物質の電子物性を司る電子構造を直接観察できる光電子分光は、電子物性科学において強力かつ汎用な実験ツールとしての地位をすでに確立している。この潮流と立ち位置は今後も維持されていく一方、次世代を担う若手研究者には、光電子分光が持つさらなるポテンシャルの拡大が大きく期待されている。これまで、高温超伝導体の発見に伴う超伝導ギャップ同定や、トポロジカル絶縁体の電子構造が背負うスピン偏極観察など、新物質発見の各局面が光電子分光技術の進展を力強く後押ししたことは周知の事実である。これら見たい物質からの要請と相まって、光電子分光技術は光源の進展とも足並みを揃えて発展して来た。近年、独立に進歩を続けてきた放射光とレーザーが波長領域の守備範囲で大きな重なりを持つようになり、光電子分光利用においてもその目的に応じて横断的に使い分け可能な時代に突入している。制御されて整った光が持つコヒーレンス、偏光、パルス性といった3大特徴を駆使すれば、見るツールとして光電子分光の幅が広がるだけでなく、電子状態を操る側面を併せ持ち、光電子分光を基軸とする物性科学への夢は大きく広がる。本研究会では、光電子分光が持つ秘められた可能性を模索しつつ、近未来物性科学へ活かす機会と捉え、気鋭の若手研究者を集結させ議論する。

ポスター発表 公募(締め切り:5月31日(水))、ポスタープレビューも予定 

ポスター発表申込先:arpes17@issp.u-tokyo.ac.jp

懇談会:6月13日18:05から 物性研本館6階ラウンジ 会費4000円(ポスター発表する学生は無料)

懇談会参加申込先:arpes17@issp.u-tokyo.ac.jp

懇親会に参加なさらない方の事前登録は不要です。

プログラム

6月12日(月)
13:00-13:05 趣旨説明:近藤猛(東大)
13:05-13:10 所長あいさつ
[セッション1 スピン・トポロジー1] (座長:近藤猛(東大))
1) 13:10-13:55 村上修一 (東工大) 「トポロジカル半金属のトポロジーと物質探索」
2) 13:55-14:40 石渡晋太郎 (東大) 「極性ー非極性転移を示す半金属MoTe2における特異な輸送現象」
3) 14:40-15:05 石坂香子 (東大) 「トポロジカル金属・半金属におけるバルクと表面の電子構造」
4) 15:05-15:30 平原徹 (東工大) 「自己組織化によって形成された磁性トポロジカル絶縁体ヘテロ接合」

休憩 15:30-15:50

5) 15:50-16:15 宮本幸冶 (広大) 「スピン分解光電子分光法による隠れた電子スピン構造の探索とその実験手法の将来展望」
[セッション2 非平衡ダイナミクス1] (座長:秋山英文(東大))
6) 16:15-17:00 岡隆史 (Max Planck) 「フロッケ・エンジニアリング:光誘起相転移と冷却原子系の共通言語」
7) 17:00-17:25 岡崎浩三 (東大) 「高次高調波時間分解光電子分光による非平衡電子状態の観測」
8) 17:25-17:50 木村昭夫 (広大) 「トポロジカル絶縁体の非平衡キャリアダイナミクス -光で表面ディラック粒子を見る・操る-」

6月13日(火)
[セッション3 強相関] (座長:藤森淳(東大))
9) 10:00-10:45 今田正俊 (東大) 「レーザーによる超伝導の制御と観測」
10) 10:45-11:10 藤原秀紀 (阪大) 「高エネルギー光電子分光による強相関電子物性研究の新展開」
11) 11:10-11:35 吉田鉄平 (京大) 「高温超伝導体の超伝導状態の自己エネルギー」
12) 11:35-12:00 山地洋平 (東大) 「パイロクロア構造遷移金属酸化物におけるワイル電子の対消滅と磁壁金属」

集合写真・昼食 12:00-13:05

13) 13:00-13:25 柳瀬陽一 (京大) 「2次元強相関電子系を用いたトポロジカル超伝導のデザイン」
14) 13:25-13:50 小林正起 (東大) 「強相関酸化物における新奇金属量子井戸状態」
[セッション4 非平衡ダイナミクス2] (座長:木村昭夫(広大))
15) 13:50-14:35 腰原伸也 (東工大) 「電荷-スピン-軌道の複合ダイナミクスが切り開く強相関光物性」
16) 14:35-15:00 佐藤正寛 (茨城大) 「光によるスピンの超高速操作の提案〜光でスピンをひねる&光をスピンに転写する〜」

休憩 15:00-15:20

17) 15:20-15:45 下志万貴博 (理研) 「フェムト秒パルス電子を用いた超高速格子ダイナミクスの観測」
18) 15:45-16:10 石田行章 (東大) 「ディラック電子系の時間分解ARPES」
19) 16:10-16:35 辻直人 (理研) 「偏光分解した光で見る超伝導体のヒッグスモードと電荷密度揺らぎ」
20) 16:35-17:00 羽田真毅 (岡大) 「時間分解電子線回折法の液晶分子ダイナミクスへの展開」

17:00-17:30 ポスタープレビュー (座長:和達大樹(東大))
17:30-19:30 懇談会・ポスターセッション

6月14日(水)
[セッション5 顕微] (座長:齋藤智彦(東理大))
21) 10:00-10:25 岩澤英明 (Diamond) 「Diamond Light Sourceにおけるnano-ARPES」
22) 10:25-10:50 谷内敏之 (東大) 「化学状態・磁気状態のナノイメージングを可能にするレーザー励起光電子顕微鏡」
23) 10:50-11:15 永村直佳 (NIMS) 「走査型光電子顕微鏡"3D nano-ESCA"を利用した機能性微小クラスターのピンポイント分析とそのオペランド分析への展開」
24) 11:15-11:40 松井文彦 (奈良先端大) 「光電子回折を利用した局所構造と電子状態解析」
[セッション6 スピン・トポロジー2] (座長:和達大樹(東大))
25) 11:40-12:05 大坪嘉之 (阪大) 「トポロジカル近藤絶縁体清浄表面の電子状態とスピン・軌道偏極構造」

昼食 12:05-13:00

26) 13:00-13:45 中辻知 (東大) 「磁性体におけるトポロジーと機能性」
27) 13:45-14:10 酒井英明 (阪大) 「多層ディラック電子系EuMnBi2における磁気秩序とカップルした電気・熱輸送現象」
28) 14:10-14:35 坂本一之 (千葉大) 「固体表面上の特異なラシュバスピン」

休憩 14:35-14:50

29) 14:50-15:15 矢治光一郎 (東大) 「レーザースピン分解光電子分光によるスピン偏極表面電子状態の研究」
30) 15:15-15:40 田中慎一郎 (阪大) 「電子格子相互作用の素過程の高分解能ARPESによる検出」
31) 15:40-16:05 木須孝幸 (阪大) 「レーザーARPESによる分子性導体研究とSPring-8における高効率光電子分光装置開発」

16:05-16:25 終わりに: 辛埴 (東大)