じゃらんでとても評判の宿。「みやこの宿狩日記」をはじめいろいろな番組で紹介されたこともあり、とても人気のよう。雰囲気、食事、お湯・・・そして手ごろな価格。なかなかよさそうじゃない!
最近は高質な宿で贅沢な滞在が増えてきたこともあり、少しこんな路線の宿でゆっくりしてみようか。。。。そんな思いもあり、11月の連休に行って来ました。
東北地方はもう冬の入口。でもここ鎌先温泉へ行く道にはまだまだ紅葉があり、ドライブでたっぷり楽しみました。高速から降りて比較的近いし、以前「みちのく庵」という同じ温泉地の宿にも行った事があり、道になじんでいたこともあり、思ったより早く到着しました。
鎌先温泉の入口からすごい坂をあがって奥のほう・・・ええ、ここに宿あるのぉ???・・・と思っていると、右手の扉から「いらっしゃいませ」。女将さんでした。若い方です。そう、この温泉街の奥にあるレトロな木造の建物が、この「一條」という宿なのでした。宿の玄関を上がり、通されたのはちょっとステキな和カフェ風のラウンジ「都留里」。おいしいお茶とお菓子のもてなしに、花もそえられ、女将のセンスが光ります。お茶は以外にお手ごろ価格の宿ではなおざりにされがちなもの。高価なお茶はコーヒーなどの比ににならないほど御値段がはるもののあるのです。またちょと時間がたつとすぐ渋くなり、お茶の色も悪くなります。それを到着の一杯に質のよいお茶をよい状態で出す勇気・・・宿の心意気を感じます。
宿の名前のとおり、このあたりの「湯主」。600年ほど前にさかのぼる湯所ある温泉で、先祖から20代も受け継がれているそうです。通りの手前にあった一番古そうな4階建ての木造が本館で、現在食事処として主に使われています。知る人ぞ知るで、本館も湯治滞在にいまでも使われているようです。ただ、木造でひゅうひゅう寒く、トイレもすぐなく、鍵もなく・・・話だけで興味半分に「泊まりたい」という方には、あまりにも不便を強いたり快適な滞在ができないであろうことを察し、丁重にお断りしているそうな。
私たちが泊まったのは、トイレ付き8畳のごく普通の和室です。窓から向かいの木造建物が眺められ、左手には山々を臨む眺めのよい部屋です。8畳はちょっと狭いかな、と思いましたが、縁側と眺めでそれほど不便を感じませんでしたね。お風呂は常に4つはいれるので(男女2箇所ずつ)、部屋になくても不自由はしませんでした。トイレさえあれば、快適さには申し分ありませんね。これもお値段が手ごろな理由のひとつでしょう(1万円台前半です)。
お風呂は眺めとお湯のよさで、何度も楽しめました。
一つは別館奥の「洞窟の湯」。大浴場と露天風呂があります。こちらのお湯はわりに普通のさらりとしたもの。なんと言っても楽しんだのは露天風呂からの紅葉の眺めです。注ぐ湯口の背景に見える紅葉の木々の美しいこと。何度もこの眺めを楽しみに、お風呂に行ってしまいました。朝の日差し、昼間ののんびりした陽だまり、夜のライティング、それぞれに楽しめました。
もう一つは、地下にある「鎌先の湯」。薬湯でほんのり暗い中に、年季ものの湯口の固まり具合、レトロなタイルの内装など、老舗温泉宿の雰囲気が一番感じられるところでした。
実は、露天風呂の眺めは女性だけの特権で、男性のほうは紅葉の裏側になってしまいます。一方薬湯のほうは男性のお風呂が広くて明るいのですが、女性のほうはほの暗く、両方一長一短といったところでしょうか。そのほかに貸切風呂が1日3組限定であるのですが、こちらはチェックインの時点ですでに2日間とも予約満杯でした。後からきくところによると、この貸切風呂は薬湯ではなく、かなりこぢんまり浴槽と洗い場のため、人によって好みが出るでしょうとのことです。ゆったりはいるなら、やはり大浴場になるのでしょう。
