5.16 プノム・ニエン・コンレイ(コムポン・チュナン州)


   コムポン・チュナン州ロリア・プイェ郡ポンロー町にある一番高い山は、遠くから見ると人間が足を伸ばして寝ているように見えます。 山の上の方は大小の植物がたくさん生えており、その周りの山々と同じです。 しかし山腹にはぎっしりと隙間なくシソが生えています。 そのシソはコンレイの女性器の毛だと語り継がれているので、山の周りの村人はそのシソを食べません。 それだけではありません。 山の麓には昔から石臼が1つ、大きな石の杵が1つあり、誰が作ったのかわかりません。 そこを訪れた人がその石の杵で石臼をつくと、幸せになれるのだそうです。 (その地に住む人たちの昔からの迷信です。) それではコンレイ嬢の話をしましょう。
   昔々、ある国に1人の長者がいました。 この長者には子供がおらず、長者は妻と共にチュレイの木に子供を授かるように祈りました。 祈った後、長者の妻は12人の子を授かりました。 この子供たちは全員女の子でした。 子供を授かると、長者は落ちぶれて貧しくなり、食べ物もない有様でした。 そこで妻と12人の子供たちをつれて山の奥深くに行ってしまいました。

   父と共に山の奥深くに行った12人の娘たちは、ある時森を歩いているとソントー・メアという女鬼の国に行き着きました。 その女鬼にはコンレイという名の娘がいました。 ソントー・メアは12人の娘たちを見ると人間の女の姿に化けて、その娘たち全員を自分の宮殿に連れて行き、娘のコンレイに面倒をみさせました。

   12人の娘はその国がソントー・メアという女鬼の国だと知って、皆一緒に走って逃げました。 ソントー・メアは12人の娘の後を追って行くと、人間の国のロット・セット王に出会いました。 ソントー・メアは若い娘に化けてロット・セット王の王妃になりました。 そしてソントー・メアは重い病気のふりをして医者を中傷し、ロット・セット王に12人の娘の目をえぐり出して自分の病気の治療薬を作らせました。 さらに12人の娘全員を妊娠させて、穴の中に閉じ込めて食事を与えませんでした。 12人の娘の眼球は自分の国に持って行って、娘のコンレイに保管させました。

   12人の娘のうち、末娘を除く11人は両目をえぐり取られましたが、末娘だけは片目だけでした。 末娘は前世で魚の目を片方だけしかえぐらなかったからでした。 12人全員が妊娠したのですが、末娘は菩薩がお腹の中に入ったのでした。 姉たちは子供が生まれると、その子の肉を皆で分けて食べてしまいました。 末娘は子供が生まれると "プット・サエン(極めて知性のある者)" と名をつけ、姉たちに見つからないように隠しました。

   しばらくの時が経ち、プット・サエンが青年に成長すると、ソントー・メアはそれが12人の娘の子だとわかりました。 そこでその子を馬に乗せて手紙をつけてコンレイのもとに行かせました。 手紙には
「プット・サエンが夜に着けば、夜のうちに食ってしまいなさい。 昼に着けば、昼のうちに食ってしまいなさい。」
と書いてありました。 しかし、プット・サエンは幸運でした。 プット・サエンが馬に乗っていく途中の森の中で、仙人は馬の首のところに手紙がはさまっているのを見つけ、その手紙を破り捨ててしまいました。 そして新しく
「プット・サエンが夜に着けば、夜のうちに私の娘であるお前と結婚してしまいなさい。 昼に着けば、昼のうちに私の娘であるお前と結婚してしまいなさい。」
と書いておきました。 プット・サエンが鬼の国に着くと、コンレイは手紙を読んで、すぐにプット・サエンと結婚しました。 プット・サエンは鬼の国の王に即位しました。 まもなく、プット・サエンはコンレイから母たちの眼球のことや目を治す薬のことを聞きました。 そして振りまくと海水や山に変わる薬のことも聞きました。 そうして深夜にコンレイのもとから逃げ去りました。 コンレイはプット・サエンの後を追い、プット・サエンは薬をまいて海水で道を塞ぎました。 コンレイは森の中で泣き叫び、そのまま死んでしまいました。 プット・サエンは無事に人間の国に戻り、母や伯母たちに薬を与えて両目を見えるようにしてあげました。 さらにソントー・メアを殺して、父である王の代わって王に即位しました。 王は崩御するまで平和に暮らしました。 (多くの文書では、水のほとりで死んだコンレイの霊がプノム・ニエン・コンレイに変わったとあります。 プノム・ニエン・コンレイの近くには村が2つあって、コムポン・ハウ(呼んだ港)村とコムポン・レーン(別れた港)村といいます。 コムポン・ハウ村はコンレイがプット・サエンを叫んで呼んだ場所であり、コムポン・レーン村はプット・サエンがコンレイと別れた場所なのです。)


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