リピートmania 鑑賞数
2380本
リピートマニアは、何度も鑑賞したい映画=良い映画、という基準に基づく映画評価サイトです。

HPが重くなり過ぎ、過去の評価の整理も手間暇かかって仕方ないので、(今更ながらですが)ブログに移行することにしました。今後はブログで語りたい映画だけを語ることにしていくことにします。Gooのブログで“リピートマニア”を検索してやってください。(2010/1/1)

<評価基準(10段階)・・・★:×2、☆:×1>
★★★★〜★★★★★・・・名作(いつでも見返したい)

★★★〜★★★☆・・・佳作〜傑作(時折見返したい)
★★☆・・・及第点(一度で十分だが満足できた)
★★・・・普通(一応見られる程度)

★〜★☆・・・駄作(鑑賞が堪える)
☆・・・最低or理解不能(ある意味何度も楽しめる)

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アで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
アーネスト式プロポーズ 2002 英・米 オリヴァー・パーカー 19世紀末のイギリスの社交界、”アーネスト”という架空の人物の名をかたって思い思いの貴婦人を口説き始めた紳士二人組と、なぜだか”アーネスト”の名前に惚れてしまう二人の美女を巡るお軽い恋愛コメディ。安っぽいライトタッチに徹し続ける姿勢はまだ我慢できるとしても、割とどうでもいいが劇的な展開を見せる三文オペラで展開されるとかなりきびしい。
あゝ、野麦峠 1979 日 山本薩男 ★★☆ 明治時代、富国強兵の名目の下に、飛騨の製糸工場で過酷な労働を強いられる少女たちの重くて切ない姿を描く。若き日の大竹しのぶと原田美枝子の熱演が光っている。
アーノルト・シェーンベルクの<映画の一場面のための伴奏音楽>入門 1972 独・仏 ストローブ=ユイレ ★★ 「迫り来る危険」「不安」「破局」とだけ指示されたタイトル曲をモチーフに、シェーンベルクの手紙やブレヒトの演説を引用しながら、いつしか反暴力・反戦を訴える内容へ変容していく。コラボされた映像・朗読・音楽の中では映像が一番控えめというマニア度の高い短編映画。
あゝひめゆりの塔 1968 日 舛田利雄 ★☆ 太平洋戦争末期の沖縄決戦で散った女生徒看護部隊、通称「ひめゆり部隊」の悲劇。気がふれるシーンなど見どころもあるが、リアリズムよりお涙頂戴の要素の方が強く、生徒たちを清く美しい乙女・少年として描いたり,、冒頭でディスコに狂う若者たちを映したりする姿勢に、ナルシスティックな感傷性とあからさまな説教臭さが漂っているのが痛かった。
アイガー・サンクション 1975 米 クリント・イーストウッド ★★ 元殺し屋・今登山家兼美術学教授という凄い肩書のおっさんがわざわざ登頂困難な山まで行って一仕事する。B級ハードボイルドもいいところだが、終盤のヒューマンドラマの気配と、映像の切り取り方の妙などに後の名監督らしさの萌芽が見受けられる。
AIKI 2002 日 天願大介 バイク事故で下半身不随となって自暴自棄に陥ってしまった青年が車いす合気術に出会い再生していく。実話ベースという売りだが、「合気のアイは愛しているのアイね」という迷台詞をはじめベタ過ぎる内容にどっちらけた。
アイス・エイジ 2002 米 クリス・ウェッジ ★★ 2万年前の氷河期を生き延びようと北に向かった、孤独なマンモスなどの動物一行の友愛劇を描く。子連れで観る分には適切な内容の米国産CGアニメ。
アイズ・ワイド・シャット 1998 米・英 スタンリー・キューブリック ★★★ クリスマス前後のニューヨーク、妻の貞操を信じて疑わなかった夫ウィリアムは、妻アリスの衝撃的な告白により、妻が浮気する妄想にとらわれつつ、現実の世界でも妄想のごとき世界に足を踏み入れていく。倦怠期に陥った夫婦の危機を盲信的かつ倒錯的な愛の世界に固執して描いたキューブリックの遺作。傑作とは思わないけれど、一大仮面乱交会などインパクトが強いシーンが多かった。
愛と哀しみの果て 1985 米 シドニー・ポラック ★★☆ 原題「OUT OF AFRICA」。デンマークで貴族として優雅な生活を送りながらも鬱屈としていたカレンは、スウェーデン貴族のブロアと結婚することとなり、東アフリカのケニアへ旅立ち、そこで冒険家のデニス・ハットンと出会う。当時としては最果ての地に集う人々を描きつつも、基本は長さを感じさせるメロドラマなのが特徴。雰囲気は良いが、ライオンに襲われかかったり、事故が起きたりと、偶発的な事故が重要なキーポイントであったことにやや不満を覚えた。
愛と死の記録 1966 日 蔵原維繕 健康で美しい女性・松井和江と被爆という重い過去を持った好青年・三原幸雄の恋物語。もうちょっと希望を描いた方が悲しみがより深く伝わるというのに、健常者と被爆者の恋物語をただ重く陰惨に描いている。
愛に翼を 1991 米 メアリー・アグネス・ドナヒュー ★★☆ 母のお産の間田舎町に預けられた幼い少年、3歳の息子を失ってからギクシャクしている預け先の夫婦、未婚の母とその幼い娘、のひと夏の物語。緑豊かな田舎町の静かな日常をゆったりと綴りながらも、少年と大人たちの心の傷とその再生がよく描けている。掘り出し物的佳品。
愛は死より冷酷 1975 独 ライナー・ヴェルナー・ファスピンダー ★★★ ファスピンダーの処女長編。男二人女一人が三角関係に陥ったまま銀行強盗に挑む。固定カメラを多用した長回しの潔さ、黒と白を強調したモノクロ映像の美しさ、モダンな音楽の効果的な使い方、安っぽい拳銃の扱い方に、物語の陳腐さを覆い隠すようかのような醒めた視線と、ヌーベルヴァーグからの影響が明らかとはいえ、処女作でこれだけ視覚・聴覚に訴えかけてくる映画を作ってしまった才能は凄い。
逢びき 1945 英 デヴィッド・リーン ★★☆ 夫や家庭に特別不満を抱いているわけでもなかった平凡な主婦ローラは、毎週木曜日の買い物でいつも顔をあわせる妻帯者の医師アレックと恋に落ち、秘密の逢瀬を重ねていく。平凡な主婦がダブル不倫の泥沼に引き込まれそうになっていく姿を、リアリスティック路線で描いたメロドラマの佳品。リーン監督は初期の頃から女性を描くのが上手かったことがよくわかる。
愛欲の港 1948 スウェーデン イングマール・ベルイマン ★★★ 家庭内不和や更生施設での生活といった心の傷を抱えたまま恋に破れて自殺を図った不良娘ベーリットは、船乗り生活に飽きて陸の生活に戻っていたイェスタのアプローチに応じて彼と関係を持つ。製作時期を感じさせる古式ゆかしい手法による序盤はかったるかったが、ベーリット一家の確執が描かれるあたりから、人間心理を衝くベルイマンらしさの萌芽が見られてグイグイ引きこまれていく。抜群の台詞回しや、実験精神といった要素はまだないが、ベルイマン”初期の代表作”の名に恥じない佳作。
アイ・ラブ・フレンズ 2001 日 大澤豊 ★☆ 「アイ・ラブ・ユー」(↓)の姉妹作。夫亡き後に遺された我が息子を一人手で育てている聴覚障害者のカメラマン美樹は、交通事故で子供の命を奪ってしまったことをトラウマにしている美青年・柴田と出会う。写真家・未亡人の恋・交通事故加害者の心の傷・自然保護の話をごっちゃにしてもかまわないが、聾者っぽい要素を入れときゃいいだろ、という安易な発想の脚本に問題がありすぎる。
アイ・ラブ・ユー 1999 日 大澤豊/米内山明宏 ★★ 優しい夫と可愛い娘に囲まれ幸せに生きてきた聴覚障害者の朝子は、ある日自分の手話が奇異又は同情の対象となっていることにショックを受け、自分たちの立場と状況を理解してもらうために聾者の劇団に入団する。大仰な音楽や薄っぺらいエピソードが気になるもののドラマはきちんと起承転結している。聾者が健常者と同じ感性を持っていることを描いている時点で既に差別であると感じた。
アイ、ロボット 2000 米 アレックス・プロヤス アイザック・アシモフ原作。2035年のシカゴ、社会に溢れかえったロボットたちが突如として反乱を起こす。どこかでみたようなださい造形のロボットと、深みのない物語に幻滅した。
愛を乞うひと 1998 日 平山秀幸 ★★☆ 幼いころに死んだ父の遺骨を探し求める娘の脳裏に自由奔放でヒステリックだった母との思い出が蘇って行く。邦画らしい静かで内省的な作風。対照的な性格の母娘を一人二役で難なくこなす原田美枝子が良かった。
アヴァロン 2000 日・ポーランド 押井守 ★★★ 一攫千金の夢がかなう非合法ゲーム「Avaron」に人々が興じる近未来、孤高の女戦士アッシュはかつての仲間から聞いた話から幻のフィールドを求めてゲームに挑む。やや勿体ぶり過ぎている感もあるが、現実と虚構を考えさせる独特の世界観と、かすれた感じの映像美に一見以上の価値がある。特にオープニングからの戦闘シーンが鮮烈極まりない。
アウト・オブ・サイト 1998 米 スティーブン・ソダーバーグ ★★

収監中の銀行強盗ジャックは、脱獄中に鉢合わせした連邦保安官カレンを無理やり連れて逃走しているうちにお互いに惹かれあっていく。犯罪者と捜査官の恋というありえない設定なのだから、中途半端に真面目に描くよりも、いっそのことラブコメ路線で行けばいいのにと思った。

アウトブレイク 1995 米 ウォルフガンク・ペーターゼン ★★ アフリカの小さな村で未知の病原体“モタバ・ウイルス"が発生し、軍による作為から人類に重大な脅威となっていく。ウィルスよりも人間の方がよほど恐ろしいという描き方の必然性が不明だが、宇宙から隕石が落ちてくるよりは身近に感じられる題材を無難に娯楽映画化している。
青い山脈 前編 1949 日 今井正 ★★ 正式タイトルは「青い山脈」。昭和の大女優・原節子の代表作。太平洋戦争後の封建的な田舎の高校を舞台に、偽のラブレター事件をめぐって、男女の交際を説く若い女教師とその生徒たちの姿を描く。戦後間もない日本の平和で開放的で朗々とした感じがよく漂っている。古典の趣はまだ残っているものの、徐々に古びている感じなので、及第点といったところか。
青い山脈 後編 1949 日 今井正 ★★ 正式タイトルは「続・青い山脈」。前編で起きた騒動をめぐって学校のPTA役員会が開催され、議論が紛糾する。古典の趣きが豊かで展開がのんびりとしている。前編と後編で一本の作品となっている、昭和の大女優・原節子の代表作のひとつ(綺麗です)。”あーおーい、さんみゃぁーくぅー”という同名主題歌が耳に残ること必至。
青い山脈 1963 日 西河克己 ★★ 吉永小百合主演版のリメイク。オリジナルの長尺さに比べればコンパクトにまとまっているのとカラーになっている。内容的にこれという改変はないが、強いて言うならオリジナルに終戦後の伸びやかな雰囲気が漂っていたのに比べると、本作では普通の青春映画の要素が色濃くなっている。
青いパパイヤの香り 1993 仏・ベトナム トラン・アン・ユン ★★ 太平洋戦争終結後間もないベトナムはサイゴンで、ある一家の下働きとして雇われた少女ムイの成長&恋物語。エキゾチックな生活の様子、特に調理のシーンが興味深い。構図美へのこだわりや執拗に繰り返される横移動ワン・カットの構成が溝口健二を髣髴とさせるがパンフォーカスはない。映像への執着ぶりに比べると物語や人物の造形が陳腐で薄っぺらいのが惜しまれる。
あおさぎと鶴 1974 ソ連 ユーリ・ノルシュテイン ★★ ロシア民話を原典としたオスの鶴とメスのあおさぎとのすれ違う恋の物語。アート志向の強くないノルシュテイン初期の短編アニメ。
赤い靴 1948 英 マイケル・パウエル ★★ バレエの世界に飛び込んだ若き青年作曲家は、新人バレリーナとともに新作”赤い靴”で大成功を勝ち取るのだが、二人が恋に落ちたとき、その将来に暗雲が立ち込み始めるのだった。アンデルセン原作をモチーフにした古典的な物語はともかくとして、バレエシーンと音楽が今一つだったのが残念。
赤い橋の下のぬるい水 2001 日 今村昌平 ★★☆ 冴えない中年男と、セックスをしないと体の中に水がたまって奇矯なことをしてしまう女との肉欲を超えた愛を描く。秀逸なタイトルが示しているのは潮吹きのことだが、その量がとにかく半端でなくてエロなシーンでも不思議と笑えてしまった。後期今村昌平らしい不思議な質感の作品。
赤い波止場 1958 日 舛田利雄 ★★ 流れ流れついて神戸までやってきたヤクザ者富永二郎は、組の抗争と刑事の詮索に巻き込まれていく。石原裕次郎扮する裏世界を生きる一匹狼のハードボイルド物語だが、”左射ちの二郎”という通り名を始め時代を感じさせる内容。
赤い風車 1952 英 ジョン・ヒューストン ★★☆ 画家ロートレックの半生。十九世紀末、パリはモンマルトルにある名物カフェ”ムーラン・ルージュ”で、フレンチ・カンカンを踊る女性たちを写生する写生する画家ロートレックは、名門貴族の家に生まれながら、奇形という業を背負った男だった。基本的に王道ドラマではあるものの、奇形の業を背負っている異色さとホセ・ファラーの快演で見られた。
赤毛 1969 日 岡本喜八 ★★☆ 明治維新期、官軍の先遣隊である赤報隊士・権三は、錦を飾るべく単騎で意気揚々と故郷を訪れるが、代官と役場の手により虐げられている人々の境遇に憤慨し、故郷の仲間たちとともに立ち上がる。おつむは悪いが血気盛んな男を演じさせたら天下一品の三船敏郎と、過剰なまでの血気盛んな演出が得意な岡本喜八監督の個性が良い方向で噛み合って革命の熱気を感じさせてくれる。”ええじゃないか”音頭のインパクトと、ニヒルな半蔵を始めとするサイド・ストーリーの充実振りも良かった。
赤ちゃん泥棒 1987 米 コーエン兄弟 ★★☆ 不妊症の妻(愛らしい元警官)とその夫(変な髪形の元受刑者の前科者&今も時々こそ泥系強盗)が、たくさんいるから一人くらいという理由で5つ子の赤ん坊のうち一人を盗み出す。邦題(原題「RAISING ARIZONA」)と基本設定からは想像もつかないが、やや大仰なものの、アイロニーと悲哀があるコメディ路線の内容に惹かれた。特に”地獄のハイカー”が最高に笑えた。
あかね空 2006 日 浜本 正機 ★☆ 江戸時代に苦労の末豆腐屋を繁盛させた若夫婦の物語。CGを駆使して江戸の町を再現したりと面白いところはあるものの、いかんせん肝心の本筋になぜ江戸時代でなければいけないかの必然性が見当たらない上に、内容も陳腐なので大して楽しめなかった。
赤ひげ 1965 日 黒澤明 ★★★☆ 江戸時代の小石川療養所におけるいかつい医者”赤ひげ”と彼に師事する若い医者の軸に、生と死をテーマにした重厚な物語を描く。黒澤ヒューマ二ズムの集大成的作品にして、黒澤明最後のモノクロ作品。なおかつ三船敏郎出演の最後の黒澤映画でもある。新しい試みが少ない分完成度の高さは尋常でない。特に荘厳ですらある死のシーンは秀逸。
アギーレ/神の怒り 1972 西独 ヴェルナー・ヘルツォーク ★★★★ 16世紀黄金郷エルドラドを目指してアマゾンの奥地を行くスペインの征服者たち一行の苦難を実話をもとに描く。無用な起承転結を排除し、冒頭から最後まで極限状態に置かれた中で、滑稽なまでの社会性や本性を見せる人間たちをドキュメンタリーにも似た冷徹な視線で切り取っている。怪優クラウス・キンスキー演じるアギーレの肥大していく妄想と不遜さも見どころ。後の「地獄の黙示録」や「ミッション」にも影響を与えたであろうことが想像に難くない密林物のマスターピース。
AKIKO 〜あるダンサーの肖像〜 1985 日 羽田澄子 ★★★ 日本のモダン・バレエの第一人者アキコ・カンダの舞台前のリハーサルから日常の生活までを追ったドキュメンタリー。人生のすべてを踊ることにかけている一人の芸術家の様々な表情を捉えており非常に興味深かった。
秋日和 1960 日 小津安二郎 ★★☆ 夫を亡くしてから二人で生きて来た母娘の娘の方が適齢期になり、周囲は見合いを勧めて結婚させようとするが、娘が結婚により母を独りにすることを気にしているのに気づくと、母親の方も再婚させてしまおうとはかりごとを巡らすのだった。お節介な人々が巻き起こすささやかな騒動をコメディ・タッチで描いた作品で、特にOL対親父衆3人の掛け合いが絶妙だった。ファースト・カットの美しさも秀逸。
AKIRA 1988 日 大友克洋 ★★★☆ 元祖ジャパニメーション。第三次世界大戦後のさらに31年後、軟弱なチンピラ少年鉄雄はあるきっかけで超能力を手にするが、それを知った軍に幽閉されて実験体にされてしまう。物語も世界観も音楽もグロテスクなビジュアル・ショックも一向に古さを感じさせない。ドラゴンボールをはじめその後のマンガ・映画・アニメに多大な影響を与えた必見の一作。
アクシデンタル・スパイ 2001 香港 テディ・チャン 不思議な第六感と正義感とカンフー技の持ち主が銀行強盗を防いで最後は細菌兵器を巡る争いに巻き込まれるというハチャメチャ・ストーリー。下手なドラマを下手に増やしている分主演のジャッキー・チェンのアクションの見せ場が少ないので厳しい。
悪魔の美しさ 1949 仏・伊 レネ・クレール ★☆ レネ・クレール版ファウスト。老いに悩まされている高名な大学教授ファウストは悪魔メフィストと取引をして、魂を売る代わりに青年アンリの姿に変えてもらう。ファウストといえば、重く切なくそして壮大な大河ドラマのはずだが、本作では悪魔対人間の短期間のゲームとしてコミカル・タッチで描かれており、ファウストの設定を借りた別の物語という印象を受けた。
悪魔の棲む家 2005 米 アンドリュー・ダグラス ★☆ 呪われた家と知らずに引っ越してきたに一家に次々と災難が降りかかる。実話ベースというのが唯一のセールス・ポイントなのだが悪霊が出るは出るは(笑)。まっさきにペットが被害に遭うこの手の作品に定番の展開もあり。
悪魔の手毬唄 1977 日 市川崑 ★☆ 横溝正史原作・石坂浩二主演の金田一耕助シリーズ第2作。鬼首村で20年前に起きた未解決の殺人事件の究明のために呼ばれた名探偵・金田一耕助の周囲で、古い手毬唄になぞらえた連続殺人事件が起きていく。横溝世界特有のおどろおどろしさが描かれておらず、ただの田舎訪問サスペンスになってしまっていた。
あげまん 1990 日 伊丹十三 ★★☆ 関係を持つだけで男の運気を急に上げてくれる不思議な女ナヨコと、彼女を取り巻く男どもをコミカルに描く。不思議な運気をもった女を主人公にしつつも、実際は政治の裏舞台を描きたかっただけと思われ中途半端な印象。ただ政治のダーティな部分をストレートに描こうとした姿勢は大いに買いたい。
アサシン 1993 日 ジョン・バダム ★★☆ 死刑の免罪と引き換えに密かに政府の諜報員・殺し屋となった元不良少女の愛と葛藤と暴力をダイナミックに描いたハリウッド版「ニキータ」。主演のブリジット・フォンダの変身ぶりや感情を煽る音楽など、わかりやすくて派手なシーンが増えた一方で、無理矢理すぎる別人なりすましなどもあるのがいかにもハリウッド風だが、これはこれで楽しめた。
朝な夕なに 1957 西独 ヴォルフガング・リーベンアイナー ★★ 教師と生徒が人間的に深く結び付くようになって教育が成り立つという革新的な価値観を抱く女教師は、名門男子校で教鞭を取り生徒たちの信頼を得ていくのだが・・・。古典的なヒューマンドラマ。生徒たちが組んでいるバンドが奏でる”真夜中のブルース”が耳に残った。
朝日は輝く 1929 日 溝口健二 ★☆ 朝日新聞50周年記念映画。音声が残っていないので映像のみ。資料としての価値に意味があるが、溝口健二監督作でなければ日の目を見ることはまずなかったであろう。
アシク・ケリブ 1988 ソ連 セルゲイ・パラジャーノフ ★★☆ パラジャーノフの遺作。領主の娘との結婚を貧乏を理由に領主に断られた吟遊詩人アシク・ケリブは出稼ぎを兼ねた旅に出かける。寓話的な物語をグルジアの民族音楽と独特の映像表現で描き出した異色作。随所で見せる美しい絵や耳に新鮮な民族音楽は素晴らしいが、歴史的傑作「ざくろの色」に観られたイマジネーションの爆発や奔流を感じさせるシーンは多くなく、物語自体もやや単調だった。
あした元気になーれ! 〜半分のさつまいも〜 2005 日 竹内啓雄 東京大空襲で両親を亡くした幼い兄妹が戦後直後の貧困時代を生きる姿を描いた和製アニメ。純真な少女の目を通じて当時の貧困を描き、現代の子供たちを教育するのが目的らしいが、兄妹を都会と田舎に分けて別々の苦しさを描こうとする無理ありすぎの姿勢や、お前はシンデレラか? という善悪がはっきりしすぎる等の童話的ベタベタさに飽き飽きしてくる。作り手の浅ましさが痛い内容。
明日の記憶 2006 日 堤幸彦 ★★☆ 働き盛りで若年性アルツハイマー病にかかってしまった中年の男の苦悩と妻との絆を描く。主演の渡辺兼は禿げてから一皮も二皮も剥けた。余計に感動を煽ろうとしないので自然に見ることが出来るし、何より深い余韻の残るラストがとても良かった。
阿修羅城の瞳 2005 日 滝田洋二郎 ★☆ 文化文政の時代の江戸の町に潜む鬼殺し(鬼キラー)としてかつて名を馳せた出門は、鬼の王・阿修羅の生まれ変わりである女盗賊・つばきと出会い恋に落ちてしまう。サイバーSFな感じの舞台で繰り広げられる演義といった感じのドラマであるが、もとが舞台のせいかやけに芝居がかり過ぎなのと、つなぎ方がぶつ切りのようで今二つだった。
あずみ 2003 日 北村龍平 つるつるのお肌、麗しき瞳、返り血とは無縁の清潔なヒロインがにこやかな刺客で、仲間内での意味不明の殺し合いを経て、生き残りが仲良く一緒に旅に出る。映像に凝ることを考える前に見直すべきことがあるはず,。
あずみ2 Death or Love 2004 日 金子修介 徳川軍の刺客・あずみたちは残る標的・真田昌幸を討つべく、彼が幽閉蟄居されている九度山に向けて旅を続けていた。駄作の続編は当然駄作。わかったようなわからないような理由で大勢の人が死にまくる。
明日に向って撃て! 1969 日 ジョージ・ロイ・ヒル ★★★☆ 実在したブッチとサンダンスの荒くれ者コンビをコンビをネタに、強盗を繰り返しつつも時代に取り残されていく男たちの悲哀を青春劇・西部劇・アメリカンニューシネマ風に描いたポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードの黄金コンビの代表作のひとつ。対比的なバート・バカラックの朗々とした挿入歌と儚くも美しい末路が心に染み入る。
アタック・オブ・ザ・キラートマト 1978 米 ジョン・デ・ベロ ある日トマトが人間を襲い始た・・・。アタック・オブ・ザ・何とか、とか、キラー何とか、というタイトルの映画にろくな作品がないのは、皆本作へのオマージュとしてタイトルを引用しているから。モンティ・パイソンの1スケッチを延々と引き延ばしたようで、オリジナリティも持続性も今一つだが、あのテーマ曲が耳から離れないし、一応笑えてしまうし、最後にはカタルシスも感じてしまう辺りが”伝説”のクソ映画となった所以だろう。
アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ケーキ 1999 ギリシャ パノス・H・コートラス ギリシャ産の無茶苦茶なトンでも映画。厳密にはケーキではなくギリシャの伝統菓子ムサカが、宇宙人によって巨大化させられ襲ってくる。狙ってやっているんだろうけどあまりやる気が伝わってこない悪い意味での脱力映画。出来という意味では☆級だが、それだと褒めたことになるのでこの評価。
アタック・ナンバーハーフ 2000 タイ ヨンユット・トンコントーン ★★ タイの国体でオカマ集団がバレーボール大会で優勝したという実話をもとに描かれるスポーツ・コメディ。作りはフィクション仕立てで再構成しているので、ライトタッチの娯楽映画のツボを抑えた作りになっている。その後日本に溢れたミスマッチ映画の原点とでもいうべき作品。
アダムス・ファミリー 1991 米 バリー・ソネンフェルド ★★★ 見た目は大よそ人間風な怪物一家(手だけのペット?ハンド君を除く)アダムス・ファミリーは、借金苦にあえぐ顧問弁護士の裏切りにより我が家を追い出されてしまうのだが、そのまま大人しくしている彼らではなかった。話はシンプルだが、夫婦のラブ・シーンなど、怪物一家の可愛いパフォーマンスが楽しいブラック・アクション・コメディ。
アダムス・ファミリー2 1992 米 バリー・ソネンフェルド ★★☆ アダムス家当主ゴメスの兄を篭絡した妖艶な殺人鬼?デビーは、自分の正体を見抜いている兄妹を煩わしく思い、口先三寸でゴメスたちを説得してのほほんとしたサマー・キャンプに送り込んでしまうのだった。マッドなデブ女がいくら凶悪といっても、怪物揃いの一家に敵うはずもないので、面白さは今ひとつだが、ミスマッチの妙とどぎついジョークを交えたがサマー・キャンプのシーンがかなり笑える。ここだけなら★★★☆評価できる。
熱いトタン屋根の猫 1958 米 リチャード・ブルックス ★★☆ テネシー・ウィリアムズ原作。ガンに侵され余命いくばくもない大農場の当主の誕生日を祝うためそれぞれの思惑を胸に秘めた2組の息子夫婦たちが集まって来る。ポール・ニューマンとエリザベス・テイラーの美男美女のカップルが主役のせいか生活を背負っているという現実感に乏しいものの、鬱状態の主人公という設定はなかなかツボにはまった。
アップルシード 2004 米 荒巻伸志 士郎正宗原作。世界を破滅寸前にまで追い込んだ非核大戦を生き延びた女戦士デュナン・ナッツは、戦後平和都市オリュンポスに連行され人類の未来をかけた戦いに巻き込まれる。3Dライブアニメという斬新な手法が触れ込みであったが、記号画としてのアニメを放棄しているようで違和感がある上に、肝心の内容も誰かがプレイしている出来の悪いゲームを見せられている感じであった。
アトミック・カフェ 1982 米 ケヴィン・ラファティ ★★★☆ 第二次大戦末期から米ソ冷戦下までにおける米国政府の広報用ニュース・フィルム等を再編集して、核兵器狂騒曲として再構成したドキュメンタリー。歴史上の重要トピックを押さえているので資料としても一見の価値がある。政府の扇動的洗脳の馬鹿馬鹿しさ、科学の進歩が新たな驚異となって返ってくる皮肉や、人間の残酷さがよく描けている。製作者の主張にも引用を使っているので説教臭くなっていない。それにしても後の時代から見ると荒唐無稽なブラック・コメディーにしか見えないのが怖い。
アトランティス 1991 仏 リュック・ベッソン ★★★ ひたすら続いていく様々な海の映像にエリック・セラが音楽をつけただけというシンプルだが純度の高い作品。後年大自然のドキュメンタリー映画が氾濫し始めたのはこの作品が一本の映画として見ごたえのある内容に仕上がった影響もあったのだろう。エイとオペラの融合のシーンがお気に入り。
アトランティスの心 2001 米 スコット・ヒックス ★★ スティーブン・キング原作。政府からの手の内から自由を求めて逃げ出してきた老いた超能力者と、彼を匿おうとする少年の交流を描く。オカルト版「スタンド・バイ・ミー」とでもいうべき二番三番煎じ的な内容の上に、キングらしいノスタルジーと勧善懲悪思想が鼻につく微妙な内容。
アドルフの画集 2002 ハンガリー・カナダ・英 メノ・メイエス ★★ 画家ヒットラーと独裁者ヒットラーの分岐点に焦点をあてたドラマ。着眼点はよいが実際の画家としての才能の程度はよくわからないし、結局if的物語以外に何を言いたかったのかが不明なので消化不良といった印象を受けた。
アナコンダ 1997 米・ブラジル・ペルー ルイス・ロッサ 密林で人間が巨大蛇に襲われるパニックもの。いくら巨大でも人間のような獲物を飲み込んだら消化するまで何時間も動けなくなるという生態の基本くらい押さえよう。これなら別に蛇じゃなくて謎の宇宙生命体でも同じだよ。
あなたが寝てる間に・・・ 1995 米 ジョン・タートルトーブ ★☆ 地下鉄の改札係として地味な日々を送っていたルーシーは、ホームに落下した憧れの男性ピーターを救出し、成り行きで婚約者と偽ってしまった上に、ピーターの昏睡中にその弟ジャックと親しくなっていく。ロマンティックなラブ・ストーリーだから、ありえない展開が売りとはいえ、主人公の孤独と嘘をつき続ける必然性の説明くらいには力を入れて欲しかった。
あなただけ今晩は 1963 米 ビリー・ワイルダー ★★★☆ パリの裏町にある売春街でお楽しみ中の上司もろともガサ入れしてしまったがゆえに着任早々クビになったレスターは、成り行きで可愛い娼婦イルマのヒモに収まるのだった。別人に成りすましてナニ見られたのに気づかれなかったり、刑務所の窓枠を人力で壊したり、河の中から平然と現れたりと、かなり無茶苦茶な設定だが、ジャック・レモン&シャーリー・マクレーンの名コンビがハチャメチャに明るいタッチで魅せてくれたので楽しめた。
あなたになら言える秘密のこと 2005 スペイン イザベル・コイシェ ★☆ 海上にポツンと浮かぶ油田採掘場で起きた事故にたまたま駆り出された孤独な女性が重症患者の介護を通して心を開いていく。海の孤島という設定を始めとする全編に漂うアンニュイな雰囲気は嫌いでないが、映画一本分の核を主人公が抱えている傷だけに担わせているので骨細な印象が否めなかった。
あなたに降る夢 1994 米 アンドリュー・バーグマン ★★ チップがないのでウェイトレスに「この宝くじがあたったら半分をあげる」と言ったら、本当に大金があたってしまってちゃんと分けたという美談を著しい脚色化で映画化。善悪はっきりしすぎの虚構感いっぱいの展開が気に障るが、ブリジット・フォンダが可愛いらしさで何とか破壊は免れた。
アナライズ・ミー 1999 米 ハロルド・ライミス ★★☆ ノイローゼに陥ってしまったマフィアのボス、ポール・ヴィッティは偶然知ることとなった精神分析医ベンに自身の治療を依頼するのだが・・・。残虐なマフィアと一般人の精神科医というミスマッチに、ゴッド・ファーザーを想起させるシーンを織り込んだりとにやりさせるシーンの多いコメディ。一番受けるのは若き日のドン・コルレオーネやアル・カポネを演じたことのあるロバート・デ・ニーロが主演というところか。
アニー 1982 米 ジョン・ヒューストン ★★ 名作ミュージカル「アニー」の映画版。1930年代の不況期のアメリカ、いつも明るく元気良い孤児アニーは、億万長者ウォーバックスの心を溶かしていく。製作年代よりはるかに前を感じさせる古めかしい作りのおとぎ話なのでかなり退屈。終盤の名曲「トゥモロー」でほんの少し盛り上がった。
あにいもうと 1952 日 成瀬巳喜男 ★★☆ 室生犀星原作。今や落ち目となった川師の親方・赤座のもとで、奉公先の学生の子を身ごもって帰ってきた長女もんが、看護婦学生の二女さんの縁談、もんを思っていた兄の気持ちを踏みにじったとして一家の関係が悪化していく。どれだけ不仲であろうと家族は家族で、どこかお互いを必要としているという、どろどろとした兄妹の感情がよく描けている文芸映画。
アニバーサリーの夜に 2001 米 ジェニファー・ジェイソン・リー ★★ 女優サリーと、小説家から映画監督業にも進出しようとしているジョーの夫婦の結婚記念日パーティに、ショウビジネス界の様々な面々が集まって来た。暴露という程の毒々しさはない地味な群像劇だが、ハリウッドの人々の内幕を淡々と描いており独特の味わいがある。
アニマトリックス 2003 米 川尻善昭 他 ★★ 画期的だったアクション映画「マトリックス」の世界設定を基に日本を含む世界各国アニメーターが参加して作り上げた全9話のオムニバス・アニメ。実にヴァリエーションが豊かで、マトリックス・シリーズの中では1の次に観られる内容。もっともマトリックスの世界観を知らない人にはきついだろう。
あの夏、いちばん静かな海。 1991 日 北野武 ★★ ある海辺の町を舞台に、聴覚障害者同士の青年と少女のひと夏の淡い恋をサーフィンを通して描いた異色ラブストーリー。自傷的なまでのナルシスティックさが好きではないが、言葉のない静かな世界は好きな人にはたまらないだろう。凄い良いとは思わないが独特の雰囲気が印象深い。
アパートの鍵貸します 1960 米 ビリー・ワイルダー ★★★★ 上司に取り入って出世することを考えているしがないサラリーマンが、上司の愛人であるエレベーターガールとの間で出世か恋かで揺れ動く。サラリーマンの悲哀をユーモアを交えて描いたワイルダー監督の最高傑作にして、ジャック・レモン&シャーリー・マクレーンの名コンビの代表作。テニスラケットでスパゲッティ作り、シャンパン、トランプなどといった多彩な小道具の駆使ぶりも必見。
アバウト・ア・ボーイ 2002 英・米・仏・独 ポール&クリス・ワイツ ★★ ヒュー・グラント演じるらしい大ウソツキのたらし男が、後腐れの少ない上に愉しませてくれるシングル・マザーを狙って奮闘するのだが、釣り上げたのはなぜか一人の少年だった、というコメディー・タッチの物語。軽い内容なので後に残るものは何もない。
アバ/ザ・ムービー 1977 スウェーデン・豪 ラッセ・ハルストレム ★★☆ スウェーデンが生んだ20世紀を代表するポップスター・アバが、1977年にオーストラリアで行ったライブをその追っかけた映像を織り交ぜて描く。特に映画としてどうこう言うほどの出来ではないが、アバのライブシーンは本当に観ていて楽しいなと思った。
あばれ大名 1959 日 内出好吉 ★★ 徳川家康が豊臣家を凌駕し始めた戦国時代末期、秀吉への恩義を忘れた叔父・前田利家の情けない姿に義憤を抱いた前田慶次郎は身代一万石を返上して野に下ってしまうのだが、加賀前田家百万石取りつぶしの陰謀に巻き込まれていく。何者をも恐れぬ”かぶき者”慶次郎の度を越した面白エピソードは、嘘とわかっていても惹かれてしまうものがあるが、作りとしては相当古めかしい時代劇の部類に入る。
アビエイター 2004 米・独 マーティン・スコセッシ ★★☆ 大金持ちであるが故に妄想を実行できてしまった20世紀アメリカ史に残る偉人ハワード・ヒューズの悲喜劇を描いた伝記物語。本人が病的な潔癖症だったのは有名な話だけどそれをうまく活用できていないのと、長尺すぎて中盤以降だれてしまうのが難点。金持ち色男の英雄一代記なのに演じる方(レオナルド・ディカプリオ)より本人の方がハンサムというのは珍しい。
アヒルと鴨とコインロッカー 2007 日 中村義洋 ★★ ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら引越の片付けをしている大学生椎名に、アパートの隣人・河崎は本屋を襲って「広辞苑」を奪おう、と奇妙な提案をしてくる。奇妙な物語に邦画独特のゆるい雰囲気をまとわせつつも、どこか謎めいた展開で関心を惹かせ続ける。ただ、表の主人公である椎名にただの語り部以上の役割がないため、だからどうしたという鑑賞後感しか残らなかった。
あぶない刑事リターンズ 1996 日  村川透 ★☆ 港署の刑事・タカとユージのとんでもコンビが、爆弾魔に立ち向かっていくうちに、いつしか国際テロリスト集団を相手に大暴れすることに・・・。軽妙な刑事のノリが売りなのはわかるが少々以上におふざけが過ぎる感じ。
ア・フュー・グッドメン 1992 米 ロブ・ライナー ★★☆ 米軍キューバ基地で起きた兵士の殺人事件に係る軍内裁判において、軍を支配する裏命令の存在が明らかにされていく。フィクション世界の話なので少数といえでも最後に勝つのは正義、という王道を行く娯楽映画。とはいえスリリングな展開など、完成度はなかなかのもの。
アフリカの女王 1951 英 ジョン・ヒューストン ★★ 1915年のアフリカ、ドイツ軍に教会を焼かれ宣教師の兄を殺されたローズは、“アフリカの女王”と名づけられたオンボロ蒸気船のよっぱらい船長とともに復讐の船旅に出る。始まりは陰惨であるし、やたらと危機だらけなのだが、娯楽映画路線なのでとことん能天気。
アフリカン・ダンク 1993 米 ポール・マイケル・グレーザー かつての大学バスケで大スターだったジミーは、母校の監督就任の条件として、逸材スカウトを義務付けられ、ビデオで見かけたアフリカ人青年を誘うべく旅立つのだった。偏見先にありきのカルチャー・ギャップ・ネタ、ダンク以外は話にならない選手のリアリティの欠如、必然性のない主人公の過去の傷など、適当にネタをつなぎ合わせただけのような素人じみた脚本に呆れた。
アポロ13 1995 米 ロン・ハワード ★★☆ 宇宙空間で生じた事故に宇宙漂流の危機に晒されたアポロ13号を地球に帰還させるべく、NASAの面々と宇宙飛行士たちは知力と気力と体力の限りを尽くすのだった。アメリカの宇宙開発史上”最も輝かしい失敗”として名高いアポロ13号の危機脱出物語を無難に映像化しただけだが、”小説よりも奇”な話が面白いことに変わりない。
甘い泥 2006 イスラエル・日 ドュロー・シャウル ★★☆ 1970年代のイスラエル、全員が身分平等で助け合うという生活共同体「キブツ」の厳しい現実を、繊細な母とその幼い息子を中心に描く。理想郷の残酷な現実というより、子供が初めて知る大人の汚い世界という印象の方が強く、内容もベタな残酷物語で新鮮味に乏しかったが、幼い恋愛の甘さとファースト・キスのシーン、それにわずかに救いを残したラストは心に染みるものがあった。
アマデウス 1984 米 ミロス・フォアマン ★★★☆ 精神病院にいる老人は神父に対して自らを元宮廷作曲家サリエリと名乗り、同時代を生きた天才作曲モーツァルトの半生を愛憎交じりに語り始める。サリエリの視点を借りたことで変態モーツァルトにリアリティが生まれた想像伝記もの。サリエリの曲がモーツァルトの曲に化けてしまうシーンや、義母のキーキー声がオペラに仕上がってしまうシーンにも妙な説得力があった。
阿弥陀堂だより 2002 日 小泉堯史 ★★★ 優秀な医師であった妻が突然心の病にかかったことを契機に、大都会の喧騒を離れ、夫の生まれ故郷である信州の山奥へと移り住むことになった老年一歩前に夫婦が生きる喜びを取り戻していく姿を描く。信州の緑の多い映像が美しく、晩年の黒澤明の助監督を務めていただけあって、晩年の黒澤作品に漂っている何とも言い難い静寂な雰囲気を引き継いでいる。生と死と等しく見つめる眼差しなど、静かながらも何とも味わい深い逸品。
アムステルダム無情 1988 蘭 ディック・マース 連続殺人を犯しては運河の中に逃げ込んでしまうヘンテコ殺人鬼と犯人を追う刑事の対決を描く。オランダらしいネタと言えるもの、犯人の行動原理がよくわからないし、成り行き任せで適当に進んでいくだけの展開なので面白くとも何ともなかった。
雨上がる 1999 日 小泉尭史 ★★ 黒澤明の遺稿が原作。江戸時代中期、武芸の達人ではあるが世渡りベタなため仕官がままならない浪人・三沢伊兵衛と彼を支えるその妻・たよの姿を描く。夫婦が寝泊まることとなった安宿の手の込んだ作りと、温かい視線による作風が印象に残った小品。
雨に唄えば 1951 米 スタンリー・ドーネン/ジーン・ケリー ★★☆ サイレント映画からトーキー映画への移行期であった1920年代を舞台に映画スターと新人女優の恋を描く。ジーン・ケリーがミュージカル愛&命を具現化するべくやりたいシーンをこれでもかと詰め込んでいる上に、筋書きも陳腐なので、出来はお世辞にも良いとはいえない。ただ、「I'm singing in the rain ♪」で高名なシーンを始めとするジーン・ケリーの唄と踊りを見ているだけで幸せな気分になれる。
雨の味 2006 シンガポール グロリア・チー ★★★ 心の傷から親友以外とはまともに話すこともかなわず、深夜に外を徘徊してごみを収集するのが日課になっていた若者のナイーブな心情と恋を綴ったドラマ。シンガポールの何気ない日常を美しく切り取った画の数々と、独特の間がもたらすアンニュイな雰囲気が魅力的だった佳品。
アメリ 2001 仏 ジャン・ピエール・ジュネ ★★★ 大人になってもメルヘン系妄想癖から抜け出せておらず、ポジティブな悪戯が大好きのアメリにも遂に恋に堕ちる日がやって来た。可愛いのに微妙な毒があって不思議と面白い。スピード写真を使った展開や、人形の旅行写真に、街に「→」、など随所に溢れた遊び心が楽しい。アメリが水になってしまう表現もとてもよかった。
アメリカの友人 1977 仏・西独 ヴィム・ヴェンダース ★★★ 友人から殺し屋の依頼を受けたアメリカ人画商は、オークション会場で知り合った余命いくばくもないドイツ人額縁職人ヨナタンを推薦し、ヨナタンは愛する妻と子供のため高額報酬と引き換えに仕事を引き受けてしまう。よく見えない背景と素人が殺し屋を暗殺する設定にリアリティがないが、都市を魅惑的に切り取った画や、説明を大胆に省きながらも緊迫感やサスペンスさを持続させる演出が、この後に訪れるヴェンダース絶頂期を感じさせてくれる。
アメリカン・アウトロー 2001 米 レス・メイフィールド ★☆ 南北戦争後の米国を騒がせた実在のアウトロー、ジェシー・ジェームズとその仲間たちの戦いを描く。本来は重い話であるはずだし、いかなる名目があったとしても文明社会を脅かす強盗団であるにもかかわらず、全編に漂うライト・タッチさと単純明快すぎる展開に違和感を覚えずにいられなかった。
アメリカン・グラフティ 1973 米 ジョージ・ルーカス ★★ 192年のカリフォルニア北部の地方都市、高校を卒業してそれぞれを道を行くことが決まっている4人の一晩の出来事を描いた青春映画。アメリカの田舎ではこんなものかもしれないが、起こる出来事にどうも共感できなかった。ただ、たったひと夜の出来事でも主人公たちが確かな成長を見せるくだりは良かったと思う。
アメリカン・サイコ 2000 米 メアリー・ハロン 1980年代、N.Y.はウォール街の一流企業で働くイケメン・エリートが衝動にかられて連続殺人を犯していく。エリートの殺人鬼であるから当然知能が高いかと思いきや、単に劣等感に駆られているだけの変態の上に、終盤のとんでもないオチで大いに幻滅させてくれた。
アメリカン・サマー・ストーリー 2001 米 ジェームズ・B・ロジャーズ ★★ 原題「American pye 2」。大学生になって初めての夏休みを過ごそうとする男女10人のセックス、恋愛、セックス、バイト、パーティに励もうとする日々をライト・タッチで描いた青春映画。バカバカしいほどに明るいシモネタの連発は、だからどうしたという感じだったが、異常なまでの包容力と理解力を兼備した”お父さん”がちょっとうらやましかった。
アメリカン・スプレンダー 2003 米 ロバート・プルチーニ シャリ・スプリンガー・バーマン ★★☆ アメリカで大人気のコミック「アメリカン・スプレンダー」の作者、ハーヴィー・ピーカーの半生を描く。冴えないサラリーマンだが異様なまでの音楽オタクであるというあたりや、日常の愚痴を題材にしていく手法には、日本人にも通ずるところがあった。終盤に登場する本人たちが劇中の人物像と見事に被っていたのが笑えた。
アメリカン・パスタイム 俺たちの星条旗 2007 米 デズモンド・ナカノ ★☆ 第二次世界大戦下のアメリカで、敵国に属していると見られた日系アメリカ人が強制収容所に入れられたという実話に基づいて描かれるヒューマン&野球映画。差別はあるものの比較的平和な強制収容所における日系アメリカ人青年と白人娘の恋物語が基本で、悪くはないものの全体的にありきたり。
アメリカン・ビューティ 2003 米 サム・メンデス ★★★★ 郊外の新興住宅地で妻と娘と空虚な生活を送っている住む広告マンのレスター、会社を退職して多額の退職金を得ると、自由気ままな生活を送り始めるのだが・・・。ある住宅地の一角を借りて、米国白人中流世界の縮図を描ききった美品。アメリカ人の中にもとことん自虐的な人間がいるということをこの作品で知った。
アメリカン・プレジデント 1995 米 ロブ・ライナー ★☆ 山積みされた問題に日々忙しく立ち向かう現役アメリカ大統領が、環境問題を通じて知り合った女性に一目ぼれしてしまう。ライトタッチのラブコメが基本路線とはいえ、見るからにお人好しっぽい大統領が、温暖化や銃規制という問題を真摯に扱うこともなく、グダグダの恋物語に身を投じてしまうのはいかがなものだろうか。
アライバル −侵略者− 1996 米 デヴィッド・トゥーヒー ★★ エイリアンの地球乗っ取り計画を嗅ぎ付けた科学者ゼインが、わずかな仲間とともに危機に立ち向かう。環境破壊と宇宙人侵略を結びつけた相当無茶な設定を”B級だから”と思って愉しむべき作品。エイリアン侵略物。
荒馬と女 1961 米 ジョン・ヒューストン ★★ 離婚の町として有名なネバダ州リノで離婚したロズリンは世話ずきのイザベルおばさんの紹介で、自動車修理工ギドと、カウボーイのゲイという二人の男を紹介されるのだが・・・。社会に適応しきれない人々の心の空虚さに三角(四角?)関係を織り交ぜた異色作。中盤以降野生の馬を捕えて馬肉として売ってしまおうとする行為がいかにもジョン・ヒューストン監督作らしかった。マリリン・モンローとクラーク・ゲーブルの遺作として高名。
あらくれ 1957 日 成瀬巳喜男 ★★☆ 結婚話をいやがって東京に逃げ出して来たお島は、罐詰屋の若主人鶴さんの後妻になるのだが、激しすぎる彼女の気性は彼女の人生にしばしば災いをもたらすのだった。気性の強さと情の脆さゆえに真の幸せとは無縁のままながらもたくましく生きていく女性の姿はまさに”あらくれ”そのもの。
あらくれ大名 1960 日 内出好吉 ★☆ 大阪・冬の陣で父家康に逆らって豊臣家に組みしたばかりか、本陣を急襲して父家康を死地寸前にまで追い込んだ”紅葵(べにあおい)”松平直次郎の活躍を描く。「あばれ大名」の弟版で、設定が違うこと以外に差異が殆ど見当たらずクライマックスの展開まで殆ど同じなのには思わず笑った。歌舞伎がかった大仰な演技とパワーアップしたフィクション調で綴られる壮大な(?)親子喧嘩。
嵐が丘 1939 米 ウィリアム・ワイラー ★★☆ エミリー・ブロンテ原作。嵐が丘にあるアーンショー家の主人に拾われた孤児ヒースクリフは、同家の使用人として成長するうちに長女キャサリンと惹かれあっていくが、彼女が結婚相手に選んだのはリントン家のエドガーだった。尺の問題からか、第2世代の話がカットされているものの、原作の重要な部分を抜き出して重厚な人間ドラマ・悲恋ドラマに仕立て上げているあたりは、さすがに名匠ワイラー監督。
嵐が丘 1988 日 吉田喜重 ★★★ エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を中世の日本に舞台を移して描く時代劇。父の神を祭る山部一族の当主が拾ってきた孤児・鬼丸は、長じて当主の娘・絹と愛し合うようになっていくのだが、二人の身分の差と周囲の思惑がこれを阻むのだった。中盤以降の展開は全くのオリジナルだが、原作の持つ荒涼とした雰囲気を残した良質のドラマに仕立てている。
あらしのよるに 2005 日 杉井ギサブロー ★★ 嵐の夜、雨宿りに入った古小屋の暗闇の中で出会ったオオカミのガブとヤギのメイは、"食う者“と"食われる者“と言う立場を超えた、友情を育むようになっていくのだが・・・。絵本的な画には味があるし、子供向けの内容ではあるが一応大人でも観ることが出来る内容。「友達なのにおいしそう」は名宣伝文句だった。
嵐を呼ぶ男 1957 日 井上梅次 ★★ 自らプロデゥースするジャズバンドが誇る当代きってのドラマー・チャーリー桜田に捨てられた美弥子は、粗削りだが情熱と才能豊かな正一を大抜擢し、正一はドラマーとしてのし上がっていく。「おいらはー、ドラマー♪」で高名な昭和の大スター石原裕次郎の代表作のひとつ。全体的にベタな内容。
アラバマ物語 1962 米 ロバート・マリガン ★★★☆ 娘スカウトの脳裏に幼少期の美しい思い出の数々と人種差別に屈せずに戦い抜いた優しくて強かった父の背中が思い出されていく。美しい構図美と中盤の裁判シーン以降が出色の出来のヒューマンドラマの傑作。邦題がミスマッチで、原題(”To kill a mockingbird”(ものまね鳥を殺すには))の方がはるかに内容を示唆している。
アラビアのロレンス 1962 英 デヴィッド・リーン ★★★★☆ 第一次世界大戦中の中東、密命を帯びた英国軍少尉T.E.ロレンスは、アラブ軍を指揮するファイサル王子と意を通じ、死の砂漠を渡って敵を奇襲する作戦を実行に移す。デヴィッド・リーン監督の最高傑作。オープニングのあのカットでいきなりガツンとやられ、広大な砂漠と印象的な音楽とドラマティックな物語に引き込まれ続けた。
アラビアのロレンス 完全版 1988 英 デヴィッド・リーン ★★★★☆ 完全版とはいっても、少々癪が長くなって、リーン監督自らの手で画像・音声修復が行われてただけだが、今見るならこちらだろう。CGなき時代に作られたからこそ、手間暇と人数をかけたスケールが何度見ても色あせない映画史上に残る大作。
アラビアのロレンス 完全版 ニュー・プリント版 1988 英 デイヴィッド・リーン ★★★★☆ 遂に大スクリーンで見た!という感動を記しておくためだけに”ニュープリント版”を口実に追加で記載。大スクリーンで見るべき映画ということは前々からわかっていたが、実際に見てみるとスケールの大きさに圧倒された。
アラベスク 1966 米 スタンリー・ドーネン ★☆ オックスフォード大学に勤める古代言語学者ポロックは、突如として中東の某国の人間に誘拐され、象形文字で書かれた秘密文書の翻訳を強要される。タイトルから連想される華麗なバレエ映画ではなく、二転三転とするお軽いB級スパイ映画だった。目薬で殺人・意味不明の暗号等かなり破滅的。
荒鷲の要塞 1968 米・英 ブライアン・G・ハットン ★★☆ 第2次世界大下のドイツ、鷲しか近づけないことから”鷲の城”と呼ばれるドイツ軍の情報本部にアメリカのカーナビー将軍が捕われ、イギリス軍とアメリカ軍の混成救出部隊が結成され困難なミッションに挑む。いかにも創作しましたという基本設定といい、途中から誰が見方で誰が敵なのかわからなくなるほど二転三転する展開といい、リアリティには欠けるが、王道を行く娯楽活劇としては十分に楽しめる。
ALI アリ 2001 米 マイケル・マン 伝説のボクサー、モハメド・アリの半生を淡々と綴り続ける。アリのダーティな一面にもスポットを当てる真摯さは良いが、天才的に努力家&戦略家だった(はずの)ボクサー・アリの姿を描かないので、人間としての表面的な半生をなぞっただけという印象を受けた。
アリス 1988 チェコ ヤン・シュヴァンクマイエル ★★ シュヴァンクマイエル版「不思議の国のアリス」。散らかった部屋の中であまりの退屈さにうんざりしていたアリスは、ガラスケースの中で突然動きだした白ウサギを追ううちに不思議の国へたどり着く。グロテスクで可愛いらしく特にアリス役の女の子が良い。大まかなストップモーションアニメのせいで繊細な美しさはないが不思議と笑えてしまうシーンが多い。ただ、ワン・パターンなので中盤ごろにはすっかり飽きてしまった。
アリスの恋 1974 米 マーティン・スコセッシ ★★★ 夢見る普通の少女だったアリスも今や子持ちで甲乙つけがたい主婦、ところがある日突然夫が事故死してしまい、一人息子とともに新生活に歩み出していくことに。本当に普通にいそうな感じの中年女のリアリティある生活にドラマ性を持たせた不思議な質感の良作。ちょっとひねた息子を始めとする各登場人物の個性が確立されているところが非常に良かった。
あるいは裏切りという名の犬 2004 仏 オリヴィエ・マルシャル ★☆ かつて同じ女性を愛し、今はパリ警視庁次期長官の座を競う二人の警視の仲たがいを描いた警察内幕もの。子供の妄想的”男のハードボイルド・ロマン”で、余裕という遊びがなく変に重苦しいだけなので肩が凝る。”実話”をウリにしているが、どこまでを信じて良いことやら。
ある貴婦人の肖像 1996 英 ジェーン・カンピオン ★★ 19世紀のイギリス、財産も地位も得ている従兄弟からの救済やアメリカ人実業家からの求婚には目もくれず、自分らしく生きようとするイザベルは、イタリアで趣味の良い中年男性に籠絡され結婚してしまう。ジェーン・カンピオンらしい端正な映像美には見どころがあるのだが、自分に素直になれない女の恋愛遍歴を綴っているだけなので、内容・展開ともに心に訴えかけてくるものはなかった。
ある子供 2005 ベルギー・仏 ダルデンヌ兄弟 ★★ 金のために考えなしに自分の子供を売ってしまった男(=子供)とその妻の物語。非道徳的な問題提起型の話だがあまりにも直球すぎて賞受けを狙ったあざとさが感じられた。
アルジェの戦い 1966 アルジェリア・伊 ジッロ・ポンテコルヴォ ★★☆ 1950年代の仏領アルジェリアで、地下組織を中心とした独立運動が巻き起こりテロが頻発するようになると、フランスは軍を大量に投入して弾圧を図るのだった。全編イタリア語で通されていることからもわかるとおり、アルジェリア版”無防備都市”とでもいうべきドキュメンタリー・タッチの質感が生々しい一作。
アルバレス・ケリー 1966 米 エドワード・ドミトリク ★★☆ 南北戦争時代のアメリカ、牛追いのアルバレス・ケリーは北軍の依頼によって牛2500頭の輸送業務に携わるが、牛の横取りを企んだ南軍によって誘拐されてしまい、今度は南軍の手伝いをするはめになる。映像も内容も音楽も王道を行く西部劇で、ニヒルな皮肉屋だが実は結構いい奴というケリーの設定も凡庸であるが、軍人ではなくて商人であるところには面白みがあった(もっとも最後は男気のある軍人みたいになるけれど)。期待していた牛を駆ってのスリリングな旅は終盤まで観られなかったが、じらせた分を取り返すだけのド迫力で見応えがあった。
アルマゲドン 1998 米 マイケル・ベイ ★☆ 地球激突軌道に乗った巨大隕石を駆除(あえてこう呼ぼう)するために、石油堀りが本業の男たちが、NASAで特殊訓練を受けて宇宙に出かけていく。ハリウッド大作の常とはいえ、隕石が降ってくるまで誰も気づきませんでした、というリアリティのない冒頭に始まる、観客を惹きつけ続けるためにてんこ盛りされた数々の危機や親子愛や恋愛や自己犠牲の美しさなどの要素がオーバーすぎて萎えた。次から次に襲ってくる隕石以外の障害を乗り越えるのを観ているだけで疲れきってしまった。
アレキサンダー 2004 米・英・独・蘭 オリバー・ストーン ★★ 老境に達したエジプト国王プトレマイオスは、若き日に仕えた伝説の英雄アレキサンダー大王の生涯を語り始める。監督が対象に愛着があり過ぎたせいか切るべきところを切れなくなって失敗したような印象を受ける。200億円という制作費を中盤の”ガウガメラの戦い”に使い切ってしまったのか、全体的にセットが安っぽいし、CGに頼りすぎているせいか重厚感も足りなかった。
アレクサンダー大王 1980 ギリシア・伊・西独 テオ・アンゲロプロス ★★★ 20世紀初頭のギリシャを舞台にアレクサンダー大王に模せられた男を中心に、共産主義やテロリズムといった政治的思想そのものにまで迫る内容。長回し、象徴と隠喩、時空間を越える物語などアンゲロプロスらしさもたっぷりつまっている。かなり難解でよくわからない部分も多かったのでそのうちまた見直します(そいういう意味でこの評価)。既存の映画スタイルを革新しようと試みたかのような手法でイデオロギーを語るなんて実はもの凄い映画なのかも。
アンカーウーマン 1996 米 ジョン・アヴネット ★★ マイアミの小さなローカルTV局に採用されたタリーは、プロデューサーのウォーレンにやる気と存在感を見出され、人気レポーター/キャスターとしてのし上がっていく。孤独な熟年男が金の卵を見出して、成長させて、恋人/妻にする、という本筋は典型的なラブ・ロマンスだが、ニュース報道のテーマなどが割とビターで、良くも悪くも意外な部分があった。
暗殺者のメロディー 1972 英・仏・伊 ジョセフ・ロージー ★★ レーニンと並ぶソ連建国の英雄でありながらスターリンによって国外追放の憂き目にあったトロツキーはメキシコで暗殺の危機に晒されながら暮らしていた。実際にあった事件をもとに描かれているので、ドラマ性が際立っているわけではないが、国を追われてもなお祖国の暗殺者に狙われるというトロツキーの立場に、当時のことをもっと勉強したいと思った。
アンジェラ 2005 仏 リュック・ベッソン 多額の借金を作ってしまいヤクザな借金取りに「48時間以内に金を返さなければ、命はない」と言い渡されたアンドレは、アレクサンドル三世橋からセーヌ川に身投げしようとするが、突然隣に現れた長身の美女が先に川に飛び込んでしまう。自殺寸前の男の前に天使が現れるという、「素晴らしき哉、人生!」の終盤のネタをオタク的妄想で引き延ばして劣化させただけのような内容に失望した。
アンタッチャブル 1987 米 ブライアン・デ・パルマ ★★★☆ 禁酒法時代のアメリカを舞台に、裏世界のボス、アル・カポネを追い詰めていく役人エリオット・ネスたちの活躍を描いた実話ベースのフィクション。揺りかご階段落ちのシーンでも有名(ある意味オリジナル&オマージュ対象の「戦艦ポチョムキン」のオデッサのシーンを超えたかも)。エリオット・ネスを家族愛に満ちた人物として描いたことで物語がうまく広がった。
アンツ 1998 米 エリック・ダーネル/ティム・ジョンソン ★★ アリが主人公の冒険CGアニメ。働きアリのZは王女バーラと出会って恋に落ちるが、成り行きで兵隊アリとしてシロアリ軍団との戦いに赴くこととなる。内容も画も子供だまし。
アンダー・サスピション 2000 仏・米 スティーヴン・ホプキンス ★★☆ 少女レイプ殺人事件の第一発見者として事情聴取を受けることとなった町の名士である老弁護士は、担当警部とのやり取りの中であいまいな供述を指摘されたことで真犯人として疑われ始める。安易に嘘をつく老弁護士や、意味もなく挑戦的な若い刑事の設定、そして登場するだけで現実感をぶち壊しにする美貌の弁護士夫人役のモニカ・ベルッチなどにやや難があるが、ジーン・ハックマンとモーガン・フリーマンという老優同士の職人芸による掛け合いだけで最後まで強引に緊迫感を保たせてしまう密室劇風の異色サスペンス。
アンダーグラウンド 1995 仏・独・ハンガリー・ユーゴ エミール・クストリッツァ ★★★☆ ダイナミックなメタファーとマジック・レアリズム的手法で描かれる旧ユーゴスラヴィア50年の悲劇的歴史。第二次大戦下のセルビア、マルコとクロは手を組んで義賊となるが、マルコはクロや仲間を偽って地下室に押し込めて働かせ続け、自らは政界に打って出るのだった。新婦飛ぶのシーンと、新婦泳ぐのシーンが忘れがたい。最初から最後まで尋常でないエネルギーに満ち溢れている怪作。
アンダーワールド 2003 米・独・英・ハンガリー レン・ワイズマン 前時代的な吸血鬼一族対狼男一族との戦いを、マトリックスを始めとする既視感たっぷりの映像を交えて描く。内容もオリジナリティのないB級ゴシック・ホラーで、もうちょっと力抜いたら?と思うほどクソ真面目すぎで退屈。予告編が一番良かった。
アンドリューNDR114 1999 米 クリス・コロンバス ★☆ アイザック・アシモフ原作。近未来。郊外に住むマーティン家が購入した家事用ロボット・NDR114号は、次第に人間のようになりたいと願うようになっていく。クサすぎて好きになれなかったロボット版ピノキオ。
