369  百貨店凋落

 今また岩手に居る。つい2週間前に居た盛岡に、また葬儀のために来た。寒い!白い! しかし、そんなことは言っておられない。このところ不幸が重なって、昨年から毎月盛岡に来ている。
 三越伊勢丹ホールディングスは2010年2月4日、パリ三越を閉鎖すると発表した。その前には阪急阪神百貨店の「四条河原町阪急」(京都市下京区)が今秋に営業を終了、西武有楽町店も2010年12月25日に閉鎖されることが発表された。地方の主要都市での老舗百貨店閉鎖が相次いだのは、もう随分前の話だが、東京の、京都のど真ん中にある店舗さえも赤字となると、これはもはや『百貨店』という業態そのものが時代に適合しなくなっているのだと思わざるを得ない。
 日本百貨店協会が2010年1月22日発表した2009年の全国百貨店売上高は6兆5842億円となり、既存店ベースでは前年比10.1%減少した。2008年秋のリーマン・ショック以降、消費者の節約志向が一段と強まり、下落率は過去最大を記録した。バブル景気の1991年に9兆7130億円だった百貨店売上高は、バブル以前の1984年(6兆5865億円)の水準まで落ち込んだ。大手百貨店5社が2010年2月1日発表した1月の売上高(速報値)は前年同月比0.5〜7.0%減となり、全社が前年実績を下回った。衣料品を中心とする販売減少に歯止めが掛からなかった。各社とも正月恒例の初売りではほぼ前年並みを確保したとしていたが、その後に息切れした格好。


時事ドットコム2010/1/22より

■落ち続ける百貨店、スーパーの売上げ
 また、日本チェーンストア協会が同日発表した2009年のスーパー売上高は12兆8349億円と21年ぶりに13兆円を割り込んだ。既存店ベースでは4.3%減で、前年実績を下回るのは百貨店、スーパーともに13年連続だという。特に衣料品が低迷し、百貨店で13.2%減、スーパーで10.8%減と大苦戦。低価格ながら高品質とファッション性を備えたユニクロのような専門店との競合激化も響いた。食料品は百貨店4.6%減、スーパー2.6%減だった。スーパーの食料品は前年、外食を控えて家で食事をする人が増え、販売額を伸ばしたが、その効果も一巡し、3年ぶりのマイナスとなった。
業態間大競争
 有楽町のそごう、新宿の小田急にそれぞれビックカメラが出店した頃から、百貨店とはなんだろう?と思っていたが、ついには東池袋の顔だった(閑散としてはいたが)三越がヤマダ電機になったのを見て、極まれりの感を強くした。百貨店に限らず、小売業そのものが、1996年の小売業全体の売上高146.3兆円をピークに、縮小傾向を辿ってきた。業態間の大競争時代、地方では、大型のショッピングセンターが林立し、ユニクロやしまむら、アウトレットモール、ネット通販の台頭など、どんどん新規のスタイルが現れて、競争力を失った業態、経営効率の悪い業態は脱落するという構図になってきている。コンビニさえもウカウカ出来ない時代になったと言えそうだ。結局根底にあるものは少子高齢化、地方過疎化、大都市集中化、など社会構造の変化である。
 米国の意向に添って新自由主義政策で日本経済の現状をもたらした構造改革は、日本の地方都市の町並みをシャッター通りにさせてしまったあげく、大手ショッピングセンターが「もうからない」という理由で店をたたんだら、何も無いゴーストタウンになってしまって、遠くの町まで買い物に行かなければならない、などという現状を生んでいる。ついには勝ち組とされる東京の中心地でさえ、百貨店なる業態が成り立たないという事態になったわけだ。国民の15%が貧困層に転落し、お金を持っている高齢層が欲しいモノがないのである。
 ただ、百貨店というのは楽しい場所である。形を変えて、残っていくであろうことを信じている。
(2010年2月7日)

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