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かみちゅ!

しゃこ

 今回のテーマが制服アニメということで、個人的にも気に入っている作品である『かみちゅ!』について書かせていただきます。比較的新しい作品であり、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞したりしているので、そこそこ知名度はあるかと思います。
 このアニメは中学2年生である一橋ゆりえが何の前振りも無く「わたし、神様になっちゃった」と弁当を頬張りながら親友の四条光恵に話し、しかし何の神様なのかは解らず、「わからないから調べましょう」と言うクラスメイトの三枝祀と何の神様であるかを調べようと努力するが結局わからない。結局何の神様なのかは最後まで明かされないのですが、とりあえず「かーみーちゅーっ!」と叫べば台風を呼んだり猫になったり空間移動したり海に沈んだ戦艦大和の魂を呼び戻したり、とにかく何でも出来てしまう訳で、あえて何の神様なのかを明示しなかったのは単にそのほうが都合が良いからなのだろうと思います(じゃあ魔法少女なんかでもいいのではないかと思いますが、女子中学生を神様にしてしまうというあまりにも前衛的過ぎる設定に比べるとありきたりでつまらなく感じる)。これだけではただのネタアニメ(いやネタアニメとして見て良いのですが)のようですが、主人公は書道部の二宮健児に好意を抱いていて、物語の本筋はこの二人の関係に沿って進み、中学生日記のような日常と八百万の神々との触れ合いによる、神様ラヴコメディアニメなのです。
 かみちゅ!は80年代の田舎が舞台(いかにも現代人が好みそうな設定である)であり、そこに住む女の子のストーリーであり、そして神々や神様世界と淡い青春な物語から、『ジブリっぽい』(『耳を澄ませば』や『千と千尋の神隠し』のような感じ)という指摘が多く、確かにこれだけの共通点だけでも十分ジブリっぽいのですが、それこそ劇場アニメ並の作画のレベルがあったからこそジブリアニメと比較される理由のひとつではないかと思います。キャラクターの仕草の動き方は細かく、特に喋っている時や食事のシーンでの口の動き(第1話でのゆりえ様が玉子焼きを食べているシーンはまさに神)や、キャラクターの少し大袈裟に感じる程度のリアクション(これが一番ジブリっぽく感じる)、そしてR.O.D譲りの細かく描き込まれた背景(モデルである尾道市の風景ほぼそのまんまですが)等、第1話以降持ちこたえられるのかと思った程の作画力の高さは評価できるものかと思います。とは言ってもやはりジブリっぽく見えてしまうものは見えてしまう訳ですが、飽く迄ジブリ『っぽい』というだけで、パクリという訳ではないかと思います。スタジオジブリの作品と比較できる程の魅力があるからこそ、単にパクリだと叩かれるのではなく敢えてジブリっぽいと表現されるのではないのでしょうか。ですが、やはりかみちゅ!には『萌えアニメ』としての要素があまりにも多く、決してジブリアニメの様に一般人にも受け入れられる作品とは言えないかと思います。
 ひとつ惜しく感じたことに、この作品は全体では16話の構成なのですが、地上波で放送されたのが12話分のみ(途中の3話分と最終話が省かれた)、しかも各話数ごとに数分間ずつ削られて放送された為、ストーリーに不自然な穴があったり、キャラクター同士のつながりに関係するシーンが省略されたりした為、完全版を見ない限り理解できないところがあり、特に章吉とみこのサイドストーリー的な部分や、猫のタマに関するシナリオ(章吉との絡みやキャットワールド)、そして健児のゆりえに対する心情の変化が描かれたシーンの省略が目立ちました。DVDの売り上げを伸ばそうとする戦略なのか、単なる大人の事情の為かは解らないですが、少し勿体無い感じがしました。
 最後にこの作品中での制服について触れておきます。主人公たちが通う学校は田舎の公立の中学校であり、またその時代設定のため、制服は至って普通のセーラー服に、いまどき見かける事は少ない程の長いスカートなのですが、ゆりえ様が神様集会に出席するため秋に一ヶ月だけ出雲の進学校(おそらく私立)に転校したときのみ、ベージュのブレザー系の制服(当時にしてはハイカラすぎる)を着た事があります。また、主要キャラクターの多くは、夏休み等以外は制服を着ている事が多く、総理大臣に呼ばれた時も制服であり、神様の衣装も制服の上から羽織っているだけ。多分全体の半分くらいは制服が映っているかと思います。そっちの属性をお持ちの方には結構お勧めできる作品かと思います。
 普通の中学生としての恋や夏休みや生徒会選挙と、神様としての人助けや火星人との接触、なんとも不思議な突っ込み処満載な作品ですが、肩の力を抜いて見られる良い作品ではないでしょうか。


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