新作

戻る



2003年2月23日


夜の一景

燈台の灯が弦をはじいていく
蒼い月の光りが床の発作を照らす
曲がった足首は官能の表情を語る
クラリネットは重奏する闇の屈折を証す
夜の港に懐中電灯の光線が交差する
スカイダイバー達は折り重なりながら着地する
男の彫像は殻を破って今立ち上がり始める
ロマン派を越える音が奏でられていく
帝国勃興期の舞踊が電算処理され供せられる
木管が互い違いに踊りあう
大地の上を転がる少女
伏し目がちの猿人は炭を囓る
灼熱した黄金の液体は急死した議長に捧げられる






2003年2月22日


全裸の男が

全裸の男が崖より飛び降りる
黒い炭坑夫がした恋
青いFの神秘に眩む眼
新しい流れに乗ろう
古老達は森で新時代を語る
実をもがれる危険が迫っている
色とりどりに光る文字が乱舞する
人工知能を作動させずに
自身をシュミレートするには?
扉の向こうからの救難信号を
礼服を纏った仔犬が発する
国家権力は産業の暴走に傅く
悲しみの丘に斃れる人造人間
思い出がよみがえる度に身を捩る
ああ、遅すぎるのだ
今さら清めることは出来ぬ
白い羽根がはばたいていく
未明の空に翼を広げ森から飛び立つ夢






2003年2月21日


冬の時

少年が笑う
戸棚の奥に昔がある
赤い人が巣くう街
天空の城の預言者
神棚としての典礼
大いなる喜び
火花の開花
約束の時間の忘却
雪の日に告白する
夕刻の恋情を
失われた子を悼む心
涙に見られる偽りの光に
顔を赤らめ
麗人は二時間後に消滅する






2003年2月12日〜18日


月面の

西へ西へと向かった
撮影隊は月面にいる
解体した航宙機の残骸がある
巨人化した屍の脇を
綿帽子が飛んでいく
ナメクジが残骸に住み着く
星形の紋章のある羊が企む
光の軌跡が赤い大地に描かれる
プラタナスの並木道が想いを伝える
砂の地下にある陰鬱な造船所
メシクイザルの悩み
赤い踊り子が黒い空を背景に舞う
首に水色の布を巻いた鹿は笑っている
湖から、屋上から、船は飛んでいく
中国の少女が庭で水菓子を食む
鏡に自らを映しだした少女もまた舞う
双子の顔は逆を向いて融合している







2003年2月10日


日記

 (03年2月10日17:00〜22:00
  静岡市内の下宿の自室のうち
   本棚、机、テレビのある部屋で)



