カルマン渦の解析

2016年5月7日

はじめに

円柱から発生するカルマン渦の計算を行う。レイノルズ数 Re の増加によるカルマン渦の発生を確認する。また、円柱の抗力係数を確認する。

バージョン

OpenFOAM 3.0.1

ヒント

非定常計算ソルバーを選ぶ。icoFoam でよい。

レイノルズ数 Re の変化は、寸法と流速を 1 にしておけば、動粘性係数の変化だけで表現できる。その場合、動粘性係数は nu = 1/Re になる。

計算条件

  • 計算領域は 50 m x 20 m x 1 m、2 次元。左下から (10, 10) の位置に直径 1 m の円柱を配置する。
  • 左から 1 m/s で流入し、右から流出。上下面はスリップとする。
  • 動粘性係数により Re を変化。
  • ソルバーは icoFoam を使用。
  • メッシュは SALOME により作成。円柱境界に境界層メッシュを入れている。セル数は 16,923。
  • 離散化スキームは、対流項についてできるだけ linear を使用、計算できない場合には linearUpwind を使用。それ以外の設定はチュートリアルケース cavity のものを使用。
  • 時間刻み幅は 0.1 s、100 s まで計算。

渦度分布

渦度の z 方向成分の分布を以下に示す。表示範囲は -1〜1、青が右回り、赤が左回りである。渦度はユーティリティコマンドの vorticity で計算できる。

Re = 10/Re = 20
Re = 40/Re = 50
Re = 100/Re = 200
Re = 1000

Re が小さいときは渦が二つ (双子渦) できているだけだが、Re が大きくなるにつれ渦が伸びていき、Re = 40〜50 付近で渦を放出し始めている (Re = 50 で後流が揺れて見えるのは渦の放出を示している)。Re = 100 になるとはっきりしたカルマン渦列が見られる。

※Re = 200 で円柱の右上に小さな渦が生じているのはメッシュの影響と考えられる。

円柱の抗力係数

円柱の抗力係数を以下に示す。抗力係数は function object の "forceCoeffs" で得られる。

ReWieselsberger[1]計算結果
102.63.0179
202.02.17051
401.71.63529
501.61.50728
1001.41.39615
2001.31.36905
10001.01.34599

Wieselsberger[1] による実測値とだいたい合っているようであるが、Re = 1000 ではずれが大きい。これは実際の現象に 3 次元性が出てきているためと考えられる[2]

参考文献

  • [1] C. Wieselsberger: New data on the laws of fluid resistance, National Advisory Committee for Aeronautics, Thechnical Note No. 84 (1933).
  • [2] 時田裕一, 松本裕昭, 亀本喬司: 振動円柱まわりの流れの三次元解析, 第14回数値流体力学シンポジウム (2000).