魔法のプリンセス ミンキーモモ
(1982年3月18日〜1983年5月26日・全63話 / TV放送)

〜魔法で大人になったら、何になる?〜
 1982年という年は魔女っ子アニメにおいて、いや、もっと言うなら日本のアニメ史においてエポックメイキングな年となりました。 歴史に名を刻んだ作品の名前は「魔法のプリンセス ミンキーモモ」(以下、「モモ」)。「戦国魔神ゴーショーグン」などロボット アニメで知られる葦プロダクションが製作した初の魔女っ子アニメであり、おそらく同社最大のヒット作であります。

 「モモ」は、誤解を恐れずに書くならば、東映動画の生み出した魔女っ子アニメの流れの延長線上に存在する作品です。 異世界の王女が人間の世界で生活を始めるという点は「魔法使いサリー」、主人公の少女が魔法を使って大人になるという 点は「ひみつのアッコちゃん」であり、それらをミックスしたイイトコ取りの作品だといえます。
 そんな作品が、なぜ圧倒的な人気を獲得し、後の魔女っ子アニメに多大な影響をもたらし、今なお語り継がれる存在となって いるのか。その理由を大まかに分類すると、以下の3点に集約されるのではないかと思われます。

 まず一つ目のポイントとなるのは、従来作品から取り込んだ要素を何倍も洗練されたものへと昇華させたこと。 中でも特筆すべきはモモの変身シーンでしょう。呪文に独自のダンス(新体操のリボン演技からきているとか)を加えることに よって、より儀式的な見せ場として演出されているのです。
 むろん、裸になったモモを舐めるように回り込むカメラワークの存在も忘れてはなりません(変身の前後で服装が変化するなら、 途中で裸にならなければバンクが繋がらないという事情からきたものだそうですが)。
 後の魔女っ子アニメのほぼ全てが同様の路線(=呪文とダンスの併用)を採用しており、この1点だけでもまさしくエポック メイキングな作品だと言えるのではないでしょうか。

 二つ目のポイント(おそらく、これこそが最大ポイントだと思われるのですが)となるのが、キャラクターの魅力。
 赤いミニスカートをひらひらさせて(時には控えめにパンチラも見せつつ)動き回る主人公のモモは、それまでのステレオ タイプな少女像とは違う、あえて言うならバカ元気とでも言うべき新ジャンルの少女という描かれ方をされていました。それが、








(ちょうどロリコンブームが到来していたという事情と相まって)世の男性のロリコン趣味をくすぐったわけです。
 逆に変身後のモモは大人の魅力を全開にした美女として描かれており、変身前のモモとの強烈なギャップが、これまた 世の男性を虜にしてしまったのでした(これは小山茉美氏の演技力に負うところが大きいです。とにかく上手い!)。

 そして最後のポイントは、脚本の内容。1980年代前半といえば「うる星やつら」に代表されるスラップスティック・コメディの 作品が数多く登場していた時代でしたが、それらの中でも「モモ」は飛びぬけたパロディとシュールさを炸裂させていました。
 当初からスラップスティックな方向で製作されていたとはいえ、中盤以降は下手をすれば魔女っ子アニメとしての「モモ」を 崩壊させかねない常識はずれな脚本の連続。それをどうにか視聴者に受け入れさせる緩衝材のような役割を果たしたのが、第1話目の 冒頭に流れる有名なナレーションだったのではないでしょうか。曰く、”昔、昔…といっても1週間ほど昔。どこかの国の、どこかの 町に子供のいない夫婦が開いているペットショップがありました…”と。なるほど、どこかの国のどこかの町であれば、無茶苦茶な 展開でもそういう世界の話なのだと強引に納得できなくはないのです。
 そういった脚本のやみくもなパワフルさがマニアに衝撃を与え、本作を凡百のアニメと区別することになったのでした。 そうして本作は、男性のマニアをファンとして取り込むことに成功したおそらく最初の魔女っ子アニメとなったのです。

 山本弘氏の言葉を借りれば、”プレ・ミンキーモモ、ポスト・モンキーモモ”。「モモ」こそは魔女っ子アニメにおける、 一種の紀元0年と位置付けることができる作品なのです。


 ところで面白いことに、「ミンキーモモ」は高い人気を獲得していたにもかかわらず、実は46話で一旦打ち切りの憂き目にあって います(詳細に関しては、また後ほど)。そしてこれまた奇妙なもので、打ち切りになった直後に放送延長が決定されたという迷走 っぷりを見せています。ですから、最終的に63話まで続いた「モモ」ですが、ストーリーは完全に46話以前と49話以降で分かれています (47、48話は総集編)。よって、以下からは46話までを第1期目としてまとめ、そちらの紹介から始めていきたいと思います。




〜「魔法のプリンセス ミンキーモモ」(第1期目) あらすじ紹介〜

 昔、昔…といっても1週間ほど昔。どこかの国の、どこかの町に子供のいない夫婦が開いているペットショップがありました。
 ところがある日、この夫婦の家に彼らの娘が現れたのです。本来ならいないはずの、だけどずっと一緒に暮らしていたようにも 思える存在。その モモ という名前の少女は、一見どこにでもいそうな、ごく普通の女の子でした。 でも、ただひとつ違っていたのは、彼女は…夢の王国のプリンセスだったのです。
 かつて、まだ世界が夢で満ち溢れていた頃、人々は夢の王国 フェナリナーサ と共に暮らしていました。 しかしやがて人々は夢を忘れてしまい、フェナリナーサは遠く空の彼方へと消えてしまったのでした。モモは、その王国からやってきた 王女だったのです。
 魔法で大人に変身したモモが人々に夢を分け与えることができたとき、フェナリナーサに安置された王冠に ハッピーティア と呼ばれる宝石がはまります。それが12個そろったとき、フェナリナーサは 再び人々の前に姿を現す、そう伝えられているのです…。


