ハーバーライト物語
(1986年3月28日 / OVA)

〜文具品と魔女っ子アニメの関係〜
 いきなりですが、「魔法のデザイナー ファッションララ」という作品をご存じでしょうか?
 知ってる知ってる、「おてんば魔女 トワイライトマリー」とか「おまじないアイドル リリカルレナ」なんかもあったよね。 たしか「魔法のステージ アイドルココ」は高田明美で、「星のデュエット ファニーツイン」は近永早苗がキャラクターデザインを 担当したんだっけ。…などとスラスラと答えられる超ヘヴィな魔女っ子オタクな方は、以下の説明はすっ飛ばしてください。

 さて、普通はそんなの聞いたこと無いという反応を示されるはずでしょう。そんな方のために「ファッションララ」について 基本的な説明から始めたいと思います。
 「ファッションララ」とは、元々「魔法のアイドル パステルユーミ」に続く”ぴえろ 魔女っ子”第5作目として企画された作品だったそうです。ところが「ユーミ」が極度の視聴率不振によって早々に打ち切られて しまい、この企画まで頓挫して宙ぶらりんの状態となってしまいます。
 この後の細かい経緯については不明な点が多いのですが、おそらく一旦始まった企画をそのまま終わらせるのは惜しいという ことになったのだと思われます。ともかくその結果、このスタジオぴえろの企画に文具メーカーのセイカが協力する形となり、 テレビアニメ化は見送られたものの、主に”ぬりえ”を活動




の場として独自の世界観を展開するという前代未聞の魔女っ子「ファッションララ」が誕生することになったのでした。

 このように少々色物の気配がする「ファッションララ」ですが、さすがにスタジオぴえろが絡んでいるだけあってその内容は 本格的なものとなっていました。
 小学生の女の子ミホが二人組の妖精から魔法を授かるという点は従来どおりのオーソドックスなものながらも、魔法のアイテム を”魔法のライトペン”に設定したり、魔法で大人になってファッションデザイナーとして活躍する(=デザイン画を描く。つまり、 ペンとノートが必要になる)など、文具品という舞台をフル活用するような設定となっているところが非常にユニークです。
 もちろん魔法の呪文も用意されていて、「ピンキーポンク ミラクルファッショ〜ン」(…だと思います)と唱えることで ミホは大人に変身していました。
 少し話が脇道のそれますが、「ファッションララ」にはシリーズが二つ存在していました。基本的な設定は同じなのですが、 最初の「ファッションララ リトルスターズ」ではマニャーナとアエールという如何にも妖精然とした二人組のみ登場していたのに 対し、後の「魔法のデザイナー ファッションララ」ではピグとモグという二匹の怪獣(?)が追加されているというように、 細かい部分で相違点が見られます。

 以上のような内容の「ファッションララ」は、大々的なCM展開、メインターゲットである少女層からの応募による服飾デザイン をメインに掲載していく…などの活動によって、なかなかの人気を獲得することに成功したそうです。
 こうして「ユーミ」が終了した後、リメイク版「ひみつのアッコちゃん」まで2年、新規のものとなるとさらに2年後の「魔法の エンジェル スイートミント」まで作品が存在しなかった魔女っ子アニメ冬の時代を支え、さらに1990年代後半まで本シリーズは 存続し続けることになるのでした。
 やがて「ファッションララ」アニメ化に対するスタッフの執念は、1998年の「魔法のステージ ファンシーララ」の登場 によって結実することになるわけですが…これに関しては、また後ほど。


追記;
 冒頭で挙げた作品は、全て「ファッションララ」と同じセイカノート出身のオリジナル魔女っ子です。「おてんば魔女 トワイ ライトマリー」と「魔法のステージ アイドルココ」はスタジオぴえろ、「おまじないアイドル リリカルレナ」は東映動画、 「星のデュエット ファニーツイン」は葦プロが、それぞれ制作に参加しています。




〜時代の闇に葬り去られた、悲運の魔女っ子アニメ〜
 長々とした前置きになってしまいましたが、以上で「ファッションララ」という作品についての基本的な内容についてご理解 いただけたのではないかと思います。ということで早速、本題に入ることにしましょう。
 先に「ファッションララ」はテレビアニメ化されなかったと書きましたが、実はただ一度だけアニメ化されたことがあったのです。 それこそが今回ご紹介する魔女っ子アニメ、1988年にOVA作品として登場した「ハーバーライト物語」です。

