「おふたり様」専用仕様の静かな宿
高質な牛づくし懐石に思わず笑み

時の宿 すみれ
(山形県米沢・湯ノ沢温泉)
 2006/1 1泊


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お正月をすごすいつもの宿(作並温泉 一の坊)に加え、帰り道方向で新たな宿を試してみたいという気持ちになり、じゃらんNETの検索で空きを見つけ、この宿にトライすることになりました。調べてみると昭和58年から一般旅館として開業していた宿をクローズし、思い切ったリニューアルをして2005年10月にオープンしたばかりとのこと。しばらくクローズしていたため、リニューアルに気づかない人も多く、またコンセプトもあまりにも変わったので、きっと以前宿を知っている人には視野にはいらなかったのでしょう。いずれにしても、すてきそうな宿なのに1−2ヶ月前にお正月の部屋があいているのにはびっくりしました。でも部屋が快適そうで宿の「おふたり様」専用というコンセプトに惹かれ、思い切って予約してみました。一番は牛づくしの懐石がおいしそうだったこと、そして貸し切り露天風呂が自由にはいれるというのが選択した理由です。

宮城県の作並駅から仙山線と山形新幹線を乗り継ぎ、米沢駅まで約1時間半ほど。今年は特に大雪のせいか、本当に一面雪景色で樹氷が見事でした。地元に住む方々には申し訳ないですが、首都圏に住んでいる私たちにとっては、このような雪景色にお目にかかれることが少なく、車窓で堪能し、すばらしい雪深い宿へのイントロダクションとなりました。

米沢駅から迎えのマイクロバスに乗り、宿に到着したのは2時50分頃。宿に近づくと見えてくるのは雪に埋まったロッジのような建物。うーん、地味な外見の建物なんだと・・・。ただ、雪深い宿のため窓枠はかなり小さく、すべて二重窓となっており、開放的な間口というのはやはりかなり難しいようです。雪国の建物はしっかりしたものにしなくてはならず、首都圏とはやはり違いますね。そして、宿へ一歩はいると、ロビーのモダンなインテリアでまずびっくり。ロビーの庭側には大きな窓がはめこまれており、すばらしい雪景色が私たちを迎えてくれました。

フロントまわりはこぢんまり。目の前に広がる雪一面を眺めながら、おふたり様用のソファが3組。それぞれはなれた位置にあり隣が気になりにくい距離を考えています。ソファの後ろにはバーがあり、こちらでドリンクもいただくことができます。モダンな木目とブラックを多用したインテリアはおしゃれにまとまっています。

客室は趣の異なる10種類の部屋が用意されており、インテリアのテーマがそれぞれ違います。私たちは2組で2室、洋室タイプの「みすず」、「あおい」を予約しました。「みすず」は北欧調のインテリアが軽快なリビングとツインベッドを組み合わせた1Fの部屋。外の庭に面しており、リビングから出ることができます(大雪なので真冬はちょっと無理ですが)。一方、「あおい」は46uと広い2Fの部屋。アトリエ調のシンプルなデザインです(案内では和洋室ですが、畳がないので実際は洋室と思ってよいと思います)。完全な壁でなく、ブラインド調の衝立のようなインテリアでソファエリアとベッド区切ってあり、その反対側にツインベッドがあるのは「みすず」と似た感じです。庭と反対側でかつ2Fのため窓枠が小さいので、室内が少ししまった印象です。残念ながらよい眺めは望めないのですが。2室とも40平米以上のゆったりとした広さで、2人でくつろぐには十分です。また、低いリビングボードでベッドルームとしきられており、ここにポットやお茶セット、ディレクトリーなどがセットされています。洗面エリアは今流行の陶器タイプのベーシン。陶器のベーシンは浅いものが多く、水跳ねが気になるものですが、ここのものは深い目で割りに大きさもあった使い勝手はよかったですね。この宿は静かにすごすというコンセプトから、部屋にはTVやCDなどがありません。これらが気になる方には向いていないかもしれません。少々残念だったのが「あおい」のリビングエリア。ラブソファタイプが1つとテーブルのみが広いリビングにぽつん。窓までのウッドフロアはぽかんとあいたままのスペースとなっておりちょっと寂しい感じ。また、館内を歩くスリッパを部屋の入口で脱ぐスタイルとなっているのですが、ウッドフロアのリビングは床暖房ではないため、足元がちょっと冷たい感じ。くつろぐこのエリアにはラグやクッションなどあったらよかったですね。

