★ 「忠臣蔵」は江戸時代の話じゃなかった!?
〜 南北朝時代の吉良上野介・高師直の暴走!
!

ホーム>バックナンバー2003>大米帝国の暴走

大米帝国の暴走
1.化け物
2.絶世の美女
3.恋文と恋歌
4.のぞき
5.おじゃん

 今年(平成十五年)も昨年十二月同様、忠臣蔵(ちゅうしんぐら)を取り上げたい。
仇討味」において、私は大米帝国アメリカの報復を赤穂浪士
(あこうろうし)の討ち入りになぞらえて皮肉り、仇討(あだう)ちはその連鎖を呼ぶだけだと、声を小にして警告したつもりであった。

 また、「窮地味」において、アメリカはイラク戦争には勝てたが、戦いを止めることができない泥沼に陥ってしまったと吐き捨てた。

 イラク戦争を起こしたのは、アメリカのブッシュ大統領であり、チェイニー副大統領であり、ラムズフェルド国防長官であり、ウォルフォウィッツ国防副長官らである。
 五月一日、ブッシュ大統領は空母リンカーン艦上で一方的に勝利を宣言したが、未だにイラク国内外で連日のようにテロが起こり、建物は壊され、人が殺されている。

「イラクを日本のようにしてやる」
 アメリカは言っていたが、不可能極まりない。
 日本が敗戦後、あんなにすんなりアメリカになついた理由は、二発の原子爆弾昭和天皇の玉音放送があったからであろう。
 つまり、アメリカがイラクを日本化させたければ、圧倒的な武力を見せ付けてイラク軍の戦闘意欲を奪い、フセイン大統領を捕らえ、国民に抗戦を止めるように呼びかけさせるべきであった。

 アメリカは、圧倒的な武力を見せ付けるだけはした。
 が、フセインを捕らえることはできなかった
(平成十五年十一月現在)
 しかも、フセインの息子のウダイとクサイを生け捕らず、殺害してしまった。フセインの失うものを無くしてしまったのである。
 アメリカは、アルカイダの首領・ビンラディンの息子も殺している。
 息子を殺された父親は「アメリカ憎し」の執念だけでジハード
(聖戦)を呼びかけ、逃げ回り、生き続けているのである。
「アメリカを倒すまでは、死んでたまるか!」
 今さらこの二人を捕らえてみたところで、鋼鉄の信念が覆されることはないであろう。
 しかもここへきて、大量破壊兵器はイラクにはなかったときた。
 つまり、きっかけは謀略だったわけである。
 謀略でもって戦争を起こした国は、たとえ他国を制圧できたからといって人心を掌握
(しょうあく)できないということは、日本に勝ったアメリカは、よく知っているはずではないか!

手の打ちようがない」
 十一月十四日、戦争発起人の一人・ラムズフェルド国防長官が、わらをもつかむ思いで来日した。
 これに対し、日本はしっぽを振って歓迎した。
日本はかわいい」
 ペットとじゃれ合うひと時の幸せ。

 相変わらず日本は、
自衛隊を派遣するか? しないか?」
 で迷っている。
 なんという次元の低い選択であろうか。
 本当は、
「アメリカの暴走を止めるべきか? 見守るべきか?」
 で、論議すべきではないであろうか?

 日本はバブル崩壊後もアメリカに次ぐ世界第二の経済大国であり、なぜか(軍隊もないはずなのに)世界第二の軍事大国でもある(平成十五年十一月現在)
 が、今の日本に大国の面影はない。アメリカにせびられるまま、カネを巻き上げられているいじめられっ子である。
 外国の人々もあきれ果てていることであろう。
日本には、自分の意見がないのか」
「アメリカのフンなのか」
「何が日本国だ。落日国じゃないか」

 これでいいのか!
 日本はアメリカに追随して世界の嘲笑
(ちょうしょう)を浴びるべきではない!
 日本はアメリカに反発してでも世界の喝采
(かっさい)を受けるべきであろう!
「カネくれ。もっとくれ。今度は人も出してくれ」
 そんなアメリカに対しては、
「嫌だね。ウチだって家計は火の車なんだ。自分でやった始末ぐらい、自分でしたらどうなんだ」
 と、はっきり拒否すべきではないのか!
「そんなことできない。アメリカ様に反抗したら、かの国が攻めてきたときに守ってもらえないから〜」
 そんなことを言っているから、かの国にもなめられるのだ!

