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サンルーフ事故
サンルーフの危険性
日本車にサンルーフが取り付けられたのは78年発売のホンダ・プレリュードが初めと言われています。サンルーフは採光が出来る点や開放的な空間が得られる点が優れているとされ、高級車での装備は定番となり、普通車や軽においても上級グレードに取り付けられるなど普及が進んでいます。また、サンルーフ後付けを望む車オーナーの要望に応える為にアフターパーツも出回っています。
天井に穴を開けることは車体の剛性を下げることになるので性能重視の方には敬遠されがちですが、フレームの剛性などに意識の薄い、主に女性や子どもの層には大変喜ばれる装備です。
サンルーフがあるとついついしてしまうのが「頭出し」です(※出来る車種限定)。普及しているとはいえ、お目にかかる機会は少ないので天井からの眺めを楽しみたい気分になってしまいます。
幼き頃、「サンルーフから頭を出すと危ない。怪我するよ。」と注意を受けることがしばしばありました。サンルーフからの眺めを楽しむことが出来ない、まるで「お預けを喰らった犬」のようにもどかしい気持ちで一杯でした。今考えてみると、サンルーフに限らず車から頭を出すこと自体がそもそも危険な訳ですから叱られるのは当然かと思います。
ただ、サンルーフと窓が違うのは、窓から頭を出せば違う車や路上の設置物と衝突するという危険の認識はあるものの、上方は障害物は少ない為にサンルーフからの頭出しの危険については運転者を含めて意識が薄いと点です。
天井に穴が開いているのが珍しい・安全の意識が薄い→頭出しをするという構図がある訳です。
実際にサンルーフに関する事故はあったのか?調べてみることにしました。その結果、大小合わせてかなりの件数を確認出来ました。急ブレーキの際に前方飛び出した、自動開閉のスイッチを誤って押してしまい首を挟まれ重体…そして死亡事故もありました。
今回この死亡事故を取り上げ、危険性を考えます。
「シルビアのサンルーフ事故」一般には知られていますが完全な創作で、実際の事故は以下の通りです。

事故の概要
1989年広島県廿日市市で車が山陽本線のガード下通過の際、サンルーフより頭を出していた子ども2人が桁に激突し死亡。桁下2.7mで1.9mの高さ制限が設けられており、事故を起こした車は1.99mでガードを通過するにはギリギリのサイズでした。首が切断されたそうですが、そういう事実は無いそうです。当時の報道で地名が出ていましたが、詳細な場所については公表はされていません(当然か)。

1.9mのガードを通過してみる
何故障害物に気が付かなかったのか!?疑問に思った私は現地を訪れて検証することにしました。
大竹市に差し掛かる辺りで事故と同様の高さのガードを発見。
桁下高さは目視で2mちょっと。出入り口に1.9mの高さ制限の標識と、斜線の入った高さ位置を示すプレート。
事故発生のガードもこのような状況だったに違いありません。検証には日産ウイングロードY11型を使用。
その半端ではない低さには驚きです。これは数字を見た限りでは実感出来ません。
ガードに接近すると桁下のあまりの低さに圧倒され自然と徐行程度の速度に落としてしまいます。
・当時の運転者はガードの低さに危険を感じ、徐行運転をしたのか?
・もしそうだとしたら子どもたちは徐行運転をする車に疑問を持ち前方を確認しなかったのか?
・運転者にとっては慣れた道だったので、通過出来る事を把握しておりスピードを緩めなかったのではないか?
・後部座席の子どもたちの様子に気が付かなかったのか?
・サンルーフ開放で車内の空気が違うことに気が付かなかったのか?
様々な憶測が頭をよぎります。
車を降り、徒歩で通過してみます。身長178センチの私が手を上げると容易に天井に手が届きます。
天井には車が付けたと思われる擦り傷が若干見られました。行き交う車全てが通過時には徐行し気を付けているように見えました。しかしそれでも衝突する車がいる…
車の運転の際、前後左右の距離感というのは掴みやすいのかも知れませんが、上下方向の距離感は掴みにくいのかも知れません。
この事故は車上方への危険意識の薄さ、サンルーフの開放感から注意力が散漫になった事で発生した不幸な事故と言えます。

まとめ
冒頭でも記述しましたが、サンルーフはその珍しさと危険意識の薄さから誘われるようについつい頭を出してしまいます。また運転者も上方への安全意識の薄さから頭出しを許すことが多いと思います。障害物との接触だけでなく、事故の際に車外へ投げ出される恐れもあります。要はサンルーフも窓と同様に捉えて注意をしていく必要があるという事です(だから自動開閉にも気を付ける事)。
以前より危険認識は高まっている事と、後部座席にシートベルトが義務付けられた事で、サンルーフから子どもが頭を出したまま走行している車は減少していますが、まだまだ見かける事があります。大変危険ですので絶対にしてはいけません。