拒食症は心の病気

拒食症は心の病気1「痩せている女性が美しい」という現代社会の風潮が若い女性を拒食症に導いている原因のひとつに挙げられます。若い女性が太りたくないのは当たり前。事実、思春期から20代の女性を対象にしたアンケートを取ると、95%以上の人が1度はダイエットの経験があるのです。その中には肥満どころか標準体重以下の人も含まれています。
 ダイエットを実行しても普通ならばある程度まで減量できればやめるものであるし、頑張り過ぎて体調を崩したり、空腹に耐えかねて断念したり、ダイエットの限界を超えてしまうと自発的にセーブするものなのですが、拒食症の人はそれができないのです。 ほとんど食べず、極端に痩せて骨と皮だけのような状態になって栄養不良が続き、いろいろな障害を起こします。中でも筋肉を 動かすのに必要な栄養素「カリウム」が不足すると、疲労を感じやすくなり、手足の脱力感などの症状を起こします。心筋細胞までもが低下し、不整脈を起こし、重症の場合は心不全を起こして突然死に至ることもあるのです。
拒食症は心の病気2 どうしてこんなになってしまうまで自分をコントロールできないのでしょうか?
 それは精神に異常が生じ、自分をコントロールするための機能が壊れてしまっているからです。
 拒食症は心の病気なのです。
 拒食症の正式病名は 「思春期痩せ症」、「神経性食欲不振症」、「神経性無食欲症」と呼ばれています。
拒食症は心の病気3 思春期などによく起こる病的な痩せで心に原因があり、食欲がなくなったり食べる事を拒否したりする状態です。食欲がない場合は無食欲症、食べる事を拒否する場合は拒食症と呼んだ方が正確かもしれません。
 拒食症を起こす原因になる心の病はとても複雑で、根の深いものであることが多いので、拒食症の性質はまだはっきりと把握されていないのが現状です。
 拒食症の人は強い痩せ願望や肥満恐怖を持っています。それは体重、体のバランスのみでなく、体の部分的な太さについてもそれをひどく気に病み、痩せたいと願っています。
 拒食症の人の痩せ、肥満の基準は常人のそれとは異なり、エスカレートする一方です。自分の体型に対して正しいボディイメージが持てないのです。
 他人の目には骨と皮だけの体が自分の中ではまだ太っていると思ってしまう…
 この誤ったボディイメージは単純な思い込みではなく、深い心の問題から生じていると考えられています。だから周囲が説得しても是正することができないのです。
拒食症の行動
 拒食症は自分では異常だと気付きにくい病気です。
 本人も初めは拒食を隠したりするので、周囲の人見も気付かないことがよくありますが経過とともにその症状は明らかになっていきます。
 これから述べる項目は一様でなく人によって異なります。
 拒食症に見られる行動すべてを言葉にするのは困難なので、ここではその代表的な例を使って説明していくことにしましょう。
☆少食・偏食
看護師 最初はダイエットのためという気持ちでほんの少しの食事ですませたり、カロリーの低い野菜やコンニャクだけを食べるようになります。とくに脂肪を多く含む食物や炭水化物を避けるようになります。
 次第に一日一食で済ませるようなこともよくあるようになり、親が心配して口を挟むと「食べた」と嘘をついたりもします。そのうち空腹感に慣れてたくさん食べることができなくなってしまいます。
拒食症は心の病気4☆過食
 拒食症は心の病気ですから、ストレスとも深いかかわりがあります。
 拒食の状態がしばらく続くと次に強烈な勢いで食べつづける過食の時期がやってきます。周囲に隠れて食物を口に運ぶこともあります。
 ひととおり食べ終わった後、痩せたいと思う気持ちが蘇り自己嫌悪に陥ります。
 過食は拒食症の人の約半数におこり、中にはそのまま過食症に転向してしまう場合もあります。
☆食物への執着
 食べることを抑制する反面、食物に非常に強い関心を持ってしまうこともよくあるのです。
 食物を大量に買い込んでしまっておいたり、持ち歩いたりする人もいます。
 食品に含まれる栄養量、調理法などの情報に詳しいことも多く、料理を作る人も少なくありません。しかしそれを自分で食べることはなく、友人や家族に勧め、食べさせることで自分を満足させる様です。
くすり☆下剤・自己誘発性嘔吐
 食べたものを体に吸収させないように下剤を使ったり、食べた後に自分で吐いてしまうこともあります。吐いていることを周囲に悟られないようにする傾向も見られます。
 下剤に関しては、乱用により体の中の電解質のバランスが崩れ治療しなければならなくなることもあるので、十分な注意が必要です。
