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(4)製作前キットレビュー

   E タイガーT対決(1/35 タミヤ/アカデミー)


 対決レビューではタミヤの出現率が高くなっていますが、単純にストックのうちに占める
割合が高いからに他なりません。(それ以前に店頭での占拠率が高いせいもあるの
でしょうが・・・)

 それ故にタミヤ製品のレベルが私の判断基準となっているところがありますが、
タミヤのプラモデル作りのスタンスとしては正確さと精密さもさることながら、価格との
バランスと組み立てやすさへの配慮が見て取れます。(特にM/Mシリーズは)

 プラモデルメーカーの立場として低年齢層にも作りやすいキットと受け入れられやすい
価格の設定は非常に大事と思いますのでこれをひとつの基準とするのがとても便利です。

 しかし人気の重戦車クラスとなると結構値がはります。現在のガンプラ少年の価値観で
言うと「マスターグレード」並みの値段設定です。(笑) しかし最近の子供たちにはよく
知らない旧いモビルスーツがラインナップに多い安価なHGUCシリーズよりも、高価な
マスターグレードシリーズからガンプラの世界に入ってきているパターンも多いと聞き及び
ますので、あまり価格は問題にはならないのかも。これも時代の変化というものでしょう
か。

 このタイガーTも例外ではなく、いい値段が付いています。(巷では既にティーガーとの
呼び方が定着しているようですが、タミヤの表記は昔ながらの「タイガー」ですので、ここ
でもそう統一します)

 今回比較のために初期型を準備しましたが、このタイガーT型戦車は、280アイテムを
超えたタミヤM/Mシリーズの中で6種類ものバリエーションが登場している人気機種
ですが、初登場は56番目と意外に遅いです。ちなみにその他5種 それぞれの仕様は

 ・No.146 (後期生産型)
 ・No.194 (中期生産型)
 ・No.202 (中期型 オットーカリウス搭乗車)
 ・No.216 (初期生産型)   ←今回のレビューのキット
 ・No.227 (極初期型 アフリカ仕様) 

 となっています。ここでは実車のタイガーT型のバリエーションとしては比較的定着して
いる極初期、初期、中期、後期、最後期の5種類の分類を基準として進めていきます。

 例のごとくボックスアートは写実的なタミヤに比較し、アカデミーは大分絵画的でひと昔
前のモノのイメージがあります。ざっと見ますとこれらのキット、別レビューのメルカバの
ようにオリジナルとコピーという関係ではなく、生まれは全く別物となっています。 

■Proportion: タミヤ☆☆☆☆☆/アカデミー☆☆☆☆☆

 製作前キットレビューを豪語していますので完成写真とパーツでの確認までですが、
車体(ハル: hullとも言われます。船の船体やロケットの外殻等以外に特に戦車の車体
という意味があります)と砲塔の分割・成型形状は全く同一です。

タイガーT・車体上面 タイガーT・車体側面
↑グレーの成形色がタミヤ製。入れ替えても組めるくらいに寸法は揃っている。

     タイガーT・砲塔上面
     タイガーT・砲塔前面 

 砲身や履帯、転輪などのプロポーションを左右する主要部品についても寸法的にほとんど差異はなく、完成後のイメージはほぼ同等に仕上がりそうです。

 共に初期型のタイガーTと銘打っているキットですがタミヤは、防盾の種類・Sマイン
発射機の有無・装填手用ペリスコープの有無・予備キャタピラの有無(砲塔部・車体部)・
起動輪の種類・エアクリーナーの種類の組み合わせによって極初期型から初期型に
わたる4種類の装備仕様を選択でき、6種類の車両(第502重戦車大隊第2中隊213号車、
第503重戦車大隊第3中隊332号車、第504重戦車大隊第1中隊131号車、第101重戦車
大隊第13連隊S45車、S04車、第2戦車連隊第8中隊S33車)をマーキングで再現できます。

 一方アカデミーは、5種類のマーキング(第2SS機甲師団'DAS REICH'S13車、S11車・
第1SS機甲師団'LSSAH'S03車:ミヒャエル・ヴィットマン・第502重戦車大隊第1中隊123号車:オットー・カリウス・第504重戦車大隊第7中隊712号車)が付属しますが、装備の仕様は
エアクリーナーの種類と砲塔右側の予備履帯の有無で極初期型・初期型を作り分ける
のみとなっています。

 しかし主砲防盾の形状や装填手用ペリスコープがないことなどの極初期型の特徴と
砲塔後部の雑具箱の形状やSマイン発射機が付くなど初期型の特徴とが混在しています
ので、こだわる方は気を付ける必要がありそうです。

■Detail: タミヤ☆☆☆☆☆/アカデミー☆☆☆☆

 ディティールにはタミヤに一日の長がありそうです。分かりやすいところでは、鋳造部位
(主砲基部の防盾、車体後部上面のラジエータカバー)の鋳肌や砲塔側面鋼板の表面の
荒れ具合がタミヤでは表現されています。