アンナと王様 1999 米 アンディ・テナント ★★ 19世紀、夫を亡くしたアンナは一人息子ルイを連れ、タイはシャムのモンクット王の依頼でバンコクにやってきて、王子たちの教育係を務めることになる。古典的作品「王様と私」のリメイク作だが、本作はミュージカルではなく普通の劇映画。オリジナルに比べると異文化蔑視の視線はなくなったものの、全体的にマイルドになった分パンチ力もなくなった。やっぱりダンスシーンは”Shall we dance?”に限る。
アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記 1967 独・伊 ストローブ=ユイレ ★★★★ 大バッハの二人目の妻アンナが語る設定と演奏シーンだけで綴られていく大バッハの後半生。バッハ&古楽器好きにはたまらないだろう異色の伝記映画にして孤高の音楽映画。役者ではなくレオンハルト他の古楽器の名奏者たちがひたすらバッハの曲を演奏し、合間にナレーションが入るというシンプルで純度の高い作品。静止画のようなショットが延々と続いた後に、画面がぐっとプールバックしていく冒頭でいきなりカタルシスを感じた。
アンナ まなざしの向こうに 2000 独 ウラ・ヴァグナー ★★☆ 1960年代の西ドイツを舞台に酒びたりの母と幼い弟の三人暮らしの少女アンナは、”死んだはずのパパが生きている”ことを知ると、いてもたまらずに家を飛び出す。物語は相当地味なのだが、けなげさと強さと普遍さを併せ持ったアンナを演じた少女の出来が良かった。
アン・ラシャシャン 1982 仏 ストローブ=ユイレ ★★☆ ある小学生の学校内反抗を描いたたった7分の短編だが笑える皮肉とメッセージがちゃんとある。
イで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
イージー・ライダー 1969 米 デニス・ホッパー ★★★ アメリカン・ニューシネマを代表する一作。自由を愛するヒッピー文化を体現するかのようなバイク・ライダーたちがアメリカをツーリングし、保守奔流の化身であるかのような農民たちに毛嫌いされて殺されてしまう。1960年代米国ロックの名曲の数々が格好よいが、チカチカと切り替えられるカット割りや、終盤のぶっ飛び展開の意味不明さ(アメリカ人でない and/or リアルタイムで観ていないから?)に、B級 or カルトロード・ムービーという方が適切だと思った。
E.T. 1982 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ 親とはぐれて地球に置き去りに去れてしまった地球外生命体E.T.は、心優しい10歳の少年エリオットと出会い、少年の家に匿われるのだが・・・。地球への侵略者という定番の存在だった宇宙人を友愛の対象として描いた画期的な作品。月夜をバックに自転車が飛ぶシーンは映画史に残る名場面。
E.T.20周年アニバーサリー特別版 2002 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★☆ オリジナル版に未公開シーンを追加したりCG処理を施したりした一作で、E.T.の表情が豊かになっているというのが最大の違いか。オリジナルは少年の頃に見たのだが、大人になって改めて観てみると、人間の心の優しさや、信じる心の大切さをテーマにしていることがよくわかった。ややエモーショナル過ぎる感もあるが、胸にジーンと訴えてくる傑作だと思った。
イヴの総て 1950 米 ジョセフ・L・マンキーウィッツ ★★★ 舞台劇の名女優マーゴは自分の崇拝者といって近づいてきた若いイヴを気に入り、身の回りの世話係として雇い始めるのだが、献身的で貞淑に思われたイヴには秘めたる野心があった。華やかなショービジネス界の裏側に渦巻く人間模様を三人の女性を軸に描き出す。古典特有のややのんびりとした趣はあるものの、核となる人間ドラマの出来やテーマには時代を超えるものがある。
イエスタデイ 沈黙の刻印 2002 韓 チョン・ユンス 謎振りまいて、スタイリッシュ気取りの映像とアクション入れとけばいいだろうという姿勢が勘違いもいいところの近未来SF・アクション・サスペンス。
イエスタデイ、ワンスモア 2004 中(香港) ジョニー・トゥ ★☆ 宝石泥棒夫婦のラブコメ。内容云々以前にハリウッド映画にありそうな凡俗感がツボから外れていた。
家の鍵 2004 伊・仏・独 ジャンニ・アメリオ ★★ 家庭の事情で離れ離れに暮らしていた父と障害児の息子の邂逅。障害というテーマを正面から肩ひじ張らずにじっくりと描いている心情ドラマ。
硫黄島からの手紙 2006 日 クリント・イーストウッド ★★★ 太平洋戦争最大の激戦地硫黄島での激闘を日本側の視点から描く。徹底抗戦の本当の地獄は描かていないが、栗林中将・西中佐・一兵士たちからの複合的な視点を生かしたドラマが巧みで魅せる。何よりアメリカ人であるイーストウッドがこういう作品を作ったことに意味がある。役者陣では頬が削げ落ちるほど痩せて出演した加瀬亮がいい。
硫黄島の砂 1949 米 アラン・ドワン ★★☆ 太平洋戦争におけるアメリカ海兵隊の訓練と実戦の数々までを描く。物語自体は結構だらだらとしているが、単に相手をやっつけて終わりではない戦争映画。
イカとクジラ 2005 米 ノア・バームバック ★★☆ 不和から熟年離婚してしまった両親とその家を交互に生き来することになった二人の兄弟と一匹の猫の姿をアイロニーとコメディタッチを交えて描きだす。若い恋人にうつつを抜かす両親と、その姿に傷ついていく子供たちの構図は、家族の物語として見れば実に救いがないのだが、深刻過ぎないタッチなので面白く見られる。家族4人みんな思春期的な内容がなかなか刺激的だった。
怒りの河 1951 米 アンソニー・マン ★★ 元無法者で今はオレゴン州奥地への道案内人を勤めるグリンは、リンチの末に絞首刑にされそうになっていた無法者コールの命を助け、二人の間に友情めいたものが生じていくのだが・・・。基本路線は普通の西部劇なのだが、元ならず者と現役ならず者の奇妙な友情というエッセンスの面白みと、人はどこまで信頼できるのかというテーマにはなかなかのものがあった。
怒りの日 1943 デンマーク カール・ドライヤー ★★★★ 魔女狩りが横行している中世、老司祭アブサロンの妻となった若く美しいアンヌは、魔女として火あぶりに処せられることとなった老女マーテ、そしてアブサロン自身の口から、自分の母が魔女であったことを聞かされる。序盤の魔女狩り中心のシーンも勿論であるが、若すぎる娘を妻にしたがゆえに苦悩する司祭、アンヌを忌み嫌う司祭の実母、義母アンヌと愛し合うようになるアブサロンの息子マーティン、が織り成す人間ドラマに見ごたえがある。魔女の実在を疑わせたり、少年隊の唱歌を効果的に挿入したり、対比をうまく使った演出もいい。人間の虚飾や浅ましさを核に据えた内容に、ベルイマン(スウェーデン)といい、ドライヤー(デンマーク)といい、北欧の名監督が人間の深層心理や根源を見出すのが上手いのは文化的な共通項があるからなのだろうかと思った。あと、この時代(デンマークはナチス・ドイツに占領されていた)に、魔女狩りをナチのユダヤ人狩りの隠喩として用いてしまう反骨の士ぶりにもいたく感嘆した。
怒りの葡萄 1940 米 ジョン・フォード ★★★ 不慮の殺人罪での刑務所務めを終えて出所してきたトムは、故郷オクラホマの農場に戻るが、凶作により立ち行かなくなった家族とともに新天地カリフォルニアを目指すこととなる。社会の底辺で必死に生きる家族の絆と苦しみを格調高くドラマとして描いた必見の一作。行き過ぎた資本主義の根源的な問題をこの時代に鋭くえぐり取った内容がお見事。
いかレスラー 2004 米 河崎実 ★★☆ 超日本プロレスのエースでありながら、不治の病を患って失踪した岩田貫一は、パキスタンのフンザでの修行を経て、イカレスラーへと生まれ変わって?マットへ帰って来る。イカのみならず、タコレスラーからシャコボクサーまで登場するトンデモ映画。イカから哀愁を感じる映画は本作くらいだろう。テーマ曲の「イカイカイカイカイカレスラッー!(ハイッ!)」が耳から離れん。
生き物の記録 1955 日 黒澤明 ★★★★ 原爆と放射能への恐怖から家も事業も売り払い、一族そろって比較的安全な南米へ移住しようと考えた一家の家長であったが、これが一家の内紛と骨肉の争いを生み出してしまう。テーマは重いが一度は見ておきたい黒澤明監督版東京物語とでもいうべき内容。。正常な危機感をもった者が家族や社会から排斥されていく姿には考えさせられるものがある。「おおっ、地球が燃えとる!」は心に残った名台詞。
生きる 1952 日 黒澤明 ★★★★☆ 30年間無欠勤を目前に控えたことだけが取り得の小役人・渡辺勘治は、末期胃がんに冒されたことに気づいて初めて生の意味を考え出す。二度にわたる「ゴンドラの唄」で主人公の心境の変化を表現する手法、「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー♪」のシーン、終盤の予想外の展開など、未だに古さを感じさせない名作中の名作。冒頭の説教じみたナレーションが蛇足なのがやや惜しまれるが、後は文句のつけようがない秀逸の出来映えで、全編にわたって印象的な名場面が連発される黒澤明監督&志村喬コンビの代表作。
生きるべきか死ぬべきか 1942 米 エルンスト・ルビッチ ★★★☆ ナチス・ドイツの侵略を受けたポーランド随一の劇団員たちが、演技力でもってナチスドイツに立ち向かう姿を、劇団員夫婦とハンサムな青年兵士の三角関係を交えながらコメディー・タッチで描き出す。ナチ全盛期にナチをコメディ・ネタに使っているのもすごいが、たった一言で片付けられてしまう謎の救出劇を除けば、非の打ち所がないほどの出来映えの脚本が秀逸。
生贄 1995 米 村田忍 当時のグラビア・アイドル坂木優子主演だが、エロ担当は別の人という見どころのないビデオ映画。内容はサイコ系惨殺もの。娘に似た人形を作っている、って全然似ても似つかないじゃん。安っぽすぎるのもいい加減にしてくれ。
居酒屋 1956 仏・伊 ルネ・クレマン ★★ 同棲中の恋人に逃げられた足の不自由な洗濯女は、二人の子供を抱えたまま働き、やがて心優しい屋根拭き職人と結婚して貧乏ながらも幸せな生活を手に入れるのだが、その夫も事故に遭ってからただのグウタラ男に変わり果ててしまうのだった。女を主人公に据えた典型的な文芸風貧乏&残酷物語。社会の底辺に生きる人々を描いたところは良いけれど、自業自得的に泥沼にはまって多角関係に陥っていく自虐的過ぎる展開がうざったかった(こういうのが好きな人には良いのかもしれないけれど)。それと、何でこの内容でタイトルが「居酒屋」なのかが全くわからん。
イタリア旅行 1953 伊 ロベルト・ロッセリーニ ★★ イタリア観光に出かけた夫婦は倦怠期ぶりに辟易として互いに離婚を決意していくのだが・・・。冒頭から延々と続くどうでもいい日常的な会話、会話の止まった時間の長さ、観光が続くだけのロードムービー風の展開など、面白いかどうかは別次元の問題として、リアル・タイム進行を感じさせる演出を取り入れつつも、映画として見られる内容に仕上げてしまったところが凄い。終盤のポンペイ観光を経て一気に二人の絆が蘇っていくくだりが良かった。
いちご白書 1970 米 スチュアート・ハグマン ★★★ 1968年にコロンビア大学で実際に起きた学生闘争を描く。”何となく”参加した男子学生を主人公に据えているので入りやすく、セミ・ドキュメンタリー風のタッチが活きている。音楽を含めた青春物語特有の淡い感じも良かった。
いつかギラギラする日 1992 日 深作欣二 ★★ 日本にあるまじき銃乱射しまくりの内容で、破滅に向かっていくエネルギーには確かにギラギラするものがあった。
いつか読書する日 2004 日 緒方明 ★★☆ 地味ながら中高年の純愛は悪くない。ただ、一番印象に残った積年の想いが一気に噴出するシーンをその直後のカンパネルラな展開で台無したのはどうかと思う。
いつでも夢を 1963 日 野村孝 ★☆ 「星よりひそかに、雨よりやさしく、あの子はいつも唄っーてる〜♪」の同名主題歌が有名だが、良かったのはこれくらい。昭和中期の青春ドラマ。
いつも二人で 1967 米 スタンリー・ドーネン ★★☆ 倦怠期に入りすっかり関係の冷え切った夫婦が、なれ初めの地フランスへ向かう道中で、二人で旅した過去の出来事を思い出していく。内容自体実にありふれているのだが、時間軸をずらして無数の出来事をつないでいくことで、ありふれた恋人や夫婦の掛け合いに興味を持続させることに成功している。のんびりとしてはいるが小粋な雰囲気に好感を持てる大人のためのロード・ムービー。
愛しの青いワニ 1966 ソ連 ワジム・クルチェフスキー ★☆ 花を愛する心優しいワニが、花畑で出会った可憐な牝牛と出会い恋に落ちる姿を描いた短編人形アニメ。子供向けの描き方なのでインパクトに欠ける。ノルシュテインがスタッフとして参加している。
稲妻 1952 日 成瀬巳喜男 ★★★ 観光バスのガイドを務めている清子、既婚者の長姉・縫子、次姉・光子、兄の嘉助の兄弟と、その母おせいに描かれる群像劇&日常劇風のドラマ。女を描く上手さで高名な成瀬監督らしく、日常めいた愚痴の数々がドラマとなり、すぐに不和を忘れてしまう女の特徴がよく描かれている。丹念な構図もグッド。成瀬作品は肌に合わないものが多いが、本作と「浮雲」は別格かな。
犬神家の一族 1976 日 市川崑 ★★☆ 金田一耕助シリーズの第1作。シリーズの中では一番まとも。横溝正史=生首という期待にも応えてくれる。
犬神家の一族 2006 日 市川崑 ★★ 信州財界の大物・犬神佐兵衛が莫大な遺産とはた迷惑な遺言を残してこの世を去り、同地を訪れた名探偵金田一耕介をも巻き込んだ遺産&跡目争いが始まるのだった。1976年に一度発表済の同名作のリメイクにして市川崑監督の遺作。らしい映像感覚は健在だが、音といい作りといい1970〜80年代の同監督作との違いがなく、オリジナルを見ていない人にはいいだろうが、そうでない人がわざわざ時間を割いてまで見る意義はあまりないように思った。
犬の生活 1918 米 チャールズ・チャップリン ★★★ 一匹の犬のために走り回る放浪紳士チャーリーを描いたハートフル・コメディー。
イノセンス 2004 日 押井守 ★★☆ 「攻殻機動隊2」。贅を尽くした映像は必見だが画作りに溺れた感が強い。引用でしか語れない登場人物と、妙に小さくまとまる世界がイマイチ。
イノセント 1975 伊 ルキーノ・ヴィスコンティ ★★★ ダヌンツィオ原作を大胆な解釈で描いたヴィスコンティの遺作。全盛期の力量は感じられないが十分楽しめる”らしい”貴族映画。
イノセント・ボイス 12歳の戦場 2004 メキシコ ルイス・マンドーキ ★★★ 1980年代のエルサルバドル。政府軍と反政府軍の激しい内戦が続く中、母と幼い妹弟とともに暮らす11歳の少年チャバは、12歳となり政府軍に徴兵されるか、叔父のいるゲリラ軍に参加するかの選択を迫られることとなる。作り自体は硬派なハリウッド映画のようで新鮮さはないが、純真な少年が日々の希望に生きる姿・甘い恋・過酷な運命などなどのビターな内容は刺激的。内戦の全体像を見せないことが社会の流れに翻弄される庶民の姿を浮き彫りにしていたと思う。なかなかの良作。
イノセント・ボーイズ 2002 米 ピーター・ケア ★★ 日常の風景を美しく切り取る手法はいいが、少年たちの物語・恋物語・脳内アメコミアニメの各エピソードが巧く相互機能していないので散漫になっている。
いのちの食べかた 2005 オーストリア・独 ニコラウス・ゲイハルター ★★ 現代文明人の食事の”原料”がどのように作られているかを淡々と映し続けていくドキュメンタリー。
イブラヒムおじさんとコーランの花たち 2003 仏 フランソワ・デュペイロン ★★☆ 度を越して行きすぎの話は今一つだが、老優オマー・シャリフの圧倒的な存在感が素晴らしかった”老人と少年”。
イベリア 魂のフラメンコ 2005 スペイン カルロス・サウラ ★★★★★ 極上のダンス・アート・フィルム。映画を見る歓びを堪能させてくれる我が人生最高の映画最有力候補。
イマジン/ジョン・レノン 1988 米 アンドリュー・ソルト ★★☆ 死後偉人となったジョン・レノンの素顔を追ったドキュメンタリー。資料としての価値が高い。
今そこにある危機 1994 米 フィリップ・ノイス ★★☆ ジャック・ライアンシリーズ第三作。秘密部隊が極秘にコロンビアに潜入して戦うという設定と、脇役のウィレム・デフォーの存在感が良かった。
いまを生きる 1989 米 ピーター・ウィアー ★★☆ ハリウッド映画らしからぬ抑えたトーンが印象的な青春ドラマ(先生付)。
依頼人 1994 米 ジョエル・シューマカー ★★ とある殺人事件の秘密を知ってしまった11歳の少年マークは、真相を暴こうとする野心家の検察官と、秘密を知る者を消そうとするマフィアの狭間で自分と家族の身を守るために全財産の1ドルをはたいてやり手の女弁護士を雇う。良くも悪くも手堅い出来のサスペンスだが、散々引っ張っておいて最初からそうしておけばいいのにというオチで終わるに違和感を持った。
イレイザー 1996 米 チャールズ・ラッセル ★★ クライマックスの大暴れにカタルシスがある娯楽映画。
イレイザーヘッド 1977 米 デヴィッド・リンチ わかるようでわからない究極のカルト映画。グロテスクな赤ん坊の泣き声にはものすごい不快感を感じる。
鰯雲 1958 日 成瀬巳喜男 ★★ 時代の流れによって古い日本を象徴する家父長制度が壊されていく姿が丹念に描けていると思う。多すぎる登場人物の関係を整理するのが大変。
イン・アメリカ 三つの小さな願いごと 2003 アイルランド/英 ジム・シェリダン ★★★ 長男を亡くした過去を引きずりながらニューヨークのぼろアパートで生活を送り始めた若夫婦と娘二人のアイルランド系一家の苦難と心の再生を描く。貧困と闘う姿をあくまでポジティブに描こうとする姿勢、二人の娘の気丈な姿、病という業を背負った若き無名芸術家との交流、作中に出てくる才気ある画、3つの願いの設定など、涙なしでは見られない良質のドラマ。
イン・グッド・カンパニー 2004 米 ポール・ウェイツ ★☆ 勤めている会社が大手メディア企業に買収され、息子ほどの上司を持つこととなたダンの苦悩をよそに、当の上司はよりにもよって娘と付き合いだしてしまう。周囲の同僚や部下の首がポンポン飛びまくる中を生きる中年サラリーマンと若きエリートの苦悩をコミカルなタッチで描いているのだが、インパクトも展開の妙もない中途半端なホームドラマ感覚の内容だった。
イングリッシュ・ペイシェント 1996 米 アンソニー・ミンゲラ ★★★★★ 1990年代を代表する魅惑的なラブ・ストーリー。現在と過去の二つの物語が、物語の時間軸上は交互に進み、実際の映画の時間軸上は同時に進行する、複合的な構造により相乗効果以上のものを生み出している。
イン・ザ・カット 2003 米・豪・英 ジェーン・カンピオン メグ・ライアン脱いだこと以外に着目点がないサスペンス。チープすぎる展開が失笑もの。
インサイダー 1999 米 マイケル・マン ★★☆ ドキュメンタリー調の撮り方が逆にフィクションっぽさが強くなってしまっているものの、正義のために黒い力に立ち向かっていった者たちを硬派に描ききっている。
インソムニア 2002 米 クリストファー・ノーラン ★★★ 不眠に悩まされた経験があるので主役に感情移入ができたクライム・ドラマ。
インタビュー・ウィズ・バンパイア 1994 米 ニール・ジョーダン ★☆ 良心をもった吸血鬼が愚痴っているだけのような内輪話が延々と続くのがきつい。
インディ・ジョーンズ 1981 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ 正式タイトル「レイダース/失われたアーク」。宝探しアドヴェンチャーにオカルトに目のなかったナチス・ドイツを絡めるという設定にワクワクさせられた。
インディ・ジョーンズ2 1984 米 スティーブン・スピルバーグ ★★ 正式副題「魔宮の伝説」。アクションは派手だがヒロインがただギャーギャー騒いでいるだけという印象の方が強い。ナチが出てこないのも減点要素。
インディ・ジョーンズ3 1989 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ 正式副題「最後の聖戦」。インディ&その父がドタバタしたながら、ナチス・ドイツと戦うという設定が面白かった。
インデペンデンス・デイ 1996 米 ローランド・エメリッヒ ★★ アメリカ合衆国版スター・ウォーズ。
イントゥ・ザ・サン 2005 日 ミンク ★★ 東京都知事殺害事件の解決になぜか新米FBI捜査官を引き連れたセガール様が参加する。ある意味日本が産んだともいえるハリウッド・スター、スティーブン・セガールが故国日本を舞台に渋く暴れまわる。内容がB級ということと、中国と日本の区別をつけられない設定を除けば、思ったほど変な日本ではなかったし、日本人キャストが結構豪華で楽しめた・・・とはいえ映画としての内容が優れているわけではない。
イン・ドリームス 殺意の森 1998 米 ニール・ジョーダン 予知夢に現れたとおりに連続殺人犯に娘が誘拐されてしまったクレアは錯乱状態に陥り、現実と悪夢の境目がわからなくなっていく。中途半端な予知能力を持ったがゆえに招いてしまった苦しみのドラマを延々と見せられても、だからどーした、としか言いようがない。
イン・ハー・シューズ 2005 米 カーティス・ハンソン ★★ フィラデルフィアで弁護士として生真面目に暮らしているローズのもとへ、抜群のスタイルと美貌を備えてはいるものの定職にもつかずブラブラとしている妹のマギーが転がり込んでくる。中盤以降姉妹が直接絡むシーンが殆どなくなってだれてしまうのだが、何もかもが対照的で両極端な姉妹の姿で見る者の興味を引きつけながらも、人生の生きがいも描いているところが良かった。
インビジブル 2000 米・独 ポール・ヴァーホーヴェン ★☆ CG頼みの透明人間物語。透明人間になる薬を開発して、自らの身を持って実証した男であったが、薬の副作用で徐々に精神状態がおかしくなり凶行に走り出す。アイデアや展開にも新しさがない。何よりいくら天才肌とはいえ人体実験のせいでという理由だけでそこまで性格が豹変するのは説得力に乏しいので止めてほしかった。いっそのことポルノに徹して乳房吸いのようなシーンを増やしていればまだましだったかも。
インファナル・アフェア 2002 中(香港) 麥兆輝(アラン・マック) ★★ 潜入捜査官として香港マフィアの世界に身を置くヤンとマフィアのボスの命令で警官となったラウの二人の生き様を描いたクライム・サスペンス。冒頭から途切れることのないスリリングな展開に加え、二人の男の苦悩と恋を織り交ぜるというツボを心得た娯楽映画。娯楽路線ゆえ生死の境に生きているという切迫さが今一つだった。
インファナル・アフェアII 無間序曲 2003 中(香港) 麥兆輝(アラン・マック) ★★ 前作から時代を遡り、ストリート育ちのラウが香港マフィア経由で警察学校に入学し、マフィアの親類であったことがたたって警察学校経由でマフィアへ潜入することとなったヤンを描く。登場人物の過去というのは描かない方が面白いことが多いのだが、設定こそリアリティに乏しいものの、冒頭から漂いまくる緊迫感という点では前作を凌いでおり、これはこれでなかなか面白かった。
インファナル・アフェアIII 終極無間 2003 中(香港) アラン・マック(麥兆輝) ★☆ 第1作の10ヶ月後の香港、改心してマフィアの密偵からまっとうな警察官として生きようよ決めたラウは、殉職した潜入捜査官ヤンの心情を知ることとなる。前二作が冒頭からぐっと掴んでくる構成だったのに比べると、本作は大人しめ。無間地獄に落ちていく終盤は悪くはないと思うが、シリーズの大ファンが見ること先にありきのとっつきにくい構成が今二つだった。
インフェルノ 1980 伊・米 ダリオ・アルジェント ★★ 「サスペリア」に続く魔女三部作の第二弾という位置づけであるが、明らかに後付けの内容。ニューヨークの古アパートに住むローズは、隣の骨董屋で手にいれた「三母神」という本に書かれている記述から、世界に三人の邪悪な女神がおり、その一人が自らのアパートに住んでいることを信じて探索を始める。もっともアルジェントらしい作品として高名であるとおり、冒頭かららしいミステリアスな雰囲気を振りまいてはいるものの、雰囲気やイメージ重視のため何だか???な展開が多い。
インランド・エンパイア 2006 米・ポーランド・仏 デヴィッド・リンチ 豪邸に暮らすスター女優ニッキーは、映画監督のスチュワートに請われ、あるいわくつきの映画の主演を勤めることになるのだが・・・。気まぐれのようにつながれ複雑に入り組んだ5つの世界で描かれる、女性という複雑な心理をもつ生き物の内面? 率直なところ、適当にシーンを羅列させて、微妙に交差している風を装って、起承転結らしきものを付け加えているだけという印象は否めなかった。もしリンチ以外の監督の作品だったら「エド・ウッドの再来」と呼ばれて持ち上げられることはなかっただろう。これを抽象芸術だというならピカソの作品をしっかりと見たほうがいい。褒めるところがあるとすれば、シリアス路線なのに笑うしかないお寒いシーンとエンディングの皆でダンスくらい。
ウで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ヴァイキング 1958 米 リチャード・フライシャー ★☆ 名高いヴァイキング王ラグナーが、イングランド王妃を強姦して産ませたエリックの受難の物語を彼を取り巻く人々とともに描く。古き良き大作娯楽映画の趣があるが、内容が三文芝居過ぎる。本物の帆船を使った海洋シーンに迫力がある。
ヴァージン・スーサイズ 1999 米 ソフィア・コッポラ 1970年代、アメリカ郊外の静かな住宅地、厳格な両親とともに平穏に暮らしてきた美しい5人姉妹の末娘セシリアが自殺を図り、両親はセラピストの助言に従い生活改善を図るのだが、ホームパーティのさなかにセシリアが自殺を遂げてしまう。儚くも脆い感性をもった思春期の少女たちを描きたかったのはわかるが、大した理由もないのに自殺することがそんなに美しいことなのだろうか。音楽だけが良かった。
ヴァンダの部屋 2000 ポルトガル・独・仏 ペドロ・コスタ 評価検討中 少しづつ撤去されていく廃墟のような町で繰り広げられる淡々としていながら非日常的な日常。ドキュメンタリーの中にフィクションや物語を見出すことでフィクションとドキュメンタリーの壁をぶち壊した作品。余計な編集を行わず固定カメラの長回しを用いているため、とんでもなくゆっくりと時間が流れる上に、上映時間が約3時間もあるので気持ちと時間に相当ゆとりがないと鑑賞がこたえるのが難点(疲れているときに観ようとすると眠気と戦う羽目になる)。誰にでも撮れそうなようで誰にも撮れない斬新な映画であるのは確かだが・・・。
ヴァンドーム広場 1998 仏 ニコール・ガルシア 宝石商であった夫ヴァンサンの事故死に不審を抱いた妻のマリアンヌは、夫が遺した最高級のダイヤの謎を追ううちに、事件に巻き込まれていく。ハリウッド映画に毒されている中途半端なフランス映画。サスペンス・タッチであるが色恋に行き着くあたりだけはおフランス風。
ヴァンパイア/最期の聖戦 1998 米 ジョン・カーペンター ★★☆ ローマ教会直属のヴァンパイア・ハンターの物語。いかにもなゴシック・ホラーだが、杭をガンガン打ち込み、日光に晒して消滅させてしまうど、荒いハンティング方法には見ごたえがある。終盤にややだれてくるもののB級映画としては十分に満足できる内容。
ヴァン・ヘルシング 2004 米・チェコ スティーヴン・ソマーズ ★☆ 19世紀のヨーロッパ、バチカンの秘密組織から命を受けモンスター狩りにいそしむるヴァン・ヘルシングはドラキュラ伯爵退治に向かうこととなる。ハリウッド大作娯楽映画版吸血鬼バスター。ヘルシング教授がワイルドなところが個性的といえるが、物語も映像も殆どゲームのようで、見る楽しさすら殆どない。
ウィズ 1978 米 シドニー・ルメット ★★ 「オズの魔法使い」改め「ウィズの大魔王」(笑)。舞台は現代に、少女ドロシーは大人の教師に、登場人物も音楽もブラック系へと、随分と毛色が変わった設定はともかく、オリジナルでのドロシーの現実逃避の願望が生み出した、現実の裏返しとしての魔法の国&魔女という設定をなくしてしまってはこのおとぎ話の本当の意味がなくなってしまうと思った。コア(核)をなくしたリメイクほど観ていてつらいものはない。音楽と踊りと舞台美術は悪くないが、だんだん延々と続くミュージック・ビデオのようになってだれてくるのも難点。
ヴィドック 2001 仏 ピトフ ★☆ フランスに実在した探偵ヴィドックの死の謎を若い伝記作家が追っていく。映像はときおり一瞬のキレを見せるがあとはグダグダのサスペンスなのであきれ果てる。「その男の顔は鏡、映ったものは死ぬ」というキャッチ・コピーと予告編だけが良かった。
ウィル・ペニー 1967 米 トム・グライス ★★ 牧童として生き初老を迎えても一人身のウィル・ペニーは、クイント一家と争って負傷するが、たまたま出会った旅の途中のカザリン母子に手厚く看護され長い人生で初めて人のぬくもりを知ることになる。”シェーン”の焼き直しのような展開だが、ミステリアスでいわくありげにも関わらず誠意の男だったシェーンに比べると、ウィルには人生の悲哀が満ち溢れているのが特徴。クイント一家の悪者ぶりなど、しょうもない部分が目につくため数段格が落ちるか。
ヴィレッジ 2004 米 M・ナイト・シャマラン ★★ 迷信めいた3つの不文律に縛られた村で過ごす人々の中、鍛冶職人のルシアスは未だ見ぬ外の世界への好奇心を日々募らせていた。オチはしょうもないが、そこまでのドラマは観られるものになっている。この監督の作品の中ではマシな方だけれど、やはりこれもパクリらしい。
ウィンブルドン 2004 英 リチャード・ロンクレイン ★☆ 好調時には世界ランキング11位だったものの、今やすっかり落ち目の上位だったベテラン選手ピーターは、引退を決意してやってきたウィンブルドンで、新鋭女性選手のリジーと出会い恋に落ち、ついでに勝ち運まで急上昇し、トーナメントを勝ち上がっていく。いきなり最初から恋に落ちるなど、内容も展開も軽いことこの上ないロマコメだが、クライマックスの試合シーンだけは結構面白かった。
ウーマン・オン・トップ 1999 米 フィナ・トレス ★☆ 愛する夫の浮気を許せず、サンフランシスコに飛び出してきた料理上手で乗り物酔いに弱いイザベルは、追いかけてきた夫と好青年クリフとの三角関係に揺れる。男たちを容姿と振る舞いだけで籠絡する美女にペネロペ・クルスがはまっていたが、彼女の妖艶さ以外に見るべき要素がない三文芝居だった。
ウール100% 2005 日 富永まい ★☆ ゴミを拾って家に持ち帰る趣味を持っている梅と亀の年老いた姉妹の家通称”ゴミ屋敷”に、ひたすら赤い毛糸を編みまくる少女の姿をした妖怪?”アミナオシ”が現れる。まったく現実感のない設定と画により、まったく現実感のない展開が繰り広げられる。緩い内容の割にはコメディでもなく、何を言いたかったのかがまったく意味不明。”あー、あみなおしじゃぁー”というセリフと、妙な間のインパクトが印象に残った。
ウェインズ・ワールド 1992 米 ペネロープ・スフィーリス ★★ クィーンの音楽史に残る名曲ボヘミアン・ラプショディーに再度スポット・ライトをあてたことに価値があるおバカなコメディー。
ウエディング宣言 2005 米 ロバート・ルケティック ようやく巡り合った理想の男性ケヴィンにプロポーズされ有頂天のチャーリーであったが、意地悪な未来の姑のヴィオラとの女のバトルに身を投じる羽目に陥るのだった。姑と嫁のネチネチした戦いを大仰に描いているだけで面白くとも何ともなかった。老いてなお抜群の存在感を誇るジェーン・フォンダが唯一の見どころ。
ウェディング・バンケット 1993 米・台湾 アン・リー ★★★ 両親に結婚を期待されている台湾出身の米国人青年、その恋人のアメリカ人青年、グリーンカードが欲しくて偽装結婚に応じた上海出身の女性の三角関係。アメリカを舞台に描かれる中国人の話で、おまけに同性愛ものなのでお上りさんのような雰囲気を感じたが、中国独特の文化を背景にした世代間関係や、不可思議な三角関係が、悲喜こもごもの良質なドラマを醸成していた。
ウェディング・プランナー 2001 米 アダム・シャンクマン ★☆ 仕事は超一流だが恋は奥手のメアリーが恋に落ちた小児科医スティーブは仕事人生を賭けた大仕事の花婿だった。”仕事か恋か”というありがちなテーマを扱ったこれまた定番な展開のお軽いロマンティック・コメディー。主人公の職業がウェディング・プランナーということと、ダンス・シーンを肝にしている以外にこれという特徴がない。
ヴェニスの商人 2004 米・伊・ルクセンブルク・英 マイケル・ラドフォード ★★ シェイクスピア原作。商人シャイロックは、3か月以内に返済できなければ本人の”1ポンドの肉”を頂く、という条件で無利息融資を行うのだが・・・。原作で顕著だったユダヤ人迫害の精神に対して、この映画版ではユダヤ人側の迫害される悲劇も描かれているのが特徴で、時代の違いを感じさせられた。
ヴェロニカ・ゲリン 2003 米・アイルランド・英 ジョエル・シューマカー ★★ 麻薬組織と徹底的に戦った実在の女性記者ヴェロニカ・ゲリンの半生。安っぽいドラマという印象が強かった
植村直己物語 1986 日 佐藤純彌 ★★ 伝説の冒険家・植村直己の半生。主演の西田敏行がもつ天性の純朴さが物語に暖かみを加えているが、なぜ挑戦し続けたのかは描かれていない。
ヴェルクマイスター・ハーモニー 2000 ハンガリー・独・仏 タル・ベーラ ★★★☆ 長回しの帝王テオ・アンゲロプロスを上回る偏執狂的なまでの長回しで描かれるブラック・ファンタジー的寓話。陰影を強調したモノクロ映像などこれぞカルトという要素を取り揃えている。
ウォーターボーイズ 2001 日 矢口史靖 ★★ TVドラマにもなったTVドラマ程度の娯楽映画。少年たちがシンクロナイズド・スイミングをするという意表さがなければ殆ど何も残らない。
ウエスト・サイド・ストーリー 1961 米 ロバート・ワイズ ★★★ 「ロミオとジュリエット」を下敷きにしたダンスシーンが忘れがたい古典ミュージカル。ハリウッド黄金期のエネルギーが凝縮されているような感じ。
ウォーク・ザ・ライン/君に続く道 2005 米・独 ジェームズ・マンゴールド ★★ 伝説のカントリー・シンガー、ジョニー・キャッシュの伝記物語。ご多分にもれずドラッグにはまって堕ちて行くが実話ベースなのでやむをえないか。
ウォーター・ワールド 1995 米 ケヴィン・レイノルズ 地球温暖化によりすべての陸地が水没した仮想未来という設定には興味を惹かれるが、中途半端に娯楽映画の上に、大作にもかかわらず、どこにお金をかけたのかがよくわからない。
ウォール街 1987 米 オリバー・ストーン ★★☆ 欲望と妄執に取り付かれたウォール街のエリート・ビジネスマンたちの姿を抉り出す。意外性や衝撃はあまりないが、単なる弾劾に終わらず、人間の真理をも描いているのが味のあるところ。
ウォルター少年と、夏の休日 2003 米 ティム・マッキャンリーズ ★★★ ウォルター少年が預けられた老人二人荒くれぶりの面白さと、練った構図の遠景の美しさが気に入った。
浮雲 1955 日 成瀬己喜男 ★★★ ステレオタイプのダメ男と娼婦にまで身を落とす女のお互いがお互いを振り切れないメロドラマ。女性の哀しすぎる情念を中心に描かれる堕ちていく姿を格調高く描いている。
動く彫刻 ジャン・ティンゲリー 1981 日 勅使河原宏 ★★ 1963年にスイスのキテレツ彫刻家ティングリーが来日した際に撮った映像を編集してナレーションをつけた短編映画。
雨月物語 1953 日 溝口健二 ★★★☆ シンプルで教訓をもったストレートな物語や音楽の使い方はもちろんであるが、中盤の屋敷における幻想的な場面をはじめとする様式美が秀逸だった。
失われた週末 1945 米 ビリー・ワイルダー ★★ アル中男の王道を行く悲惨話。構成の妙で見せるヒューマン・ドラマの古典だが、強烈なオリジナリティーや堕落ぶりがあるわけではない。
後ろから前から 1980 米 小原宏裕 同名歌もあったエロ映画。ブスだしスタイルも良くない畑中葉子がどうしてアイドルだったのかさっぱりわからん。
宇宙水爆戦 1955 米 ジョセフ・ニューマン ★☆ 原子力の研究をするミーチャム博士は馴染みの女性科学者ルースらとともに、エクセターなる謎の人物に選ばれ彼の研究所へ招かれ、やがて惑星メタルーナをめぐる宇宙戦争に巻き込まれていく。製作年代を彷彿とさせるチープな近未来SF感がなかなか乙な塩梅だが、意外にダークな世界観はともかくとして、安直すぎる筋書きは物足りなかった。
宇宙戦艦ヤマト 1977 日 舛田利雄 ★★ TVシリーズの総集編と言ってもよい内容だが、長尺過ぎない映画なのでかえってうまくまとまっている感じ。
宇宙戦艦ヤマト 完結編 1983 日 西崎義展 ★★ 地球滅亡の危機を救うべく出航したヤマトがあちこちを転々としたあげくに特攻してナルシスティックに終わります。
宇宙戦争 2005 米 スティーブン・スピルバーグ ★★☆ 世界各地を不思議な暗雲が覆い、無数に落ちた雷の跡から現れた巨大な三本足の”謎の物体”が人類を襲い始めると、冴えない労働者レイは別れた妻から預かっていた二人の子供を引き連れて必死の逃走を始めるのだった。宇宙人襲来&古典的過ぎる造形と手法には新鮮さがないものの、パニック&家族愛の映画の形をとりつつも、窮地に対して過剰な程に暴力的に反応するアメリカ人を描いたシニカルなメッセージはスピルバーグ監督作ならではの味わい。
美しき諍い女 1991 仏 ジャック・リヴェット ★★☆ 富みも名声も得たものの20年以上もまともに作品を発表していない老画家のフレンフォーフェルは、家に招いた新進画家ニコラの恋人マリアンヌに惚れこみ、10年前に未完のままに終わった最後の作品「美しき諍い女」に再度取り組むことを決意する。公開当時はヘア論争がウリ言葉になっていたが、とにかく長い映画で画家とモデルの心の交流と反発など難易度の高い内容。リアルタイムで観たときは相当子供だったので、気が向いたらもう一度見直して再評価してみようと思った作品。
美しき諍い女 無修正版 1991 仏 ジャック・リヴェット ★★★ ↑ということで機会があったので無修正版で再鑑賞した。画家とモデルとその周囲の人々とその人間関係が徐々に変わっていく様を緊迫感を保ったまま描いているところや、スタンダードサイズでの構図美に痺れた。ただ、創作の過程を丹念に描いているにもかかわらず、肝心の画にひとつも素晴らしいものがない上に、上映に4時間もかけているのに完成品(という至福)だけを見せない姿勢には失望を覚えた。人間の内面を露わにした画は相当世に出ているのだから、逃げたとしか思えなかった。イマイチでもいいから、それまでの画よりも良いものを見せてくれさえいれば・・・。
美しき虜 1998 スペイン フェルナンド・トルエバ ★★☆ ペネロペ・クルス主演のスペイン映画。1938年、内戦の続くスペインから、友好国ドイツに招かれて映画を撮ることになった一行の顛末を描く。ナチスドイツ宣伝大臣ゲッペルスも登場(似ている)。それぞれの面子が個性豊かなのは面白い。禿げちゃびんの中年映画監督とペネロペが恋人同士というリアリティのなさや、陳腐すぎる物語はイマイチだけれども、それらの難点を遥かに凌駕するペネロペ・クルスの魅力だけで最後までもたせてしまう。これまで自分が観てきたすべての映画の登場人物・役者の中で、本作のペネロペ・クルスが一番美しい。
失われたものゝ伝説 1957 伊 ヘンリー・ハサウェイ ★☆ サハラ砂漠に消息を絶った宣教師の父の夢を実現するためフランス人ポールは、気の移ろいがちな美女ディタ、案内人のジョーとともに、莫大な財宝を秘めているという伝説の町を目指すことになる。「アラビアのロレンス」を彷彿とさせるロケーションは美しいが、全体的に漂う陳腐な三文芝居感はいかんともしがたく、かつ、荒くれ者を装った?ジョーもジョン・ウェインが演じている時点で結局いい人役になるのが見え見えのため、面白みは少なかった。
UDON 2006 日 本広克行 ★☆ 讃岐”うどん”の話。映画にする意義を考えてしまう薄味のドラマで予定調和の世界に終始する。安っぽい画も頂けない。
うなぎ 1997 日 今村昌平 ★★★ うなぎに魅せられている出所したての殺人犯と、彼を取り巻く人々をほんわかとした空気で包み込んで描いている。
海猿 2004 日 羽住英一郎 ★★☆ 潜水士版「トップガン」。友情あり、恋あり、困難な訓練あり、強力なライバルあり、親友の事故死あり、苦悩あり、最後は実戦に駆りだされて、しっかりハッピー・エンドに収まる。
海は見ていた 2002 日 熊井啓 ★☆ ”脚本・黒澤明”と謳ってはいるがラフな遺稿にかなり手を入れたか、さもなくば相当モウロクしていたときに書いたのではないかという気がする女郎もの。
海の上のピアニスト 1999 伊・米 ジュゼッペ・トルナトーレ ★★★ 生涯を船の上だけで過ごした天才ピアニストという寓話的な物語。やや感傷的に過ぎるものの、ピアノ線が焼け焦げてしまう激しい演奏と、愛のテーマのシーンが印象に残った。
海の情事に賭けろ 1960 日 野口博志 ★☆ 平凡な大学生がなぜか犯罪組織に命を狙われて・・・。いかにも日本産っぽい青春ハードボイルドだな。
海を飛ぶ夢 2004 スペイン・仏 アレハンドロ・アメナーバル ★★☆ 海で起きた事故で四肢が麻痺して以来26年間寝たきりの男性ラモンは、法律で認められていない尊厳死を望み、共感を抱いた人権擁護団体のジェネや弁護士フリアらの助けを得て法廷に訴え出るのだが・・・。人間の尊厳を見つめる真摯な眼差しに好感を持てた。皮肉屋で人間味のある主人公と様々な思惑と事情を抱えた脇役たちのおかげで、リアリティを感じられるヒューマン・ドラマに仕上がっている。失われた夢と死という希望の象徴として描かれるガリシアの海が美しかった。
埋もれ木 2005 日 小栗康平 ★★★ 女子高生たちの(とてもそうは見えないほど落ち着いているが・・)の作り話から広がっていくとにかく深い物語で、現実・過去・未来・夢・創造のすべてが静寂の中に織り込まれている。
裏窓 1954 米 アルフレッド・ヒッチコック ★★☆ 車椅子の男が望遠カメラで他人の家を覗き見してたら殺人を目撃してしまって、それに気づいた犯人が自分を殺しにするが撃退する、ジ・エンド(モンティ・パイソンのスケッチより)。グレース・ケリーが綺麗。
うるさい女たち 1987 米 アーサー・ヒラー ★★☆ デブの中年女にしか見えないベット・ミドラーが無理をして若い女優と張り合っているドタバタ・コメディー。女優志望の女たちが演技という嘘で危機を乗り切ろうとする点はなかなか面白かった。
うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー  1984 日 押井守 ★★★ 高橋留美子原作の人気コミックの映画版であるが、動く漫画としてのアニメの枠を悠々と飛び越え、時間の概念や夢(虚構)と現実の壁を描くなど作家性の色濃い作品に仕上がっている。
ウルフ 1994 米 マイク・ニコルズ ★★ ジャック・ニコルソンの狼男がはまり役だが、変にシリアス路線に流れないで、喜劇路線のまま突っ走って欲しかった。
麗しのサブリナ 1954 米 ビリー・ワイルダー ★★☆ 富豪ララビー家のお抱え運転手の娘サブリナは、プレイボーイの次男坊デイヴィッドに恋をしていたが叶わず、傷心のままに留学へ赴いたパリで美しいレディに変貌して帰国し、デイヴィッドを夢中にさせるのだが、デイヴィッドの政略結婚の妨げとなることを恐れた長男ライナスは一計を案ずるのだった。三角関係ものにしてシンデレラ物語という時点で話は凡庸とならざるを得ないのだが、ワイルダー監督ならではの小ネタ&小道具の使い方の妙と、主演のヘップバーンの美しさのおかげで楽しむことは出来た。
噂の二人 1961 日 ウィリアム・ワイラー ★★ レズビアン嫌疑をかけられた女二人の悲劇。シャーリー・マクレーンがオードリー・ヘップバーンの引き立て役に回っている。
ウンタマギルー 1989 日 高嶺剛 ★★★☆ 太平洋戦争後の米軍統治下の沖縄を舞台した独特の神話的世界に魅了される。樹の精霊キジムナーと普通に友達だったり、グラマラスな美女が豚の化身だったり、不可思議な魅力でいっぱい。DVD化希望。
運命じャない人 2004 日 内田けんじ ★★★ タランティーノもビックリのタイム・パラレル感覚が実に心地よい。観ているうちにこっちの頭までグルグル回ってきてしまう脚本の出来が秀逸。
運命の女 2002 米・独・仏 エイドリアン・ライン ★★★☆ 冒頭の嵐を始めとして、些細なことで止められたはずがどんどんと泥沼にはまり込んでいくリアルな展開で、身につつまされる大人のラブ・ストーリーをうまくまとめている。
エで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
エアフォース・ワン 1997 米・独 ウォルフガング・ペーターゼン ★★ ハリソン・フォードが加齢に伴いとうとうアメリカ大統領としてテロリストに立ち向かうことになり、航空機版ダイ・ハードが制作された。
エアポート'77/バミューダからの脱出 1977 米 ジェリー・ジェームソン ★★ 航空機ものを連想させるタイトルとは違ってなぜか海底に沈みっぱなしの危機サバイバル。酸素持つものなのか?という素朴な疑問はさておき、ドラマは意外と見られる。
エアポート'05 2005 米 ジェイ・アンドリュース 無意味な連続殺人に、お色気を見せたり、飛行機内で無茶苦茶に銃をぶっ放すハイジャック犯と、気持ちがすぐに萎えてく航空機ハイジャックもの。
エアポート ユナイテッド93 2006 米 ピーター・マークル ★☆ 世紀のテロ「9・11」のときにハイジャックされながらも乗客たちの奮闘でテロの阻止に成功した(実際は撃墜されたとする説の方が有力)ユナイテッド93便の内部で起きた(であろう)ドラマを再現した作品。ハイジャック犯たちが乗客を放置しており、飛行機から携帯電話が地上につながりまくり、家族と会話しまくり、という不自然過ぎるドラマ的内容に醒めていた。
A.I. 2001 米 スティーヴン・スピルバーグ ★★ 史上初めて愛をインプットされた少年ロボット・デイヴィッドの果てしない愛を求める旅を描いた21世紀のおとぎ話。自虐度の高すぎる展開には好き嫌いが分かれそう。
永遠と一日 1998 ギリシア・仏・伊 テオ・アンゲロプロス ★★★★ 過去、現在、そして明日の死を一日の出来事に封じ込めつつも、最後にはほんのわずかな希望が残される詩情豊かな物語。
永遠のマリア・カラス 2002 伊・仏・英・スペイン フランコ・ゼフィレッリ ★★ 伝説の天才オペラ歌手マリア・カラスの晩年を描いた半フィクション・ドラマ。物語自体はどうということはないのだが、作中で流される美声の何と魅惑的なこと。
映画女優 1987 日 市川崑 ★★ 日本映画史上5指には入るであろう名女優・田中絹代の半生。名匠溝口健二監督との出会いと交流から「西鶴一大女」の山場までにいたる終盤に見ごたえがあった。
栄光のル・マン 1971 米 リー・H・カッツィン ★★ ドキュメンタリー・タッチで描かれたレースマニア系作品。主演のスティーブ・マックィーンの趣味がよく出ている。
英国式庭園殺人事件 1982 英 ピーター・グリーナウェイ ★★★☆ 貴族の物語であり、推理小説のようで、なおかつ”動く彫像”に象徴されるアバンギャルドさをも併せ持った不思議な質感がある。マイケル・ナイマンの心地よいバロック調の音楽も魅惑的。
エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事 1993 米 マーティン・スコセッシ ★★ 説明付再現ドラマのように描かれる19世紀ニューヨーク社交界。
8 mile 2002 米・独 カーティス・ハンソン ★★★ 白人ラッパー・エミネムの半自伝的物語。迫力満点のラップ・シーン秀逸で、ただのアイドル映画とは一味違う面白さがある。
英雄の条件 2000 米 ウィリアム・フリードキン ★★☆ 中東はイエメンで暴動化する群衆に向けての発砲を命令せざるを得なかった米国軍人と、かれの弁護にたった友人の葛藤をシリアスに描く。
エイリアン 1979 米 リドリー・スコット ★★☆ 近未来の宇宙船で謎のエイリアンが船員たちを襲う! 血が強力な酸という無茶苦茶振りにも、最初に人間の腹を食い破って出てきたときも、成長する姿にもショックを受けた。
エイリアン2 1986 米 ジェームズ・キャメロン ★★★ 前作より数も規模もパワーアップしたエイリアンの設定はもちろん、幼い少女とアンドロイド(ビショップ)を登場させるアイデアが秀逸で前作になかったドキドキ感が出ている。
エイリアン3 1992 米 デヴィッド・フィンチャー ★★ 労働矯正施設(≒刑務所)用の惑星でエイリアンと一騒動。(未来のくせに)シラミがいるので全員丸坊主。
エイリアン4 1997 米 ジャン=ピエール・ジュネ ★★☆ 4作目ともなるとさすがに新鮮味には欠けてくるが、その分安定した娯楽作品になっている。ニューボーン・エイリアンの造形が鳥山明作品からパクったかのよう。
エイリアンVSヴァネッサ・パラディ 2004 仏・独・英 ディディエ&ティエリー・ポワロー ★☆ 何だかよくわからないラストを含めてヘンテコ度は高いが、タイトルから期待していた場面が見られない。”なんてこっちゃ”の駄洒落和訳よりも、"何のこっちゃ”の方が適切だろう(笑)。
エヴァースマイル、ニュージャージー 1989 英・アルゼンチン カルロス・ソリン ★★☆ 正義の歯医者南米を行く。世界の警察官を自認する押し付けがましいアメリカを体現するかのような歯医者が虫歯の撲滅を目指して南米を旅するちょっと可笑しなロードムービー。
ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 2007 日 庵野秀明 /摩砂雪/鶴巻和哉 ★★☆ 新訳版「新世紀エヴァンゲリオン」の第1章。セカンドインパクトと呼ばれる世界的大災害後の地球を舞台に、謎の生命体「使徒」と対峙することとなった人類と、汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンに乗り込むこととなった14歳の少年少女たちの苦闘を描く。第1章だけあって大きな変革はないが、ちょっちテンポが速すぎるものの重要エピソードを押さえた小気味よい展開なので、うろ覚え程度の「オリジナル」の記憶があれば懐かしさとも相まって楽しむことができるだろう。
駅 STATION 1981 日 降旗康男 ★★ 高倉健の高倉健による高倉健のための映画。それ以上でもそれ以下でもない不器用な刑事の物語。
駅馬車 1939 米 ジョン・フォード ★★★☆ ジェロニモ襲撃に脅えながら進む一台の馬車を中心に様々な人生模様を描き上げたロードムービー×ソリッド・シチュエーション×西部劇。わかりやすくて、面白くて、ヒューマン・ドラマもある。
エグゼクティブ・コマンド 1997 米 リック・ジェイコブソン あっさりと盗まれた超危険な化学兵器を追ってドンパチから副大統領搭乗機のハイジャックへ。切迫感も重厚な人間ドラマもない。
エクソシスト 1973 米 ウィリアム・フリードキン ★★☆ 少女に乗り移った悪霊バズスが醜悪さを周囲にもたらし、やがて最後の手段としてカラス神父が悪霊払いに挑む。首が回るシーンとラストに代表される不快な緊迫感が記憶に残る。
エコール 2004 ベルギー・仏・英 ルシール・アザリロヴィック ★★☆ いつの時代ともいずこの国とも知れぬ深い森の中の学校で少女たちは最長7年間を過ごす。幼女趣味には惹いたが、耽美的な映像と、象徴的に描かれた少女時代の終焉はなかなか。
es エス 2001 独 オリヴァー・ヒルシュビーゲル ★☆ 実話を騙ったフィクションというウソ。1971年に模擬刑務所で行われた心理実験でエスカレートしていく被験者たちの姿を描く。脚色がドラマチック過ぎていて不自然なのが痛かった。
SF サムライ・フィクション 1998 日 中野裕之 ★☆ 宝刀をめぐるサムライの物語が、なぜか300年後に転生したサムライの魂によって語られる。小手先芸による画にはこだわりが感じられるのだが、肝心の本筋に魅力がない。
エターナル・サンシャイン 2004 米 ミシェル・ゴンドリー ★★☆ 不要な記憶だけを消去できる最新技術に翻弄される恋人たちの話。「メメント」と「マルコヴィッチの穴」の二番煎じ。脚本の妙があるが、ときおりご都合主義展開に陥る。
Xファイル the movie 1998 米・カナダ ロブ・ボウマン ★☆ 人気TVシリーズの映画化作品。ごFBIのはぐれ者捜査官モルダーと、微妙に名コンビなスカリーが、宇宙人と謎の組織を追うが、映画版でも謎は解明されない。
X−MEN 2000 米 ブライアン・シンガー ★★☆ 異形のものたるミュータントが人間のために戦う。登場人物の個性をちゃんと発揮させるなど観客への見せ方を心得た娯楽活劇として上手くまとめている。
X−MEN2 2003 米 ブライアン・シンガー ★☆ ミュータント登録制法案が推し進められ、X−MENは徐々に追い詰められていく。短絡的な展開、短絡的な暴力、超能力見本市と、アメリカ思想を具現化したかのよう。
エディット・ピアフ 〜愛の賛歌〜 2007 仏・英・チェコ オリヴィエ・ダアン ★★ フランスが生んだ世界的シャンソン歌手エディット・ピアフの生涯を描く。映画としての作りは典型的な伝記ものなのだが、主演のマリオン・コティヤールの熱演が彩るドラマチック過ぎる生涯に、ピアフの想いが乗せられた楽曲が交差していく終盤には胸打たれるものがあった。
エデンの東 1955 米 エリア・カザン ★★★ 格調の高い音楽&画で描き出される青春残酷物語。カインとアベルの物語が下敷きなのと、主役がナイーブ過ぎなので鬱陶しさは否めないが、ラストの邂逅には胸を打たれるものがあった。
エド・ウッド 1994 米 ティム・バートン ★★★ 史上最低の映画監督エド・ウッドの半生を、彼のトンデモ・アイデアと愉快な取り巻きたちを使ってうまく戯画化している。
エニイ・ギブン・サンデー 1999 米 オリバー・ストーン ★★☆ アル・パチーノ演じるアメフトのヘッドコーチが、崩壊の危機に晒されているチームを立て直そうと奮闘する。コテコテのスポ根だが、本物に負けていない迫力ある試合シーンは十分鑑賞に耐えうる。
エビータ 1996 米 アラン・パーカー ★★☆ 若くして死んだためアルゼンチンで聖女とも呼ばれているエバ・ペロンをマドンナが少々力みすぎで熱演したミュージカル。ロイド・ウェバーの書いた曲がなかなか良い。
えびボクサー 2002 英 マーク・ロック ★★☆ 巨大エビが出てくることを除けば正統派のヒューマン・ドラマ。内容と全く違う宣伝文句は一歩間違えれば詐欺。
江分利満氏の優雅な生活 1963 日 岡本喜八 ★★★☆ 劇中でも劇中内小説でも江分利満(エブリマン=日本の庶民全体を指す)の半生が語られる入れ子構造で、激動の戦中戦後を生き抜く小市民サラリーマンの悲哀をユーモラスに描ききっている。
エボリューション 2001 米 アイヴァン・ライトマン ★★ 宇宙から隕石とともに落ちてきた宇宙生物がとんでもないスピードで進化を遂げながら人類に襲いかかる。パロッたり、とんでもない退治方法でやっつけたりするお下劣系エンターテイメント。
エマニエル夫人 1974 米・仏 ジュスト・ジャカン ★★ 外交官夫人エマニエルが夫の赴任先バンコクで性のアバンチュールを繰り広げる。時代を反映したボカシが多いエロ映画。
エマニュエルの贈りもの 2005 米 リサ・ラックス/ナンシー・スターン ★★ 障害者を捨てる風習のあるガーナに生まれた片足のないエマニュエルが偏見をなくそうと精力的に活動する姿を追うドキュメンタリー。偏見云々の話がなかったとしても義足でトライアスロンに挑戦という時点で脱帽。
エミリー・ローズ 2005 米 スコット・デリクソン ★★ 悪魔祓いの話が裁判になって争われたという実話を基にした作品.。オカルト寄りになりすぎないよう気を配っている。
エリザベス 1998 英 シェカール・カプール ★☆ ”バージン・クィーン”エリザベス1世創世記の内ゲバ話。スコットランド女王メアリーとのドロドロした女の戦いではない。
エリザベス・ハーレーの明るい離婚計画 2002 独・米 レジナルド・ハドリン NYに里帰中のところへ、見知らぬ男経由で大富豪の夫からの離婚通知を突きつけられたサラは逆切れして逆襲に出ようとする。もともと馬鹿げた話であるからリアリティがないのは構わないが、必然性のよくわからない登場人物たちとネタが無軌道もいいところに現れ続けるだけなので、ラブコメっぽいという印象を除けば、何の話かを思い出すことも少ないままに終わってしまった。
L.A.コンフィデンシャル 1997 米 カーティス・ハンソン ★★★☆ 3人の刑事のそれぞれ視点から物語が進んでいくクライム・ドラマ。1950年代のロサンゼルスという舞台の魅力といい、各エピソードの面白さといい、グイグイ引き込まれていく。
エル・シド 1961 米 アンソニー・マン ★★ 11世紀のスペイン救国の将軍エル・シドの伝記というよりは、神話的要素をより強く感じる古典的ハリウッド大河ドラマ。エキストラの人数がなかなかのもの。
エル・スール 1983 スペイン・仏 ビクトル・エリセ ★★★☆ スペイン北部の”かもめの家”で父母と暮らした日々、不思議な力と父が内戦で負った心の傷跡が、娘エストレリャの回想形式で綴られていく。魅惑的な画の数々、南部(エル・スール)を始めとする象徴的な要素と多くを語らずに鬱っぽい雰囲気を作り出すことで見る者に感じさせる手法が心に響いた。
エル・トポ 1969 メキシコ アレハンドロ・ホドロフスキー ★★★☆ 「北斗の拳」の元ネタっぽい終末世界を舞台に描かれる神話的物語。ダイナミックな映像、快楽的なまでの残酷さ&変態さには多くの難点を補って余りある魅力がある。前半の西部劇風の展開も良いが、菊池寛の「恩讐の彼方に」を想起させる崇高な終盤も素晴らしい。
エルビス・オン・ツアー 1972 米 ピエール・アディジ/ロバート・エイベル ★★☆ 1972年のエルビス・プレスリーのツアーの模様をつづったドキュメンタリー。曲が良いし、声ももちろん良い。純粋にライブだけだったらもっと楽しかったかも。
エルミタージュ幻想 2002 露・独 アレクサンドル・ソクーロフ ★★★★ 私(霊的存在=観客の視点)はエルミタージュ宮殿で美しい美術と音楽に触れ、時空を超えながらロシア・ロマノフ王朝の歴史を体感していく。広大で多様な世界を表現するために90分ワン・カットという形式を選択したのにも納得の内容。
エルム街の悪夢 1984 米 ウェス・クレイヴン ★★☆ 夢の中でしか襲ってこないフレディという怪物を誕生させたアイデアが秀逸なオカルト・ホラー。ナンシー!