☆活動的になる
 拒食症は痩せてきてもかえつて活動的になる場合がしばしばあります。何に取り組むかはその人の環境や経験にょって様々ですが、趣味であったり勉学であったりスポーツであったりします。
 自分の存在価値の確認や虚無感の充実を求める心の現れでもあると言われる活動性亢進ですが、それも長くは続きません。
 症状の進行につれて集中力も体力もなくなり思うように続けられなくなるのです。

ハート拒食症が身体に与える影響
 拒食症によって体が栄養不良の状態になるとさまざまな症状が現れてきjす。頭髪の脱毛や脈拍が遅くなったり(除脈)、低体温、低血圧、貧血などが多く見られる症状ですが、これらは活動に支障があるほどではないので自覚症状とは言い切れません。
 拒食症になる人の95%は女性です。痩せ以外の症状で最も多く見られるのが「無月経」で、拒食症の重要な判断基準のひとつとされています。無月経はストレスの蓄積や低栄養状態の持続により、視床下部や下垂体が悪影響を受け、性腺刺激ホルモンのバランスを崩し月経周期が乱れることで起こります。
 他に、栄養不良が原因で脳が萎縮してしまう場合があることも明らかになっています。
体重が激減したときなどに、脳が脱水症状や低栄養に陥るために起こるのだと言われています。
 通常の栄養状態まで回復すると萎縮した脳も元のように戻りますが、身体の発展途上の時期に脳が萎縮するということが将来に何の影響も及ぼさないとも限りません。一刻も早く栄養状態の改善に努めることが大切です。
心と体の治療
 拒食症の人は自分が病気だという自覚のない人がほとんどです。ですから周りの人間が拒食症の信号を早く見っけてあげることも大事なのです。
 拒食症のはっきりとした原因は不明ですが、思春期の不安定な精神が要因のひとつとなっている例もたくさんあります。
拒食症は心の病気5 拒食症のきっかけの多くはダイエットによるものですが、その根本にはストレスや大人になることへの強い反発心などが隠れていることも少なくありません。特に母親との関係は心の成長に大きく変化をもたらします。
 拒食症の人はこれといった反抗期のない、素直で母親への依存心の強い傾向のある人が多いと言われています。食べないことで母親の関心を引きたいという気持ちの表れでもあるような気もします。
 また、両親の不仲や家族どうしのトラブルも、食卓に何らかの影響も及ぼさないとも言い切れないでしょう。
 そんな両親のようになりたくないという気持ち、拒食症患者のほとんどは女性なのですから当然母親を拒否する気持ちを持つようになります。
医師 そして食事を作る母親の延長線上にある食品そのものに母親の影を重ね、女性としての目覚めや母親の体型、あるいは大人の社会そのものまでもを拒否しているのかもしれんません。
 かと言って父親は何の問題もないかと言えばそういうわけではなく、患者との関係が希薄であることが多く、患者が父親を嫌っている場合もあります。
 これらの要因は何も患者にばかり問題があるわけではありません。
拒食症は心の病気6 母親自身が母性に欠けた人である場合などは子供は思春期を過ぎたとしても幼い頃の不満を抱えたままになっていることもあります。
 表面的には仲の良い親子関係を保っていてもその欲求が満たされることはなく、ストレスが蓄積されていくこともあるのです。
 「食べなさい」と強要することはかえって病気を進行させてしまうことになりかねません。
 無理に身体の治療だけを行い体重が元に戻り月経が始まったとしても、精神の治療を行わなければ再度拒食症になってしまうことは間違いないのです。
 患者の痩せたいという気持ちや太ることへの恐怖感を理解してやり、そしていち早く専門医の診断を受けてください。
 もし患者自身が受診を拒否するようなことがあればまず両親だけでも診察にうかがってください。
 その上で患者の傾向と対策を立て、両親は自分達自身も治療しながら、家族と医師が一丸となって拒食症と戦うのです。
 拒食症の信号は子供が自分の受けているストレスを誰かに理解してほしいという感情のしるしでもあります。
拒食症は心の病気7 こういった信号を出しながらも本人自身はそれを隠してきたという気持ちについても深く考えてあげてください。拒食症は家族全体で治療していかなければならない病気なのです。
 拒食症の治癒は難しく、たとえ治ったとしても再発する可能性もあるのです。決して焦ってはいけません。ゆっくりと確実に治療していくことが大切です。
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