世界的家具意匠考

 

日常的煩煩雑記

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#4 世界一高価なキャビネット
(A Pair of French Cabinet at Alnwick Castle)


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世界一高価な家具はなんだろうって考えた事はありますか??アンティーク、それとも現代の作家物家具?絵画の世界なら、得体のしれない付加価値が付いてオークションのたびに最高値がついてます(最近の物では、レンブラントの作品が弟子の書いた下に隠れていて、それがものすごい金額でアメリカ人に落札されました)が、さて家具はといえば、絵画に比べれば、ビビたるものです。しかし、英国のA.C.C.(Antique Collectors' Club)によると、過去30年間での、アンティーク家具の価値(主にオークションで落とされた価格、小売の価格などを総合した物)は100倍以上に上がっているそうで、これからも、投資目的で買う人々は益々増え続けることでしょう。

さて、世界一高価な家具の話に戻ります。某オ−クション・ハウスS社、そしてC社のエヴァリュエーション(査定)担当の人によると、口を揃えて言うのはこのルイ14世(LOUIS XIV 1643-1715)の為に作られたペアのキャビネットだとの事。製作者はドメニコ・クッチ(Domenico Cucci 1635?-1704/5)、ローマ近郊のTodiという街生まれのイタリア人です。1679年から1683年の間に作られ、ヴェルサイユ宮殿に納められました。

彼は、そもそもイタリアで家具作家としてやっていたのかは定かではありませんが、修行を積んだことは確かなようです。1660年ごろパリに出て来たようで、4年後にはフランス人と結婚して、フランスに帰化し、その頃からルイ14世の為に、家具を作り始めます。ルイ14世が、その贅潤な資金を使って1967年ゴブリン(Gobelins)の地に、自分の為、王室の為の様々な工芸品の為の工房を作り、その際、彼はその家具工房(Manufacture Royale des Meubles de la Couronne)のディレクターとして就任し、多くの家具をヴェルサイユ宮殿やルーブル宮殿のために作り続けます。上の写真のキャビネットは1679年から4年間の間に作られました。もちろんクッチはその間に他のことも並行してやっていたようです。家具自体はは、黒檀のベニヤを主体としたベースに金箔を張ったオルモル、ピエトラ=デュラ(Pietra-dura)と呼ばれる石のマルケトリーで飾られたキャビネットが鹿?の足をかたどった8本足(前6本、後2本)で支えられています。、一番上にはルイ14世の略号が示されています。ピエトラ−デュラのパネルは、鳥に花やフルーツをあしらったモチーフが多く、下段の真ん中の絵柄だけ、一つが子犬、もう一つが猿と変わったものが使われています。

資金繰りが上手くいかず工房自体は、1693年頃にはほぼクローズ状態になってしまい、クッチのその後の行方は良く判っていません、が、1704年か5年にパリで亡くなった事は確実なようです。その後、時代はロココの時代に入り、時代遅れで過剰装飾である彼のバロック式家具は、ルイ14世の息子であるルイ15世にあまり好まれ無かった為、1740年から50年ぐらいにかけてオークションなどを通して売却されてしました。売却後ほとんどは、解体され、高価な貴石(瑠璃、瑪瑙、碧玉など)を使った、ピエトラ=デュラのパネルだけ売買されたり、その当時の家具職人によって、新しく家具に嵌め込まれたりして、現存で残っているクッチの家具はこのペアのみだけだそうです。

現在は、イギリスのノースハンバーランド公爵の所有で彼の住居の一つであるアニィック城(Alnwick Castle)のレッド・ドローイング・ルームに展示されています。

最後に、さて件のキャビネットいくらするんでしょうか??
最低でも、一つ1ミリオン・ポンドはくだらないそうです。


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参考文献:ガイドブック"Ainwick Castle"
              "French Furniture Makers"Alexandre Pradere, 1989

Alnwick Castle, Alnwick, Northumberland, England
http://www.alnwickcastle.com






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