 日本はアメリカに諫言(かんげん)すべきである。
 遅かれ早かれアメリカがイラクから撤退することは目に見えている。だから、その前に一発ガツンと言っておくべきだ。
「戦争は終わった。君は勝ったんだ。 いいかげんにイラクから引き上げたらどうなんだ。君がイラクにいるから、こんなにもテロが起きるんだ! 君の行為は世界中に迷惑を掛けているんだ! これは君のためでもあるんだ。君が意地を張れば張るほど、立場が悪くなっていくことが分からないのかね! この泥沼状況を打開するには、それしか方法はないじゃないか!」
 それでもアメリカが渋ったら、脅しを掛けてやるしかない。
「そんなに撤退が嫌なら、自衛隊はイラクではなく、ワシントンに派遣してやろうか?」

 アメリカは仰天するであろう。
(なんてことを言い出すんだ! 日本はどうかしてしまったのか……)
 それでもアメリカは、怒って攻めてくることはない。日本は大事な子分である。財布である。防波堤である。日本がどんなに高飛車に出ても、今のアメリカは文句をいえないはずである。
「どうなんだね? 日本としては泥沼のイラクに金をつぎ込むよりも、アメリカを攻めたほうがよっぽど安上がりなんだよ。そうなれば、テロリストたちもこぞって味方になってくれるだろう。それでもいいんだな?」
 いいはずがない。アメリカは仕方なく、イラク撤退を承諾するしかあるまい。

 それでも承諾しなければ、財布の紐を締めてしまえばいい。
 燃料を無くし、ガス欠にしてしまえば、暴走は自然に止まるわけだ。
「止まったじゃないか!」
 アメリカは一時的に怒るであろう。
「でも、テロも止まっただろう?」
 正気に返ったアメリカは、気付いてくれるに違いない。
「そうだったのか……」
 アメリカは日本に感謝するであろう。身を張って自分を止めてくれた日本に、真の友の姿を見るであろう。本当のところ、自分も暴走を止めたかったのだ。誰も止めてくれないから、仕方なく走っていただけだったのだ。

「さすがは日本だ。頼るべきは日本しかない」
 アメリカだけではない。そうなれば、世界中の人々が感涙にむせぶであろう。
日本がアメリカの暴走を止めてくれた!」
「フランスもドイツもロシアですら止められなかった、大米帝国の暴走を止めてくれた!」
「さすがは日本だ! 日本は沈んでいなかった!」 

 まあ、これは私の勝手な空想であって、現実の日本は何もしない。それどころか、泥沼のイラクに今にも自衛隊を派遣してしまうかもしれない状況である(後に本当に派遣してしまった)
 つまり、日本はアメリカの親友になれる絶好のチャンスを失うのである。いじめられっ子を卒業する絶好機を逃してしまうわけである。
 逃したければ逃せばいい。日本は近い将来、中国に抜かれ、統一朝鮮に抜かれ、東南アジア諸国にも抜かれて、聖徳太子より前の、どこにあるかも分からない極東の一辺境国に成り下がるであろう!

