−09.引金(1/7)


 なにが出来る、正義の味方が、人間相手に、と都市トップが喚いている

行人(・・・撃たれたとこ、痛いな、紅砂、)
――けれど貴女に知られたら、自分を切り捨てろと言うだけだ。

――

VE「うーん、やっぱりよくわからない、存在は別個には感じるけど」
 『だねぇ、違うなら違うで確証くらいは得られるかと思ったんだが。人間の
 心臓辺りだと“共存”するのでもその辺りに置きそうだ。他の仲間は?』
VE「さっき変な“覆い”みたいのが掛かって隠れちゃったわ、本気で探れば
 相手にもさすがに気付かれる。赤い女殺してしまえば良かったのに」

 『それは我らには多少有利だろうが、他の面子に怒られるよ』
VE「人間がやったって言えばいいじゃない、あの女だけ違うと確認取れたし
 生かしておくメリットなんてなんにもないのに。わけわかんないわねぇ」
 『我は目的のみを楽しむ短絡的な生き物ではないということだよ』



−09.引金(2/7)


彦乃「毒物? クーデター?? なんですそれ」
円月「この都市が政治体制の転覆を謀っているという噂は前からありました。
 特殊な毒薬を開発したのだというのは今回の件で俄かに浮上したのですが」

彦乃「政治て、ステーション間のシステムは体制の問題と違うのでは」
円月「まあ、どちらかというと自然発生的に生まれたものですが、不満なぞは
 どこにでも湧きますよ。変えようとすること自体も悪いことじゃない」

紅砂「で、私はあの“糸もどき”に毒を仕込まれたというわけか」

彦乃「紅砂はん、まだ起きないほうが;」
紅砂「概ね会話だけ聞いていた、喋るくらいは平気だよ、月子たちは?」
円月「戦える者は全員行きました、月子さんもビルの外壁を登る能力を買われ
 急襲部隊のほうに。私は役には立たないのですよ」

紅砂「そか、No.7来てくれて嬉しい。彦乃も足止め食わせてすまん」
円月「・・・気付いておられたんですか」



−09.引金(3/7)


朗花「人間がいませんね、よっ(ドガッ)」
里音「なんかロボットさんばっかりだよねぇ、背ぇ低くて邪魔だなぁ」

木田「お前らなぁ・・・普段無理してんじゃねぇのか?」

朗花「そうでもありませんよ、紅砂さまの前だとわりと素だし」
里音「私は攻撃的で朗花は回りくどいこと嫌いなの。そんだけだよねー」
朗花「友人がいないから人質取ったりするんですかねぇ。陰険な」

木田(このコンビと一緒ってすげ嫌...orz)

 『ザ・・山内だ、執務室に誰もいないというか窓が内側から破られてる』

木田「今トップは屋上なんですよね? んで巨人? なにがどうなって、」
朗花「行人さんが落とされたのかと、こちらは屋上へ向います」



−09.引金(4/7)


 カンカンカンカン

朗花「話がよく見えません、何故これほど周到に準備がされているのです?」
木田「はあ? 準備なんかされてねーだろ、隙間だらけ」
里音「(ハァ)中央軍に決まってるじゃない、貴方も実戦部隊でしょ? て、
 月ちゃんだけ一人で大丈夫かな」

朗花「山内さんのところには連絡来てるはずですが、私たちが聞いても役には
 立ちませんからね。あとで聞きに行きましょう、なんでしたっけ?」
木田「≪空中要塞≫、ステーション防衛ラインとか防壁の調整だとか、空調の
 第二施設なんかが一緒になってる、全てのステーションで唯一の同一規格」
里音「そこが抑えられちゃってるの?」

木田「・・・なんつーか、行人の軍人権限で発動したというか」

朗花「なるほど、話が見えないはずですね。目的がそこでしたか;」
里音「でも変だよ、なんでそのレベルの話に異形のヒトが参加してるの?」



−09.引金(5/7)


