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全国獣医100人が選んだペットにいい病院84


ペットはすでに家族の一員。その大切な「家族」が万が一病気になったとき、どのようにして、「いい病院」を見つければいいのか?そこで本誌は独自に全国103人の医師に、アンケートを実施。そこで分かった、賢い病院の見つけ方と獣医師との付き合い方は?

日本の小動物臨床の分野で開業医の技術進歩はめざましいものがあると、専門家たちは、口をそろえて言う。動物医療の最先端を行っているのは一般的にアメリカだといわれるが、米国動物医療に詳しいピア動物医療センターの郷間雅之院長はこう語る。
「動物病院に関して、日本の開業医は、ある意味アメリカの開業医より優秀であると言えます。アメリカでは、ちょっとたいへんそうな症例は、すぐに大学病院に回しています。日本はそれほど大学病院の数が多くないので、かなり高度な医療でも、開業医が手がけている。それだけの技術を持っているのです」。
とは言うものの、ペットの飼い主は、動物医療に関して不安な気持を抱えていることが多いのも事実。氾濫する情報の中で、愛するペットを託せるような、信頼できる動物病院および獣医師をどうやって選べばよいのか、その判断基準が分からないからだ。

東京都世田谷区の佐々木京子さん(仮名・41)は、猫が耳を怪我して動物病院に行ったとき、こんな経験があった。
「いきなり夜まであずかると言われ、レントゲンや内視鏡検査などいろいろとされて、3万円の請求。しかも、その日は、猫に不整脈があると言っていたのに、翌日行くと不整脈はなくなったので問題ないと言う。頼みもしないのに、高い検査費用を払わされた上、耳の怪我はこちらが頼まないと、薬もつけてくれなかったのです」。
京葉獣医師会会長でもある殿内犬猫病院の殿内登希雄院長はこう語る。
「もちろん、高度な医療を手がける優秀な病院も多くあります。でも、中に問診も充分にせず、飼い主と信頼関係が築かれないまま過剰診断をし、高額請求するところも少数ですが確かにありますね」。
動物病院は自由診療のため、料金は各病院によってまちまちだ。良心的な医師にかからないと、いらぬ費用を請求されることになりかねない。だからこそ、病院選びは慎重にしなくてはならない。
では、優秀で良心的な医師を見つけるには、どうしたらよいだろう。

判断材料のひとつとして、日本獣医師会や日本動物病院福祉協会(JAHA)の認定医かどうかを確認するという方法を薦める獣医師も多い。実際、客観的な目安としては確かなものといえるだろう。ただ、患者側にとっては、分かりにくい点があることも事実。それはアメリカの場合は、すべてがアメリカ動物病院協会(AAHA)に一本化されており、動物医療はこのAAHAの学術論に沿った治療法を行っている。しかし日本では統一された一つの団体が一括で資格管理を行っていない。認定資格も、各団体がそれぞれの目的に沿って、個別に認定を与えているのが現状なのだ。

獣医師を選ぶ、もうひとつの方法としては、「飼い主同士の口コミ」もある。しかし、口コミを参考にするにしても、判断するためのポイントをおさえておかなければならない。
そこで、今回は獣医師に対して、「推薦したい動物病院」を聞くことによって、よい動物病院の判断材料にするという方法を試みた。行った調査は、全国の動物病院に対して、「推薦したい動物病院」を、複数書き込んでもらうアンケート。および聞き取り取材である。
アンケートは全国800の病院に送り、戻りは103通。表は、その中で、上位にあげられた動物病院である。
表の中には、大病院から「町の獣医さん」と呼べそうな小規模の動物病院までいろいろある。中でも、推薦が多かったのが、専門医療に詳しい「ASCどうぶつ皮膚病センター」「トライアングル動物病院」「みなとよこはま動物病院」。脳神経系、骨関節系、消化器系、眼科系などの医師が揃った「相川動物医療センター」、予防医学に力を入れる「ピア動物医療センター」(前出)、大学病院では屈指の教授陣が揃う「麻布大学獣医学部附属動物病院」など。また、地方の開業医では大分「動物整形外科病院」、大阪「藤井寺動物病院」、北海道「川又犬猫病院」などの名前もあがった。
前出の郷間院長は、飼い主が動物病院を選ぶ前に、必ず知っておいて欲しいことがあるという。それは、「獣医師の仕事とは何か」ということ。
「われわれ獣医師の第一の仕事は、注射をしたり薬を飲ませて、動物を治すことではありません。オーナー(飼い主)と動物が、心地良い相互関係で結ばれるように、その手助けをすることなのです」
近年では、ペットは「コンパニオン・アニマル」と称されることが多くなってきた。これは「動物も家族の一員」という考えに立った呼び方である。さらに、人と動物の絆を、ヒューマン・アニマル・ボンド(HAB)と呼び、この絆を良好に保つ手助けをするのが獣医師の第一の仕事というわけだ。