 それでいいのであろうか?
 それはそれで、気楽でいいのかもしれないが……。

 今の日本は悲観的になりすぎていないであろうか?
 今の日本には、自信と自覚が必要であろう。
 ソビエト連邦が崩壊した今、大米帝国の暴走を止められることができるのは、この国をおいてほかにないではないか!
 十一月三十日
(日本時間)、イラクのティクリット(ティクリート)日本人外交官二人が殺害された。未だに自衛隊を派遣すると言い張っている日本に対してのテロリストの挑戦であろう。
来るなら来てみろ。アメリカに味方する者は皆殺しにしてやる」

 つい最近まで、日本は中東の人々に嫌われてはいなかった。
 アジアきっての先進国として、憧憬
(しょうけい・どうけい)の的であった。
 また、テロリストにとって日本は、かつてアメリカと戦ったことのあるアジアの雄国であった。彼らの行う「自爆テロ」が終戦間際の日本の「特攻」をまねていることは、誰が見ても明らかであろう。
 ところが、アフガン戦争とイラク戦争によって、彼らの見る目は変わってしまった。

 小泉純一郎首相は中国や韓国などの反発を押し切ってまで、一年に一度の割合で靖国(やすくに)神社を参拝している。また、特攻隊の話を聞いて、涙したとも言う。
参拝しなければ、死んでいった方々の魂に申し訳ない」
 そんな思いなのであろう。それならば、日本と同じようにアメリカと戦い、日本と同じように自爆テロで死んでいった人々の魂はどうなのであろうか?

日本はテロには屈しない」
 テロリストは命がけである。テロとの戦いは甘いものではない。このままいい加減な暴力でもってテロをもみ消し続けていれば、世界中で地獄絵図が永遠に継続することは目に見えている。
 それでも自衛隊を派遣したければ、政府はまず「欲しがりません勝つまでは」の精神と「一億総玉砕」の覚悟を全国民に植え付け、国家総動員法を発し、大政翼賛会を結成、アメリカを頼らず、アメリカをもしのぐ世界最強の超軍事大国を目指すべきであろう!

*          *          *

 今回取り上げる忠臣蔵は、南北朝時代のお話である。
「忠臣蔵って、江戸時代の話じゃないの?」
 もとになった赤穂事件は江戸時代の事件だが、そのまま描けば幕府批判になるため、原作の『仮名手本忠臣蔵』では、大石内蔵助
(おおいしくらのすけ)を大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)とし、吉良上野介(きらこうずけのすけ)高師直に、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)を塩冶高貞(えんやたかさだ)に仮託して描いたわけである。
 つまり、似たような事件が南北朝時代にもあったわけで、今回は『太平記』に載っている、そのお話を紹介したい。

*          *          *

 十二月十三日、フセインはバクダッド北北西のティクリットで拘束されたが、相変わらず各地でテロは続発している。

[2003年11月末日執筆]
[2003年12月加筆]

ゆかりの地の地図
参考文献はコチラ

「高師直の暴走」主な登場人物 

【高 師直】こうのもろなお。室町幕府執事。尊氏の側近。

【足利尊氏】あしかがたかうじ。室町幕府初代将軍。師直の主人。
【足利直義】あしかがただよし。尊氏の弟。

【吉田兼好】よしだけんこう。文人。師直の恋文を代筆。
【薬師寺公義】やくしじきんよし。師直の恋歌を代作。

【源 頼政】みなもとのよりまさ。兵庫頭。ヌエを退治。
【鳥羽上皇】
とばじょうこう。伝74代天皇。白河法皇の孫。
【近衛天皇】このえてんのう。伝76代天皇。鳥羽上皇皇子。
【 菖 蒲 】あやめ。究極の美少女女房。
【藤原忠通】ふじわらのただみち。関白。頼通の玄孫。

【侍従局】じじゅうのつぼね。長年ある貴族に仕えてきた老女。
【 女 童 】塩冶家の女児。師直ののぞきを手引き。

【山名師氏(師義)】やまなもろうじ。追討軍の将。時氏の子。
【桃井直常】もものいただつね。追討軍の将。
【塩冶貞泰】えんやさだやす。師義。高貞の弟。
【塩冶重貞】えんやしげさだ。高貞の弟。
【塩冶宗村】えんやむねむら。高貞の家来(甥?)。
【塩冶八幡六郎】えんやはちまんろくろう。高貞の家来。

【弘徽殿の西台】こうきでんのにしのたい。高貞の妻。

【塩冶高貞】えんやたかさだ。出雲・隠岐守護。弘徽殿の西台の夫。

歴史チップスホームページ