜井: 私信 2011. 05. 01]



B 第二十 愛の歌 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 あはれこしかたのをさな遊び
   今ものこるらん母の夢に
  あはれゆくすゑのをさな心
   かかるらんつねに父の胸に
  神よわがうへにめぐみたれて
   まもれ父母の愛をしづかに
二 あはれ世に知らぬ愛の歌は
   今もひびくなり己が耳に
  母のふところはすぎし世々の
   しろがねの大殿(おとど)玉のうてな
  うれし謝せしめよながくとほく
   あはれ幸の尽きぬ春日を

[注] 原曲は Charles Crozat Converse (1834-1918) 作曲,作詞者
不明の "Forever and Forever".
[FSSC 1: p. 91] や McCaskey ed., "Favorite Songs and Hymns For
School and Home" (1899) に収録されている.
ちなみに,コンヴァースは "What a Friend We Have in Jesus"(旋律名 ERIE.
邦題「星の界」の原曲) の作曲者として有名だが,それ以外の作品はほとんど
知られていない.[6]


Charles Crozat Converse (1834年10月7日-1918年10月18日)


B 第二十一 早苗 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 一藍たたへし門田の水に
   夕日をうかべてさみだれ晴れぬ
  いさめや早乙女あすこそ日和
   豊けきみのりにたのみをかけて
二 いま植ゑはじむる門田の苗に
   生ひたつ子どものすがたぞ見ゆる
  はらへや未来のあたなす草を
   おへよや生ひたつみをくふむしを

[注] A. Barner, "Liedersammlung für Töchterschulen" Heft III
(Verlag von I. Lang. Tauberbischofsheim, 1879), p. 226: H. Bernhard Klein
(1703-1832) 作曲 (1817) "Mein Vaterland".
アメリカでは Julius Eichberg, H.E. Holt, J.R. Sharland, and L.W. Mason,
"The Fourth Music Reader" (Boston: Ginn and Heath, [1872], 1880) p. 322:
"Independence Day".[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
Heinrich Hoffmann von Fallersleben (1798-1874) 作詞 (1839) "Treue
Liebe bis zum Grabe."

歌詞と音源は
Mein Vaterland
http://ingeb.org/Lieder/treuelie.html



B 第二十二 月の影 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 なつかしき月の影
   いざ里にわがやどに
  ららら ららら らららら らららららら
二 あいらしき月の影
   いざいこへわが椅子に
  ららら ららら らららら らららららら
三 おもしろき月の影
   いざあそべわが窓に
  ららら ららら らららら らららららら
四 盈(み)ちてかけかけて盈つ
   なが影は世のかがみ
  ららら ららら らららら らららららら

[注] 原曲は B. Anselm Weber 作曲 "Schutzenlied".
直接の出典は [FSSC 1: p. 95]: "Days of Summer Glory".
[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
Friedrich von Schiller 台本芝居 "Wilhelm Tell" (1805 年上演) 第3幕
第1場の "Walterの歌".[桜井雅人: 私信 2011. 05. 18]

以下に楽譜と音源がある:
Mit dem Pfeil, dem Bogen
http://www.liederkiste.com/liederkiste/Jagdlieder/Mit_dem_Pfeil.html



B 第二十三 あすも来て (大和田建樹 作詞 K. von Winterfeld 作曲)

一 あすも来てまた君ときかん
   夕月になく小田のかはづ
二 忘るなよけふ共に折りし
   里川のあのしだりやなぎ
三 いまははやいざ家にゆかん
   夕露はこれそでのうへに

[注] A. Winkel, "Liederbuch der Mutter" (Weimar: [s.n.], 1876) p. 47:
K. von Winterfeld 作曲 "Das Lied von Mond".
アメリカでは "Song Book for Primary" p. 30: "The Moon a Shepherdess".
第五集第二十二 『めぐみ』 は同じ曲.[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]



B 第二十四 雲霧 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 くもきり吹き晴れて
       かがやく月
  千里のうみまでも
    すみゆく秋の空
       われもいざ
二 ゆきてはたちかへり
       よせくる波
  神代もすゑのよも
    かはらぬ声すがた
       われもいざ

[注] 原曲は19世紀初頭のドイツ民謡 'Zwischen Berg und tiefem,
tiefem Tal'.

