麻雀は判断のゲーム

さて、それではいよいよ麻雀の本質を説明します。

麻雀において頭を使うべきポイントを分かりやすくするために、 次の図を見てください。脳みその面積が重要度と比例しています。

お馴染みの「牌効率」や「手牌読み」もあるのですが、 それよりもずーっと「行くかオリかの判断」が占める割合が大きいでしょう。 先のオヤジ氏の例ですと、彼は序盤の手順がメチャクチャなわけですけれども、 見てください、「手順」の占める脳面積って小さいでしょう。 オヤジ氏が酒の飲みすぎで実はアルツハイマー、この部分が欠落してたとしても、 まだ弱いかどうかは断定しかねるのです。逆説的に言うと、ここをいくら磨き上げたって 他の項目がお留守だと勝てっこないですよね。

「行く」か「オリ」かをプレーヤーがどう捉えているのか、そのあたりが雀力として 重要なポイントなのです。例を挙げて一緒に考えて行きましょう。


例えば、自分の手が高いときは行く、という人がいると思います。 そういう人は、以下のような判断を行ったことになります。

ここで、赤色は先行された相手に対して勝負した場合の期待値がマイナスであることを意味し、 青色は勝負した場合の期待値がプラスであることを意味しています。 そして、そのスカラの大小を色の濃さで表現することにしましょう。 色がだんだん薄くなって白色に近い部分では、期待値がほぼゼロであり、 行くかオリるか微妙な場面、言い換えれば行ってもオリても結果に大差がない ときです。色が濃い部分では、誰が見ても行った方が得、またはオリた 方が得な場面です。その判断を自分の得点力を材料にして決めたということです。

さてここで、「強気な人」を同じやり方で表現してみましょう。 強気な人は、自分の得点が低くても突っ込みますから、次のような判断を していることになります。

強気な人

逆に、「弱気な人」はどうでしょうか。 弱気な人は、自分の得点が相当高くないと勝負しませんから、次のような判断を していることになります。

弱気な人

そして、組み合わせが膨大過ぎて計算できないですけれども、 麻雀牌の数は有限ですから、必ず最適な境界点(白いところ)が存在しています。 それが自分の感覚と大きくズレていたら「負け組」ということです。


注:この場合はひとつの条件ですが、それでも「他の条件をすべて固定!」と強引に やれば最適点は必ず存在します。こういう具合に、他の条件を固定して(無視して)しまって、ある特定の条件の有利不利を考えることを「偏微分」といいます。


さて、判断の材料は得点力だけではありません。それだけでは偏微分が荒過ぎます。 例えば「点棒がなかったら行くし、 あったらオリる」という人もいるでしょう。「金持ち喧嘩せず」というやつですね。 これも「持ち点の不足」という指標として、以下のように表現できます。 (もちろん先程と同様に、「強気」と「弱気」のバージョンがありますが、図は省略です)。


さて、どんどん核心に入っていきます。 ここまでは「得点力」と「持ち点の不足」による判断を別々に考えましたが、 実戦ではその組み合わせのバランスで決定することが多いのではないでしょうか。 つまり、判断材料が2軸に増えて次のようになるはずです。境界が「点から線」に 変わりました。 これは「強気な人」の2軸を組み合わせたものです。

強気な人

逆に「弱気な人」の2軸を組み合わせると、次のような判断マップができます。

弱気な人

ちなみに面白いので「全ツッパ」の人を描いてみましょうか。 もちろん真っ青な正方形となります。

全ツッパ!(笑)

あ、笑ってはいけませんよ。神様だけが知る最適な判断が、もし「強気な人」の マップに近いのなら、こういった全ツッパだってそれに近い近似を 行っていることになり、 きっと良い成績を収められるのですから。雀○流の選手が最強位戦で好成績を 収めた実績等を見ても、実はそこいらが麻雀の最適に近いのかもしれない、 そういったシビアな公平さを持って見る目がありますか。

雀○氏にそういう風に説明する素養がないだけの話で、 本当は強くて正しいのかもしれない。説明する力量があるのと、最適判断マップを 持っていて強いかどうかはまた別の話なんです。そもそも、プレーヤーと解説者を いっしょにしてしまう麻雀界がどうかしています。 氏に筆を取らせているようじゃ、麻雀界の知的レベルを疑われます。 氏が大変に強いのはそれでいいと思います。 プレーヤーは結果がすべてです。 しかし、それをどういう風に分析して一般論に 発展させるかは、また別の専門家の手にかかるべき仕事だということです。 すごいプレーヤーは自分でも良く分かってないのに、スーパープレーをして ファンを魅了することが多いでしょう。 ルーキーのスイングを ベテランの落合氏が解説する、という構図です。 もし氏が現役復活して、漫画ノーマーク爆牌党の爆岡くらいの活躍をしてみせたら、 そのときは私に解説させてください。精一杯の分析ができるよう、がんばります。 一段格上のデジタル雀士を 目指される皆さんは、そういった視点で他人を見つめることが大切だということ だけは肝に銘じてください。