エルム街の悪夢2 / フレディの復讐 1985 米 ジャック・ショルダー ★☆ 男が襲われ、フレディが現実に現れ、オカルトなのに最後は愛が勝つ。
エレニの旅 2004 ギリシア・仏・伊・独 テオ・アンゲロプロス ★★★☆ 一人の女性の半生を通してギリシャという国の歴史を描き出した大河ドラマ。名人芸の域にまで達したアンゲロプロス流長回しによる抒情美が素晴らしい。
エレファント・マン 1980 英・米 デヴィッド・リンチ ★★★ 奇形人間として産み落とされた男の悲劇(実話)。ヒューマニズムとグロテスクさをモノクロ映像の中で両立させたある意味リンチらしい作品。
エレヴェイテッド 1996 カナダ ヴィンチェンゾ・ナタリ ★★☆ エイリアンのような怪物に追われているという男がエレベーターに飛び込んできたことで、平凡な日常が緊迫の密室劇に早変わりする。傑作「CUBE」へと繋がる試金石のような短編映画。
エンジェルス 1994 米 ウィリアム・ディア ★☆ 野球チームエンジェルスが子供の願いにより現れたエンジェルス(天使)の力を借りて快進撃。「メジャーリーグ」の亜流のようなファンタジック・ストーリー。
エンゼル・ハート 1987 米・英・カナダ アラン・パーカー ★★☆ 戦前の人気歌手を捜索するという謎の依頼を受けた私立探偵が悪夢のような世界に足を踏み入れていく。強烈に不気味だったエレベーターのシーンが忘れられない。
エンド・オブ・デイズ 1999 米 ピーター・ハイアムズ ★★ 世紀末に悪魔を絡めて、お金をかけて、シュワルチェネッガーを主演させて、作られたB級オカルト。
エントラップメント 1999 米・英・独 ジョン・アミエル ★★ 世紀の大泥棒対美人保険調査員。老いて盛んなショーン・コネリーの姿が楽しめた。
エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか 2005 米 アレックス・ギブニー ★★ これぞ”ザ・モラル・ハザード”というドキュメンタリー。粉飾決算にまみれた超巨大企業が一ヶ月かそこらでぶっ飛んでしまったのに、どこか他人事の経営陣の厚顔無恥ぶりに呆れ果てる。
オで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
お熱いのがお好き 1959 米 ビリー・ワイルダー ★★★ ギャングに命を狙われている男二人が女装して女性オーケストラに紛れ込んで恋の騒動を巻き起こす。キュートな(?)ジャック・レモンの芸達者ぶりが楽しい。
おいしい生活 2000 米 ウディ・アレン ★★ 間抜けな夫妻がリッチになり上流階級らしくなろうと奮闘するが・・・というベタなコメディー。
追いつめられて 1987 米 ロジャー・ドナルドソン ★★ 海軍将校が恋とスパイ戦に巻き込まれていく普通のサスペンス。ショーン・ヤングの美貌の衰えが気になった。
黄金の腕 1955 米 オットー・プレミンジャー ★★ 麻薬を絶ってシカゴの街に戻って来たフランキーは賭博トランプの”黄金の腕”を駆使して足の不自由な妻を養いつつも、ドラマーとしてまっとうな生活を送ることを望んでいたのだが・・・。麻薬に溺れ行く自分に嫌悪を覚えつつも自らの弱さに打ち勝ちきれない主人公をフランク・シナトラが好演している正統派のヒューマン・ドラマ。悪くはないがやや芝居かかり過ぎの感も否めない。
王様と私 1956 米 ウォルター・ラング ★★ 19世紀のタイに息子ルイズとともにやってきた女性英国人教師アンナは、シャム王の子供たちに西洋式教育を施していく。実話を下敷きにした同名舞台ミュージカルの映画化作品。シャム王がすごい野蛮な感じを残していて白人以外の存在への蔑視があからさまなのが惜しまれるが、名曲”Shall we dance?”とともに描かれるダンスシーンだけは色褪せない。
牡牛座 レーニンの肖像 2001 露 アレクサンドル・ソクーロフ ★★ ソ連建国の父・レーニンの幽閉にも近い哀れな晩年を描く。相当地味だがソクーロフとしては普通の劇映画。スターリンが故意にお茶目に振る舞ったシーンが印象的だった。
王と鳥 1979 仏 ポール・グリモー ★★★ 1952年に監督の意に反して発表されてしまたアニメ「やぶにらみの暴君」の完全版。台詞に頼ることなく、アニメらしい動き・効果的に鳴らされる音楽・象徴的な隠喩を用いて孤独・傲慢・独裁・圧政・恋・暴力・破壊・革命といった無数の要素をまとめて表現しきった凄い作品。
王になろうとした男 1975 米 ジョン・ヒューストン ★★ 1880年代のインド、ピーチ・カーネハンとダニエル・ドレイボットの英国人二人は、アレキサンダー大王以来誰も踏み入ったことがないという、ヒマラヤの奥地にあるカフィリスタンに潜入し、現地民を扇動して自らが王にならんと謀るのだった。西洋文明第一の人間が遭遇する大人の寓話。2千年以上も未踏の地ならもっとカルチャーギャップがあってしかるべきだが、基本が娯楽映画路線なのでやむを得ないか。
王の男 2006 韓 イ・ジュンイク ★☆ 韓国史に名を残す暴君に仕えた大道芸人の話。半フィクションとはいえ16世紀韓国の歴史物語を見るという意義はあった。
王立宇宙軍 オネアミスの翼 1987 日 山賀博之 ★★★☆ 宇宙に行ったこともなく武器も持たない”宇宙軍”が初の有人宇宙飛行を目指す。1980年代を代表する日本アニメのひとつ。
狼よさらば 1974 米 マイケル・ウィナー ★★☆ 暴漢に愛する妻を殺されて己の凶暴性に目覚めてしまった中年男が、何かに導かれるようにして悪漢どもに鉄槌を下し続ける。刑事に追われても止まらないあたりが実にビター。
OK牧場の決斗 1956 米 ジョン・スタージェス ★★ ワイアット・アープ&ドク・ホリデイのパブリック・イメージを創り上げた西部劇の古典「荒野の決闘」・・・のリメイク。
オーシャン・オブ・ファイヤー 2004 米 ジョー・ジョンストン 19世紀末、アメリカのカウボーイのフランクと愛馬ヒダルゴは、その才能を見込まれ1000年以上の歴史を誇り、由緒正しき血統のアラブ種が制してきたサバイバル・レースに参加することになる。主人公のカウボーイが、異国の地で過酷な環境と妨害にもめげずに勝利する・・・いかにもアメリカ人の好きそうな題材だが、こうすりゃ盛り上がるだろうというエピソード群が安易すぎて辟易とする。思わせぶりな映像もいまいち。
オーシャンと11人の仲間 1960 米 ルイス・マイルストン ★☆ ボスからラスベガスのカジノを襲う計画を任されたオーシャンは、第二次世界大戦下の戦友10名を呼び寄せて仕事に挑む。11名全員が集まるまでがダラダラと非常に長く、集まってからはやけにあっさりと襲撃が成功する。間の妙とか個々のエピソードが際立っているとかの特別な魅力もないので全体的に物足りない。
オーシャンズ11 2001 米 スティーヴン・ソダーバーグ ★★ オーシャンが仲間を集めてラスベガスで運営するベネディクトから100億円を超える大金と元妻を奪い返す。どんでん返しを含めよくまとめている。
オーシャンズ12 2004 米 スティーヴン・ソダーバーグ ★☆ 続編はやむにやまれず盗みに走る。新しい要素としてライバルが登場したり、ヨーロッパに行ったり、内輪話みたいな展開を見せるがプラス・アルファにはなっていない。
オースティン・パワーズ 1997 米・独 ジェイ・ローチ ★★ 007タッチでライトに笑い飛ばすアメリカ的おバカの世界。60年代対90年代・お色気アンドロイドなどのアイデアは悪くない。
オータム・イン・ニューヨーク 2000 米 ジョアン・チェン ★★ 中年過ぎてもなお独身の女たらしであったウィルは、余命一年の宣告を受けていたうら若き美女シャーロットと出会い、そうと知らずに恋に落ちる。タイトルどおり、秋のニューヨークで繰り広げられる、日本の昔の少女漫画か、韓国ドラマか、といったベタベタの悲恋もの。ハリウッド映画らしからぬビターな味わいが唯一意外だった。
オー・ブラザー! 2000 米 コーエン兄弟 ★★ 1930年代のミシシッピー州、刑務所から脱獄した3人の囚人たちは、逃走中にギターの名手である黒人を拾って録音したレコードがなぜか大ヒットしてしまうのだった。コーエン兄弟作らしい地味でカルトで変な作品だが、全編的に懐古趣味が強過ぎてつらい。
オープン・ウォーター 2003 米 クリス・ケンティス 久々のバカンスでカリブ海にやって来た、スーザンとダニエルの夫婦は、ガイド付きのスキューバ・ダイビング・ツアーに出かけるが、ガイドの手違いで海の真ん中に取り残されてしまう。低予算映画らしく手撮りによるドキュメンタリーっぽい質感が最大の特徴だが、それ以外に内容らしい内容がない。鮫を出すくらいなら、もうちょっとフィクション化すべきか、もしくは最初から余計なことをせず絶望だけに絞って描くべきだった。
オーメン 1976 米 リチャード・ドナー ★★☆ 6月6日の午前6時に生まれた悪魔の子ダミアンの周りで不幸な出来事が回り続けるという古典的オカルト。ダミアンの発する不気味な雰囲気とグレゴリー・ペックの芸達者ぶりで見せてくれる。
オーメン 2006 米 ジョン・ムーア ★☆ オーメンのリメイク版。殆ど完パクで金儲け以外にリメイクした意味を感じない上に、オカルト・スリラーにもかからわず、音と音楽で驚かせようとする手法に傾倒していたのがマイナスだった。
オーメン4 1991 米 ジョージ・モンテシ/ドミニク・オセニン=ジラール ★☆ オーメン少女版。悪魔の子ダミアンの娘が主人公だが、その周囲で人々が死に続ける点は同じ。あまり怖くないし、緊迫感も不足気味。
オールウェイズ 1989 米 スティーブン・スピルバーグ ★★ 死してもなお生者を愛する話を、ときにコミカルに、ときに切なく描いたファンタジー。死後現世に送り込まれた理由が、自暴自棄になって死ぬ運命にあった恋人に明るい未来を与えるためだった、という点が泣かせどころ。
ALWAYS 3丁目の夕日 2005 日 山崎貴 高度経済成長期に差し掛かりつつあった昭和中期の日本を夢と希望ある古き良き時代として描く。薄っぺら過ぎる過去へのノスタルジーが受け付けなかった。
オール・ザット・ジャズ 1979 米 ボブ・フォッシー ★☆ 名振付師ボブ・フォッシーが自ら監督して送る自伝的作品。画もダンスも古びており、21世紀に見る作品としては結構きつい。
オールド・ボーイ 2003 韓 パク・チャヌク ★★★ 理由もわからないままに数十年幽閉された男の復讐劇。荒唐無稽すぎる設定を刺激的な演出で覆い隠し、終盤は怒涛の加速で一気に魅せる。
オールド・ルーキー 2002 米 ジョン・リー・ハンコック ★☆ 高校教師がメジャーリーガーになるというお涙頂戴実話であるが、脚色しすぎの美談となってしまっため返って嘘臭くなった。
オーロラの彼方へ 2000 米 グレゴリー・ホブリット ★★☆ 一台の無線機を頼りに、現在と過去で明るい未来を作り出そうとする、元祖「バタフライ・エフェクト」的な物語。終盤は相当無茶苦茶だけれども、予想を裏切る展開に不思議な魅力がある。
奥さまは魔女 2005 米 ノーラ・エフロン/ダグ・コールマン ★☆ 1960年代の人気TVドラマの基本設定だけを借りた別の映画。キャッチーなコメディだがあまりにも定番過ぎる。
おくりびと 2008 日 滝田洋二郎 ★★★ 所属する東京のオーケストラが解散して職を失った三流チェリストの大悟は、音楽家としての道を諦め、妻の美香を連れて山形へ帰郷するのだが、彼が見つけた職は遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。納棺師という裏方の仕事に焦点を当てる真摯な姿勢にユーモラスな味をまぶした”周防正行”っぽい作風に好感が持てる。邦画初のアカデミー外国語映画賞受賞の名に恥じない傑作。
おしゃれ泥棒 1966 米 ウィリアム・ワイラー ★★★ 美術品収集家を装っている贋作作画シャルルの娘ニコルの前に、シャルルの調査のために泥棒を装って潜入した探偵デルモットが現れる。壮大な?美術品が数多く登場するバカバカしいラブコメなのだが、オードリー・ヘップバーンとピーター・オトゥールという上品な美男美女が紡ぎだす品格ある演技と、名匠ワイラー監督の手腕で楽しく見られる内容に仕上がっている。
オスカーとルシンダ 1997 米・豪 ジリアン・アームストロング ★★☆ 19世紀のオーストラリアを舞台にギャンブル中毒の牧師と女実業家の愛の遍歴を描いたドラマ。ギャンブル中毒という設定の必然性はよくわからなかったのと、悪い意味で古臭い音楽とナレーションには馴染めなかったが、レイフ・ファインズ、ケイト・ブランシェットといった芸達者の演技と、格調高めの画と、教会まるごとで川くだり以降は非常に良かった。
オズの魔法使い 1939 米 ヴィクター・フレミング ★★★☆ カンザスの農場に住む少女ドロシーは愛犬トとともに大竜巻にさらわれ、空の上にあると思われるオズの国に漂着してしまい、帰宅するためにオズの魔法使いに会いに行く旅に出る。少女ドロシーの幻想めいた冒険を描いた古典的ミュージカルの傑作で、「Someway over the rainbow♪」は時代を超えていく名曲。この時代にカラー作品というのもすごい。
お葬式 1984 日 伊丹十三 ★★★ ある俳優夫婦の妻方の父が死に、夫婦はお葬式の準備に追われるのだが、初めてのことなので勝手がわからず戸惑うことしきりであり、そのうち式場には夫の愛人まで現れるのであった。伊丹監督自身の実体験が織り込まれた細かいエピソードの連続が織り成す圧倒的なリアリティと、冒頭の意表をつくCM撮影シーンに代表される独特の遊び心でもって目を離させない。”お葬式”映画の最高峰。
お茶漬けの味 1952 日 小津安二郎 ★★★ とにかくマイペースで気取らないことをよしとする夫と、そんな夫にもどかしさを感じて嘘をついて勝手に旅行に出かけてしまう妻が、ささやかなすれ違いによる危機を乗り越えるまでを淡々と描く。倦怠期の夫婦を演じる佐分利信と小暮寛千代の自然な感じの演技が味わい深い。タイトルと同時に思いついたと思われる(夫婦関係は)「お茶漬けの味なんだよ」という名(迷?)台詞には、脱力感を伴いつつも説得力があった。
夫以外の選択肢 2004 米・カナダ ジョン・カーラン ★★☆ 夫婦ぐるみの親しい付き合いを続けている二組の夫婦が、気がつけばスワッピング四角不倫関係に陥ってしまう。物語がなかなか進展しない地味な内容であるが、日常会話っぽいセリフ回しなどのリアリティには見どころがある。
小津の秋 2008 日 野村惠一 ★☆ 父の遺品を持って秋の蓼科を訪れた新聞記者の佐々木明子は、幼いころに死んだ父の愛人と出会う。熟年以上の大人向けのしっとりとした内容。”小津”というタイトルの一部と関係あるのは、現地で小津作品(”秋日和”)のリバイバル上映をしているのと、その”秋日和”が最後にチョロっと流されるくらいで、変質狂的な構図美への挑戦はない。
お父さんのバックドロップ 2004 日 李闘士男 ★☆ どさ回りプロレス興行集団のエースを務めるパパとその息子の話。経営危機に際して金髪のド悪役になってしまったのは笑えたが、全体的に三文芝居。
男たちの挽歌 1986 香港 呉宇森(ジョン・ウー) ★★ 香港警察対偽札組織の戦いをそれぞれに属している兄弟の反目を通じて描き出した熱い漢たちの物語。元祖”香港ノワール”。
男たちの挽歌U 1987 香港 呉宇森(ジョン・ウー) ★★ Iの続編だがみな正義(警察)の側にいる点が大きく違う。無茶苦茶なまでに弾が飛び交う銃撃戦が一番の見どころ。
男たちの挽歌V 1989 香港 徐克(ツイ・ハーク) ★☆ 正式タイトルは”アゲイン 明日への誓い”。男一匹マークの前日譚なので続編とは言えない。しかし時代設定がベトナム戦争末期ってのはちょっと意外だった。
男たちの大和 YAMATO 2005 日 佐藤純彌 戦争を知らない若者向けに戦艦大和の特攻攻撃・愛国精神を美化して訴えているとしか思えない。あの戦争のことを真剣に調べたことがある者にとっては無用の映画。
男と女 1966 仏 クロード・ルルーシュ ★★☆ フランス映画らしい大人向けのアンニュイな恋愛映画。音楽と映像にセンスを感じさせる部分がある。アヌーク・エーメが綺麗。
おとし穴 1962 日 勅使河原宏 ★★★ 理由もわからないままに殺された男を主軸に、生きていても死んでいても変わり映えのしない煉獄に捉われた人々の姿を描く。音楽:武満徹、原案・脚本:阿部公房と組んだ野心作。
踊る大捜査線 the movie 1998 日 本広克行 ★★★ 人気TVドラマの映画版。既存作品からネタをパクリまくった上に生まれた、エピソードごった煮状態には失笑せざるをえないが、細かい伏線の張り方などは脚本の勝利といえよう。
踊る大捜査線 the movie 2 レインボー・ブリッジを封鎖せよ 2003 日 本広克行 ★☆ 湾岸署管轄区域内で猟奇殺人が発生する。一大官僚組織(≒会社)である警察の中での、小さな警察署の小さな物語という最大の魅力が完全に消えてしまった。
鬼火 1963 仏・伊 ルイ・マル ★★★ 華やかな青春時代を過ごし、今はアルコール中毒で療養所で暮らすアランは、2日後に自殺すると決めると、昔の友人たちを訪ねてパリへと向かう。人生の意義を見いだせずに手を出した酒の誘惑を必死に断ち切ったにもかかわらず、療養所にいても外に出ても晴れない気分に悩まされ続けるという”鬱映画”。ダウナーな気分に浸りたい気分のときにおすすめ。
お早よう 1959 日 小津安二郎 ★★★ 戦後の高度経済成長期初期を舞台に描かれる群像喜劇であるがきちんと起承転結する。小津映画には珍しく子供が重要な役割を担っており、オナラ遊びなど子供ならではの演出もある。
おはん 1984 日 市川昆 ★☆ 放蕩夫とおはんの関係を綴った女流映画。ときおり見応えのある画がある。
オペラ座の怪人 2004 米・英 ジョエル・シューマカー ★★ 20世紀を代表する作曲家の一人アンドリュー・ロイド・ウェバーの代表作であるミュージカルの映画版。当然のことながら音楽が良い。
オペラの怪人 1943 米 アーサー・ルービン ★★ ”オペラ座の怪人”の狂気的な愛を哀愁を絡めながら描く。物語が神話っぽいせいか意外と古さを感じずに観られる。
オペレッタ狸御殿 2004 日 鈴木清順 ★★★ 異国情緒ある狸姫と美青年・雨千代の恋を描いたコミカルなミュージカル。絵本や墨絵を想起させる背景・カラフルな色彩・安土桃山時代×南蛮風味の衣装・様々な味付けを施したオペラ調の軽快な音楽などの多彩な要素が実に心地よい。
おもひでぽろぽろ 1991 日 高畑勲 ★★☆ 東京で平凡な生活を送るOLが、田舎を訪れた際に、ほろ苦くも輝いていた幼き日々を思い出していく。誰の心にもある幼少時の疑問や傷を思い起こさせる展開が心に沁み入る。
親指ウォーズ 1999 米 スティーヴ・オーデカーク 親指版スター・ウォーズ・エピソード4.5。すべてのキャラを親指で演じるというアイデア勝負の作品だが、笑えないギャグといい、いい加減な展開といい、工夫がなさすぎる。
オランダの光 2003 蘭 ピーター-リム・デ・クローン ★★★ フェルメールに代表される17世紀オランダ絵画の中にだけ存在した”オランダの光”を求めて行く映像体験型ドキュメンタリー。映像美フェチは必見。
オリエンタル・エレジー 1995 露・日 アレクサンドル・ソクーロフ ★★★ 霧だらけの古き日本を感じさせる村を舞台にドキュメンタリー風の濃密な映像美世界が繰り広げられる。日本人が観ても異世界に迷い込んだような感覚を与えられるのは凄いの一言。
オリエント急行殺人事件 1974 英 シドニー・ルメット ★★☆ アガサ・クリスティーの代表作の映画化作品。ヨーロッパとアジアを駆けるオリエント急行の列車内で、イタリア系アメリカ人富豪が何者かに殺害され、折よく同乗していた名探偵エルキュール・ポワロが事件の真相に迫っていく。あの「シべ超」の元ネタになった密室サスペンスの良作で、いかにもフランス系らしい鼻にかけた風の喋り方とちょっと捻くれた人格を体現した主演のアルバート・フィニーの存在感が際立っている。
オリバー! 1968 英 キャロル・リード ★★ 19世紀を代表する小説家チャールズ・ディケンズの代表作が原作。貧窮院を追い出された少年オリバー・ツイストは、幾多の苦難にもまれながらもピュアな魂を失わずに生き抜いていく。映画化にあたっての原作は原作のミュージカル(ややこしい)なので、本作もミュージカル仕立て。良くも悪くも制作当時の古さを感じさせる内容。
オリバー・ツイスト 2005 英・チェコ・仏・伊 ロマン・ポランスキー ★★☆ チャールズ・ディケンズの代表作”オリバー・ツイスト”を正統派のドラマとして映画化。ポランスキーらしい格調の高い画によって再現された19世紀ロンドンの街並みを背景に、様々な苦難にもまれながらも生きていく少年の姿を、ツボを押さえながらまとめあげている。
オリヲン座からの招待状 2007 日 三枝健起 ★★ 時代の流れに飲み込まれそうになりながらも、小さな映画館を懸命に守り続けた男女の物語。戦後復興期以降の日本の雰囲気と、しみじみと描かれる思いやりの愛を感じた。全体的にベタで、かつ、ニュー・シネマ・パラダイス風の味付けなので新鮮味はないが、地味ながらもしみじみと暖かくなる話だった。
オリンピア 第1部 民族の祭典 1938 独 レニ・リーフェンシュタール ★★ 二部からなる1936年ベルリンオリンピックを追ったドキュメンタリーの第1部。ただのナチス礼賛映画かと思いきや、編集の妙やスローモーションなどを駆使して人間の肉体が躍動する美しさを捉えており、単なる記録映画やプロパガンダ映画を超えた良質の作品に仕上がっている。
オリンピア 第2部 美の祭典 1938 独 レニ・リーフェンシュタール ★★ 二部からなる1936年ベルリンオリンピックを追ったドキュメンタリーの第2部。肉体が弾けるようだった第1部に比べると、タイトルの通り、優美さを強調した作りになっていて、これはこれで興味深い。第1部とまとめて総括すると、国威高揚のための芸術映画の始祖と言えるが、後継者的位置にあたる我が国の「東京オリンピック」同様、長尺過ぎるのが玉にキズ。
オレゴン魂 1974 米 スチュアート・ミラー ★☆ 8年間で64人もの容疑者を射殺したために保安官を免職されてしまった隻眼の猛者ルースター・コグバーンが、若娘ユーラの仇打ちに助太刀する。ジョン・ウェイン演じる豪放磊落なコグバーンに、正義のための暴力が正当化されるアメリカ的横暴が反映されているかのような西部劇。
俺たちに明日はない ボニーとクライド 1967 米 アーサー・ペン ★★★ 実在した強盗クライド(♂)とボニー(♀)が出会い世間を騒がせていく様を青春劇風に描いたアメリカン・ニューシネマを代表する一作。暴走のあげく自滅する若者をはかなく描いた映画の古典で、主演のウォーレン・ビーティのニヒルさが印象に残った。
アンナと王様 1999 米 アンディ・テナント ★★ 19世紀、夫を亡くしたアンナは一人息子ルイを連れ、タイはシャムのモンクット王の依頼でバンコクにやってきて、王子たちの教育係を務めることになる。古典的作品「王様と私」のリメイク作だが、本作はミュージカルではなく普通の劇映画。オリジナルに比べると異文化蔑視の視線はなくなったものの、全体的にマイルドになった分パンチ力もなくなった。やっぱりダンスシーンは”Shall we dance?”に限る。
おろしや国酔夢譚 1992 日 佐藤純彌 ★★ 鎖国していた江戸時代の日本人がロシアまで行って女帝エカテリーナに会って帰ってきたという実話。重厚な内容なのでもっと長い尺で見たかった気がする。
女相続人 1949 米 ウィリアム・ワイラー ★★ 19世紀ニューヨークの社交界、才色兼備の誉れ高かった亡き母の面影を何一つ見せないで成長した凡庸な娘キャサリンに、ヨーロッパ帰りの美男子モーリスが求婚してくるが、父親のスローバー博士は莫大な財産目当ての求婚であること見抜いていた。19世紀女文学の香りがする古典的でビターな物語をしっかりとまとめ上げたワイラー監督の手腕はさすがだが、同監督の錚々たる作品群の中ではパンチ力に欠ける。
女の都 1980 伊・仏 フェデリコ・フェリーニ ★★ 中年エロ男版「不思議の国のアリス」。しょうもないネタが多く、内容も単調なのでフェリーニ作としては相当不調の部類に入る。
陰陽師 2001 日 滝田洋二郎 ★☆ 妖術でもって平安京を鬼や妖怪から守る陰陽師・安部清明の物語。やたらと使われるCGが薄っぺらい画以上の効果を発揮せず。
カで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
カーサ・エスペランサ 〜赤ちゃんたちの家〜 2003 米 ジョン・セイルズ ★★ 養子をもらうためにアルゼンチンに渡った女6人の物語。米国とのカルチャー・ギャップや台詞での心情表現が目についた。
ガーデン 1995 スロバキア マルティン・シュリーク ★★★ 自分探しをする男の話。ほんわかとしているのにどこかミステリアスな世界とやや陰りのある映像美が癖になりそう。
ガートルード 1964 デンマーク カール・ドライヤー ★★☆ ドライヤーの監督の遺作。愛されたい想いを満たされないが故に孤独の中に魂の救済を求めるようになる女性オペラ歌手を描く。非常に舞台的で静かな内容
ガーフィールド 2004 米 ピーター・ヒューイット ★★ 気ままでお茶目な太っちょ猫ガーフィールドの活躍を描いたアニメ。猫ってこういう性格しているよなというシーンが多い。
カーリー・スー 1991 米 ジョン・ヒューズ ★☆ 保護者のビルとともに町から町を流れ歩いてきた9歳の孤児カーリー・スーは、冬のシカゴで女弁護士グレイ・アリソンと出会い不思議な縁に恵まれていくこととなる。真の豊かさとは何かを問う典型的なほのぼのコメディであり、話もどうということはないのだが、主演クラスの3人の巧みな演技には見どころがあった。
会議は踊る 1931 独 エリック・シャレル ★☆ ナポレオン失脚後のフランスの処遇を決めるため各国代表が集まって開かれたウィーン会議、欧州支配をねらうオーストリアがはかりごとをめぐらす中、賢君の誉れ高いロシアのアレクサンダーT世は、替え玉を使って公式行事とお忍びの恋を巧みにこなしていた。史実に脚色を加えた、当時としては相当豪華だったに違いないミュージカル風映画だが、いかんせん筋書きが陳腐過ぎる。
階級関係 −カフカ「アメリカ」より 1986 独・仏 ストローブ=ユイレ ★★★★ 「カフカ映画」唯一の成功作。抑揚された台詞と殆ど動かない画面という独特の撮影方法がはまっている。モノクロ画像によるシンプルな映像美も印象的。
外人部隊フォスター少佐の栄光 1977 英 ディック・リチャーズ ★★☆ 一次世界大戦後のモロッコの砂漠地帯を舞台に、アラブにとっての聖域であるエルフード発掘隊を護衛するために派遣されたフランス外人部隊の過酷な運命を描く。強面の隊長、有能な補佐官、二枚目の流れ者に美女と、”砂漠のフランス外人部隊もの”らしい要素を抑えた作りで良くも悪くも定番以上のものはない。隊長役にジーン・ハックマンがはまっていた。
怪談 1965 日 小林正樹 ★★★ 小泉八雲作の中から「髪」「雪女」「耳無し芳一」「茶碗の中」を取り上げたオムニバス。オールセットで表現した幽玄美に見どころあり。
海底二万哩 1954 米 リチャード・フライシャー ★★ 潜水艦ノーチラス号で海の中で生きるネモ船長の姿。古典だが海底に対するロマンは変わらない。CGでない分かえって新鮮に感じるかも。
外套(第一部) 未完成 露 ユーリ・ノルシュテイン ★★★★ ユーリ・ノルシュテインのライフワーク。NHKで突如放送された第一部の極限までディテールを突き詰めた奇跡のような動きに鳥肌が立つほどの衝撃を受けた。しかし四半世紀以上かけてようやく第一部が完成しただけので、いつになったら完成するのか全く不明。
快盗ルビィ 1988 日 和田誠 ★★☆ 冴えないサラリーマンが、知能明晰でキュートなルビイに翻弄されていく。ハートフルなコメディタッチが結構面白い。
怪物の花嫁 1956 米 エド・ウッド マッド・サイエンティストや謎の大だこなどが登場するチープなSF風映画。あぁハリボテがぁ(笑)。でも慣れると意外と楽しいかも。
カウボーイ・ビバップ 天国の扉 2001 日 渡辺信一郎 ★★ ありそうでなかったSFハードボイルドアニメの映画版。賞金稼ぎたちがバイオテロの賞金首を狙って活躍する。B級っぽい軽妙さは好きな人にはたまらないだろう。
帰らざる河 1954 米 オットー・プレミンジャー ★★ 河のほとりで白人が起こした小さないさかいを描いた西部劇。マリリン・モンローの歌と、河くだりのシーンが良かった。
カオス シチリア物語 1984 伊 パオロ・タヴィアーニ/ヴィットリオ・タヴィアーニ ★★★ シチリア島を舞台に6つのエピソード(プロローグとエピローグを含む)を描いたオムニバス映画。芥川龍之介の短編集又は今昔物語・イン・シチリアといった感じの内容で随所で見せる映像美が印象に残る。
1974 ソ連 アンドレイ・タルコフスキー ★★★★ 記憶の断片を基に描かれる半自伝的物語。火や水や風といったモチーフを使った雄弁な映像で語りかけてくる映像詩人タルコフスキーの本領が発揮されている。
鏡の中にある如く 1961 スウェーデン イングマール・ベルイマン ★★★☆ ベルイマン得意の家族の確執を精神病を絡めて描く。中盤でカーリンが壊れて正気と狂気の世界を行ったりきたりし始めてからの展開が凄い。
隠された記憶 2005 仏・オーストリア・独・伊 ミヒャエル・ハネケ ★☆ この監督はカフカの「城」をそのまま映画化するくらいだから不条理劇が好きなようだが表層的過ぎるし描くことを放棄したかのような姿勢も頂けない。
隠し剣 鬼の爪 2004 日 山田洋二 ★★☆ 平時を生きる冴えない田舎侍の身分違いの恋とサラリーマン的武家社会のしがらみ。淡々としている分”鬼の爪”のインパクトが大きい。
隠し砦の三悪人 1958 日 黒澤明 ★★★ 山名家によって事実上滅ぼされた秋月家の遺児・雪姫は、忠臣・真壁六郎太、欲に弱い道化のような農民二人などを引き連れて、隠し持った再興の軍資金とともに敵中突破し、友好関係にある早川家の領土を目指す。基本的に娯楽大作路線で、スター・ウォーズの元ネタになったことでも有名。圧倒的な躍動感を見せる火祭りのシーンは黒澤映画屈指の名場面で、一瞬だけ重荷から解き放たれた雪姫が見せる心底嬉しそうな表情が印象的だった。
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS 2008 日 樋口真嗣 ★★ 黒澤明監督の同名作のリメイク。戦国時代、滅亡寸前の秋月家を支える猛将・真壁六郎太は亡き当主の遺児・雪姫、金堀師、きこりらとともにお家再興の軍資金を携えて敵中突破に挑む。オリジナルが黒澤作品中では決して完成度の高いとは言えないものであったため、農民がイケメンになってしまった点など多少の改変をしたところで大した違和感はなかったのだが、オリジナル最大の見せ場”火祭り”と名セリフ”裏切り御免”の使い方を完全に間違えてしまったために、尻すぼみに終わってしまった。最後の方はもう完全に別の映画・・・・・・。
カクテル 1988 米 ロジャー・ドナルドソン ★☆ 出世の野心を抱くも学歴の低さが災いしてバーで働くことになった男がアイデンティティと恋を見つける。楽しそうにカクテルを作っているシーンと主題歌ココモが良かった。
革命児サパタ 1952 米 エリア・カザン ★★☆ 20世紀初頭のメキシコ、民主主義の名のもとに君臨する大統領の圧政に苦しむ農民たちを見た青年エミリアーノ・サパタは兄や友人らとともにゲリラを組織し反政府運動に身を投じていく。実在した英雄の半生を(おそらく)脚色豊かに描き出しているためか、ドラマとしてのメリハリがしっかりしている。
革命戦士ゲバラ! 1969 米 リチャード・フライシャー ★★ カストロとともにキューバ革命を成し遂げたアルゼンチン人の伝説の革命家チェ・ゲバラの激動の半生を手堅く描く。ゲバラの夢想家としての魅力と同時に独善的な欠点も描いているので、ゲバラ入門編としては最適の内容か。ジャック・バランス演じる人間味溢れるカストロが良かった。
1955 伊 フェデリコ・フェリーニ ★★★ ある時は司教に化け、またある時は役人に化けて貧しい人々をだまし、金をしぼり取ってきた詐欺師のアウグストは自分自身のケチな人生に嫌悪感を覚えるのだが・・・。詐欺で生き続けるしかない業を背負ってしまった中年男の悲劇を描いた前半期のフェリーニらしい正統派ヒューマン・ドラマ。地味な部分もあるもののなかなかの味わい。
影武者 1980 日 黒澤明 ★★★☆ 盗人の罪で処刑される寸前だった男は武田家当主・信玄と瓜二つであったことから命を救われ、信玄の死とともに影武者の大役を任されることになる。歴史ifではあるものの、武田家家中の大半の人間をもだまさねばならない影武者という設定のスリリングさ、史実に基づいた数多くの展開に胸躍るほか、戦国絵巻調の画とクラシック調音楽が見事な調和を見せており目を離すことができない。
火山高 2001 韓 キム・テギュン 生徒や教師を含めた覇権争いが巻き起こっている火山高に、不屈の気を秘めた転校生キム・ギョンスがやって来る。スペクタクルを目指しているアクション映画であるが、メリハリのないアクションと暑苦しさの連続に疲れる。CG合成技術使ってればいいというもんじゃない。
華氏451 1966 英・米 フランソワ・トリュフォー ★★ レイ・ブラッドベリ原作。あらゆる知識や情報がすべてテレビによって伝達されて統制され、読書が禁止された未来社会で、書物を焼き捨てる任務を負った消防士モンターグはある日書物の魅力に取りつかれてしまう・・・。すべてが機械化された世界を通して人間社会を風刺しているが、社会や体制に属した人間への皮肉が効き過ぎているためか、寒々しいほどの恐ろしさには欠ける。
華氏911 2004 米 マイケル・ムーア ★★ 9.11前後の米国大統領ジョージ・ブッシュを皮肉ったドキュメンタリー映画。権力に立ち向かう内容をタイムリーかつスキャンダラスに取り扱ったマイケル・ムーア監督の姿勢は買えるが、反証の少ないお昼のワイド・ショー並みの陳腐な内容の上と、自分に都合の良い論理(一方的な弾劾)を展開する姿に目糞鼻糞を笑う姿を見た。
ガス燈 1944 米 ジョージ・キューカー ★★☆ ガス燈の灯るロンドン、同居していた著名なオペラ歌手であった叔母が何者かに殺害されてから10年後、イタリア留学が失敗に終わりオペラ歌手になり損ねたものの幸せな結婚を掴んでロンドンに戻ってきたポーラは、叔母殺害事件のトラウマを思い出したためか記憶障害を起こし不可解な行動を取るようになっていく。丁寧な作りで序盤からその後を暗示する要素を入れて、少しづつ事実が明らかにしていく展開には巧みなものがあった。オチには無理がありすぎだが、そのオチを逆利用して加えられた捻りで相殺されたか。佳作。
火星年代記 1979 米 マイケル・アンダーソン ★★★☆ 全三部作のTVドラマを映画として評価。火星に生命が存在するという夢が残っていた頃に書かれたレイ・ブラッドベリの同名小説が原作。火星への初の有人飛行の成功した人類が始めて到達するが消息を絶ってしまう、というところから始まる壮大なSF大河ドラマ。特撮の陳腐ささえ気にならなければ、本当に異星のように美しい風景図、高尚でミステリアスな雰囲気、壮大な物語の虜になることは間違いないだろう。SFファンならずとも必見の一作。
風が吹くとき 1986 英 ジミー・T・ムラカミ ★★☆ ロンドン郊外の田園地帯で、のどかな隠居生活を送り始めたるジムとヒルダの老夫婦は、国際情勢の悪化を懸念し、政府作成のガイドに従って屋内に核シェルターを作り戦争に備え始めるのだが・・・。一部にノスタルジックな実写映像を交えつつも、ほのぼのとした画のタッチで、核を徹底的に皮肉ったブラックな内容がいかにもイギリス風。無知な二人が日常下の核戦争後を想定しているところが何とも印象に残った。
風とともに去りぬ 1939 米 ビクター・フレミング ★★☆ 南北戦争時代のアメリカを舞台に、時代の波に翻弄され、自らの愛に翻弄されながらも、逞しく生きる女を描く。ドラマの中にか存在し得ないほど劇的な生き方をするスカーレットの身に共感することはできなかったが、歴史的名作の名に恥じないだけの面白みは与えてくれた。ヴィヴィアン・リー演じるスカーレットの激しい情熱と気性が圧倒的な存在を見せ付ける文芸大河ドラマの古典。ただ、4時間に及ばんとする本作を観るのにはかなりの覚悟が必要で、まして観返すならもっと覚悟が必要になるだろう。
風の絨毯 2001 日・イラン カマル・タブリージー ★★ 突然の事故で母を亡くした日本人少女が、イランに発注した絨毯を父とともに取りに行くのだが・・・。実話が下敷きとはいえありそうでなかった日本イランの異文化交流とイランの情景に惹かれるものがあるが、いかんせん地味過ぎる。
風の前奏曲 2004 タイ イッティスーントーン・ウィチャイラック ★★ 19〜20世紀にかけての激動の時代をタイに生きたタイ式木琴“ラナート”の天才奏者ソーン・シラパバンレーンの物語。構成は陳腐だが題材は興味深かった。
風の谷のナウシカ 1984 日 宮崎駿 ★★★★ 腐海、王蟲、巨神兵などの隠喩的な世界観に引き込まれ、ナウシカのスケールの大きな愛と強さに胸を打たれる。80年代最高の日本アニメ。
家族ゲーム 1983 日 森田芳光 ★★★ 人間臭い家庭にやって来た変てこ家庭教師が不思議な空気を送り込んでいく。家族全員(+家庭教師1名)が食卓に横並びになる非常に映画的なカットが最高に面白かった。
片腕カンフー対空飛ぶギロチン 1976 台湾 ジミー・ウォング ★★★ 片腕足りない分を知性を生かした戦略で補って戦うカンフーの達人の戦い。”魁!男塾”の元ネタになったかのようなユニークな敵たちが面白い。
火宅の人 1986 日 深作欣二 ★★ 檀一雄(檀ふみのお父さん)の自伝的自堕落生活。新進女優恵子を演じる原田美枝子の肢体は良かった。
カッコーの巣の上で 1975 米 ミロス・フォアマン ★★★☆ 仮病を装って精神病院に入院してきた男が病院の非人間的な環境を変えていく。自由と尊厳&理解と反目というテーマが見事に浮き彫りにされている。
河童のクゥと夏休み 2007 日 原恵一 ★★ 夏休み前のある日、小学生・康一が学校帰りの途中で拾った奇妙な石を家で洗ってみると中から河童の子供が出てきて、康一一家と暮らし始めることになるのだが・・・。突然作画が粗くなったり、やや散漫で長さを感じる展開が今一つだったが、ただの子供向けアニメに終わらせず、人間の身勝手さを毒を交えて描いた姿勢は評価できる。
糧なき土地−ラス・ウルデス 1933 スペイン ルイス・ブニュエル ★★★ 短編ドキュメンタリー。ラス・ウルデス人々の想像を絶する”超”現実的な貧困という題材ゆえに随所にブニュエルらしさが現れている。
彼女を見ればわかること 1999 米 ロドリゴ・ガルシア ★★ 女性を主人公にした前5話のオムニバス映画。認知症の母親を介護する女性医師の揺れる心、不倫関係の末に妊娠した銀行の支店長の葛藤、と決断。 思春期の息子をもつシングルマザーの恋、死にゆく恋人を見守るレズビアンの占い師、盲目の妹との関係を通して愛を摸索する女性刑事、といった話に各話の登場人物たちを相互に絡めて描く。第3話目までは”都会の寓話(女性限定)”風で楽しめた。
カフカ 迷宮の悪夢 1991 米 スティーブン・ソダーバーグ ★★ 架空のプラハに生きるフランツ・カフカを主人公に据えたドラマ。リアリズム作家としてのカフカの一面は描かれておらず、不条理性が強調されている。
カフカの「城」 1997 オーストリア・独 ミヒャエル・ハネケ カフカの「城」を忠実に描いていると言えば言葉は良いが、悪い意味で愚直なだけで、原作から漂う迷宮性は表現されていない。
カプリコン・1 1977 米 ピーター・ハイアムズ ★★☆ NASAによる人類初の有人火星着陸は狂言だったという設定が良く、国家権力の横暴も描けている。
蒲田行進曲 1982 日 深作欣二 ★★★ ”新撰組”の映画を製作中の撮影所を舞台に描かれる男二人・女一人の不思議な三角関係。クライマックスの”階段落ち”のシーンで有名だが人間ドラマも優れている。
神の道化師、フランチェスコ 1950 伊 ロベルト・ロッセリーニ ★★★ 聖フランチェスコとその弟子たちが身も心も神にを捧げ出す至福の姿を、10のエピソードを通じて滑稽なまでに描き出す。不思議な味わいの宗教映画。
神の羊 2008 アルゼンチン・仏・チリ ルシア・セドロン ★★ 2002年、経済恐慌まっただ中のアルゼンチンで獣医師が誘拐され、孫娘ギジェルミナは、1970年代にフランスへ亡命した母テレサに助けを求めるとともに、身代金の工面に奔走するのだが・・・。1970年代の軍事政権下のアルゼンチンである家族に刻まれた傷跡を丹念に描いている。過去と現在の時間のつなぎ目が見えずらく、かつ、羊の人形で疑惑を抱くシーンなどがわかりづらくストレスを感じたが、そういった要素が地味ながらも味わい深い一面を増していることも確かであった。
髪結いの亭主 1990 仏 パトリス・ルコント ★★★ セクシーな女の床屋さんフェチになった男の話。官能的で甘いエロティシズムが印象的。ラストはある程度恋愛に成熟していないと理解に苦しむだろう。
亀は意外と速く泳ぐ 2005 日 三木聡 ★★★ 平凡な主婦スパイという設定を生かした漫画家・川原泉の作品のようなのほほーんとした雰囲気が味わい深い。
亀も空を飛ぶ 2004 イラン バフマン・ゴバディ ★★★ 苦境を生きるクルド人の少年少女たちの姿。シリアスな現実と寓話性が調和している。
カメレオンマン 1983 米 ウディ・アレン ★★☆ 周囲の人間に合わせて心身ともに同調してしまう人間カメレオン・ゼリグの半生を追った可笑しなフェイク・ドキュメンタリー。
仮面の男 1998 米・英 ランドール・ウォレス ★☆ 老いたダルタニアンと3銃士に助け出されたルイ14世クリソツの鉄仮面の男・・・って数十年も仮面付けっぱなしなのに本当に瓜二つのボンボン顔が現れたときはさすがに笑った。
仮面 / ペルソナ 1966 スウェーデン イングマール・ベルイマン ★★★☆ 失語症に陥って入院した女優と若い看護婦の葛藤を描く二人劇のような内容が、ベルイマンらしい名人芸の台詞回し・モノクロによる陰影美・前衛的な演出を経て、いつしか一人の女の内面を描く実質一人劇へ移り変わっていく展開に痺れた。
かもめ食堂 2005 日 荻上直子 ★☆ フィンランドはヘルシンキでサチエが営む和風食堂に色々な人々が集まってくる。全編に漂うまったりし過ぎの雰囲気はまだ良いとしても、現実感のない映像の中で、人生を背負っているという重みの欠片も感じさせない登場人物たちが、どうでもいい小ネタを披露しながら”何となく温かーい”っていう感じを醸し出しているだけなのについていけなかった。
伽耶子のために 1984 日 小栗康平 ★★☆ 人種差別問題を始めとする現実に徐々に引き裂かれていく若い恋人同士の姿を切々と描く。何気ない日常から物語を生み出す小栗言語とイマジナリー・ラインを破りまくったカメラワークが印象に残った。
カラーパープル 1985 米 スティーブン・スピルバーグ ★★☆ 奴隷からヒューマニズムに目覚めていく黒人女の話。スピルバーグ初の人道主流作品。
硝子の塔 1993 米 フィリップ・ノイス ★☆ 管理人のハイテク覗き装置付超高層マンションという非現実的な設定が非現実的なまま終わってしまったセクシー&サスペンス。
ガラスの中の少女 1960 日 若杉光男 ★★★☆ これが映画初主演となる少女時代の吉永小百合がプラトニックな汚れ役にはまっている。こういう繊細で儚い青春映画は希少価値があっていいと思う。DVD化希望。
カリートの道 1993 米 ブライアン・デ・パルマ ★★ 出所を契機に裏稼業から足を洗おうとするも過去の因縁に妨げられる男の物語。やむを得ないというよりは自業自得の気が多いが、緊迫感ある展開はなかなかのもの。
狩人と犬、最後の旅 2004 仏・カナダ・独・スイス・伊 ニコラス・ヴァニエ ★★ 年々動物が減少していくロッキー山脈で、狩人としての業務が続けられなくなったノーマンは、相棒兼犬ぞりのリーダー・ナヌークまでをも失うも、子犬アパッシュをもらい受け、猟師としての最後の冬に挑もうとしていた。ロッキー山脈で実際に狩猟生活を続けている最後の狩人、ノーマン・ウィンターが本人役を演じた異色ドラマ。大仰な演出やあからさなま吹き替え等のフィクション臭さが蔓延しており、猟の残酷な一面を描かないなどの逃げの姿勢が目立つ一方で、独特の存在感をもったノーマンと雄大な自然が印象に残った。
ガリバーの大冒険 1960 米 ジャック・シャー ★★ 特撮で原作を忠実に再現しようとした点に好感が持てる。
カル 1999 韓 チャン・ユニョン ★★ 韓国版「セブン」(良くも悪くも)。猟奇殺人事件に意外性のある展開を絡めた当時の流行もの。
華麗なる恋の舞台で 2004 カナダ・米・ハンガリー・英 イシュトヴァン・サボー ★★ 1938年のロンドンの舞台劇の頂点に君臨するスター女優の憂鬱とその顛末。ちょっと捻くれた展開にも味があったが、死んだ師匠が亡霊として主人公に付きまとって説教ばかりしているのが笑えた。
