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木の葉

窓際の林には
幾千という
木の葉の数々が見てとられ

そのすべての
幾千という木の葉の
動きを
一斉に同時に
見ることができ
動きがわかるということ
が軽く可能であるということ



少なくとも
幾千の考えを
幾千の感じを
幾千の思いを
幾千の想いを
幾千の行為を

同時に
並行に
して
為す
ことが

軽く可能である
ということだ






降臨

大陸の
端から端へと伸びた
混乱した帝国の
すべての戦線で

突如

すべての兵器が放り投げられ
照れ笑いのうちに
融和と友愛の
笑顔と拍手のうちに

白い大鳳が
舞い降りる





春のはじめ

痩せた土くれの中から
豊かに肥えた
大きなもぐらが
視力を回復して
あらわれた

野原のすべての
草木が
たわわにうち震えるほどに
大きな笑い声で

鯨が泳いでいく
青空を創りながら
笑っていた

冬が終わった月






浮遊

砂に埋もれた
噴水から

目を光らせた
顔が上がる

蛇使いの
鉤爪が

大地の根を摑み
縛りを
断ち切って

最初の前進を
成し遂げ始める





ささえられ

谷に
息づく
笹の葉は
風に
なびき

指先で
撫で揃えられた
風景

陽光は
こころと共に動き

魂は


運ばれ

そこにある
大切なもの





丘の上で

昼下がりの風
両手を拡げたような
風景としての翼

回転する結び目の
交差点

丘の上で身体は
浮かび上がって

自分の翳が
次第に小さくなっていき

広がる地平が
拡がってゆく








石像の括れた
柳腰に
腕をまわし

緑色のお月さまを
夢に見て

野道の廃屋に
黄色い花が
満たされ
咲いている





大空の淵

蒼いほほに
薄い氷の炎の
薄片が
触れたとき

闇夜の殻が割れた
充たされた壺から
泉が溢れ

聳えたつ大空の
碧に輝く
絶壁の淵より

彩られた生命の
蠢くやぶから

蘇える金狼






蜻蛉の羽

終わった戦いの
記憶の薄らぐ

微光のような
美しい願いが
蜻蛉の羽のように
研ぎ澄まされ

大気に満ちる
よぎる力が肯く

星に叶えられた
零れるような

一雫の願い






少女

雪の中で
少女は再び
立ち上がった

すべての
善きマッチは
美しいということにつき
真である

街灯は
雪景色を
暖かく

浮かびだす






萌え樹

男は北の旗を手にし
寂然と佇んでいた
萌え樹の卵が割れたとき

ミュウズの息吹が
はっきりと

首筋に
触れ
撫で

丘の上の偉人






青い鉛筆

青い鉛筆は
砂浜に
一人

忘れられて
いた

喇叭の売り声が
きこえる昼下がり

波濤が遠くの
岳嶺より下りよせ

中心にある
生命の自由軸は

天の先の

暖かく優しい
零れる光に

おおわれていく








紺碧の蒼穹に
光が射し降り

都市の歴史と
農村の日常と

広大無碍な
満々たる地平を

全身に
吸い込みながら

大きな円弧を
描いて


雄大な

鷲は


舞い






獅子

広々と果てしない平原の真ん中で
羊たちの群れが二手にわかれ

中央に

堂々として
穏やかな
優しげな
逞しい爆発を内在して
金獅子が

全身を
歓びで
満たしていて

一歩一歩
また一歩と

歩んでくる






起動

ある晴れた日

木漏れ日のする林で
割れた鏡の破片を拾ひろった

広がってゆく青空に
こころと雲が
ふんわり

ひとつにあわさって
初めて
顕われた
ホンモノの自分

自分としての自分
自分のみの自分
自分は自分

人生とは
何なのかを
教えてくれた

神としての幼児

洗われた
生命の革命としての

起動






部屋の奥

逢わざる日の
夢しばし

乾いた大気の
薫りが漂い

閉じられていた扉が
軋みながら
密やかに
開き初め

外の世界の光が
眩く
力強い
太い帯となって

部屋の奥の闇を

金色に

照らしだす






桃の実

春の緑
やわらかく

湿りけをおびた
風が

白い大きな
朱鷺を運んできた

もの想う
桃の実が

泉に

静かに沈む


失われていた

歴史の
始まりの

解き放たれた
盾の

首をもたげる


照らされた日






The Captions for Improvisation in Nov 2009

霊岳の
頂きからの
呼吸が



仔猫たちは
宇宙空間に

量子化されて



遠く古い
都市たちの記憶は
「線型」に

つらなって



聖水は谷間を
流れ
下り

そして
たくさんの

生命という生活の
賑わう宙空へ


とけていき



命のそこに
咲く花々が
する呼吸



華麗なる
デコレーションケーキの
ICMP祭り




無人の都市に
はり巡らされた
無数の鏡に映る
幾つもの過去の
自分の裏側を
見た日に





夕暮れに
染まる

廃墟で

赤錆たちが
いま

踊りだす



樫の棍棒を握りしめ
深く帽子を被った
一人一人の
男たちが

今という
時代の時代に

まさに

摑みかかろうと

歩いてゆく





夜の雨に濡れた窓には
部屋での行為の記憶が
映っている




薄く開いた左目に
冬の朝日がさして



紫色の大粒と
露に覆われた
巨樹に囲まれた
柱廊に

雲間より

光は

さして




はらりと

生命の上の方に
剥落する
暖かい雪に
包まれた

柔らかい
枯葉の

穏やかな躍動



水面に映る

始まりかけた
夕陽に照らされた

古城の白壁は

若い日の記憶を
語り始める



華々しい夜の
花々に戯る
蝶々を狙う

怪盗の

メタモルフォセスと
セクスアリテ



王国の生誕が
祝われた日に

凰鵬を前に
奏でられた

という
インタフェースと
実装



大陸の大きな
青い大空の
広々とした

地平いっぱいに

数多くの鳥が

泰然と


舞いつくし


真夏の深く
濃い青空を擁く
山峡を
夢中で駈け廻った
あの頃の
感覚が
再び
甦ってきて