取材をした医師たちから、数多くあった指摘は、「医師の側が、その動物を治すために、多くの検査や高度な医療を行ったとしても飼い主が望まないことをしたなら、それはよい医師とは言えない。また飼い主が望むのに、その検査や治療を行わない場合も、よい医師とは言えない」というもの。
人間の医療でも、インフォームドコンセント(納得診療)の必要性が叫ばれるようになったが、「もの言わぬパートナー」を治療する動物医療ではそれがさらの重要になる。そして、そのためにも、できることなら信頼できるホームドクターを近所につくる必要性があるという。

[ホームドクターの選び方]

「動物を飼ってから動物病院に来るのではなく、、飼う前にまず一度訪ねてほしい。その人の家族構成や生活習慣などにそぐわない動物を飼うことは、お互いが不幸になります。
そうならないためのアドバイスも獣医師の仕事ですので、気軽に相談していただきたいのです。
獣医師に求められていることは、多くの情報を持ち、そこから的確な判断を下せること。
そして、オーナーに複数の選択肢を提示できること。もちろん、料金面でも、納得のいく説明をし、オーナーが望む金額の範囲で、最良の治療方法を選び出さなくてはなりません。さらに、その治療が行えるだけの技術も必要になります」(郷間院長)。
ただし、ひとりの獣医師が、すべての医療技術を備えている必要はないと言う。「的確な判断さえできれば、自分のところで治療できないケースだったら、その医療技術や設備のある病院に二次診療を依頼すればよい。また設備がないと、的確な診察ができないという場合も設備のあるところに、二次診察を依頼すればよいのです」(前出)
そこで今回取材した獣医師たちの話から、ホームドクターの選び方のポイントをまとめた。それが、次の六ヶ条だ。


●飼い主の気持を理解し、飼い主の納得のゆく説明をする

●いくつもの治療法を飼い主に提示し、選択肢を与える

●高度な専門技術を持つ動物病院とのネットワークがあり、そうした病院を紹介できる

●セカンドオピニオンを聞く機会を設ける

●料金が明瞭

そして何より大事なのが、
●豊富な情報と経験から、正しい診断を下せる

さらに、病状に応じて、臨機応変な対応ができることも、獣医師選びのポイントのひとつだ。
「オーナーが考えているより動物の病気が重く、緊急を要する場合があります。こんなときは、許可をとる前に検査をしますが、私は、あとでオーナーにそのことを説明し、やむを得ずコンセンサスを得ずに行った検査費用は病院側の負担にすることもあります。」(前出)

今回のアンケートでは、専門医を推薦する医師が多かった。
トライアングル動物病院は、眼科医療を専門としており、二次診療も手がけている。
「以前は普通の動物病院だったのですが、他の病院から、眼科に関しての治療を数多く依頼されるようになり、そのニーズを痛感し専門病院にしたのです。専門医育成のための教育は、今後の日本の獣医学のテーマだと思いますね」と、同病院の斎藤陽彦院長は言う。
ASCどうぶつ皮膚病センターは、日本屈指の皮膚科専門医院だ。
「一般外来も受け付けてはいますが、より高度な皮膚科医療に専念するために、当病院では、二次診療をメインにしています。地方の病院からの問合わせで、すぐにこちらへ来られないという場合には、通信手段で治療方法を指導することもあります」(永田雅彦院長)
地方の問題点は、高度な設備と医療技術を持つ二次診療の総合施設が不足している点である。そんな中、大阪では昨年、10月にネオ・ベッツVRセンターが開設された。
このセンターでは、夜間診療は一般外来も受け付け、日中は二次診療のみを行う。
「もともとは夜間診療を専門に行っていました。しかし、二次診療を頼める施設の必要性を切実に感じた関西の開業医たちが、その思いを結実させて、自分たちが出資者となってこのセンターを立ち上げたのです」と同センターの細井戸大成医師は語る。
この他、関西ではファーブル動物病院でも整形外科、眼科部門の二次診療施設を設けている。