黒い帽子の男の髭がハーモニカに触れる
藍色のビルディングに鳩が飛ぶ
頭蓋骨に赤い糸が刺繍された
ゲイの男は青の服を着て正体を隠す
歌う女は声を出すたび眼を最大限開く
幼な児はそれに魅入り催眠状態となる
七色の信号灯が激しく明滅を繰り返すと
銀色の細い骨格の踊り子がそれに照らされる
戯画化された巨大な星型がどてと横たわる
寂れた舞台に残された銅鑼が鳴らされる
中世の異国の市場に流れる楽士の奏でる音
赤茶けた埃の匂いが今にも伝わる
ゆっくり開かれた瞳は黄がかった灰色で
闇の女は身体を絡ませてこちらを見つめる
未明の国道を農耕機が集団で行く
麦酒を飲む男の顔は絵の具を塗りたくったかのように真っ赤で
世界の総人口が十人くらいだったら
一人一人固有の色の服を着たら面白かろう
拍手が続く
指導者が一語吐く度に二時間拍手しつづけねばならぬ
結構疲れる
死海のほとりの古文書は新たな戒律で民を縛りつける
昔の惨劇の名山で再び人が殺される
青い羽根が知らせを伝える為に街を舞うとき
赤児は母の胸元で喜びの笑顔を洩らす
女王の森の栗鼠は醜悪な容貌の女王像によじ登る
白い薔薇
黄金の羊
野生のアヒル
城壁の外の紋章
玲瓏な給仕の肌の肌理に気づいた婦人はもはや食事どころではない
黄色い河馬が困って呻く声は意外にも少女のように甲高い
泥まみれにされてしまった眼鏡の少女は
水呑み場で一人謝りつづける
眼が
眼だけが宙にあり
眼が
眼だけが
眼のみで語りつづける
学校に行かなくなった少女の部屋はポスターにまみれている
炊事場に立つ笑顔の母親は坊主頭である
ハープシコードは数十年変わらぬ家庭のThemeを奏でる
大麻に酔った父親は私の姉と無理やり同衾する
蜜漬けにされた無数の野苺が白いクリームの上に並べられている
朔風激しい庭園に忍び込んだ密偵は
石盤に遺言を刻みつける
ぼくのママはどこですか?
永遠の思い出が孤独の夜の美しさの隣にある
眩暈の海に広がる夕暮れの欲望
悲嘆に暮れる情愛の権利を記した賛辞に
恐怖の中に縊死させられた男の墓碑銘
夜明けに悪霊の住む偽りの祝福のパノラマも
眺める最後の紫煙の中心にある帝国から
水面で眠りこむ聖書から溢れ零れた汚水に嘔吐する
闇の森で寝息を立てる微風が零星を夢みる
願わくば柔らかい光の芳しい息づかいを
血に濡れた牡鹿は修道女を欲情させる
岩の庭園で身を縮めた猿は互いに寄り添う
薔薇の花が一面に咲き乱れ喧騒の中で反逆する
死者の記憶に押し流される壮大な無関心
窮乏と戦争の祭典に招かれる官能
未知の言葉が青春の湖で混乱するものか
雪の下の数千の屍は風車小屋に吊るされた
警官が勃起した局所を露出して鼻先に突きつけたので
飼い犬は唖然とする
気が狂った聖母は青銅を編んで十字架を造る
諸世紀を歩む労働者は蕭蕭としつつも
次第に大河となりゆく
地に突き立てられた剣が流雲を睨みつける
雷電が襟から体内に流しこまれる
瞳を孤立に導く刻苦を古蹟に納めよとト書に示す
廃園に凍りついた種族は偶然に無秩序となる
黒の神秘は作曲家を楽しませる美酒となる
叫びは木霊する
自らの敵を求めて
生身の人間には常に幻滅させられるから
人は幻影を創り続ける
天蓋の上に昇る私は再び轟くとき空中分解した
巨大な屋上は真夏には浜辺になる
連絡船が出航するとき啓示は沈黙する
壁画の聖人たちはみな痴呆化している
勤勉な青春の果実は数知れぬ精霊と交歓する
紋章の怪物がやがてもがき喘ぐとき皇帝は姿を顕わす
恋の楽園で奴隷たちが悦楽を奏でるとき
瀕死の太陽は忘我の想いを夕暮れの女に手渡す
祝祭がナルキソスの無辜の神への寵愛を示す日に
優美な魔術師はバラ色の血液を鏡面にぶちまける
カテドラルの音楽は人気の途絶えた街角を濡らしつづけ
淫婦のエピグラムは道化師の所作に口づけする
創造はすでに与えられていて解析する主観が行為の主題だ
永年の名誉は権威の経路とは異なる道の栄誉だ
晴間に戦慄する立像の視線は
露台に陳列された囚人の性器を支配する
薔薇の美徳に不幸を知らせる天使の蔑んだ苦笑い
真実を知ったとき狂える魂は麗しく喪失される
グラッサウで老人は確かな響きを教えてくれた
陽気な悲しみを誇る芸術家は地平に血痕を注ぐ
野蛮人が極地のそばで雪に埋もれた聖なる林を築く
時空の諸相に虚体を実現せしむヴィジョンを
青年は白紙の上に綴った
カナの婚礼で網膜の傷口を蝕む深淵の窪み
赤い羽毛は情熱の重荷を偽善的に請け負った
戦いが始まり唇は崩れ落ちて砂となる
正面の窓からミモザの樹が見える
月面の季節を否定してはいけない
そこでは汽車が「海」の底で美しく舞っている
礼拝される政治は啜り泣くべきなのにただただ笑うのみ
党の繁栄を確信し祝宴の準備は既に始められた
全ての航海は必然的に収納されてゆく
郊外の宿舎でレトリスムの詩人が殺された
パパヤビーチの二人組の案内人は
旅客機の翼にしがみつき渡航を試みる
忘れられた山岳で今も待ちつづける登山家がいる
角笛が強く吹き鳴らされるとき老人は最後の挨拶をする
軍事的に配置された照明が天に導く柱廊を現出する
竪琴が静かに点描してゆき
鐘の最後の響きが完全に時間に溶解し尽くしたとき
人類の前史が終わりを告げる






