改定: 2004/11/10


 

シンクロスコープについて

 

  オシロスコープの一般名称の意味でシンクロスコープという言葉が日本では使われることがあります。電子系用語の最も詳しい辞典の一つである電子通信学会編 「電子通信ハンドブック」の1970年代の版には"シンクロスコープ"の説明がでており、オシロスコープの中で水平軸の走査開始を入力信号に同期(シンクロ)させるものを特に"シンクロスコープ"と区別して呼ぶとされていました。しかし1980年代以降、「電子通信ハンドブック」からシンクロスコープの説明は消えています。

  "シンクロスコープ"という言葉の意味、歴史、背景などをわかる範囲で出来るだけ正しい形でここに提供したいと考えております。複数の方から提供戴きました情報を元に作成しておりますが、参考になる情報、ご指摘などがございましたら管理者までご連絡戴けますと幸いです(連絡先は高周波のページ参照ください)。

 

  岩崎通信機(通称 岩通)の社史、「岩通50周年史」によると、昭和29年(1954年)3月に国産第一号の「オシロスコープ」が完成し、同年4月「SS-751」という機種を「シンクロスコープ」と命名したそうです。最初の製品は、保安庁(現在の防衛庁)技術研究所のレーダーの保守用として納入されたそうです(2001/12 岩通のKenさんから提供戴いた情報による)。その後、日本ではオシロスコープは岩通で主導的に生産され、"シンクロスコープ(Synchroscope)"は1954年から1990年代まで岩通のオシロスコープの商品名として使用されてきました。"シンクロスコープ"は正式な商品名登録はされなかった(岩通のKenさんによる)こともあってか、岩通以外の東芝など他社オシロにもシンクロスコープという名前が使用されたことがあったようです(naruさんの情報による。2001/12/30、訂正2001/12/31)。このように日本では"シンクロスコープ"がオシロスコープの代名詞になっていったと思われます。

 

  同期走査"シンクロ"の機能を開発したのはテクトロ二クスで名称はオシロスコープにしたとのことです(テクトロの資料参照)。シンクロスコープという言葉は英語では機械系の回転同期(synchro)を見る簡単なメータのようなものの意味がもともとあり、この名称をさけたのかも知れません(管理者の推測)

  インターネット検索の結果をみると海外でも一部の岩通オシロ愛好家?には現在でも"synchroscope"が使われることもあるようです。しかし日本以外では実質通じない言葉です(下記 管理者と"シンクロスコープ"のかかわり参照)

 

  naruさんよりシンクロスコープについて情報を戴きました.。内容を本ページに反映予定ですが、情報を別ページに紹介します。(naruさんの情報追加。2001/12/30)

 

 参考: シンクロスコープの例

 

管理者と"シンクロスコープ"のかかわり

  20-30年くらい前は岩通の国内市場占有率はかなりのものだったと思います。私の周りでも、大学、会社とも90%は岩通の"シンクロ"でした。学校でも会社でも"オシロ貸して"でなく"シンクロ貸して"といっていました。また1970年代にオシロの世界最高(周波数)記録を岩通が出した記事をElectronic designでみた記憶があります。当時高周波(数10MHzから数百MHz)の設計を扱う職場で岩通ならどんな部品を使いどんな設計をしているか参考にしてみよと言われたものです(x高周波技術レベルが高い会社としては東芝などがありましたが身近にあって回路内容もわかり回路設計の参考にできる機器として)。

 

  海外出張に行って"シンクロスコープは借りれないか"と聞いてまったく通じませんでした。10年以上前ですが、イギリス、オランダの大学の電気科でオシロが何台もある部屋で(実はオシロスコープと言い直しても通じず指を差したところ"オッスイロ スコウプ"かといわれました。)。"シンクロスコープ"は日本以外では通じない言葉だと改めて感じました。

 


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