 以上が、第1期目「モモ」の大まかなあらすじです。冒頭で東映魔女っ子アニメの延長線上にあると書きましたが、魔法の国の 住人であるモモが魔法で記憶を操作し、人間として生活するという展開は「魔女っ子メグちゃん」を彷彿とさせるものがあります。

 さて、第1期目「モモ」の物語でポイントとなるのは、フェナリナーサという王国の存在と、モモがフェナリナーサを地上に戻す ことを目的に行動しているということです。魔法で大人に変身したモモが人に夢を与えられたとき、まず王冠に光が灯り、その 回数が4回を数えるとハッピーティアが登場するという設定になっているのです。
 ちなみに、このハッピーティアというのは放送当時の月に対応する誕生石が選ばれ(例えば、11月ならトパーズなど)ていました。 つまり4週放送=1ヶ月であり、それが12個で1年間放送するという予定だったというわけです。しかしながら途中で打ち切りが 決定し、46話の段階で第1期目が終了することになったのは先述の通りです。

 ところでこれも「モモ」のユニークな点なのですが、実は具体的にモモの行動理念が判明するのは第4話「青い鳥をみた少年」 からで、それまでの時点では何も語られていなかったりします。いきなり人間の子供として生活を始めたモモが大人に変身し、 何か物事を解決すると王冠が光って終了…という視聴者を置いてけぼりにする展開は、よくよく考えてみると無茶苦茶。リアル タイムで視聴していた人々は、これをどのように受け止めていたのでしょうか(筆者もその一人だったのですが、いかんせん記憶が 曖昧なものでして…)。

 最後に少しだけ余談になりますが、第1期目「モモ」の次回予告も愉快な趣向となっていまして、モモ役の小山茉美氏が ラジオDJのようにフランクな喋りで次回予告をするという内容になっているのです。ですから、時には小山茉美氏の独り言 のような台詞も飛び出しており、これを聞くこともまた「モモ」の楽しみの一つといえるのではないでしょうか。




〜「魔法のプリンセス ミンキーモモ」 登場キャラクター紹介〜
 それでは「モモ」第1期目の大まかな内容紹介が終わりましたので、主な登場人物の紹介に移りたいと思います。あれもこれもと 入れるとキリがないので、一部の脇役陣をバッサリ切り捨てています。その点はご容赦くださいませ。

ミンキーモモ
 魔法の王国フェナリナーサの王女。フェナリナーサを地球に戻すため、どこかの国のどこかの町にある ペットショップの女の子としての生活を始めることになる。
 胸のペンダントにささったステッキで魔法を唱えると、12歳のモモはたちまち18歳のセクシーな大人のモモに変身。 様々な専門職の女性になることで事件を解決し、人々に夢を与える。なぜか流暢な英語が口癖のように出てくる。
 ちなみにモモとは桃太郎であり、お供の3匹の動物はイヌ、サル、トリというわけ。
シンドブック&
モチャ&ピピル
 モモのお供としてフェナリナーサからついてきた動物。
 シンドブックは少し太り気味の老犬。知識が豊富で解説役を引き受けるが、ご意見役という雰囲気は無く傍観者を 決め込むことが多いような気がする。体型と年齢のせいか運動は苦手。高いところも苦手らしい。
 モチャは団子状のサル。男らしさやロマンに憧れているが、あまり本人に男気のようなものは見られない。
 ピピルはヒヨコのような黄色い小鳥。本人は夢見る乙女を気取っていて、美形の男性に対しては非常に弱い。 少しばかり口うるさいところが他の二匹に煙たがられている。
パパ&ママ
 いつもラブラブなモモの両親。もちろん、本当の両親ではなく、あくまで魔法の力によって家族となっているだけにすぎない。
 パパは世界的に名を知られている獣医で、いつもアフリカや北極など世界中を飛び回っている忙しい人。外見はダンディだが、 極端に楽天的な性格ゆえひょうきんに見える。
 ママはパパのいない間ペットショップを切盛りしているしっかり者…のようでいて、どこか抜けた所のある女性。 少しばかり夢見がちな性格をしている。ちなみに、父親はシカゴのゴッドファーザーことカポカポネ。
王様&王妃
 フェナリナーサ王国の王様と王妃で、モモの本当の両親。
 王様は、常に走り回っていて落ち着きが無い性格で、「〜ダバサ」という奇妙な言葉を口癖としている。案外と惚れっぽい 性格をしているらしく、人間のママに恋したことも。
 王妃は物静かな雰囲気の人物だが、怒ると非常に怖い。本当は王様と結婚するつもりは無かったらしいのだが…。
 なお二人は2000年前に結婚したらしいが、あまりに昔のことなので結婚記念日を忘れてしまっているようだ。
グルメポッポ
 人物ではないが、登場回数が多いのでご紹介。ご存じ、モモの運転する乗り物で、基本形はキャンピングカーの ような車となっている。前部の赤いミニポッポが白い後部車両の屋根に連結、ミニポッポの屋根に回転翼が出現し、それで 空を飛んでいくことが多い。
 ちなみに動力源は夢(ドリームエネルギー)。なので、人々から夢が消えると、グルメポッポも姿を消す運命にある。
 余談だが、シンドブックもグルメッポッポを運転することができる。…足が届くのか?



 基本事項の紹介は以上。続きは次項にて。



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