ガレージ 2006 インドネシア アガン・セントーザ ★★ ロック・バンドの結成を目指す男二人が私生児という重荷を背負った女性をボーカリストとして迎えて一気にブレークを果たす。インドネシアが舞台で、伝統楽器が出てきたり、インドネシア独特の価値観がキーになっているところを除けば、想定外の要素は何もない普通の青春映画。新鮮さは欠けるもののバンドの若々しい音には好感を持てるものがあった。
ガレージ・デイズ 2002 豪 アレックス・プロヤス まったく売れていないインディーズ・バンドのドサ回り・バンド内多角関係・成功へのあがきを綴ったB級青春物語。下ネタや薬ネタなどのどうでもいい要素をだらだらと繋いでいるだけの上に、物語にもまともな起伏がないのできつい。音楽映画のはずが演奏シーンも殆どなく、音楽の才能がない登場人物たち、という妙にリアルな設定なので肩すかしを食った。
可愛いだけじゃだめかしら 1993 仏 フィロメーヌ・エスポジト ★★ 美人の割には恋に恵まれていない女が立ち直るまでに巻き起こす騒動をコメディ・タッチで描く。可愛いだけじゃだめです・・・もっとバカっぽくないと(笑)。
渇いた太陽 1962 米 リチャード・ブルックス ★★ テネシー・ウィリアムズ原作。下り坂の大女優を利用してのしあがろうと企む青年チャンスは恋人を連れ出そうと故郷へ舞い戻るのだが・・・。主要登場人物たちが取り返せない過去の傷を抱えているところが実に寓話的。
渇き 1957 インド グル・ダッド ★★★☆ 詩人ビジャイの苦悩と愛を描いたインド映画創生期を代表する名作。音からだけでも伝わる詩(歌)の素晴らしさ、人間の本質を抉り取った物語、無償の愛、ダンスと歌と、娯楽映画版人間失格とでもいうべき内容に感嘆した。
河と死 1954 メキシコ ルイス・ブニュエル ★★★ あだ討ちや罪人の隠棲生活など奇妙な因習に捉われた人々の住む街で起こる果てしない争いを西部劇テイストで描く。昔も今も未来も変わらない人間の本質を濃密なドラマで抉り出している。
ガンジー 1982 英・印 リチャード・アッテンボロー ★★☆ ロンドンで法律を学び弁護士となったインド人青年ガンジーは、南アフリカで受けた人種差別にショックを受けて参加した公民権運動に勝利すると、母国に戻り「非暴力、不服従」のスローガンを掲げて人々を独立運動へと導いていく。20世紀の偉人の一人、マハトマ・ガンジーの波乱万丈の生涯をつづった大河ドラマ。各エピソードのひとつひとつを壮大かつ丁寧に描いている分体感時間が長くなってしまったのがやや惜しまれるところ。
完全犯罪クラブ 2002 米 バーベロット・シュローダー ★☆ クラス最高の頭脳とクラス最高の人気者が、”究極の自由”のために手を組んで完全犯罪を目論む。奇をてらったシリアル殺人ものであるが、少年(ガキ)の知能<刑事の知能+経験(カンとも言う)では、最初から勝負はついていました、という話。サイドストーリーも蛇足で肩すかしを食った。邦題に偽りあり。
ガンダーラ 1987 仏 ルネ・ラルー ★★★ 進化した人間・遺伝子工学の失敗による畸形人間・古代恐竜的モンスター・機械人間軍団などが渾然一体となった世界観と、神話的物語が面白いフレンチ・アニメ。
カンダハール 1999 イラン モフセン・マフマルバフ ★★ タリバン圧政下のアフガニスタンで妹を探す姉を描いたロードムービー。空からパラシュートで落ちてくる義足のインパクトが強い。
間諜最後の日 1935 英 アルフレッド・ヒッチコック ★☆ 映画未発達の時代の作品なので、唐突にスパイになって唐突に辞めたり、部屋に二人きりのはずが、ドアも開けずにいきなり三人目が割り込むとか、根本的な部分での違和感が多いサスペンス。
カンパニー・マン 2001 米 ヴィンチェンゾ・ナタリ ★★ 平凡な生活を送る会社員が刺激を求めて産業スパイになるのだが、やがて壮大な陰謀の存在に気づく。謎めいた展開に胸が躍るB級スパイ・アクション・サスペンス。
がんばれ! ベアーズ 1976 米 マイケル・リッチー ★★☆ 少年野球物の良き古典。理屈ぬきに楽しめる娯楽作品。
ガンヘッド 1989 日 原田眞人 ★★ ロボットが日常のものとなり、コンピュータ””カイロン5”の反乱に敗れた人類が敗れ去った十数年後を舞台に描かれる冒険活劇。ロボット物の実写風というところ価値がある。
キで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
キー・ラーゴ 1948 米 ジョン・ヒューストン ★★ 第二次大戦の復員兵フランクは、戦死した部下の父と妻を見舞うために、フロリダの突端に位置するキー・ラーゴ島へと向かい、取引の時間を待っていたギャングたちの起こしたトラブルに巻き込まれていく。戦争で負った心の傷のせいか虚脱感に覆われている主人公が(当時としては)異色のハードボイルド。密室劇風の鬱屈とした感じを一気に吹き飛ばすラスト日差しが印象的。
祇園の姉妹 1936 日 溝口健二 ★★ 祇園の世界を生きる芸者姉妹の対照的な姿を中心に描かれる人情劇。物語がうまくまとまっている。
祇園囃子 1953 日 溝口健二 ★★ 祇園というキレイ事だけでは済まされない世界を、本当の姉妹のように寄り添って生きていく二人の舞妓の姿を描く。溝口監督らしい女の物語
キカ 1993 スペイン ペドロ・アルモドバル ★★★ スペインの芸能界を舞台にした一癖も二癖もある人々の物語。アブノーマルな感じと、ジャン・ポール・ゴルチエの手による奇妙なファッションが印象に残った。
危険がいっぱい 1964 仏 ルネ・クレマン ★★ 男女計2名づつの恋と命と自由が入り混じるサスペンス。絵空事のように白々しい偶発的な出来事が多いが、性一つ一つのシーンを見せる手腕はさすが。
危険な情事 1987 米 エイドリアン・ライン ★★ 本当に危険なのは情事の後。キッチンでのセックスと、エスカレートしていく女の嫌がらせ行為が印象に残った。
キサラギ 2007 日 佐藤祐市 ★★ 知る人ぞ知るアイドル如月ミキが自殺し、一周忌追悼会に集まった5人のファンの男たちが彼女の思い出話に花を咲かせながら死の真相を推理していく。密室劇であるが、本筋が見えてくるまでに時間がかかりすぎている。推理モードに入ってからはテンポが良くなって楽しめるが、観客を欺くためだけにネタを小出しにして目先を変えているだけで、後々から考えると無理のある展開が多過ぎた。
きさらぎ無双剣 1962 日 佐々木康 ★☆ 江戸幕府転覆の陰謀と7人の勇士の対決を描いたオールスター共演の時代劇。登場人物がちょっと多過ぎた感じ。
木更津キャッツアイ 日本シリーズ 2003 日 金子文紀 元のTVドラマ未見のせいなのかもしれないが、悪い意味でのバカっぽさだけが目についた。
キス・オブ・ザ・ドラゴン 2001 米・仏 クリス・ナオン ★★ 中国人捜査官とフランス人娼婦の愛と戦い。感傷的でナルシスティックな雰囲気には味があるクライム・アクション。
傷だらけの栄光 1956 米 ロバート・ワイズ ★★★ ならず者〜刑務所生活を経てチャンピオンにまで上り詰めた伝説のボクサー、ロッキー・グラジアーノの半生。ツボを抑えた波瀾万丈の物語と若き日のポール・ニューマンの存在感が光る佳品。
奇跡 1955 デンマーク・ベルギー カール・ドライヤー ★★★ 信仰の違いに翻弄される人々。二千年前の奇跡をあがめてばかりで、自らの力で起こせる小さな奇跡(≒変革)を忘れてしまっている現代人に対する告発であるかのような宗教映画。
奇跡の人 1962 米 アーサー・ペン ★★☆ 見えない聞こえない話せないの三重苦を負いながら偉人となったヘレン・ケラーの幼年時代。サリバン先生とヘレンの魂のぶつかり合いは一度は子供に見せておきたい。
北の零年 2003 日 行定勲 政治事情により北海道への移住を強制された稲田藩の人々の苦難を描く。自分たちに甘い製作姿勢がせっかくの原材料の良さを殺していた。
キッド 1921 日 チャールズ・チャップリン ★★★ チャーリーが拾った子供を苦労しながら育てていく姿をコミカルに描いた古く貧しき時代の心温まる物語。
機動警察パトレイバー 1989 日 押井守 ★★☆ 「レイバー」と呼ばれる作業用ロボットが日常使用されている近未来を舞台に、個性豊か過ぎる警視庁レイバー部隊特車二課の活躍を笑いを絡めて描く。この時代にコンピュータ・ウィルスを取り上げた先見性はさすが。
機動警察パトレイバー2 1993 日 押井守 ★★☆ 見えない敵が生むリアルな緊迫感がなかなかの出来映え。
機動戦士ガンダムT 1981 日 富野喜幸/藤原良二 ★★☆ 独立戦争を仕掛けた宇宙移民の国ジオンと、地球連邦軍の戦いを一部隊の視点を軸に描いたロボット・アニメの金字塔の映画版第1作。内容はTVシリーズ前半の総集編。
機動戦士ガンダムU 哀・戦士編 1981 日 富野喜幸 ★★★ ランバ・ラル、黒い三連星、マチルダさんといったキャラとの戦闘や交流を経てアムロが成長していく物語。旅立ちを感じさせるラストが秀逸。
機動戦士ガンダムV めぐりあい宇宙編 1982 日 富野喜幸 ★★★ アムロはララァと出会い、ニュータイプ同士の心の邂逅を経て、そして部隊は最終決戦の地ア・バオア・クーへ。挿入歌がダサすぎる”1年戦争”完結編。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 1988 日 富野由悠季 ★★★ アムロとシャアの物語が遂に完結。TV放映当時とは段違いのレベルの作画とクラシック調の音楽に宿命のライバル対決・最終章に胸躍るが、オカルトなラストには結構引く。
機動戦士ガンダム F91 1991 日 富野由悠季 ★★ ファースト・ガンダムから見て遠い未来のガンダム。ニュータイプの概念がどっかにいってしまった・・・。
機動戦士Zガンダム −星を継ぐ者− 2005 日 富野由悠季 ★☆ 21世紀に蘇った”新訳版”Zガンダム・その1。少年カミーユの旅立ち〜クワトロ(シャア)とアムロの再会までを描く。殆ど展開のなかった序盤を、見せ場だけ残しつつダイジェストにしているので、TVシリーズを何回も見た自分であってもぶつ切りの印象が強かった。書きおろしの画と20年前のテレビ映像のミックスも微妙な塩梅。
機動戦士ZガンダムU−恋人たち− 2005 日 富野由悠季 ★☆ 21世紀に蘇った”新訳版”Zガンダム・その2。地球に残されたカミーユはフォウと運命的な出会いを果たし、宇宙へ戻ってZガンダムに搭乗する。確かに”恋”が軸になっているし、ヘンケンの職権濫用がより露骨になっていたのは笑えたが、エゥーゴとティターンズの対立軸を浮き上がらせた方がはるかに面白くなったはず・・・。
機動戦士ZガンダムV−星の鼓動は愛− 2006 日 富野由悠季 ★★ 21世紀に蘇った”新訳版”Zガンダム・その3。ようやくハマーン・カーンが登場し、宇宙でのドロドロ抗争が始まる。序盤を省略してエゥーゴ対ティターンズ対ネオ・ジオンの3つ巴の戦いを軸に三部作にした方がはるかに面白くなったはず・・・。リファインされた戦闘シーンの楽しさではVが一番だが、今さらあのラスト(だけ)改変はないだろう、と思った。 
きのうの夜は・・・ 1986 米 エドワード・ズウィック ★★ 束縛しあわない自由な恋愛を望みながらも、いつのまにかお互いを本当に必要としていた男女の恋路。実際にありそうな感じの内容。
君とボクの虹色の世界 2005 米 ミランダ・ジュライ ★★★ シニア向けタクシーの運転手をしながらアーティストを夢見る女性クリスティーンは、二人の子供を持つバツイチの靴売場の店員リチャードとの恋に落ちる・・・というと単純極まりない話のようだが、実際は二人の周囲に生きるを淡々とした眼差しで見つめたシーンが多く飽きさせない。ありがちな人物造形とありがちな行動が多いにもかかわらず、不思議と印象に残るシーンが多い。特に金魚の最期の時を懸命に伸ばそうとする場面が何とも印象的だった。
きみに読む物語 2004 米 ニック・カサヴェテス ★★ 老いても枯れることのなかった愛情を綴ったメロ・ドラマ。
君を忘れない 1995 日 渡邊孝好 太平洋戦争間際の特攻隊員たちを青春讃歌風に描く。敗戦間際でありながら特攻隊員の誰一人としてすぐに死地に赴くという表情をしていない。
CASHEERN 2004 日 紀里谷和明 ★★☆ アニメ「新造人間キャシャーン」のリメイク。説明過多なセリフは頂けないが、個々の映像の瞬発力とナルシスティックな展開に力がある。
キャスパー 1995 米 ブラッド・シルバーリング ★★ 幽霊版ピノキオのような物語。子供が見る分には良いか。パイソンズ・ファンとしては役者エリック・アイドルが見れて嬉しかった。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 2002 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ 両親の離婚がきっかけで家を飛び出した16歳のフランク・アバグネールはなりゆきから詐欺師となり、パイロットやら医師やら弁護士やらになりすまし偽造小切手を濫用するが、そんな彼をFBI捜査官カール・ハンラティが追い詰めていく。実在の天才的詐欺師の半生であるが、家族思いで寂しがり屋という設定のため感情移入しやすくしており、かつ、痛快なコメディ・タッチで描いているので娯楽作品として楽しめた。
キャッツ・アンド・ドッグス 2001 米 ローレンス・ガターマン ★☆ 犬=善、猫=悪、という二極化で描かれる犬猫版スパイ大作戦。犬猫という要素とCGに頼りきり。
キャデラック・マン 1990 米 ロジャー・ドナルドソン ★★ 達者な話術で高級車を売りまくるセールスマンの災難をコメディー・タッチで描いているようだがあまり笑えない。
キャプテン・スーパーマーケット 1992 米 サム・ライミ ★☆ 邪悪な力に襲われて一瞬で恋人と片手を失ったスーパー勤務のアッシュは、なぜか中世に飛ばされてそこでも邪悪な力と戦うはめになる。
ギャラクシー・クエスト 1999 米 ディーン・バリソット ★★★ 名作SFドラマ”スター・トレック”とそのファンたちへのオマージュを込めたSFアクション・コメディ。
キャリー 1976 米 ブライアン・デ・パルマ ★★★ スティーブン・キング原作らしい哀しくて怖いホラー・サスペンスの古典。
ギャンブル・プレイ 2002 英・仏・アイルランド・カナダ ニール・ジョーダン ★☆ 初老のギャンブラーが若い女と組んで絵画泥棒のためにカジノの金庫を狙う。軸が定まらないままエンディングに辿り着くという意味では軸がある。
CUTIE HONEY キューティ・ハニー 2003 日 庵野英明 ★★ 永井豪の原作を実写とハニメーションなるアニメ的新手法で描く。セクシーなヒロインがセクシーに活躍するという原作を体現した佐藤江梨子の健康的エロと馬鹿っぽさが全開。
キューティ・ブロンド 2001 米 ロバート・ルケティック ★★☆ アーパーっぽい外見のいかにもなブロンド美女が失恋を契機に才色兼備の魅力的な女に成長していく。良い意味での馬鹿馬鹿しさと爽快さをバランスよく兼ね備えている。
9.11 N.Y.同時多発テロ  衝撃の真実 2002 米 ジュール&ゲデオン・ノーデ ★★☆ N.Y.で新人消防隊員のドキュメンタリーを撮るはずがその途中で起こったのは・・・・という偶発で生まれた作品。作り物でない生々しさがある。
CUBE 1997 カナダ ヴィンチェンゾ・ナタリ ★★★☆ 何の脈絡もなくキューブと呼ばれる長巨大構造迷路(一撃必死の罠付)に拉致され人々の決死の脱出劇。低予算を逆手にとったミステリアスな設定とリアルに描かれる人間心理に魅了される。
CUBE2 2002 米 アンジェイ・セクラ ★☆ そもそも続編作れるような設定じゃなかったろうに。
救命艇 1944 米 アルフレッド・ヒッチコック ★★★ 戦火の中一艇の救命ボートに集った人々による密室風の極限劇。人間のエゴと尊厳を映し出したソリッド・シチュエーションの古典。
恐怖の岬 1962 米 J・リー・トンプソン ★★ 逆恨みした男が復讐に現れる逆切れスリラーの古典。後世から見ると特に目新しさはない。
恐怖のメロディー 1971 米 クリント・イーストウッド ★★ 可愛い女には毒があるという逆ストーカー・サスペンス。中盤までは控えめな分逆に怖かったが、ロマンティックな青姦以降は何もかもがオーバーに・・・。
京義線 2007 韓国 パク・フンシク ★★ イムジンガン行の電車に乗った男女二人の心の傷。映像・音楽・展開のすべてにおいてアンニュイな雰囲気が持続する鬱映画。
キラークラウン 1988 米 スティーヴン・キオド ★★★ ピエロ型宇宙人が田舎町に襲来。やっていることは怖いのに、姿も道具も間抜けなので可笑しいという低予算B級SFの魅力がある。
キラーコンドーム 1996 独 マルティン・ヴァルツ タイトルからもわかるとおり着想の時点で既に無茶苦茶。デザインはあのギーガー。
嫌われ松子の一生 2006 日 中島哲也 ★☆ 東京で暮らしている大学生・川尻笙は、三十年前に家を飛び出したっきりの伯母・松子が東京で殺害されたため、松子が住んでいたアパートの部屋の後始末を行うこととなり、その中で徐々に彼女の壮絶な人生を知っていく。とんでもないほど情けない転落人生を、ミステリーをひも解く感じで、おまけになぜか能天気なまでのハイテンション、カラフル&ときおりミュージカル風に描く。インパクトのあるシーンが多いが、相乗効果を生み出しているわけではないので芸に溺れた感が強い。好き嫌いが分かれそう。
キリクと魔女 1998 仏 ミッシェル・オスロ ★★☆ 絵本のように美しい独特の風景画が印象に残るフランス製アニメ。アフリカの荒涼とした大地の歴史を感じさせる寓話に味があった。
キリクと魔女2  4つのちっちゃな大冒険 2005 仏 ミッシェル・オスロ ★☆ 前作の中で語られなかったエピソードを4つ集めただけの続編。
霧につつまれたハリネズミ 1975 露 ユーリ・ノルシュテイン ★★★★ ハリネズミのヨージックの不思議な体験。わずか10分にもかかわらず、霧の中の光景が童心に溢れており、なんともいえない哀愁さえ感じさせる。
鬼龍院花子の生涯 1982 日 五社英雄 ★★☆ タイトルと内容に差があり、実際は花子の父にしてヤクザの大親分・鬼龍院政五郎の豪放な生き方と、その幼女松恵との邂逅を基軸にした鬼龍院一家の物語である。序盤の闘犬のシーンの生々しさなど、暑苦しくも重厚な物語がなかなか面白かった。夏目雅子の代表作と言われているが、仲代達也と岩下志麻の存在感も光っていたと思う。
キリング・フィールド 1985 英 ローランド・ジョフィ ★★★ 悪名高いポル・ポト政権下のカンボジアで起きた悲劇。国籍の違いが運命の分かれ道となるシーンに現実の残酷さを学んだ。
斬る 1968 日 岡本喜八 ★☆ 藩の内紛がゴタゴタ。岡本監督特有の暑苦しさ満載で剣戟シーンに迫力がある。
ギルバート・グレイプ 1993 米 ラッセ・ハルストレム ★★☆ アイオワ州の田舎町に住む青年ギルバートは、過食症の母や知的障害の弟などを抱えた一家の大黒柱として生活しているが、夢や希望を抱けない日々に虚しさを感じつつあった。地味ながらもビターな味わいを持った青春譚として観るのもいいし、傍目には過酷な生活環境なのにもかかわらず自らに課せられた重い責任から逃げない一人の立派な男の物語として観るのもいいだろう。良作。
キル・ビル 2003 米 クエンティン・タランティーノ ★★★ B級C級映画へのオマージュ・ネタ満載のアクション・コメディ。終盤に食傷気味になってくるものの冒頭から畳みかけてくる展開で面白く観られる。
キル・ビル vol2 2004 米 クエンティン・タランティーノ ★★ 前作に比べると随分まったりしていた。
銀色の髪のアギト 2005 日 杉山慶一 遺伝子操作の失敗により森が人を襲う近未来という設定だけが許せた日本アニメ。
銀河鉄道の夜 1985 日 杉井ギサブロー ★★★☆ 宮沢賢治の代表作をネコ型人間でもって描く。アニメの自由奔放さが原作の持つイメージを生かすのに役立っている。
銀河ヒッチハイクガイド 2005 米・英 ガース・ジェニングス ★☆ 地球滅亡後を生きるたった一人の地球人と宇宙の仲間たち。いかにもな英国的バカの世界。鬱ロボット・マーヴィンの設定は笑えた。
緊急接近 ZONE 1995 米 バリー・ゼットリン 今どき勘が頼りの凄腕パイロットの物語。舞台設定を30〜40年前に設定していれば観れたかもしれないB級映画。
近距離恋愛 2008 米・英 ポール・ウェイランド ★★☆ 近すぎるがゆえにその大切さに気づかない、という普遍的なテーマ自体は良かった。ベタだがまずまず見られる王道を往くラブコメ。
キング・アーサー 2004 米・アイルランド・英 アントワン・フークア 西暦415年、ローマ帝国の支配下にあったブリテンにおいて、反乱軍、ローマ軍、サクソン人が入り乱れ混とんとしている中、円卓の騎士を率いるローマ軍の司令官アーサーに過酷な指令が下される。アーサー王と円卓の騎士の伝説を忠実に映画化するならまだともかく、名前とちょっとした設定だけを借りて都合の良いように普通の冒険ロマンに変換してまで映画化する意味が(興業戦略意外に)あったのだろうか。
キング・イズ・アライブ 2000 デンマーク・スウェーデン・米 クリスチャン・レヴリング 砂漠で遭難してしまったので精神を健全に保つためにみんなでリア王を演じる・・・シェイクスピアへの造詣が深くないと楽しめないか? カルト度高し。
キングコング 1976 米 ジョン・ギラーミン ★☆ モンスターパニック映画の元祖的存在キングコングの70年代リメイクだが語るべきはそれだけ。
キングダム・オブ・ヘブン 2005 米 リドリー・スコット ★★☆ フランスで鍛冶屋として暮らしていたバリアンは、ある日現れたイベリンの領主ゴッドフリーから彼が自分の父だと告げられ、十字軍に参加することとなり、エルサレムで起こる歴史の激動に巻き込まれていく。十字軍遠征により聖地に建国されたエルサレム王国の存亡という大局の史実を基礎にしつつも、バリアンをめぐるエピソードは製作者側に都合のよいフィクション(と想像)という、ちょっと微妙な大作映画であるが、サラディンが出てくるなどの地味ながらも通な題材には満足できた。
キンダガートン・コップ 1990 米 アイヴァン・ライトマン ★★ ロサンゼルス警察の鬼刑事が、なぜか先生として幼稚園に潜入するはめとなる。コミカル・恋・サスペンスがごった返しているので中途半端な印象。
クで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
クィーン 2006 英・仏・伊 スティーヴン・フリアーズ ★☆ 1997年5月エリザベス2世の承認を受けて首相に就任したトニー・ブレアは、その年の8月に起きたダイアナ元皇太子妃の死をプロパガンダに利用しようとするが、エリザベス2世は一私人の死であるとし、二人は対立を深めていく。スキャンダラスなダイアナ元英国皇太子妃の死ではなく、その背後に英国王室で起きた確執を丹念に描いている、いかんせん地味過ぎる。
クイズ・ショウ 1994 米 ロバート・レッドフォード ★★ 実際にあったやらせクイズ番組を下敷きにした物語。やったことは同じでも、下層階級出身のチャンプと、上層階級出身のチャンプで描き方が正反対なのもやらせ?
空軍大戦略 1969 英 ガイ・ハミルトン ★★ 第二次世界大戦の一大転機となった”バトル・オブ・ブリテン”を描いた空戦映画。これでもかと実機を飛ばしたことに意義があり、航空機マニアに受けること必至。
ぐうたら バンザイ! 1967 仏 イヴ・ロベール ★☆ 美人だが気の強い妻に尻を叩かれてばかりだった怠け者農夫のアレクサンドルは妻の不慮の事故死をきっかけに思いのままにぐうたらな生活を始める。序盤のコミカルなぐうたらぶりがべた過ぎていきなり萎えた。その後のぐうたらぶりもきわめてベタで、妻のことは思い出しもしないくせに拾った犬のことがとても大事、というシニカルさがいかにもフランス映画ぽかった。
グーニーズ 1985 米 リチャード・ドナー ★★☆ 現代を生きる少年たちが海賊の宝捜しに出かけるアドヴェンチャー映画。子供が見たら相当面白く感じるであろう。
クール・ランニング 1993 米 ジョン・タートルトーブ ★★☆ 夏季五輪出場を逃したジャマイカの陸上選手がボブスレーで冬季五輪に出場したという嘘のような実話を正統派娯楽にしたが、ちょっと煽り過ぎの演出が蛇足。
偶然の旅行者 1988 米 ローレンス・カスダン ★★★☆ 心に深い傷を負った中年男の物語。旅行者への例えや変人揃いの家族等のコミカルな要素を織り込みながらも本筋・脇筋ともにはしっかりとした心象ドラマに仕上げている。
草迷宮 1979 日 寺山修司 ★★★ 泉鏡花の同名原作を基に奔放に描かれる夢幻のごとき中編。数々の印象的なシーンはいまだに色褪せていない。
草を刈る娘 1961 日 西河克己 ★☆ 津軽平野の草刈りの中で描かれる恋愛模様。日本にもこんなに鷹揚とした時代があっただなぁ、という感じ。
孔雀−我が家の風景− 2005 中国 顧長衛(クー・チャンウェイ ★★★☆ 文化大革命後の中国を生きるある平民家族の物語を静謐としたタッチで描く。青い布と緑の木々を織り交ぜた映像を多用した長女のシークエンスが秀逸。
くたばれ! ハリウッド 2002 米 ブレット・モーゲン/ナネット・バースタイン ★★★☆ 名プロデューサー、ロバート・エヴァンスの回顧録ドキュメンタリー。美男子だが売れない大根役者だったロバートは、斜陽のパラマウントの副社長に抜擢され、難産の末に「ローズマリーの赤ちゃん」、「ゴッドファーザー」などを生み出して会社を立て直すのだが・・・。映画業界の内幕&波瀾万丈過ぎる半生を、往年の映像を組み合わせて主観的に再構成した内容だけでも十分面白いのだが、本人自らによるシニカルな語り口が作品をさらに際立たせている。
グッドモーニング・バビロン! 1987 伊・仏・米 パオロ・タヴィアーニ/ヴィットリオ・タヴィアーニ ★★★ イタリアのボナンニ家の兄弟が、アメリカにわたって、G.W.グリフィス監督の「イントレランス」の美術製作を担うこととなる。ハリウッド創世記の熱気が感じられる。
グッドモーニング・ベトナム 1987 米 バリー・レビンソン ★★★ ベトナム戦争の前線で伝説となったラジオDJの物語。「グッード・モーニング・ベトナァム!」という叫びと、過激なマシンガントークが印象に残る。
グッバイ、レーニン! 2003 独 ヴォルフガング・ベッカー ★★ 東西統一を知らない共産党員の母という設定を生かした展開は悪くないがやや冗長。
雲が出るまで 2004 トルコ イェシム・ウスタオウル ★★ 1975年のトルコ、かつて国を追われたギリシャ系のアイシェが、身寄りの家族を亡くして居場所を見つけられずにいたところ、幼くして生き別れた弟ニコがギリシャで生きていると聞き、一路ギリシャへと向かう。ギリシャを代表する映画監督テオ・アンゲロプロスの作品でも国境を問うものがおおかった通り、この辺の国々の関係は非常に微妙な立ち位置であるらしい。作品の内容は静謐とした雰囲気と地味ながらも当時の庶民の暮らし丹念にを描いている点が良かった。
蜘蛛巣城 1957 日 黒澤明 ★★★☆ シェイクスピアの「マクベス」を題材に人間の妄執を描き出した時代劇。妖しい老婆の、動く森、一斉に放たれる矢など強烈なインパクトをもったシーンが多い。
雲の中で散歩 1995 米 アルフォンソ・アラウ ★★ 第2次世界大戦から帰還したアメリカ兵ポールは、妻の愛が冷え切っていたことに幻滅し、偶然知り合った妊娠中の独女ビクトリアが里帰りの間彼女の夫になり済ますことを引き受ける。筋書きはどうということはないが、晩年のアンソニー・クインの味のある演技と美しい農園の映像はなかなか良かった。
クライシス2050 1990 米・日 リチャード・C・サラフィアン 太陽の危機を救うために、妨害工作と戦い、子供探しに奔走する・・・話それすぎ。とてもあの「バニシング・ポイント」を撮った監督の作品とは思えない。
クライマーズ・ハイ 2008 日 原田眞人 ★★ 1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こり、地元にある北関東新聞社では、未曽有の大事故を報道する紙面作りのため記者たちが闘いに挑んでいく。オーナー兼社長との確執、突如倒れた友人への思い、熱い報道へ姿勢などなどが濃密に描かれて引き込まれるのだが、詰め込み過ぎのせいか、結局メインのはずの日航機墜落事故も主人公の葛藤も消化不良のままに終わってしまったのが残念だった。
クラッシュ 2005 米 ポール・ハギス ★★☆ 無骨すぎるにも程があるアメリカ人たちがあちこちでクラッシュ(衝突)し続ける群像劇。エンディングが安易。
クラッシュ・ダイブ/急速潜航 1996 米 アンドリュー・スティーヴンス 米軍の原子力潜水艦ユリシーズ(いい名だ)がシージャックされる。起の時点で安易すぎ。こんなにガードのゆるい軍隊があるか。
クラッシュ・ダイブU/沈黙の潜水艦 1998 米 エド・レイモンド ロシア軍の原子力潜水艦軍人オデッサ(いい名だ)がシージャックされる。主役がダイ・ハードに言及している時点でチープ。船内がSFドラマの宇宙船内部みたい。
グラディエーター 2000 米・英 リドリー・スコット ★★☆ 古代ローマを舞台に、将軍の地位から奴隷にも等しい剣闘士に身を落とした男の物語。歴史的考証に基づいて構築した世界が面白い。
暗闇でドッキリ 1964 米・英 ブレイク・エドワーズ ★☆ ”ピンク・パンサー”シリーズの第2作。くどすぎるネタがきつい。
グランド・ホテル 1932 米 エドマンド・グールディング ★★☆ ”ソリッド・シチュエーション&群像劇”といういわゆる「グランド・ホテル形式」の元祖。古典だけあって作りがしっかりしている。
グラン・ブルー 1988 仏・伊 リュック・ベッソン ★★★ 海に魅せられた男が挑むシンプルだが過激極まりない潜水競技に挑む。伝説の潜水者ジャック・マイヨールをモデルにした作品で、とにかく海が綺麗。
グリーン・カード 1990 米・仏・豪 ピーター・ウィアー ★★ アメリカ永住権を巡る男女の思惑が偽装結婚へと行きつく。地味だが手堅い恋愛映画。
グリーン・デスティニー 2000 米・中・香・台湾 李安(アン・リー) ★★☆ 碧命剣という最強の名剣をめぐる争い。緑が画面いっぱいに溢れるシーンが美しかった。無用に多い香港風アクションと長ったらしいドラマに少々退屈した。
グリーン・マイル 1999 米 フランク・ダラボン ★★☆ 無実の罪で死刑囚となった超能力者と彼を巡る人々の物語。感受性の強い人間にはこの世は生きにくいよな、と思った。電気椅子を正面から描いた姿勢もよし。
グリッター きらめきの向こうに 2001 米 ヴォンディ・カーティス=ホール ★☆ 世紀の歌姫マライア・キャリー主演にして自伝っぽい成り上がり物語。80年代風ダンス・ミュージックは聴けるが、音楽シーンばかりの上に展開がベタで締まりがない。
グリフターズ/詐欺師たち 1990 米・豪 スティーヴン・フリアーズ ★☆ 母、息子、その恋人という3人の詐欺師の物語。雰囲気は良いが、展開がありきたりな上に、コメディ的な話をシリアスさを強調して描いているのが問題。
クリフハンガー 1993 米・仏 レニー・ハーリン ★☆ 科学や常識を破壊するシルベスター・スタローンが雪山で無茶苦茶な活躍を見せる。
クリミナル・サスペクツ 2001 米・独 ドミニク・フォルマ ★★ ギャングの運転手となった男の姿をリアルに、かつ、ちょいカルトっぽく描いている。
クリムト 2006 オーストリア・仏独・英 ラウル・ルイス ★★ 死の直前の画家クリムトがとりとめもなく回想する自らの半生。ときおりクリムトが描いたかのような映像が出てくる。伝記物語ではなく監督の解釈が織り交ぜられている分自由ではあるもののインパクトには欠ける。
グリンチ 2000 米 ロン・ハワード ★★ 往年のハリウッド映画のようにオールセット&絵本風に描かれる、”美少女?と野獣”。子供と一緒なら観てもいい。
クリント・イーストウッド ジャズ・ナイト 1997 米 ブルース・リッカー ★★ ジャズ通で知られるクリント・イーストウッドお気に入りのアーティストを集めてカーネギー・ホールで行われたジャズ・ライブの模様を、本人のコメントを交えて収録したドキュメンタリー。イーストウッド作品における音楽の位置づけを把握することができるという点とわかりやす演奏でなかなか楽しめた。
狂った果実 1956 日 中平康 ★★☆ 何不自由ない優雅な生活を送る若い兄弟二人の絆が、一人の美女を巡って破綻していく姿をスタイリッシュに描く。石原慎太郎・原作で弟裕次郎の映画初主演作。
クレイマー、クレイマー 1979 米 ロバート・ベントン ★★☆ 仕事に夢中になり過ぎて妻マーガレットに家出されてしまったテッド・クレイマーは、7歳になる一人息子テッドの子育てと家事を兼ねながらの生活を送ってきたが、ある日突然マーガレットが戻ってきてテッドの養育権を裁判で争う羽目となる。自立する女性・男女同権といった薄れゆく往年の価値観をテーマにしているため、裁判でなければ話し合いの出来ない二人、という以外に時代を超越するようなテーマや面白さはないものの、妻につれなくされる男にダスティン・ホフマンがよくはまっていた。
グレースと公爵 2001 仏 エリック・ロメール ★★☆ 油絵の背景に人間を融合させるという手法により描かれたフランス革命後のパリ。画の質感がなかなか目に楽しい。
グレートビギン 2004 仏 クロード・ニュリザニー/マリー・プレンヌー ★☆ 生命の起源とその進化に迫っていこうとするドキュメンタリー。NHKの番組で見たような映像が多かった。
紅の豚 1992 日 宮崎駿 ★★★ 元は名パイロット、今は空飛ぶ豚となたポルコ・ロッソが赤い愛機を駆って大活躍するアニメ。屈折したダンディズムがいい。
グレムリン 1984 米 ジョー・ダンテ ★★☆ 謎の骨董屋からこっそり持ち帰った可愛らしい小生物モグワイは、水をかける増えて、深夜の食事で凶暴化する性質を持っていた。コメディ・タッチのパニック劇。
クレヨンしんちゃん モーレツ!  嵐を呼ぶ大人帝国 2001 日 原恵一 ★★★ お下劣子供向けアニメ・・・のはずが、大人の琴線にも触れるノスタルジーとメッセージ性を兼ね備えた奇作。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 2002 日 原恵一 ★★☆ 戦国時代のある小国の姫・廉の祈りが、未来を生きる野原しんのすけを呼び寄せ、討ち死にするはずだった侍・井尻又兵衛の命を救ってしまうのだが・・・。クレヨンしんちゃんらしいギャグがどうのこうのいう以前に、戦国時代を舞台にした小話としての基軸がしっかりとしていて楽しめた。「お前逃げるのか?」というしんちゃんの言葉は、時代設定を越えて胸に迫って来た。
グレン・グールド 27歳の記憶 1959 カナダ ロマン・クロイター/ウルフ・ケニッグ ★★★☆ 20世紀最高の呼び声高い変人ピアニスト、グレン・グールドの若き日を撮ったドキュメンタリー(ニュース・フィルム的な内容二本立て)。グールドのファンでない人には大した価値もないだろうが、晩年のドラキュラのような風貌からは想像もつかないハリウッドスター並みの美形ぶりに、ピアノを弾き出すと同時に高らかに歌われる衝撃の唸り声など、ファンにとってはたまらない内容。
グレン・グールド / ロシアの旅 2002 カナダ ヨシフ・フェイギンベルク ★★ グレン・グールドの冷戦下におけるソ連(当時)公演がいかに衝撃をもたらしたかを後年の視点から検証したドキュメンタリー。グールド本人は殆ど出てこないし、内容的にも凡庸そのものであるが、あのアシュケナージが大絶賛していたことだけは非常に印象に残った。
グレンとグレンダ 1953 米 エドワード・D・ウッド・Jr 史上最低の呼び声高い映画監督エド・ウッドの処女作。カルト映画的な部類に属する奇作。何だかわからないけど頑張って観ましょう。
グレン・ミラー物語 1953 米 アンソニー・マン ★★☆ バンドリーダー・作曲家・トロンボーン奏者として名高いグレン・ミラーの伝記物語。古きよき時代を感じさせる手堅い内容。
黒い稲妻 1958 西独 ハンス・グリム 世界各国の名選手が続々と集結してきたスキーの競技会で勝利を狙う”黒い稲妻”ミヒャエルは、恋人グレーテルに活躍を誓っていたが、再起を期す元王者タナーのワックス泥棒疑惑をかけられてしまう。アルペン競技の金メダリストにして美男子のトニー・ザイラー主演で、玄人たちの滑りが見られる、ということ以外に特筆すべき内容がない三文芝居。
黒い雨 1989 日 今村昌平 ★★★☆ 広島への原爆投下による2次被爆に遭遇した人々のその後の姿を描く。丹念なモノクロ画像といい王道ヒューマニズムといい、文句なしに素晴らしい。
黒いオルフェ 1959 仏・ブラジル マルセル・カミュ ★★★☆ 青年オルフェはカーニバルの最中に美しい少女ユリディスと出会いに恋に落ちるのだが、ユリディスの背後に死の仮面をまとった不気味な男の影がつきまとうのだった。ギリシャ神話が原典とは思えないほどにギラギラとした原色、ムンムンとした熱気、そしてどこまでもリズミカルで官能的ですらあるサンバのリズムが心地よい。カーニバルで踊りたがるブラジル人の気持ちが少しわかった気がする。
クロウ/飛翔伝説 1994 米 アレックス・プロヤス ★★☆ 非業の死を遂げたロックシンガーが復讐のために蘇る。主演のブランドン・リー(ブルース・リーの息子)が撮影中になぜか実弾を受けて死んでしまったことで有名で、そのせいかどうか何ともいえない哀愁が漂っている。
クローサー 2002 香港・米 元奎(コーリー・ユン) 香港版チャーリーズ・エンジェルといった趣でで美女3人組が活劇を見せる。どこかで見たようなシーンをパッチワークにしているのですぐ飽きてくる。
クローズ・アップ 1990 イラン アッバス・キアロスタミ ★★★☆ 映画監督を騙った男という三面記事的な要素を、本人たちに再現ドラマを演じさせながら、事件を追っていくという半フィクション・ドキュメンタリー。
クローン 2001 米 ゲイリー・フレダー ★☆ ケンタウロス星と抗争中の地球を舞台に、ケンタウロス製人間型爆弾と疑われた男の逃亡劇を描く。キャストは渋いが展開とセットが安っぽかった。
クロコダイル・ダンディー 1985 米 ピーター・フェイマン ★★ オーストラリア奥地でターザンのように暮らしている野性的な冒険家”クロコダイル・ダンディー”がニューヨークで騒動を巻き起こす。力抜いて見るには十分。
クロスファイア 2000 日 金子修介 ★★★☆ 発火能力をもって生まれてきた女はいつしか正義の鉄槌を下し始める。画や役者陣の演技はいまいちだが、怒濤の展開と凶暴な炎を操る哀しいヒロインに釘付け。
軍事機密パトリオット 1998 米 ダニー・ラーナー ★☆ ベトナム戦争からの帰還後に命を狙われる羽目になった男たち。最初は謎めいていて面白そうなのだが謎解きの進まないまま襲撃を受け続ける展開がひど過ぎる。
ケで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
刑事 1959 伊 ピエトロ・ジェルミ ★★ ローマ近郊のあるアパートで強盗事件が発生し、事件を担当する警部は様々な人間模様を目の当たりにしながら事件の核心に迫っていく。本筋自体には大した魅力はないが、敗戦後間もない混沌を生きる人々の態様が印象に残る。
刑事ジョン・ブック 目撃者 1985 米 ピーター・ウィアー ★★☆ 殺人事件の目撃者と正義の刑事の物語はありがちだが、ペンシルヴァニア州の田舎で17世紀の様式で生きる人々を描いた点がユニークで面白い。
K2 ハロルドとテイラー 1991 米 フランク・ロッダム ★★ 世界第2位のK2に挑む弁護士と物理学者の友情を描く。ありきたりな山岳物だが過剰すぎる演出がないのはいい。
K−19 2002 米・英・独 キャスリン・ビグロー ★★ 放射能もれを起こした旧ソ連潜水艦という題材だけで2時間の映画にするのは少々無理があった。
K9/友情に輝く星 1988 米 ロッド・ダニエル ★★ 問題刑事と凶暴極まりない警察犬のシェパードが麻薬王を追い詰めていくアクション・ハートフル・コメディ。ベタだが一応観られる。
ケープ・フィアー 1991 米 マーティン・スコセッシ ★★ グレゴリー・ペック主演の「恐怖の岬」(1962年)のリメイク。ムキムキの体に肉体改造したロバート・デ・ニーロの怖さが印象に残った。
ゲーム 1997 米 デヴィッド・フィンチャー ★★ 遊び感覚のゲームに参加したはずが実際は命を狙われてしまるという序盤は結構面白いが、段々ハチャメチャになっていく展開が痛い。
ゲームの規則 1939 仏 ジャン・ルノワール ★★☆ ゲーム=恋、規則=人間の習性、という恋愛映画。戦前の作品であるにもかかわらず、多様な登場人物を動かしたテクニックが大したもの。
撃鉄 GEKITETZ  〜ワルシャワの標的〜 2003 米・ポーランド マイケル・オブロウィッツ ★☆ 単純明快な作品という予想を裏切る渋めのB級サスペンス・アクションなのだが、登場人物の関係がよくわからなくてとまどった。
激動の昭和史 沖縄決戦 1971 日 岡本喜八 脚本新藤兼人で、太平洋戦争末期の沖縄戦で軍民もろとも散っていった姿をナルシスティックな悲劇として描く。力作であることは認めるが暑苦しすぎて好きではない。
激突! 1971 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ カリフォルニア州を車で走る平凡なサラリーマンが、進路を妨害するタンクローリーと意地の張り合いをしてしまったがゆえにとんでもない目に遭うことに・・・。TVドラマ用としてわずか11日で製作されたスピルバーグ監督の事実上の処女作。得体の知れない恐怖をスリリングに描いた新鮮さは未だに色あせておらず、低予算ということを思い起こさせないほど面白い。
激流 1994 米 カーティス・ハンソン ★★ 夫との不仲に悩む妻は息子とともに壮大な大自然の中の川下りに出かけるのだが、なぜだか強盗たちと仲良く?激流下りすることになる。呉越同舟的な設定にもかかわらず、ヒューマニックな展開に乏しいところがいかにもハリウッド風。
ゲッタウェイ 1971 米 サム・ペキンパー ★★ 順を追って逃亡劇が展開していくだけで、ペキンパー監督らしいバイオレンス描写は終盤まで炸裂しない。
血斗水滸傳 怒涛の対決 1959 日 佐々木康 ★★ 江戸時代、利根川を挟んで対立する飯岡助五郎一家と新興の笹川繁蔵一家の抗争を描いたいわゆる天保水滸伝。国定忠治・清水次郎長・平手造酒などの有名どころまで出てくる娯楽大作。ただの古めかしい映画かと思いきや、見やすい・聞きやすい・わかりやすいの3拍子揃った賑やかな作品でなかなか楽しめた。
訣別の街 1996 米 ハロルド・ベッカー ★★ 政界の腐敗に立ち向かう若き市長補佐官の姿を描いた地味&硬派なクライム・サスペンス。
ゲド戦記 2006 日 宮崎吾朗 ★☆ アーシュラ・K・グインのファンタジー世界的小説を世界の宮崎(但し素人の息子の方)が親の七光りだけで作った素人はだしの作品。
ケルジュネツの戦い 1971 ソ連 イワン・イワノフ=ワノー/ユーリ・ノルシュテイン ★★☆ 鮮やかな色使いと壁画風のタッチでキエフ公国の歴史を描いた切り絵アニメの佳作。ユーリ・ノルシュテイン作品集に収録。
幻影は市電に乗って旅をする 1953 メキシコ ルイス・ブニュエル ★★☆ 夜中に勝手に市電を乗り回した二人の男を通じてメキシコの様々な現実を描き出す。電車で空想的な旅をする設定は後年の色々な作家に影響を与えているように思う。
源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流 1957 日 加藤泰 ★★ 幕末を舞台に美白の剣士にして源義経の子孫・源氏九郎が活躍するシリーズ第1作。古式ゆかしい時代劇ヒーローもの。往年の邦画らしい音楽が懐かしい。
源氏九郎颯爽記 白狐二刀流 1958 日 加藤泰 ★☆ 幕末を舞台に美白の剣士・源氏九郎が活躍するシリーズ第2作。尊皇攘夷と義経の宝に恋物語となんだか中途半端。
源氏九郎颯爽記 秘剣揚羽の蝶 1963 日 伊藤大輔 ★☆ 幕末を舞台に美白の剣士・源氏九郎が活躍するシリーズ第3作。幕末っぽい雰囲気はなく江戸中期の勧善懲悪ものみたいな雰囲気。
原始のマン 1992 米 レス・メイフィールド ★★ 高校生に発掘された原始人(クロマニョン人)が現代に蘇って、というコメディ。良くも悪くもハチャメチャ。
原子力潜水艦浮上せず 1978 米 デヴィッド・グリーン ★★ 沈没した潜水艦のタイムリミット付救出物語を描いた普通のパニック映画。
県庁の星 2006 日 西谷弘 ★☆ エリート公務員とスーパー勤務の貧乏パートの恋と活躍を描く。予想を下回ることもないが上回ることもない2時間テレビドラマ程度の安っぽい内容。
コで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
コアラ課長 2005 日 河崎実 漬物会社の敏腕・コアラ課長をめぐるサイコ・サスペンス? お遊びが度を越えている。
恋空 2007 日 今井夏木 ★☆ 高校生カップルが怒涛のごとく押し寄せてくる悲劇の中で愛を貫こうともがく。腹を抱えて笑えるほどに悲劇的。少年少女向けの恋話で大人の鑑賞には向かないが主演の新垣結衣が可愛かったので許す!
