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2003年10月31日
官能の風景
蒼穹がなす城塞の命を懸けた恋に祈る高僧
黒魔術が召喚する極楽鳥が虚偽の時に舞う
霧に棲まう清楚な乙女は覚醒剤に犯された
舞うドブ鼠の残照に耀く怜悧な孔雀の幻術
堆積させた思考が実体化し侵略を遂行する
色彩が窪んだ眼窩にたまった未来の午後に
極上の神様に中毒した少女は宙吊りされる
退屈した幻影に悲しまされた犀の氷の泪を
設定された刺激と快感とに分解させるTV
祈念する屍体を抱いた赤児は危険と戯れる
地に堕ちた笑顔は二者択一の出産を迫られ
太鼓の連打と共に華咲く森の奥で即死する
薔薇のような陰唇より漏れる官能に濡れた
花弁の遠くに溢れる田圃に佇む賢人の乳首
2003年10月30日
現代の風景
空気の様な愛の白さに冷却された
湖の底に光が射し込み少女が歌う
幾何文様が青く青く刺繍された空
笑う枯木に鬼の咒いが舞い降りる
青年の心が髪の流れる大海に注ぐ
暴かれ尽くされた性欲を抱く老人
政治が歓喜する屍体を喰らう民衆
基底の完全系に沈む太陽が眩しい
放置された都会の木霊が瞬く未来
2003年10月19日
官能の光
静寂を破り官能が流れ出す
何故こんなことになってしまったのか
田園の片隅の風景に
風邪と光は蜷局(とぐろ)を巻き続ける
官能の光が静かに舞い踊るとき
風景は賞揚されゆき
山岳の角笛は吹き鳴らされる
2003年8月26日
夏の日
嶺峰を越えて下る
白い霊気を照らし出す
真実を拒絶する夕陽
観念の部屋の扉は僅かに開き
冷気が漏れていく
いくら細いのが良いといっても
柔らかく滑らかでなければ不快だ
地蔵
地蔵が歩いてきて
静かに頷く
森からの風に砕け散る地蔵
風景の色彩が
一切
消え去る
強姦の
石清水を写した写真から
氷水の練り玉が湧きい出る
掠れた女の歌声が押し拡げられる
粘っこい官能と悲喜劇を閉じこめた風景
古代大陸で
近くで見れば
傷だらけの分身
舌先で生乾きの血を舐める
風が巻き起こり
虎が顕れ
睨めつける
赤い花が枯れる頃
旅先の男は
崖からの落石に潰れた
希望
残り何マイル?
雨に洗われた石畳
川の流れは逆流する
希望という名の光りが
いまほど
待ち望まれている時はない
何故今?
なぜ
いま
謎の山脈に
迷彩の布が
被せられるのか
あるふあベトル
海老は死んでも
仏蘭西のわたしは
誰のものなのか
死体を探してピアノ弾きは
地震の絶えない土地を行く
記憶が逝くのは耐え難い
厳戒のビルの茂みを掻き分け行く
新たな太陽が与えられる時
跳ね橋の上をロバが行く
ぬいぐるみと少女
破き裂かれた
ぬいぐるみを抱えた
少女が泣いている
ぬいぐるみが哭いている
倒れる柱は人々を押しつぶす
性としての女同士の闘い
黒い壁に磔にされたぬいぐるみは
官能の滲入に呻き悶える
魔術が人心を捉え始める
夏の日の午後
2003年8月28日
蜘蛛
旅に出た
静謐の地に
居を築かんとす
しかしいま
蜘蛛は思念したまま
微動だにせず
ある一〇分
曲面が曲面を呼び
消防士の休息
酸化鉄ができる前の昔
海洋に隔てられた
島を望む
欲望の展望台
抗議の声が挙がり続ける
歴史は酩酊の内に消滅する
裏切りを見つけた男は
子犬と戯る
夏と秋の狭間の一時
時計は止まったままの
悲しみに
ほっ放かれていた
大量の悲しみは
どうなるか?