2003年2月8日


書物

荒れた草原の末端で城壁に登る
裂けた旗が風に持っていかれそうだ
蜜漬けにされた果実は砂まみれになってしまった
空が溶けこんだ色硝子の破片を除けると
古代の金貨が現れる
それを両手に抱えて
零れ落ちる金貨の音を聴くうちに
それは憧れの書物となる

城塞に滞在して一週間になる頃
ぼくは五四,三二一冊の書物を手にした。






宿営地

しまった!
猫が影を銜えていってしまった
川辺の宿営地で
怯えた傴僂の兵士は白目を剥く
笛の音が一節山頂を過ぎゆく
それは獣の唄だ
遠くの砲火が止み
苔むした墓石に咲いた菊花は
たちまち萎れる
戦略爆撃機の爆音が次第に近づいてくるにつれ
幕舎の饗宴はますます狂躁の度をます

猫はどこにでも潜んでいるのだ






ぼくとペン

扉が開いたとき
霧の中でぼくはペンをとった
始めは金儲けのために使った
最初は帳面をつけるのに用いたが
次第に書いたものを売って儲けるようになった
次にぼくは学問のためにペンを使った
始めは書物を読んでノートを取るのに使ったが
次にノートをもとに新たな書物を書くのに用いた
最後にぼくは自身を記録するためにペンを使った
ぼくは日記を書き続けた
日記の中でぼくは楽譜を書き続けた
日記の中でぼくは詩を書き続けた
扉が閉まるとき
ぼくとぼくの書いたものは
炎の中で大自然に還った

そして残ったペンと骨かすは
一緒に葬られた






ある黒人青年
    (創世記など)


黒人青年が
牧場の白い垣根のわきで
吃りながらも求婚するのを
ヴァイオリンが祝福する
ぬいぐるみたちが移動屋台を牽いてくる
果実を盗ろうとする蛇が
何をか企んでいるのを
馬小屋は知っている
人類が泣いた昔を少女は睨みつける
母親の遠い視線は何も見ていないが
子供が両親を再生させていく

再び春の牧場で
黒人青年は八十五人の玄孫に看取られ
静かに息をひきとる






研究所

黒い霧を吐く森の蛇
蛇は哲学者である
黒い森の哲学者
虹のたもとの水泡に住む
赤い蜥蜴が大樹に登る
丘の上の研究所で
科学者と技術者が贈り物を譲り合うさい
互いに照れながら恥ずかしげに身悶えする
二人が同性愛者であることは一目瞭然であるが
二人が相手もそうだと互いに気づくまでは
研究所は機能しうる

空を桃色の巨大な飛行船が
ゆっくり横切っていく

男の子になりたい女の子
女の子になりたい男の子






2003年2月7日


冬の一時

条件によっては青空を取り戻せる予感
笑い声は次第に聴かれなくなった
鋭敏な男は残るのか
噂の池を探しに行こう
溜息ばかりがきこえる
喋る前に言葉を探り合う

嫌われ者は有線放送に
永遠に封印にされる






風船

風船が流されていく
裏道を空き缶の転がる音がする
廊下で男が暴れている
エアコンディショナの音を聴いてるうちに
初めて東海地方の訛りを知った
学問所の柱は次々に切断されていく
呑気なプロペラ機が飛んでく音
理想の女性の面影を追い続け
徐々に断崖の端に近づく
謀略が日常の隙間に忍び寄っても
空にはいつも
風船がある






喰らう

サッカーボールに囲まれて過ごすうちに
幻聴まできこえてきた
混血児の肉を喰らうために
三日の懲役に事前に服する

喰うための一時的地獄行き
喰った後の暫時の天国行き






滅形

怪鳥の遠吠え
南の空の穢れた雲
伸びた髪は皮膚に突き刺さり
伸びた爪は皮膚を剥ぎ裂く
空は常に全面血の赤さだ
壊れたプリンターは
延々髪を排出し続ける
警察官は処刑された
腐った身体は臭い立つ
工場の黒い廃液は未処理のまま
海に流れ出し続ける