恋に唄えば♪ 2002 日 金子修介 ★★ 失恋OLと壺に入っている胡散臭い魔法使い。往年のハリウッド映画を意識したおバカなコメディー&ミュージカル。ネタがかなりベタ。
恋におちたシェイクスピア 1998 米・英 ジョン・マッデン ★☆ 若き日のシェイクスピアを題材にとった<if>物語。ラブコメ風の少女漫画を読んでいるような感じのライト・タッチが特色。
恋に落ちたら・・・ 1993 米 ジョン・マクノートン ★★ 臆病で慎重すぎる性格から”狂犬”という皮肉なニックネームを与えられた刑事ドビーは、ふとしたことからギャングのボス・マイロを助け、その恩返しとして美女グローリーを一週間与えられるのだが二人は恋に落ちてしまう。タイトルからは想像もつかないバイオレンス・コメディ描写にタイトル通りのラブロマンスを絡めた話。金で解決しようと必死になるドビーと、それを見て冷めてしまうグローリーを描いた終盤のひとときだけはなかなか良かった。
恋に落ちる確率 2003 デンマーク クリストファー・ボー ひとときの夢想で語る高度な恋愛論? 幾重にも選択肢があるという意味で「確率」という邦題をつけたのは理解できたが、結局のところ全体像はよくわからなかった
恋の秋 1998 フランス エリック・ロメール ★★★ ワイン造りと豊熟な恋愛。美しいフランスの片田舎の映像と、徹頭徹尾女性上位で描かれる男女関係が印象的だった。
恋の門 2004 日 松尾スズキ ★★ 石で漫画(?)を書く芸術家とコスプレイヤーの変な恋物語。ぶっ飛んでいるのはなかなか楽しく、特に石を投げつける妄想ラブ・シーンが良かった。
恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 1989 米 スティーブ・クローブス ★★★ シアトルのナイト・クラブを舞台に兄弟ピアノ・デュオとして生きるベイカー・ボーイズは、心機一転を図って女性ボーカリストを雇い運気に乗るのだが・・・。マイナー系良作には欠かせない名優ジェフ・ブリッジスが実の兄ボーと出演している。音楽業界の底辺を生きる三人の織りなす人間関係とシビアな生活をときにユーモラスに映画いたドラマで魅せる。スタンダード・ジャズ・ナンバーの数々も耳に楽しい。
恋は魔術師 1984 スペイン カルロス・サウラ ★★☆ 三角関係を描いたフラメンコ映画。踊りの名手ではあっても、容姿や演技は普通の出演者に近すぎる距離が気になった。
恋人はスナイパー <劇場版> 2004 日 六車俊治 制作費がちょっと多いTVドラマみたいなもの。スナイパーの動きを含めて全般的にリアリティが欠如している。自己陶酔的な内容にも失笑。
恋人までの距離 1995 米 リチャード・リンクレイター ★★☆ ブダペストからパリへ向かう列車の中で偶然出会ったアメリカ人の雑誌記者ジェシーと大学生のセリーヌ、翌朝には別れなければならない二人は、ウィーンで途中下車し14時間だけ一緒に過ごすことにする。翌朝には別れなければならない二人の間に芽生えていく恋をロマンチックに描く。翌朝の別れを前提にすることで、本来であればどうということの1対1の雑談めいた会話の連続をかけがえのない瞬間として見せることに成功した異色作。
恋をしましょう 1960 米 ジョージ・キューカー ★☆ 億万長者でプレイボーイのクレマンは、自分を皮肉った芝居のリハーサルを見に行った際に主演女優アマンダに一目ぼれしまい、彼女に近づくため自分役の役者として一座にもぐりこむのだが・・・。主演のマリリン・モンローの魅力を前面に打ち出したミュージカル・コメディだが、設定こそ面白いものの、大筋は古き良きを通り越した三文芝居程度のレベルだった。
攻殻機動隊 〜Ghost in the shell〜 1996 日 押井守 ★★★☆ ネットが世界中を覆った電脳世界を舞台に描かれる近未来SFにして、自己存在を問う高尚なアニメ。いわゆるジャパニメーションの代表格。
攻撃 1956 米 ロバート・アルドリッチ ★★★☆ 第二次世界大戦下のヨーロッパ、愚かな判断により分隊を全滅させたクーニー大尉であったが、同郷のバートレット中佐が有力者の息子であるクーニーに便宜をはかったために、コスタ中尉の小隊の部下は次々と戦死していくことに・・・。醜い人間の争いが戦場で起きるとどうなるかを生々しく描いており、戦闘シーンの緊迫感も秀逸。コスタも露骨に反発していないで、もうちょっと上手い上司の操縦法を覚えろよ、と言いたくなるストレートさがいかにもアメリカ風だが重厚な人間ドラマで魅せる傑作。
絞死刑 1968 日 大島渚 ★★★☆ 死刑囚である在日朝鮮人青年Rは絞死刑にかけられるが、その肉体は死を拒否し、心神喪失の状態で生気を取り戻す。冒頭の緊迫感のある死刑執行のシーンから一転して、舞台劇風のコメディに変わってしまうあたりの軽さにやや違和感を覚えるものの、死刑・人種差別・貧困などというタブーをブラックに笑い飛ばしながら問題提起をしてくる手法が新鮮だった。登場人物たちが虚構内虚構を闊歩するメタ・フィクションな展開も当時としては相当斬新だったのではないだろうか。
交渉人 1998 米 F・ゲイリー・グレイ ★★ 濡れ衣を着せられたシカゴ警察の腕利き交渉人ローマン対外部地区の腕利き交渉人セイビアン。中盤までの駆け引きのせめぎ合いがスリリング。
交渉人 真下正義 2005 日 本広克行 地下鉄乗っ取り犯と日本初の交渉人との戦い。「踊る大捜査線」からのスピン・オフ作品だからとはいえ、内輪ネタに頼り過ぎか。
皇帝円舞曲 1948 米 ビリー・ワイルダー ★★ 飼い犬が取り持つアメリカ人セールスマンとオーストリア貴族の恋。ワイルダーとしては普通の出来だが、犬の演技が可愛い。
皇帝ペンギン 2005 仏 リュック・ジャケ ★★ ペンギン初心者向けのドキュメンタリーだが、製作者側の自分勝手な編集とアテレコはどうだろうか。NHKの優秀なスタッフに再構成させれば傑作になるかも。
こうのとり、たちずさんで 1991 ギリシア・仏 テオ・アンゲロプロス ★★★ 国境(=人間社会内の境界線)をテーマとする作品。アンゲロプロスらしい曇天系詩的美が満載。
幸福な食卓 2006 日 小松隆志 ★★★ 家庭崩壊の危機にもめげずに生きていく女子高生を軸に描かれるドラマ。静寂なドラマと主演の北乃きいの素朴な感じが非常に良かった。
荒野の1ドル銀貨 1965 伊・仏 カルビン・ジャクソン・パジェット ★★ 南北戦争後のアメリカを舞台にしたマカロニ・ウェスタン。やたらとぶっ放されて命中率も異常に高いガン・アクションとベタなドラマが特色。
荒野の決闘 1946 米 ジョン・フォード ★★☆ 兄弟と牛を追って移動していたワイアット・アープは、牛の見張りをしていた弟が殺されてしまったことから、近くの町トゥームストーンの保安官となって復讐の機会を待つのだった。タイトルから想像されるガン・シューティングだらけの内容ではなく、西部に生きる人々の普段の生活を描くことに重きを置いている点がいかにもジョン・フォード作品。ま、それを面白いと感じれるかどうかは観る者の感性次第であろうが。
荒野の7人 1960 米 ジョン・スタージェス ★★★☆ いわずと知れた邦画の名作「七人の侍」のハリウッド版。本家には遠く及ばないものの西部劇としては傑作と言える面白さ。豪華キャストも見どころ。
荒野の用心棒 1964 伊・西独・スペイン セルジオ・レオーネ ★★ ニューメキシコの国境の町サン・ミゲル、モラレス一家とロホ一家の対立によって無法地帯となったこの町に、やって来た流れ者の早撃ちガンマン・ジョーは、騒乱を解決するために一計を案じる。黒澤明の「用心棒」のリメイクで、マカロニ・ウェスタンの先駆けとなった上に、当時無名のクリント・イーストウッドの出世作となった、というだけでも既に一見の価値がある。オリジナルが西部劇を意識したものだけに、リメイクにはまるのも当然か。
ゴースト/ニューヨークの幻 1990 米 ジェリー・ザッカー ★★★ 死してなお生者を愛するファンタジー。勧善懲悪の物語が子供だましだが、相手に触れることもできない切なさは良かった。
ゴースト・バスターズ 1984 米 アイヴァン・ライトマン ★★★ 掃除機型幽霊捕獲樹を背負ったゴースト・バスターズの活躍を描いたコメディ。マシュマロマンの笑撃は映画史に残る。
ゴースト・バスターズ2 1989 米 アイヴァン・ライトマン ★★ 前作の2番煎じの感は否めない。マシュマロマンも出ないし、自由の女神程度じゃな・・・。
珈琲時光 2003 日・台湾 侯孝賢(ホウ・シャオシェン) ★★☆ 小津安二郎生誕百周年記念という意義はともかくとして、多くの日本人監督たちが見向きもしない日本の日常に溢れる美を捉えた画が良い。特に電車のシーンがgood。
コーラス 2004 仏 クリストフ・バラティエ ★☆ 第二次世界戦後間もないフランスの田舎町、荒れ果てた寄宿学校に赴任してきた音楽を愛する老年教師マチューは、教え子の少年たちを音楽に目覚めさせ、更生に導いていく。反攻のエピソードも、邂逅のエピソードも、実に簡単に展開されていく、既視感たっぷりの感動を誘おうとしてくるドラマ。少年合唱の声は綺麗だった。
コーラスライン 1985 米 リチャード・アッテンボロー ★★★ ブロードウェイ大ヒットミュージカルの映画化作品。ブロードウェイの人気演出家ザックの新作のためのオーディションの最終選考に残った16人の男女は、ザックの呵責ない要九の中その素顔を露わにしていく。舞台上では裏方のバックダンサーにしか過ぎない若者たちの人間性や人生に焦点を当てつつも、ミュージカル&ダンスで楽しませてくれるという珠玉の逸品。
氷の微笑 1992 米・仏 ポール・ヴァーホーヴェン ★★ セクシー&ミステリアス&サスペンスというありそうでなかった新境地を切り開いた作品であるが内容は凡庸。
GOAL! ゴール! 2005 米・英 ダニー・キャノン ★★ メキシコ系アメリカ人サンティのサッカー成り上がり物語第一弾。ドリブル多過ぎだが臨場感ある試合のシーンと、遊び人の先輩MFガバンのキャラが印象に残った。
コールド・マウンテン 2003 米 アンソニー・ミンゲラ ★★ 南北戦争末期を舞台に描かれる愛と友情の物語。見え見えの展開のメロドラマであるが、一応見られる内容に仕上がっている。
コーンヘッズ 1993 米 スティーヴ・バロン ★★ 地球に不法入国した宇宙人をネタに描かれるSFコメディ。裏でアメリカの不法移民問題を皮肉っている。
5月の恋 2004 台湾/中国 徐小明(シュー・シャオミン) ★☆ 人気ロックバンドのギタリストを兄に持つ不肖の弟がバンドのファンの女の子と恋に落ちる。ベタな青春恋愛映画。
コクーン 1985 米 ロン・ハワード ★★ 老人と宇宙人。老いと人生について考えさせつつも、微笑ましい雰囲気のSFファンタジー。
国士無双 1986 日 保坂延彦 ★☆ 明日をも知れぬ程食い詰めている貧乏浪人二人組の企みにより、剣豪・伊勢伊勢守と名乗らさせることになった男は悪行に加担させられ、やがて本物の伊勢守に戦いを挑まれることに・・・。コメディ時代劇なのはわかるが、安っぽいコスプレ風&ベタ過ぎな演出にかなり退屈した。本物を演じるフランキー堺の本物のコメディアンぶりだけが唯一楽しめた。
極道の妻たち 1986 日 五社英雄 ★★★ ヤクザの抗争を女を絡めて描いた実録風の作品。物語は陳腐だが、かたせ梨乃の美巨乳の衝撃で小さなことはどうでもよくなってしまった。
極道の妻たちU 1987 日 土橋亨 ★★ 見どころのひとつであるかたせ梨乃の美巨乳は本作でも健在。愛憎ドラマも極道ということを除けばまずまずまとまっており、ドンパチも適度に抑えられている分、終盤のスリリングさが逆に際立っていた。
新・極道の妻たち 覚悟しいや 1999 日 山下耕作 薄っぺらい極道ドラマ。光ピカピカの雷鳴シーン、効果の乏しい音楽、変な訛りなど随所に安っぽさが満載。
告白的女優論 1971 日 吉田喜重 ★★★ 映画「告白的女優論」に出演することになった三人の女優の撮影二日前の生活を追って三つの物語が同時進行するスタイルをとりながら、主演の浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子の三女優の実像に迫る? とにかく小難しくて尖った内容ではあるものの、カラー時代になっても冴え渡る吉田喜重独特の大胆な構図美だけで(自分のような映像美フェチに限れば)最後まで興味を持続させてしま力を有している。
小熊物語 1989 仏 ジャン=ジャック・アノー ★★ ジェームズ・オリバー・カーウッド原作の動物物語を熊から何まですべて本物の動物を使って撮影した執念の一作。
獄門島 1977 日 市川崑 ★★ 金田一耕助シリーズの第3作。物語は陳腐だが、時代設定と舞台設定におどろおどろしい横溝ワールドの雰囲気が出ていた。
告発の行方 1988 米 ジョナサン・カプラン ★★☆ レイプ裁判の話。己自身を暴かれながらでなければ尊厳を守れない被害者の姿に、裁判制度が有する残酷な矛盾を見た。裁判を通して事件当時が蘇っていく展開も良い。
ココシリ 2004 中 ルー・チューアン ★★ 中国最後の秘境といわれる高地「ココシリ」で、絶滅寸前のチベットカモシカの密猟に立ち向かう私設警備団。風景が綺麗で実話の重みがある。
地上より永遠に 1953 米 フレッド・ジンネマン ★★★☆ 太平洋戦争開戦前のハワイを舞台にした軍人たちの多様な姿。人間味あふれる登場人物が完成度の高いシナリオの中でうまく機能している秀作ドラマ。
心の旅 1991 米 マイク・ニコルズ ★★ 仕事人間の弁護士が、事故を契機に人間らしい心を取り戻していく。非常にベタな内容だが、終盤の展開はまずまずだった。
ゴシカ 2003 米 マチュー・カソヴィッツ ★★ いきなり記憶錯乱になって女子刑務所精神科病棟に収容されてしまった女精神科医ミランダの恐怖体験。内容は相当無茶苦茶。
50回目のファースト・キス 2004 米 ピーター・シーガル ★★ 事故の後遺症による障害で記憶が一日しかもたない女性ルーシーと、女なら誰でも口説く変態獣医ヘンリーとの果てしない恋物語。”メメント”や”エターナル・サンシャイン”といった記憶障害もののブームに乗って描かれるベタベタのラブコメ。動物たちの笑える動きと濃すぎるサブキャラたちのおかげで飽きさせない工夫がされている。
腰抜け二挺拳銃 1948 米 ノーマン・Z・マクロード ★★☆ 囚われの身となった二挺拳銃の女ガンマン、カラミティ・ジェーンは、実刑を免れる条件として州知事から武器の密売組織を探るよう言われ、カモフラージュのために気弱な巡回歯医者ピーターと結婚し、ハネムーンを装いほろ馬車隊に加わるのだが・・・。往年のドリフのコントのようにベタで、軽いノリで、とことん能天気な西部劇コメディ。あっけらかんとした感じが意外に楽しかった。
55年夫妻 1955 インド グル・ダッド ★★ 遺産相続のために形だけ結婚することとなった男女を描いた元祖ロマコメとでもいうべき内容。インド映画らしくフルコーラスでの歌が満載。
五条霊戦記/GOJOE 2000 日 石井聰亙 どこが義経と弁慶の新解釈なんだ? つまらんものを見た。 
ゴジラ 1954 日 本多猪四郎 ★★★☆ 元祖・怪獣映画。戦争の傷や反戦や恋物語を含んだシナリオ、印象的な音楽に、当時としては上出来の特撮が素晴らしい。
GODZILLA/ ゴジラ 1998 米 ローランド・エメリッヒ ★☆ ハリウッド版ゴジラ。恐竜がでかくなっただけの姿と、エイリアンのように無数の卵を生みつけたゴジラに唖然とした。ゴジラの名を冠さないで欲しかった。
個人教授 1968 仏 ミシェル・ボワロン ★★ 少年×年上の女×その年上の中年男、という典型的な青春&三角関係映画。内容はありきたりだが、じんわりとした余韻の残るラスト・シーンは良かった。
五線譜のラブレター DE−LOVELY 2004 米・英 アーウィン・ウィンクラー ★★ 作曲家コール・ポーターの半生。20世紀初頭、華やかな上流階級で生きてきたゲイのコールは彼の才能を見初めたリンダと結婚し、作曲家としてのし上がっていく。死を目前に控えたコールの回想ミュージカル風という味付けがなかなかの塩梅だが、たるみが多いので映画の出来としては凡庸。個人的にお気に入りの名曲”Night and day”のシーンが一番盛り上がった。
ゴダールの決別 1993 仏・スイス ジャン=リュック・ゴダール わけがわからんし西洋的神などわかっても仕方がない。画や台詞など印象は残るものの、これでゴダールに入ったせいで徹底的なゴダール「観ず嫌い」になってしまった。
ゴッド・ディーバ 2004 仏 エンキ・ビラル 人間、ミュータント、そして神が登場する神話的物語だが、CGによる画作りに溺れてしまった結果、肝心の世界観や物語が置き去りにされて骨抜きになった感じ。
ゴッド・ファーザー 1972 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★★★ イタリア系マフィアのコルレオーネ・ファミリーは、古き良き格式と威厳を持ったボス、ドン・コルレオーネのもと暗然たる影響力を有していたが、敵対するタッタリア家のドン襲撃によって、否応なしに血で血を洗う抗争に突入していくことになるのだった。マーロン・ブランドの映画史に残る名演と、ニーノ・ロータの手によるテーマ曲で高名なマフィア映画の最高峰。強烈なバイオレンス描写、長兄ソニーに体現されている家族愛、三男マイケルに訪れる修羅の道と、いまだに古さとは無縁の名作。
ゴッド・ファーザー PARTU 1974 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★★☆ コルレオーネ家の新しいボスとなったマイケルがファミリー内外で強大な力を発揮していくまでと、父がコルレオーネ一家の礎を築いていくまでをオーバーラップさせながら描く。父子ともどもの成り上がり物語という点では共通しているが、ファミリーが築かれていく過程と、ファミリーが壊れていく過程を描いている点では対比的であり、前作とは違ったアプローチを用いることによって、続編にありがちなマンネリ感を脱し、前作に負けないインパクトを有することとなった稀有な作品。
ゴッド・ファーザー PARTV 1990 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★ 現代のモダンなビジネスにも適応して成長してきたコルレオーネ一家の存在を盤石なものとすべく、マイケルはバチカンへと接近していくのだが・・・。前作PARTUでも政治家の取り込みなどやや話を広げ過ぎていた感があったが、本作ではヴァチカンだのローマ教皇だの話が大仰になり過ぎた上に、重要なキーパーソンに起用した監督の愛娘ソフィア・コッポラの力不足が目立っていることもあって、完結編というこということ以外に殆ど観る価値のない作品になってしまった。
孤独な声 1978 ソ連 アレクサンドル・ソクーロフ ★★★★ 孤独と不安に脅かされている青年ニキータの内省的世界を描いたソクーロフの処女作。太宰治の「人間失格」を読んだときのような不穏な感動がひしひしと伝わってくる。
孤独な場所で 1950 米 ニコラス・レイ ★★ 恋人が殺人者かもしれないというサスペンス&ロマンスでなかなか見せてくれる。
ことの終わり 1999 英・米 ニール・ジョーダン ★★☆ 第二次世界大戦下のイギリスで繰り広げられる三角関係と信仰のドラマ。切ない展開にサスペンスタッチを交えているので興味を持続することが出来た。
ことの次第 1982 西独・米・ポルトガル ヴィム・ヴェンダース ★★☆ 資金不足で映画を撮れなくなった映画撮影チームの話。モノクロに哀悼と敬意を表した映像美に見どころがある。
コナン・ザ・グレート 1982 米 ジョン・ミリアス ★★ 有史前の神話的世界を舞台に、逞しい闘技者となったコナンの冒険と恋を描く。アーノルド・シュワルツェネッガーの若き日の主演作。
こねこ 1996 露 イワン・ポポフ ★★★☆ ある音楽家一家で飼われることになった子猫チグラーシャは、ふとした隙に迷子になってしまい、やがて猫大好き中年男の家に辿り着く。ただ単に迷子猫の帰還劇を描くに留まらず、ロシア社会の光と影を感じさせつつも、あくまで温かい視線を保持していたところが非常に良かった。猫のことをよく知っている人が作っているので、我が家の愛猫に重ね合わせて感情移入してしまうことも多かった。この気持ち、猫を飼ったことのない人にはわからないだろうなぁ。
小早川家の秋 1961 日 小津安二郎 ★★★☆ 小津作品の常連俳優たちを含めたオールスター・キャストで綴った一家の物語。目新しさはあまりないが、全編に満ち溢れた小津調がファンには嬉しい。
五福星 1984 香港 サモ・ハン・キンポー ★★ カンフー版「荒野の七人」のようなものか。ライト・タッチのカンフー・アクションが売り。
コブラ 1986 米 ジョルジ・パン・コスマトス ★☆ 宗教的殺人集団が跋扈するロサンゼルスを舞台に、コブラと呼ばれる一匹狼刑事の戦いを描いたB級アクション。なお、日本の漫画「コブラ」とは無関係。
コマンドー 1985 米 マーク・L・レスター ★★ アーノルド・シュワルツェネッガーの肉体が織り成す無茶系アクションで一世を風靡した作品。平時は温厚でも職場の?パパは凄かった。
ゴヤ 1999 スペイン カルロス・サウラ ★★☆ 老境の画家ゴヤの視点から彼の生涯及び中世スペイン王政の腐敗を描く。サウラ監督お得意の虚実ないまぜの世界は健在で舞台っぽい印象が強い。
コヨーテ・アグリー 2000 米 デヴィッド・マクナリー ★★ ステージフライトの田舎娘が水商売の世界で度胸をつけて愛も成功も手に入れるというシンプルな成り上がり物語。見やすいが全体的にバカっぽい。
コラテラル 2004 米 マイケル・マン 仕事に向かうすご腕の殺し屋を拾ってしまったタクシー・ドライバーの災難。ありえなすぎる設定にもかかわらず、細部にさえも説得力が伴っていなかったのがきつかった。
ゴルゴ13 九龍の首 1977 日 野田幸男 千葉真一主演による超貴重な実写版ゴルゴ13。すごーく太い眉毛&不自然に長方形のもみあげにパンチパーマって、ただのチンピラ系ヤクザだよ(笑)。内容は不出来はだがマンガ(原作)に忠実であろうという姿勢が笑える。
コレクター 1997 米 ゲイリー・フレダー 連続女性誘拐殺人事件もの。サイコ・キラーを増やして意表をつけばいいってもんじゃない。
コレリ大尉のマンドリン 2001 米 ジョン・マッデン ★★ 第二次大戦下のギリシャのケファロニア島、戦争に心を荒らされていく恋人マンドラスに戸惑う医師の娘ペラギアは、陽気で音楽を愛する敵軍大尉コレリに惹かれていく。時折出てくる美しい風景画が印象的。登場人物の造形が浅いため言動に説得力が乏しいのと、”敵同士”ということを殆ど感じさせない調子の良い設定が、劇的な歴史ドラマ感を損なっていた。
殺しのドレス 1980 米 ブライアン・デ・パルマ ★★★ 欲求不満の主婦が不倫後に謎の殺人鬼に惨殺され、そのオタク系の息子と娼婦が犯人探しを始める。エロスと倒錯などデ・パルマ監督の趣味がよく出ている。
コロッサル・ユース 2006 ポルトガル・仏・スイス ペドロ・コスタ ★★★ 前作「ヴァンダの部屋」の続編のような作品。劇映画のようでいてドキュメンタリーで、果ては過去がフラッシュバックする時空を超えた展開まで見せるという怪作。
コンゴ 1995 米 フランク・マーシャル ★☆ 手話をするゴリラを自然に帰す話だったり、アドヴェンチャー活劇だったり、宝探しだったり、と中途半端さが目につくB級映画。
コンタクト 1997 米 ロバート・ゼメキス ★★ 地球外生命体から送られてきた電波を基に空間移転装置が製作され、一人の女性科学者がそのパイロットに選ばれる。終盤まで興味を持続させられた。
こんなに近く、こんなに遠く 2004 イラン レザ・ミル・キャリミ ★★★ 新旧の価値観と親が子を想う気持ちを軸に描かれる王道を行くヒューマン・ドラマ。人間関係の疎遠さの表現や、序盤の都会と中盤以降の古き良き田舎&砂漠世界の価値観対比に見どころがあった。
こんにちわ20才 1964 日 森永健次郎 ★☆ 下宿屋の娘と下宿人の恋物語。いかにもな往年の青春映画で実にのんびりとしている。
コンフィデンス 2003 米 ジェームズ・フォーリー ★★ 「スティング」「パルプ・フィクション」「ユージュアル・サスペクツ」のネタを掛け合わせたような作品。独創性はないが一応見られる。
コンフェッション 2002 米 ジョージ・クルーニー アメリカTV業界の伝説的プロデューサー、チャック・バリスの自伝を映画化。テレビ業界で働くチャックは、ある日バーでCIAの秘密工作員として勧誘され、任務をこなしていくとともに業界でものし上がっていくのだが、工作員との二重生活に苦しめられていく。冒頭で風呂敷を広げる話が好きと宣言しているとおり、ただ人に注目してもらいたいが故に書かれたであろう原作のホラに真面目に付き合い過ぎている。映画としての作りの面白さもない。
サで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
サーカスの世界 1964 米 ヘンリー・ハサウェイ ★☆ クラウディア・カルディナーレの可愛らしさと大がかりなサーカスだけが見どころ。
13ウォーリアーズ 1999 米 ジョン・マクティアナン 中世を舞台に北の民バイキングによる化け物退治の一員に選ばれてしまったアラブの詩人の話。荒唐無稽なコスプレ・モンスター退治
13デイズ 2000 米 ロジャー・ドナルドソン ★★ ケネディ大統領政権下で実際に起きた米ソ含む世界核戦争一歩手前のキューバ危機を描く。普通に硬派な作品。
西鶴一代女 1952 日 溝口健二 ★★★ 一人の女の半生という形に託して女という生き物のもつ情念を描いた文芸作品。完成の域に到達した溝口流ワンシーン・ワンカットと様式美に見ごたえがある。
サイクリスト 1989 イラン モフセン・マフマルバフ ★★★☆ 病気の妻の入院費を稼ぐために一週間自転車に乗り続ける興行話にとびついた男とその周囲の人々の模様。ただのお涙頂戴ものに終わらずビターな現実をも描いているところに味がある。
サイコ 1960 米 アルフレッド・ヒッチコック ★★★ 会社の金を横領して逃げた女の恐るべき体験を描いたヒッチコックの代表作にして、サスペンスの古典。
最後の恋のはじめ方 2005 米 アンディ・テナント ★☆ 腕利きのデート・コンサルタントが自分の恋には口説きのテクニックが通じず悪戦苦闘する。薄っぺらいにも程がある三文芝居のラブコメで30分ドラマで十分の内容。
最後の晩餐 1973 仏・伊 マルコ・フェレーリ 豪邸に集った四人の男たちが、考えうるグルメ料理を食べつくし、女とやりまくり、疲れたらたっぷり寝て、で、最後は死んでしまう、という話に2時間以上かかる。
最後のブルース・リー ドラゴンへの道 1972 香港 ブルース・リー ★★ マフィアの地上に苦しむローマ中華料理店へカンフー青年が助太刀に訪れる。ブルース・リーの作品らしからぬコミカルな序盤が意表を突くが、中盤以降の戦いのキレにはらしさがある。微妙にキレカワなヒロインも魅力的。
サイコ・ビーチ・パーティ 2000 米 ロバート・リー・キング 学芸会よりはましという程度で三文芝居未満。多重人格ものだが、クルクル入れ替わる人格にまたかと嫌気がさすほど芸がない。
最前線物語 1980 米 サミュエル・フラー ★★☆ 北アメリカからからヨーロッパ各地を転戦し、大局の優劣に関係なく常に最前線で戦い続ける業を背負った不死身の米軍小隊を描いた戦争映画。全体的な流れはフィクション臭いのだが、何気ない細部にリアリティが宿っている。鬼軍曹がロレンスになったシーンと、精神病棟突入のシーンが鮮烈だった。
サイドウェイ 2004 米・ハンガリー アレクサンダー・ペイン ★★ 人生に大した夢も希望も持てなくなった中年男二人を主人公に据えたロードムービー。地味ながらもなかなか乙なワインの味わい。
サイレントヒル 2006 米・日・カナダ・仏 クリストフ・ガンズ ★☆ 愛娘シャロンの悪夢を振り払うべく、サイレントヒルの街を訪れた母ローズの前からシャロンが忽然と姿を消し、ローズは決死の思いで化け物どもの闊歩する街をうろつくこととなる。原作のゲームは未プレイのせいもあるのだろうが、グロさはともかく、実写の中にときおりゲームCGが混じっているような違和感と、最初に出てくるお父さんが本筋に全く絡んでこないなどの消化不良な展開はどうだろうと思った。
ザ・インターネット 1995 米 アーウィン・ウィンクラー 政府関係の機密データを入手し、バカンス先で口説かれた魅力的な男はただデータ狙いだっただけで、挙句の果てに知り合いのいないこれまでの生活がたたってデータを抹消されただけで社会での存在を消されてしまったおバカな三十路女の冒険活劇。こういう勘違い女は結構いるけどそれを元にスリリングな展開にするのは無理がありすぎ。インターネットを上手く活用するアイデアもなく完全に看板倒れしている。
THE 有頂天ホテル 2005 日 三谷幸喜 大晦日の高級ホテルを舞台に従業員と宿泊客たちがホテル内で続発するトラブルに巻き込まれていく様を描いた群像劇で、古典的名作「グランド・ホテル」のパロディー。これだけ多くの登場人物をひとつの作品に取り入れた手腕はさすがだが、豪華キャストというより見知った顔が雁首揃えているだけで、ネタにパンチがないので笑いも感動もなかった。三谷幸喜の映画を撮る技術はこなれてきているが、内容に深みを与えていないので大して意味がない。
サウンド・オブ・サイレンス 2001 米 ゲイリー・フレダー ★★★ 家族と幸せに暮らしていた精神科医ネイサンは娘を誘拐され、何者から電話を受けて、統合失調症の患者エリザベスから6ケタの数字を聞き出すよう脅迫されるのだが、10年以上も心を閉ざしたままのエリザベスとの交流は困難を極めるのだった。物語は基本的に誘拐の話を多少ひねっただけに過ぎないが、センスあるカメラワークと暗喩的場面が印象的で、斬新ではないが構成で上手く見せている佳作。壁に引っ掛かった凧のシーンと、文字通りあさましい欲望に呑み込まれてしまうシーンが印象的だった。
サウンド・オブ・サンダー 2004 米 ピーター・ハイアムズ ★☆ 過去へのタイムトラベルが可能になった近未来を舞台に、タイムトラベル旅行を営む会社がふとした事故から起こしてしまった人類の危機を描いたSFサスペンス。安っぽい画といい安っぽい展開といい、いかにもなB級感が乙なものだが、ある意味無茶苦茶な展開が若干興味を引くだけなので、間違っても面白い内容とか隠れた傑作では?などという期待をしてはいけない。
サウンド・オブ・ミュージック 1965 米 ロバート・ワイズ ★★★☆ 第二次世界大戦前夜のオーストリア、7人の子持ちである独身の中年軍人トラップ大佐のもとに、修道女失格の烙印を押された女マリアが家庭教師としてやってきて、明るい性格と歌声で堅苦しい一家を変えていくのだが・・・。「ドレミの歌」「エーデルワイス」などの名曲揃いのミュージカル映画の最高峰。展開がかなりのんびりとしているが、ジュリー・アンドリュースの健康的な魅力に体現されているように、映画に夢があった時代を感じさせる心温まる内容が胸を打つ。ちなみに相当脚色されているもののトラップ一家の物語は実話。
ザ・エージェント 1996 米 キャメロン・クロウ ★★☆ 利益を優先する会社の方針を批判する提案書を書いたためにクビになってしまったスポーツ・エージェントのジェリー・マグワイアは、独立開業しれ信念を貫こうとするのだが、彼の顧客となったのは落ち目のアメフト選手ロッドだけだった。スポーツ・エージェントの恋と仕事をわかりやすく描いておりなかなか楽しめるのだが、理念と現実の狭間で苦悩しつつも、結局最後は高額契約を勝ち取ってハッピーエンド・・・では元の黙阿弥でしょう。アメリカには一元的な成功しかないということか?
佐賀のがばいばあちゃん 2005 日 倉内均 ★☆ 太平洋戦争後間もない時代、佐賀の祖母の家に預けられた少年・洋七は、突拍子もない発想と無類のたくましさで人生を生きる祖母と、貧乏ながらも楽しく生活を送るのだった。大ベストセラーが原作なので、手堅く作っておけば確実に興行成績が見込めるだろうという、冒険もないが大きな失敗もない内容に終始する。
さくや 妖怪伝 2000 日 原口智生 江戸時代の妖怪バスターとなった少女の冒険を描いたトホホ度の高い和製妖怪退治物語。終盤の巨大・松坂慶子だけが見どころ。
サクリファイス 1986 スウェーデン・仏 アンドレイ・タルコフスキー ★★★☆ タルコフスキーの遺作。世界の破滅、家族の破滅、自己の破滅をひとつの映像世界に紡ぎあげ、再生という次世代へのメッセージを埋め込んだ深遠な逸品。
櫻の園 1990 日 中原俊 ★★ 女学校の伝統として毎春公演されるチェーホフ原作の舞台”櫻の園”に挑む女学生たち。特に何かが起きているわけではないが、丁寧な作りで女子高の淡い雰囲気を描いているという邦画らしい作品。
ざくろの色 1969 ソ連(アルメニア) セルゲイ・パラジャーノフ ★★★★★ 20世紀最高の芸術映画。18世紀アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯をモチーフにイメージの奔流で紡がれる映像詩。初見でのインパクトに限れば歴代第1位。
2006 日 黒沢清 ★★☆ 中年刑事・吉岡に赤い服を身につけた女の霊がつきまとい始めるとその周囲で連続殺人が起こり始め、殺人現場にはなぜか吉岡との関連性を示す証拠品が見つかるのだった。内容はサスペンス・ロマンス・ホラーといったところで、特段怖いわけではないが、普通の日本を魅惑的に切り取った画の数々と、その中に漂い続ける”孤独”のイメージだけでも一見の価値がある。
ザ・コア 2003 米 ジョン・アミエル 宇宙からの危機を描いた映画が出尽くしたので地下からの危機にしましたというだけ。どこかで観たような展開を含め安直過ぎる。
ザ・コンテンダー  2000 米 ロッド・ルーリー ★★ アメリカ政界を逞しく生きる女性政治家を描く。全体的に安っぽいが、脚本と役者がまずまずなので最後まで観られる。
ザ・サバイバー 1981 豪 アントニー・I・ギネイン ★★ 「シックス・センス」の元ネタとして高名なB級カルト。ある飛行機事故の原因を究明しようとする男が実は・・・という話でオチは一緒(笑)。
ザ・シークレット・サービス 1993 米 ウォルフガング・ペーターゼン ★★ 一匹狼系のシークレット・サービス(協力しろよ)、彼に挑戦してくるお節介な殺し屋の対決。娯楽映画としては普通の出来。
THE JUON/呪怨 2004 米 清水崇 ★★ 清水崇監督作によるハリウッド版「呪怨」。ノロイ悪霊につきまとわれるはめになったアメリカ人女性のじたばたする様を見て笑う作品(と、個人的には思う)。
砂塵 1939 米 ジョージ・マーシャル あまりにも直球過ぎて面白くない西部劇。マリーネ・ディートリッヒの格闘シーンが最大の見せ場か?
サスペリア 1977 伊 ダリオ・アルジェント ★★★☆ B級オカルト・ホラーでありながら原色をふんだんに生かした映像や構図に美が漂う逸品。ゴブリンの奇怪なサントラとともに突っ走るテンションの高い序盤が圧巻。
サスペリア2 オリジナル版 1975 伊 ダリオ・アルジェント ★★☆ 完全版との違いはあまり感じなかった。ちなみに”2”になっているが、商業上の問題によるものであり、製作年度は前だし、内容にも関連性はない。
サスペリア2 完全版 1975 伊 ダリオ・アルジェント ★★☆ 意味不明な展開が多いが、不気味な画・コミカルなポンコツ車・湯気で消えていくダイインメッセージ・犯人が凶器を選ぶシーン・歩く器械人形など、細部に観るべきところがある。
さすらいの航海 1976 英 スチュアート・ローゼンバーグ ★★★☆ 第二次世界大戦開戦前夜に実際に起きたユダヤ人迫害の物語。ドイツ人(加害者)対ユダヤ人(被害者)、という単純な図式に終わっていない濃密なドラマに引き込まれた。
ザ・セル 2000 米 ターセム ★★☆ 昏睡状態のシリアルキラーの深層意識に飛び込んだ女心理学者の冒険。華やかで斬新な彩りを添えた映像世界に一見の価値がある。
誘う女 1995 米 ガス・ヴァン・サント ★★ お天気キャスターが夫を亡きものにするために年下の高校生を籠絡するという物語。実話という売りがなければただの三文芝居。実話という売りがあっても凡庸。
ザ・ダイバー 2000 米 ジョージ・ティルマン・ジュニア ★★☆ 人種差別の残る海軍に入隊した黒人青年カール・ブラシアは、泳ぎの腕を見込まれ甲板兵に抜てきされ、やがてダイバー養成所へ入学し、鬼教官ビリー・サンデーのもとで徹底的にしごかれることになる。事実を下敷きにしていると謳ってはいるが、相当脚色化されているはず。とはいえ、黒人嫌いだったサンデーが歩む転落の人生を対比させる手法や、熱いスポ根物語など、十分に及第点以上の出来だった。
サタデー・ナイト・フィーバー 1977 米 ジョン・バダム ★★☆ 70年代ディスコ・ブームの象徴といえる流行り物映画。ジョン・トラボルタのあの決めポーズはかなり笑える。
座頭市 2003 日 北野武 ★☆ たけし版座頭市。脚本も撮り方もいい加減すぎてディテールへのこだわりがないので見せ場のタップダンスまで気持ちが続かなかった。
里見八犬伝 1983 日 深作欣二 ★★ 滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を下敷きにした時代劇風の妖怪バスター。原作と大分違うし、特殊メイクもしょぼいけれど、割り切れば一応観られる。
真田幸村の謀略 1979 日 中島貞夫 ★★ 物語はどうってことはないが、歴史if物なので展開に
ザナドゥ 1980 米 ロバート・グリーンウォルド ★★ 音楽の殿堂ザナドゥの建設をめぐって描かれるミュージカル・ファンタジー。話は退屈極まりないが1980年代風の音楽と老優ジーン・ケリーは良かった。
裁かるるジャンヌ 1928 仏 カール・テオドール・ドライヤー ★★★★☆ 数か月に及んだジャンヌ・ダルク裁判を一日に凝縮した無声映画の金字塔。紀伊國屋レーベルのクリティカル・エディションで見るとその凄さがよくわかる。
サハラ 死の砂漠を脱出せよ 2005 米 ブレック・アイズナー ★☆ ベストセラー冒険小説”ダーク・ピット”シリーズの初映画化作品。二つの要素が絡み合わない物語が陳腐。砂漠でサーフィンはウケた。
サハラに舞う羽根 2002 米・英 シェカール・カプール ★☆ 原作は格調高い古典文学物だと思うのだが、セットや衣装を始めとする画がB級っぽいので非常に陳腐な内容に感じられた。
ザ・ハリケーン 1999 米 ノーマン・ジュイソン ★★☆ 冤罪で20年もの間監獄暮らしの元一流ボクサーと彼を救いだそうとする母子。これが実話というのが最大の驚き。内容も十分に及第点以上の出来。
ザ・ビーチ 2000 米 ダニー・ボイル バックパッカーの青年が、伝説の楽園へ渡り、小コミュニティの争いに巻き込まれて行く。何を言いたかったのか/描きたかったのかさっぱりわからん。
錆びたナイフ 1958 米 舛田利雄 ★☆ 足を洗った前科者の男がやけにチンピラっぽい闇のボスとの争い巻き込まれていくハードボイルド。画は格式があって良いが、ありきたりな上に遅い展開と大仰な音楽がつらい。
ザ・ファン 1996 米 トニー・スコット ★★ メジャー・リーガーを応援する気持ちが強すぎてミザリー並みに危険なストーカー中年男が誕生する。終盤の無茶な展開がやりすぎ。
ザ・フォッグ 2005 米 ルパート・ウェインライト 穏やかな港町をある日謎の霧が多い、その中からとんでもない力を秘めた亡霊たちが現れ街の人々を襲い始める。一応終盤での”転”開もあるにはあるのだが、脚本がダメダメなので等々に感じるだけ。せっかくの霧という題材についてもCGに頼りきりの三流ホラームービーに過ぎず、語るに値しない。
ザ・フライ 1986 米 デヴィッド・クローネンバーグ ★★☆ 人間+蝿=B級ホラー。物質転送実験の際の不注意で、紛れ込いた蠅と融合してしまった科学者に訪れる悲喜劇。グロテスクな魅力のカルト作。
サマータイムマシン・ブルース 2005 日 本広克行 あるうだる夏にSF研究会が体験した時空を超える体験。細かいネタが繋ぎ合わさるように作られたタイム・パラドックス・コメディであるが作品に核がない。
ザ・マジックアワー 2008 日 三谷幸喜 ★★★☆  港町・守加護、ギャングのボスの愛人とできてしまったことがばれた備後は、5日以内に幻の殺し屋・デラ冨樫を探し出して連れてくれば命を助けると言われるが、皆目見当もつかないので、売れない三流俳優を映画の撮影と偽って借り出す。ありえないほど程のスリリングさの中に笑いを見出す三谷幸喜らしさが十二分に発揮された快作。往年の名画への愛ある数々のオマージュ・シーンなど、随所に溢れた遊び心も楽しい一作。
サムサッカー 2005 米 マイク・ミルズ ★☆ 親指をしゃぶることで精神的安定を保っている内気な少年ジャスティンは子供っぽい癖を直そうと行きつけの歯科医の手前味噌な催眠治療を受けるのだが事態は返って悪化していくのだった。序盤のあまり汚らしくない上品な指しゃぶり、中盤の薬物中毒による躁状態、終盤の女中毒などの意味のわからないエピソードと、大した脈絡もなく物語が展開していくだけで、その本質も思春期特有のどうということのない鬱屈とした話に過ぎなかった。
1965 日 岡本喜八 ★★ ”桜田門外の変”を題材に描かれる創作史劇。ラストの雪の桜田門外での活劇にはなかなか見応えがあった。
ザ・メキシカン 2001 米 ゴア・バービンスキー ★☆ 世界一美しいとうたわれたアンティークの拳銃“メキシカン”をめぐって繰り広げられるアクション・ラブ・ストーリー。ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの2大スター共演以外に見るべき要素がない。
THE焼肉ムービー  プルコギ 2006 日 グ・スーヨン 番組“焼肉バトルロワイヤル”での焼肉バトル、ということは話のネタにできる。
SAYURI 2005 米 ロブ・マーシャル ★★ 花魁の恋交じり半生が米日中によって映画化。パブリックイメージとしての日本美は表現できている。
さよなら銀河鉄道999 1981 日 りんたろう ★★ レジスタンスになった哲郎がメーテルとの再会の旅に出る。ダース・ベイダー(笑)にキャプテン・ハーロックまで登場するサービス精神満載の作品。
さよならゲーム 1988 米 ロン・シェルトン ★★ マイナーリーグの選手を調教してメジャーに”あげまん”する女とルーキー剛速球投手とその子守役のロートル捕手の変な三角関係。そこはかとない哀愁が漂っている。
さよなら、さよなら、ハリウッド 2002 米 ウディ・アレン ★★☆ 極度のプレッシャーで目が見えなくなってしまったかつての名監督の悪戦苦闘。ネタはかなりベタだが、映画作りを笑う内容自体は結構好き。
さよならジュピター 1984 日 橋本幸治 小松左京原作。地球の危機と木星を巡る人間たちの争いに、悲恋やら新興宗教やら、色々と詰め込んで描き出したSF大作? ある意味見どころは多い。
ザ・ラスト・オブ・イングランド 1987 英 デレク・ジャーマン 最後のイングランド人が綴る?”イングランドの最期”。過去現在未来を無数のイメージで描くといえば聞こえは良いが、高尚過ぎるナレーションと、サブリミナル効果(死語)を駆使したチカチカとする映像に辟易とする
さらば愛しき女よ 1975 米 ディック・リチャーズ ★☆ 1941年のロサンゼルス、ヤンキースのディマジオが56試合連続安打を記録し、ヒトラーがロシアに進攻を開始した頃、警察に追われる身となった私立探偵フィリップ・マーロウは謎の女性の行方を追っていた。けだるい雰囲気が身上のハードボイルド・サスペンスだが、主人公の独白(説明)が多過ぎるのと、チープな展開が今一つだった。
さらば、わが愛 覇王別姫 1993 香港 陳凱歌(チェン・カイコー) ★★★☆ 京劇”覇王別姫”に生涯をかけた二人の男の愛憎を激動の中国現代史に重ねて描いた大河ドラマ。シンプルでわかりやすくて劇的なドラマで魅せる。
サラバンド 2003 スウェーデン イングマール・ベルイマン ★★★☆ ベルイマンの遺作。「ある結婚の風景(1974年)」の続編。夫婦・親子といった家族関係の確執や和解を描いている。ひたすら1対1で会話し続ける構成ながらも、愛憎入り組んだ情感に圧倒される。
サラマンダー 2002 米 ロブ・ボウマン ★★ 突然大量の竜が蘇り全世界を支配してしまった後のイギリスを舞台にした近未来の竜退治。アメリカ人から見てもアメリカ人がマッチョで無鉄砲というのが笑える。B級SFアクションだが結構楽しめる。
ザ・リング 2002 米 ゴア・ヴァービンスキー ★☆ 日本映画の秀作ホラー「りんぐ」のハリウッド版。オリジナルで無理のありすぎた「実は僕も超能力者」をカットしたところまでは良かったが、実話超能力を下敷きにしたリアル感と、見えない恐怖も大胆にカットされてしまった。
サルバドール・ダリ 世界が愛した芸術家ダリの超現実的な人生 1987 英 アダム・ロウ ★★☆ BBCが製作した画家ダリに係るドキュメンタリー。ガラとの愛、ヒッチコックやブニュエルと作った映画、TVに自ら出演した変てこな芸術等興味の尽きない内容。
サルバドル −遥かなる日々− 1985 米 オリバー・ストーン ★★★★ アメリカ黙認のもとサルバドルで行われた凄惨な恐怖政治を告発したオリバー・ストーンの隠れた代表作。薄汚れた主人公が凄惨な体験を通して正義感に目覚めていく過程がリアルでいい。
猿の惑星 1968 米 フランクリン・J・シャフナー ★★★ 猿が人間を支配する惑星に不時着してしまった宇宙飛行士の驚愕の体験を描くう。撮影だけで異空間を作り出したアナログな技術(手の込んだ特殊メイク含む)、価値観逆転による辛らつな人間風刺、スリリングでミステリアスな展開に、映画史に残るラストと、B級感漂うSF映画の古典的名作。
猿の惑星2 1970 米 テッド・ポスト ★★☆ 正しくは「続・猿の惑星」。前作の主人公の救援隊が猿の惑星にやって来る。放射能の影響ででミュータント化した地底人(人間)対猿人の戦いの果てにあっけなさすぎるラストが待っている。
猿の惑星3 1971 米 ドン・テイラー ★★ 正しくは「新・猿の惑星」。未来の猿人たちが過去の地球に逃れてきた。世界設定の背景を除けば既にSFとは言い難い小キングコングのような話。
猿の惑星4 1972 米 J・リー・トンプソン ★★ 正しくは「猿の惑星・征服」。遂に猿たちが人間に反旗を翻す。猿以外の動物が滅亡してしまった世界、ってすごい設定。サーガとしてのが全体像は見えてきたが予算不足のせいかこじんまりとしている。
猿の惑星5 1973 米 J・リー・トンプソン ★★☆ 正しくは「最後の猿の惑星」。人間と猿との間の最終戦争(核戦争)後の世界。完結編がこじんまりとした紛争なのはちょっと拍子抜けしたけれど、シリーズの大円団とするべく頑張った点は評価したい。
ザ・ロイヤルテネンバウムズ 2001 米 ウェス・アンダーソン ★★★☆ かつての天才児一家テネンバウム家の愛憎と邂逅。一癖も二癖もありすぎる家族たちの展開するドラマに、可笑しさと哀しさが紙一重であることを再認識できる傑作コメディー。
ザ・ロック 1996 米 マイケル・ベイ ★★ ショーン・コネリー一人の魅力でもっているダイ・ハード路線の監獄侵入(脱獄)系映画。登場人物たちのドラマと捻りを詰め込みすぎた感があるものの、どうなるんだろうという点で興味を惹く内容にはなっている。
サロメ 2000 スペイン カルロス・サウラ ★★☆ フラメンコ・バレエによる「サロメ」を作り上げようとする演出家と踊り手たちの舞台稽古がいつしかドラマとなっていく。ドキュメンタリーを装った序盤はやや単調だが、中盤以降の通し稽古はなかなか良い。
三銃士 1993 米 スティーヴン・ヘレク ★★ 17世紀のフランス、亡き父の遺志を継ぎ国王直轄の銃士隊に入ろうとパリに向かった若き剣士ダルタニアンは、国を乗っ取ろうと画策するリシュリュー卿の陰謀により解散させられた銃士隊を復活させるべく機を窺うアトス・アラミス・ポルトスの三銃士とともに国王を守るべく立ち上がる。フランス文学の名作をハリウッド風娯楽映画に料理してみましたといった感じ。内容は定番過ぎて悪くもないが良くもない。
山椒大夫 1954 日 溝口健二 ★★★☆ 森鴎外原作。言わずと知れた安寿と厨子王の物語を見事なまでに映像化。構図美にみとれ、テンポの良い物語にひきこまれ、美しすぎる入水シーンで画に吸い込まれ、最後まで一気に見とおすことができた。
サンセット大通り 1950 米 ビリー・ワイルダー ★★☆ 売れない脚本家と過去の栄光の中に生きる元大女優を中心にハリウッドの内幕を描く。ナレーションの多用はイマイチだが、栄華と衰退・金と愛・ショウ・ビジネスの皮肉等、人間にとって本当に必要な要素は何なのだろうと考えさせられる。
サンタクローズ 1994 米 ジョン・パスキン ★★ うっかりとしたミスでサンタになることをクローズ(契約)してしまった父とその息子の悲喜劇。いかにもなディズニーの子供向け実写映画で起承転結がしっかりしているが、結構ビターな展開もあってなかなかの味わい。
サンタクローズ・リターンズ!  危機一髪 2002 米 マイケル・レンベック ★★ 「サンタクロース」の続編。今頃になってサンタは既婚者でなければいなけなかったというルールが判明する。前作に負けていない手堅い起承転結で、続編だからといって質を落としているわけではない。
3人のゴースト 1988 米 リチャード・ドナー ★★ 金儲け第一主義の男の前に3人のゴーストが現れ、身近にある大切な心を取り戻させていく。手堅い内容の現代版「クリスマス・キャロル」。
三匹荒野を行く 1963 米 フレッチャー・マークル ★★★☆ ウォルト・ディズニー製作。主人を訪ねて三千里・犬猫版。多種多様にわたる動物たちを実際に動かして(演技させて)いるのがすごくて魅入ってしまった。特に猫の演技が最高。ナレーションや大雑把な物語など粗は多いが魅力的な作品。
散歩する惑星 2000 スウェーデン ロイ・アンダーソン ★☆ 予期せぬ災難に倦み疲れた人々が脱出のために空港にゆっくりと集まってくる姿をアナログなタッチで描いたSF。奇をてらった姿勢が生み出すイメージはインパクトがあるが、ゆるすぎる感覚についていけなかった。
秋刀魚の味 1962 日 小津安二郎 ★★★☆ 中学校時代の教師の未来のない老年生活を見て自らを省みる男とその娘。序盤はリズムが悪くなかなか物語に入り込めないが、中盤以降はグイグイ引き込まれていく。遺作ではあるが全盛期といった言葉の方がしっくりくる内容。
サンライズ 1927 米 F.W.ムルナウ ★★☆ 魅力溢れる都会の女にけしかけられ、妻を殺そうと考えてしまった男が、妻の大切さを再認識するという寓話風物語。さすがに古さはいなめないが、当時としては先進的な映像トリックと、妻を演じるジャネット・ゲイナーの純朴さが印象的だった。
サン★ロレンツォの夜 1982 伊 パオロ・タヴィアーニ/ヴィットリオ・タヴィアーニ ★★★★☆ 第二次大戦末期のドイツ軍占領下のある村の人々に起こった悲劇的な出来事をシンプルながらも力強く描く。あえて淡々とした日常のように描く方法が見事に功を奏している。田園風景中心の映像美もいい。要所要所で駆使される見せない表現技術と効果的な音楽の使い方に深い感動を呼び起こされた。
で始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
the EYE[アイ] 2001 香港/タイ オキサイド・パン/ダニー・パン ★☆ 角膜移植で目が見えるようになったと思ったら霊まで見えるようになってしまった女を襲う恐怖。凝った映像・展開・演出とすべてJ・ホラーのパクリだし、オカルトなのか科学なのかはっきりしないのですっきりしなかった。
幸福 1964 仏 アニエス・ヴァルダ ★★★ 二人の子どもと愛する妻に恵まれていた夫フランソワは偶然知り合った女性エミリと恋に落ちてしまう。日常を朗々と描いた手法が”ある幸せ”の真理を残酷なまでに鋭く突いている得がたい作品。
幸福の条件 1993 米 エイドリアン・ライン ★★ 金銭面での苦境にあえぐこととなった若夫婦の前に、老年一歩手前のダンディな紳士が妻を抱かせれば100万ドル支払うという条件を示してくる。陳腐な内容だが愛か金かは真剣に考えるかも。
G.I.ジェーン 1997 米 リドリー・スコット 女性で初めて米海軍特殊偵察訓練コースに入隊したオニール大尉が男に負けじとがんばる。女バンザイ! アメリカ・バンザイ! 何という軽薄さ! 本当にあのリドリー・スコット監督の映画なのか!
ジーア/悲劇のスーパーモデル 1998 米 マイケル・クリストファー ★★ 実在した両刀使いで幼稚なモデルの生涯を描く。主演のアンジェリーナ・ジョリーは頭が大きいのでモデルっぽくないが、個性の強さと脱ぎっぷりのいい体当たり演技で頑張っている。
Gガール 破壊的な彼女 2006 米 アイヴァン・ライトマン ★★ 彼女を作るべく地下鉄に居合わせた平凡な女性に声をかけて軽い気持ちで付き合い始めたマットであったが、実は彼女の正体はスーパーヒーローのGガールだった。もしスーパーマンが女で、肉体のみならず性欲やら嫉妬深さまで強烈に強化されていたら・・・というifものコメディー。バカバカしいが女性のつつましさ・本性・嫉妬をネタにした点が笑えた。それにしても穴兄弟が身近にいても嫉妬もなく付き合う姿がハッピーエンドとはアメリカ人は何ておおらかなんだろう。
シークレット・ウインドウ 2004 米 デヴィッド・コープ ★★ スティーブン・キング原作。スランプに陥った人気作家の前に、覚えのない盗作を執拗に主張する謎の男が現れる。お手伝いさんはどこへ消えた?など全体的にむず痒さが残る内容で、オチもしょうもない。
ジーザス・クライスト・スーパースター 1973 米 ノーマン・ジュイソン ★★★☆ アンドリュー・ロイド・ウェバーの出世作となったミュージカルの映画版。イエス・キリスト最期の7日間。ロックンロール&現代風のポップ&斬新な演出のおかげで、クリスチャンでなくとも飽きずに観られる面白い内容に仕上がっている。
ジーパーズ・クリーパーズ 2001 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★★ 車で旅をしている姉弟が謎のボロ・トラックに好奇心を出したがゆえに、23年に1回現れる食人系怪物に追いかけ回されることになる。なんでコッポラがこんなB級映画を、と思ったのだが、静寂の使い方・間の取り方・見せるときと見せないときのオンオフを使い分けた恐怖演出に、枯れたといっても巨匠は巨匠なのだと思った。
シービスケット 2003 米 ゲイリー・ロス ★★ 傷ついた3人の男たちと1頭のお馬さんの成り上がり物語。誠実な設定の割には自己顕示の塊のオーナー、他の馬には乗らない騎手など、無理やりな「さぁ泣け」映画に改ざんされている。ハリウッドの「実話」は信用ならん。
JFK 1991 米 オリバー・ストーン ★★★☆ ジョン.F.ケネディ米国大統領暗殺の背後にあるきな臭いものに立ち向かったギャリソン検事を描く。謎を振りまくサスペンスのはしりともなった作品で、スリリングな展開に魅せられ、荒唐無稽な法螺を平然と事実にできるアメリカの恐ろしい一面を感じさせられる。
JM/ジョニー・ネモニック 1995 米 ロバート・ロンゴ ★★ キアヌ・リーブス&北野武主演。情報を脳内に記録して運ぶ”記憶屋”というそそる設定が、いつしか人類の危機を救うという壮大な物語に広がっていくのだが、展開とセットは安っぽいままという典型的なB級テイストが乙なもの。
ジェイソンX/13日の金曜日 2001 米 ジェームズ・アイザック ★★ 冷凍捕獲されていた殺人鬼ジェイソンがひょんなことから未来の宇宙船内で蘇り暴れ回る。世紀のビッグスター(?)に殺される役者の嬉しそうな(?)姿や、ぶっ飛んだセンスのシーンなど、シリーズにオマージュを捧げたパロディーになっている。
Jの悲劇 2004 英 ロジャー・ミッシェル 彫刻家の恋人クレアとのピクニック中に赤い気級の落下事故を目撃した大学教授のジョーは、周囲の人々を救出活動に向かうが、そのうちの一人が事故死してしまい、鬱々とした心境に陥る・・・。冒頭のシーンをはじめ、いかにも意味ありげなシーンを織り交ぜていいるものの、結局”意味ありげ”な雰囲気が具現化することはないというこけおどし的展開にイライラした。
シェーン 1953 米 ジョージ・スティーブンス ★★★ 19世紀末のワイオミングに現れた流れ者シェーンは暴力を嫌っていたが心温かい一家族の危機を救うべく立ち上がる。映画史に残るラストシーンは勿論であるが、やたらと銃をぶっ放すだけの西部劇物とは一味違う展開にも味がある。
ジェーン・エア 1944 米 ロバート・スティーヴンソン ★★ シャーロット・ブロンテ原作。孤児から家庭教師となったジェーンとオーソン・ウェルズ演じるロチェスター卿の恋物語。サイドストーリーとはいえ重要な牧師セント・ジョンのシークエンスが大胆にカットされているで終盤があっさりし過ぎている。
シェルタリング・スカイ 1990 英・伊 ベルナルド・ベルトルッチ ★★ 心の空白を埋め合わせるかのようにアフリカの砂漠へと向かった夫婦の愛と孤独。初見では感銘を受けなかったのでこの評価だが、幼かったし、砂漠ものだし、今見直したら違う印象を受けるかもしれない。
シェルブールの雨傘 1963 仏 ジャック・ドゥミ ★★☆ 戦地に行ったまま帰ってこない恋人をお腹の中の子とともに待ち続けるジュヌビエーヌにすべてを受け入れるという宝石商の男が求婚してくる。全編ミュージカルで突き進む王道メロドラマ。クルクル回る雨傘とカトリーヌ・ドヌーブの美しさが印象的。
シカゴ 2002 米 ロブ・マーシャル ★★★ 1920年代のシカゴ、殺人犯として交流中の女刑囚二人がすご腕の弁護士とマスコミの力でスターにのし上がろうと奮闘する姿を描いたミュージカル。普通のドラマとミュージカルを交互に繰り返すだけの展開は芸がなさすぎるが、ド派手な舞台&ミュージカルのシーンだけは楽しかった。大人向けの内容と、開き直ったかのような楽天的なラストも良かった。
四季 1969 ソ連 I・イワノフ・ワノー ★★★ 四季の移り変わりの中で紡がれる愛の喜びとかなしみを描いた短編人形アニメ。美しいピアノの調べと繊細な背景美術に酔いしれられる。若き日のユーリ・ノルシュテインがアニメーターとして参加している。
子宮の記憶 あなたがここにいる 2006 日 若松節朗 ★★ 裕福なだけの家庭に満ち足りていなかった17歳の少年・真人は、新生児時代に自分を誘拐した女の存在を知り、素性を隠して会いに行くのだが・・・。身近な日常のようで実は身近でなくて辛気臭いという邦画独特の雰囲気をまとっており、もたもたした序盤にだるさを感じるものの、登場人物のキャラが立っているので案外見られた。松雪泰子の熟れた魅力が一番の見どころか。
死刑台のエレベーター 1975 仏 ルイ・マル ★★☆ 出征帰りの技師ジュリアン・タベルニエは、美しい社長夫人フロランスとの不倫愛の果てに、自殺を装わせて社長を殺害する完全犯罪を企図するのだが・・・。異色の犯罪サスペンスとしての面白さと緊迫感は格別であったし、二人の愛の強さも良かったけれども、お洒落&唐突な暴走に見られるいかにもヌーベルバーグな風味は自分の肌に合わなかった。
地獄で眠れ 1984 米 J・リー・トンプソン ★☆ 中米の独裁国スリナムで残忍な生体実験を繰り返すマッド・サイエンティストを抹殺するために引退したはずのすご腕殺し屋が立ち上がる。普通に勧善懲悪な作品。
シザー・ハンズ 1990 米 ティム・バートン ★★★ 両手がハサミの人造人間エドワードと乙女キムの恋物語を寓話風に描く。ティム・バートンらしいメルヘンチックな世界観と、童話風特のビターさに、ジョニー・デップとウィノナ・ライダの存在感が加味された逸品。
