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1980年代後半 Bill Lawrence BK1M-60G 奥居香モデル


このギターを所有している人はおそらく次のような言い訳を準備しているだろう。

「別に俺は奥居香のファンじゃないんだけど,音が良くて弾いているんだ」

おそらくこのサイトを閲覧しているのはほぼ100%男性だろう。ギターのみならず車,バイク,カメラ,オーディオなど機械仕掛けのハードウェアにとことん拘るのは男だけの性質だから。ハードウェアに拘るのは「硬派」である証で,彼ら,いや我々が最も恐れるのが軟派,つまり「ミーハー」と呼ばれること。

だから女性ギタリストのシグネイチャーモデルを所有するような場合,「ミーハー」と呼ばれる前に先手を打ってエクスキューズを準備しておく必要がある。しかしこのギターに限っていえばそれは「言い訳」ではなく「本心」だ。

奥居香(現:岸谷香)さんについての詳細はこちらに譲る。仮に「ミーハー」と揶揄されても彼女のバンド"プリンセス・プリンセス"は日本の女性オリジナルバンド史に金字塔を建てたことは紛れもない事実。 プリプリが解散した後彼女らを超える女性バンドはまだ出現していない。

そんな偉大なバンドであってもやはりエクスキューズを準備せざるを得ないというのは硬派である男の悲しい性,私はプリプリのファンでもなく,奥居香さんのファンだったわけでもない。すみません。

ふとしたことでこのギターを手に入れた。正直いうと私は入手するまではこのギターをバカにしていた。定価6万円の,たかが(すみません)女性ギタリストのシグネイチャーモデルじゃないかと。

ところがアンプを通してその認識は一転する。とにかく音がいいのだ。アッシュボディーにメイプルネック,極太フレット仕様,フロントPUはブラックラベルだと思うが,ストラトのそれよりもずっと切れが良く弾いていてこれほど心地よいフロントPUはない。リアPUもいい。ギターを弾くまではL-500以外のビルローレンスのハムバッカーなどたいしたことは無かろうとバカにしていたが,弾いてみて驚いた,L-500的(つまりBL的)味付けがされたPAF系サウンド,これまたいい音。ストラトのようなホロー部分がないのでピックの食いつき,音の立ち上がりが同社のBL系ストラトより鋭い。

このギターの音の良さは手にした人なら分かるだろう。オークションでは塗装が全部剥がされた個体が出品されたことがある。塗装は気に入らないが音が良いのでなんとかしたい,そういう気持ちの現れだろう。でも音がいいからこそだとは思うが慣れてしまえばこんな色でも意外に好きになってしまうから不思議。

実はこれと同じギターをあと2本,つまり合計3本所有している。それほどまでに音を気に入っている。


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