よみいなむくずし











冒頭に「にしみなみいちわよみいなむくずし」が紹介される。
「にしみなみいちわよみないむくずし」という名称からして尋常ではないが、「にしみなみいちわよみいなむくずし」には他にもおかしなところがある。
音を吸収しやすいはずの森の中へどこからともなく木霊が響きゆくのである。
また「にしみなみいちわよみいなむくずしの櫻」という大樹が登場するが、この桜の花びらはいつまでたっても消えない。雨が三度降った後でなければ消えない。その後おかしなことには、月光の中、一晩にして消え失せてしまうのである。
「にしみなみいちわよみいなむくずし」の老人たちは東京から伊豆大島までの行き方を説明するのだが、それは海路でも空路でもなく陸路であり、しかも北から南へ進むだけで東西方向には西へ西へと、つまり地球の自転と逆方向すなわち時間軸上を、飛躍に飛躍するのである。
こういう場所が出発点の一冊の詩集だ。




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