平等院鳳凰堂の音楽する菩薩たち



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世界遺産の平等院鳳凰堂の様々な楽器を奏でる雲中供養菩薩を紹介する.


平等院は,時の権力者,関白藤原道長の別荘「宇治殿」を子の関白頼通が1052(永承7)年寺院としたもの.ちなみに,永承7年は末法初年に当たるとされ,末法思想が貴族や僧侶らの心をとらえ,極楽往生を願う浄土信仰が社会の各層に広く流行し,西方極楽浄土の教主とされる阿弥陀如来をうやまった.
平等院の阿弥陀堂(鳳凰堂)はその翌年の1053(天喜元)年に落慶し,堂内には平安時代の最高の仏師定朝によって制作された,丈六の阿弥陀如来坐像が安置され,華やかさを極めた.
1180(治承4)年,高倉宮以仁(もちひと)王の令旨を奉じ平家に対し兵を挙げた,源頼政が戦いに破れ平等院で自刃した.「平家物語」の幕開けである. 1336(建武3)年の楠木正成と足利尊氏の軍勢の戦いの兵火をはじめ,度重なる災害により多くの堂塔は焼失したが,鳳凰堂のみは奇跡的に災害をまぬがれて今日に存続して いる.


図1a.平等院

図1b.平等院の夜




図1c.平等院の春

図1d.平等院の冬




図2a.平等院鳳凰堂中堂

図2b.鳳凰堂中堂の雲中供養菩薩たち


鳳凰堂中堂の内側の長押(なげし)上の小壁(こかべ)に懸けならべられている52体の雲中供養菩薩像の内,楽を奏でる菩薩と踊る菩薩を紹介する.これらの像は全て,1053(天喜元)年に定朝(じょうちょう)の工房で製作された.


図3a.琵琶を弾く北16号雲中
供養菩薩

図3b.琵琶を弾く北2号菩薩
(部分)




図4a.琴(きん)を弾く北1号菩薩


図4b.琴を弾く北20号菩薩


図5.竪箜篌(たてくご)を弾く
南19号菩薩




図6.横笛を吹く南8号菩薩


図7.縦笛を吹く南11号菩薩


図8.洞簫(どうしょう)を吹く
北15号菩薩




図8a.笙を持つ南21号金剛光明菩薩(部分)

図10.排簫(はいしょう)を持つ北8号菩薩(部分)




図11.鼓を打つ北18号菩薩


図12.腰鼓(ようこ)をたたく北4号菩薩


図13a.揩鼓(かいこ=すりつづみ)
を奏する北11号菩薩




図14a.羯鼓(かっこ)を
たたく北24号菩薩




図14b.羯鼓





図15a.太鼓をたたく
南22号菩薩






図15b. 太鼓をたたく
北26号菩薩












図16.鐃(にょう)をたたく
北12号菩薩

図17.鉦鼓(しょうこ)を
たたく南5号菩薩

図18.[兆冠に鼓](とう)を
演奏する南25号菩薩




図19.拍板を持つ南1号菩薩


図20.[聲の耳の代わりに金](きん)を使う南4号菩薩

図21.[金偏に友のフの横画無しに点]子(ばっし)を使う南6号菩薩



踊る雲中供養菩薩6体.


図22a. 踊る北9号菩薩

図22b.踊る北10号菩薩

図22c.踊る北22号菩薩




図22d.踊る北23号菩薩

図22e.踊る南18号菩薩

図22f.踊る南20号満月菩薩



この時代の宮廷での音楽の練習風景が『源氏物語』に活写されている.


図23.『源氏物語色紙絵』「若菜下」
土佐光吉 (1539-1613) 筆
和泉市久保惣記念美術館蔵

右手は和琴(わごん,6弦)を弾く紫の上,
中央は琴(きん,7弦)を弾く女三の宮,左手
は脇息に寄る明石の女御.向かい合って
明石の君が琵琶を演奏.御簾の外で夕霧
の長男が横笛,玉鬘の長男が笙をつとめ,
夕霧が箏(そう,唐代は13弦)の調子を合わ
せている.



(2009年12月)


[参考] 東京国立博物館他編『「国宝 平等院展」図録』(朝日新聞社,2000年5月)

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