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煙草

煙草を灰に
した我
灰となり





壁の穴

ふと目醒め
何かがベロ出す
壁の穴





新千歳

新千歳
涙留めし
空の徒手





ポール

ビル崩壊
逃れた指先
ポールの光







雪舞いて
押しつぶせり
近代化





氷点

武士のおった
ミルクが昇り膨らむ
三年前の姫神

三つの氷点





季節

レールの音
鋸の刃
爪鑢の皇子
せせらぎに啼く水鳥
銀紙でくるまれた心臓
焦げた匂いのする氷室





歴史

暗い筆箱の中で
消しゴムの聖霊は
糊の欲情に辟易し

忠魂碑の横に砲弾が
恥を背負って
錆びた全裸を曝せている





春山

がりがりと引きずられ
冷泉に還る亡者の群れ
樽の上に置かれた狼
春山に白夜の色魔
忘れなじと追う若葉に
実をむすびだじ若宿の梅







木の根に更なる春の椿
風に舞い上がる椿のそっ首
浮きて寝る
夢観に生きる
咲く花に安堵し
机にインク瓶がごろごろする





Landscape

尾から赤い血が溢れる
冬の風に Aorta が割れ
見開かれた瞳は
世界の物語を看破しえず
握り緊められた拳が開いたとき
虚ろな浪の雫が頬を伝い零れて
木枯らしに歯が浮いて





Davide

三千年前の昔に
少年は
右手に緑閃石
左手に緑簾石
を拾い
ゴリアテの嗤いを見すえ
逞しい身体を
美しくひるがえらせ
忘れるを得ぬ H
背中に印刻された mc2
速度が変われば彼我の時間軸が変わる







刺し違えがあるような記憶
河の渡し守
耐えながら女は
巡り会うひたむきな感情を
暮れる夕陽にそよぐ昔のマフラー
別れを諦めた
夜の世の中の盟友
寝床に冷たい身体
揺れるカーテンの
遠くを見つめる動かない瞳
静まりかえった重い扉







過ぎた記憶の
柔らかな雪を待つ

傷ついた小鳥を
手にとり
季節巡るは
丘に鳴く鳥の遠くに
いつまでも待つ

麗しの唄は
生きるという今日を
生きる我ら





あの日

池のほとり
僧侶の池
御伽噺をひもとく
ベツレヘムの星が
公園の鳥居を囲みます

美しかった日の午後

五稜星もあった
壊した剣の矜持の時の朝

胡弓が大陸に泣いた日の
ドックでメカニックが笑いあった昔

甘い唇よ来たれ

匙が投げられたカウンター





鶏鳴

大木を縫う小道の両側は
平たい煉瓦で
低い石垣が組まれている

ぼくはやるよ
片田舎の鼓笛隊を
新しいエレクトリックサウンドの匂い

二月の早朝に氷は売られ
このようにして鶏が啼く
神岡の地下の光倍管が
宇宙の創世を観測し

夢の中で買い溢れた書籍を
改築した部屋に格納していく

青信号が束の間に点灯した
フタコブラクダは





週末

広い公園の
噴水の前で
青い瞑想
バターのチャイの
週末の終末を廻す
マニコロ
夏の炒飯
熱さのマルクス







待つ時間
裏切られたラに
未来を見





斗い

青の涙の筋

空に瞳の泪は
忘れ路の
野の人

ビラの斗いは互いに暴れ
強い裸の風影に
なごむ潟のラッコの親子

滲んだ念ず酒念は
失われた熱い親児の家

マングローブに雪が降りつもり
刃が降ろされた世界を
世界と間に

つがいの白子が微笑む
崩れていく頬の化石は
過去の居酒屋にネオアカデミスモも

顔色失ったタクシーラジオ
剥落せる銀色のライオン

落魄の住宅街の隅の右翼の街宣車
ロスアラモスよ再びと歓喜する

雨季と乾季





E.S.P.

特急列車が田畑の中をいく
遠くの岩山から拡がる
明るい青空に照らされて
陽のさしこむ林の中で
鹿の姉妹が濡れ落ち葉のある風景を
ノートパソコンで描いている
木の小学校の煙突から
お昼時の煙が上がっている
ココットの心の E.S.P.





Riot

寝静まったころ
ダルマが目覚める
ダンプの灯が窓を照らす
大きくなった穀象虫が
おべべを着て
蒟蒻片手に踊っている
仏壇から這い出る
般若の面
天井から狸の脚が滴り落ちる
消えた子供部屋があらわれる
ターンテーブルが廻りだす

汗の匂いのする Riot





theme

さあ始めよう
シリアル食べて
背広着て
革靴履いて
部屋を出て
ネクタイを結びながら
前衛の復権を
創造の進化を
自由への金切り声を
墓から暴きながら
ツォンカパの示した初源のフリーダム
置いた内臓にビルトイン
時代を前に進むこと
肺の中に熊蜂の棲む
かすれた笛が焦燥の theme を呟く
貴公子然とした麗悧なコンダクター
未来の地下鉄に乗り
産まれて始めて首都を歩く
取り違えられた港の債権
山のような金が転がるたびに増え
祖父の形見の麦藁帽子は転がり
睫毛の塩がとても目に沁みる
食器棚に置かれたハバナのバナナ
インク壺は切れることを知らず
一人入る風呂場で孤独が歌うニューエイジ
幾重にも奉納された賛美歌の嬰児
山芋で肉をつなぐ
夜道の空気が警告する
跳ねる魚は海面を滑空し
夜に忘れられた再会の記録
忘れられていき
戸棚の奥の宝箱は沈められていき
いくつもの泡が icon とドラえもんになった
通勤列車が鼻をすすりあげる音がする
清掃車が全身の静謐を洗い流していく
うたた寝にあらわれた沈丁花