 「ハーバーライト物語」のパッケージを見てみますと、そこには”ぴえろ魔法シリーズ第5弾”と書かれており、つまり本作は 「ユーミ」に続く”ぴえろ魔女っ子”シリーズの正当な後継者として制作された作品だったことが分かります。ところがスタジオ ぴえろの公式サイトを覗いてみると、この「ハーバーライト物語」は「ファンシーララ」を解説する箇所においてオマケとして 扱われているだけの存在になっているのです。
 さらにここ数年、ぴえろ魔女っ子作品が次々とDVD化されて比較的簡単に目にすることが可能となっていますが、本作品だけ はDVD化の噂すらないという状態。なんとかLD版は発売された(残念ながら、筆者は未見)というものの、普通はVHS版しか お目にかかれないでしょうし、それすらも発売から15年も経過した現在となっては難しいと思います。




 ゆえに、「ハーバーライト物語」は余程のマニアでもなければ存在すら知らないような幻の作品となってしまいました。 製作会社にすら”無かったこと”にされてしまっている悲運のアニメ、それはいかなる作品だったのでしょうか…。


〜「ハーバーライト物語」ストーリー紹介〜
 ミホは明るく元気なの女の子。父は外洋へ旅立つ船員で長期間にわたって家を空けることになるので、彼女は叔母のもとに 引き取られて何不自由ない生活を約束されていた……そのはずでした。
 ところが実際には、叔母はミホの父が滅多に帰ってこないことを良いことに自分の経営するブティック「SEASON 8」の雑用を 押し付けて、まるで小間使いのようにこき使い、さらにはミホを屋根裏の狭い部屋の中で寝泊りさせていたのです。
 それでもミホは生来の明るさを失わず、愛犬のミックを友として毎日の生活に耐えていたのでした。


こき使われるミホ

 さて、近日中に年に一度のディスコクイーンコンテストが開催されるとあって、町は日を追うごとに活況を呈していました。15歳 以上の女性のみという規格があるためにミホはコンテストに出場できませんが、ファッションデザイナーを目指している彼女はせめて 出場者の衣装作りに参加したいとデザイン画を描き続けました。
 ところが彼女の叔母は、所詮は子供の戯言としてデザイン画に目を通そうとすらしなかったのです。しかし捨てる神あれば拾う 神あり、そんなミホにも優しく手を差し伸べる人物がいました。それは叔母一家の中では唯一のミホの理解者、三女のシュリでした。 シュリはミホの才能を評価し、コンテスト用の衣装のデザインを依頼するのでした。感動のあまりミホは寝る間も惜しんでデザインを 考案し、ブティックから布の切れ端を集めては衣装を試作するのでした。

 そんなある日、一人の男性が町に降り立ちます。彼の名はキッド。町長の息子でありながら不良者のリーダーとして様々な 悪事を働き、しばらく町を離れていた人物でした。
 キッドは自分の政治生命ばかり重視する父を憎み、それゆえ彼が治める虚飾に満ちた町も憎んでいました。そこで、自分の いない間に警察に飼いならされてしまった悪友たちに声をかけると、彼らとともに父の主導するディスコクイーンコンテストの 計画を水泡に帰すべく活動を開始します。
 コンテスト用に新設されたスタジアムの照明や搬送用のトレーラーを爆破し、さらには自走式のヨットに時限爆弾をセットして 衝突させるなどの爆弾テロ行為を繰り返すのでした。被害の拡大につれて参加予定者からはキャンセルが相次ぎ、コンテスト中止の 噂さえ飛び交いますが、町長は強引に計画を遂行しようとするのでした。

 コンテスト前日。夕暮れの中、ブティックへと帰ってきたミホを悲しげな顔で出迎えたシュリは、涙交じりでミホのいない間に 起こった出来事を告げました。
 なんと、シュリの母(ミホの叔母)はミホごときがしゃしゃり出てくることに我慢がならず、シュリのために必死になって 完成させたドレスをズタズタに切り刻んでしまったのです。叔母のあまりの仕打ちにショックを受けたミホは、ただただ涙で枕を 濡らすのでした。

切り刻まれた衣装



 「ハーバーライト物語」ストーリー紹介の続きは次項にて。



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