[まず飼い主は自分で情報収集を]

一方で、動物病院は、飼い主側の精神的ケアもしなくてはならない。そのひとつの方法として、飼い主もいっしょに泊まれる入院施設を設けたのがモリヤ動物病院だ。
「長期入院の場合、動物の顔を見ていたいと心配で仕方ないというオーナーもいるので、そのための施設です。動物の方も、オーナーがいてくれれば緊張が解けると思います。ご家族で交代に泊まりに来ている方もいますね」(森谷孝雄院長)
また、獣医師の中には、地道な活動で、近隣の患者の信頼を得ているケースもある。前出の殿内犬猫病院・殿内院長は、決まった飼い主はいないが、地域住民に愛され世話をされている、いわゆる「地域猫」の避妊手術に対して、あるアイデアを盛り込んだ。避妊手術の終わった地域猫の耳にピアスをつけているのである。
「地域猫の場合、すでに避妊してあるにもかかわらず、他の人がまたその猫の避妊手術を頼みに来るケースがよくあります。最近の避妊手術はあとが残らないので、若い医師などは、避妊したかどうか分からず、お腹を開けてはじめて気づく。そのたびに、猫の方は、体に負担がかかるので、そのリスクをさけるために、ピアスをつけることを思いついたのです」。
あらゆる動物の体を労わるという殿内院長の姿勢が、飼い主の気持に安心感を与え、結果的に、ペットと飼い主の関係も良好にさせているようだ。

最後に、飼い主に対して郷間院長から、こんな提案があった。
「飼い主側も、自分で情報を収集する努力が必要でしょう。ある飼い主は、うちの病院で出した薬をインターネットで調べて、その薬に対する質問を私にぶつけてきました。これはとてもよいことだと思いますね」。
その動物が元気で幸せな一生を送れるかどうかは、飼い主であるあなたの手に委ねられていることを、忘れてはならない。



[獣医師の推薦が多かった動物病院]