――屋上、
里音「行ちゃん!」
行人「げほっごほっ・・・、里音、朗花」
朗花「傷は? っと、残っておいでですね、簡易ながら治療します」

トップ「なにしに来た」
木田「おめーなー、こっちの台詞だ、なんで武器の一つも携帯してない」
トッ「巨人に武装解除された、なんとかこの軍人を人質に、と思ったがまあ
 素手では格好が付かないな。思ったよりも器用なことだ」
木田「あー、首にタオル巻いて凄むとかな(けけけ)」
トッ「間抜けで見苦しい」

木田「ほれ、武器。護身用なんで小さいが」
トッ「?(受け取る)」
木田「射殺命令出てっからな、さすがに丸腰だと言い訳立ちにくい」

行人「なんで殺す」



−09.引金(6/7)


木田「民間人連れて来てんのに、なんで軍人で被害者から物言い付くかねぇ」
行人「撃たれたのは僕だ、復讐の権利は紅砂か僕のものだろう」
木田「なんだ、やりたいなら譲ってやるが?」
行人「殺してなんの利益がある」
木田「大有りだ、この程度じゃまた数年で出てくる、そして繰り返す」

朗花「役目から廃してしまえばいいだけでは・・・」
行人「それは出来ないんだ、服役済みの犯罪歴は完全に抹消される」
木田「そして行政系の知識があり、人手は常に不足気味、河岸は変えるがな。
 でもむしろ歓迎されるんじゃないか? つーか、すでに三度目だよ」

里音「いっそ行ちゃんが死んでいれば裁きやすかったのにって?」
木田「そうは言わねぇよ、だから軍は準備してた、死ぬべきは悪人だろ」

トッ「ま、しょうがないか。で、どうするのかな? 被害者な軍人さん」
行人「・・・それより、紅砂の毒の情報貰えますか」
木田「うっわ、すっまん、そっちマジ忘れてた...orz」



−09.引金(7/7)


紅砂「毒はなかった?」

円月「と、言いますか、どうも異形にそう言うようにって指示されただけの
 ようなんですよ。検査では出てこないので正直なんとも・・・」
紅砂「ふーん、あ、林檎食べていいかな?」
円月「そりゃ貴女のために剥いてるんですから」

行人(あれ誰ですか一体?!)
朗花「え、いや、単に軍の人かと思うんですが。前からの知り合いかな;」
里音「紅ちゃんあれで結構人見知りするのにねぇ?」

木田「てかお前ら、行人のスタンドプレーを責めたりしねぇの?」
里音「だってまあ、やっちゃったものはしょうがないじゃん」
朗花「隠し事に気付けなかったのでお互い様ですよ」
木田「なんか変な関係だよなーって、行人はそれどころじゃなさげだし」

彦乃「月子の出迎え行って参りましたー」
月子「皆ーーっ、ただいまーっ!」



−10.前例(1/7)


 その日は『移民反対』のデモでその都市はごったがえしていた。

「ねえ軍人さーん、ここっていつ通れるようになりますー?」
「(呑気な女だな!)デモ次第ですよ、っつーか車は使用禁止で!」
「一応許可は貰ってますー!」
「嘘付かんで下さい、許可が出るのなんて、、げっ!!」

「どうした、コウ?」
「おじさま、信じていただけないんです、私」

「うわ、ちょっとそこのアンタちょうどいいところに! 頼む」
(親衛隊の制服を着ていたのでいい鴨だったんだろうと推察される。)

【警察の手に負えなくなり、交通整理に当たっていた私軍に押し付けられた。
 というところが記憶の大まかなところだ。この時点で会ったのがNo.8、
唯一確認手順がなしで身元が判明していた生き残りだ。】



−10.前例(2/7)


里音「行ちゃんてなんか偉めのヒトなの?」
彦乃「≪親衛隊≫だってさ、なんかステーションで事件が起こった時とかに、
 責任者として派遣されてたり、マスコミ発表者の隣にいる妙に顔のいい若い
 兄ちゃんたちとかがそれ」
月子「あー、見たことある、そんな身分だったんだ、行人氏」

