魔法の妖精 ペルシャ
(1984年7月6日〜1985年5月4日・全48話 / TV放送)

〜アフリカ育ちの、あまりにも破天荒な魔女っ子〜
 「魔法の妖精ペルシャ」(以下「ペルシャ」)は、いわゆる”ぴえろ魔女っ子アニメ”の第2作目にあたる作品で、人気を 博した「魔法の天使クリィミーマミ」の後番組として製作されました。
 前作と異なり…というよりも、以降続く”ぴえろ魔女っ子アニメ”の中で唯一既刊のマンガを原作としていることが特徴で、 「ママはポヨポヨザウルスがお好き」などの作品で知られる青沼貴子氏が「週刊マーガレット」誌で連載していた 「ペルシャがすき!」という作品が本作の元となっています。
 とはいえ、主人公のペルシャという名前とアフリカ育ちという設定を借りただけで、それ以外のキャラクターは完全 オリジナルなわけですけど。

 さて、この「ペルシャ」は「マミ」の後番組ということで大いに期待されていたところがあるのですが、前作は本編終了 後にOVAが4本も製作されたのに対し本作は0本(正確には総集編ビデオが発売されています)、という結果からも分かる 通り、マニアには不人気のまま幕を閉じた作品でした。
 これには色々な理由が考えられますが、一番大きかったのはその作風が「マミ」とは正反対の方向、本来のターゲットである 小さい女の子に向けてのものとなっていたことが問題だったのではないかと思われます。少しばかり私的な話をしますと、 物心のつき始めた頃にリアルタイムで本作に接した筆者も、当時はあまりに少女漫画っぽい雰囲気が受け入れられずに1〜2回 程度しか目にしませんでした。
 もう少し年のいった男性がどう感じたのかは推測するしかありませんが、「ペルシャ」では魔法の国を元に戻すという使命が 与えられていること、主人公のペルシャが大人のスペシャリストに変身して事件を解決するなど、 あまりにも作風が「魔法のプリンセス ミンキーモモ」と酷似しており、「マミ」からのギャップに ついていけなかった人が多かったのかもしれません。(その代わり、少女層には受けて視聴率は良かったそうです)







 しかし、しかししかし! 最近になってこれを書くために20年近くの時を経て久しぶり「ペルシャ」を見直したところ、 これが予想以上に面白いことに驚いてしまいました。
 とにかく主人公であるペルシャが圧倒的にパワフルで魅力溢れる存在となっており、「わーの」、「〜ですの」、「ウッスラパー!」、 「〜せねば」など、独特のペルシャ語とでも言うべき台詞回しがまた面白い。そして天真爛漫で破天荒なペルシャが引き起こす愉快な トラブルの数々、周りを取り巻く魅力的なキャラたち…。恥ずかしい話ですが、この年になって、20年近くの回り道をしてようやく 素直に本作を受け入れられるようになったような気がします。ですから、当時付いていけなかったという人も機会があれば是非とも 見て欲しいと声を大にして叫ばせてもらいます!


 …と、ここで筆者の思いのたけを述べても仕方ありません。話を戻しましょう。
 上でも書いたように「ペルシャ」は「マミ」の後を継ぐ作品で、まずは「マミ」の主要スタッフの手によって「夢世界 ホッジポッジ」というパイロットフィルムが製作され、これを叩き台にして「ペルシャ」が生まれました。
 リアル志向だった前作からの反動からか、本作では非現実的でマンガチックな要素が多くなり、そしてまた子供にも分かり やすいようにという配慮からかラブリードリームと呼ばれる魔法世界を救うというオーソドックスな目的が与えられています。

 そんな本作は、大きく前半部と後半部に分けることができます。ちょうど中間にあたり、節目となる19話で全ての元凶となった ラブリードリームの女王と人間との悲恋が描かれており、これを境にしてイトコの学と力に対して抱く漠然とした”好き”という 感情しか知らなかったペルシャが、男と女の恋愛感情(特に学に対して)というものを知るようになる…という展開になっています。
 それと並行して、前半部では破天荒なコメディ作品が多かったのに対し、後半部では人間の心理描写を重視した物語を、特に最終4部作の 直前にあたる43話、44話では連続して恋人たちを描いた作品をもってきているのです。
 以上をまとめると、最初は自由奔放だったペルシャが、物語中盤で大人の悲恋を見ることによってぼんやりとではあるが”愛”と いうものの存在を知り、さらに他人の心の機微に触れていった後、最後に自らの体験によって”愛”というもの知る…となり、 つまり少女が愛を知る過程を描くということが作品のテーマだったのだろうと推測されます。ペルシャがラブリードリーム再建の ために愛の力を集めるというのも、それの一環なのでしょう。

 ただ、この使命の存在という部分が、全体を通して見たときに本作の最大の失敗点になっているようにも見えるのです。
 本作の一番の魅力といえば、それはやはり破天荒な主人公のペルシャが自由に動き回り、トラブルが発生するという、能天気で ハチャメチャなところとなるでしょう。ところが、そこに魔法の世界を救わなければならないという使命を加えてしまったが ために途中途中で使命を強要するような話を挿入せねばならなくなり、それらが他の能天気な物語から浮いてしまってチグハグな 印象を残してしまっているのです。
 ペルシャが愛を知っていく過程に関しても、ドタバタコメディを交えながらゆるやかに展開していってくれていれば問題は 無いのですが、やや唐突過ぎるきらいがあり、しかもそこに先にも書いた使命を絡めた話が展開されているので上手くいった とはいいがたい状態となっています。

