格言集

銀河英雄伝説
策謀篇





お前は何でも知っていたが、ただ、時期を待つということだけを知らなかったな。

――ルビンスキー





預言者より実行者のほうがはるかに意味のある生をいきているのは、自明のことではないか。

――ヤン・ウェンリー





君が思いこむのは自由だが、主観的な自信が客観的な結果をみちびき出すとはかぎらないよ。

――ヤン・ウェンリー





ひとつの事実は、それに一〇〇〇倍する可能性の屍の上に生き残っている。

――ヤン・ウェンリー





……まぁ、唯一、救いがあるとすれば、ローエングラハム公は天才だが、歴史上、天才が凡人に敗れた例はすくなくないということだ。だが、最初から奇蹟を望んでいるようでは、勝利など、とうていおぼつかないな。

――シュナイダー





民主主義の制度はまちがっておらん。問題は、制度と、それをささえる精神が乖離していることだ。

――ヴュコック





年齢不相応に栄達すれば、必ず他人の感性にささくれをつくり、温かからざるあしらいを受けることになるのだ。







才能は点から発して扇形に広がる、と古代の賢者は言った。先へいくほど拡大し巨大に成長する、と。野心も欲望も、またそうなのであろう。

――ルバート・ケッセルリンク





二流以下のマキャベリストが権力を壟断するのは亡国の兆しだ。

――ラインハルト





自分でコントロールできる範囲の金銭は、一定の自由を保障する。

――ヤン・ウェンリー





あまり論理的でない言いかたになるが、君には、他人を信頼させる何かがある、ということだろうかな。おそらくヤン提督も他の連中も、君にはいろいろなことを話していると思う。そういうところを、君は大事にしていくことだ。きっと今後の財産になるだろう。

――ムライ





人類の文明が生んだ最悪の病は、国家に対する信仰だろう。国家とは、人間の集団が生きていく上で、たがいの補完関係を効率よくすすめるための道具であるにすぎない。道具に人間が支配されるのは愚かしいことだ。いや、正確には、その道具のあやつりかたを心得ている極少数の人間によって、大多数の人間が支配されるのだろう。

――ヤン・ウェンリー





ものごとの価値観、正邪の判断の基準がすぐれて相対的なものであるということは、いくら強調しておいてもよいだろう。人間のなしうる最良の選択は、視野に映る多くの事象を比較対照して、よりましと思われるほうに身をおくことしかない。完全な善の存在を信じる人は、「平和のために戦う」という表現にふくまれる矛盾の巨大さをどう説明しうるのか。

――ヤン・ウェンリー





ノアの洪水の伝説を知っているだろう?あのときノア一族以外の人類を抹殺したのは、悪魔ではなく神だ。これにかぎらず、一神教の神話伝説は、悪魔ではなく神こそが、恐怖と暴力によって人類を支配しようとする事実を証明している、と言ってもいいほどさ。

――ヤン・ウェンリー





人間は、自分が悪であるという認識に耐えられるほど強くはない。人間が最も強く、最も残酷に、最も無慈悲になりうるのは、自分の正しさを確信したときだ。

――ヤン・ウェンリー





絶対的な善と完全な悪が存在する、という考えは、おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう。自分が善であり、対立者が悪だとみなしたとき、そこには協調も思いやりも生まれない。自分を優越化し、相手を敗北させ支配しようとする欲望が正当化されるだけだ。

――ヤン・ウェンリー





わが好青年ヤン・ウェンリーくんは……豚に向かって、お前は豚だ、と言ってのけたわけだ。人間としては、あれでいい。怒るべき場合に怒ってこそ、人間は尊厳をたもつことができる。ところがここに悲しむべき過去の事例がいくつも横たわっているのさ。人間としての尊厳と、政略上の成功とが、往々にして等価で交換される、というね……。

――ホワン・ルイ





盗賊には三種類ある、とは、誰が言ったことであっただろうか。暴力によって盗む者、知恵によって盗む者、権力と法によって盗む者……。

――ヤン・ウェンリー





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