行人「なんで紅砂と離れなきゃならないんですかっ、嫌です!!」

円月「一時的にです! 貴方が怪我をするから悪いんでしょうが!」
朗花「ゆっ、行人さん、泣かないで下さいー(おろおろおろ)」


木田「そーなんだよー、あれで“鉄壁の仮面”の親衛隊員、泣くかフツー」
月子「なんでこっちに混じってんのよアンタ、説得参加しなさいよ」

彦乃「てか、紅砂はん起こして来ますわ、説得して貰わなきゃ埒明かない;」



−10.前例(3/7)


紅砂「てか、休め行人。なんでまだ起きてる、手続きは朗花と里音が代行する。
 信頼出来ないというのならなんのための仲間だ」
行人「けれどこの傷は私が勝手に、、」
紅砂「許される許されないを決めるのは他人だ、裁きを受けさえすればいい。
 余計な負担を抱え込むことを承知の上で私たちに加担してくれた人たちには
 皆で揃って会いに行きたい。私もドジった、早く治すのが最優先だろう?」

行人「でも・・・」
紅砂「しっかりしてくれ、行人がサブリーダー、皆の“お母さん”なんだし」

――

木田「まあ、グループ別けは半々でいいよな?」
円月「いいんじゃないですか? なんで貴方がまだいるんですか」
木田「文官がなかなか用が済まねぇんだよな、こいつらと同行していいっつー
 物好きがほとんどいないってのが正直なとこだしなァ(ぽりぽり)」
円月「・・・すみません、貴方を誤解していたようです」



−10.前例(4/7)


紅砂「(ちっ)鈍ったな・・・」
 『喉元に銃を突きつけられながらでは同意しにくいですねぇ』
紅砂「つーか、どうせ効かんのだろう。なにしに来た」
 『あなた方のために“例の男”を始末して差し上げようかと(にっこり)』

紅砂「なんだそれは」
 『あの男の構想には見るべきものがあったので協力していましたが、手段が
 いくらなんでも強引すぎますね。しかもそれを繰り返しているとは、』

 ――ガンッ!

紅砂「んー、弾ごと消えた、か。一応衝撃くらいはあるのか」

行人「紅砂! どうしたんですか一体」
紅砂「敵だ、なんつーのか、ちょっと気になるから説明聞いていいか?」

円月「一応ここの声、届いてましたけどー、ちょっとは動揺しましょうよ」



−10.前例(5/7)


朗花「えーと、ですからステーションの【自爆モード】? ってのを盾にして
 要求を出そうとしてたとゆーか、、なんでワタシが説明役なのですか;」
木田「スマン、なんか事情の摺り合わせしてなかったからなぁ」

円月「その事情は私の領域ですね。役付きは任務中は名前を捨ててしまうので
 ちょっと不便なんですがトップと呼びます。自爆ってのは外敵が来た場合の
 最終手段として設置されてますが、基本的に作動は難しいですね」
紅砂「行人がたまたま親衛隊権限があったから可能だったわけか」
円月「そうです、まだお若いのであまり体外的な役目はしてなかったのですが
 さすがに行政官だけあって顔を知っていたんでしょうね。クーデター計画は
 もともとはもう少し違う形だったみたいですが」

木田「まさか、お前らみたいな特殊事情んトコに絡んで目的がそれっつーのに
 気付かず対応が遅れた。いい目晦ましだったな」
円月「ただ、親衛隊員は本来単独行動しないので・・・言われてみればと」

月子「でもホント、軍の高官+行政官権限ってなんの時に使うの?」
彦乃「軍人って普通中央ステーションにしかいませんよねぇ」



−10.前例(6/7)


月子「てかそもそも、あたしが止めに行ったのもそれよね。なんか変なとこに
 あって軍用ヘリが必要ってのも多分それでかなーと、結構大変だった」
彦乃「はー、外壁の内側? 外側?」
月子「だから中よ、通路止められちゃうと通常手段じゃちょっと無理ね」

円月「でも、以前にも一度だけ発動したことあるんですよ」
里音「・・・一度ってひょっとして私たちの都市?」
木田「そうだ、結局“消え”ちまって顛末はわからずじまいだが」

