魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて
(1991年10月2日〜1992年12月23日・全63話 / TV放送)


〜WITH YOU TOMORROW〜
 1991年10月から約9ヶ月半に渡って順調に放送を続けた「海モモ」は、いったん第36話を区切りとして、第38話からは 「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて」とタイトルも変更、装いも新たに出帆することとなります。
 この突然の変更劇は、どうもスポンサーのユタカ社からの指示によるものだったそうで、奇しくも前作「空モモ」と同じように二部作となった わけですが、どちらもスポンサーがらみの事情によるものというのは、やはり商業アニメとして避けられない運命だったということなのでしょうか (ちなみにタイトルが変更されたのは、新しく売り出すオモチャを前期の物と区別させるため、だったのだそうです)。

 それはそれとして。
 この後期「海モモ」と前期の違いはタイトルだけなのかというと、そういうわけではなく、実はその内容に関しても変質を遂げています。 細かく見ていくと色々と変更点があるのですが、その中で特に重要なのは以下の二点でしょう。


 まず一つ目のポイントとして、後期「海モモ」は前期に比べてモモの使命感が強められています。
 前期においても、マリンナーサを浮上させるため人々に夢を取り戻させようとモモが奮闘する…という設定に一応はなっていました。ですが、実際には 人間界にやってきたモモがドタバタ騒ぎをやってオシマイというお話ばかりで、マリンナーサのことなどは脇に追いやられがちでした。
 それが後期からは、必死になって夢を取り戻さなければ夢の国の住人であるモモは消滅してしまうのだ…という崖っぷちな設定を持ち出し、 さらに事件を解決すると「空モモ」のハッピーティアのようにモモの宝石箱が点滅するという演出が加えられるようになりました。






 このあたりの方針転換は、おそらく新しいオモチャ(=宝石箱)を売り出すため、というスポンサーの思惑が絡んでいたのだと思います。 そのためか方針転換が急激すぎ、また前期のノンビリした雰囲気からのギャップもあって、やや強引な印象を受けてしまいます。


 そして二つ目のポイント。より重要度の高い要素として、魔法それ自体の質が変わったことが挙げられます。
 前期「海モモ」は基本的に「空モモ」を踏襲しているため、モモが大人に変身して事件を解決するというパターンになっていました。 ところが、後期に移るにあたって”ミンキータッチで大人に変身”という部分に対してスポンサー側からストップがかかってしまったため、 変身シーンが削除 され、それに従いモモの魔法も変身だけにこだわらずなんでもありといった様相を見せ始めます。 実際、中には魔法が一度も使われない回もあったくらいでした。
 この”大人に変身”の排除傾向は後編の新OP&EDにも影響が出ています。注意深く見てみると、前期のOP&EDに登場していた大人モモが後期では 一切描かれていないことに気付かれるはずです。(少し話が脇にそれますが、この後期OP&EDを担当したのは「海モモ」で神作画を連発していた 堀内修氏&スタジオジュニオ組。特に故・岡崎律子氏の曲と見事にシンクロしたOP映像は、数ある魔女っ子アニメの中でも指折りのハイレベルな ものになっています)

 ところで、どうして変身魔法を禁じられてしまったのか? 湯山監督は、これを時代の違いに起因していると述べています。
 「空モモ」の放送された1982年であれば、女性が何らかのエキスパートになること、それ自体が夢となりえました。しかし、それから10年の時を経て平成の 時代となると、女性の社会進出が進み、女性がエキスパートになることは当然のことになっていたのです。そんな時代では、もう”大人に変身する”という 要素だけでは物語を引っ張る動力源たりえないのです。だからこそ、モモは万能魔法を使用する必然性に迫られたのでした。

 またこの変更劇には、「海モモ」の5ヶ月後に放送が開始され、当時爆発的な人気を獲得していた「美少女戦士セーラームーン」の影響もあったのだと 思われます。美少女グループによるバトルヒロイン物というアニメ界にパラダイムシフトをもたらした「セーラームーン」に比べると、 旧態依然とした魔法少女物の「海モモ」は魅力が薄い。そんな風にスポンサー側は考えたのだろうと思われます。