悲しみは
いつしか
激しい
憎しみとなる
秘事
奥のそふぁでの
秘め事
薬剤による酩酊により
嬌声は笑声と変ず
官能は口唇から零れ
伝い落ちる
あっぱれ
あっぱれ
あっぱれ
さだむなら
さだむなれ
あっぱれ
あっぱれ
歩ける樹
ある解だ
あっぱれ
あっぱれ
長舞うさま
長舞うさま
あっぱれ
あっぱれ
瓶羅迅
鬢裸人
あっぱれ
あっぱれ
甘茶で
かっぽれ
行列と
教会から出て
南へ下ると
陶器が二つ
割れていて
matrixが
零れていた
鳥は蜘蛛を
啣える?
奏でられる
弦楽の響きに
合わせて
道が震える
青空に雷光が
閃き
煌めき
教会は
崩れ去った
豊饒
すべての画面が
未だ暗く
虚しい
祝福された
豊饒の空間で
ライトが当たらない
観客は誰もいない
豊饒の空間のみ
踏みしめる
その時
2003年9月2日
依存
要求に支配された悶え
生涯尽くしても埋められぬ欠落
常に亡いものを
常に求め続けることからくる
不安
欲求はいつしか要求になる
本来的に欠落しているものだと知れ!
2003年8月15日
その日
喜びが凍りついた街で
彼方の生活が競技場の夢と消える
我達の記憶の向こうに輝く命に
炎が広がる祈りの灯火
反逆者達が跋扈し
反動への策動をする
あの電車の中で太陽と出会った人々
光撃の猛烈な暴走列車と共に
弦楽四重奏を聴く
数字で言えば
八六四十八
八九七十二の証言
しわぶきと共に立ち去る
廃墟の外から来た人はマスクをする
廃墟の中にいる人は?
人はほわほわほわっ
じくじくじくじくじく
立てよ!
黒い屍の硬い躰よ
ぴかドンの十秒
火球の上昇
石の屋根は熔け落ち
人は?
人々は?
腐ることなく炭化した弁当は今でも語る
記憶のみが語りうる
記憶のみ抹消しうれば
過去は改竄されうるのだ!
全ては伝ええない記憶だからこそ
涙を食いしばりしてでも
伝えんとするのだ
屍の爪は今も
青く燃えている
光撃を受けた者が描いた絵と同じものを
例え高名な画家が描こうとも
光撃された者手ずからの絵ほどの衝撃は与えぬはずだ
何故衝撃が去った後も
病に脅えねばならぬのか
社会の蔑視に耐えねばならぬのか
海を見れば涙が止まらぬ
その光撃により
六千度の融点を持つ瓦は沸き立った
それ以来呆けたまま死んでいった老女がいる
孫に囲まれ幸せに常に笑顔で暮らすも
今なお雷光に怯える老女がいる
身体の
顔の
傷に耐えられず自死した多くの乙女がいる
あとみくぼむを落とした国はぬくりあ戦略を推進し
落とされた国はそれを補佐する六十年後
弦楽四重奏が過去を忘れんとする現在を
告発していく
瘢痕は今も引き攣れる
手記を再び書けぬまま去っていった男
街は引き裂かれ
人は引き裂かれ
命・人生・記憶は
引き裂かれた
引き裂かれた乙女達の声は
もう二度と聴けなくなるのだぞ!
今だ!今こそ!今しか!
蝉は今日も強く叫き立て続ける
その日は?
常に笑顔の老女の顔を
六十年経った今なお
曇らせるその出来事
祈りは続け捧げられる
しかしその祈りに反逆する力が
つよくなったりしてねーだろーな?おい!
魂は慰撫される
残された人々は慰撫し続けるし
魂みずらも
自身を慰撫し続けねば保ちえまい
魂は願う
我々はその願いを受け止め続ける
願いを願いで終わらすなよ
魂の願いを実現せよ
六十年間黙していた人が
いま初めて語っているのだ
その日何が彼達に起きたのか
その日何事かが起きた彼達が
何をいま望むのか
決して誤るな
あやまたず伝え実現せよ
想いを伝えよ
想いを実現せよ
虚空に消えていく
彼達の叫びを
叫びのみで終わらせるのか
伝えよ
実現せよ
叫びを
それでなくとも
力としてのぬくりあゑぽんは
その日の記憶によって
むしろ世界の為政者に渇望されるている
我が国を筆頭として
終曲近くの弦楽四重奏は
何を望んでいるのだろうか
その終結の開始が
いまここに
それはまさに
ぴいすむぶめんとの
勝利だ