紅砂「確かあの時も親衛隊が入ってるんだよな、行人もそれのはず」
月子「え、じゃあ行人氏ってたまたま巻き込まれただけなんだ?」
行人「まあ、もとが同ステーションの出身だけど、そうだね」

木田(なんつーか、反応薄いな)
円月(どちらかというともともと薄っすら知っていた節もありますね)

紅砂「どの道私たちには責任はないから別にいいや、寝てくる」



−10.前例(7/7)


円月「スルメみたいにドライな方ですね...orz」
木田「あー、なんか平和主義とか誤解されるって言ってたなぁ。身内の責任も
 きっちり取る分偉いとは思うがそれ以外は無関心だぞ、あいつ」

行人「紅砂に女の人扱いされました(しくしく)」
彦乃「いやちょっと、なんで今頃泣き出すんですか、てか苦しぃぃ;」
朗花「そこで泣く辺りが一番の問題点だと思うんですけども、紅砂さまあれで
 男らしい人が好きらしいですしねぇ」
月子「なにそれー、自分で充分じゃん別に。行人氏可哀想(なでなで)」

里音「ねー、班分けどうするの? 決めなきゃ出発メンバー表送れないよ」
彦乃「こないだジャンケンにしたからアミダにしよか?」
月子「あ、あたし紅砂とがいい、ここ飽きたー」
朗花「ワタシは行人さんの側がいいですし、、彦乃さんも宇宙船と一緒という
 ことになりますよね。じゃあ男女別でいいのかな」

円月「なんか虚しくなるくらい仲いいですね・・・」
木田「あっはっは、同行するのなら慣れとかんと大変だぞー」



−11.行人(1/7)


円月「とりあえず女性組のナビゲートは私が担当します。今までのように寝床
 付きではないからまあ、寛げる旅ではないかもしれませんがご容赦を」

紅砂「私が一室を占有していたし、8人は許容量越えていたのではないか?」
月子「まあ一日経ってないし昼なら平気っぽいよね。でも木田の兄ちゃんだけ
 どうして居座り続けるんだろーと」
里音「えーと、モモだと戦闘能力なくて足手まといになっちゃうからでー」
月子「・・・あ、そっか、逆なのか」

円月「うえ、百瀬をモモって呼んでるんですか? あれも大変だなぁ」

紅砂「そういえば、No.8の遺体はその後どうなったんだ?」
円月「異形の仕業ならともかく、人間がやったのならば諦めるというわけには
 行きませんからねー。とりあえず、可能性ある組織総ざらえ」
月子「なんでモモがそこまで;」
円月「基本的に一人の人間が一つの指揮を取るのが決まりなんですが、うん、
 あとはちょっと人道的に言えません」



−11.行人(2/7)


――(元)赤空ステーション、
行人「ありがとう、朗花、今日はもういいよ」
朗花「夜にもう一度やりましょう、寝る前が一番効率いいです(にこ)」

木田「あ、へー・・・治癒術か、それならたまに聞くな」
朗花「能力が高ければ軍籍が義務らしいですからね、ワタシたちの一部と、
 えーとあと軍に入る義務がないのなんでしたっけ?」
彦乃「移動能力者やね、ウチの運送会社にも少しいたわ、制約多い能力だし
 あの人らも力強いとやっぱり軍に入ってるんだろうけどな」

木田「てか、“移民”の中に能力者がいたとは知らなんだ」
朗花「あくまでも医療補佐や美容系使用が主ですからねぇ、あまり知られて
 おりませんけど、シミや黒子も消せるんですよ。正直技術扱いですね」
木田「美容・・・いや、まあ、そうなるのか、なんかこう複雑;」

彦乃「ちょっと負担大きいのであんまし頼れませんしね」
朗花「それになんだか皆さん全然怪我されないんですよねぇ、不思議と」



−11.行人(3/7)


 『空を青く戻したのは結局誰だったんですか?』
木田「あ、あー? そうか、それも聞かないとな。というかトップ権限だから
 後任が来るまでこのままか。まあ無難な色だし引き継がれるのかな」