ジス・イズ・エルビス THIS IS ELVIS 1981 米 マルコム・レオ/アンドリュー・ソルト ★★☆ 没後に製作されたエルビス・プレスリーの生涯を追ったドキュメンタリー。王道の作りだが、死期が近づいた時期の深いところから絞り出すような歌声が実に印象深かった。
7月4日に生まれて 1989 米 オリバー・ストーン ★★☆ 高校卒業後海兵隊に入隊しベトナム最前線で重傷を負い下半身不随となってしまったロンは米国に帰還するが、戦場での忌まわしい記憶と反戦に揺れる母国の人々の姿が彼を傷つけていくのだった。ベトナム戦争の傷がいかに大きいかを辛辣なまでにえぐり取った異色作。車いすの上に不能になってしまった若き青年の姿をトム・クルーズが熱演している。
七人の侍 1955 日 黒澤明 ★★★★★ 野武士の略奪に怯ええている農民たちは腹の減った侍たちを雇って村を守ることも思いつく。娯楽性とメッセージ性が高次元で結びついた史上最高の邦画。3時間半を超える上映時間がちっとも長くない。
七年目の浮気 1955 米 ビリー・ワイルダー ★★★ 結婚7年目の妻と息子を避暑地に送り出し、つかの間の独身気分にひたるリチャードは、同じアパートに住み始めたセクシー美女に一目ぼれしてしまう。地下鉄の通風口の風で舞い上がる白いドレスシーンで高名なマリリン・モンローの代表作の一つ。病的なまでの妄想癖を持つ主人公のドタバタをコミカルに描いた内容もなかなか面白い。
十戒 1956 米 セシル・B・デミル ★★ 故あって古代エジプトの王子として育てられたモーゼであったが、ヘブライ人(イスラエル人)の出自がばれると追放され、やがて神のお告げを受けヘブライの民を引き連れる預言者となるのだった。旧約聖書の登場人物中では1,2を争う知名度を誇るモーゼの半生を描いた大作映画。古代が舞台なので劇映画として楽しめるが、文字通り海が割れる紅海横断シーンを始めとするインパクト大な終盤が宗教臭すぎてやや引いた。
69 sixty nine 2004 日 李相日 ★★ 1969年、憧れのレディ・ジェーンのハートを掴みたいがゆえに、楽しく生きるがモットーの高校生ケンは、仲間とともに映画と演劇とアートとロックが一体になったフェスティバルの開催を企む。作りはよくできている方だと思うが、妄想が原動力の少年が主人公のせいか、この時代を背景にした意味がよくわからないおバカ系青春映画にしか見えず、心に残るものがなかった。
シッコ 2007 米 マイケル・ムーア ★★ キューバよりひどい?米国の医療制度を批判したドキュメンタリー。自己批判の精神に乏しいムーア監督の作風は相変わらず。
自転車泥棒 1948 伊 ヴィットリオ・デ・シーカ ★★☆ 第二次世界大戦後の混乱期で2年間無職のアントニオは、妻の嫁入り道具を処分してまで手に入れた自転車でようやくポスター貼りの仕事を手に入れたのだが、職務中に肝心の自転車を盗まれてしまい、幼い息子ブルーノとともに必死にローマ中を捜しまわる。戦後混沌期のローマのリアルな姿を映し出した数々の場面と、貧困と闘う男の姿をシンプルながらもヒューマニックに描いた物語が印象的だった。
ジャイアンツ 1956 米 ジョージ・スティーブンス ★★☆ テキサスの荒野から始まるベネディクト家と孤独な男ジェットの人間大河ドラマにして、ジョームス・ディーンの遺作。本当に”大河”で、ここまで長尺な人間ドラマを一本の映画によくまとめたものだ。
ジャケット 2005 米 ジョン・メイバリー ★☆ 1992年の湾岸戦争で負った頭部の負傷が原因で記憶障害になったジャックは、殺人事件に巻き込まれ精神病院に送られ、拘束衣(ジャケット)を着せられて死体安置用の引き出しの中に閉じ込められる実験的療法の影響で15年後にタイムトリップしてしまう。「バタフライ・エフェクト」、「12モンキーズ」などのタイムトリップ成功ものの良かったところを抽出して、違う物語で調理してみました、という既視感たっぷりのタイムトリップ・ムービー。
社長道中記 1961 日 松林宗恵 ★★ 太陽食料社長三沢英之助の大阪出張の随行に選ばれたお堅い社員の桑原は、社長夫人の意向に沿って社長の浮気癖を封じようと奮闘する。まったりとした雰囲気ながらも目付の桑原を何とかして追っ払おうとする三沢社長の風情がおかしい喜劇で、古き経済復興期の日本の雰囲気が感じられるところも興味深かった。
社葬 1989 日 舛田利雄 ★★☆ 一匹狼の取締役が会社内部の権力闘争に巻き込まれていく。民間企業の争いというよりも政治家たちの内輪もめを見ている感じ。もっと仕事しようよ&最後は世襲ですか、という点が突っ込みどころ(笑)。
上海の伯爵夫人 2005 英・米・独・中国 ジェームズ・アイボリー ★★ 第二次世界大戦開戦前の国際都市・上海を舞台に、バーのオーナーとなった盲目のアメリカ人ジャクソンは、バーを仕切るロシアからの亡命貴族ソフィアとの絆を深めていくのだが・・・。全般的なセットの安っぽさ、なかなか進まない物語、わかりづらい主人公の苦しみ&理想と、アイボリー監督作品にしては凡庸の出来。
宿命 1957 仏 ジュールス・ダッシン ★★★ 1920年代初頭のトルコ支配下にあるギリシャの小さな村、トルコ人との諍いから難民となった人々が避難してきたことで、村に軋轢が生じる。劇中劇であるキリストの受難と物語をオーバラップさせ、聖人たちを崇めながらも現実には俗人にしか過ぎない人々を生々しく描きだす。
修羅八荒 1958 日 佐々木康 ★☆ 京都二条城から四千両の御用金が盗まれ、所司代・板倉内膳正の命を受けた浅香恵之助が弟の仇打ちがてらに捜索の旅に出る。堅物で男前で腕の立つ主人公、男を慕ういじらしい女など、これぞ!というまでに古風で定番な要素の詰まった娯楽時代劇。この制作当時であったからこそ可能であった、屋外シーンでのどこまでも広がるカラフルな田園風景が目に心地良い一方で重要なシーンの大半がセット(室内)撮りであったのが今となっては惜しまれるところ。
小説家を見つけたら 2000 米 ガス・ヴァン・サント ★★ NYはブロンクス、プロのバスケットボール選手を夢見つつも一方で隠れ文学少年であった黒人高校生ジャマールは、アパートの部屋で引きこもっている老人と交流を深めていくのだが、実は彼は若くして偉大な処女作を発表した後文壇から消えてしまった幻の小説家ウィリアム・フォスターだった。特にどうとうことはない物語で、落ち着いたトーンがかったるくもあるのだが、主人公がどこかに感じている憂鬱と、彼を取り巻く人々の関係をじっくりと描いていくスタイルから醸し出される雰囲気には味わい深いものがあった。
少年と犬 1974 米 L・Q・ジョーンズ ★★☆ 第四次世界大戦後の荒廃しきった世界、僅かな食料と女を求めて男たちが争いあう地上を生きる18歳のヴィクと彼と超能力で会話する犬ブラッドは美女クィラからに地下に平和社会を築いている人々の存在を知らされるのだが……。映画としての作りは凡庸であるが、後半一気にスパークするの英国的ブラック・ユーモアな展開が良かった。
勝利なき戦い 1959 米 ルイス・マイルストン ★★ 朝鮮戦争下の1953年、板門店において休戦交渉がすすめられるなか、板門店から110キロほど東にあるポークチョップ高地が中国軍に制圧され、交渉を有利に進めるためにクレモンズ中尉たちに奪還命令が下される。停戦間際で士気のあがらぬ中で戦地に赴かねばならないクレモンズに名優グレゴリー・ペックがはまっているが、予定調和的な作りのせいもあってか敵のプロパガンダに動揺する点を除けば、実話という重みが殆ど感じられなかった。
ジョージ・マイケル 素顔の告白 2004 英 サザン・モリス ★☆ ワムの一員としてソロとして1980年代に一世を風靡したジョージ・マイケルについて本人その他の人々が語りまくるドキュメンタリー。ソロとしての絶頂期に起きたレコード会社との契約訴訟問題、長年囁かれ続けたゲイ疑惑の真相などなど、も明かされているが、裏幕ものという以上の内容はない。
ショーシャンクの空に 1994 米 フランク・ダラボン ★★☆ 不倫中の妻とその愛人が殺されたとして終身刑に処せられ、ショーシャンク刑務所に入れられてしまった銀行家のアンディは、冤罪が晴れる機会を信じて服役に耐え続ける。冒頭から終盤ちょっと前までの数々のエピソードとヒューマニックな展開はとても良かった。無実で刑務所に入れられたら悪人の金を盗んでも良いという短絡的な勧善懲悪思想&無為に失った数十年の時の重みを感じさせない楽天的なラストで醒めたが、楽しめることには変わりない。
ショコラ 2000 米 ラッセ・ハルストレム ★☆ 古臭い因習で凝り固まったフランスのとある小さな村に町にやってきた母娘が、美味しいチョコレート菓子を作って町の人々を変えていく。全編作りもの感漂うセットと予定調和的な物語展開に包み込まれているハリウッド映画らしい作品。
シリアナ 2005 米 スティーブン・ギャガン ★☆ 中東はとある国の石油利権をめぐって、最期の極秘任務に挑むCIAのエージェント・ボブ、王位を窺う王子ナシール、王子の相談役ブライアン、 アメリカの巨大石油企業が絡んだ大型合併を巡る調査する弁護士ベネット、出稼ぎパキスタン人ワシーム、の動きを群像劇風に描く。”石油”をネタに物語を紡ぐというのは興味深かったが、各エピソードが絡み合い始めるまでが非常に長くてわかりにくく、各人の行動原理も説得力に欠けるため、消化不良のまま終わってしまった。
次郎長三国志 次郎長売出す 1952 日 マキノ雅弘 ★☆ 次郎長シリーズの第1作。タイトルどおり次郎長が仲間を集めつつ名前を売っていく。ヤクザ森の石松とか噂には聞いていたシリーズを見る日が来たことに感無量。どうということはない内容に感無量。
次郎長三国志 次郎長初旅 1953 日 マキノ雅弘 ★☆ 次郎長シリーズの第2作。タイトルどおり次郎長一家が旅に出る。第2作でも次郎長一家は増えていくが、何だかこの妙に明るく元気な内容についていけない。
次郎長三国志 第三部 次郎長と石松 1953 日 マキノ雅弘 ★☆ 次郎長シリーズの第3作。タイトルどおりというよりは、名高い”森の石松”を主軸に据えた物語に仕上がっている。悪くはないと思うが、このシリーズが自分の肌に合わないことを実感し、シリーズ完全制覇を断念することにした。
新・動く標的 1975 米 スチュアート・ローゼンバーグ ★☆ 知人から不審な手紙の送り主の調査を依頼された私立探偵ハーパーは複雑な事件に巻き込まれていく。本当に複雑で映画よりも連続ドラマでじっくり見せた方がよかったのではないかと思った。
新SOS大東京探検隊 2006 日 高木真司 ★☆ 父が子供のときに書いた「大東京探検記」というノートを基にマンホールから地下に降りた小学生たちの大冒険を描く。童心を刺激する中編アニメだがメリハリも展開の妙もオリジナリティもない。
シングルス 1992 米 キャメロン・クロウ ★★ ライブハウスで出会ったリンダとスティーブはお互いに一目ぼれして付き合い始め、スティーブと同じアパートに住むジャネットはつれない恋人に愛されたいが一心で豊胸手術を決意するのだった。若者の少しビターな恋愛事情を描いた群像劇。物語自体はどうということはないが、当時一世を風靡していたグランジを始めとするハイレベルな音楽の選曲センスと小ネタの面白さでが不思議と飽きさせない。
真剣勝負 1971 日 内田吐夢 ★★ 内田吐夢監督の遺作。鎖がまの名手・宍戸梅軒の技を見に行った宮本武蔵は、ふとした話から自身が梅軒の妻の仇であることが判明し、梅軒一門との対決を余儀なくされる。宮本武蔵が二刀流を開眼するに至った過程を一日の出来事として描く。不利を悟った武蔵が梅軒の子供を楯に取るところなどは面白かったが後は普通の時代劇という感じがした。
神童 2006 日 萩生田宏治 ★★★ 八百屋の息子にして音大浪人生であるワオは、神童ピアニスト少女うたと出会い、二人の間には恋愛とも友愛ともつかない感情が芽生えていく。原作のコアな部分を上手く残し、ときおり挿入されるピアノを通して繊細に描かれる物語に味わいがあった。うたを演じた成海璃子も良かった。
審判 1963 米 オーソン・ウェルズ ★★☆ 大企業に勤めるジョゼフ・Kはある日突然何の罪かもわからないまま逮捕されてしまい裁判にかけられることとなるが・・・。フランツ・カフカの同名原作に現代的な要素と非常に不可解な物語の印象をどぎつく強める美術・舞台装置を付け加えた、失敗していない数少ないカフカ映画。但し、カフカ作品特有の不条理性に強く囚われ過ぎて、リアリズムの要素が消えてしまっている点では他の多くの失敗作と同様の轍を踏んでいる。
スで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
枢機卿 1963 米 オットー・プレミンジャー ★★ 20世紀初頭、司祭に任ぜられたファーモイルは時代の波に翻弄されながらも人間として成長しつつ聖職者の道を歩んでいく。聖職にある人の葛藤やドラマという時点で既に日本人には共感しがたく、かつ長尺な上に各エピソードが中途半端だった。
続・姿三四郎 1945 日 黒澤明 ★★☆ 前作での決闘で檜垣源之助を打ち負かした三四郎に対して、唐手(空手)使い手である檜垣の弟二人が復讐に現れる。アメリカ人ボクサーをぶん投げたり、空手家と勝負したりと新鮮味こそあるものの、恋の要素を除けば三四郎の人間としての成長が前作で終わってしまっているせいか今二つの出来。意に沿わずに作られた続編というのにも納得の黒澤映画としては下の部類に属する作品。
好きと言えなくて 1996 米 マイケル・レーマン ★☆ ラジオでの動物何でも相談で人気のアラフォー独身女アビーは、彼女への相談をきっかけに急接近してきた好青年ブライアンに戸惑い、近所の美女ノエルを身代わりに立ててしまう。知性豊かだが外見は今一つの女と、美女だが知性の足りない女を交えた恋の三角形を描きながら、外見なのか、中身なのか、を問うライトタッチのドラマ。見え見えの展開の上には一応見られるが、内容が薄っぺらいので鑑賞後に残るものは殆どない。
スキャンダル 2003 韓 イ・ジェヨン ★★☆ 韓国版「危険な関係」(ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ作)。18世紀末の李朝時代の朝鮮、政府高官の妻チョは、自分のことを想っている従兄弟のチョ・ウォンと危険な恋愛ゲームの賭けをするのだが……。色鮮やか映像など見られる要素が多く、チョ・ウォンに翻弄される二人の女性も綺麗だったので楽しめた。
スクール・オブ・ロック 2003 米 リチャード・リンクレイター ★★☆ スタンドプレイが過ぎて自らが立ち上げたアマチュアのロック・バンドをクビになり、日銭にも事欠いていたデューイは、教師免許を持つ同居人になり済まして名門小学校の臨時教師の職に就き、ロック魂?でハチャメチャをやらかしていく。すべてが予定調和の展開を見せるミスマッチ・コメディであるが、往年の名曲のリフが出てきたりするとニンマリするし、何より主演のジャック・ブラックの一人芸がなかなか面白くて楽しめた。
スコットランド・カップの奇跡 2000 米 マイケル・コレント ★★☆ スコットランド2部で苦しむ100年の伝統だけを誇るキルノッキーを率いるマクロードのもとへかつてセルチックで名を馳せたストライカーにして不仲の娘婿マックィランが移籍して来るのだが、抽選運にも恵まれたチームはカップ戦を勝ち上がっていく。いずこの国でも起こりうるカップ戦のジャイアント・キリングを焦点に人生の悲哀をドラマ仕立てで加えた拾い物的小品。終盤がありきたり過ぎたもののリアルな試合シーンなどまずまずの出来。
スコルピオンの恋まじない 2001 米 ウディ・アレン ★★☆ 1940年のニューヨーク、保険会社の同僚であるC.W.ブリッグスとベティ・アンは不仲であったが、余興の催眠術で恋仲となるのだが……。年齢差あり過ぎのカップルには無理があるが、皮肉を含有したセリフやどこか大仰なロマコメ風の物語がいかにもウディ・アレンらしい。
スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 2008 米 デイブ・フィローニ ★★ 激しさを増していく一方のクローン大戦の中で、共和国軍に敵対するシスの暗黒卿・ドゥークー伯爵は銀河の商経済の実力者ジャバ・ザ・ハットの息子を誘拐し、その罪を共和国軍の要であるジェダイの騎士になすりつける。エピソード2と3の間に起きたクローン・ウォーズの1エピソードをせわしないアクションと緊張感の連続で描いた3DCGアニメ。良くも悪くも息つく暇がない新シリーズの特徴を受け継いでいる。TVM&アメコミ風版の「クローン大戦」に比べると各キャラの特徴や動きが実写版の流れを受け継いでいるので受け入れやすかった。
スタンドアップ 2005 米 ニキ・カーロ 夫の暴力に耐えかね二人の子供を連れて家を出たジョージーは、故郷の鉱山で働く労働者となるのだが、彼女を待っていたのは男性社会における嫌がらせと執拗なセクハラだった。実話を下敷きにしているらしいが、仕事もろくにしていないろくでなしとして描いてたり、下品にも程があるセクハラ・エピソードの積み重ねなど、一方的な弾劾に近いので説得力に欠ける。これが本当ならまず先に転職を考えるだろう。
スティール 2002 仏 ジェラール・ピレス 綿密な準備と抜群の身体能力を武器に次々と銀行強盗を銀行強盗集団「STEALERS」は、5日で5件の銀行強盗をやってのけるという大胆不敵な目標に挑むのだが・・・。5日連続の銀行強盗という目標の時点でわかるとおり、スポーツ感覚丸出しのスピード感がたっぷり。サスペンスの要素も若干あるが、純粋に娯楽アクションが好きな人でない限り鑑賞は堪えるだろう。
スティング2 1983 米 ジェレミー・ポール・ケイガン ★☆ 前作から6年後、再び師匠ゴンドーフと組んで八百長ボクシングに挑むこととなったフッカーらの身に、復讐の機会を伺っていたマフィアの大ボス・ロネガンの魔手が伸びて来ようとしていた。前作から脚本以外のすべてを入れ替えて製作している上に、衣装と舞台背景以外のイメージがあまりにも前作と異なるので、誰が誰だがわからなくて戸惑った。終盤のどんでん返しはまぁまぁだが、やられた!、という騙しだけが「スティング」の魅力ではないことを明示しているに過ぎない程度だった。
ストーン・カウンシル 2005 仏 ギョーム・ニクルー 養子としてモンゴルから連れ帰った息子リウ=サン(ニコラ・タウ)とともにパリで暮らしていたローラであったが、実はリウ=サンが100年に1人の”神の子”であったことから秘密結社の陰謀に巻き込まれていく。東洋に神秘性を感じない日本人には共感しがたい上に、話も大きいんだか小さいんだかわからなくい中途半端なサスペンス。
ストーン クリミアの亡霊 1992 露 アレクサンドル・ソクーロフ ある晩チェーホフ館の番に訪れた青年は、生前の姿で水浴びをしているチェーホフの霊と出会う。動きも台詞も少ない役者よりも、水墨画を連想させる古めかしい画よりも、チェーホフの静かな一日を淡々と描いているだけの物語よりも、絶え間なくバックで鳴り続けている物音(といっても殆ど風音だけだが)の方が主役に思われ、チェーホフに対して無知すぎるせいなのか、よくわからないまま終わってしまった。着替えシーンのバックにおごそかなオペラがかかったり、青年が鳥に餌をやる姿がオーバーラップする二人の食事シーンがコミカルだったのには何か意味があったのだろうか。ただ、意味不明の割りに苦痛はなく、心地よい眠気に誘ってくれるので、そういうとき(どういうときだ?)の役には立つかも。ソクーロフ史上最難度レベルの作品なので、DVDが出たら買って再鑑賞しよう。
ストリングス 〜愛と絆の旅路〜 2004 デンマーク アンデルス・ルノウ・クラルン ★★ 天上とつながる糸によって生かされているマリオネット人形たちの世界、何百年にも渡る争いが続くバロン王国の王が亡くなり、その遺児ハルは過酷な運命の待ち受ける旅に出ることに・・・。操り人形劇であることを逆手にとり、人形を操る糸を命のもととしたばかりか、ときには感情表現にまで用いている点が新鮮だた。ただ、物語としては凡庸。
スナッチ 2000 米・英 ガイ・リッチー ★★★ ロンドンの下町イースト・エンド、非合法ボクシングで成り上がろうと企むターキッシュとトミーは八百長試合を仕込むのだが、あろうことは負け役がKYなKO勝利を上げてしまったが故に大混乱が巻き起こっていくのだった。ハチャメチャな裏社会の物語をタランティーノを彷彿とさせる手法で調理したアクション・ハードボイルド・ブラック・コメディの快作。
砂と霧の家 2003 米 ヴァディム・パールマン ★★ 手違いから亡き父との思い出が詰まった海辺の一軒家を差し押さえられてしまった未亡人キャシーは、次の家主となった亡命家族ベラーニ一家と家の所有権をめぐって対立する。冒頭から最後まで陰鬱な雰囲気が漂い続けている鬱映画。
素晴らしき男性 1958 日 井上梅次 ★★ 夢の中で見た素晴らしい男性そっくりの土屋秀夫にプロポーズされた陽子は心浮き上がるのだが、その兄武男に徐々に惹かれていく……。ように姉の直美に夢の途中で起された。素晴しき男性の夢だったのに。物語は薄っぺらいのだが、ハリウッド映画を移植したかのような和製ダンス・ミュージカルの味わいがなかなか乙なもの。
スリー・キングス 1999 米 デヴィッド・O・ラッセル イラクとの湾岸戦争に勝利したアメリカ軍のゲイツ少佐はイラクがクウェートから奪った金塊の隠し場所を示した地図を発見し、部下を仲間に引き入れて金塊探しに乗り出すのだが・・・。娯楽系アクション路線に見せかけた風刺映画とはいえ、少佐ごときが勝手に単身行動に乗り出していくなどの無茶苦茶な展開と、悪趣味の過ぎる風刺的なシーンの連続なので、面白くないのはもちろんのこと、コメディ部分でも笑えなかった。
セで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
生活の設計 1933 米 エルンスト・ルビッチ ★★★ 親友である画家ジョージ・カーチスと劇作家トム・チェムバースは、留学先のパリでスケッチ画家ジルダという美女と知り合い、肉体関係抜きを条件に三人で同居することになる。男二人を等しく好きになってしまった美女がささやかな騒動と笑いを巻き起こす様をスピーディに描いた佳作。
聖女ジャンヌ・ダーク 1957 英・米 オットー・プレミンジャー ★★ 老いたフランス国王シャルルのもとに亡霊となったジャンヌ・ダークが現れ、やがて彼女にかかわりのあった人々の亡霊も集まり出して、その生涯が語られていく。バーナード・ショーの舞台劇が原作のジャンヌ・ダルク物語。人間ドラマとして見られる内容になっているが、普通のキリスト教義感に基づいており、無声映画の最高峰「裁かるゝジャンヌ」にあった無常的緊迫感を味わった後となっては劇的な印象は受けない。
世界最速のインディアン 2005 ニュージーランド・米 ロジャー・ドナルドソン ★☆ 1960年代、ニュージーランドで年金暮らしをしている老人バート・マンローは、自分のバイク「インディアン」に乗って世界最速記録を出す夢を実現するために、ライダーの聖地アメリカはポンヌヴィル塩平原で行われる大会に参加すべく旅立つ。信じがたい実話をが下敷きであるが、都合のよいエピソードのてんこもり状態から察するに殆どフィクションのはずなので拍子抜けした。
世代 1954 ポーランド アンジェイ・ワイダ ★★☆ ドイツ軍占領下のポーランド、工場勤務の間にレジスタンス活動に精を出すスタフ、ヤショ、セクワ、ドロタたちは、ワルシャワ・ゲットーのユダヤ人一掃作戦に巻き込まれていく。ナチスドイツの侵略後のポーランドを一般庶民であるポーランド人の視点から描いているところがなかなか良かった。
瀬戸内少年野球団 1984 日 篠田正浩 ★★★ 太平洋戦争の敗戦直後の淡路島、軍国教育から民主主義教育に変わった小学校で、担任の駒子先生は子供たちに野球を教え始める。作詞家・阿久悠の自伝的小説を原作にした早春物語。野球が主軸ではなく敗戦後の混乱期を生きる人々を描いており、豪華出演陣による群像劇として楽しめる。
セルピコ 1974 米・伊 シドニー・ルメット ★★ ニューヨーク市警察に勤務することとなった正義感の強い青年セルピコは、腐敗・汚職にまみれた同僚たちの中で孤立を深めていく。あまりにもまっとう過ぎるセルピコの生き方の背景が描かれていないとか、あまりにも汚職ひど過ぎないか、などと思ったのだが、実話に基づいているということを知って色々な意味で納得した。
セレンディピティ 2001 米 ピーター・チェルソム ★★☆ クリスマス直前のN.Y.で偶然出会って意気投合するものの”運命”という偶発性に頼ったがゆえに連絡先も知らないまま離れ離れになってしまった男女が、お互いを求めて駆けずり回る。互いに別々の伴侶と結婚寸前という時限設定などベタもいいところであるが、どうやって再会するのかという過程を、ありえねー、とか、アホか、などと突っ込みながら楽しんだ。下ネタに頼らない姿勢やガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」をネタにするちょっと高尚な姿勢にニンマリできた王道ロマコメ。
戦艦バウンティ号の叛乱 1935 米 フランク・ロイド ★★ 1787年、タヒチ島へ向けて英国を出航した戦艦バウンティ号内では、冷酷無慈悲でサディスティックな性格の船長ブライの圧政が敷かれ、水兵たちの間に不満が高まっていく。ベタベタなまでにひどい仕打ちを続ければ反乱が起きて当然とは思うが、俳優陣の演技の良さと構成のテンポの良さと、終盤のもう一盛り上がりのおかげか案外楽しく見られた。
戦国自衛隊1549 2005 日 手塚昌明 対プラズマ用人工磁場シールドの実験中に起きた事故により戦国自体にタイムスリップしてしまった的場一佐率いる一団を救うため、救出部隊「ロメオ隊」が送り込まれるのだが・・・。オリジナルにあった何とも言い難い悲壮感や自衛隊対武田軍などのワクワクするような要素は消え、こじつけがましい説明と安っぽいCG、ついでに安っぽい構成がただでさえ力の乏しい俳優陣の演技を空回りさせていた。
1735km 2005 ベトナム グエン・ギエム・ダン・トゥアン ★★ ハノイからサイゴンへ向う長距離列車で隣り合わせた若い男と女がふとしたことから共に旅をすることになりお互いに惹かれあっていく。中盤までのベトナムの美しい風景が印象的なロードムービー風の展開には味わいがあったが、終盤になるに従って長ったるさと台詞の不出来さが気になっていくのが残念。
ソで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版 2009 日 高橋良輔 ★☆ 百年もの長い戦争を続けるアストラギウス銀河、極秘文書「ペールゼン・ファイル」に記された「異能生存体」と呼ばれる特異遺伝子(不死)の持ち主と目されたキリコたちは過酷な戦場に送り込まれることになる。冒頭のノルマンディー上陸作戦を想起させる迫力のシーンなどで目を楽しませてくれるが、TVアニメの番外編という位置づけから来る制限があるためか物語自体は極めてありきたり。
捜索者 1956 米 ジョン・フォード ★★★☆ 南北戦争から3年後、元南軍兵士イーサン・エドワーズが弟アーロンの営む牧場に帰ってくるが、インディアン襲来により一家は惨殺され、誘拐された姪たちを救いだすための執念の旅が始まるのだった。テキサスの荒野を生かした映像、音楽の使い方、個性の立ったキャラ、メッセージ性と単なる娯楽映画の範疇を超えた西部劇。手紙だけで時間と物語の経過を伝える手法など名匠ジョン・フォードの辣腕ぶりが楽しめる。
ソードフィッシュ 2001 米 ドミニク・セナ 引退した世界一のハッカー・スタンリーのもとに、ジンジャーという女が現れ、コンピュータ操作によるあ95億ド強奪計画を持ちかける。何がやりたかったのかよくわからない犯罪者側に立ったサスペンス映画。意味不明のお色気がときおり出てくる。
卒業 1967 米 マイク・ニコルズ ★★★ 文武両道で優秀な成績で大学を卒業しながらも将来に対する不安を拭えないでいたベンジャミンは、両親の友達である妖艶なロビンソン夫人の誘惑に負けて不倫関係に陥るのだが、やがて帰郷してきた夫人の娘エレーヌと本気の恋に落ちてしまうのだった。サイモン&ガーファンクルの古典を超越した名曲や高名なラストシーンのみならず、変にまっすぐなベンジャミンの少々おかしな言動が起こす喜劇すれすれの悲劇にも惹かれるものがあった。
ソドムの市 1975 伊 ピエル・パオロ・パゾリーニ 権力者たちがいたいけな少年少女をこれでもかと痛め続けるだけの作品で性と死と拷問と糞で溢れている。この世の厄災の詰まったパンドラの箱ですら最後には希望が残っていたがこの映画には不快感以外何も残らない。人間の欲望の極致をシニカルに描いたとする見方も可能ではあるが、だからといってこの作品を心から良いと言える日が来たとき自分は社会で生きていけなくなりそうな気がするので、君子危うきに近寄らずを実践して二度と観ないのが賢明だろう。P.S.音楽はモリコーネなんだよな、なぜ?
ゾラの生涯 1937 米 ウィリアム・ディターレ ★★ 「ドレフュス事件」として知られるヨーロッパ史上最大のえん罪事件「ドレフェス」事件の本質を鋭く見抜いた作家エミール・ゾラは、フランス陸軍の不正を糾弾する大統領への手紙を新聞に発表するのだが・・・。史実をもとに織りなされる作家ゾラの半生。無声映画期の演出に台詞を吹き込んだかのような内容が今から見るとやや大仰な感じ。作家の半生とドレフェス事件のいずれが軸なのかがはっきりしない分消化不良の印象を受けた。
タで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ダーウィンの悪夢 2004 オーストリア・ベルギー・仏 フーベルト・ザウバー ★★ アフリカはビクトリア湖で増殖し始めたナイルパーチを巡って資本原理が生まれるが、大半の庶民はかつては可能だった自給自足の生活さえままならなくなっていく。資本主義の根源的な問題を鋭く衝いたドキュメンタリーだが、内容が散漫でダラダラしている。
ターザン 1999 米 ケビン・リマ/クリス・バック ★★ 名作アニメの何度目かのアニメ化。アフリカの密林でメスゴリラに育てあげられた人間の男・ターザンは、密林にやってきたポーター教授とその娘ジェーンと出会う。いかにもディズニーなアニメ映像といい、軽いタッチの音楽といい、万人に受け入れられることを意識した手堅い作りであった。
タイタンズを忘れない 2000 米 ボアズ・ヤーキン ★★ 1971年のヴァージニア州、白人学校と黒人学校が統合されて生まれた高校アメフトチーム・タイタンズは、人種差別を含む数々の問題を乗り越える快進撃を見せていく。試合のシーンや対立を乗り越えていく過程に熱くなれたのは確かだが、実話をウリにしつつも登場人物の造形が薄い上に脚色がフィクション臭すぎるというありがちな作りだったので鑑賞後に残るものはなかった。
大統領の陰謀 1976 米 アラン・J・パクラ ★★★ ワシントン・ポスト社の新米記者ボブ・ウッドワードは、民主党本部のあるウォーターゲート・ビルへの不法侵入事件を調べているうちに政府の関与に感づき、若手記者カール・バーンスタインの協力を得て事件の真相に迫っていく。正義感というよりも情熱に動かされているかのような二人の記者の一心不乱な姿と、その地道な取材を積み重ねを硬派に描ききった良質のサスペンス。アメリカ人が陰謀説好きなのは文化的趣向ではなく歴史のなせる業であることがよくわかる。
大統領の理髪師 2004 韓 イム・チャンサン ★★☆ 政情不安定な1960年代の韓国、不正選挙で当選した大統領の住む町で理髪店を営むハンモは、ひょんなことから大統領専属の理髪師に任命され、家族とともに時代の波に翻弄されていく。純朴過ぎる男を主人公に据えてコメディ・タッチに徹した姿勢と、理髪師という日常的な視点のおかげで、本来であれば相当重い話を随分と見やすくしている。
台風クラブ 1983 日 相米慎二 ★★ 台風襲来前のある中学校を舞台に少年少女の心情を描き出した青春映画。長いワンカットを駆使した演出が思春期特有の不安定な心情を映し出している。
大菩薩峠 1957 日 内田吐夢 ★★ ”音無しの構え”から邪剣を繰り出す机龍之助は、心の虚無にさいなまされながら悪逆の道に走り、やがて幕末の動乱に身を投じていく。作り込まれたセットには見ごたえがあるものの、虚無に苦しめられている風情のない主人公に見られるように、歌舞伎の流れを組む堅苦しい時代劇に仕上がっているので内容的には今一つ。自分的には「岡本喜八×仲代達也」版の方がはるかに好き。
大菩薩峠 第二部 1958 日 内田吐夢 ★☆ 前作の最後で失明してしまった机龍之介は、温かい人々に救われながらも、虚無僧となって江戸に出て、ひととき人間らしい心を取り戻すのだが・・・。3部作の第2作目であって、原作どおりとはいえ、比較的温厚になってしまった龍之介の毒の抜けぶりと、無軌道に増え得ていく登場人物の多さに代表されているとおりの肥大・散漫・迷走路線がつらい。
大菩薩峠 完結篇 1959 日 内田吐夢 ★★ 悪代官風の神尾主膳に拾われ甲州街道で辻切りに励む机龍之助に対する敵討ちをはたさんと狙う宇津木兵馬は、遂に彼と対峙することになるのだが・・・。第二部で拡散しきった展開はそのままであるが、主人公らしい存在感と狂気を取り戻した机龍之介の物語が一応の大円団を迎える。終盤の幽玄めいたシーンの緊迫感が秀逸。
大菩薩峠1966 日岡本喜八★★★☆世は幕末、奉納試合で宇津木文之丞を撲殺後その妻・お浜を強奪して江戸へ出奔した虚無の剣士・机竜之助(つくえりゅうのすけ)は、芹沢鴨とともに浪士組(後の新撰組)に参加するのだが・・・。非情の剣を振るう人でなしの竜之介に仲代達矢の冷たい感じがはまっているのだが、妻子持ちになって所帯じみている部分にはちょっと引いた。ただ、名脚本家橋本忍の手により見事に紡ぎ合わされたシナリオ、岡本監督らしい豪快な太刀合いのシーンに、出番は少ないが圧倒的な存在感を見せ付ける三船敏郎の剣戟シーンが凄かった。見どころたっぷりで満腹感を味わせてくれる快作。
大魔神 1966 日 安田公義 ★★ 戦国時代の丹波の国、謀反により主家を乗っ取った家老・大竹左馬之助が、いたずらに領民に苦しめる最中、亡き主君の遺児である忠文・小笹の兄妹は魔神が封じ込められているという山に潜んでいた。作品は見たことがなくとも、名前は誰もが知っている日本特撮映画市場に残る一作。物語は陳腐極まりないが、丹波という地味な国(失礼)に漂う暗い雰囲気から予感させてくれたとおりの、初代ゴジラに匹敵するほど恐ろしい大魔神の存在感が超絶のインパクトを残す。映画として物足りない部分があるのは事実だが一度は見ておきたい。
大魔神怒る 1966 日 三隅研次 ★☆ 戦国時代、美しい八雲の湖を挟んだ豊饒な領土千草に御子柴弾正が攻め入り、守り神である武神像を爆薬で吹き飛ばしてしまうのだが・・・。大魔神シリーズの第2作目にして早くもマンネリ化著しく、設定が多少違うことを除けば、筋書きが殆ど同じで新鮮味がない。得体の知れない恐ろしい存在だった前作に比べると、弱い者の守り神になってしまった点も今一つ。
大魔神逆襲 1966 日 森一生 ★☆ 戦国時代、周辺諸国への領土拡大を狙う荒川飛騨守に酷使される同村の人々の逃走経路を確保すべく、4人の子供たちが祟りがあるという「魔陣の御山」を越えに挑む。大魔神シリーズの第3作にして完結編? 洪水・大雪・大魔神と人間を特撮抜きで1フレームに収めるなど、映像に関しては進歩している感じ。しかし、シリーズが進むにつれ、おどろおどろしい雰囲気が消え、魔人が正義の味方の怪獣のように見えてくるのはなぜだろうか。あと身を捧げる人間は少年でなく乙女でしょう。
ダイヤルMを廻せ! 1954 米 アルフレッド・ヒッチコック ★★★ 浮気をしている妻を殺害するべく夫は完全犯罪を目論むのだが事態は誰も予期せぬ方向へと転がって行く・・・。よく考えると結構穴だらけなのだが、家の中だけを舞台にしつつ緊迫感を持続させる展開で一気に魅せる。ヒッチコックの代表作の一つ。
太陽の帝国 1987 米 スティーブン・スピルバーグ ★★★ 1941年、日中戦争のあおりを受けて混沌に落ちた上海で、両親をはぐれてしまったイギリス人少年ジェイミーは、必死に生き抜こうとする中、日本軍に捉えられ捕虜収容所に送り込まれる。軍国主義時代の日本にシンパシーを感じている英国人少年の冒険譚という時点で、一般受けしないことは想像に難くないが、金持ちのボンボン息子が突如として身一つで異世界に放り出されるという19世紀文学のような雰囲気を、第二次世界大戦下の上海を始めとした混沌とした世界観で描いた序盤はまさに傑作。視点を偏らせることなく、人間の浅ましさと尊厳をストレートに描いた姿勢も良い。
大理石の男 1976 ポーランド アンジェイ・ワイダ ★★★☆ 社会主義のプロパガンダに人生を左右された男マテウシ・ビルクートの悲劇。若者が過去を追うというミステリー仕掛け&セミ・ドキュメンタリー風の演出が回想ドラマに結びついていく展開が見事。
ダ・ヴィンチ・コード 2006 米 ロン・ハワード ★★ 講演会のためパリを訪れていたハーヴァード大学教授のラングドンは、ルーブル美術館で起きた殺人事件に巻き込まれ、キリスト教のタブーという真実に触れていくこととなる。小さなコミュニティーのような狭い人間関係の中だけで忙しく展開される話とアナあり過ぎの設定が作家側に都合が良過ぎて今2つだが、”インディ・ジョーンズ”シリーズにも似た”ホラ”としての謎解き歴史サスペンスの面白さは堪能できた。
ダウン・イン・ザ・バレー 2005 米 デイヴィッド・ジェイコブソン ★★☆ いまどき孤独なカウボーイを気取った男とちょっとアーパーで大胆な女子高校生の不思議な関係。序盤のアンニュイな隠れた傑作的雰囲気が良いが終盤にぶっ飛びすぎる。エヴァン・レイチェル・ウッドが魅力的。
たそがれ清兵衛 2002 日 山田洋二 ★★ 幕末時代の庄内地方は海坂藩、労咳で死んだ妻の薬代や葬儀などで嵩んだ借金に、重度の痴呆症を抱える老母と幼い二人の娘を抱えながら藩の御蔵役を務めていた井口清兵衛の苦難の後半生を描く。何かが特別に優れているというわけではないが、サラリーマンとしての侍の悲哀に恋物語を交えるという藤沢周平原作特有の物語の良さは引き出せている。
戦う幌馬車 1967 米 バート・ケネディ ★★ ピアースに濡れ衣を着せられて刑務所に収監されていたトウ・ジャクソンは、仮出獄を許されると、悪友の早撃ちガンマン・ローマックス、飲んだくれの爆破師ビリーに、インディアン系ガンマンのリーバイを仲間とし、さらにはインディアンまで味方につけて、ピアースの金塊を運ぶ走行幌馬車を襲撃しようと動き始めるのだった。ジョン・ウェインが主役なので、復讐劇とはいっても爽快さのある娯楽西部劇に仕上がっている。今にも裏切りそうな雰囲気を湛えたローマックスや、酒で破滅しそうなビリー、に信頼できそうもないインディアンなど、ハラハラさせる要素のおかげで最後まで退屈せずに見られた。
Wの悲劇 1984 日 澤井信一郎 ★★☆ 舞台劇”Wの悲劇”での役を獲得すべくスター女優の汚点を肩代わりすることになった静香を通して演劇界の裏側を描く綺麗事を排した内容と、映画内演劇・舞台劇を生かした作りでなかなか魅せてくれる。
ダメージ 1992 仏・英 ルイ・マル ★★☆ 政治家としても家庭人としても完璧とさえいえる幸せな生活を送っていた英国人のフレミングは、息子の恋人アンナと一目で恋に落ち、人目を忍びつつ逢瀬を楽しむようになっていく。理屈ではわからない愛なので感情移入はしにくいが、端正な映像美とともに淡々と描かれていく人生の転落には引き込まれるものがあった。ラストシーンには色々と考えさせられた。
誰にでも秘密がある 2004 韓 チャン・ヒョンス ★☆ 夫とは早くも倦怠期に入っている長女、恋愛経験すら殆どないガリ勉の次女、自由恋愛に生きようとしている先進的な三女、がみな一人の魅力的な男に恋をしてしまう。ありえねーけど観てみたいTVドラマ風の題材に、奔放な性ネタを取り入れて、大人向けのラブコメにまとめているところはまずまずだが、時間軸をずらす手法はともかくとして、似通った内容が続くので味気に乏しいのと、中年以上の女性観客限定?の思わせぶりなラスト(オチ)が頂けなかった。
タワーリング・インフェルノ 1974 米 ジョン・ギラーミン ★★ 最新鋭の超高層ビルで手抜き工事を原因とする大火事が発生し、二人の男が取り残された人々を救出すべく奮闘する。パニック映画中興の祖であるが、災害を大仰に描くことに終始している分人間ドラマが希薄である。
丹下左膳余話 百萬両の壺 1935 日 山中貞雄 ★★★ 柳生家の次男・源三郎は婿入りの引き出物として兄から贈られた古い臭い壺をくず屋に売り払ってしまうのだが、実は壺には100万両の隠し財宝のありかが記されていたのだった。ワンカットの映像の面白さ、セリフの切れのよさ、編集の良さなど、只者ではない出来。この時代にお茶目なヒーローを描くという先進性も凄い。製作年代の古さを感じずに楽しませてもらった。
チで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
チェチェンへ アレクサンドラの旅 2007 露 アレクサンドル・ソクーロフ ★★☆ 小戦闘の絶えない前線に赴任中の孫を祖母が慰問に訪れる。やや色の抜けた抒情美で駐屯地とその近辺の様子を淡々と描いているだけなのに、空気には戦闘や死の匂いがまとわりつき、一兵卒や現地民との何気ないやり取りが胸に染みいる。
チザム 1970 米 アンドリュー・V・マクラグレン ★☆ 19世紀のニューメキシコ、牧畜王国の主として君臨するチザムは、町を狙うマーフィーー、お尋ね者ビリー・ザ・キッド、保安官パット・ギャレットらとともにリンカーン群の戦いに巻き込まれていく。本来は陰惨であったであろう西部劇の史実を、豪奢な登場人物たちによる娯楽絵巻に変換しているので、見やすさとフィクション臭さが混在している。
地下水道 1957 ポーランド アンジェイ・ワイダ ★★★★ 第二次世界大戦下、ナチス・ドイツに対するワルシャワ蜂起の果てに待ち受けていたものとは? 大局を描かない低い視点からの冷徹な視線が圧倒的な緊迫感を生み出している。
父、帰る 2003 露 アンドレイ・ズビャギンツェフ ★★☆ 母子家庭の兄弟のもとに12年ぶりに父が帰ってきて二人を旅に連れ出す。社会主義から資本主義へと一気に転換したロシア近代史を反映したかのような雰囲気と綺麗な映像が印象的だった。
父と暮らせば 2004 日本 黒木和雄 ★★☆ 井上ひさしの同名舞台劇の映画版。広島への原爆投下でただ一人生き残った女性は心の中にある今は亡き父との対話で凍った心を溶かしていく。舞台劇の質素さを生かした素朴な作風に好感が持てる静かな鎮魂のうた。
血と怒りの河 1968 米 シルビオ・ナリッツァーノ ★★ 19世紀のメキシコ、白人として生まれながらでメキシコ人として育てられたブルーは、育て親のオルテガとその息子4人などとともにテキサスに北上し、盗賊として生きざるを得なくなるのだが・・・。冒頭から青年になってしまっているせいか、義父オルテガ以外の義兄弟たちとの関係が希薄に思えて今一つのめり込めなかった。ただ、美しい映像と激しすぎる愛憎の物語はなかなかのもの。
チャイニーズ・ゴースト・ストーリー 1987 香港 程小東(チン・シウトン) ★★★ 旅の若者ニンが荒れ果てた蘭若寺で美しい女の幽霊シウシンと出会い恋に落ちる。コミカル・ワイヤーアクション・ホラー・切ないラブ・ストーリーが盛り込まれた贅沢な一作。
チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2 1990 香港 程小東(チン・シウトン) ★★☆ 旅を続ける青年ニンは、シウシンに瓜二つな女に出会う。行き当たりばったりな展開だが、前作の雰囲気を引き継いでいる続編。
チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3 1991 香港 程小東(チン・シウトン) ★★☆ 正当な続編であろうとなかろうと、さすがに3作目ともなれば飽きてくるのだが、アクションとSFXの派手さなどこれはこれで楽しめた。
チャップリンのゴルフ狂時代 1921 米 チャールズ・チャップリン ★★☆ ベタだがチャップリンらしい笑いでいっぱいのドタバタ・コメディー。
血槍富士 1955 日 内田吐夢 ★★☆ 酒を飲むと人格が変わる主人と酒飲みのお供・源太とともに旅をする槍持ち権八の旅を、様々な庶民の人々の姿を交えながら描いた和風ロードムービー。人情に熱いがどこか冴えない点が何とも言えない魅力を醸し出している主人公・権八、道中の道連れとなる人々の立ったキャラといい、のんびりとした展開が返って人情劇としての効果を増している上出来の時代劇。
チャンス 1979 米 ハル・アシュビー ★★☆ 数十年間仕えた家の主人が亡くなり、初めて外界に出ることになた初老の男チャンスは、その純真無垢な言動で政財界の大物に気に入られていく。作品の本質にあるのは風刺なのだろうが、静謐としたタッチの描き方のせいか、不思議な雰囲気の作品に仕上がっている。怪優ピーター・セラーズ最晩年の代表作としても高名。
蝶の舌 1999 スペイン ホセ・ルイス・クエルダ ★★ 老年のグレゴリオ先生と少年モンチョを軸に内戦前を生きる人々の姿を描く。スペイン内戦の傷を訴えるラストが売りの割には、過程が散漫でありきたりな児童青春物に終始している。
ツで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ツォツィ 2005 南アフリカ・英 ギャビン・フッド ★★ 気の迷いで赤ん坊を拾い上げてしまった不良青年ツォツィの心の更生。ベタながらも世界最凶の犯罪都市ヨハネスブルクが舞台というのが独特の味わいを醸し出している。
月蒼くして 1953 米 オットー・プレミンジャー ★★ エンパイア・ステート・ビルの展望台で出会った新進気鋭の建築家ドンと無邪気な若い娘パティが出会い恋に落ちるのだが、ドンに思いを寄せるシンシアとその父デイヴィッドの登場で収拾困難な騒動が繰り広げられることに・・・。内容的にどうということはないが、細かな会話の妙で見せようとする古風なラブコメ。
椿三十郎 1962 日 黒澤明 ★★★ とある藩の内紛に義憤を感じて立ち上がった知恵も腕も頼りない若侍たちに、お人よしだがすご腕の浪人・三十郎が助太刀する。コミカルな遊びを随所に取り入れた脚本の完成度の高さに脱帽。黒澤映画中最も純度の高い娯楽作品なので初心者でも楽しめるだろう。
椿三十郎 2007 日 森田芳光 ★★☆ 黒澤明の同名作の脚本をそのまま使ったリメイク。オリジナルの脚本の出来映えが素晴らしいので普通に楽しめた。ただ、やはり”三十郎”は最初から三船敏郎が念頭に置かれているので他の役者が同等に演じるのは無理だと感じた。完コピ路線なのに衝撃のラストを無難過ぎるシーンに変更してしまったのも今一つ。
妻のこころ 1956 日 成瀬巳喜男 ★★☆ 家庭と自分のために奮闘する妻とその夫のすれ違いを描く。文字通り庶民の「妻のこころ」がよく描けている。
テで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
出逢い 1979 米 シドニー・ポラック ★☆ ロデオ界のスーパースターだったサニーは、今や企業の広告塔として酒びたりの毎日を送っていたが、ある日再会した薬漬けにされているかつての名馬ライジング・スターの境遇をとともに逃走する。自分らしさと商業主義をネタにしたヒューマン・ドラマであるが、いかんせんベタ&のんびりし過ぎていた。
Dear フランキー 2004 英 ショーナ・オーバック ★★ 母が書き続ける嘘の手紙に少年フランキーはまだ見ぬ父への思いを募らせていく。地味ながらも心が温かくなる内容。
デイズ・オブ・グローリー 2006 仏・アルジェリア・ベルギー・モロッコ ラシッド・ブシャール ★☆ 第二次世界大戦下の1943年、宗主国フランスに徴収された北アフリカの植民地兵たちは、公平を謡う軍の言葉を信じて戦いに挑むのだが……。史実をもとに植民地問題や人種差別を訴えるという姿勢は買いたいが、いかんせん映像手法等の作りがベタ過ぎるので新鮮味を感じられなかった。
ディボース・ショウ 2003 米 ジョエル・コーエン ★★★ 離婚専門の凄腕弁護士マッシーと、離婚による財産狙いの美女マリリンの危険な恋と金と陰謀の駆け引きをユーモラスに描く。冒頭のサイド・エピソードでぐっと心を鷲掴みにして、その後はタイトル通りの”離婚劇”を堪能させてくれる。コーエン兄弟の作品の中では最もコメディ色が強いのだが、もともとの不可思議な作風の中にある笑いの要素をうまく生かしている。中盤までの展開が出色の出来。
D.O.A. 1988 米 ロッキー・モートン/アナベル・ジャンケル 教え子の転落死事件に関連すると思われる何者かに毒を盛られ、余命24〜48時間を告げられた元売れっ子作家兼大学教授のコーネルは、愛らしい女子大生シドニーを無理やり巻き込んで犯人を追う。物語が動き出すまでがちんたらとしている上に、毒でいつ死んでもおかしくないというスリリングさを活かせていない三文ハードボイルド。オチもしょうもなく楽しめる要素がなかった。
デート・ウィズ・ドリュー 2004 米 ブライアン・ハーズリンガー ★★ 名子役から大人の女優になったドリュー・バリモアとデートするために奮闘する男の姿を追ったドキュメンタリー。30日以内で予算1,100ドルという制限がこのアポなし突撃にゲーム性という刺激を与えている。
テキーラ・サンザイス 1988 米 ロバート・タウン 麻薬の仲買人としての生活から抜けたいと考えているマックと彼の身辺を旧友の警察官ニックが捜査することになる。暗く重いはずのテーマなのに緊迫感の伝わってこない内容にがっかり。物語もつまらないし、他人の人生の腐敗を食い物にする麻薬ビジネスにかかわった人間が、あっさりハッピーエンドって、自己責任が原則のアメリカ映画ならではのオチだと思った。
鉄コン筋クリート 2006 日 マイケル・アリアス ★★☆ 義理と人情とヤクザに彩られた架空の町”宝町”で、きな臭い”子供の城”建設プロジェクトが立ちあげられ、街を影で牛耳る二人の少年にも危機が迫っていく。気取り過ぎの物語とぶっ飛びすぎの終盤はイマイチだったが、古き良き昭和+αな雰囲気をアニメの良さを生かして表現した映像は必見。
鉄道員 1956 伊 ピエトロ・ジェルミ ★★☆ 第二次世界大戦後のイタリア、娘の流産を機に不幸に襲われ続けるようになった初老の鉄道機関士アンドレアとその一家の生き様を幼い末息子の視点から描く。ネオ・レアリズモの代表作の一つだけあって、当時の庶民の生活模様が息づいたヒューマンドラマとしての風格を兼ね備えている。
天国の青い蝶 2004 カナダ・英 レア・プール ★★ 脳腫瘍で余命わずかと宣告された10歳の少年ピートは、彼の熱意にほだされた昆虫学者アランとともに、神秘的なまでに美しい蝶・ブルーモルフォを捕えに南米アマゾンまで行くこととなる。実話をもとにした典型的なお涙頂戴物語かと思いきや、中盤までは意外とリアルな感じで見られた。肝心のブルーモルフォ登場以降がCG頼みのファンタジーになってしまったのが惜しまれるところ。
天上草原 2002 中(内蒙) サイフ ★★ 失語症になってしまった中国人の少年がモンゴルの美しい草原で癒されていく。物語は定番過ぎて面白みがないがだが景色が美しい。
トで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
トゥームストーン 1993 米 ジョージ・P・コスマトス ★★☆ 伝説の保安官ワイアット・アープとその兄弟&有人ドク・ホリデーを軸にOK牧場以後のドロ沼の戦いに焦点を当てた西部劇。廃れて久しいジャンルにスポットを当て、目立って新しくもないものの、古びた作品の単なる焼き直しに終わらせなかった手腕のおかげでなかなか楽しめた。
TOMORROW/明日 1988 日 黒木和雄 ★★ 長崎に原爆が投下される前日の庶民の生活を淡々と描く。良いことも悪いこともすべてありように描くことで、人の営みを一瞬にして消失させた原爆のむごさを静かに訴えかけてくる。
東海道四谷怪談 1959 日 中川信夫 ★★☆ 鶴屋南北版のお岩さんの話。怪奇ドロドロものかと思いきや、意外にも普通の時代劇として楽しめた。
東京オリンピック 1965 日 市川崑 ★★ 1964年に開催された東京オリンピックを題材にしつつも人間の内面まで踏み込んでいくドキュメンタリーの大作。市川崑監督の代表作の一つと言えるのだろうが、後の時代に見るには長尺過ぎるか。
透明人間 1992 米 ジョン・カーペンター ★★☆ 事故で透明人間になってしまった男の悲喜劇。透明になってしまったからこそできることをしっかりと描いて観る者を満足させつつ、リアルで、コミカルで、スリルもあるというB級娯楽映画の王道的作品。
動乱 1980 日 森谷司郎 戦前昭和史の一大転換点起点となった五・一五事件から二・二六事件までの文字通り”動乱”の時代を、寡黙な将校とその妻となった女性の愛とともに描いた大河ドラマ。高倉健と吉永小百合という大スターが共演している時点で、骨太だが王道のドラマを歩かざるを得ない運命であったのか、羽目を外し切れない堅苦しいドラマに終始している。
10日間で男を上手にフル方法 2003 米 ドナルド・ペトリー ★☆ 硬派なテーマの記事を雑誌に載せるための交換条件として、10日間以内に男にフラれる体験記事を書くことになったアンディ。そんな彼女のターゲットとなった男ベンは、彼女を10日間後に落とせばビッグ・プロジェクトを任される賭けをしていた・・・。王道ラブコメの楽しさの一つにありえない設定が必要だとすれば十分すぎるほど条件を満たしている。ベタながらもなかなか見せるが、惹かれあい始めた後の終盤がダラダラし過ぎていた。
トスカーナの休日 2003 米 オードリー・ウェルズ ★★ 離婚の傷を癒すためにトスカーナを一軒家を買ってしまったアメリカ人女性の話。イタリアの田舎町を舞台にしたのんびりした映画を作りたかったのだろう。
突破口! 1973 米 ドン・シーゲル ★★ 銀行強盗で期せずしてマフィアの裏金に手をつけてしまった男たちを襲う悲劇。妻が死んでも淡々としているところなどどことなく漂うアンニュイな雰囲気に味があるB級サスペンス。
トニー滝谷 2004 日 市川準 ★★★ 淡々とした朗読に乗せて送られるトニー滝谷の半生。しみじみ描かれる孤独と愛と喪失が胸に沁み入ってくる。坂本龍一の手によるシンプルで美しいピアノの音楽も良かった。
トプカピ 1964 米 ジュールス・ダッシン ★☆ 女盗賊エリザベスはイスタンブールのトプカピ王宮博物館で厳重な警戒下に置かれている宝剣を奪うべく、ユニークなメンバーを集めていくのだが・・・。これという印象の殆ど残らないコメディ・マンガのように能天気な娯楽活劇。
トラ・トラ・トラ! 1970 米・日 リチャード・O・フライシャー/舛田利雄/深作欣二 ★★ 1941年12月7日の真珠湾攻撃に至るまでの日米双方の緊迫の外交交渉や軍の動きを忠実に追った大作映画。時系列に沿って日米双方の色々な登場人物が出てくるだけであり、記録風映画としての資料的価値は高いものの、映画としては出来は凡庸。黒澤明を降板させずすべてを任せていいたらどうなっていたのだろうか。
とらばいゆ 2001 日 大谷健太郎 結婚以降スランプに陥った姉と、男をコロコロ変えるが好調という妹の、姉妹棋士が仕事(将棋)と愛の間で揺れる姿を描く。棋士という非映画的なユニークな題材をどのように昇華するのか期待していたが、だらだらとした日常会話ばかりだった。リアル系の雰囲気が好きな人にはいいだろうが、画の美しさもテンポもオリジナリティもないので、自分の鑑賞には耐えない。
トリコロールに燃えて 2004 米・英・スペイン・カナダ ジョン・ダイガン ★☆ 予言のトラウマにより快楽主義に堕ちていくステレオタイプの女の話。
努力しないで出世する方法 1967 米 デビッド・スウィフト ★★ 「努力しないで出世する方法」という本を購入した窓ふき係の青年フィンチが、本に書いてある内容を行動に実践して社内でのし上がっていく様を描いたブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。たった二日で重役候補になってしまったり、プライドのないおべっか使いと通りと虚飾にまみれた出世街道を何の悪びれもなく軽快に描いているのだがあまり笑えなかった。音楽は特に良くも悪くもなし。
ドレッサー 1983 英 ピーター・イエーツ ★★☆ 第二次世界大戦下のイギリス、シェイクスピア劇団の傲慢な老座長は思い出の劇場が爆撃されたショックで錯乱してしまい、彼を正気に戻して舞台に上げるべくオカマの付き人が奮闘する。作中の大半のシーンが、舞台前の楽屋で気難しい座長と、何とか座長を操縦しようとする付き人の掛け合いなのだが、人生の可笑しさと悲しさが凝縮しているかのようで魅入られた。
泥だらけの純情 1963 日 中平康 ★★★☆ チンピラと外交官令嬢の身分違いの純愛を描いた青春映画。無駄を省いた冒頭から、シンプルながらも力強い物語で魅せる。処女主演作「ガラスの中の少女」の焼き直しのような作品だが、本当に外交官令嬢だった吉永小百合の気品ある真性お嬢様ぶりがいい。
どろろ 2007 日 塩田明彦 ★☆ 手塚治虫原作。父が魔物に捧げてしまった体を取り戻すべく戦う百鬼丸とコソドロどろろの和風怪奇SF冒険の旅。実写と安っぽいゲームCGのコンボ。敵は死ぬときに大爆発するのがお約束(笑)。
敦煌 1988 日 佐藤純彌 ★★☆ 仏教史を大きく揺るがした敦煌は莫高窟の文化遺産発見を下敷きにして描かれた井上靖の同名原作の映画版。中国の話にもかかわらず、主要キャストがすべて日本人であるが、下手な吹替えよりは身が入るし何より物語が面白い。
ナで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ナイアガラ 1953 米 ヘンリー・ハサウェイ ★☆ 夫婦仲の冷え切った夫ジョージに対する殺意を抱いた妻ローズは、若い愛人にジョージを殺させようとするのだが、死体となって発見されたのは愛人のほうだった・・・。ヒッチコック映画のような筋書きだが、スリリングさとサスペンスさで本家には遠く及ばない出来だった。ナイアガラの滝という舞台設定を生かせていない。
長い散歩 2006 日 奥田瑛二 ★★★ 定年後に妻を亡くした松太郎は、家を娘に譲り質素なアパートに移り住むのだが、隣の部屋で母親とその愛人に虐待されている幼い娘を救い出して、あてにない旅に連れ出してしまう。暗い内容を暗いまま描いているため、やや感傷的に過ぎる印象こそ受けるものの、日本のありふれた風景の中にある美を切り取った画など見どころは多い。
渚にて 1959 米 スタンリー・クレイマー ★☆ 1964年に勃発した第3次世界大戦(核戦争)により、地球上の北半分は絶滅し死の灰が南半球にも迫る中、難を逃れた米原子力潜水艦ソードフィッシュがオーストラリアのメルボルンに入港する。音楽や映像の空気にこそ如実には現れていないものの、ハリウッド映画らしからぬ絶望的な背景が特色。もっともエピソードは淡々とした日常風のものが多く、直接的な核の被害も間接的な放射能の被害の本当の恐ろしさも描かれていない点が不満だった。
茄子 アンダルシアの夏 2003 日 高坂希太郎 ★★★☆ 自転車レーサーとして故郷アンダルシアに帰って来たペペであったが、レース当日がかつての想い人カルメンと兄との結婚式当日と被ってしまった上に、レース中に解雇通告まで受けてしまう……。哀愁を背負いながらも必死に今日を生きる男の生き様と、ロードレースらしい雰囲気とスリリングさで最後まで魅せてくれる。
