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実験音楽・サウンドアート

VA / Fluxus Anthology(1995)Anthology Records(Italy)

これは有名なコンピにして実はブートらしい。フルクサスの音楽作品を知るベストな入門盤。18人分の音が入っているのでオリジナルからの抜粋も多いものの、お得です。というか比較的出回っていて、まとまった音源を聴けるのがこれしかない。嬉しいのがブックレットにフルクサスの首謀者ジョージ・マチューナスが書いたExpanded Arts Diagramが載せられていたり、各アーティストのカッコいいスタンプが見れる。かなりカッコいいブックレットになってます。美術の分野ではお堅い人間から今でも無視され続けているフルクサスですが、僕は刺激いっぱいで大好きです。もっとアカデミックな分野でも正当評価されるべきなのに。清里現代美術館さんがんばってください!まあ、今の時代では存在できないものだとは思いますが。オノ・ヨーコのトイレの水をゴゴゴーと流すだけの数十秒作品がこの中に入ってる音では一番フルクサスらしい音かも。しかし音源がこれだけじゃとてもアンソロジーとは目せないでしょ…

VA /Music In Deutschland 1950-2000:Fluxus-Happening-Performance(2004)BMG

1950~2000年までのドイツ音楽を顧みるシリーズ企画の中の1枚。何故かフルクサスに絞った特集。今までどこに埋もれてたのかわからない音源が10曲78分にわたって収録。La Monte Young, Ben Patterson, Gyorgy Ligeti, Nam June Paik, Wolf Vostell, Joseph Beuys, Wolfgang Heisig,Le Marteau sans Maitre avec le Maitre sans Marteau, Gerhard Stabler, Johannes S. Sistermannsの作品を収録。初出のLa Monte Young"566 for Henry Flynt(1960)"はDavid TudorがTamtamをひたすら単調に一定の間を置いてカン!カン!と叩き続ける。なんのひねりもないけど、これが異様にカッコいい。ヴァイオリンを叩き付けて破壊する有名なNam June Paikの"One For Violin Solo(1962)"はパン!と破裂音が鳴って2秒ぐらいで終了。笑けます。ジャケット写真はJoseph BeuysとNam June Paikが"In Memoriam George Maciunas(1978)"を演奏する様子。この2台のピアノで行なわれる曲もライブエレクトロニクス的で素晴らしい。ライナーはドイツ語記述で読めないのが残念。ブックレットの森にピアノが打ち捨てられている写真(マウスカーソルをのせると見れます)もカッコいい。

Joseph Beuys / JaJaJaJaJa, NeNeNeNeNe,1968(1969)Joseph Beuys Medien-Archiv(Germany)

やーやーやーやーやー、ねーねーねーねーねー…がひたすら続くこと64'53''。オリジナルは今や激レアだという過去に出ていたボイスのLPの復刻盤CD。実際のパフォーマンスは1968年にドイツのStaatliche Kunstakademie Dusseldorfでフルクサス・コンサートの一つとして行なわれた。1969年と1970年に同タイトルのLPが出ていて、これは恐らく1970年の500枚限定LPの再発。実際のインスタレーションではジャケットの様に、油脂を部屋の隅にこびりつかせた横でこのやーやーやー…というテープが流されていた様。なんでしょう、何を言ったら良いのやら…カッコ良過ぎ。当然誰に聴かせても笑われるだけだし、僕自身も笑うんだけど。。。そう言えば初めてDJしたとき一番始めにこれかけたなあ…現代の洗練されたサウンドアートとは一線を画すカッコ良さ。この空気は何なんでしょう?とても言葉で説明できるものではないです。

Nam June Paik / Works 1958.1979(2001)Sub Rosa(Austria)

1932年、韓国ソウル生まれ、フルクサスのアーティストである南準白の、ビデオアートへ向かう以前の音楽作品を集めたもので、激レアLPやカセットテープで出ていた音源を集めたもの。ナム・ジュン・パイクは元々は東大でピアノを専攻して学んでおり、シェーンベルクなんかの音楽を学んでいた。なのでこのCDではヴァイオリンを叩き付けて破壊したり、ケージに襲いかかってネクタイを切ったり、テレビでロボットを作ったりというよく知られている彼の姿とはまた違った一面を確認できます。マース・カニンガムへのプリペアドピアノによる曲や、ジョン・ケージに捧げられた乱雑な作りのコラージュ作品も有り。かの有名なパイクとのコンビの片割れ、シャルロット・ムーアマンやヨーゼフ・ボイスとの共演も有り。タキスとのコラボはZ'evと共演してるみたい…パイクの弾くピアノはなんとも虚無的な音の響きです。そこが好き。

1.Prepared Piano For Merce Cunningham2.hommage A john Cage3.Simple4.Duett Paik /Takis5.Etude For Pianoforte

