あこがれの宿---
それは至福の「食」と感動の能舞台

あさば
(静岡県・修善寺温泉)
2007/11
 2泊

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長い間「いつか行きたい宿」リストに入り続けたこの宿。
修善寺にたたずむ老舗の宿、能舞台の幽玄の美。。。あこがれてきました。

主人の出張の帰りコースからちょっと寄り道コースで使える所であったこともあり、思い切って宿に電話してみました。そうすると、なんと、土日にかかる日程で連泊で空きがあるとの情報を得たのです。1泊は、お風呂はないが能舞台が見える部屋、2泊目は能舞台は見えないが、内風呂と庭の見える部屋とのこと。この際、選択肢はなく、迷っている間に予約できなくなる!と思い、とにかく有無を言わさずゲットしてしまいました。金曜日の午後、仕事を何とか調整し、東京から修善寺に向かったのでした。


修善寺駅からタクシーで10分弱、以前前を通ったことのある、荘厳な門構えのこの宿に到着しました。意外にすっきりシンプルな入口とロビー。もっと格式をイメージしていただけに、まず肩透かしをくらってしまいました。到着や否やロビーから部屋に案内され、チェックインの手続きはお部屋で行われました。




私たちの泊まったのは「巻絹」という、1Fにある10畳一間、板の間付きでお風呂なしの部屋です。ここがあさばでお値段が一番お手ごろな標準客室です。あさばにはこのクラスの部屋が6室ありますが、どちらも目の前が能舞台に楽しめる客室で、予算をおさえてあさばらしさを楽しみたい方にはおススメです。ちなみに2Fの二部屋は同じく能舞台前ですが、8畳で能舞台をやや屋根から眺めるため、眺めの角度に好みが出るかもしれません。1Fの4部屋はお風呂が近く、貸切風呂もその横なので、部屋にお風呂がない分を補えるかと思います。私は1Fのほうがおススメですね。


客室にはいると、あら、赤い掛け軸。。。「めずらしいですね。」、と仲居さんに尋ねると「お祝いですよ。」と。粋な計らいです。実は、少し早めの結婚記念日…と伝えてあったので、このような演出をしてくださったのでした。ちなみに、翌日は、おめでたい福の皿で夕食をいただきました。さすが「あさば」、粋な計らいです。


窓側の板の間にある籐の椅子。ここから外を眺めるとそれはどーんと目の前の能舞台に圧巻です。日中、夕日、夜景、朝日・・・すべてが幽玄の美にひたれる、それはすばらしい眺めでした。「宿からのながめ」と一口にいいますが、とにかく「能舞台」には完全にやられました、といわんばかりです。感動の眺めって、感動するほどのすばらしいところというのはなかなかないのですが、ここでは、本当に吸い込まれるような瞬間を味わいました。



宿泊予約の際、宿の方から、「大浴場は改修中で、お越しになるときは片方が閉鎖中かもしれません。男女時間で交代でお使いいただくことになりますので、ご了承ください。」といわれていたのですが、なんと私たちが行った日から、めでたくリニューアル初日という幸運に恵まれました。この大浴場、はいったとたん、すばらしいお風呂にまたまた釘付け。脱衣場のすっきりしたデザインとライティング、ヒバの天井に壁、丸い檜の湯船と風情のある浴室、それはすばらしい浴場なのです。窓からの眺めはほとんどないお風呂なのですが、湯船につかると、明るくすっぽりおさまる居心地がなんともいえない。本当に驚きです。私の中では、お風呂は広くて展望がすばらしいのが一番と思っていたので、この宿はその常識を覆してくれたのでした。


大浴場の隣に、2つの貸切風呂があります。四角いのと小判型の湯船で、どちらもゆったりと2〜3人がはいれる大きさです。貸しきり時間が決まっておらず、あいていればいつでも利用できるのがうれしいですね。脱衣所にはふかふかのタオルがたっぷりあり、化粧品等のアメニティも充実しているので、部屋からもっていかなくても大丈夫です。こんなことでも、とても贅沢気分になれます。


そして、この宿のお風呂といえば、やはり野天風呂。こちらは1つしかないため、混浴が基本となっていますが、女性タイムが午後と朝の2回ほどあります。この野天風呂も、実にすばらしい眺めなのです。こちらは、まさに開放的なすばらしい景色。庭の池、竹林、能舞台の側面からの眺めが湯船にはいった目線からとても美しいのです。


こうして、野天風呂、大浴場、貸切風呂の風情を繰り返し、何度も楽しみました。お風呂場の前には、「伊豆の天然水」が置かれています。冷水と常温水の2種類置く気配りはさすがですね。