茄子 スーツケースの渡り鳥 2007 日 高坂希太郎 ★★☆ 一流とは言えないながらもチームのエースとなったペペは不振にあえぐチョッチらとともに日本で行われたレースに参戦する。主役がチョッチに変わったことを除けば悩みを抱えたレーサーが自転車レースに挑むという構成は前作と変わらず。摩訶不思議なスーパースター・ザンコーニの謎の行動など、面白い要素はあるが、全体としてみるとまとまりきっておらず、前作ほどの感傷さは感じられなかった。相変わらず気合いが頼りのペペの活躍ぶりは楽しかった。
夏休みのレモネード 2001 米 ピート・ジョーンズ ★★ 1976年のシカゴ、キリスト教徒の少年ピートは、白血病に侵されているユダヤ教徒の少年オマリーを救い、自らが聖人となって天国へ行くために、オマリーをキリスト教に改宗させようと考える。宗派も環境も異なる二人の少年を通じて宗教の意義を静かに描く。地味だがなかなか見られる。
何がジェーンに起こったか? 1962 米 ロバート・アルドリッチ ★★ 一生を風靡した名子役ジェーンも大人になると魅力を失い、代わりに姉のブランチがスターとなったが、人気絶頂のさなか妹の運転する車に轢かれて下半身不随となってしまう。虚飾の世界に生きた姉妹の愛憎を描いた古典的スリラー・サスペンス。ベティ・デイビスの怪演から滲み出る雰囲気が「ミザリー」と「サンセット大通り」を彷彿とさせた。
浪花の恋の物語 1959 日 内田吐夢 ★★☆ 近松門左衛門原作。遊郭で出会った遊女・梅川と飛脚問屋の養子・忠兵衛は激しい恋に落ち、忠兵衛は梅川を身請けしようと人様のお金に手をつけてしまう。物語と同時進行で執筆を行う近松門左衛門が登場する設定が斬新。後は、のんびりした展開といい、端正な画作りといい、良くも悪くも古めかしさを感じるのだが、それで哀しさが薄れているわけではないので良しとしよう。
鉛の兵隊 1970 ソ連(露) レフ・ミリチン ★★★★☆ アンデルセン原作に基づく短編アニメ。鉛のスプーンを溶かして作られた25人の兵隊たちのうち、材料が足りなかったため唯一片足となってしまった孤独な兵隊は、ある夜時計の中から現れた美しい踊り子と恋に落ちる。無声映画・ミュージカル・バレエ・童話といった要素をミックスしながらも、ロシア革命やソ連(当時)の社会主義的圧制といった巨大な力やうねりに抗う人の哀しさや美しさの匂いが感じ取られる。全編に溢れている芸術センスの中でも、とりわけ音楽との調和が素晴らしく、何度見てもラストでは泣きそうになってしまう。わずか20分に過ぎないが、濃密な時間を過ごさせてくれる短編アニメの最高峰。
ナルニア国物語/第1章 ライオンと魔女 2005 米 アンドリュー・アダムソン ★☆ C・S・ルイス原作のファンタジー小説の映画化作品。第二次世界大戦下のロンドン、疎開のため田舎の古屋敷に預けられたベンジー家の4人兄妹は、衣装ダンスの奥から異世界に通じる入り口を見つける。ライオンのアスラン=キリストという象徴以外は寓話性に乏しく、都合よくいきなりサンタクロースが登場して助けてくれるなど全般的に子供だましの内容。
南極物語 1983 日 蔵原惟繕 ★★★ 昭和33年、南極にある昭和基地の第一次越冬隊員として15匹の犬と共に南極で過ごした潮田たちは、任務を終え観測船・宗谷へ収容されるが、悪天候のため犬たちを鎖につないだまま基地に取り残さざるを得なくなってしまう。タロ・ジロで高名な実話を下敷きにした作品。映像の雑さや特撮とわかってしまう映像などチープさは否めないが、想像力を駆使して描かれる“その後”の犬たちと、ひたすら後悔の念に耐え続ける高倉健の演技の対比で涙腺が刺激された。未知なる刺激と悲哀を同時に表現したヴァンゲリスの音楽も秀逸。
ニで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ニクソン 1995 米 オリバー・ストーン ★★ 史上に名高いウォーターゲート事件で辞任に追い込まれた米国大統領ニクソンの半生。相当の実力を有しながらもケネディの影に隠れ、野党に対する盗聴工作への関与というダーティな一面のみがクローズアップされがちなニクソンの内実を平静な視点から硬派に描ききっている。基本が政治ドラマなのでかなり地味。
20世紀少年 第1章 終わりの始まり 2008 日 堤幸彦 浦沢直樹の漫画が原作。冴えない大人となっていたケンヂとその幼馴染たちは、社会に巻き起こる事件が秘密基地ごっこを楽しんだ時代に遊びで書いた”よげんの書”にそっくりであることに気づく。自分は原作の空想を通り越した誇大妄想めいた世界観と過剰なノスタルジー感が好きでない上に、内容が原作マンガの上っ面をコピペして実写にした感じなので退屈だった。
20世紀少年 第2章 最後の希望 2008 日 堤幸彦 ★☆ 原作漫画の実写へのコピペ映画第2弾。”血の大晦日”の惨劇後、ケンヂとその仲間たちは事件のテロリストにされ、”ともだち”が世界の救世主として崇められていた。原作を読んでいた時と同様に、”ともだち”のカリスマ性の薄さと別に正体なんてどうでもいいのでは? という疑問がぶり返した。黒須役の小池栄子のキレぶりと、カンナ役の平愛梨の初々しさだけでもっていたようなもの。
2番目のキス 2005 米 ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー ★☆ キャリアウーマンの美人であるリンジーは、ユーモアと優しさを併せ持った教師ベンと出会いに交際を始めるのだが、実は彼はボストン・レッドソックスの熱狂的ファンで、何よりも野球が大切な男だった。趣味と愛(仕事と愛)、100年近くにわたる”バンボーノの呪い”を打破したレッドソックスの物語、爽快なクライマックスなど、目の付けどころは悪くないのだが、いかんせんそれだけで2時間持たせるには厳しすぎた。
ニューオリンズ・トライアル 2003 米 ゲイリー・フレダー ★★ 16人が死傷したニューオーリンズの銃乱射事件から2年、犯行に使われた銃の製造と販売責任をめぐって、犠牲者の未亡人がベテラン弁護士ウェンドール・ローアとともに民事訴訟を起こすのだが・・・。判決を大金で売ろうとする陪審員に原告・被告双方の弁護士を絡めるという異色の法廷サスペンス。銃というアメリカの社会問題を題材にしつつも内容はお手軽な路線の娯楽映画。
ニュー・シネマ・パラダイス 1989 伊・仏 ジュゼッペ・トルナトーレ ★★☆ イタリアを代表する映画監督トトの元に少年時代に父代わりを務めたアルフレードの訃報が届き、故郷シチリアでの少年時代の思い出が蘇っていく。古き良き映画に対する愛情たっぷりの展開で魅せてくれるが、青年に成長してからが一気に展開されていくため終盤が唐突過ぎるように感じた……と思ったら1時間近い時間をカットしていたということで妙に納得した覚えがある。モリコーネ親子による甘いテーマ音楽でも高名。
ニュー・シネマ・パラダイス 完全版 1989 伊・仏 ジュゼッペ・トルナトーレ ★★★★ イタリアを代表する名監督となったトトの元に少年時代に父代わりを務めたアルフレードの訃報が届き、故郷シチリアでの少年時代と青年時代の鮮烈な恋の思い出が蘇っていく。完全版では永遠の愛がどういうことなのかを素晴らしい方法で示している。カーセックスのシーンが切なすぎて泣けた。これでもかとしつこく繰り返されるノスタルジックなテーマ曲の使いどころを絞ってくれればもっと良かったが、完全版でなければあのラストシーンの持つ意味合いが半減以下になってしまう。観るなら断然こっち。
ニューヨーク、ニューヨーク 1977 米 マーティン・スコセッシ ★★ 第二次世界大戦終了後のニューヨーク、サックスプレイヤーのジミーは、歌手フランシーヌと出会い恋に落ちるが、フランシーヌが売れていくのに対して、ジミーはいつまで経っても冴えないままだった。ときおり印象的なシーンはあるものの全体的に陳腐な三文芝居という感は否めない。ジャズ系のムーディな音楽が満載で、ライザ・ミネリの歌声が聴けるところが一番の見どころ(聴きどころ)か。
乳泉村の子 1991 中 謝晋(シェ・チン) ★★☆ 中国残留孤児がやがて僧侶となって故国日本を訪れる。敵国日本人の子供を育てていく中国人たちとその庶民の生活ぶりが感慨深かった。ボロボロの靴裏ですべてを悟るシーンで感涙。戦争が起きると不幸になるのはいつも庶民ということだ。
忍者武芸帳 1967 日 大島渚 ★★★ 室町末期の軍雄割拠時代、裏切りにより非業の死を遂げた父の仇討ちを目指す結城重太郎の前に謎の忍者・影丸が現れる。白土三平の原作漫画の一部をそのまま用いてモンタージュで再構成し、音入れをしただけというシンプル極まりない作品だが、映画のフレームに切り取られた画の秀逸さ、スケールが大きく暗示的な物語と、これが実に面白く引き込まれた。映画におけるモンタージュの力を再認識させられた。
ヌで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ネで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ネバーランド 2004 米・英 マーク・フォスター ★★ 児童文学の名作「ピーターパン」誕生秘話として描かれるフィクション。フィクション・ドラマとしてはよくまとめているが、実話であるとか、ピーターパンの持つファンタジー性という特色を除いてしまうと凡庸。
眠る男 1996 日 小栗康平 ★★★★☆ 眠っているだけの男を取り巻く小さな田舎町の人々のちっぽけな物語をコラージュのように紡ぎ合わせながら最後にはひとつの終着点へと導いていく。山間の日本の田園風景をみずみずしく切り取った数々の画が素晴らしすぎる。個性豊かな作風の小栗監督が、黒澤・溝口・小津といった日本映画黄金期を作り出した巨匠たちの系譜に連なる名匠に間違いないと確信させられた。特に何かが起こっているわけでもないのに心を揺さぶられるシーンが満載の大傑作。
ノで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
NOEL ノエル 2004 米 チャズ・パルミンテリ ★☆ クリスマス・イブの夜、様々な事情で孤独や悩みを抱えて生きる人たちに起こるささやかな奇跡を描いたハートウォーミング・ストーリー。典型的な群像劇&クリスマス劇で予定調和以上のものは起こらない。
ノーマ・レイ 1979 米 マーティン・リット ★★☆ 素行に問題だらけの上に父親違いの2児の子を持つノーマ・レイは、劣悪な環境下の紡績工場で働いていたが、やがて労働組合から派遣されてきた活動家ルーベンと出会い、待遇改善のために立ち上がることとなる。奔放で情動的なノーマの行動には考えさせられるものがあり、私生活のパートナー・ソニーと活動のパートナー・ルーベンとの間で微妙に揺れ動く三角関係の切なさも良かった。サリー・フィールド演じるノーマの存在感が素晴らしく、アカデミー主演女優賞受賞にも納得の出来。
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 1997 独 トーマス・ヤーン ★★ 余命わずかを宣告された二人の男が病室で知り合い、死ぬ前に海を見に行くためだけに強盗をおかしつつ快走する。二人組のやっていることは周囲に迷惑を撒き散らしているだけなのだが、いつ死ぬかもしれない身という設定なのであえて突っ込まずに、コミカルなタッチの逃走劇にひたるべきだろう。ベタながらもなかなかの味わい。
野ばら 1957 西独 マックス・ノイフェルト ★☆ ハンガリー動乱を逃れ、愛犬フロッキとともにオーストリアにやって来た孤児のトーニ少年は、親切なブリュメル老人に引き取られ、やがて音楽の才能を認められてウィーン少年合唱団に入団することとなる。平和な時代の平凡な物語。少年合唱が好きな人か、のどかな雰囲気が好きな人でない限り、相当かったるく感じることだろう。
ハで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ハート・オブ・ウーマン 2000 米 ナンシー・メイヤーズ ★★☆ 水商売の母に男を仕込まれたがゆえに半端ないプレイ・ボーイになってしまったニックは恋に仕事に充実していたが、ある日突然不思議な能力を授かり、女性の心が読めるようになって慌てふためくことに・・・。大人のためのハートウォーミングなラブコメで、ネタ自体はベタであるが、使い方が上手いので、細かいエピソードの積み重ねと、しっかりとした起承転結に魅入られていた。
ハード・キャンディ 2005 米 デヴィッド・スレイド ★★☆ 出会い系サイトで知り合った14歳の少女ヘイリーを自宅に連れ込んだ32歳のカメラマン・ジェフであったが、怪しいスクリュードライバーを飲まされて意識を失い、気がつけば椅子に縛り付けられている自分に気づくのだった。内容は荒唐無稽もいいところだが、冒頭から思わせぶりな展開とセリフ回しでヘイリーの魂胆を感じさせるのと、実質二人劇で続いていく「赤ずきん・狼を狩る(狼・隙あらば反撃に出る)」的な展開がなかなか面白く引き込まれた。
ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場 1986 米 クリント・イーストウッド ★☆ 朝鮮戦争でもベトナム戦争でも輝かしい軍功を立てるも、戦闘にしか生きがいを見いだせていない老年の砲術軍曹トム・ハイウェイは、念願かなって第二海兵隊偵察小隊に再役し、軟弱な若年兵たちを率いることとなる。主演を兼ねるイーストウッドの渋い魅力は良いが、話の安易さやテーマの薄さが今二つ。「スペースカウボーイ」ほどではないが、どうも熱血系イーストウッド作品は肌に合わないようだ。
灰とダイヤモンド 1958 ポーランド アンジェイ・ワイダ ★★★ 第二次世界大戦後のポーランドで反共テロリストとして生きる青年の苦悩。共産主義国家となっていくポーランド全体の情勢を体現しているかのよう。終盤がインパクト大。
ハイ・フィデリティ 2000 米 スティーヴン・フリアーズ ★★ 同棲中の恋人ローラに突然出ていかれてしまった中古レコードショップ店長ロブは過去の失恋トップ5を思い出し昔の恋人たちに会うことを思いつく。物語はどうということはないが、ちょっとマニアックな音楽の小ネタにはにんまりできる。
バガー・ヴァンスの伝説 2000 米 ロバート・レッドフォード ★★ 戦争によって傷つき自らを見失ってしまった元天才ゴルファーのジョナの前に、バガー・ヴァンスと名乗る謎めいたキャディーが現れ、二人はスター・ゴルファー、ボビー・ジョーンズ、ウィルター・ヘーゲンとのスペシャル・マッチに挑むこととなる。冒頭と最後が最晩年のジャック・レモンだったのと、ボビー・ジョーンズの神話っぽい存在感が印象に残ったが・・・説明調の始まり方・ベタな展開・綺麗過ぎるラスト、と全体的にやや物足りなかった。
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを往く者 2005 日 水島精二 ★★ 荒川弘の人気コミックのTV版の延長にある作品。錬金術という名の魔法世界を生き抜いたエルリック兄弟が、こっちの世界にやってくる。原作特有のダークな世界観が薄れていた。
ハーフ・ア・チャンス 1998 仏 パトリス・ルコント ★☆ 自分の娘かもしれない美女と初老の男二人がドタバタするアクション・コメディ。老優アラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドの最後の共演作品という点が最大のセールス・ポイント。
パープル・レイン 1984 米 アルバート・マグノーリ ★★ ミュージシャン・プリンス主演による半自伝的映画。数々のPVにちゃちなドラマがくっついた内容だが、1980年代を思い出せて楽しかった。
伯爵夫人 1967 英・米 チャールズ・チャップリン ★★☆ チャップリンの遺作にして唯一のカラー作品。第二次世界大戦後の東洋航路上の豪華客船を舞台に、離婚協議中の某国特命大使オグデンと、密航亡命中のロシア人貴族ナターシャの恋を描く。物語は相当かったるいが終盤にオクデン夫人が出てくると急に引き締まって面白くなる。上品なロマンチック・コメディ路線が、ときおり突如としてチャップリン流ドタバタに切り替わる一瞬をマーロン・ブランドで見られるというミスマッチぶりが笑えた。
白痴 1951 日 黒澤明 ★★★★ ドストエフスキー原作。戦争で頭のおかしくなってしまった純朴な青年と彼を取り巻く人々のドラマを北海道に舞台を移して描く。日本人になっても違和感のない各登場人物に、名優・森雅之を始めとする俳優陣がはまっている。短縮版でない完全版を見たかった。
バタフライ・エフェクト 2004 米 エリック・ブレス/J・マッキー・グルーバー ★★★☆ 日記を読み返すことで過去の転機をやり直せる不思議な能力を身に付けたエヴァンは人生の悔いを修復しようと試みるのだが・・・。無茶な能力など強引な要素が多いし、序盤はキレも今一つなのだが、冒頭の謎めいたシーンで興味を持続させ、中盤以降の怒涛の展開で一気に魅せる。B級映画の醍醐味満載の快作。
8 1/2 1963 伊・仏 フェデリコ・フェリーニ ★★★ スランプに陥った映画監督の苦悩を夢や幻想を混在させながら描く。フェリーニがもっとも”らしさ”を発揮し始めた記念碑的作品だが、自らの特異な作風をわざわざ主人公に自己弁護させてしまうあたりがやや前時代的。
ハッカビーズ 2004 米 デビッド・O・ラッセル ★★☆ 一人の人間を徹底的に調査し問題を分析して危機から救うという探偵に最近気になっていた”偶然”の謎を解明してもらった青年活動家アルバートであったが、敵対するスーパーマーケット・ハッカビーズのエリート社員へのしっとなど悩みは深まるばかりであった。アメリカ人の作った映画らしくない?内省的でブラックな大人向けコメディ。分析医以外の主要登場人物がみんな鬱状態に陥ってしまうなど、意外な面白さがあった。
初春狸御殿 1959 日 木村恵吾 ★★ 人に化けた狸たちの一騒動。オールセット美が目に楽しい豪華絢爛な和製コメディ・ミュージカル。深く考えないで楽しむべき内容。
蜂の旅人 1986 ギリシャ・仏・伊 テオ・アンゲロプロス ★★★ 養蜂トラックとともに人生最後の旅に出かける初老の男は気ままにふるまう若い女に出会う。アンゲロプロスらしい抒情美溢れる画と、ある意味にアンゲロプロスらしからぬシンプルな寓話的要素がいい。
ハチミツとクローバー 2006 日 高田雅博 美大生たちの青春恋愛映画。原作は少女漫画だそうだが、金儲け目的以外に実写で映画化する意味を感じなかった。
初恋の来た道 1999 中国 張 芸謀(チャン・イーモウ) ★★☆ 父の死をきっかけに私は、教師としてある村を訪れた父と村一番の美女であった母との若き日々の大恋愛に思いを馳せていく。直球すぎる物語の陳腐さを、鮮やかな色彩を生かした画作り、四季の風景美で覆い隠した佳品。
バティニョールおじさん 2002 仏 ジェラール・ジュニョー ★★ なし崩し的にユダヤ人少年を助けることになるフランス人おじさん、という設定のみ可だが後はありきたり。
波止場 1954 米 エリア・カザン ★★☆ ニューヨークのとある波止場を支配するギャング、ジョニー一派の横暴の中、子分の一人であったテリーは、心ある神父バリーや自らも殺害に関与した知人の妹イディとの出会いの中で正義に目覚め、やがて一人ジョニー一派に立ち向かっていく。実話を下敷きとしつつも、実にわかりやすい脚色化のせいか、王道を行くヒューマン・フィクション・ドラマに仕上がっている。
バファロー大隊 1960 米 ジョン・フォード ★★☆ 合衆国第9騎兵隊のタブニ―少佐とその娘が殺害され、容疑者となった黒人のラトレッジ軍曹の罪に問う法廷が開かれる。フォード監督お得意のインディアン&西部劇ものであるが、密室劇風サスペンスを回想形式で描くことで少しづつネタ明かししていく手法により興味を惹きつけ続ける。サスペンスとして見た場合は展開がやや安易な気もするが、製作当時を思えば人種差別を問うヒューマニックな内容には感心することしきりであった。
パニック・ルーム 2002 米 デヴィッド・フィンチャー 密室劇の設定を心理戦に昇華させることなくドタバタ劇に終始する平民対強盗の戦い。
母たちの村 2004 仏・セネガル ウスマン・センベーヌ ★★ ”割礼”存続派と反対派に割れる西アフリカのある村を舞台に人間の尊厳を描く。物語はチンタラしている印象だが、原色鮮やかなアフリカの風景がキレイ。
母と娘 2000 フィリピン ロリー・B・キントス ★★ フィリピンの出稼ぎ事情を反映した母娘の葛藤。フィリピンの世情が反映されているのだろうが普通に安易なホームドラ マ風。
母のいる場所 2003 日 槙坪夛鶴子 ★★ 老いた両親とチック症の息子に悩まされているシングルマザーが、「NOを言わない」ことを方針とするユニークな老人ホームで再生していく。老いや家族を真剣に考えさせる内容だが、作りに遊びや余裕がないので肩が凝る。
バベル 2006 米・仏・メキシコ アレハンドロ・イニャリトゥ ★★★ 悪意のない一発の銃弾から紡ぎだされる異なる言語世界に生きる人々の相容れない物語。やや中だるみはあるものの、壮大な群像劇の果てに、誤解と寛容について深く考えさせられた。
バヤヤ 1950 チェコスロバキア イジー・トルンカ ★★★ 身分を隠して騎士となった貧しい青年は、国を脅かすドラゴンたちを打ち倒して姫を救い出すが、自らの素姓の問題から、姫が本当の自分を見てくれないという愛のジレンマにおちいる。動く絵本のような美しくも良い意味で古びた画が秀逸。多くを語らない構成により観る者の目と耳も楽しませてくれる人形アニメの秀作。
バラ色の選択 1993 米 バリー・ソネンフェルド ★☆ マンハッタンの一流ホテルで接客係を務めるダグは、自分のホテルを持つという計画の出資者クリスチャンを見つけるのだが、その愛人はダグの想い人だった。夢か愛かの選択に悩まされるホテルマンの話であるが、普通にハッピーエンドになってしまうあたり、グダグダになった「アパートの鍵貸します」みたいな感じ。
パラドールにかかる月 1988 米 ポール・マザースキー ★★★ 中南米の島にあるなぜか英語圏のパラドールを訪れた売れない俳優ジャック・ノアは、政権交代を恐れる秘密警察長官ロベルトたちに陰謀によって、心臓発作で突然死んでしまった独裁者シムスの影武者として駆り出されることになるのだった。基本設定はありがちだが、替え玉とわかっても自分に都合が悪いので見て見ぬふりをする人々に、役者としての物語と政治と恋物語を絡めた構成が上手い上質のコメディ。チャップリンの”独裁者”を意識したシーンにも表れているとおり、確信犯で作られたマザースキー版”独裁者”。
ハリーとトント 1974 米 ポール・マザースキー ★★★★☆ 取り壊しにより古アパートを追い出されてしまった一人暮らしの老人ハリーは愛描トントを引き連れて全米各地にいる子供たちを訪れていく。「老人と猫」が全米を旅して様々な人と出会う下りを、現実のシビアな厳しさと人間誰しもが持ちうる温かさを介して描き出した珠玉のロードムービー。偏屈でやかましいながらも憎めないハリー、ときにハリーの分身ともなるトントの魅力に、シンプルで使いどころを心得た音楽もグッド。「人生の映画」になりうる一作。DVD化希望。
バリー・リンドン 1975 英・独・仏 スタンリー・キューブリック ★★★☆ アイルランドの田舎青年バリーの貴族への成り上がり物語。徹底的に中世美にこだわり抜かれた目で楽しむ作品。ろうそくの灯だけを照明にした夜間シーンにおける独特の映像美が必見。
パリは燃えているか 1966 仏・英 ルネ・クレマン ★★★ 1944年のナチスドイツ軍占領下のパリ、連合軍のノルマンディー上陸に勇気を得たレジスタンス各派は結束し、パリ解放へと立ち上がる。豪華キャストにパリでのロケと記録映像を組み合わせた史実劇風娯楽映画。市街戦のシーンがやや長尺に過ぎる気もするが、フランスが国威をかけて作ったに違いない内容には大いに満足できた。一度は見ておくべき作品。
ハロー ヘミングウェイ 1990 キューバ フェルナンド・ペレス ★★ お隣さんの文豪ヘミングウェイにシンパシーを感じる女学生を通して革命前夜のキューバ社会を描く。動乱前の情勢とアメリカに憧憬する感情を織り交ぜた作風がなかなかいい塩梅。
パン・タデウシュ物語 1999 ポーランド・仏 アンジェイ・ワイダ ★★★☆ 19世紀を舞台にポーランド(リトアニアを含む)に捧げられた叙事詩。ナポレオン進軍に伴い親ロシア派と新フランス派に割れる国内情勢に恋物語を絡めて描く。構図美に痺れ、中世を感じさせる演出とヒューマニックな物語に魅せられる。DVD化希望。
パンドラの箱 2008 トルコ・仏・独・ベルギー イェシム・ウスタオウル ★★ 母親が認知症と診断されたころによる介護問題から、疎遠になっていた三人の姉弟は分たちの人生を見つめ直していく。観光地ではないトルコの日常をベースに描かれる老いと家族の問題だが、遊びも骨太さもなくただ辛気臭いだけなのであまり楽しめなかった。どうもこの監督とは相性が悪い。
バンド・ワゴン 1953 米 ヴィンセント・ミネリ ★☆ すっかり落ち目となったかつてのダンス・スター、トニー・ハンターは旧友夫妻のバックアップを得て再起をかけた舞台に挑むのだが……。往年のハリウッドミュージカルの雰囲気をプンプンと漂わせている。物語に関して特筆すべきものはなく、音楽も耳に残らないが、中年となったフレッド・アステアがおどけたように踊るシーンは印象に残った。
犯人に告ぐ 2007 日 瀧本智行 ★★ TV番組で児童連続殺害犯に呼びかけを行う劇場型捜査の顛末。とくにこれという知能戦もないので拍子ぬけするが、硬派な雰囲気はいいと思う。
ヒで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ピアノを弾く大統領 2002 韓 チョン・マンベ ★★ 勝気なトラブルメーカーの女性教師と遠山の金さんのような現役大統領の恋愛を描いたラブ・コメディー。日本であれば公私混同もいいところでバッシングものだが、映画は虚構世界なのでベタベタでもOKということだろう。
ピースメーカー 1997 米 ミミ・レダー ロシアの貨物列車から盗まれた核弾頭10発が盗まれ核テロが危惧される。いかにもハリウッドな作りのサスペンス・アクションだが筋書きも描き方もかなり陳腐。
ビートルズ ファースト・ライブ・イン・アメリカ 2009 英 アルバート・メイズルス/デビッド・メイズルス ★★ 1964年2月に初渡米したビートルズを追ったドキュメンタリー。エド・サリバンショー出演映像、空港到着シーンから、驚異的な視聴率を記録したテレビ出演時の映像のほか、記者会見やワシントン・コロシアムでのコンサートなど合計16日間の滞在中、彼らが全米に巻き起こした大旋風の模様を伝える。移動中やホテルでの様子など
ピエロの赤い鼻 2003 仏 ジャン・ベッケル 主人公たちのにわかレジスタンス活動のせいで起こる悲劇。自己保身に走り続ける主人公が原因だし、短編で済む内容が延々続くので、「最高にウンザリ」だった。
ビッグ 1988 米 ペニー・マーシャル ★☆ ニュージャージーに住む12歳の少年ジョッシュは、年に1度のカーニヴァルの日、どんな願い事もかなえる“ゾルダー"という機械に25セント硬貨を入れ「大きく(BIG)なりたい」と願うと、何と翌朝35歳の大人になってしまう。中身が子供のまま大人になってしまった少年(男?)を演じるトム・ハンクスの芸達者ぶりがなかなか楽しいラブコメだが、内容的に特筆すべきものはない。
ビッグ・フィッシュ 2003 米 ティム・バートン ★★★☆ 遂にアメリカにもマジック・レアリズムの波が来たかと思いきや”ほら吹き男爵”並のファンタジックな比喩を用いた人生の物語だった。隠喩を含んだ父の回想の数々で楽しませてた上に泣きもあるのが味わい深い。
ピノッキオ 2002 伊・米 ロベルト・ベニーニ ★★ ジェペットじいさんが不思議な丸太から作った人形ピノッキオは、騒動ばかり起こしているうちに、妖精の力でうそをつくと鼻が伸びてしまうようになり、いつか本物の人間になることを夢見ていた。児童文学の名作を実写で映画化し、ピノッキオに半禿げの中年オヤジを起用するという大胆な試みがなかなかはまっていた。テリー・ギリアムの「バロン」っぽい画が時折出てくるのも気に入った。
日の名残り 1993 英 ジェームズ・アイボリー ★★★ 時代の流れに翻弄された貴族のもとで執事を務めた男の後半生。お得意の貴族の話のせいか、アイボリー監督の確かな手腕が発揮された良作で、クスクスと笑わせつつも、しんみりもさせてくれる。
火火 2004 日 高橋伴明 ★★ 夫に捨てられ女手ひとつで二人の子供を育て上げた陶芸家・神山清子は、同じく陶芸家を志す長男が白血病に倒れたことを知ると、骨髄ドナーを求めて東奔西走するのだった。実話なので前半が陶芸家としての苦闘、後半が白血病との闘い、というちょっと変わった構成になっている。地味ながらも固い芯の通った主人公を田中裕子が好演していた。
百万弗を叩き出せ 1961 日 鈴木清順 ★★ ボクシング・チャンピオンを夢みて故郷の小さな島をあとにした幼馴染の三井と下山は、東京でオンボロだが情熱のあるジム、ヤクザ経営のジム、に別れそれぞれの道を歩み始めていく。画作り・編集・音楽の使い方などに鈴木清順らしさはあるが、ボクシングに人生を賭ける青年の姿を熱くを描いた筋書き自体はありきたり。
ヒューマン・ボム 2008 カナダ エリン・ベリー ウィルスを使った人体実験により人間爆弾と化してしまったイラク戦争からの帰還兵ジェイソンの物語。冒頭から現実なのか妄想なのかわからないシーンが入り乱れ続ける構成はまだ許せるとしても、ひとつひとつのシーンはもちろん、ちょっとしたカット・セリフなどに何も面白みがない。
氷海の伝説 2001 カナダ ザカリアス・クヌク ★★☆ 全編イヌイット語によるイヌイット映画。イヌイットの伝承を基に描かれる原始的な愛憎と信心の物語。あるイヌイットの村で起きた内紛で兄を殺されたアタナグユアトは、追手を振り切るべく裸一貫で氷海の上を走り続ける・・・。かつて見たことがないという点で希少価値がある。
秒速5センチメートル 2007 日 新海誠 ★★★ 少年少女〜大人になるまでの二人の男女の遠距離恋愛を繊細なタッチで描いた3連作短編アニメ。相当ナルシスティックだが魅惑的な映像の数々が心を捉えて離さない。
氷壁の女 1982 米 フレッド・ジンネマン ★★★☆ ジンネマン監督の遺作。老年の叔父と姪の不倫の旅に美青年の登山ガイドを絡めて描かれる大人の恋愛。スイスの美しい風景を舞台に淡々と描く手法が地味ながらもはまっている。
昼下がりの情事 1957 米 ビリー・ワイルダー ★★☆ プレイボーイ大富豪男に惚れてしまった探偵の娘は彼を本気にするべくプレイガールを装う。どこまでも演奏隊を引き連れていく小ネタや、コートなどの小道具使いの巧みさがやいかにもワイルダーらしい。序盤は今一つだが中盤以降がなかなか面白い。
ビルマの竪琴 1985 日 市川崑 ★★☆ 市川監督が1956年に発表した映画版のセルフリメイク。カラーになった点が一番大きな変更点。戦争のリアリズムを描くことよりも、ヒューマニックなドラマを描くことに重きが置かれている。歌が人々の心をつなぐところが好きで、特に序盤の「埴生の宿」で終戦を迎える(知る)シーンは何度見てもいい。
ヒロシマナガサキ 白い光 黒い雨 あの夏の記憶 2007 米 スティーヴン・オカザキ ★★★★ 日系アメリカ人が広島・長崎での25年間にもわたる取材を敢行して綴り上げた原爆投下とその後を見つめたドキュメンタリー。製作者のメッセージを映し出す手法ではなく、ニュース・アニメ・映像・写真・画からの引用とインタビュー映像だけで淡々と構成していく手法を用いているため、かえって静かなメッセージが観る者の心の奥深くに衝撃を与えてくる。アメリカ人・日本人を問わず国境を越えたところで後世に伝えていくべき傑作。
ピンチクリフ・グランプリ 1975 ノルウェー イヴォ・カプリノ ★★★ ピンチクリフ村のレオドルは自ら開発したレースカーで世界最高峰のグランプリに挑む。(ストップ・モーション)人形アニメの繊細さが魅力で1975年の作品というのが信じられないほど全然古びていない。
フで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ファウンテン 永遠につづく愛 2006 米 ダーレン・アロノフスキー ★★☆ 病魔に冒された最愛の妻イジーを救うべく新薬開発の研究に没頭する医師トミーに、既に死を受け入れていたイジーは、未完の自作小説「ファウンテン」を手渡す。現実を見据えられない夫、現実を受け入れようとする妻の対比を、現在と過去(虚構の中世世界)の二世界に跨って描く手法が気に入った。セットの作りが微妙に安っぽいが、ビターな物語に惹かれるものがあった。
ファニーガール 1968 米 ウィリアム・ワイラー ★★ 1920年代の人気スター、ファニー・ブライスの半生を映画化したミュージカル。個性が強すぎて舞台の端役すらもまともに務まらなかったファニーは、その浮いた存在感を見込まれて舞台に起用され、コメディエンヌとしてのし上がっていく。ファニーフェースの語源とでも言うべき伝説のスターを、同じくファニー系のバーブラ・ストライサンドが生き生きと演じているのが楽しかった。華やかな舞台シーンも楽しいが、回想→出世→転落という典型的な形式と、肝心の音楽が今ひとつなので、自分のようなバーブラ・ファンでないときつい部分もあるだろう。
フィアレス 1993 米 ピーター・ウィアー ★★ 大惨事となった飛行機事故から奇跡的にほぼ無傷で生還したマックスは、飛行機恐怖症やアレルギーが治り、別人のように大胆な行動を取り始めるのだが・・・。心の傷と人間の生死を真摯に描いた作品でありながらも、損害賠償金詐欺のような話もあったりして飽きさせない。すごく心打たれるような要素はないが、B級の佳作っぽい味わいを堪能できた。
フィールド・オブ・ドリームス 1989 米 フィル・アルデン・ロビンソン ★★★★ 不思議な声に導かれてアイオワのトウモロコシ畑の真ん中に野球場を作った男レイ・キンセラの前に亡くなったはずの伝説の名選手シューレス・ジョーが現れる。ミステリアスだが胸高まる展開、家族の絆、そして何よりキャッチボールのシーンが泣けるのは本作くらい。野球映画の最高峰。
フィラデルフィア物語 1940 米 ジョージ・キューカー ★☆ 気位の高い名門ロード家の令嬢トレイシーは、結婚したばかりの夫デクスターの言動を気に入らず、たちまち離婚してしまうのだが・・・。勝ち気で人を許すことを知らないヒロインと、そんな彼女に惚れている男たちが織りなすコミカルな三角関係。
風雲将棋谷 1955 日 松田定次 ★★ 平家の末裔が守る信濃の山奥の秘境・将棋谷の財宝をめぐって、謎を秘めた盗賊・流れ星の雨太郎、毒さそりを操る怪人・唐島宙斎、おかっ引きの父とともに事件をを追う縄術の名手・お絹、行方不明の当主を探して秘境からやってきた美女らが織り成す活劇時代劇。何か素晴らしい出来栄えというものはないが、大江戸版・スパイアクションとでも言うべき微妙な感触が乙なものだた。
フェノミナン 1996 米 ジョン・タートルトーブ ★★ 腫瘍ができて突然天才になってしまった男を描いたファンタジー。終盤が切ないラブ・ストーリーというのが良い意味で意外だった。
フォーエバー・フレンズ 1988 米 ゲイリー・マーシャル ★★ 女二人の長い年月にまたがる友情を描いたベタな物語。
フォロー・ミー 1972 米 キャロル・リード ★★★ 妻の浮気を疑った夫は探偵を雇って尾行させるのだが、なんとその探偵の妻の間に温かい心の交流が生まれてしまう。大人のための上質なラブコメで、格好もしゃべり方もおかしな探偵の不思議な雰囲気が良かった。
二人日和 2005 日 野村恵一 ★★ 京都の古屋を舞台に描かれる老年夫婦の絆。小津映画のようなタイトルだが、小津映画のようなテンポやユーモラスさはなく、邦画らしい地味ながらも乙な味わいのヒューマンドラマだった。
芙蓉鎮 1987 中 謝晋(シェ・チン) ★★★☆ 1963年春、湖南省の南端にある小さな町・芙蓉鎮にも文化大革命の波が押し寄せ、胡玉音は夫も夫とともに苦労の末に築き上げた米豆腐店もすべてを失ってしまう。中国近代史上最大の汚点である文化大革命を、ある小さな田舎町に生きる一人の女性を中心に描いた大河ドラマ。対立する二人の女性を基軸としつつも群像劇風の味わいももった正統派ヒューマン・ドラマの名作。
プライド 栄光への絆 2004 米 ピーター・バーグ ★★ 1988年、テキサス州にある小さな街オデッサの人々の熱狂的な応援に支えられた、地元高校の強豪アメフト・チーム「パンサーズ」はエースRBのブービーを失うも、ゲインズ・コーチとともに優勝を目指していく。実話を下敷きにしているとはいえ、やたらとグラグラ揺れるカメラ・ワークで臨場感を増そうとするドキュメンタリー・タッチには辟易とするが、たかが高校アメフトなのに重く迫力ある内容はなかなか乙なものだった。
プライドと偏見 2005 英 ジョー・ライト ★★☆ 18世紀を代表するジェーン・オースティン原作の小説の何度目かの映画化作品。18世紀末イギリスの田舎町ロンボーン、法律上遺産相続権を持たない5人娘をもったベネット家では良縁探しに必死だった。一見高慢で非社交的なダーシーと、そんなダーシーに惹かれながらも高慢な態度と振る舞いに偏見を持ってに拒否反応を覚えるエリザベスの恋物語であるが、サイドストーリーの面白さといい、コミカルにわかりやすく描いた点といいく、上質の娯楽映画に仕上がっている。
ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド 2005 英 キース・フルトン/ルイス・ペペ ★☆ 下半身結合体双生児(お腹のあたりがつながっているので下半身も二人分ある)、トムとバリーが、ロックバンド”ザ・バンバン”を結成して一夜にして人気者となり、そして苦悩の底に落ちていく姿を追ったフェイク・ドキュメンタリー。結合ネタに頼り切りのわりに普通に真に迫ったドキュメンタリー風なのが今一つ。結合ネタ以外にも、フェイクらしい妙を見せてほしかった。
ブラックダリア 2006 米 ブライアン・デ・パルマ ★★ 1947年のL.A.、ハリウッド女優死志望だった女性の惨殺死体が発見され、密かな絆と反目で絡まった二人の刑事が事件に立ち向かっていく。実際に起きた”ブラックダリア”事件をモチーフにしつつも、殆どがフィクションと思われる”その周辺”のドラマが基調。冒頭のつかみでぐっと引き込まれたが、徐々に物語の焦点がぼやけていき、事件も”その周辺”も唐突に解決してしまうので肩すかしを食った。
ブラックブック 2006 蘭・独・英・ベルギー ポール・ヴァーホーヴェン ★★☆ 1944年、ナチスドイツ占領下のオランダ、家族をナチスに殺されたユダヤ人のエリスは、レジスタンス活動に参加し、やがて情報将校ムンツェの愛人となってスパイ活動を行うこととなる。ナチス・ドイツ=絶対的悪、という単純な図式に終わらない人間関係を生かしつつも、娯楽路線の立ち位置を崩していない佳作。ちょっと展開に強引過ぎるところがあるけれど一見の価値はある。
ブラッドワーク 2002 米 クリント・イーストウッド ★★ 挑発的な連続殺人鬼コードキラーを追跡中に心臓発作で倒れ一線から退いたFBI捜査官マッケイレブは、心臓の移植手術を受けて新たな生活を始めようとするが、そんな彼の前に美女が現れて殺人事件の捜査を依頼してくる。いつ死ぬかもわからない男が主人公で、追う殺人事件の被害者は男に移植された心臓の持ち主、という設定の妙と、手堅いスリリングさでなかなか見せてくれる。
フランティック 1988 米 ロマン・ポランスキー ★★ 学会での講演のため妻と共にパリを訪れたアメリカ人医師のリチャードだが、突然妻が失踪し、まともな言葉の通じぬ異国で妻を捜す彼は物騒な事件に巻き込まれていく。物語や構成が地味なので面白いとは言い難いが、フランスを文字通り異国として切り取った数々のシーンには見どころがあった。
ブルグ劇場 1936 オーストリア ヴィリ・フォルスト ★★ 19世紀末のウィーンにある歴史と伝統を誇るブルグ劇場に立つことだけが生きがいの老優フリードリッヒ・ミッテラーは、若く純真な娘レニに恋心を抱くが、彼女の心は若くハンサムな恋人ライナーに向かっていた。サイレントからようやくトーキーに移り変わりつつある時代に作られた作品であるが、良く出来たシナリオのおかげで、古さを感じずに面白く見られた。
プレイス・イン・ザ・ハート 1984 米 ロバート・ベントン ★★☆ 1930年代の大恐慌下のテキサス、不慮の事故で夫を亡くし、二人の幼い子供と多額の借金を抱えたエドナは、流れ者の黒人モーゼスを雇い、銀行から押しつけられた目の見えない下宿人ウィルらとともに懸命に綿花畑を耕して生きていく。大恐慌、人種差別といった時代背景を生かしつつ、リアリティのあるエピソードを積み重ねて綴られる大河ドラマ。過剰なドラマティックさと無縁な分、じんわりと響いてくるものがあった。
プロヴァンス物語 マルセルの夏 1990 仏 イヴ・ロベール 作家マルセル・パニョルの少年時代のエピソードを描く。子供時代の思い出を時系列順に綴っているだけで芸がないし、物語にも起伏がない。強いて言うなれば憧れの美少女とのSMプレイと下痢で興ざめオチが少々印象に残った程度。特別の映像美や様式でもあれば別だが、これをやったら失敗するという典型的な例。
フレフレ少女 2008 日 渡辺謙作 ふとした事故から野球部のエースに恋をしてしまったガリ勉風メガネ少女が、憧れの君の気を惹くべく一念発起して絶滅寸前の応援団に入団することになる。コミカルさも、スポ根ぶりも、何もかもが中途半端。実際に高校生の中にいそうな感じのする愛らしさの新垣結衣の存在だけが良かった。
ブロンコ・ビリー 1980 米 クリント・イーストウッド ★★ 全米を巡業する“西部ショー”の団長ブロンコ・ビリーの恋あり大乱闘ありの波乱万丈な旅。ショーの見せ場で必要なアシスタントを探していたところに出会った美女。彼女は遺産目当ての結婚相手と新婚旅行中、夫に逃げられ、行き場を失い仕方なくビリーのアシスタントとなる。良くも悪くも力の抜けた展開が心に温かい。
フロント・ページ 1974 米 ビリー・ワイルダー ★★☆ 1929年のシカゴ、ヤクザな新聞記者業界から足を洗って恋人ペギーと結婚しようと心に決めた腕利き記者ヒルディであったが、最後の仕事として死刑囚の執行の取材に携わるうちに記者の血が騒いでいくのだった。抜け駆け・イズ・ベストの新聞記者世界を舞台にしたブラック・コメディーだが、ワイルダー監督作としてはキレがいまいち。ウォルター・マッソーの芝居がかり過ぎの演技が笑える。
プライド in ブルー 2007 日 中村和彦 ★★ 知的障害者のサッカー世界選手権に出場した日本代表チームを追ったドキュメンタリー。教科書的で悪く言えば面白みのない作りだが、生真面目な姿勢に真摯さが現れている。
プリティ・ウーマン 1990 日 ゲイリー・マーシャル ★★☆ L.A.はハリウッド大通りで生きる売春婦のビビアンは、大富豪ビジネスマン・エドワードに気に入られ社交界に出入りするうちにエドワードに恋をしてしまう。主人公が売春婦という点が斬新だったシンデレラ・ストーリー。ジュリア・ロバーツとリチャードギアがはまっており、ベタながらもどこか突き抜けた陽気さで楽しませてくれる。
ブルークラッシュ 2002 米・独 ジョン・ストックウェル ★★ 才能豊かながらも過去の事故がトラウマで実力を発揮できていないサーファー・ガールが、恋に自立に友情にと励みながらもプロサーファーを目指し突き進んでいく。サーファーであるということとサーフィンシーンが楽しいことを除けば、ベタ極まりない青春物語。
ブルース・リー 死亡の塔 1980 香港 ン・シーユエン 非業の死を遂げた兄の復讐を果たすべく弟がカンフーで戦う。ブルース・リー死後に遺されたほんのわずかばかりの未公開フィルムを入れ込んだものの、実際は代役?の男が主演という、タイトルに偽りありのカンフー映画。日本が舞台だったりする妙?もあるものの、バッタもんを見ていることがわかってくると何だか哀しくなった。
プルーフ・オブ・マイ・ライフ 2005 米 ジョン・マッデン ★☆ 天才数学者だった父を亡くして傷心だった美人数学者キャサリンの前に、父の教え子だったという心優しい青年ハルが現れ、やがて二人は父の遺した驚愕の定理を発見するのだが、それを書いたのは自分だとキャサリンは主張し始めるのだった。不安に脅かされた主人公の悩みと再生を描きたかったのはわかるが、やたらと生前の父やら死後の父が出てきたり、姉やハルとの関係も深くはなく、捻り過ぎ&ではないだろうか。
ふるさと −JAPAN− 2007 日 西澤昭男 ★★ 昭和31年の春、東京は深川の木場にある小学校に、新任の坂本理恵子先生と、美しく可憐な転校生宮永志津がやってきて、アキラたちは胸躍る日々を送りながらも、地区合唱大会を目指すのだが・・・。ありがちなセンチメンタルさが十分焚きこまれたが教育用アニメで、ベタながらもまとまってはいる。
ブロークン・フラワーズ 2005 米 ジム・ジャームッシュ ★★★ 老年前にして未だにプレイボーイのドン・ジョンストンのもとに、自分の息子を産んで育てたという差出人不明の手紙が届き、ドンはかつての恋人たちを訪ねる旅に出ることになる。端正な映像美、可笑しすぎるドンの友人ウィンストンに、それぞれの今を生きるかつての恋人たちの生活を淡々と綴る手法が気に入った。消化不良感は残るものの満足できる出来栄え。
ヘで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ペイバック 1999 米 ブライアン・ヘルゲランド ★☆ 盗みの相棒ヴァルに薬漬けにされた妻に撃たれて心に深い傷を負ったポーターが復讐への思いを胸に秘めて街に帰ってくる。重苦しいはずの内容に相反して、どこか軽快さすら感じさせるハードボイルド・アクションなので、全編違和感ありまくりだった。
ペーパー・チェイス 1973 米 ジェームズ・ブリッジス ★★★☆ ハーバード大学のロースクールで天才やエリートに混じって法律を学ぶ学生ハートは、恋に勉強に充実した日々を送っていたが、恋人が離婚話中の既婚者の上に、堅物のキングスフィールド教授の一人娘であることが判明して・・・。スリリングな知能戦のような法律の講義の緊迫感、堅苦しくて浮世離れしている教授の存在感、殺気だって人間味を失っていく学生たちをどこか冷やかに眺める視線など、時代の経過を感じさせないメッセージ性と娯楽性を兼備した出色の青春映画。
ヘヴン 2001 米・仏・独・英 トム・ティクヴァ ★★☆ イタリアの街トリノ、夫や生徒を死に誘った麻薬密売人への復讐に仕掛けた爆弾で誤って無実の人々を殺してしまった29歳の女教師フィリッパは、刑務所で刑務官を務める21歳のフィリッポと恋に落ち、やがて脱獄を企てる。決して癒されることのない傷とを抱えたままの愛の逃避行を、地味ながらもスリリングな雰囲気で描いた佳作。唐突ながらも美しいラストが良かった。
HELP! 四人はアイドル 1965 英 ウォルター・シェンソン ★★ リンゴ・スターはいわくつきの指輪をはめていたがゆえに東方の国の邪教徒たちと世界征服を企む科学者たちに狙われるはめになったビートルズの逃走劇をこてこてのコメディとして描く。英国っぽいナンセンス&ブラック・ギャグをちりばめてはいるが映画としての内容は凡庸未満。ただ、ビートルズの曲がかかったときだけは楽しめる。
変身 2005 日 佐野智樹 ★☆ 強盗事件に巻き込まれて脳の一部を損傷し、他人の脳片の移植を受けた成瀬純一は、以前と同じでいられなくなっていく自分の戸惑うのだった。冒頭で主人公が思い出す恋人恵との甘い甘い恋愛シーンが長すぎていきなり蛇足。物語は描けているが、すべてが脳移植のせいなので、人間を描けているとは感じられなかった。
ホで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ボイコット/キング牧師の戦い 2001 米 クラーク・ジョンソン ★★ 1955年のアラバマ州モントゴメリー、バス内で白人に席を譲らなかった一人の女性が逮捕され、若き日のマーティン・ルーサー・キング牧師たちが人種差別撤廃への戦いに立ち上がる。古ぼけた映像と揺れるカメラワークで臨場感を煽っているのが特徴だが、そのリアルっぽさと実話というインパクトを除いたところでも面白いと言えるだけの作品には仕上がっていない。
冒険また冒険 1974 仏 クロード・ルルーシュ ★★ 一九七二年のパリ、銀行強盗やら窃盗やらで歯ちっとも利益が上がらないことに業を煮やした5人の男たちは、誘拐を軸にした多角化経営の道に走っていく。フランス近代史に対する風刺を効かせていたりと門外漢が笑い続けるのが極めて困な、おフランス風コテコテ・コメディ。
ボー・ジェスト 1939 米 ウィリアム・A・ウェルマン ★★☆ 英国のブランドン卿の邸宅に養子として引き取られたジェスト3兄弟は、ブランドン卿夫人の苦境を救うために嘘をついて出奔し、やがてモロッコにある外人部隊で再会を果たすこととなる。冒頭で謎をまき過去に戻って物語を綴るというクラシカルだが手堅い手法と、砂漠の外国人部隊という設定の妙で見せてくれる。
北西騎馬警察隊 1940 米 セシル・B・デミル 19世紀のカナダ北西部、白人によって自由を脅かされた混血族メティスが、白人支配への反乱を計画している最中、最前線の警官砦にテキサスからやって来た警備隊員リヴァースが現れる。ゲーリー・クーパー演じるアウトローなど典型的な西部劇である点はまだともかくとして、当時としては超先進的だったカラー映像のためなのかセット内撮影が非常に多く、西部劇の醍醐味である雄大さが殆ど感じられなかった。
僕たちのキックオフ 2008 イラク・日本 シャウキャット・アミン・コルキ ★★★ サダム・フセイン政権打倒後の爆破テロが続くイラクの都市キルクーク、家を失いサッカースタジアムで暮らすクルド人の人々は民族対抗の少年サッカーを催そうと企画するのだが・・・。不穏な雰囲気に怯えながらも生活している人々のリアルな描き方、ベタながらも甘く切ない恋物語、そしてサッカーへの熱狂すらままならない過酷な現実と、制作当時のイラクであったからこそ作れた良品。
僕の大事なコレクション 2005 米 リーブ・シュレイバー ★★★ 家族の思い出の品を集め自分の部屋の壁一面に飾っている何でも収集家のジョナサンは、祖母が亡くなる間際にくれた写真に祖父と写っていた女性を探すためウクライナへと向かう。ヨーロッパ映画風の画に大胆な音楽を振りまいてコミカルな演出をするというエミール・クストリッツァっぽさが楽しい前半と感傷的に過ぎる後半で殆ど別の映画になってしまうのが惜しまれるところ。悲劇をも笑い飛ばすクストリッツァ路線で最後まで突っ走ってほしかった。
僕のニューヨークライフ 2003 米 ウディ・アレン ★★ ニューヨークに住む新進コメディ作家のジェリーは、女優の卵でもある恋人アマンダとのセックスレス生活と、彼女の母親との同居生活に頭を悩ませていた・・・。ウッディ・アレンがいつもの皮肉交じりで若者に人生と恋を手ほどきする。基本的な内容はアホアホなカップルの話だが、決して多くはない変人アレン登場シーンがなかなか楽しい。
僕のバラ色の人生 1997 仏・英・ベルギー アラン・ベルリネール ★☆ 女の子になっていつか好きな男の子と結婚するという夢を持った少年リュドヴィックと彼(彼女?)を守ろうと悪戦苦闘する両親を描く。別に同性愛者を差別するわけではないが、性同一性障害の苦しみに共感せよと言われても、別にそれはそれでいいじゃないの?というリベラル派な自分にはわざわざ阻害される部分を強調して映画にされても共感しにくい部分があった。妙にファンタジックな演出は悪くなかったと思う。
僕のピアノコンチェルト 2006 スイス フレディ・M・ムーラー ★★☆ モーツァルトのようにピアノを弾くばかりか、計り知れないほど高度な知能を持っている神童ヴィトスは、両親の期待と自分自身の欲求の中で悩んでいくことになる。中盤までは苦労せずして何でもできるドラマ的天才少年の話が続くだけだが、凡人生活に戻ってからの終盤戦の展開は面白かった。おじいさん役のブルーノ・ガンツの渋い味わいも印象に残った。
僕はラジオ 2003 米 マイケル・トーリン ★★ 知的障害者と町の人々との交流を描く。実話という売りにもかかわらず説教臭さが否めないが、他人を救うことで自分を救うという主張は良いと思う。
北北西に進路をとれ 1959 米 アルフレッド・ヒッチコック ★★ 人違いから陰謀と殺人事件に巻き込まれて行く男を描いたヒッチコックらしいサスペンスで、成り行き任せで話が展開していく。面白い映像がときおり出てくる。
星空の用心棒 1967 伊 スタン・バンス ★★☆ 無実の罪によって30年間の強制労働に科せられていた青年テッドは、テキサス山中の牢から脱獄し、自らを牢獄に送りこんだチャールスタウンの大地主コッブや保安官のダグラスに対する復讐を果たそうとするのだが・・・。メキシコ近くを思わせるロケーションやストレートに骨太(暴力的ともいう)な内容など、マカロニ・ウェスタンの本領がいかんなく発揮された作品。映像美やハードボイルド西部劇っぽい雰囲気を堪能できた。
ポストマン 1997 米 ケビン・コスナー ★★☆ 世界中が荒廃し悪行三昧のホルニスト軍団が闊歩する近未来のアメリカ、一人の冴えない旅役者が生き延びるために突いた嘘が人々の心に希望の明かりを灯し世界を変えていく。ケビン・コスナー版”マッドマックス2”+アメリカ愛とでもいうべき作品で、荒廃した近未来感の雰囲気に味がある。郵便配達という平和的テロが世界を変えていく下りまでは良かったが・・・結局最後は力と力の衝突&ナルシスティックに終わってしまうあたりはさすがにアメリカ映画というところか。
ホットロック 1971 米 ピーター・イエーツ ★★ 出所したての泥棒がすぐにダイヤモンド泥棒に巻き込まれる。すごい良いというわけではないが、なかなか見られるサスペンス・アクション。
ホネツギマン 1998 米 J・トッド・アンダーソン ★★☆ 昼は整体師、夜はプロレスラー・ホネツギマンとして生計を立てるエドワードを襲う悲劇をユーモラスに描く。正統派ドラマのような風情で描かれているが、題材からもわかるとおり実はB級カルト映画。共同脚本がイーサン・コーエンと聞いて妙に納得した。
仄暗い水の底から 2001 日 中田秀夫 ★☆ 夫邦夫と離婚調停中で一人娘郁子の親権を争っている淑美は、郁子と一緒に新しいマンションに引っ越すのだが、そこは以上に雨漏りが多く、只ならぬ雰囲気を漂わせていた。しかし、そこは雨漏りが酷く、また彼女は何か不穏なものを感じていた。やたらと水が流れるシーンが多いのを除けば、”リング”の焼き直しみたいな内容で面白くとも何ともないJホラー。
ホワイトハンター、ブラックハート 1990 米 クリント・イーストウッド ★★★ 変人監督ジョン・ヒューストンが「アフリカの女王」を撮影した時に遺したエピソードに着想を得て描かれるある映画監督の話だが、シニカルなメッセージも内包している。
ボルサリーノ 1970 仏・伊 ジャック・ドレー ★★ マルセイユの暗黒街で手を携えて成り上がっていく両雄の物語。音楽も含めなかなか雰囲気があっていい。フランス版ゴッド・ファーザー(どれかと言えば2に近い)と言えよう。
ボルサリーノ2 1974 仏・伊・西独 ジャック・ドレー ★★ 前作ではアラン・ドロン×ジャン=ポール・ベルモンドの共演が売りだったが、本作は片割を失ったアラン・ドロンの復讐劇なので、一人足りない分魅力が減退した感がある。
ポルターガイスト 1982 米 トビー・フーパー ★☆ 平穏な郊外の住宅地の一画に住む、スティーヴ夫妻と一男二女の家庭の中で、ポルターガイスト現象が起こり、5歳の末娘キャロル=アンが姿を消してしまう。TVのノイズの中から娘の声が聞こえてくるというアイディアや、怖さの中にも家族愛とユーモアを入れる構成は悪くないが、結局のところドタバタとした超常現象が続くだけなので中盤過ぎで飽きてしまった。
ポロック 二人だけのアトリエ 2000 米 エド・ハリス ★★ 米モダン・アートの先駆者ジャクソン・ポロックの半生を描いた伝記ドラマ。1940年代、若手芸術家のポロックはリー・クラズナーと出会い、彼女の公私に渡る支えもあってアート界で名を上げていくのだが・・・。製作・監督・主演を兼ねたエド・ハリスの熱意がひしひしが伝わってくる力作。
ボンボン 2004 アルゼンチン カルロス・ソリン ★★ リストラされて途方に暮れている中年男が、不細工だが”血統書付”の良血犬を譲られたことを契機に盛り返していく。正直者が最後は報われる大人の童話だが、”種馬”ならぬ”種犬”ネタだけで引っ張っていく中盤以降が強引だった。
マで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
マーサの幸せレシピ 2001 独・伊・オーストリア・瑞西 サンドラ・ネットルベック ★★ 天才的な味覚を持っているが、”何か”が足りない女シェフ・マーサが、引き取った姪と陽気なイタリア人シェフと接する中で、”大切な何か”に気付いていく。欧州で作られているにもかかわらず、ご当地独自の色合いは殆どなく、ハリウッド映画のパクリのように描かれている。
マーダーボール 2005 米 ヘンリー=アレックス・ルビン ★★☆ 障害者向けのスポーツ車いすラグビーに挑む人々の姿を赤裸々に描いたドキュメンタリー。殺人的なまでに激しい試合の衝撃、障害者であることを卑下せずにたくましく生きる人々のありのままを捉えた直球的な描き方が見る方にすがすがしさすら感じさせてくれる。
マーティ 1955 米 デルバート・マン ★★ 弟妹たちに先を越されて結婚されてしまった精肉店の店員マーティは、中年となっても彼女の一人もいない自分に嫌気が差していたが、ある日自分と似た境遇の独身女性クララと出会う。結婚できない自分にというよりも、周囲になぜ結婚しないのかときかれて嫌気が差すのであり、かといってモジモジしがちな自分も変えられず・・・というあたりに時代を問わない普遍的な悩みを見た。主役二人の適度な中年&独身加減&平凡な会話がいい感じでリアリティを醸し出していたが、作り自体は古臭いので鑑賞にはかったるいものがあった。
マイケル・コリンズ 1996 アイルランド・英・米 ニール・ジョーダン ★★☆ 700年間もの間イギリスの圧政下に苦しみ続けた祖国アイルランドをわずかの期間で独立へと導いた闘士コリンズであったが、その後に待っていたのは悲劇的な内戦だった。実在人物にしてIRAの祖とも言われる男の半生というだけで興味深く見られる。但し、実話性に徹しきれず妙にドラマチックな展開を作ってしまったがゆえに目立つ中途半端さと、無理やり盛り上げようとしすぎる音楽が少なからず痛かった。
舞妓Haaaan!!! 2007 日 水田伸生 ★★ 舞妓さんへの熱狂的な思い秘めているサラリーマン鬼塚は、念願の京都転職とあって祇園デビューに燃えるのだが、一見さんお断りの壁にはじき返されてしまう。やたらとテンションの高い異色の邦画。京都を舞台にミュージカルするくらいまではよかったが、終盤になるにつれてアップしていく暴走度には好き嫌いが分かれることだろう。
マイノリティ・レポート 2002 米 スティーブン・スピルバーグ ★★ プリコグと呼ばれる予知能力者により大半の犯罪が未然に防がれている2054年のワシントン、自らの殺人を予知されてしまった犯罪予防局のリーダー・アンダートンは潔白を証明するべく逃亡するのだが・・・。フィリップ・K・ディック原作らしい高尚なテーマを予感させる設定に惹かれたが、結局グダグダのB級SF逃亡劇が続くだけだった。スピルバーグの力量で何とか見られる作品に仕上がっているが、低予算映画向きの題材に大金と投じただけという印象は拭えない。
マクナイーマ 1969 ブラジル ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ ★★ アマゾンの奥地で中年黒人の姿形で生まれたマクナイーマは魔法の泉の力で白人に生まれ変わり都会に出る。南米らしい荒唐無稽でベタなファンタジーが特徴の大人のための寓話的神話。主人公の浅ましすぎる姿に万国共通の人の根源を見た。マクナイーマが生まれるシーンが笑撃必死。
