乱流モデルの設定

2014年2月16日

はじめに

乱流モデルの設定について。

使用バージョン

OpenFOAM 2.2.2

定常解析における乱流モデルの設定

simpleFoam などの定常解析ソルバーでは、レイノルズ平均に基づく乱流モデルの設定を行うことができる。レイノルズ平均による乱流モデルは一般的に RANS (Reynolds-Averaged Navier-Stokes) モデルと呼ばれるが、OpenFOAM では RAS (Reynolds-Averaged Simulation) モデルと呼ぶ。RAS モデルの設定は constant/RASProperties で行う。

FoamFile
{
    version     2.0;
    format      ascii;
    class       dictionary;
    location    "constant";
    object      RASProperties;
}

RASModel        kEpsilon;

turbulence      on;

printCoeffs     on;

RASModel で乱流モデルの種類を設定する。以下に代表的なものを挙げる。

RASModel乱流モデル
laminar層流
kEpsilon標準 k-εモデル
LaunderSharmaKELaunder-Sharma 低レイノルズ数型 k-εモデル
LamBremhorstKELam-Bremhorst 低レイノルズ数型 k-εモデル
RNGkEpsilonRNG k-εモデル
realizableKERealizable k-εモデル
kOmega標準 k-ωモデル
kOmegaSSTSST k-ωモデル
LienCubicKE3 次非線形 k-εモデル
LienCubicKELowReLien-Chen-Leschziner 低レイノルズ数型 3 次非線形 k-εモデル
LRRLaunder-Reece-Rodi RSTM (レイノルズ応力輸送モデル)
LaunderGibsonRSTMLRR + Gibson-Launder 壁反射項 (wall reflection term)

それぞれ必要とするフィールドファイルや境界条件が異なり、それに合わせてスキームやソルバーの設定をする必要がある。k-εモデルは k と epsilon、k-ωモデルは k と omega、RSTM は k と epsilon と R (レイノルズ応力) を必要とする。

非定常解析における乱流モデルの設定

pimpleFoam などの非定常解析ソルバーでは、RAS モデルと LES (Large Eddy Simulation) モデルが利用できる。まず、RAS モデルを使うか LES モデルを使うかを constant/turbulenceProperties で選択する。

FoamFile
{
    version     2.0;
    format      ascii;
    class       dictionary;
    location    "constant";
    object      turbulenceProperties;
}

simulationType  LESModel;

simulationType で "laminar" か "RASModel"、"LESModel" を指定する。"RASModel" を指定した場合、RASModel の設定を constant/RASProperties で行う。設定方法は定常解析の場合と同じである。

LES モデルを使用する場合、設定は constant/LESProperties で行う。

FoamFile
{
    version     2.0;
    format      ascii;
    class       dictionary;
    location    "constant";
    object      LESProperties;
}

LESModel        Smagorinsky;

delta           cubeRootVol;

printCoeffs     on;

cubeRootVolCoeffs
{
    deltaCoeff      1;
}

vanDriestCoeffs
{
    delta           cubeRootVol;
    cubeRootVolCoeffs
    {
        deltaCoeff      1;
    }
}

SmagorinskyCoeffs
{
    ce              1.048;
    ck              0.094;
}

homogeneousDynSmagorinskyCoeffs
{
    filter          simple;
    ce              1.048;
}

oneEqEddyCoeffs
{
    ce              1.048;
    ck              0.094;
}

dynOneEqEddyCoeffs
{
    filter          simple;
    ce              1.048;
}

mixedSmagorinskyCoeffs
{
    filter          simple;
    ce              1.048;
    ck              0.094;
}

LESModel で LES モデルの種類を指定する。以下に代表的なものを挙げる。

LESModel乱流モデル
SmagorinskySmagorinsky モデル
homogeneousDynSmagorinskyダイナミック Smagorinsky モデル
oneEqEddy1 方程式モデル
dynOneEqEddy局所化ダイナミック 1 方程式モデル (Kim-Menon)
mixedSmagorinskySmagorinsky/スケール相似則混合モデル

delta でフィルター幅の種類を指定する。フィルター幅をセル体積の 1/3 乗 とする "cubeRootVol" のほかに、van Driest 型減衰関数を使用する "vanDriest" などを指定できる。

乱流モデルの選択

ある問題に対してどの乱流モデルを採用すべきかは、問題によるため一概にはいえない。目安として、各モデルについてつぎのような傾向がある。

  • RANS モデルはレイノルズ平均をベースにしている関係で、詳細な非定常現象の再現には向かない。
  • 標準 k-εモデルは比較的計算しやすく、大まかな流れのパターンを見るような用途に向いている。
  • k-ε系統のモデル (渦粘性モデル) は乱れの等方性を仮定しているため、曲がりや旋回、はく離などの流れには向かない。RNG k-ε モデル、Realizable k-ε モデルなどは標準 k-ε モデルのもつ欠点の改善を試みたモデルであり、標準 k-ε モデルよりはいくらかましな結果を出すことがある。
  • RSTM は乱れの非等方性を考慮できるため、k-ε系統のモデルよりは旋回流などの傾向を捉えられる可能性がある。ただし、方程式の数が増えるため、単純に方程式の数で考えると、計算時間が k-ε系統の 3 倍以上になる。
  • RSTM よりも精度が必要な場合は LES モデルを検討することになるが、RSTM よりもさらに計算時間がかかるため、計算資源と時間を確保できる場合にかぎられる。

自分が解きたい問題と似たような問題に取り組んでいる文献を見つけ、どのような乱流モデルを使っているか参考にするとよい。

乱流計算の手順

どの乱流モデルを使うか決められたとして、はじめからそのモデルを使用して計算するとに発散してしまうことがある。その場合は、まず最も安定して計算できる標準 k-εモデルで計算し、その結果をもとに目的のモデルの計算を行うとうまくいくことがある。