 以上のように時代という”現実の要因”から変質を迫られたモモは、またそれと同時に「空モモ」の陥ったジレンマも抱えざるをえませんでした。
 「空モモ」では第43話でも見られたように、「夢は誰かに叶えられるものではなく、自分で叶えければ意味が無い」というジレンマがモモを悩ませて いました。
 さらに大人に変身するという設定ゆえ、「空モモ」と同様「海モモ」も現実を取り入れねばならないことも問題でした。魔女っ子アニメというものは、 結局のところ非現実的な夢を語るだけの存在でしかありません。そのため現実へ擦り寄った瞬間、あっという間に魔女っ子アニメの虚構性は崩れ去り、 自身の存在そのものを否定せざるをえなくなってしまうのです。

 そこからの抜け道として、「空モモ」ではモモを転生させて「主人公自らが夢を掴む」物語を用意しました。いつか、大人になって夢を実現するのだと…。

 では、一方の「海モモ」はどうなったのか。こちらもまた同じように「夢は自力で叶えるもの」というテーマに悩まされるようになります。 しかし、そのジレンマからの脱出路は、もはや「海モモ」には残されていませんでした。
 「空モモ」と同じ結末を用意するわけにはいきません。なぜなら、そんなことをすれば「海モモ」は単なる「空モモ」の焼き直しに堕してしまいますし、 そもそも大人になることが既に夢でも何でもない時代なのですから。
 袋小路に追い詰められた「海モモ」のとれた道は、ただ一つしかありませんでした。それは、夢とともに自壊するしかない、というものです。 どう頑張っても最後に待ち受けているのは消滅という運命。それでもなお、地上で夢の行く末を見届けようとする…。 これは「空モモ」以上に救いようのない結末です。



 ともあれ、「海モモ」は全63話をもって放送を終了、後に未放送の3話と2作のOVAをリリースして、「空モモ」から数えて13年に 渡って続いた「ミンキーモモ」サーガは幕を閉じることとなります。
 これで完全に「ミンキーモモ」は終結したかと思いきや…なんと、今度は夢の王国リーフィナーサからプリンセスがやって来た! という設定で 漫画「みらくるドリ〜ム ミンキーモモ」が2004年〜2005年にかけて小学生向け雑誌に連載されました。
 はたして伝説は三度蘇るのか。待て、而して希望せよ…といった心境で臨みたいところです。




〜「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて」 の魔法シーン〜
 それでは、以下からは後期「海モモ」の魔法シーンを見ていこうと思います。

変身シーン

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)
(1) (2) ペンダントの宝石が光って中央ブロックが外れる
(3) カチューシャからステッキを取り出して…
(4) (5) 飛び出たペンダントとステッキが合体!
(6) (7) 頭上に掲げたステッキの先端がクルクルと回る
(8) 最後にステッキを振り回して魔法発動!

 先にも書いたように後期「海モモ」はミンキータッチが削られており、そのために明確な変身シーンが存在しません。動作もステッキを振るだけ、 呪文すらないというあっさりめの内容となっています。それどころかステッキも出さずに魔法発動だとか、呪文はしょって変身とか、魔法なんか どうでもいいという扱いになって、ちょっとばかり寂しい感じがします。
 なお、後期「海モモ」では大人に変身しない変身…ただのコスプレをしたモモや、男の子になっちゃったモモなどが登場したりもしました。




〜「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて」 あらすじ〜
 次は必見エピソード紹介…といきたいところでしたが、その前に軽く後期「海モモ」の導入部を紹介しておきましょう。

 「海モモ」第36話でレジェンド・インを追われたモモは、同時に魔法の力も失います。
 そこで、レジェンド・インが最後の力を使ってレジェンド・パークに貯蔵されていた夢をいったん開放して地球全土にばらまき、 その”夢のカケラ”たちがモモの魔法の原動力となってくれるようになりました。
 一方のモモ一家が住み場所ですが、こちらは紆余曲折の末に”こちらの町”のノコッタ・パークにあるノコッタ・インという ホテルが新居となります。

 簡単なあらすじはこんなところです。では、次項からは後期「海モモ」のストーリー紹介に移ります。



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