彦乃「およ、それモモさんですか? やっほーい、元気っすかー」
 『ご無沙汰しております、先は見えませんが体調に支障はありません』
彦乃「そ、そんな喋り方してられましたっけ、すんません;」
 『あ、いえいえ、申し訳ない。最近任務でしか喋ってなくて』

朗花「行人さん、お休みになりました。今まで痛み止め使ってたんですね」
木田「そう、それもあって紅砂と引き離した。治りゃしねぇって言ってるのに
 いざという時のためって聞かないしなー」
 『まあ彼女に戦闘配分が多かったのは事実ですし』
木田「だから俺がいてやるっつってんのに」
 『貴方は有能ですが行人氏には嫌われてるじゃないですか』

彦乃「へ、なんで? てかそんな素振りありました??」



−11.行人(4/7)


朗花「まあ正直、何度か泣かせてますからねぇ」
木田「・・・泣かれるほうが酷いと思わね?」
彦乃「てか、えー、あれー? 性格崩れるのって紅砂はんが側にいなくて彼女
 絡みの時だけじゃないんですか。そんな印象が」

 『起きたばかりはずっとあんな感じでしたよ』
朗花「そうか、彦乃さん起きる前のことだったんでしたっけ、あれ」
 『衝撃的でしたね、「すまん、私は毅然とした男が好きなんだ」って』
木田「いっやー、なに言ってんだとか、いくらなんでも行人に言うかとかな。
 まあでもあれもあれで、、しかし前も前で悪くなかったんだが」
 『そこが嫌われてるんです、いい加減理解なさい;』

彦乃「(よくわかんねぇー)で、んじゃ、“泣かせた”のって?」
朗花「女性の話で紅砂さまと盛り上がった挙げ句「女だったら好みだな」と」
 『それだけならともかく紅砂も同意しちゃった、と言いますか』

木田「だだだ、だってあいつ案外趣味合うし」
 『言い訳のしどころからして違います、まあ彼女が悪いんですがそれは』



−11.行人(5/7)


木田「それで、行人の親衛隊権限取り上げるって話どうなった?」
 『駄目です、一時停止はさすがに分捕りましたが、裁判までの条件付き』
木田「だって当人もいらんって言ってんだろ、むしろそれで今回狙われたって
 言ってもいいし。今後同じことが起こる可能性は低いにしろ」

 『もともと伝統的に、当人の造反以外での処分は一切しないところなので、
 強くは言いにくいところがありますが、情もあるのではないですかね』
木田「あいつって親なしだっけ?」
 『いえ、お母上が一人、“消失”で亡くされてますが。ただ大変にご高齢で
 一緒に生活された時期はごく短いという話でしたよ』
木田「あー、やっぱり、今のリーダーその手のヤツに弱いからなぁ」
 『ご享年、107歳ではね』

彦乃「・・・ぶっ、なんですそれ、産めるんですか?!」
 『クローンの性別変換体ですよ、体外受精なら珍しくもないでしょうに?』

朗花「でも、それって確か親子関係認められなかったと思うんですが」
 『それはまあ、特例が通る家の方の場合になりますが』



−11.行人(6/7)


木田「てか、なんで移民のお前さんが詳しい??」
朗花「あー、医療関係者の括りになるので、かな? なんででしょう」
彦乃「オレら、たまにわけのわかんない知識あるんですよね、それを修得した
 時の記憶がむしろ抜けてるって言うべきなのかもしれないケド」

行人「・・・誰か、水、」

彦乃「うわぁっ?! あ、いや、ごめんなさい、水入れて来ますわ」
木田「おい、インターホンあるんだから呼べ(眉を寄せる)」
行人「なんだか通じなかったんです、回線使ってたんじゃないですか」
 『ああ、申し訳ない、私のせいでしょうね;』

行人「いえ。しばらく寝ます。点滴用意しておいて下さい」
朗花「点滴、、ですか、あの、可能とは思いますが」
木田「てめっ、また紅砂と離れてる間意識なくしてすごすつもりか!」