        タイガーT・砲基部
         タミヤには↑防盾の表面と↓砲塔の表面に鋳肌と圧延鋼板の荒れた表現がされています。

    タイガーT・砲塔側面
                             ラジエータグリル脇のカバーにも↓
    タイガーT・エンジングリル

 目立つ部分の溶接跡なども、表現の違いこそあれどちらも丁寧に再現されています。

 タイガーT・量産車の車体番号FG250001〜FG250020までの20両には左右対称形状
の履帯が用意されたのですが、21番以降の車両では生産性向上のため左用に統一
され、右には左用を逆向きに付けるようになっています。両キットでもそのように再現
されています。アカデミーの履帯は組み立て式ですが、一枚一枚が一体成型なので
肝心の内側のガイドリブの抜き穴までは再現していません。

 世の中にはガイドや接続ピンまで別パーツで、可動・ディティールをほぼ完全に再現
できる履帯のキットも存在しますが、それらを一枚一枚接着する膨大な作業量を考えると
このくらいの組み立て式が手ごろでいいかも知れません。少なくとも私にとっては・・・。

 組み立て式履帯の利点のひとつにたるみがリアルに表現できることがあると思います
が、タミヤのタイガーTのゴム履帯は塗装・接着が可能なタイプで、転輪に瞬間接着剤で
接着することでたるみを表現できるため、手軽さでは比較にならないでしょう。

 同じタミヤでも接着できない塩ビ等の履帯が付属するキットもあり(というか、昔の
キットはそれが当たり前でしたが)、それらは瞬間接着剤でも接着出来ません。組み立て
説明書で履帯の接続方法が熱した釘やドライバーによる「焼きばめ」であれば接着
できないものと考えてよいでしょう。

 さらに気になった細かい差異を挙げますと、機銃ボールマウントの両脇にある防水
カバー取り付け用の蝶ねじ位置がアカデミーは離れすぎです。(それ以前に上向きに
固定されてしまってますが・・・)

    タイガーT・前面装甲

 ファイフェルフィルターの形状差も見つけてしまうと気になるかも。(タミヤの方が正解
です)

 しかしながらそれら以外のディティールには取り立てる程の違いもありません。全体的に
タミヤは模型栄えするようにアカデミーよりもメリハリが効いていますが、これくらいは
好みの問題といえるでしょう。

■Structure: タミヤ☆☆☆☆/アカデミー☆☆☆☆☆

 あえて構造比較として取り上げますが、実はアカデミー製のタイガーTは内部構造を
再現したキットとなっています。

       タイガーT・アカデミー車体内部     

 砲塔内部はもとよりエンジン、プロペラシャフト、砲塔回転装置、トランスミッションから
起動輪直前のブレーキに至る駆動系全般、燃料タンク、ラジエータ、冷却ファン等の
補機類、操縦手席のインストルメントパネル、通信機、88mm砲弾収納箱等の主要機器
から、各ハッチ裏のペリスコープ、床のトーションバースプリング、砲塔天井のベンチ
レータ、機銃弾薬、信号弾箱、消火器、ヒューズボックス、ガスマスク、ペリスコープ用
スペアガラス箱、その他目ぼしい小物類が丁寧に再現されており、最上段の弾薬収納箱
には88mm砲弾が収められる凝り様で、内部構造部品だけでもランナー3枚分以上という
結構なボリュームになっています。完成後も車体・砲塔の上面装甲版を取り外して
ディスプレイできるという優れものです。

 砲弾を全てタミヤの砲弾セットの真鍮製に置き換えてみるのも一興と思いましたが、
10発で700円なので、1発70円。フル装備 92発だと 6440円ではちょっと踏み切れない
ですねぇ。付属の空薬莢も 50発以上貯まることになるし。

■Cost Paformance: タミヤ☆☆☆☆/アカデミー☆☆☆☆☆

 さらにアカデミーのタイガーTにはエンジングリル(冷却用給排気口)をカバーする弾片
防止用ネットのエッチングパーツが付属します。タミヤからも同様のエッチングパーツが
別売りされていますが、合計すると本体(\3,200)+ネット(\600)=\3,800となり、\4,000の
アカデミー製と変わらなくなります。キットの狙いが違うので単純には比較できないと
思いますが、組み立て式履帯+内部構造&エッチングパーツ付きのアカデミー製
タイガーTの「お買い得感」に軍配を上げていいでしょう。






















タイガーT・タミヤ箱
↑タミヤ 1/35 ドイツ重戦車タイガーT初期生産型
タイガーT・アカデミー箱
↑アカデミー 1/35 TIGER-TEARLY VERSION
















































タイガーT・砲塔キューポラ
↑ペリスコープが一体成形されているタミヤ(左)。
 アカデミーは別パーツで再現している。


タイガーT・車体継ぎ目
↑部分的にタミヤでは再現していないディティールもあります。



タイガーT・タミヤデカール
↑タミヤのデカール

タイガーT・アカデミー デカール
↑アカデミーのデカール
























タイガーT・履帯
↑キットの履帯。上がタミヤ(ゴム式)、下がアカデミー製(連結式)。

タイガーT・実機履帯
↑実車のガイドリブは穴が開いています。

タイガーT・タミヤ砲弾セット
↑タミヤから発売されているタイガーT用砲弾セット。
 榴弾 5、徹甲弾 5、空薬莢 6個入り。


タイガーT・フィルター
↑手元の資料では左の形状が正解。



タイガーT・アカデミー内部構造
↑最近では1/48で7分割されたこんな完成模型が売られていますが・・・。

タイガーT・アカデミー砲塔内部


↓アカデミーに付属のエッチングパーツ
タイガーT・アカデミー エッチンググリル
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