たとえば、盲牌や強打をしている人がいたとするでしょう。聡明な若い打ち手は、 「そんな無駄なことをするやつに限って強いやつはいない」なんて勝手に思い込む フシがあるのです。また、良い手をアガリそこねて、「見てくれよぉー(T_T)」なんて 未練がましく手牌を公開する人なんかを小馬鹿にするフシがあります。 自分は手際よく、無駄なことは一切しない。そして寡黙に手際よく負けていく。 で、最後に「素人とはやってられない」って言うんです(笑)。 乱打戦に弱くて、めまぐるしい展開を好まない。 こういう「エセクール」な人って すっごく危険なんですよ。自分の麻雀スタイルに合わないとすぐにカッカして、 大事なことが頭からお留守になるタイプ。

正しくは、
「盲牌や強打をしていようが、未練がましく手牌のことを語っていようが、 強さとは無関係である。無関係=マイナスと早計するようではダメ。 プラスの効果はないが、マイナスの効果もないのだから、勝負際の 相手の判断マップが正しいものに近いかどうか、それだけに着目していれば良い。」

これくらいの落ち着きがある「本物クール」であってほしいものです。

私と打つときは、盲牌も強打も未練タラタラの手牌公開&解説もして頂いて結構です。 どうぞ、ご自由にされてください。 それを楽しんで聞き流すくらいの気の長さは持ち合わせておりますから。(笑)


さて、話が少しそれましたので先を急ぎます。

こうして「行く」「オリる」を判断する材料というのは、打ち手にとって 数多く与えられています。例えば、「シャンテン数」なんかもそうですね。 自分が3シャンテンなのにツッパっても仕方がない。これも判断材料として 次のようになります。

これをさっきのマップに加えると、

考えている空間はこんな3次元のキューブとなり、境界は「線から面」へと変わります。


まだまだ判断材料はありますよね。「待ちの良さ」なんかもそうじゃないですか? 自分がリャン面以上なら行く、とか、まだ場に枯れてなければ 行く、なんていう人もいらっしゃるでしょう。そうすると、こうですか。

これをさらにさっきの3次元キューブに付け加えます。あれれ?もう図が 描けませんね。そう、ここからは図示はできません。しかし、着々と 次元数は増えて行きます。


「残り巡目」なんていうのも大事ですね。残り一巡でツッパっても仕方がないし、 ダブリーにオリたって仕方がない。そうすると、こうですか。これをさらに さっきのキューブに加えます。


「読みの確信度」なんかも重要です。相手の捨て牌が露骨で、アタリ牌がほぼ 特定できるなら相当踏み込んで構いませんから、次のようになります。これを またまたさっきのキューブに加えます。


キリがないのでこの辺で終わりにしますが、とにかく、打ち手に与えられている 判断材料はたくさんある。そのひとつひとつが重要度の大小はあっても 結果に影響を及ぼすファクターで、そのひとつひとつを軸として張られる N次元空間上の損得マップ、これが麻雀の正体に他なりません。

この考え方を頭に叩き込んでください。 最適な分離境界はどこかにあるんです。しかし計算できないので、神様しか知りません。 完璧なものを「神様のキューブ」と呼ぶことにしましょう。 あなたの感覚による損得マップがどれくらい神様に近いかどうか、それが今までのあなたの トータル結果を決めていたのです。


補足のために念を押して説明しますと、

手順が良いのに勝てない人は、実はこういうことが起きてるんです。(2次元で描きました)

悪い感覚近似

テンパネが計算できないくせに強い人は、実はこうなってるんです。

良い感覚近似


あなたは自惚れられるほど良い手際をしているのになぜ負けるのか、分かりましたか。
から を切ったって簡単には負けとならない理由が、分かりましたか。

分かったら、あとは自己改革をするだけです。ここからが気の遠くなるような 作業、登っても登っても頂が見えない地獄の一丁目、それに耐えられた者だけが 開ける上級者への扉です。途中下車を決め込みたい人は、ここで降りても 結構です。やりたい人は、次のページを開いてください。