ああ
だめよ
そこは工事中なの






2003年2月6日


日記

 (03年2月6日19:30〜22:30
  静岡市内の下宿の自室のうち
   本棚、机、テレビのある部屋で)



自己矛盾する官能に
卵が鉄板に盛り上がる
バンジョーが教卓に抱擁し
そんな政治はお手製なのか
天上天下は串刺しとなる
取り出された人々はフライになる

冬の一軒家に灯がともり
古代遺跡に映像が集積される
傘が三つ並んだ横の牡丹雪
ママゴトと書かれた白い字が浮かんでいる
黄色と緑の縞模様が振るえる
尖ったヘルメットには水が溜まり 髪が揺らめく

田舎の道端で四人の少女は唄う
天から星屑が飛礫となって降ってくる
いいかい。坊や
死んでも天国の子供にはなれないのさ
崩れたカップは並べてあったはずなのに
歌を聴かず恐竜の化石に魅入られ
女性の服が変なのは
それを女が作っているからでは?

大陸が裂けていくが
そこにはすでに大自然が生まれている
メロンが秒速10kmで疾走する
旧家の男が機内で化粧して
明日の時間を保たすには
今でっち上げねばならぬ

あれ?駄洒落が理解できない
霊柩車に乗った銀の骨壺は笑う
音を消したら意味不明だぞ
幸せが舞台で演じるantiクライマックス
自動車に置き去りにされたカメラは記録し続ける
宇宙人が娯楽産業を見学する
事情を知ったら
これがどれほどインチキなでっち上げか
呆れ怒るだろう
本当はこれが純粋な観念論的作業であれはよいのだが

よたよたした老婆は列車を追って走り出す
南国の教師は異邦人で宇宙から解析される
戦闘服の男はキマリ文句以外は案外純朴で
迫撃砲となって海の子宮を貫通する
大法典は法官ではなく浪曲師の机上にある
開いた目は瞳が黒く大きく真剣であり
凄い迫力で
あれ?
なんだ 死体か

草原に万国の民が集う
薬を自由に飲みたい
欲して食しえないのは薬(*)だけではないか
 *=薬とは向精神薬のことで麻薬・覚醒剤・幻覚剤を含む

肉が引き裂かれ血に塗れているが
笑顔がカワイイ
薄い服はアーミーナイフによりズたズたダ
顔が歪んだ父親が
娘の血を啜るために這いずりよる
笑いの達人たちは常に瞬間を読み切るのだ

与えられた部屋は理想的で
宇宙空間の真ん中に一人で浮かんでいるのと等価で
この最善の環境を永続的に保ちたい
この物語には基本的に終わりはなく
人がかわり
場所がかわり
時がかわり
視聴者がかわっても
物語だけは永続する

杏仁豆腐を食べた少女が嘔吐したので
毒を盛られたことが判明する
大地に全ての生命が還るように
筆を使って呪術が施された
眼鏡は必要から芸術への途上の好例だ
とにかく眺めて聴いて感じて
インスパイアにインスパイアを重ねること!

銀の名を持つ女
諸国の円卓会議で悪の帝国の国務長官が
血に飢えたペニスを勃起させたまま
でっち上げの暴論を説く
会堂にある市場の肉屋で
囚人たちの靴が山積みされて売られている
靴の種類はばらばらなため一種異様だ
冬なのに体臭が服に染み付いている
人生が地獄への待合室なら幸せではないか
人生の先に地獄が つまり
死の壁の向こうに何かがあるのだから
旅先で病院によったが最後
収容所行きだ

老婦人の胸元を金鎖が飾る
黒人歌手の大きな歯が
照明に白く輝く以上の強さで
背後に数百人の亡霊が顔のみ浮かべている
あなたはどこに住んでいますか?
ドイツだけが特別なのではないよ
過去から未来へ浸食せんとしている
空恐ろしい事象が身近にあるでしょうに
記憶するのは人類の義務だ!