そしてあさばの名物スポット「サロン」ははずせません。朝はコーヒー、午後はお風呂上りのビール、夜は食後のお酒など、それぞれのシチュエーションで楽しむことができます。なんと言っても、サロン正面から見る能舞台に思わず皆見とれてしまう・・・これが一番の感動です。写真で見ていて、まあこんなものかと思っていました。ところが、これもすっかりやられましたね。そのすばらしさい実物を見たときの感激は、何ものにも変えがたい。特に夕方の日が沈む頃の色の変化(へんげ)はみごとでした。茜色からセピア色に変わりゆく能舞台と空のコンビネーション、そしてライトアップが始まる時間・・・サロンの席に陣取って眺めていたのでした。


お食事は本格的な和食のコースです。本懐石とはちょっと違い、素材をそれぞれ生かした普通の和食を、素朴ながら研ぎ澄まされた見事に上品な味わいの品々が感動を与えてくれました。すっきりとしたゴマ豆腐、鱧とマツタケの鍋仕立ての吸い物、海老しんじょ、合鴨九条ねぎの炊き合わせ、など惣菜風のしたてを上品にアレンジし、滋味ある出汁でひきたてられた素材の味付け、品性ある器選び・・・お見事です。きらびやかな演出などないのに、感動させる・・・こんな宿は初めてです。名物のアナゴの黒米寿司もよかったですが、最後のマツタケご飯は苦しいのに食べてしまいました。デザートのブラマンジェは逸品。そのあとのジェラードのアイスもついペロリでした。



朝食は、しいたけをそのまま炭火であぶったり、卵焼きは時間に合わせてホクホクの暖かさ、お味噌汁にほんものの干物うまみ、とまさに直球勝負。ご飯の美味しさに、いたずらで握り飯を網で炙って焼きおにぎりまでつくってしまいました。


2泊目はまったく違うメニューでお目見え。夕食は、品のある沢煮椀、海老のうまみたっぷり味わう手長海老の鬼がら焼、蓮蒸しなど、初日に負けないラインナップでした。そう・・・素材の組み合わせや味わいなど、「おいしい」だけでなく「楽しい」食事をとことん味あわせてくれました。



宿の料理の実力は2泊目に出ると思います。料理人の思い、腕、両方がすべて現れるからです。力のない料理人だと、2泊目はメニューに疲れが見えます。 また私の信条として、1泊目は名物料理のオンパレードで頑張りすぎ・・・2泊目が肩の力が抜けて、板長の本来のよさが出る、と思うのですね。 その意味で、この「あさば」には、連泊の醍醐味を十二分に堪能させてくれた宿でした。


お布団は、ふかふかの羽根布団にベッドマット並みのしっかりした敷布団です。枕も選ぶことができ、寝心地はすばらしいものでした。部屋の空調も心地よく、ぐっすりと眠ることができました。




私たちは2連泊でしたが同じ部屋があいていなかったので、2泊目は裏の庭側にある「鉄仙」に移りました。10畳ほどの本間にかなり広い広縁と前室があり、ゆったりしています。よくみると欄間の細かい仕事がすばらしい、しっとりとしたしつらえの部屋です。庭は落ち着いた眺めで、檜の内風呂付きです。静かで控えめな佇まいなので、能舞台側の部屋とはまったく違った趣を感じさせる部屋でした。こちらは、一番奥の部屋でもあるので、ちょっとお忍び的な風情でしょうか。私たちの好みとしては、「眺め派」ということもあり、やはり能舞台側の部屋がよかったですね。


ロビー、エントランスまわりのしつらえも、ライティングで朝、昼、夜と様々な表情を見せてくれ、飽きることがありません。お手洗いの入口、ちょっとした廊下の花、すべてに計算しつくされた美がしゃしゃり出ることなく、品性を感じさせてくれました。

「あさば」にノックアウト・・・ってちょっと野暮ないい方かもしれませんが、とにかくこの宿にやられた、という感じでした。事前知識、写真だけでは、このすばらしさを十分伝えることができません。行って、自分で五感を使って感じてくる・・・そんな宿です。宿に魅せられた2泊でした。


データ: 〒410-2416 静岡県伊豆市修善寺3450-1
電話 0558-72-7000 FAX 0558-72-7077 E-mail asaba@izu.co.jp

総客室: 18室
温泉・風呂: 修善寺温泉 
大浴場 男女各1、露天風呂1、貸切風呂2

料金(通常): 2名1室37,950円〜78,900円  チェックイン・アウト: 14:30  11:30

場所: 伊豆箱根鉄道 修善寺駅より タクシーで約10分。 東名沼津ICより国道136号線経由 約45分。

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