Wolf Vostell / Sara-Jevo(1995)Unio Musics(Spain)

フルクサスのデンジャーアーティスト、フォステルの比較的新しい録音で、1993年〜1994年に録音されたもの。90年代に入ってもまだ活動をしてたんですね。何故にこのアーティストだけスペインのレーベルから出されたのか謎です。しかも相当珍しいのか全然見かけなくなった。内容はジャケット通り相変わらずで、ゴリゴリとピアノらしき物を切断中…そしてそのバックにはNancy Bellowという人がソプラノで何やらわからないことを適当に歌っている。おもちゃのサイレンみたいな音も。Mercedes Guardadoという人も参加してるけど担当のximbombaって何だろう?文で書くと伝えられないけど、これも凄くカッコいい!!異様なカッコ良さです。こういう発想は音楽家にはできないんだよな〜。そこにサウンド・アーティストやアクション、ハプニング、イヴェントの面白さを感じる。Fluxus Is Alive!!

1.Concert Fluxus "Sara-Jevo"

Fatima Miranda / Las Voces de La Voz(1992)Unio Musics(Spain)

続けて上記と同レーベルから、スペインの奇怪盤。とんでもない音域の声が出ます。声を変調させたり、口を歌うだけでなく様々な音を出す器官として使用し、暗黒世界を作ってます。シューシュー言ってます。これでオペラでもやり出したらもう極北世界。普通の人が聴くとかなり奇怪。変わり物好きには面白いと思うけど、何回も聴こうという気にはちょっと…。しかしこんな音を聴く機会も滅多にないので貴重。この人の事はよく知らないんですが、スペインはマドリードのヴォイスパフォーマーのよう。EditionRZからも何枚かCDを出しています。

鈴木昭男 / 奇集~Odds & Ends~(2002)Horen(Japan)

鈴木昭男アンソロジー2CD!!これ一枚でこれまでの鈴木昭男さんの作品を幅広く知ることができる。鈴木昭男さんはサウンドアーティストの中でも特異な人だなと思う。音響的な面でも、下手に真面目になりすぎないという点でも。ユーモアに富んでいる。分別心と子供心を兼ね備えた大人とはこのこと?完璧です。この2CDには聴いたことのないような不思議な音がいっぱい詰まってます。ノイズ的なものから音響的なものまで。鈴木昭男さんの創作楽器"アナラポス"の音響効果はやはりずば抜けて素晴らしい。なんでも「タモリ倶楽部」にも登場したことがあるんだとか…これを聴いてて何故か「水琴窟」を連想しました。これぞ日本のサウンドアーティスト。まだ生で見て聴いたことがないのでいつかパフォーマンスを観に行きたい。このCDには鈴木昭男さん自身が糸とじブックレットを付けたサイン入りアーティストエディションというのもあります。値段は倍ぐらいしますが。

鈴木昭男 / tubridge99-00(1999)EditionRZ(Germany)

日本を代表するサウンドアーティスト、鈴木昭男さんが1999年にドイツのDAADギャラリーで行なった"Tubridge"のエキシビジョンを捉えたカタログにCDを添えたもの。"Tubridge"がどのようなものだったかというと、DAADギャラリーの五つの部屋にわたって巨大な三本のチューブを張り巡らせ、中央の部屋以外の四室それぞれのチューブの末端から鈴木昭男さんが丹後のトンネルで録音した音が聴こえてくるというもの。DAADギャラリーは中央の部屋がエントランスホールになっていて、そこが丁度チューブの中央に当たる。DAADはエントランスを挟んで二つずつの部屋が鍵状にある。音源もそのチューブ中央の中にAとBの異なる二つの音源が設置されている。CDには丹後のトンネルで録音された車の走行音の音源を収録。凄い響くな〜。完全に一種のドローンです。展示を生で見て生で聴きたかった。このカタログはドイツ語で説明された"Tubridge"の様子以外にも、これまでの鈴木昭男さんの作品を自筆文とイラストで解説されたものが書かれている(日本語)。情報がないだけに読んでてすごく面白い。鈴木昭男さんって面白い人だな〜。最後に鈴木昭男さんは中国の故事を例に挙げこう書いている。「私もいつかは音を忘れた存在にまで達してみたい…」

鈴木昭男 / Resonances(2005)Paris Musees(France)