行人「だってつらい、、」
彦乃「はい水っ、駄目ですよー、紅砂はんに言いつけたら嫌われますよー」



−11.行人(7/7)


 ミシ・・・ッ
紅砂「?」
円月「どうしましたか、紅砂」
里音「あれー、なんか傾いでる?」
円月「・・・まさか通路に仕掛けるヤツがいるなんて、今確認を、」

月子「ちょっ、なんで巨人?!」

 巨人の手の平が向けられると里音、月子、円月が光に包まれる

紅砂(なんとなくいつもより黒っぽいな?)
 いいから出ろ! 今からでは解除間に合わん――
紅砂「今始めて聞こえた、が、円月しか通路の操作方法知らないんだ」

――

行人「すぐ来いって、何様・・・(目を閉じる)」
朗花「行人さーん、ご飯、、ってうわ?!」



−12.行人2(1/7)


 「もー、やだー、いてぇ、こっちの身体脆い...orz」
紅砂「今のは? どこだここは? 音が聞こえないってことは、」
 「(口塞ぐ)常に果敢なのはいいけどもうちょっと勘弁・・・」

紅砂「(引き剥がす)誰だ、あんた?」
 「それが最初だよなぁ、普通。つーかセカンドのヤツ(ぶつぶつ)」
紅砂「それは?」
 「あー、爆弾とかトラップとか作るの好きでな。よく仲間に使われてる」
紅砂「つまりさっきのはそいつの仕業だと?」

 とんっ、

行人「ノワール、なんの用、」
紅砂「え?(振り返る)」
 「ありゃ、逃げた。早いなあいつ、宿主に負荷掛かってないかしらん」
紅砂「仲間の声に似てた、まああんな喋り方はしないが。ノワール?」
黒 「黒でいいよ。もともと色だから君とお揃いだね、紅砂」



−12.行人2(2/7)


紅砂「さっきのは?」
黒 「白とかブランカとか呼ばれてる、本来のここの担当だから呼んだ」
紅砂「≪敵意を持たない異形≫? 黒い巨人との関係は、」
黒 「・・・黒い?」

紅砂「いつも助けてくれる巨人はもうちょっと白みが勝ってる、あ」
黒 「そうだ、さっきのも僕だ、形は違うが(顔を指してにっこり)」
紅砂「ならば、銀、、白の巨人も人の姿を持っているのか。それでお前さっき
 “こっちの身体”なんて妙なことを、」

黒 (うわ、やべー、なんか聞いてた以上に回転速ぇ;)
紅砂「私だけ移動方法が違った理由は? ってなに逃げてる」
黒 「え、ああ、こないだ身体に穴開けられてたろ? 広がることあるんだ、
 ってなに、まじまじと」
紅砂「(眉を寄せる)どこかで会ったことないか?」

黒 「当てられたら答えてもいいよ。てかお仲間さん来たな」



−12.行人2(3/7)


行人(“跳ぶ”ところ見られたし、傷、いた・・・紅砂、、母さま)

――

彦乃「もーやだ、なんでいつもいつも・・・っ」
朗花「肉体的なターゲットにされてない分だけよしとしましょうよ。ほら、
 水、あ、木田さん、スミマセン」

木田「んにゃ、アンタまでパニクらないでくれてるとありがたいわ」
朗花「倒れておいでなら、ワタシがしなきゃならないことがありますから」
彦乃「(ぐし)ごめん、オレも手伝う」
朗花「いいんです、泣いてて下さい、誰かがそうしてくれないと」
木田「なんだそりゃ?」

朗花「紅砂さまが言ったんです。私は戦う躊躇わない、人も立ち塞がるのなら
 撃つだろう、けれど君らはそれを嫌がり、疎まなくてはならないよと。今の
 この環境は理不尽です。誰かがそれを嘆いてくれないと忘れてしまいます。
 ワタシはこの状況を受け入れたいわけではないのだと」



−12.行人2(4/7)