病院名 住所/推薦文

みなとよこはま動物病院 院長は外科・整形外科の第一人者。最先端の医療設備が揃う総合病院。近隣診療中心。

トライアングル動物病院 東京都文京区/眼科の専門獣医。その臨床例は圧倒的で、高度な眼科手術を行う医術を持つ。

ASCどうぶつ皮膚病センター 東京都調布市/700軒以上の動物病院から信頼され、皮膚病の二次診療を主に受け付けている。

麻布大学獣医学部附属動物病院 神奈川県相模原市/整形外科の第一人者蔭山敏昭氏をはじめ、全科にわたり優れた教授陣がそろう。

相川動物医療センター 東京都新宿区/米国で学んだ獣医が多い。関節症や椎間板ヘルニアなど難しい外科手術をこなす。

ダクタリ動物病院 広尾セントラル病院 東京都渋谷区/救命医療に対応できる最新の設備と獣医陣を持つ総合動物病院。京都の病院も評判。

工藤動物病院 東京都中野区/角膜移植、眼内レンズなど眼科における高度医療の先駆け的存在。二次診療専門病院。

フジタ動物病院 埼玉県上尾市/評判の口腔外科、歯科だけでなく、最先端の設備の中、総合的な動物医療が受けられる。

アニマルクリニックこばやし 埼玉県深谷市/CTやMRIなど充実した設備により、整形外科、神経外科などの高度医療が可能。

戸ヶ崎動物病院 埼玉県三郷市/院長は動物の脊髄疾患など神経科の第一人者である。また、予防医学にも力を注ぐ。

赤坂動物病院 東京都港区/臨床病理学が国内トップクラスの石田卓夫獣医師らによる診療。予防医学にも力を入れる。

日本獣医畜産大学付属動物医療センター 東京都武蔵野市/腫瘍診療科、脳神経、肝臓等専門外来など総合的に充実している。

ファーブル動物病院 大阪府門真市/外科・整形外科全般及び眼科においてバランスよく技術が高いと評価されている。

藤井寺動物病院 大阪府藤井寺市/人工関節など整形外科、病理組織診断では関西で旗の追随を許さない。

動物整形外科病院(樋口動物病院)大分県日田市/骨折治療、関節炎など難しい外科手術の名医。まさに獣医のブラックジャック。

ネオ・ベッツVRセンター 大阪府東成区/二次診療を主に受け付ける高度医療専門施設。夜間動物病院として体制を組む。

ピア動物医療センター 神奈川県横浜市/日本動物病院福祉協会の認定病院。最先端治療とともに予防医学にも知識が深い。

渡辺動物病院 静岡県島田市/院長はてんかんなどの神経病治療の名医。総合的な動物医療が受けられる。

ベイサイドアニマルクリニック 神奈川県横浜市/世界最速のCTなど高度医療施設が充実。放射線を使った本格的な腫瘍治療を行う。

犬山動物病院 愛知県犬山市/アメリカで学んだ獣医らが勤務する。外科、内科、眼科、エキゾチック科と専門医が診断。

ペットクリニックアニホス 東京都板橋区/多くの臨床例から、的確な治療と栄養指導、ストレスケアなど総合的な医療を行う。

おり動物病院 大阪府八尾市/眼科や骨折疾患の治療が得意。獣医麻酔外科学会認定専門医でもある。

川又動物病院 北海道函館市/整形外科を得意としており、難しいオペをこなす。人工受精などにも力を入れてる。

ACプラザ苅屋動物病院 東京都江東区/レーザー治療など高度な医療が可能。東京中心に5軒あり、24時間体制を組む。

中山獣医科病院 奈良県奈良市/中枢神経など整形外科と再生医療に力を入れ高い評価を得ている。


●他、複数の推薦があった動物病院
北海道・東北
釧路動物病院 北海道アニマルメディカルセンター(釧路市)
まえたに動物病院(札幌市)
ゆーから動物クリニック(旭川市)
青森動物医療センター(青森市)
さとう動物病院(岩手県一関市)

関東周辺
大久保動物病院(群馬県高崎市)
遠藤犬猫病院(栃木県那須塩原市)
臼井犬猫病院(栃木県宇都宮市)
下館動物病院(茨城県筑西市)

首都圏
日本小動物医科学研究所(埼玉県所沢市)
アニマルクリニックイシムラ(埼玉県越谷市)
殿内犬猫病院(千葉県船橋市)
南子安動物病院(千葉県君津市)
赤塚犬猫病院(神奈川県横浜市)
溝呂木動物病院(神奈川県横浜市)
澤動物病院(神奈川県様市)
池田動物病院(神奈川県川崎市)
日本大学生物資源科学部動物病院(神奈川県藤澤市)

東京都
東京大学動物医療センター(文京区)
アトム動物病院(板橋区)
辻記念動物病院(新宿区)
やまぐちペットクリニック(江東区)
西荻動物病院(杉並区)
杉並犬猫病院(杉並区)
土田動物病院(渋谷区)
成城こばやし動物病院(世田谷区)
コジマ動物病院(江東区)
光が丘動物病院(練馬区)
川瀬獣医科病院(世田谷区)
高橋犬猫病院(世田谷区)
小暮動物病院(文京区)
モリヤ動物病院(町田市)
伊奈獣医科(あきる野市)
須田動物病院(日野市)
渡邊動物病院(立川市)
武井動物病院(国立市)
ゼファー動物病院(八王子市)

信・北陸・東海
シートン動物病院(愛知県春日井市)
なかはら動物病院(岐阜県可児市)
南動物病院(三重県伊賀市)
平成動物病院(愛知県春日井市)
田辺獣医科病院(福井県敦賀市)

近畿
芝動物病院(京都市)
動物メディカルセンター(大阪府茨木市)
はやし動物病院(大阪市)
ナイルエキゾチック&小動物病院(大阪府豊中市)
クウ動物病院(大阪市)
岸上獣医科病院(大阪市)
ルカ動物病院(大阪府豊中市)
神戸ピア動物病院(兵庫県神戸市)

中国
石崎動物病院(広島県呉市)
山根動物病院(鳥取県倉吉市)
山形動物病院(岡山市)

九州・沖縄
甲南ペットクリニック(鹿児島市)
稲員犬猫香椎病院(福岡市)
オーク動物病院(福岡市)
児玉どうぶつ病院(福岡市)
総合病院ペットセンター名越(熊本市)
那覇獣医科病院(那覇市)


(2006年3月 週刊誌記事)