★ 富国強兵!殖産興業!官営富岡製糸場の原点!!
   〜 お蚕様は三色の虫?養蚕起源説話!!

ホーム>バックナンバー2014>富岡製糸場世界遺産へ

富岡製糸場世界遺産へ
★ 養蚕起源説話
川柳チップス富岡製糸場関連

 本来、シルクロードは日本のための道ではない。
 古代中国の絹が中央アジアを経てヨーロッパへ伝えられた道である。
 が、日本からすれば、日本こそがシルクロードの終着点であった。
 世界史上、日本以上にシルクでもって発展した国はない。
 シルクこそが大日本帝国を築き上げたと言い切っても過言ではない。
 事実、戦前の日本は、世界最大の生糸生産輸出国であった。
 日本は欧米に絹を売り、兵器を買って軍事大国になったのである。
 その富国強兵殖産興業の象徴である富岡製糸場が、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しという。

現在の富岡製糸場場周辺(群馬県富岡市)

 歓迎の声がある一方、
黒歴史を世界遺産にしてもいいのか?」
富岡製糸場は『女工哀史
(細井和喜蔵著)』や『あゝ野麦峠(山本茂実著)』を連想させる」
富岡製糸場って、元祖ブラック企業だったのでは?」
 という否定的な声もある。
 が、「富岡製糸場元祖ブラック企業説」は否定していいであろう。
 そもそも富岡製糸場は、民間企業ではなく官営であった。
 女工は会社員ではなく、公務員だったのである。
 操業当初の女工の待遇については記録がある。

  【勤務時間】 午前七時〜午後四時半(実働七時間四十五分。季節によって差アリ)
  【 休 日 】 日曜・祝日および、年末〜正月(十二月二十九日〜一月七日)および夏の暑い日十日間
  【 月 収 】 能率給。一等工女二十五円
(現在の数十万円)。二等工女十八円。三等工女十二円。等外工女九円(現在の二十万円弱)
  【特別手当】 年二回作業服代として五円

 月収は一等工女は当時の優秀な新聞記者並みで、等外工女でも小学校教師や警察官並みであったという。勤務時間や休日を見ても、ブラックどころか破格の待遇であった。

 ではなぜ富岡製糸場の女工の待遇は良かったのか?
 官営のため、採算度外視が認められていたことのほかにも理由があった。
 女工募集の際、悪いうわさが流れたのである。
富岡製糸場の女工になるって?やめとけやめとけ。あれは異人が造った工場だ」
 富岡製糸場設立を指導したのはフランス人生糸検査技師・ブリューナ
(ブリュナ)である。
 彼もまた官に雇われた公務員
(お雇い外国人)であるが、その年収は九千円(現在の二億円弱)とべらぼうに高かった。
「ぼったくりだけじゃないぞ。異人は人の生き血をすするというぞ」
「女工募集なんてウソだ。本当は生娘の生き血を集めるのが目的なんだ」
「異人たちは夜な夜な意味不明な言葉をしゃべり、生き血で乾杯しているという」
「ウソじゃないぞ。見た者は一人は二人じゃない。大勢の人々が現場を目撃しているんだ」
 彼らは生き血ではなくワインを飲んでいただけのことである。
 それでもうわさが広まったため、工女確保は難航した。
 そのため待遇を破格とし、担当者自らの娘を工女にするなどして人員を確保したのであった。

 こうして操業開始した官営富岡製糸場であったが、やはり高額な人件費が赤字体質を生んだ。
 結局、明治二十六年(1893)に三井財閥に払い下げられ、価格度外視高待遇時代は終わったのである。
 それでもまだ大企業の女工はマシであった。
 下請け孫請けの中小企業では、おぞましい「女工哀史」が展開されたのである。

 やがて弱者を踏み台にして世界市場を席巻した日本の栄光の「シルクロード」も終わりを迎えた。
 世界恐慌とブロック経済政策により、無残にも引きちぎられてしまったのである。
 絹を売って兵器を買ってきた富国強兵殖産興業政策は傾いた。
 日本は残った片方の翼で、禁断の修羅の道へと驀進
(ばくしん)してゆくのであった。

 はい、というわけで今回はリストラ――、もとい、カイコのお話です。
 伝十六代大王・仁徳天皇
(にんとくてんのう。「天皇家系図」参照)の時代に日本初めて養蚕が伝えられた時の物語を紹介します。
 カイコの繭とは丸いものですが、このお話は少々角々しております。

[2014年4月末日執筆]
ゆかりの地の地図
参考文献はコチラ

「養蚕起源説話」登場人物

【仁徳天皇】にんとくてんのう。伝16代大王。聖帝。

【八田皇女】やたのひめみこ・おうじょ。後の大后。仁徳天皇の異母妹。
【桑田玖賀媛】くわたのくがひめ。仁徳天皇の想い人。
【吉備海部黒日売】きびのあまべのくろひめ。仁徳天皇の想い人。

【葛城襲津彦】
かずらき・かつらぎのそつひこ。仁徳天皇の側近。磐之媛の父。葛城氏の祖。

【平群木莵】へぐりのつく。仁徳天皇の側近。平群氏の祖。
【 速 待 】はやまち。磐之媛の使者。播磨国造の祖。

【うわさをする人々】

【 口 持 】くちもち。仁徳天皇の使者。的氏の祖。
【国依媛】くによりひめ。口持の妹。
【奴理能美】ぬりのみ。百済系渡来人。山背筒木の住人。

【葛城磐之媛】かずらき・かつらぎのいわのひめ。大后。

日本の世界遺産(〜2016.3/)

【文化遺産】
姫路城 (兵庫県) 怪談味
法隆寺地域の仏教建造物 (奈良県)
古都京都の文化財 (京都府・滋賀県)怨霊味ほか
白川郷・五箇山の合掌造り集落 (岐阜県・富山県)地震味
原爆ドーム (広島県)
厳島神社 (広島県)戦争味
古都奈良の文化財 (奈良県)奈良味ほか
日光の社寺 (栃木県)
琉球王国のグスク及び関連遺跡群 (沖縄県)
紀伊山地の霊場と参詣道 (和歌山県・奈良県・三重県)熊野味
石見銀山遺跡 (島根県)裏金味
平泉 (岩手県)
富士山 (静岡県・山梨県)富士味 山岳味
富岡製糸場と絹産業遺産群 (群馬県)お蚕味
明治日本の産業革命遺産 (鹿児島県・山口県・佐賀県・長崎県・福岡県・熊本県・静岡県・岩手県)

【自然遺産】
屋久島 (鹿児島県)
白神山地 (青森県・秋田県)
知床 (北海道) 北方味
小笠原諸島 (東京都)