夕刻の墓地に糸杉が立っている
その根は死者に絡みついている

黄昏の頃
赤い郵便ポストが階段の脇に佇み
最後の人類が何を投函するのか
一人
待っている






2003年2月5日


活動(なちおなりすむ8)

       Qms

  )6def q3   33dtx
 2p   R4 0     set
c9(3y ppu  oou pipi iiiii
     tor orT 33pXpp
 It24 scXt
            ttiOr
                sexpi
            comii comii
    iJKr)24-3*2 nN~2ex^lll345pp
phD cunt niggoar     [!?]
            neighbourPhoD
    sExtProx      e&24%
pi!   24sk$        3p
tK        MLcom    ?
 zQ   2sx           di
   q-ms     SEXial      sx
 1+1+1+1+1+    01 01 10011 10
cyuke7q@ bZtd(g@e'e' ^e0^mZst@yf@_49
 sex oo^e00 oo^e00 oo^e09 bkwi^e00
SEX  pZhr06m^  ttibnban  q-masa  4p
q-masa fifi d@2@ysqqt5 Q-ms comii Q-masa!






2003年2月4日


二人の女

完全な無風の
逆光の霧の中で
東の青い湖面より
全裸の女が立ち上がる
鳥の声が木霊するとき
光に載ってもう一人
全裸の女が湖面に降り立つ
そして皆は
二人の女が双子であることを認めた
光が急激に強まった後
霧は一瞬にして澄み渡る
景色の全ての色彩が
逆さに湖面に映えている
森を抜けた風が
湖面の彼方に走り去ったとき
双子の女はどこへ去ったのだろうか
森の小道に二人の姿はない
鳥の声が再び木霊する






2003年2月3日


なぜ戦うの?

内壁を
赤く塗られた地下倉庫で
荒寥とした心象の学生が二人
崩れ蕩ける女を巡って
論理を纏った拳で戦うのを
ライネッケ狐が見つめる
証拠を見つけんとせんばかりに

論理?
拳?
論理が好きなのではなく
喋るのが好きなだけではないかと

刃(やいば)で
胸を突きたいのではないかい
腹をかっさばきたいのではないかい
首を掻き斬りたいのではないかい
血が見たいだけなのではないかと

血を壁に塗りたくり
血にまみれ
血を飲み干し
自らも血となる
ただ血が好きなだけなのではないかと






薔薇園

薔薇園に佇むとき
屍を埋めた真上に佇むとき
鎖の巻かれた大理石の像に
雪が静かに降りかかる
小池に架けられた橋は
錆びた金属で
雪を散りばめた薔薇の花に
紅のローヴがかけられる
時計塔を飾る
レリーフの幼児が
静かに微笑む

時刻が隠蔽する
一つの謀略






見つめる

目を見つめなさい
瞳を見つめなさい
虹彩を見つめなさい
それらの奥を見つめなさい
音楽がきこえるでしょう
音楽が鳴動しているのがわかるでしょう

だから
だから二人は
恋人たちは
見つめ合うだけで
会話ができるのです

だから
だから二人は
恋人たちは
見つめ合っているだけで
何時間も無言で過ごせるのです






下から上へそして忘却

五人の聖騎士が秘蹟を行っている
エレピを中心にして
星の銀色が琥珀にかかる
細い骨格の梯子を登ると
異国の人々は街角で唖然としている
大きな蛸が部屋中をのたくる
洗礼する牧師は荒れ狂う
世界にひとつだけの花は
いつ忘れ去られるのだろう






2003年2月2日


少年

蒼い森の奥の泉に
少女の破れた黄色い服が映りこむ
熱い心の少年が
時の断層を越えては追って来ぬと
静かにそして
強く泣いている

月光が天空を横切った夜以来
少女の名は永遠に
忘れさられた

白痴としての狩人たち






一点を

雷鳴が轟いたあの過去で
睡魔に襲われた青年は
活動することしないこと?
拒絶した女は
君を試しているだけではないのか

鹿が戯れる公園で
遠い記憶に誘われるかのように
噴水の足元で
幼い兄弟は再会する

虹は見えるかい?

荒原の地平の向こうの山並みの上に
まさに「仲間」を見つけたのか
崩れた聖堂の柱廊に
ともに目指す一点を
刻みつけよう