鈴木昭男さんが2004年にパリのザツキンミューゼアムで行なった個展「一本の竹から(From One Bamboo)」の展覧会とパフォーマンスの様子を48ページのカタログとCDで記録したもの。これもまたギャラリーが出してるので、カタログの内も外もCDの内容まで洗練されている。大半はフランス語で書かれていますが、英語でも書かれています。お馴染み鈴木昭男さんの自筆文(日本語)も。屋内展示の内容は、高低様々な四角柱の形に固めた複数のコンクリの上にそれぞれ大きさの異なる竹を設置するインスタレーション作品。室内は無音状態で、竹を持ち上げてコンクリの上に落とすと様々な音色が響き渡るというもの。屋外ではパリの街中の地面に点音マークをプリントするというもの。CDの方は石笛、石、点音プリント場所でのフィールドレコーディング39発(カタログにそれぞれの録音場所の写真が掲載されている。)、アナラポス、竹、鈴木タイプ・グラス・ハーモニカと内容豊富。常に耳を澄ませている方だなと思います。Eric La Casaがマスタリングを担当。全編統一されたアート系らしい音質で、割と手が加えられてます。内容は良いけど、やっぱりCDで良い悪いを判断できる方じゃないですね。特にフィールドレコーディングとかは。

Walter de Maria / Drums And Nature(2000)

これは『ライトニング・フィールド』等の作品で知られるランド・アート作家デ・マリアのジャケットもなにもない貴重音源。Fluxusのアーティストでもある。録音は残ってないけど初期ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにドラマーで参加していたとか。クレジット記載では一曲目が"CricketMusic(1963)"二曲目が"OceanMusic(1968)"となっているが、音を聴く限り記載順は逆。一曲目は波の音が果てしなく続き、徐々にドラムの演奏が絡んでくる内容、二曲目がドラム演奏に虫の声が絡んでくる内容なので。彼のランド・アート以外の作品も洗練されたミニマルな彫刻造形作品であったりするのですが、驚くべきはこのCDに収められているドラム演奏のミニマルさ。60年代にして自然音との共演。この時からすでに音楽を通して自己の作風を確立していたのかな。ヴェルヴェット繋がりで『永久音楽劇場』からの大きな影響があったのかも。この突飛な発想と、アイデア一発勝負になっていない存在感はまさにサウンド・アート。彼の作品は日本にも一つあって、香川県は直島という小さな島の近代美術館にあります。僕も以前から見たい見たいと思いつつ、なかなか機会がなくて未だ見れていない…いつか見たいなぁ。

Metgumbnerbone / Ligeliahorn(1982)A-Mission Records(UK)

TNB初期に併行して存在したユニットMetgumbnerboneのカルトLP作。Richard & Philip RupenusのTNBコンビにSean Breadin, Mike Watson, B. Sedayneが参加したバンド編成での録音。ガリガリうるさいのかなと思いきや内容は洞窟内に様々な物音が響くような音響作品。パーカッション、フルート、トロンボーンのような管楽器、ジャンクマテリアル、Organumのような軋みノイズ、呪文のような声等の音が暗黒空間に響く。パーカッションなどは一部分ではちゃんと一定のリズムを刻んだりしていて、ゴー!!とかキキキー!!もしくはシーン...とかのTNBよりもより音楽的。しかし、何を考えてどこで録音したのやら...生演奏ながらもやっぱり閉鎖的な空気が充満してるのは流石にネガティヴなジャンルだけある。純粋にこの洞窟天然エコーが素晴らしい響き。ニューウェーヴ、インダストリアル、パンクの香りがほのかにしており、なかなかカッコいい。音の響きが重視されたTNB音源からは想像できない、まるで多田正美の趣味が悪くなったようなデンジャラスな祭儀的内容。ジャケットから判断すると、明らかに危険な方向に向かっていた模様です。数年前にブートCDRが出回ったが早々と姿を消した。

Hwang Byung-ki / Kayagumu Masterpieces Vol.?(1993)C&L Music

一時この曲CDの一曲目を聴くと死ぬという噂が出回った事でも有名。そんなに沢山の人が聴いたんでしょうか?カヤグムの演奏者として非常にアカデミックな場で有名な人だが、この一枚は別。一曲目『The Labyrinth』が聴いたら死ぬらしい曲。弓で打たれるファン・ビョンキのカヤグムにHong Sin-Chaの1.喚起する2.笑いながら泣き叫ぶ3.うめく4.新聞記事を読む5.即興で歌う6.「シー」と言う7.詠唱するという七つの指示をこなすヴォイス・パフォーマンス。Fatima Milandaにも通じるかなりダークで緊張感溢れる奇天烈世界。だがこの世界観は韓国でしか生まれないもの。どのような経緯で作ったのかわからないが、これはおそらく確信犯。韓国でこのような作品が作られているとはびっくりです。ちなみにカヤグムは日本の箏の原型となった朝鮮の楽器です。残り二曲はコムンゴ、テグム、チャンゴといった韓国の伝統楽器で伝統に沿った演奏がされている。こちらも良い。

1.The Labyrinth 2.Beside A Chrysanthemum 3.Sanun

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