1990年頃のフェルナンデス製ネオストラト。トレモロユニットは下の写真にあるフェルナンデス製FRT-4が装着されていたが後述する理由でオリジナルFloyed Roseに換装している。 この時期のネオストラトの生産は量産メーカーからMoonなどのカスタムメーカーへと主軸が完全に移動していた。このようなギターを選ぶギタリストは仕様に細かい拘りがあるのが普通で量産メーカー向けではないことは確かだからそれは自然な流れともいえる。 量産メーカーによるネオストラトの生産が尻すぼみになる中,唯一最後まで気を吐いていたのがフェルナンデスだろう。おそらくFloyed RoseのトレモロユニットをOEM生産していたこともあり,販売戦略上このようなギターを作って販売する必要に迫られていたのではなかろうか。 当時12万円のハイグレードギターとあってスペックはなかなかもの。アルダー2pcボディー,ネックだけラッカー塗装されていて,写真のように細かなウェザーチェックが入っている。指板はエボニーでポジションマークには白蝶貝が使われている。ボディーはポリウレタンだが手間のかかるシースルー塗装。ハイポジションでの演奏性を高めるヒールカットのためボディーとネックの接続にはプレートは使用されず独立した4個のブッシュを介してスクリューで接続されている。このような接続法は1988年のFST-80から採用されているが,カタログで見る限りではスクリューの数は6本から4本に減っている。 PUはカナダEvans社製。フェルナンデスが採用している他社製PUは1986年のカタログまではEMG,1988年には他社製品は使用せず自社製オリジナルPUのみ,そして1991年のカタログにはこのEvans社のPUが掲載されている。EvansのPUについての知識はほとんどない。ネットで調べると盲目のギタリスト故Jeff Healey(ジェフ・ヒーリー)が使ったということくらい。彼はカナダ人だったからこのカナダ製PUを選んだのか,それとも純粋に音で選んだのかは分からない。 私自身もEvansのPUを鳴らすのは初めてだった。第一印象はノイズの少ないビンテージ系のPU,素直な音でクセが無く出力が低いタイプのP.J.Marx(型番忘れた)と似ている,ノイズが少なく出力は低め。パッシブなのでEMGのように音がやたらと立つわけはないが古い時代の高出力のPUには食傷気味なのでずっと気持ちが良い。いつもよりもPUを弦に近づけたセッティングにして丁度よいくらい,アタックと食いつきに拘る人には向かない,角の立ったリードプレイよりもバッキング向け。トーンポッドでコイルタップできるが,昔のYAMAHAのバイサウンドシステムと同じで押す操作だけで切り替えるので間違って切り替わってしまうことがある。やはり切替はプッシュ・プルタイプのものがいい。 FRT-4トレモロユニットはいただけなかった。弦を固定するボルトにドングリを半分に切ったようなノブがねじ込まれていて,これを回すことでファインチューニングをするという代物だが,ボディー表側にフロイドローズ用の座繰りが入れられているためにこれが回しにくくうまくファインチューニングができない。前の所有者はどうしていたのだろうかと不思議。できるだけオリジナルで使うことにしているが弾けなければ話にならないので手元にあるオリジナルFloyed Roseに交換した。 フェルナンデスはフロイドローズトレモロユニットをOEM生産しそれまで色々なバリエーションの機種を生み出していたが,おやつカンパニーのチキン味ベビースターラーメン以外の商品のようにどれもうまくいっていないように思う。唯一うまくいったように思うのがボルト内に弦を通すFRT-6(HeadCrasher)だが,これも弦長が長くなるためアームダウン時の音程が弦切り型に比べて下がりにくいという欠点がある。でもこれは欠点と云うよりも特徴だろう。 指板にエボニーが使われているギターを入手したときには一見綺麗に見えても指板を徹底的に清掃した方がよい。エボニー指板が汚れやすいのではなく汚れが目立たないので手入れがおろそかになっていることが多い。このギターも例に漏れず相当に汚れていた。
|