序文

序文
言うまでもなく、正義とは正しい事です。
しかし、自ら正義を主張する方々の言動が常に正しいとは限りません。
最近では古本屋で万引きという罪を犯した中学生の一件で、このことを考えさせられました。その中学生が警察から逃れる為に自ら踏み込んだ線路で事故死した事件です。これに対して、なぜか万引きの被害者である古本屋が非難を受けました。古本屋に対して直接行われる非難はもちろん、マスコミも街角インタビューとして「(古本屋が)人殺し」「(古本屋に)配慮が足りない」「将来のある中学生がかわいそう」といった意見を垂れ流しました。
事件は万引き犯人の中学生が罪を認識せず身元を明らかにしない為、警察を呼ぶ事態となりました。そして捕まった警察から逃れるため、遮断機の下りている踏切に踏み込みました。私はこの様な無軌道な中学生の暴走を諌めることが正義だと考えます。その行動を最初に起こしたのは古本屋です。私には古本屋さんが正しいのだとしか思えません。
しかし古本屋を非難した人々はどうでしょうか。もちろん、中学生が死なないで済めば、それが正しい事であることは言を俟ちません。しかし、その正しさを元に起こした行動はどうだったでしょうか。
TVインタビューに登場した人なども古本屋への批難を口にします。それはまるで人の命は地球より重たいと言いたげで、きっとご立派な正義を信条としているのでしょう。しかし一方でそれは、万引きはしても当然だと見なしていることにはならないでしょうか。だから、万引き中学生に対する配慮をせよと主張したり、古本屋に対する多くの匿名の抗議・中傷をしたりできるのでしょう。はたしてこれは正しいことなのでしょうか。
古本屋への中傷は結果としてどういう事態を生むかを考察してみましょう。皆さんも、ちょっと頭の中で中学生になってみて、そして悪い誘惑に駆られ犯罪に手を染めたと想像してみてください。そのとき頼みもしない大人が出てきて、どんどん言い訳を考えたとしたらどうでしょう。しかも内容は被害者への非難で理屈も無茶。さらにそれを行動のヒステリックさでごり押ししてしまったらどうでしょう。
そんな大人を通じて中学生が学ぶのは、社会とは所詮そういうものだということではないでしょうか。つまり万引きという反社会的行為を行っても、言い訳をヒステリックに演出しさえすれば罪を問われずに済んでしまう、ということです。さらに大人になっても犯罪は得だという認識をもつのではないでしょうか。
そういう結果を可能性に入れるならば、古本屋への非難は正しいといえるのでしょうか。
私の造語ですが、こういった抗議の類は「プチ・右翼街宣」とでも言えそうな気がします。丁度、右翼団体の街宣車に似ている気がするのです。そんな街宣もどきの独善的・強圧的な正義が本当の正義でしょうか。そうならないためにも、私は正義とは何かを考えるに当たり、その正義のかっこよさではなく、正義に基づく行動について、あるいは正義がどういう結果を生むかを考察する姿勢が大切なのではないかと考えます。

さて、正義には色々なテーマがあります。その中の性に関する正義も重要な意味を持っていると思います。その正義は特に性のモラルの向上を期待している事が、いろいろな報道や論評からうかがえます。一方で、現代社会の性のモラル破壊についても日々報じられています。
その一例になるかと思いますが、援助交際なるものもいわゆる出会い系サイトを通じて大増加したとのこと。これはブランド品欲しさ・遊ぶお金欲しさに体を売り、同時にそのスリルも楽しんでいるものと分析されています。つまり貧しさゆえに売春でもしなければ日々の糧が得られず生活していけない、というのとは根本的に異なるわけです。
これに対し、援助交際をする未成年がかわいそうという立場の人もいます。以下にその立場の弁護士による意見表明をそのまま引用します。
「出会い系サイトで勧誘行為をするような子どもがいる。しかしこれを罰するというのは、子どもを守ると称して、実は子どもを犯罪者にしようとしているのだ。子どもへの責任転嫁で、矛盾している。」
これは援助交際の防止に当人を加えない理由として述べられたものです。この弁護士さんは、それが正義だと認識しているようです。しかし、結果として援助交際で報酬を得た未成年は、自分の行動を省みなくてよいと認識することになるわけです。
性のモラルを確立し立派な社会を目指すことは正義だと言えます。これはひいては男女平等参画の社会的な機運にも合致する崇高で輝かしい正義だといえます。
しかしながら一方で、性のモラルを大人になる前に正す事は正義とされていないわけです。
こうしてみますと、性に関する正義も正しいとものばかりとも言えない様に感じます。

そこで、ここでは性モラルを破壊しているものは何かについて注目し、掘り下げを行なってみたいと思います。
                         →正義のロリコン?へ続く


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