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立命館ジャパニメーション批評協会
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「ひぐらしのなく頃に」の原作とアニメ

著: 初代 

2006年06月30日
立命館ジャパニメーション批評協会-RICS-
○ はじめに。
 まず初めに、「ひぐらしのなく頃に」を知らない人の為に少し序章として書いて置こうと思う。しかし、この論文(評論)においては、ゲーム内の用語や現行最新作までのネタバレを含むため、それによる苦情は一切受け付けない事を先に断っておきます。
 「ひぐらしのなく頃に」の原作は、著者「竜騎士07」によるサウンドノベルゲームである。作品は、通常のサウンドノベルとは違い、出題編と呼ばれる第1編から第4編の作品中犯人・動機・方法「等」が一切明かされず、謎を解くためにキーワードだけが散りばめられそれを推理する事が目的。そして解答編と呼ばれる第5編から現行最新作第7編にすべての答え場乗っている、というゲームだ。そして、今回のアニメ化においても一応忠実にそのルールを守り、重要な部分だけを抜き出して映像化していると言ってもいい。個人的にはドラマCDや漫画の方が好みだが、アニメからひぐらしに入った人にとってこの演出(仕組み)は面白いのではないだろうか。

○ ひぐらしのなく頃にのアニメとゲームの比較
 まず、ひぐらしのアニメはまず絵が微妙、と言うのが第1印象かもしれない。特に原作を知っている人にとっては微妙だと言えるだろう。原作のままの例の4本指や、あの頭身バランスでアニメを作る事は出来ないが、もう少し全体的な色とかを原作に近づけてほしかった。
 そして、ひぐらしの特徴であるはずの部活がぜんぜん描けていない。当然アニメには放送話数が限られているので描け量に限界はあるが、ほかに削れるところもあったように思う。例の「嘘だ!!」のシーンや、ドアに指が挟まれるシーン、「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」のシーン等はいい感じに描かれていたのに、そこばかり描きすぎていたように感じた。ひぐらしの特に出題編は前半の部活でのギャグ(笑い)と、後半のギャップにこそ醍醐味があると思う。それなのに前半の部活が無いことで、ただのホラーアニメになってしまっている。それに、多分ひぐらしファンにとっても鬼隠し編の初部活は凄く印象深いシーンだっただろう。そのファンの為にも、あるいは新規にひぐらしの世界に入った人たちの為にも、あの部活(トランプでジジ抜きとラストの二者選択)だけはせめて描いてほしかった。
 後、例の注射器を注射器として描いていたのが問題だったと思う。個人的には色々と原作に忠実に、作者が気付いてほしいと描いた部分は描けていたのに、あれを注射器と描いてしまっては折角の他の苦労が水の泡だと言ってものではないだろうか。鬼隠し編で作者竜騎士07が気付いてほしかったのは、鬼隠し編の圭一は疑心暗疑に囚われていて、圭一主観が描かれていたゲームの情報すべてを信じてはいけないという事だったはず。そしてその為に、途中から圭一の目を狂気染みた様に描いていたし、同じく回りも狂気染みた様に描いていた。その辺りはゲームと同じで、うまく描かれていると思っていた。しかし、罪滅しで明らかになった様に、例の注射はマジックだったはずだ(と言ってもこれも圭一の思い込みかもしれないが)。これを注射器として描いてしまっては圭一の狂気を見破る事は難しすぎる。そしてそれでは鬼隠し編の意味がなくなってしまう。
 次に綿流し編(アニメ)に移るが、最初で目明し編を描く意味が分からない。原作の綿流し編では梨花ちゃんは魅音(本名詩音)に殺されていたはず。それを目明し編と同じように自殺していたと描くのは意味がない気がする。ひぐらしのなく頃に(アニメ)は放送された分で一番新しいのは第15話で、この時点で暇潰し編まで終わっている。このままのペースで行けば、罪滅し編までアニメで放送されるはず。罪滅し編まで進めば時間の概念が崩れる設定が明らかになるはずなのだから、綿流しとリンクさせる意味が無い。となると、やはりこの時点で綿流しと目明しをリンクさせるアニメ製作者の意味は分からない。
 祟殺し編(アニメ)では部活は完全におまけになっていた。原作自身でも部活部門は(基本的に)推理に関係無いし描かなくてもいいのだけど、私の様に部活と事件のギャップを望んでいる人もいる様におまけ扱いなのが残念でならない。
 しかし、祟殺し編(アニメ)のストーリー自体は綺麗に描けていたんじゃないだろうか。特に沙都子が壊れるシーンあたりは原作やっていて展開読めている私でも怖いと思えたのだから、アニメから入った人にとってそれは驚愕に値しそうだ。圭一が沙都子の頭をなでようとして手の伸ばし、それが悟史との思い出をフラッシュバック(正確に悟史との思いでは描いてはいないが、画面をすばやく切り替える事による何らかのフラッシュバックの描写)させたのと、そこから来る悲鳴、嘔吐辺りは本当にうまいと思えた。しかし、最後の最後でいいシーンを削ってしまったのが居た堪れない。「俺はもう落ちるから、俺がいなくなったら笑ってくれ…」というシーン、このシーンを簡易化したのは勿体無い。また、大災害の後の自衛隊員の「死ぬな!生きろ!これ以上誰も死ぬなぁ!」と言う、密かに大災害の謎を解く為のヒントになっている台詞まで削っているし、本当に勿体無い。


○ ひぐらしのなく頃にのアニメの総評
  長々と比較してきたが、ゲーム版ひぐらしから是非持ってくるべきだと思うようなシーンを、本当に勿体無い削り方をしていると言うのがアニメ版ひぐらしだと感じる節がある。しかし、逆に言えばテレビ版からひぐらしの世界に入ってゲーム版へ移る人にとっては、抜けているシーンを補完できるし、かなりいい構成になっているだろう。
 同人業界から生まれた(これだけ大規模な市場になれば同人の域は超えたと言ってもいいが)作品のアニメ版ならこんなものか、と言う感じだ。アニメ版ひぐらしは、時間があれば見てもいいが、私はこれなら見ずにゲームから入る事をお勧めしたいと思う。v
 これを読んだあなた、もし色々言いたい事があってもどうか突っ込まないで下さい。それだけが私の望みです。


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