お風呂は大浴場となる「森と風の湯」と露天風呂「時と光の湯」にわかれます。源泉かけ流しのお湯はたっぷり。「森と風の湯」は男女別用で時間交代です。片方は外にデッキチェアのような椅子を置いてあり、半分は木の衝立で目隠しされています。雪のこの時期はとても外に出られるものではなく、また半分の間口も雪でかなり埋まっており、眺めは望めませんでした。一方「時と光の湯」はもう片方の「森と風の湯」の外につながっている露天風呂で、こちらは開放感あふれる眺めを楽しめます。湯船から身をせり出すと、なんと向こうのほうに新幹線の線路が見えるのです。緑多い季節はさぞ良い眺めであろうと察します。そしてこの宿の売りは2つの貸切風呂。男女別風呂ではやはり「おふたり様」をゆっくり楽しめません。この貸しきり露天風呂で二人くつろぎを楽しんでもらおうという趣向。1つはヒノキ、もう1つは大理石と趣のちがう浴槽とし、2つのお風呂が隣り合わせになっています。あいにく雪深きこの季節、露天の眺めは高−く積もった雪景色(笑)よい季節の眺めを想像するとわくわくしますね。

この宿のメインイベント、牛づくしの懐石料理に舌鼓を打ち、とろけるようなおいしさに幸せな時間をすごすことができました。この宿はもともと「黄木」という肉屋さんから発祥しているところ。今でも女将の弟さんが米沢市内で経営しており、仕入れの確かな高質な米沢牛です。夕食、朝食とも食事処で供されます。メインをステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶから選べ、ステーキですとカウンターでいただくことも可能です。私たちは半個室の仕切られた奥の席に案内されました。お正月らしい千両の飾りがあしらわれたテーブルはさりげないセンスがあらわれており、出される1品1品の味と工夫に驚き、まさに牛の七変化。コースを通してきらり光るものがそこかしこにちりばめられていました。牛肉の各部位によるうまみや味の違いなど初めての体験で、さしみやテールスープ、お寿司など、とろけるような味わいの中、惜しみないプレゼンテーションを楽しませていただきました。ステーキならきっとシェフの臨場感を得られるカウンターが楽しいかもしれません。席数が限られており人気のようです。食後のコーヒーをバーカウンターやラウンジのソファでいただき、深々と降りしきる雪を目と耳で楽しみながら、雪を照らすライティングの幻想的な眺め、更け行く夜を味わいました。朝食も同じ食事用スペースでした。和の大角皿にかわいらしく盛り付けられたおかずにはお正月らしい食材も盛り込まれており、目に楽しい演出です。

ゆったりとすごす部屋への工夫、牛素材にこだわった食事への意気込みなど、米沢という首都圏から離れた地にセンスよい宿が登場しました。生まれ変わったばかりのこの宿、女将さんもモダン宿にあわせてスーツでのもてなしをされており、これからの方向性を模索されているようです。「おふたり様」にこだわった数々の工夫もこれから訪れるお客様によって磨かれていくのを期待したいですね。新幹線で東京から2時間足らずの距離、意外に都会の人々にはまる宿になるかもしれませんね。この牛懐石をいただきにまた訪れてみたい宿です。


データ:  〒992-1205 山形県米沢市関根12703-4

TEL(0238)35-2234 FAX(0238)35-2236 email: info@tokinoyado.com

総客室: 10室 (和室、和洋室、洋室とあり。)

温泉・風呂: 米沢湯の沢温泉 単純温泉 大浴場/露天風呂 男女各1、貸しきり露天風呂2

料金(通常): 2名1室25250円〜  チェックイン・アウト: 14:00  11:00

場所/山形新幹線 米沢駅から車15分、宿の送迎車あり。福島飯坂ICより国道13号線山形方面へ車45分

(上)パブリックスペース

(左)洋室「みすず」
(右、下)洋室「あおい」
(上)牛懐石の一部
(右端は朝食)
(左)雪見の貸切露天風呂

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