紅砂「船への報告はこんなものでいいか?」
月子「そうだね、起こったことだけ書いたほうがいいかも。円月出来たー?」
円月「ですから私は念写なんて出来ないと・・・っ(半泣き)」

里音「ピンクのカバは写ってる、なにこれ」
紅砂「確か異能集団の情報局員なのだと聞いていたんだが、円月」
円月「誰がそんな半端なこと言ったんですかーっ?!」
月子「なんかでも出来てるじゃん、ピンクのカバ」
紅砂「まあ、一応人間の顔を意識したような様子ではあるな」
円月「だから専門範囲外で、、私の能力は“透視”...orz」

里音「ねー、これなら似顔絵描いたほうが早くない?」
月子「そういや里音絵ぇ描けるんだっけね」

円月「ここどこですか、あと不安にならないんですか(しくしく)」
紅砂「緊急連絡ボタンは押したからな、待つ以外出来ん。しかし暇だ」



−12.行人2(5/7)


 【なんか知らんがこないだのトップの仕業だそーで、犯行声明も出たようだ。
 中央軍から詳細貰っておいてくれ、帰ったら読む。行人は縛りつけておいて、
 なんなら「来たら撃つ」と伝えてくれていい。】

木田「端的っつーかなんつーか、無事かどうかがわからんじゃないかこれ」
朗花「なにかあったら書いてくれますから、皆無事なようですね」
木田「つーかあいつの場合本気で撃つよな、なんでああ迷いがないんだろう」
朗花「まあ、急所は外して下さると思いますし」
木田「それでいいのかっていうか、防弾チョッキ頼んでんじゃない;」
朗花「これは冗談です、防犯センサーを注文しようかと思いまして」

彦乃「あ、ニュース見っけた。通路が数メートル、、“外された”ってー」
木田「人間の仕業じゃねぇな。つまりあの野郎を閉じ込めても無駄ってか」
朗花「まあ、外の方たちが接触を取らないでくれればいいんでしょうが」

彦乃「そか、そもそも異形に見返りとかあるはずなんですよね? この件」
木田「・・・特に考えたことがないが、そのはずだよな。今度聞いておこう」



−12.行人2(6/7)


行人「・・・ん、」
朗花「あ、起きられました? ちょうど良かった、でも起きないで下さいね」
行人「傷は、」
朗花「残念ながら少し開きましたがまあ問題はないでしょう、痛み止め減らし
 ますから苦痛があるようならおっしゃって、(袖を掴まれる)」

 ふぅ。

朗花「“見た”のはワタシです、誰にも言いません。帰ってきて下さったのが
 嬉しいですよ。心配しましたから(にこ)」
行人「聞かないのか、、」
朗花「まー、全員が聞いていいことだったら聞きますが、どうせ紅砂さまだと
 隠し事とかって全部喋っちゃうし。偶発的以外のは避けておきますよ」
行人「・・・すまない」
朗花「でもセンサーか発信機か付けていいですか、センサーがいいですかね」

行人(激しく信用されてないね...orz)



−12.行人2(7/7)


――その日、どこかから現れた黒みの勝る巨人に、巨大なエイのような赤い
異形が切り裂かれた。その都市の空が赤くなったのはおよそ3年前。
どうもその頃からいたのではないのかと囁かれる、被害報告は存在しない。
 颯爽とした巨人は美しかったが歓声はなかったように思う。
そもそも、それ以前の巨大な異形たちはどう扱われていたのだろうか、銀の
巨人はどうしていたのだろうか。追い払っていた印象しかない。

 『・・そして切り裂かれた赤い身体は無数の星のようなかけらになった』

 その形が地球の海に棲むヒトデや、植物のカエデに似ていると気付くのは
学者か齢80を越えた者らだけである。あとはせいぜいがマニアか。

行人「一体なにを聞いて? 彦乃」
彦乃「紅砂はんのお気に入りのラジオですよ、前に教わりましたー」
行人「・・・なんかこれ、妙に詳しいね、」

彦乃「しかしなんでそんなずるずるの服を着せられてるんですか可愛いケド」
行人「重しも入ってる、というかせめて区切ってよ...orz」

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