歌唱は
Zwischen Berg und tiefem Tal
http://www.youtube.com/watch?v=Jb1EnOzUp2o



B 第二十五 あられ (大和田建樹 作詞 上 真行 作曲)

一 芝生に落ちて走り舞ふ
   いきほひたけき玉霰
  ふれふれ白くつもるまで
   あなはやいろは消えうせぬ
    過ぎし名誉の花に似て
二 たゞよひうかぶ池水の
   落ち葉にをどる玉あられ
  しばしとまりてなほ遊べ
   あなはや波に消え失せぬ
    定めなき世のさまに似て
三 おぼろ月夜にちる花の
   すがたを見せてふる霰
  ひろひあつめて贈らんと
   受くる袂に消え失せぬ
    恋しき人のかげに似て
四 空にたゝかひ地にさけび
   まろびくだけてふる霰
  勝つも負くるも隔てなく
   同じ枕に消え失せぬ
    わかき心の慾に似て
五 松の末葉をいのちにて
   わづかにのこる玉霰
  くだけしをりの鬨の声
   いづこの胸に眠るらん
    童あそびの夢に似て



B 第二十六 師の恩 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 いつしか過ぎゆく四年五年
   うけたるめぐみは海山たかし
    かかる慈愛うみやまたかし
二 数へし師の恩いまぞ知らるる
   一字を書きえぬその手をとりて
    あさにくれにその手をとりて
三 わづかに知りえしもの理(ことわり)
   これみな牧師のたまひしめぐみ
    なでて教へたまひしめぐみ

[注] [FSSC 1: p. 114]: E.O. Lyte (1842-1913) 作曲 "Even Me".
[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]
原本は W.G. Hall and E.O. Lyte, "The Teachers' Institute Glee Book
(自家発行,1874)" であろう.[桜井雅人: 2011. 05. 27]

歌詞と midi は
Even Me
http://www.hymntime.com/tch/htm/e/v/e/evenme.htm



B 第二十七 帰郷の前 (大和田建樹 作詞 西洋曲)

一 わが屋をおほふ椎一木
   ながれに垂れて昼さむく
  手飼の犬の水飲みに
   下りゆく姿はや失せぬ
    ああ恋しそのあたり
二 菫つみてはやすみたる
   うしろの岡の兜岩
  かはらぬ愛よわが友よ
   これぞ心に消えぬ影
    いざいなん故郷に
三 しばし小川に沿ひゆけば
   松原尽きてまへは海
  魚とる舟もながむべし
   干潟の貝もひろふべし
    ああ楽しそのけしき
四 父をたすけて夕ごとに
   水そそぎたる  顔も
  このごろならんその盛
   あすの笑顔をけふは夢
    ああ恋しああたのし

[注」 Franz Mair (1821-1893), "Liederbuch für österreichische
Bürgerschulen" Vol. II 14. Auflage(Wien: A. Pichlers Witwe & Sohn, 1910)
p. 6: "Andereas Hofer".[長谷川由美子: 私信 2011. 05. 15]




参考

[1] 大塚野百合『賛美歌・聖歌ものがたり』(創元社,1995年12月)
[2] 「みんなの歌」研究会編(長田暁二監修)『大きな古時計の謎』(飛鳥新社,2002年12月)
[3] 桜井雅人『「旅泊」その他 ― 外国曲からの唱歌四曲』一橋論叢 134 (3号) 319−333.
[4] 桜井雅人,私信(09. 6. 29−7. 19).
[5] 木村正俊・照山顕人編『ロバート・バーンズ』スコットランドの国民詩人(晶文社,2008年12月)pp. 266−268.
[6] 桜井雅人,私信(09. 7. 20; 7. 21; 09. 8. 10).
[FSSC 1]  J.P. McCaskey, "Franklin Square Song Collection" Vol. 1 (New York: Harper & Brothers, 1881)
[FSSC 2] J.P. McCaskey, "Franklin Square Song Collection" Vol. 2 (New York: Harper & Brothers, 1884)
[FSSC 4] J.P. McCaskey, "Franklin Square Song Collection" vol. 4 (New York: Harper & Brothers, 1887)

以上

(2009年3月)


 [追記] 2009.6.25  B第四「初花」を追加.B第十二「旅泊」の解説を変更.ご教示くだ
             さった桜井雅人氏に感謝する.
       2009.7.8  外国曲の楽譜を全て載せた.
       2011.2.2  全曲を載せた.
       2011.5.18  多数の詳しい情報をお寄せいただいた長谷川由美子氏に感謝する.

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