拡大家族

岩奔る春のように萌えいずる
興こす複数の拡大家族の統合
介錯する侍を解釈し
せしめる倫理を
落し蓋に詠む





Kペン

先の丸い大きな枹を持った逞しい女が
樽の底を垣間見た
一瞬の収穫の日の喜び
願いは集落の井戸の姉の清んだ水に運ばれ
畑の間の用水路を抱えあげて
感化された悪鬼の黒光りする剛毛は赦され
解体された獣人の毛皮は壁に飾られ
多くの粒が土間に横たわる

歩いていく
小道の路傍の朽木の上に茂る草の上を
陽は雲から段々と地平線のこちら側に夢みるように帯びなし
燃える夢が景色のクコの向こうへ萌えいずり
年々もの昔に色香を纏い始めた成長する少女たちの体躯をさすった
あの日に酒がありそれは白熱灯に黄金色に輝く哀愁
戦いの部屋の記録が糸で綴じられ
狛犬の足元に置かれる

コギトが企む
排除への世論形成
どた靴は紫のチョコレート菓子が消費され
撃ち放たれた鏑矢は松林の上を飛び退る
青年は異邦の月琴の音を採集し
電子化された羊の書棚の柵に
金網を握り操車場を夢想する少年は剥がれていて
待ち疲れた脚を組みなおし
雨に濡れ始めた時計台は穴の開いた舌が闇に静まり雪
二つの翼が宙からさしこんで浮島の傾いた頂に降りる

青磁の壺に熟成された
夕月の反射を閉じ込めた蒸留酒を持ってきて
科挙の虜になり百数十年
放射線障害の吾子の写真を次々に見せ
水鳥は虫を啄ばむ罪劫に包まれ悩み聖人を訪ねる
小鳥の民間が歴史の重みに沈下し珍歌を唄う朕の狆に
ホライゾンに机の中の宝物が惜しまれて並べられた
フラッパは羽ばたき慌しく無電に攪乱され
歩く足踏みはときに苛立たしく
フラッパに手を振る牧人

寝返りをうつ少女の口元は蜜を夢みつ咀嚼し
音が官能に聴こえる生きる道筋に生きる旅の悦び
大きく膨らんだ時代は
川崎のコンビナートの廃液に捨てられて
真紅の貿易と漆黒に縋る無数のパイプラインの黒い思い出
菫の排ガスに漏れた溶暗の夢魔が萎れ零れる
争いは望まれぞめいたしかし
abdrYavwehに巻き込まれる
一緒に歩いてきた道は
無為の橋梁に垂れ下がり
Kijj人たちが
油に溶いたラピスラズリを
笑顔の副鼻腔から吸い込む





民営化

ん?
いまラジオをつけたら
耳の間違いか
民間刑務所
と云っていたよ?

正式名称は
社会復帰促進センター
というらしいのだけど

なんでも民営化の時代だから
刑務所ですらも
いつのまにか民営化されたいたのか

知らなかった!

このいきおいでは

けいさつも
しょうぼうも
ぜいむしょも
ぐんたいも
さいこうさいも
おおくらしょうも
がいむしょうも
ふじさんも
とうきょうとも
こうきょも
こっかいも

遠くない将来に
民営化されるのだろう





宙航船

明日よりはなお富の山
摘まれた春の契約の
NEETに降る雪
港に千年の停泊した宙航船は
鉱山街となる





河岸

催されたダンスが
河原に光る蛍な
移転していく cancer cells を発光させ
リュートは杉並木に爪弾かれていく





竟夜

醜くなった声に気づき
斜向かいに寝て
夜もすがら
妬くのも吾なり
奈良山に歌が調べする
胸の奥に滑りこまれた刃





クリオネアの友人

鐘が叩かれた
op のπに手が伸びた
浮かぶ潮水に手が届く
クリオネアの友人







綱を攀じ登ろうとする
綱は滑車を解して
首に繋がっている





水仙

明白色の空に
仮僧の想が
火葬の静けき灰の
歩いた道に降りくるに
ガラスに閉じ込められた
水仙に
熱く懸想した
近衛兵の息子たち







三角錐の頂点が光り
シャペロンが連なり
青い薪に火を燈す

逆行に黒く輝く
霊峰の頂き





想景

いつまでも忘れない
雪景色を歩く
優しい季節
常に闘争の中に身をおき
紡績の詩人の少女
繰り返された性交に
劣情は亢進する
成功の口唇
恒星の行進
些細な不注意で原子炉は臨界に達する
トルコの水パイプから
濃厚で妖艶な白煙が吹き騰がる
デパートに人影はなく
街の雑踏に聖霊が佇む
障子に映る灯火
蝋燭の火が揺らめき
二つ枕の乱れ髪を照らす
金庫に置かれた盗まれた仏像
湿地の中心の公園に
ぬかるむ道を辿っていくと
名も知れぬ小鳥のさえずり声が
此処に遠くの彼処に聴こえ
深夜を告げる合図のグランドピアノ
寝色の時刻を高まる鼓動に蹴飛ばされ
幾らでも遅くなる時間軸
南アメリカの軍閥は
武装した女兵士が密林を巡回する
ネオローマン派が奏でるインテルメッツォ





執事と令嬢

歳若い執事は
流麗な物腰で
ビロードに覆われたハープにあわせて
南国のリュートを奏でる
青い列車が奔りすぎていく
窓から桃色のティッシュペーパーが撒かれた
消えたものを想う熱情が

シャトー劇場に置かれた鍵盤に観衆は息を呑み
生涯は一篇のピアノ小品であらわされる
王侯の音楽は亡くなった令嬢の未来をうたう
演奏家が楽曲を待っている
舟船が水路を往還し
窓の上からファンファーレが
劇場になりわたる