食事は、宿自慢の個室料亭「匠庵」でいただきます。これが本館の木造建物で、かつて湯治宿泊であった各客室を改装し、椅子とテーブルの食事処にしてしまったものです。わざわざレトロを演出する宿さえある中、貴重な財産をもてなしに生かすことを考えました。これこそまさに宿のアイデアであり、人気の一番の秘密だと思いました。
よく磨きこまれた階段と廊下をいくと、障子から明かりが漏れてくる部屋のかずかず。その一つに案内され、障子をあけ個室の中にはいりました。部屋の中は調度品も様々な古いものを各部屋に用意し、椅子、テーブルも木造の雰囲気にマッチしたデザイン。火鉢もおいてありましたよ。まさに大正浪漫のタイムスリップです。
レトロ建物なのですが、ちゃんと快適さも忘れていません。食事処は、それぞれにしっかりとストーブであたためられています。ポットや急須、布きんなど、セルフで利用できるよう、棚に常備してありました。個室の食事の欠点は、食事を運んできてくれるとき以外、何かほしくても頼みづらいこと。お茶を好きなときに入れたり飲めたりするのは、とてもうれしい計らいですね。
食事は食前酒と先付けに始まり、前菜、サラダ、椀物、焼き物、煮物など、2〜3品ずつ暖かいもの、冷たいものをきちっと運んでくださいます。手ごろな材料ながら、宮城ポーク、仙台牛、豆乳しゃぶしゃぶなど、地の物や名物料理を交えてだされました。客室の演出に加え、盛り付けや器も美しい。一輪挿しに花をさした箸おき、センスはいいですね。とても楽しい食事でした。この料金ですばらしい夕食です。朝食華やかなとりわけサラダなど、やはり演出を忘れません。宿の人気の秘密がとてもわかりました。
この宿には「オンセラ療法」というユニークなマッサージがあります。薬草いりの布袋を暖め、体の各所(ツボ)にあてて温めることにより、自然治癒力を高めるというもの。アロマともツボマッサージともちがった、なんとも不思議な気分。これがなかなか気持ちよかったです。本館のほの暗い雰囲気の個室で施術を行いますが、これも人気のひとつのよう。男性には残念ですが、こちらは女性限定です。
もちろん、お手ごろ宿というのはそれなりにお値段をおさえている部分はあります。お風呂の設備はわりに簡素で、脱衣所がシンプルです。サービスもうまく効率的に行い、部屋には干渉しないようなしくみは、あえてお客様にプラスにしてるように思います。おもしろかったのは、食事処(本館)へお客様を案内するのに、別館の中央の階段前を利用していたことです。お風呂に行くのに必ず利用する場所。スタッフは部屋まで案内に来ることはありません。その代わり、時間になったら各部屋からここまで自分で出てくるのです。そうすると、宿の方が渡り廊下を通って案内し、階段と廊下を通って本館の食事処にはいるという仕組み。なかなか合理的にもてなすすべを考えたなと思いました。
ちょっと上質に慣れた方にも、この宿のよさはわかってもらえるのではないでしょうか。ちょっと贅沢を言わせてもらえば、お風呂は男女交代にしてほしいこと、湯治用の売店がちょっと日常すぎる(笑)かなと。身も心も解きほぐして、この空間にひたり、すっかりタイムスリップしてしまいましょう。
データ: 〒989-0231 宮城県白石市福岡蔵本字鎌先1-48
電話 0224-26-2151(代) FAX 0224-26-2158 E-mail info@ichijoh.co.jp
総客室: 18室
温泉・風呂: 鎌先温泉
大浴場 男女各1、露天風呂男女各1、薬湯 男女各1、貸切風呂1
料金(通常): 2名1室11,700円〜18,000円 チェックイン・アウト: 15:00 11:00
場所: 東北本線 白石駅より タクシーで約10分。 東北新幹線 白石蔵王駅よりタクシーで約15分。
東北自動車道 白石ICより約15分。
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