マクリントック 1963 米 アンドリュー・V・マクラグレン 気性の激しい妻に浮気を疑われて家出された上に離婚まで申しだされていた大牧場主マクリントックは、町で次から次への起こる騒動の中を豪快に生きていく。横暴だが力強く&バカバカしいほどに明るいというアメリカ独特のカルチャーをわかりやすく体現したドタバタ西部劇オペラ。つまり、本作を楽しめる人は相当限定されるということだ。
マスター・アンド・コマンダー 2003 米 ピーター・ウィアー ★★ ナポレオンのヨーロッパ征服が進む19世紀初頭の大西洋、不敗神話を誇るジャック・オーブリー率いるサプライズ号は、兵力不足のために駆り出された少年士官候補生ブレイク、船医兼動物学者スティーブンらとともに、フランス戦アケロン号の追跡に挑む。ド派手でクラシカルな海洋ものをやりたかった、という製作者側の思いがよく伝わってくる映像が迫力満点。俯瞰的な視点がないためわかりにくい部分もあるが、館長の人間らしい葛藤など、船内の人間ドラマをまずまず楽しめた。
街のあかり 2006 フィンランド  アキ・カウリスマキ ★★★☆ ヘルシンキで警備員を務めるコイスティネンは現状打破する希望を持ちながら生きていたが、ある男に眼をつけられてしまったことで転落していくことになる。小津安二郎→後期ロベール・ブレッソン→本作か、とでも言いたくなるほどの、1カットの魅惑さと一人の負け犬を見つめる非常なまでに冷徹な視線が素晴らしかった。
松ヶ根乱射事件 2006 日 山下敦弘 ★☆ 日々平穏なとある田舎町・松ヶ根に訳ありなカップルがやって来たのをきっかけに、ひき逃げ、金塊、ゆすり、床屋の娘の妊娠といった事件が起きていく。邦画特有のゆるい雰囲気で日常の群像劇のような展開を繰り広げながら人間の内面にあるダークサイドをかすかに見せていく。でも、人間ってもっとドロドロしているよ、と思った。
マッシュ M★A★S★H 1970 米 ロバート・アルトマン 朝鮮戦争最中の移動米軍外科病院(MASH)に配属された軍医たちが、患者を手術で切り刻み、女に狂うなど、やりたい放題の所業を行う。強烈な皮肉を効かせた反戦映画であるが、ストレートにブラック過ぎて笑えないし面白くもない。強引に引き延ばしたモンティ・パイソンの1コントだけを延々と見せつけられている感じ。これで戦争批判できているとは到底思えない。
マッドマックス 1979 豪 ジョージ・ミラー ★☆ 世界が荒廃しきり石油資源が枯渇した近未来、特殊装甲車インターセプターを駆る武装警官マックスは、お尋ね者ナイトライダーを激しく追跡して事故死に追い込むのだが、それは新たな悲劇の始まりに過ぎなかった。スピード出しまくりのカーチェイスが見どころだが肝心の本筋が陳腐。
マッドマックス2 1981 豪 ジョージ・ミラー ★★★ 警官を辞め愛車インターセプターを駆って荒野を行くマックスは、ヘリコプター男ジャイロ・キャプテンと出会い、やがて精油所を巡る善良市民グループとギャング団の争いに巻き込まれていくのだった。前作の基本設定を生かしつつ”北斗の拳”のような荒廃した世紀末”後感”をうまく醸し出している。物語も前作をはるかに凌ぐ面白さで、男なら熱くなれること間違いなし。
祭りの準備 1975 日 黒木和雄 ★★★☆ 昭和30年代の高知県中村市、片思いの涼子にはつれなくされ、上京願望は母に閉ざされ悶々としていた楯男は、狭くも濃密な田舎社会を生きていたが、ある日発狂した色情狂になってしまたタマミが帰郷してきたことで人生の車輪が大きく回り始める。生々しいまでに人間くささを交えて描かれる青春映画で、一筋縄ではいかない人々の織りなす物語にぐいぐい惹きつけられる。ヒロインの女性らしさと、ラストシーンが白眉。
マディソン郡の橋 1995 米 クリント・イーストウッド ★★★ 結婚15年目で単調な生活を送っていたフランチェスカは、夫の出張中の4日の間に、当地を訪れてきたプロ・カメラマン、ロバート・キンケイドと出会い生涯最後にして最大の恋愛へと落ちていくのだった。平凡な人に訪れる平凡ではない出来事こそがドラマとなるという典型的な作品で、盛り上げ方を心得た音楽とも相まって泣かせてくれる。
真夏の夜の夢 1959 チェコ イジー・トルンカ ★★☆ シェイクスピア原作。とある夏の夜、四角関係に苦しめられている四人の男女とある劇団の団員たちが森の中に迷いこみ、妖精王オーベロンの悪戯心から大騒動が巻き起こることとなる。人形アニメのせいか製作年代の古さを殆ど感じさせない内容で、繊細な演出と、幻想的な雰囲気に味わい深いものがあった。
真昼の死闘 1969 米 ドン・シーゲル ★★ メキシコ北部の荒野、メキシコ革命軍に助太刀しての一攫千金狙う流れ者のホーガンは、尼僧なのに実は売春婦ですご腕のガンマンという秘密を抱えたサラとともに、フランス軍の輸送列車襲撃計画に乗り出す。シャーリー・マクレーンが西部劇に出ているというだけである意味見物。おまけに相棒?はクリント・イーストウッド! 内容はつまらないが、”見た”という事実に満足した。
迷い婚 すべての迷える女性たちへ 2005 米 ロブ・ライナー ★★ 恋人ジェフとの結婚に不安を抱えているサラは30代のサラは、ふとしたことから若く破天荒な祖母と、幼い頃死んでしまった母がこそが、映画「卒業」のモデルではないかと疑い始める。映画”卒業”をネタにした展開と、結祖母・母・娘と三代続けてものにしたプレイボーイの男が最大の売りだが、物語・内容ともに凡庸。
真夜中のサバナ 1997 米 クリント・イーストウッド ★☆ 北米一美しい町サバナで殺人事件が起こり、当地を訪れていたジャーナリストのジョン・ケルソーは、独自に事件の調査を開始するのだが、町の人々の不可解な言動に翻弄されていくのだった。観客も見事に翻弄されてしまう奇奇怪怪な物語であるが、実話ベースだけあってそれだけで終わってしまった感が強い。アメリカ人にはリアルな違和感なのだろうか。
マリー・アントワネット 2006 米 ソフィア・コッポラ ★★☆ フランス王妃マリー・アントワネットの豪奢な王宮生活に焦点を当てた作品。物語的には語りつくされたとおりであり、新しい発見はないが、悲劇の側面ではなく、能天気なまでに”女の子”な部分を全面に打ち出したカラフル&ポップな映像が印象に残った。監督が意図していたかは知らないが、嫌気がさして来る程呑気な騒ぎの連続によってでもフランス革命を描くことはできるのだと感じた。
マン・オン・ザ・ムーン 1999 米 ミロス・フォアマン ★☆ 若くして夭折した伝説のコメディアン、アンディ・カウフマンの半生。奇矯な芸風を売り物にしているアンディは浮き沈みの激しい芸能人生を歩む。主演のジム・キャリーの顔面技と成りきりぶりを駆使した演技にはインパクトがあるが、物語構成に面白みがないし、何より笑いの感覚が合わなかった。
ミで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ミート・ザ・ペアレンツ 2000 米 ジェイ・ローチ ★★★☆ 最愛の恋人パムとの結婚の了承をもらうために彼女の実家を訪れたグレッグ・ゲイロードに降りかかる災難の数々をブラックな笑いで描く。良いところを見せようとすればするほど深みにはまっていく主人公が可笑しい。父親が元CIAなのでコネで身元調査したり、医師にもなれたのに真摯に看護士を選んだ主人公とイケメン&ハイソな恋敵を対比させるなど、設定にも味がある。コメディの何たるかというツボをしっかりと押さえた傑作。
ミート・ザ・ペアレンツ2 2004 米 ジェイ・ローチ 前作を経てパムとの結婚にこぎつけたグレッグはパムとその両親を連れて実家に帰省するのだが、実の両親はパムの父ジャックを遥かに上回る強烈なキャラの持ち主だった・・・。前作にあったアメリカ映画らしからぬ”間”で笑わせる妙や、どんどん深みにはまっていく展開の妙もなく、ただ単にこの手のアホアホ映画に出演しないだろうと思われた豪華キャストが馬鹿騒ぎを繰り広げているだけだった。
ミスター・アーサー 1981 米 スティーブ・ゴードン ★★★ 大金持ちの貴族の放蕩息子アーサーは、成金の娘とはいえ美しくてつつましいスーザンとの結婚を8億ドルの遺産相続の条件に突きつけられるが、彼は偶然出会った貧乏人のリンダの自由奔放な輝きに惹かれていくのだった。ありえないほどいい加減だが、なぜか周囲の人々に愛されるダメ男の恋を描いたラブコメの佳作。なんでスーザンがだめで、リンダに入れ込むのか理解しにくい部分があるが、深く考えないでブラックな笑いとライトなノリを楽しむべきだろう。
MR. 3000 2004 米 チャールズ・ストーン3世 ★★ ミルウォーキー・ブルワーズの伝説的選手スタン・ロスは3,000本安打を打ったとたん引退してしまい、"3,000"をネタにビジネスを始めるのだが、10年後に記録ミスが発覚し、2,997安打に訂正されてしまったため、今度こそ3,000本安打を達成するべく47歳での現役復帰を果たすことに・・・。なんともトホホな設定の割に笑いの要素は中途半端で、中途半端にビターという微妙な質感の作品だった。
Mr. インクレディブル 2004 米 ブラッド・バード ★★ 破壊的過ぎるが故に活動を禁じられ一般市民として静かに暮らすスーパーヒーロー一家が平和のために再び立ち上がる。内容は基本的に子供向けだが、一般人になってしまったヒーロー一家が世帯臭さを抱えながら活躍するという内容がなかなか楽しめたコミカル・アクション・CGアニメ。
ミッドウェイ 1976 米 ジャック・スマイト ★★ 太平洋戦争の転機”ミッドウェイ海戦”を日米双方から描いているようで実はアメリカ寄りの作品。実写映像の挿入・変過ぎる日本の情景・米国軍人&日系米国人(中国系に見えるが・・・)の恋物語など安易かつ中途半端な要素が目につく。純粋な戦争ドラマに徹するか、あるいは娯楽路線に徹するかの、どちらかに絞った方が良かったように思う。
ミッドナイト・イーグル 2007 日 成島出 ★☆ 北アルプスに日本全土を焦土へと変えうる”特殊爆弾”を積んだ米軍航空機が墜落し、戦場で負った心の傷を癒すために雪山に籠もっていたカメラマン西崎は新聞記者や途中で知り合った自衛隊員らとともに墜落地点を目指す。ハリウッド風のアクションを日本でも作ってみました感がありありなのはともかくとして、都合の良すぎる銃弾の当たり方など全般的にB級感が強くのめりこむ程のものはなかった。
ミツバチのささやき 1973 スペイン ビクトル・エリセ ★★★★ スペインの田舎町で父母や姉イサベルらと暮らしている少女アナの生活を通してスペイン内戦の傷を描く。声高さも大げさなドラマも饒舌な台詞も用いない静謐としたタッチで描かれるアナの日常生活の中に、隠喩をさりげなく埋め込みながら作品を構築していく手法が絶品。伝説の名子役アナ・トレントの演技が必見。効果音が音楽的に配置されているのも必聴。
水俣 −患者さんとその世界− 1971 日 土本典昭 ★★☆ 水俣病患者とその家族を真摯に追い続けた硬派なドキュメンタリー。生真面目過ぎる姿勢と良くも悪くも冗長気味なテンポには好き嫌いが分かれそうだが、その誠実な眼差し故に記録映画としての価値がある。
ミニヴァー夫人 1942 米 ウィリアム・ワイラー ★★☆ バラ作りに街をあげていそしむロンドン郊外のベルハムに生きるミニヴァー夫人とその周囲の人々も第二次世界大戦の戦火から逃れることはできないのだった。戦時中を生き抜いていく一人の女性の軸に重厚に描かれたドラマ。戦意高揚目的のプロパガンダ映画としての一面が強いことは否定しえないが、それらを差し引いても戦争のもつ悲劇的な一面をしっかりと描いていることもまた確か。
壬生義士伝 2003 日 滝田洋二郎 ★★☆ 金に執着する異色の新撰組隊士・吉村貫一郎の生きざまを斎藤一を絡めて描いた歴史ドラマ。脱藩前の生活を絡めた過剰なドラマがフィクション色が過ぎて蛇足だったが、他の部分はなかなか硬派な作りで、特に斎藤一を演じる佐藤浩市の貫禄たっぷりの演技がなかなか良かった。
ミラーを拭く男 2003 日 梶田征則 ★★ 交通事故を起こしたトラウマを癒すために全国のカーブミラーを拭き続ける初老の男を描いたヒューマンドラマ。映し続けられる美しい日本の風景と、物言わずに淡々とミラーを拭き続ける緒方拳が印象的だった。ただ、何を言いたかったのかがよくわからない。
ミラグロ 奇跡の地 1988 米 ロバート・レッドフォード ★★☆ 一大リゾート地として開発が進むミラグロに土地をもつ農民たちが、水の利用権をめぐって建設会社・開発会社と争いを起こす。実際にありそうな静かな叛乱にゆるやかに描きつつも、ときおり起こるファンタジックな出来事がスパイスとしていい味を醸し出している。
ミリオンズ 2004 英 ダニー・ボイル ★☆ ユーロ制定直前のイギリスの片田舎で多額のポンド紙幣が詰まったバッグを拾った兄弟は思い思いの行動に出る。地味な少年ものドラマかと思いきや、終盤にいきなりアンデルセンのような童話になってしまうのでびっくりした。
ムで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
メで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
メゾン・ド・ヒミコ 2005 日 犬童一心 ★★ ゲイのための老人ホームでバイトすることとなった女性を通して父娘その他の交流を描く。画の切り取り方が巧みだったので最後まで見られたが、芝居がかり過ぎな役者たちの演技・社会で孤立してはいるが愉快な仲間たちという設定・老いの現実を描かない薄っぺらい物語などに見られるあざとさとステレオタイプさに馴染めなかった。
メリンダとメリンダ 2004 米 ウッディ・アレン ★★ 医者の夫と離婚してニューヨークへやってきたメリンダは、学生時代の親友のローレルとその夫が暮らすアパートに転がり込み、もう一方のメリンダはっ越し先のアパートに住む夫婦が開いたパーティーに乱入する……。同じネタを方や悲劇的に方や喜劇的に調理して対比させるという手法が面白い一作だが、いかんせん双方とも単独でも楽しませてくれるような魅力がなかった。
モで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
萌の朱雀 1997 日 河P直美 ★★★ 過疎化が進む奈良県の小さな村を舞台に、父親が失そうを契機に一家離散への道をたどっていく家族のそれぞれの思いを叙情的に描く。物語性がよくわからないのだが、ドキュメンタリーっぽさを感じさせる荒っぽい感覚の画の中に滲み出る奈良の美しさには一見以上の価値がある。すごい好きというわけではないが、見終わった後もなぜか気になる不思議な質感の作品。
モディリアーニ 真実の愛 2004 米・独・仏・伊・ルーマニア・英 ミック・デイヴィス ★★ 第一次世界大戦後のパリを舞台に、放蕩の画家モディリアーニの自堕落な生活と妻ジャンヌとの愛を描く。クライマックスが美術コンテストでの戦いというのは芸術家の志を考えると違和感が残ったが、芸術で食べていけるパブロ・ピカソ(その最初の妻オルガも出てくる)とを対軸に据える基本構成は興味深かった。
モナリザ・スマイル 2003 米 マイク・ニューウェル ★☆ 1953年のアメリカ東部、保守的な名門女子大学に美術講師として赴任したキャサリンは、伝統と格式を重んじ過ぎるがあまり異様な雰囲気を持つ校風に違和感を覚え、生徒たちに可能性と柔軟性を持つことを指導していく。教師が生徒を変えていくという定番の物語でありながら、キャサリンの影響力は殆ど感じられず、保守的名門校におけるある教師と生徒たちのまとまりのない群像劇になってしまっている。
燃ゆるとき 2006 日 細野辰興 カップラーメンの製造販売でアメリカに進出していた食品会社・東輝水産は業績不振に陥り、社長の命を受けて単身渡米した資材担当・川森が再建に乗り出す。キャストは割りと豪華だが、あらゆる局面でリアリティとデティールへのこだわりを放棄した姿勢が凄まじく、実話っぽさを多少意識しただけの再現ドラマでしかない。
モロッコへの道 1942 米 デヴィッド・バトラー ★☆ 詳しいことは何もわからないが「珍道中」シリーズの第三作らしい。貨物船に密航者として乗ったものの船が難破してモロッコに漂着した二人の男がドタバタを繰り広げる。主役二人のブラックな掛け合いが面白いが、間延び感はいなめない。  
ヤで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
約三十の嘘 2004 日 大谷健太郎 ★★ 3年ぶりに終結し、久々の大仕事を成功に終わらせた6人の詐欺師たちは、意気揚々と特急トワイライト・エクスプレスに乗り込むが、スーツケースに詰めた7千万円の大金が忽然と消えが無くなり仲間割れ?が始まる。詐欺師同士のスリリングな騙し合いを密室劇で展開するのかと思いきや、かなりグダグダの展開に友情劇を足しただけだった。これで心機一転となって、またまた老若男女から金をだまし取るんだよな、と思うと見る方に爽快さは残らない。
約束の旅路 2005 仏 ラデュ・ミヘイレアニュ ★★ 1984年、イスラエル政府がスーダン難民キャンプからエチオピア系ユダヤ人を帰還させたモーセ作戦に紛れ込み、母と別れてイスラエルへと脱出した9歳の少年シュロモは、様々な問題に直面しながらも成長していくが、実母と故国への思いは断ち切れないのだった。いじけっぱなしの少年時代&鬱々とした青年時代の暗い感じなどのアンニュイな雰囲気が特徴。
ユで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
誘拐犯 2000 米 クリストファー・マッカリー ★★ 自らの精液を売って今日の貧窮を逃れようとしたロングボーとパーカーは、大金持ちの代理母の情報を得て身代金目当ての誘拐を目論む。フィクションのためでしか存在しえない非現実的な設定、段々主人公が誰だかわからなくなる展開など、お世辞にも出来が良いとはいえないのだが、徐々に感情移入できる登場人物が増えていくので結末が気になってしまうことだけは確か。
郵便配達は二度ベルを鳴らす 1946 米 テイ・ガーネット ★★★ 安食堂を経営する人の良いニックと知り合い、店で雇ってもらうことになった流れ者のフランクは、ニックの若く美しい妻コーラの魅力に抗えず不倫関係に陥いり、やがて二人はニック殺害を企てるのだった。古式ゆかしい演出ながらも、愛や金といった欲望に翻弄される男女のビターな物語で堪能させてくれる。
U−571 2000 米・仏 ジョナサン・モストゥ ★★ 第二次世界大戦下のヨーロッパ戦線、暗号解読機エニグマ奪取のため、米軍はナチスドイツのUボートへの潜入作戦を決行するのだが・・・。少々過剰なドラマがトッピングされた既視感たっぷりの潜水艦映画。
雪之丞変化 1963 日 市川崑 ★☆ 江戸時代、上方歌舞伎の花形女形を務める雪之丞は、舞台のさなか桟敷の中に父母の敵を見つけ、謎の盗賊・闇太郎の助けを得て復讐を果たそうとする。長谷川一夫が一人二役で雪之丞と闇太郎を演じているので無理のあるシーンがあることはまだ良いとしても、おっさん過ぎてとても名女形に見えないことが最大の問題だった。物語も古くさい。
ユメ十夜 2007 日 実相寺昭雄/市川崑/清水崇/松尾スズキ/西川美和 他 ★★ 夏目漱石の原作を基に10名の監督が思い思いに描くオムニバス形式の夢物語。出来不出来の差が大きく面白い序盤に比べて中盤以降がだれて来るものの、”夢”特有のぶっ飛び感と、皆が思い思いの個性を発揮したワイワイ感は良いと思う。
ユリシーズの瞳 1995 仏・独・ギリシャ テオ・アンゲロプロス ★★★★ 故郷ギリシャに35年ぶりに帰還した映画監督Aは、未現像のままであるという最初のギリシャ映画3巻を求めてバルカン半島を縦断する旅に出る。映画監督Aの失われた過去の追憶、映画3巻を遺したマナキス兄弟の半生、そしてバルカン半島の歴史を、雄大な抒情詩として一つのロード・ムービーにまとめ上げた後期アンゲロプロスの代表作。
許されざる者 1960 米 ジョン・ヒューストン ★★☆ テキサスの平原に牧場を営むザカリー一家は長男ベンの真摯な働きによって周囲の人々の信頼を得ていたが、突如として現れたケイシーという謎の男が養女レイチェルに関する悪い噂を撒き散らし一家は不穏騒動に巻き込まれていくのだった。重厚なドラマにスリリング、そしてダイナミックな演出な展開で魅せてくれる異色の西部劇。オードリー・ヘップバーン唯一の西部劇出演作としても高名。
ゆれる 2006 日 西川美和 ★★☆ 母の一周忌で故郷へと帰った写真家・猛は、温厚な兄・稔と幼馴染の女性・千恵子とともに渓谷へと向かい、千恵子は兄・稔との諍いにより吊り橋から転落死してしまい、兄・稔を被告とする裁判が開かれるのだった。裁判の過程で徐々に明らかになっていく兄弟の確執と兄の本質が見どころで、文字通りゆれるような感情の交流が現れる中盤が出色の出来。
ヨで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
溶岩の家 1994 ポルトガル・仏・独 ペドロ・コスタ ★★★ 意識不明に陥った患者に付き添ってポルトガルの元植民地カーボ・ヴェルデ等へ行くこととなった看護婦はポルトガルの現実を外から目の当たりにすることとなる。物語がどうのこうのという映画ではなく、植民地島カーボ・ヴェルデの現実そのものを取り込んだ内容を堪能すべき作品。色彩美豊かな画が綺麗。
予感 2007 イラン・日 モスタファ・R・キャリミ ★★ 社会的地位が高く不自由のない暮らしを送っていながらも、子供に恵まれず、死産以来キャリアウーマンの道を歩む妻とぎくしゃくとしていた夫の間にデザイナーの女性とその兄が現れる。夫婦のすれ違いと危機をものすごく生真面目に描いておりやや肩が凝った。構図美を意識したカメラワークが印象に残った。
予期せぬ出来事 1963 英 アンソニー・アスキス ★★ 濃霧で遅れた飛行機の出発を待つVIPたちを描いた群像劇。脱税のために今日中に出国する必要がある映画製作者と女優、富豪の夫を捨てて貧乏な愛人と去ろうとする妻、会社乗っ取りと戦う社長と秘書、飛行機酔いが気がかりな老夫人など、多様な人物を登場させており、独創性や巧みさといった要素はないものの、群像劇のツボはきっちり押さえている。
欲望という名の電車 1951 米 エリア・カザン ★★★ 妹ステラとその夫スタンリーの貧乏ながらも平凡な家庭に、借金苦で故郷ベルリープの屋敷一式を手放してしまったと言って独身の元女教師ブランチがやって来るのだが・・・。意味深な冒頭の会話から始まるテネシー・ウィリアムズ原作らしい演劇的展開で一気に引き込まれていく。姉を疑いながらも家族愛から気遣う妹ステラ、義妹の嘘を執拗に疑うスタンリー、虚構で着飾ることでしか自分を支えられない姉ブランチ、などなど、善と悪という枠ではくくりきれない人間の本質を鋭くついた秀作。
夜の儀式 1968 スウェーデン イングマール・ベルイマン ★★☆ 「儀式」という舞台劇を持って巡業中の三人組の一座がワイセツ罪で起訴され、予審判事のきびしい取調べを受けていくうちに、三人の愛憎と判事の偽善が浮かび上がっていく。もともとテレビ作品とは思えないほど重厚な内容で、これがテレビで放送されたという事実に驚かされる。何を調べているのかわからない予審判事の質問に惑わされることしきりだが、1対1の会話劇に重点を置いたいかにもベルイマンらしい作品。
夜の流れ 1960 日 成瀬巳喜男/川島雄三 ★★ 東京の下町の花柳街にある料亭「藤むら」を舞台に、同じ男を愛してしまった母である女主人とその娘の愛憎を描く。二人の監督が別々にシーンを組み立てるという試みがシーンごとに新鮮な印象を与えてくれるが、うまく活かされたワイド画面の中でまばゆく輝いている司葉子が一番印象的だった。
歓びを歌にのせて 2004 スウェーデン ケイ・ポラック 精神的にも肉体的にも疲れきったオーケストラの名指揮者が生まれ故郷の閑村に戻り、教会のコーラス隊を指導する過程で温かい心を取り戻していく。ドラマチックを通り越した過剰すぎるエピソードが怒涛の如く続いていく展開と、憎しみを表に出して衝突しまくった過去のイザコザをあっさりと忘れ去ってしまう登場人物たちに現れているなご都合主義の極地、が笑劇的。ここまでやればある意味見事。
ラで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
RIZE ライズ 2005 米 デビッド・ラシャペル ★★☆ 全米でもっとも危険といわれる犯罪多発地帯、ロサンゼルスのサウス・セントラル地区に住む若者たちが、ダンスを通じて新たな人生を切り開こうとする姿を追ったドキュメンタリー。ギャング団に入って犯罪に手を染めるのが、最も簡単に金を手にする環境でありながらも、その誘惑に打ち勝とうとする環境下でのダンスは、優美さとは程遠くて独創性という点でも物足りないが、とにかく野性的で激しいところが印象的だった。クライマックスのダンス・バトルのシーンが良かった。
ライトスタッフ 完全版 1983 米 フィリップ・カウフマン ★★★ 1957年、宇宙船スプートニクの打ち上げに成功したソ連に対抗するためマーキュリー計画が発動され、米空軍パイロットを中心として米国発の宇宙飛行士候補性が選抜される。宇宙開発に背を向けたパイロット・イェーガーを主人公の一人としたことで話に深みが出ている。ドキュメンタリータッチのためかったるい部分もあるが、アメリカの宇宙開発序史を感じさせる硬派な内容を買いたい。
ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方 2004 米・英 スティーブン・ホプキンス ★★☆ 英国ラジオ放送の声優からハリウッドの大スターにまでのし上がった怪優ピーター・セラーズの半生。作りも内容もありきたりであるが、本人かと見まがうほどなりきっている主演のジェフリー・ラッシュが良く、「博士の異常な愛情」、「ピンク・パンサー」などの代表作の代表的なシーンのリプレイに惹きつけられた。
ライフ・イズ・ミラクル 2004 仏・セルビアモンテネグロ エミール・クストリッツァ ★★★☆ のどかな街で妻と息子とともに平和に暮らしていた鉄道技師ルカであったが、内戦のぼっ発により捕虜となった息子を奪還すべく、人質になりそうな名家の令嬢を預かることにするのだが・・・。悲劇的な物語にもかかわらず、クストリッツァ監督らしい躁状態の演出が続くのがなんとも言えず魅力的。終盤までの間に小さなエピソードを紡ぎ合わせていく手法もツボにはまった。
ライアーライアー 1997 米 トム・シャドヤック ★★ モ息子の切実なお祈りのせいで嘘をつけなくなった天性の嘘つき弁護士が裁判にプライベートにドタバタを繰り広げる。家族にはすぐばれるような嘘で裁判に勝ち続けていた、という点にリアリティがないことはなはだしいい、内容も予定調和&ベタであるが、主演のジム・キャリーの一人ドタバタは楽しかった。
ラヴェンダーの咲く庭で 2004 英 チャールズ・ダンス ★★ 第二次世界大戦前の英国の田舎の海岸に英語の喋れない異国人の美男子が打ち上げられ、老姉妹の保護のもとヴァイオリンの演奏で村に溶け込んでいく。物語自体はほぼ予測の範疇に収まるので単調だが、淡々とした空気が好きな人のツボにははまるかも。老姉妹の心の中に芽生えたほのかな恋心と独占欲の絡み合いを自然に演じるジュディ・デンチ&マギースミスの名女優同士の自然な掛け合いが見事。
ラウンド・ミッドナイト 1986 米・仏 ベルトラン・タヴェルニエ ★☆ 1959年のパリ。アメリカからやって来たテナー・サックス奏者デイル・ターナーの演奏に惚れこんだ貧しいグラフィック・デザイナーのフランシス・ボリエは師弟関係を結んでいく。実在のジャズ・ピアニスト、バド・パウエルとサックス奏者レスター・ヤングとの関係を元ネタにしているらしいのだが、だらだら続くジャズ界の物語に辟易とした。映画として面白いと言える要素も特になく、ジャズに対する造詣が深くない限り門外漢として鑑賞することになるだろう。
ラストラブ 2007 日 藤田明二 妻の死をきっかけに姿を消した世界的サックスプレイヤー阿川明は清掃局の職員・結と出会いに恋に落ちるが、彼の体は病魔に侵されていた。よく”実話”をウリにしながらもやたらとフィクション色の強い映画やドラマがあるが、本作はそこから”実話”を抜いて、露骨な”偶然”と”泣き”の部分だけを残した感じ。
ラ・ボエーム 2008 独・オーストリア ロバート・ドーンヘルム ★★ プッチーニによる同名オペラの映画版。19世紀初頭のパリの屋根裏部屋を舞台に売れない詩人ロドルフォとお針子ミミとの悲劇的な恋愛を描く。アンナ・ネトレプコとローランド・ビリャソンという当代随一のコンビの共演らしいが、あいにくとオペラへの造詣が殆どないので、その有難みもわからなかったし、全編オペラもちょっとつらかった。映画としては構図やセットなどの作りが丹念であると感じた。
ラルジャン 1983 仏・スイス ロベール・ブレッソン ★★★ 少年たちが軽い気持ちで使った偽札が回りまわって平凡な生活を送って来たある男の人生を狂わせていく。ラルジャン(金銭)が動機となって負の連鎖が続いていく展開を、禁欲的なまでに無駄をそぎ落とした画面構成・カメラワーク・演技の連鎖で紡ぎ上げていく。表面的には殆ど見えない欲望や悪意が人々の間を巡り巡っていく陰湿な内容が人間社会の根源的な悪を突いており、短めの時間ながらも密度が濃くて堪能できた。
ランブルフィッシュ 1983 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★ 対立するグループとの抗争に明け暮れる少年ギャング団を牛耳る高校生ラスティ・ジェームズはたちのもとへ、ラスティの兄にして伝説の前リーダー・バイクボーイが帰って来るのだが・・・。ダンス&ミュージカル抜きの「ウエスト・サイド・ストーリー」に少年〜青年期の葛藤を足したといった感じで、スタイリッシュなモノクロ映像とカラーのランブルフィッシュ(闘魚)が印象に残った。
リで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
リオ・ブラボー 1959 米 ハワード・ホークス ★★ メキシコとの国境に近いテキサスの町リオ・ブラボ--保安官のチャンスは、街の有力者バーデットの弟ジョーを逮捕したがゆえに、わずかな仲間たちとともに正義の戦いへ挑むこととなる。早射ちの名人デュードはともかくとして、残りは身体の不自由な老人と美人とただの友達くらいしかいないあたりが、いかにもな西部劇風。不死身の男ジョン・ウェイン主演だけあって安心して見られる娯楽劇だが、特別な面白みがあるわけではない。
リオ・ロボ 1970 米 ハワード・ホークス ★★ 南北戦争末期に起きた南軍による金塊強奪事件で知己の間柄となった、元北軍のマクナリー大佐と元南軍のコルドナ大尉に美しい娘シェスタは、思い思いの目的を携えて無法者の町リオ・ロボへと乗り込む。序盤の大がかりな列車強襲の爽快さにどうなることかと期待して見ていたが、結局途中からジョン・ウェインお得意の助太刀風西部劇になってしまったのがやや残念。シェスタ役のジェニファー・オニールが綺麗だった。
理想の女 2004 英・伊・米・スペイン・ルクセンブルク マイク・バーカー ★★ 1930年代のイタリアはアマルフィ、ニューヨークからやって来た新妻メグは、夫が悪名高い中年女性に籠絡されているのではないかと疑心暗鬼に陥り、自らに言いよるプレイボーイの甘言に傾いていくのだが……。上流階級の人々の避暑地での生活に焦点を当てながら、ある夫婦の危機とその周囲の人々の視線や振る舞いを淡々と描く。終盤の一捻りはなかなか良かった。
リトル・チルドレン 2006 米 トッド・フィールド ★★☆ 児童性犯罪者ロニーが社会復帰してきたことに揺れているある住宅街を舞台に、お互いに夫婦関係が上手くいっていない専業主婦のサラと司法試験受験中の主夫ブラッドは子供をだしに不倫関係へ堕ちていく。ナレーションという説明に頼り過ぎの内容と、時折行動原理不明になる登場人物に対する違和感はぬぐえないが、シンプルながらも美しい画と、平常と保ちつつもドラマが起きているという群像劇がツボにはまった。
リトル・ロマンス 1979 米 ジョージ・ロイ・ヒル ★★☆ 天才的な頭脳を持ち大の映画マニアのフランス人少年ダニエルは、映画撮影現場で出会ったアメリカ人美少女ローレンと恋に落ち、永遠の愛を確かなものにするためベネチアへと向かう。ハイデガーについて語り合うなど少々癖があるものの純真なキャラクターを生かした通な作りに魅せられた。
竜馬暗殺 1974 日 黒木和雄 ★★★ 荒々しくも斬新な感覚で描かれた坂本竜馬人生最期の3日間。モノクロで、架空の物語風で、ヌーベルバーグを彷彿とさせる実験的な手法が目に新しいのは勿論であるが、英雄とされた志士たちの物語を汗と泥くさい男たちの青春物語として描いているところも新鮮でかえってリアリティを感じた。
竜馬の妻とその夫と愛人 2002 日 市川準 ★☆ 坂本竜馬が暗殺されてから13年後、竜馬の元妻おりょうとその現夫と愛人とかつての同志の4人の不可思議な四角関係を描く。三谷幸喜脚本によるドタバタ・コメディであるが役者同士がうまくかみ合っておらず空回りしている。特に木梨憲武がひどい。実質が密室劇(舞台劇)なので、もっと力のある役者を配していれば印象は変わったかも。
旅情 1955 英 デヴィッド・リーン ★★☆ なけなしのお金をはたいて憧れの水の都ベニスを単身訪れた中年アメリカ人女性ジェインは自分を熱い目で見つめる中年イタリア人男性レナートと出会う。アバンチュールを期待しながらも恋愛に積極的になれない中年女性の心情をしっとりと描いた大人向けの内容。外国旅行が珍しかった当時の世相を反映してか、疑似観光体験を意識した映像が多い。
輪廻 2005 日 清水崇 ★★ 35年前に起きた謎の連続惨殺事件が映画されることとなり、見事に主役の座を射止めた無名女優・杉浦渚はロケ隊一行とともに惨劇の舞台となったホテルを訪れる。映画としては至極まっとうな撮り方なのだが、必死過ぎてかえって笑えるサスペンス・ホラーという微妙な味わいになっている特徴の和製”ちょっとシャイニング”。
ルで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ルキノ・ヴィスコンティ 1999 伊 カルロ・リッツァーニ ★★★ 関係者の証言をもとに映画監督ルキノ・ヴィスコンティの業績を追ったドキュメンタリー。尺の問題からあっさりとしているものの、ヴィスコンティ入門編としては最適の内容といえるだろう。
ルパン 2004 仏 ジャン・ポール・サロメ ★☆ 怪盗アルセーヌ・ルパンは、母に似た美貌を持つカリオストロ伯爵夫人の魅力の虜になってしまい、相思相愛だった従妹クラリスと距離を置いていくのだが・・・。この映画の最大の衝撃はルパンがマザコンだった、ということに尽きるだろう。行動原理不明のラストの奇行?とフランス映画らしい気取リ過ぎの雰囲気も気に食わなかった。
レで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
レーサー 1969 米 ジェームズ・ゴールドストーン ★☆ トップ・レーサーとして名を馳せるフランクは「インディ500」に出場するのだが、その裏にはスランプ、ライバルであり親友でもあるルーと愛妻の不貞の事実など、苦悩が隠されていた。主演兼製作のポール・ニューマンのナルシスティックなまでの孤独振りとレース愛がほとんどすべてといえる内容。
Ray/レイ 2004 米 テイラー・ハックフォード ★★★ ソウル・ミュージックの大スター、レイ・チャールズの前半生。レイは7歳で視力を失うも音楽に打ち込み、やがて盲目の天才と呼ばれ大スターへとのし上がっていくのだが、その心身は麻薬に蝕まれていた。綺麗事だけに終わらせない真摯な姿勢と、プロミュージシャンになって以降の出来事をコンパクトにまとめつつ、レイの実生活にオーバーラップする楽曲を組み合わせて綴っていく作りが良かった。
レインメーカー 1997 米 フランシス・フォード・コッポラ ★★☆ 2時間の尺に悪徳弁護士事務所での勤務・独立開業・不倫愛・殺人事件・保険会社相手の訴訟と少々エピソードを詰め込み過ぎた新米弁護士奮闘記。面白いことは面白いのだが、濃厚な複数軸が成り立ちうる内容なので、映画よりも連続TVドラマに向いている題材と感じた。
レッドクリフ partI 2008 米・中・日・台・韓 ジョン・ウー ★☆ 紀元3世紀初頭の中国、魏の曹操の猛攻に敗走するしかなかった劉備は軍使・諸葛亮孔明を呉に派遣して孫権の加勢を得ようと働きかけ、ここに名高い赤壁の戦いが始まるのだった。アジア(中国)だってその気になればハリウッド映画に匹敵するスペクタクル映画を作れるぞ、という意気込み通り、大雑把だがダイナミックな映像とCG頼りの内容に仕上がっている。赤壁の戦いの前哨戦で終わってしまうのと、フィクションである三国志演技をさらに脚色している点に注意。
レッドサン 1971 仏・伊・スペイン テレンス・ヤング ★★ 1870年の西部、日本から訪米中の使節団は、リンク率いる強盗団に列車を襲われ、大統領への献上品である宝刀を奪われてしまうも、相棒ゴーシュのの裏切りに遭い、宝刀奪還を目指す黒田とともに連れ立つことになる。おおらかな米国人と生真面目でちょっと神秘的な日本人の珍道中を描いた異色のウエスタン。筋書きのしょぼさはさておき、日米のカルチャーギャップを生かしたネタと、三船敏郎、C・ブロンソン、A・ドロンの三大スター共演がなかなか楽しい。
レディ・イン・ザ・ウォーター 2006 米 M・ナイト・シャマラン 心の傷を抱えながらもアパートの管理人として平凡な生活を送っている中年男クリーブランドの前に、”ブルー・ワールド”から来た”海の精”ストーリーが現れる。日常的な物語にファンタスティックな要素を付け加えるアイディアはともかくとして、面白くとも何ともないストーリー・テリングと、この監督特有の”こけおどし”演出のうさんくささがあいまって何とも締まりのない作品という印象を受けた。
レデL 1965 米・仏・伊 ピーター・ユスチノフ ★☆ 英国民から愛されているレンデール公爵夫人は80歳の誕生日に伝記の出版を求められると、自らがフランス人で、娼館に洗濯物を届ける仕事をしていて、やがてお尋ね者の義賊と恋に落ち、というとんでもないことを語り始める。冒頭が面白いものの、回想に戻ってからはどうということはないラブコメになってしまった。19世紀末の雰囲気を再現したセットと衣装が最大の見どころか。
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 2004 米 ブラッド・シルバーリング ★★ 突然の火事で両親を亡くしたボードレール家の3人の子供たちは、遠縁のオラフ伯爵に引き取られることになるが、オラフは彼らが相続した遺産を自分のものにしようとその命を狙っていたのだった。本当は怖いブラック・ファンタジーのはずなのに、能天気な描かれ方をしているので気楽に見れる娯楽作品に仕上がっている。洒落たエンディング・ロールが楽しかった。
恋愛小説家 1997 米 ジェームズ・L・ブルックス ★★☆ 生来の毒舌と変人振りがたたって老境に差し掛かってもいまだに独身の恋愛小説家メルヴィンは、行きつけのカフェの子持ち中年ウェイトレス・キャロルに惹かれていく。とんでもなく偏屈だが意外と良い人の主人公、ゲイの画家サイモンが醸し出す不思議な三角関係の雰囲気も良かったが、何といっても名演技を連発する脇役の犬が最高に可愛かった。
ロで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
老親 2000 日 槙坪夛鶴子 ★★ 老いた実母と義父の扱いに苦しみながらも自立を目指そうとする中年主婦を通して介護問題を描いたヒューマン・ドラマ。製作年代の割には価値観が前時代的だがまずまず見られる内容。離縁した夫の父(元義父)との対話と、介護の原点を対等に求めては、というメッセージが印象に残った。
老人と海 1958 米 ジョン・スタージェス ★★ 言わずと知れたアーネスト・ヘミングウェイの晩年の代表作の映画化作品。84日間もの間の不漁に見舞われた老人サンティアゴは、85日目にようやく巨大なカジキを釣り上げることに成功するのだが・・・。原作に忠実に過ぎるほど忠実に映画化されているので特に非をうつところはないが、それゆえに小説を映画化することによる失敗も醍醐味も感じられない。
蝋人形の館 2005 豪・米 ジャウマ・コレット・セラ ★☆ ルイジアナにある打ち捨てられたような町アンブローズにある蝋人形館に迷い込んだ6人の若者を惨劇が襲う。序盤はからっきし静かで、中盤以降がちょっとエロが混じりつつグロになるありがちなB級ホラー。
ローマで起こった奇妙な出来事 1966 米 リチャード・レスター ★★★ 古代ローマを舞台に奴隷からの解放を望む中年小太りオヤジ・スードラスが、ちょっとおかしな主君一家や隣人たちを巻き込んで騒動を巻き起こす。ベタであるし、音楽も大して良くないし、画作りも下手であって、映画としては出来が良いとは言えないのだが結構笑えてしまう荒唐無稽なドタバタ・コメディ・ミュージカル。。
ローラーとバイオリン 1960 ソ連 アンドレイ・タルコフスキー ★★☆ バイオリン弾きの少年とローラー引きの青年の心温まる交流。大学の卒業制作でこれだけの作品を作れてしまうとは、やっぱりタルコフスキーは違う。
ロバと王女 1970 仏 ジャック・ドゥミ ★★ シャルル・ペローの「ろばの皮」が原作。昔々のこと、金銀財宝を産むロバを飼っていた賢君の誉れ高い王は、美しい妃に先立たれてしまい、妃より美しい女としか再婚しないと誓うのであったが、この条件を満たすのは亡き妻との間に生まれた一人娘だけであることに気づき実の娘に求婚してしまう・・・。王女が妖精の言葉に従って無理難題を突きつけたりするあたりのテンポの良い童話タッチはまずまずだったが、メロディーに魅力のないミュージカルシーン(クッキング・シーンを除く)、安っぽいセット、中盤以降の先の読めてしまう展開に、唐突すぎるオチがかなりしょぼかった。何か大きな暗喩があるものと思っていた”ロバの皮”も何の意味かよくわからないままだった。ただ主演のカトリーヌ・ドヌーブは綺麗だった。
ロビン・フッド 1991 米 ケビン・レイノルズ ★★☆ 12世紀後半のイギリスに実在した森の義賊ロビン・フッドの伝説を王道を行く娯楽大作として描く。主人公は典型的なベビーフェイス、悪玉はどこか憎めない、姫とのラブロマンスがあり、脇役たちも個性豊かで、安心して見られる、という娯楽映画のツボを押さえたまずまずの出来。
ロボコップ 1987 米 ポール・ヴァーホーヴェン ★★★ 近未来のデトロイト、強盗一味に惨殺されたマーフィは、オムニ社によってサイボーグ警官ロボコップとして蘇るが、次第にマーフィの記憶が蘇っていき・・・という王道の内容。感情を示せないロボコップの圧倒的な強さと、その裏に漂う哀愁と、女性警官ルイスとのやり取りが良い。
ロボコップ2 1990 米 アーヴィン・カーシュナー ★★ 麻薬密造者対ロボコップ対オムニ社。1にあった哀しさが薄れてしまったのが残念。シリーズでは一番印象に残らない。
ロボコップ3 1992 米 フレッド・デッカー ★★ 強制地上げを行う日本企業対ロボコップ。バブル期の日本はアメリカ最大の敵だった。敵のアンドロイドニンジャ?は日本人じゃなくて中国人だよ、というつっこみはさておき、空まで飛ぶようになって完全に哀愁のなくなってしまったロボコップを単純なヒーローと割り切って観るのが本作を愉しむコツだろう。
ロマンシング・ストーン  秘宝の谷 1984 米 ロバート・ゼメキス ★★ 誘拐された姉を救い出すために南米へ向かった作家は、そこで出あった自分の小説の登場人物のような魅力的な男と出会い、やがて秘宝を巡る争いに巻き込まれていく。劣化したインディ・ジョーンズのようなアドヴェンチャーだが、B級と割り切ればそこそこ観られる。
ロミオ&ジュリエット 1996 米 バズ・ラーマン シェイクスピアの代表作である「ロミオとジュリエット」の舞台を現代に移し変えて描いた一作。現代が舞台とはいえなぜかぐだぐだのチンピラ劇に貶めてしまい、現代なのに中世のしきたりはそのままで、挙句の果てに要所要所でシェイクスピアの名台詞をそのまま吐かせるとは一大喜劇か? 名優と迷優の境目にいるレオナルド・ディカプリオ主演というのもそれに一層拍車をかけている。爆笑するか呆れるかのどちらしかしかない駄作。
ロミオとジュリエット 1968 英・伊 フランコ・ゼフィレッリ ★★☆ 中世イタリアのベローナ、激しく反目しあうモンタギュー家とキュピレット家が流血沙汰まで引き起こす争いを繰り広げる中、モンタギューの御曹司ロミオと、キュピレット家の一人娘ジュリエットは、仮面舞踏会で出会い激しい恋に落ちてしまう、という言わずとも知れたシェイクスピアの代表作を格調高く映画化。古式ゆかしい作風であり、斬新さや新鮮味はないものの、しっかりとした作りがされた佳作。聞きどころはニーノ・ロータの甘いテーマ曲。見どころは何といってもジュリエットを演じるオリビア・ハッセーの純朴な可愛らしさと健康的で豊満な肢体につきる。
ロリータ 1962 英 スタンリー・キューブリック ★★★ ウラジミール・ナボコフ原作。夏のバカンスの下宿先で未亡人シャーロットの愛娘ロリータに魅せられた仏文学者ハンバートは、夫人と結婚することでロリータとの縁を深めようと考える。文学映画らしいを格調高い雰囲気と生き生きとした役者陣がいい。キューブリックは役者を動かすのも上手い。
ロレンツォのオイル 命の詩 1992 米 ジョージ・ミラー ★★☆ 数年に死に至る副腎ジストロフィーという不治の難病に冒されてしまった息子ロレンツォを救うべく、両親のオドーネ夫妻は独学で治療薬を開発しようと取り組み始める。ドラマよりもドラマティックな実話を手堅くまとめた佳作。決してあきらめない両親を演じるニック・ノルティとスーザン・サランドンの熱演ぶりが印象に残った。
ロング・エンゲージメント 2004 仏 ジャン・ピエール・ジュネ ★☆ ドイツ軍との前線で軍法会議により処刑されたという婚約者マネクの死を信じられないマチルダは真相を探る旅に出る。いかにもジュネ監督らしいという点で創造の幅の狭かった映像美も含め、全体的にデ・ジャブ感が強い内容なので眠くなった。
ワで始まる映画 製作年国 監督 評価 寸評
ワーキング・ガール 1988 米 マイク・ニコルズ ★★ キャリア・ウーマンのサクセス・ストーリー。元気一杯の女優陣と彼女たちに圧倒されて、影の薄い変な男に成り下がってしまったハリソン・フォードが印象に残った。
ワールド・トレード・センター 2006 米 オリバー・ストーン ★☆ 2001年9月11日、ニューヨークにある世界貿易センターにハイジャックされた航空機が突っ込み、警官たちは現場に駆け付けるのだが・・・。現代アメリカ史上最大の悲劇をテーマに扱っているとはいえ、ありきたりなパニック&プロパガンダ映画に仕上げてしまっては、反骨の男オリバー・ストーンが体制側に魂を売った、と言われても仕方ないだろう。
ワーロック 1959 米 エドワード・ドミトリク ★★ マックオウンの経営するサン・パブロ牧場の暴れ者たちが跳梁するワーロックの町、町の人々は自衛のために保安官クライを呼ぶことにしたが、クライの友にして悪評のつきまという賭博師モーガンも一緒にやって来た。ヘンリー・フォンダが主役のという時点で典型的な西部劇かと思われたが、善悪がはっきりしない登場人物が多いく意外に見られた。
ワイアット・アープ 1994 米 ローレンス・カスダン ★★ ケビン・コスナー主演作。ワイアット・アープの人生を忠実に描こうとしているので、淡々としていて、時間も長くなった西部劇。もっとも、肝心な銃撃戦では、まともに弾のあたる気配のないキルゴア大佐並の不死身ぶりを見せるので中途半端な印象を受ける。
YYK論争 永遠の”誤解” 1999 日 沖島勲 ★★★☆ 予算3百万円・制作期間3日という枠で映画を撮影する人々を描く。劇中劇のY(義経)Y(頼朝)K(清盛)のドラマ、雑談のエピソード、何の脈絡もなく現れる自衛隊、と相互に関連性があるとは思われない多くの要素をさりげなくしかし巧く繋いだ手腕はお見事。ファンタジックで脱力感に溢れているカルト映画ファン必見の逸品。
ワイルドアット・ハート 1990 米 デイヴィッド・リンチ ★★☆ リンチらしい悪趣味を随所に散りばめたかなり毛色の変わった愛の逃避行。リンチ・ファンのはずなのにところどころ気持ち悪くなった。
ワイルド・スピード 2001 米 ロブ・コーエン 警官が犯罪一味と疑われる暴走族に潜入捜査して・・・という物語であるが、見せ所はカーチェイス・シーンだけ。リアリティのない設定と蛇足のどんでん返しに呆れた。この内容で続編が作られたことが一番の驚き。
ワイルド・チェンジ 1989 米 ジョン・G・アヴィルドセン ★★ ドラッグなどで荒れ果てた高校を文字通りワイルドにチェンジしようとする実話ベースの物語。モーガン・フリーマンの存在感が際立つ拾いもの。キレイごとだけでは済まない現実を垣間見せる。
ワイルド・バンチ 1969 米 サム・ペキンパー ★★★ 1913年のテキサスとの国境の町、パイクたち5人組の強盗集団は、かつての仲間ソーントンを中心にする一団に追われ、メキシコへと流れつくのだが・・・。暴力描写の巨匠サム・ペキンパー監督の代表作の恥じない代名詞のスローモーションを駆使した激しい銃撃戦などの映像の力で観る者を圧倒する。今観るなら完全版とでも言うべき↓下記バージョン。
ワイルド・バンチ ディレクターズカット版 1994 米 サム・ペキンパー ★★★☆ ↑の事実上の完全版。昔ながらの強盗を続ける男たちと、彼らを追うために雇われたかつての仲間を軸に、美学に殉じようとする荒くれ者どもの姿を、耽美的な映像とド迫力の銃撃シーンで描き出す。西部劇ものとしては最高級の出来映えで、勧善懲悪ものとは一線を画す内容。古さどころかむしろ年を追うごとに斬新さが増してくるかのように感じさせる傑作。
ワイルド・ワイルド・ウェスト 1999 米 バリー・ソネンフェルド ★★☆ 西部開拓時代、騎兵隊大尉ジェームズ・ウェスと発明狂の法執行官アーティマス・ゴードンは、グラント大統領の命令により、合衆国転覆を企む一味の捜査にあたることになる。西部開拓時代なのに、黒人&白人がコンビで、レトロSF調の機器が登場する世界がユニーク。おバカ過ぎるにもほどがある内容だが、軽い気持ちで観るには十分の内容。
若い人 1952 日 市川崑 北海道の女学校で教師を務めるイケメン男(独身)は、画才と文才を兼備する美しい女学生の不幸な境遇を見かねて救いの手を差し出すのだが、なぜか自分の子供を妊娠したという嘘を言い立てられてしまう。作中にわずかに出てくる絵のセンスと脇役の杉村春子の上手さが秀逸だったが、本筋は陳腐な文芸物で、雪中のキス・シーン以降の怒濤の展開&オチのバカバカしさで大失笑した。いっそのこと両方と肉体関係を持たせてもっと深刻さと真剣味が増していれば・・・と思ったのだが、この時代にそれを求めるのは無理か。
若草物語 1994 米 ジリアン・アームストロング ★★ ルイザ・メイ・オルコット原作の正統派文芸映画。南北戦争下のアメリカを生きるマーチ家の4姉妹の青春を描く。定番以上のものはないが、静かな日常がドラマになっている原作のイメージを崩さずに映画化できている。
わが故郷の歌 2002 イラン バフマン・ゴバディ ★★☆ 老いた父親と中年息子兄弟二人のミュージシャン一家、別れた妻を思う父・妻沢山の兄・独身を貫いている弟、によるやかましい3バカトリオの旅を通じて、クルドの歌と生活を描き出したロードムービー。歌や踊りの躍動感は楽しかったが、寓話的なまでの馬鹿っぽさと厳しすぎる現実とのギャップの激しさには良くも悪くも驚かされた。
わが谷は緑なりき 1941 米 ジョン・フォード ★★☆ ウェールズにあるロンダ渓谷に住み、近くにある炭鉱で働いてるモーガン一家は強い絆で結ばれていたが、炭鉱での賃金引き下げに発したストから一家の生活は徐々に、しかし、確実に変わっていくのだった。序盤の明るくも力強い歌と人の密度の濃さで、炭鉱界隈の雑然とした生活を描き、家族や炭鉱仲間の絆を描きつつも、徐々に変転していく展開にぐっと引きこまれた。古風ながらもなかなかの味わい。
我が道を往く 1944 米 レオ・マッケリー ★☆ ニューヨークの下町にある貧乏教会に、老神父の後任候補としてやってきた陽気で歌好きなチャールズは、周囲の誤解により偏見を解きほぐし、徐々に信頼を得ていくのだが、ある日、火事により教会が存続の危機に陥ってしまう。古いということもあるが全体的にのんびりとし過ぎていて起承が長く、かつ、ひとつひとつの画やエピソードに特に魅力があるわけでもなかったのできつかった。王道を往く心温まるヒューマニズム作品が好きな人には良いのかもしれないが、あまりにも王道過ぎて(教科書的ともいえる)自分の波長には合わなかった。
わが家の楽園 1938 日 フランク・キャプラ ★★☆ 理想郷のような共同生活を送る家をめぐる地上げ騒動の顛末を、生粋の資本主義者カービー家と、自由に生きることに価値を求めるヴァンダーホフ家の面々を通じて対比的に描きだす。相当ベタだが、キャプラらしいど真ん中ストレートのメッセージが生み出す寓話調の展開が胸をうつ。
惑星ソラリス 1972 ソ連 アンドレイ・タルコフスキー ★★★★ 人知の及ばない生命体である海をもつ惑星ソラリスの周回軌道に乗っている宇宙ステーションに送り込まれた心理学者クリスのもとに今は亡き妻ハリーが現れる。特撮シーンなど殆どないSF映画で、人間存在そのものと愛に迫っていく深遠な内容に重きを置いている。テーマそのものを表現しているかのような川の中でゆらめく水草を映したオープニング・シーンは鳥肌が立ってくるほど素晴らしかった。ズームや細かい移動を頻繁に繰り返す少々ぎこちないカメラ・ワークが目立つのが惜しまれるところ。
WASABI 2001 仏 ジェラール・クラヴジック 元恋人の生地である日本を舞台に、フランス人刑事(ジャン・レノ)の活躍と元恋人の遺児(広末涼子)の交流を描く。日本っぽいものを映しとけば客が食いつくだろう、というやっつけ仕事的いい加減さが目につきすぎる。せめてタイトルくらいは真剣に考え抜いた上に付けてほしかった。
私の頭の中の消しゴム 2004 韓 イ・ジェハン ★★ 不倫の過去を断ち切った蒼井優に似た女スジンは、偶然出会ったがさつな男チョルスと恋に落ちて結婚して幸せな家庭を築き始めるも、若年性アルツハイマーにかかってしまって・・・、という韓流のど真ん中を行く悲恋ドラマ。脚本の都合に合わせた病気の症状や、劇的な盛り上がりを見せる幸せっぷリなど、虚構感たっぷりで失笑を誘う部分も多々あるが、取り立ててひどいという程でもなく及第点というところ。余談だが「ここは天国なの?」という問いかけには、「そうだよ」なんて陳腐な台詞を吐かずに、「いや、ファミマだよ」と答えて欲しかった(笑)。
わたしのグランパ 2003 日 東陽一 ★★ 両親と祖母とともに平凡な毎日を過ごしていた中学1年珠子は、刑務所を出所して13年ぶりに帰って来た祖父健三の巻き起こす騒動に巻き込まれることになる。終盤になるにつれて原作者・筒井康隆の妄想めいた展開が激しくなり過ぎるのが難点か。菅原文太と石原さとみによる祖父・娘のコンビはハマり役。
WATARIDORI 2001 仏 ジャック・ペラン ★★★ 多種にわたる”渡り鳥”たちと一緒に飛んでいるかのような気分を味わえるドキュメンタリー。ワン・パターンに過ぎるので中だるみは否めないものの、子供の頃から飼いならした鳥たちと、グライダーでカメラマンが一緒に飛びながら撮影する、という手法によって実現された鳥の視点のように動くカメラ・ワークがファンタジーそのもので希少価値がある。
笑う大天使 2006 日 小田一生 漫画家・川原泉の代表作の映画化作品。超名門お嬢様学校「聖ミカエル学園」に転校してきたにわかお嬢様の史緒は、同じく上流階級の雰囲気に馴染めない、和音と柚子と絆を深めていき、やがてお嬢様誘拐事件に立ち向かうことに・・・。原作ののほほんとした雰囲気の再現はまぁまぁできているが、手間暇かけられないが故に使われたと思われる安っぽいCGを始めチープな演出に失笑の連続だった。
わらの女 1964 英 ベイジル・ディアデン ★★★ 大富豪の老人チャールズとその遺産を狙う甥のアンソニーの住む家に、美しく気高い新任の看護師マリアがやって来て頑固で気まぐれなチャールズを虜にしていくのだが・・・。各登場人物のはっきりとした性格付けを生かした人間ドラマとして面白いし、オチは今一つながらも心理サスペンスとしても良い出来栄えなのでぐいぐい引き込まれる。
悪いことしましょ 2000 米 ハロルド・ライミス ★★☆ 憧れの同僚アリソンをものにするべく、悪魔の誘惑に負けて魂と引き換えに7つの願いを叶える力を手にした冴えない男エリオットは、さっそく願いを実行するのだが・・・。願いを叶えて有頂天になったのもつかの間、致命的な欠陥に納得できず、異なる願いに切り替えていく男をおバカに描いたコメディ版”バタフライ・エフェクト”。ものすごいベタだが、大仰なまでにベタなタッチが面白い。
ワンダー・ボーイズ 2000 米 カーティス・ハンソン ★★ かつて文壇の寵児とうたわれながらも、スランプ気味で筆の進まないことに悩んでいる文学部教授が、変人の教え子が起こしたトラブルに巻き込まれていく。不良中年とオタク青年の小さな珍道中が可笑しいが内容自体は相当地味だし、テーマもはっきりしない。
ワンダとダイヤと優しい奴ら 1988 米 チャールズ・クライトン ★★★ 2000万ポンド以上はする宝石をまんまと盗み出した強盗団であったが、裏切りにより捕まったボスがこっそり隠し場所を変えていたことにより、仲間内で混乱が巻き起こるのだった。異国語だけで感じてしまう移り気なセクシー美女、嫉妬深いにも程があるイタリア系暴力男、人殺しは気にしないが動物愛護家の男などなど、濃い面子が繰り広げるドタバタ・ブラック・コメディ。傑作と言い切るほどではないけれど、笑えることだけは確か。英国の生んだスーパーコメディ集団モンティ・パイソンの一人であったジョン・クリーズの映画での最高傑作(脚本兼主演)。
ワン・ツー・スリー ラヴ・ハント大作戦 1961 米 ビリー・ワイルダー ★★★☆ 東西冷戦下のベルリン、コカコーラ社の支社長として左遷されている中年男は突然やって来た社長の娘を預かることになるのだが、彼女はよりにもよって東ベルリンの青年と恋に落ちて電撃結婚してしまうのだった。中間管理職の悲哀をジェームズ・キャグニーを配してコメディ色豊かに描いた逸品。冷戦に対する皮肉もたっぷりで相当笑える。内容と違いすぎる邦題をつけた人は何を考えていたのだろう?
わんぱく戦争 1961 仏 イヴ・ロベール ★★★ 隣村の子供たちとの戦いに敗れて囚われてしまうと服のボタンをすべてむしり取られてしまうという屈辱を避けるべく、ルブラックたちは全員素っ裸で戦うことを思いつく。バカバカしいながらも男の童心をくすぐる表設定と、裏設定としてフランス革命という内紛を笑い飛ばす陽気さが魅力的。男は子供も大人も大差はないが、子供の方がまだ騎士道精神があるという皮肉も気に入った。耳に残る音楽もグッド。
わんぱく旋風 1963 仏 イヴ・ロベール ★☆ 郊外からパリのデパートへやって来たマルタン一家であったがわんぱく盛りのベベールのおかげで一騒動が巻き起こることに・・・。子供が大人世界を演じるという風刺の意味もあった「わんぱく戦争」とは異なり、本作では子供が本当に子供らしく振舞うことで大人を困らせる、という内容となっている。主役の子供っぽさがすごいリアルだが、微笑ましいというより子供は悪魔だなと思い嫌な気分になった。
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