 とはいえ、明るい作風の「ペルシャ」は視聴率的に成功し、”ぴえろ魔女っ子アニメ”は次のステージへと進んでいくことに なります。これに関してはまた次の機会に…。




〜「魔法の妖精 ペルシャ」 登場キャラクター紹介〜
 それでは、ここからは「ペルシャ」の主な登場人物の紹介に移りたいと思います。本当はよよ子などペルシャの同級生についても 書きたかったのですが、いかんせん人数が多いので切り捨ててしまいました。ご了承ください。

速水ペルシャ
 アフリカ育ちの野生児。いとこの学と力のことが大好きな、11歳の元気一杯な女の子。自然の中での 生活が長かったせいか、年齢のわりに少し子供っぽいところがある。自宅にいるときはアフリカで着用していた毛皮の ワンピースを愛用している。
 その運動神経はかなり発達しており、宙返りなどはお手のもの。中でも走力は超人的で、100mを8秒(!)で走る。 その反面、勉強は少し苦手のように見える。
大人ペルシャ
 魔法によってペルシャが大人に変身した姿で、あらゆる分野における達人級の技術の持ち主。作中では明確に語られて いないが、18歳という設定になっているらしい。魔法で精神的にも成長したのか、おとなしめの性格をしている。
 ゆえに本来ならばその姿は数年後のペルシャを映したものであるはずだが、なぜかラブリードリームのプリンセス・フェアリに 瓜二つである。
ゲラゲラ&
プリプリ&
メソメソ
 魔法を授かったペルシャのお目付け役として、ラブリードリームから無理矢理派遣されたカッパ族の妖精。 カッパというだけあって、3匹ともキュウリが大好物。
 ゲラゲラ(左)は3匹の中心的存在。陽気なお調子者で、ペルシャの無茶な行動には真っ先にツッコミを入れる。 なぜか関西弁をあやつる。常識人だが、頭を使うのは苦手らしい。
 プリプリ(右)は強気な女の子。肩からポシェットのようなものをぶら下げているが、中に何が入っているのかは不明。 メソメソに対してツッコミを入れることが多い。
 メソメソ(中)はオカマ(!)のカッパ。襟元(?)の赤いネクタイがワンポイントとなっている。素敵なステディとの 生活を夢見ている。もちろん相手は男性だが。
シンバ
 ペルシャがアフリカにいたとき一緒に暮らしていた雄のライオンだが、ペルシャの魔法の力によってデブネコに 変身してしまった。本人は不本意ながらも、そのままの姿でペルシャと共に日本で暮らすこととなる。
 ペルシャの周りにいるお供の中では、おそらく一番の常識の持ち主。けっこう惚れっぽい性格をしており、美人の 雌ネコを見かけると、その後についていってしまう。
室井学
 ペルシャのいとこにあたる15歳の中学生。力とは双子の兄弟。成績優秀で温和な性格、しかもルックスが良いということで 学内の女生徒の間では人気者である。ペルシャの級友、よよ子から熱烈な求愛を受けている。イメージカラーは黄。
 力も剛健も家事ができないので、室井家の食事は全て学が担当しているらしい。後にペルシャに対する感情を告白するも、 アフリカへと旅立つこととなる。
室井力
 ペルシャのいとこにあたる15歳の中学生。学とは双子の兄弟。運動神経が良くスポーツ万能で、アメフト部に所属している。 ルックスも良く、学に匹敵するくらい学内の女生徒から高い人気を得ている。イメージカラーは赤。
 御友小夜とは憎からぬ仲ではあるが、共に意地っ張りな性格のためか口げんかが絶えない。結果、毎回のように 小夜から鉄拳を喰らっている。
室井剛健
 学と力の祖父で、齢65を数えてますます盛んな学者。アフリカの動物に関する研究を行っているようだが、その専門が 生態学的なものなのか医学的なものなのかハッキリしない。機械仕掛けでペルシャたちを怖がらせようとするなど、年に似合わず 茶目っ気のある性格をしている。
 今でこそ頭の禿げ上がったずんぐりむっくりな老人だが、若い頃は意外と美男子だった。ちなみに名前は”ごうけん”と読む。
御友小夜
 学、力のクラスメートである15歳の少女。力の実質的なガールフレンドのような存在なのだが、本人が勝気な性格を しているためか二人の間にはケンカが絶えない。意外と腕力があるらしく、その鉄拳を喰らうたびに力の顔は元の形が 分からないくらいにひん曲がっていた。
 料理の腕前はなかなかのもので、力のために手編みのマフラーを作るなど、実際には家庭的な人物だったりする。
速水英樹&久美
 ペルシャの両親。「ペルシャストア」という名前のスーパーマーケット(というよりは雑貨屋)を営んでおり、 後には移動型のハンバーガーショップにも手を出していた。どちらかというと久美はしつけに厳しい母親であり、一方の 英樹はペルシャに対して親バカなところがある。
 ペルシャには”パパ、ママ”、室井兄弟には”おじさん、おばさん”と呼ばれているので、名前で呼ばれることは少ない。
ボンボン
 第31話で魔法のバトンを失ってしまったペルシャに新しい魔法のステッキを届けるため、ラブリードリームからやってきた 妖精。ファンシーキャラな外見ながら、目的のためには手段を選ばず、そのくせ都合が悪くなったとたんに姿を消すという難儀な トラブルメイカー。本人に、その自覚がないので余計に性悪に見える。
 スポンサーの策略によって後半になってから出てきたためか、回を重ねるごとに出番が少なくなっていった。

 キャラ紹介は以上で終わりです。次項では「ペルシャ」の変身について見ていきます。



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