時は南宋の時代、処は今の杭州あたり。

十九になったばかりの陳妙常は、その毎日を尼寺で堅物の老尼を相手に過ごしていました。

その尼寺に下宿したのが若い書生の潘必正、人里離れた山寺で出会った二人はお互い一目惚れ。

ひそかに将来まで誓い合いましたがほどなく老尼の知るところとなり、書生潘必正はその夜の明けぬ

うちに都臨安へと行かされてしまいます。

陳妙常は目が覚めて潘必正が旅立ったことに気づくや、取るものもとりあえず山を下り都へ流れる河

「秋江」の河岸へと急ぎます。

折しも秋雨が水面をたたき道がぬかるみ始めた頃、河岸に辿り着いた陳妙常は霧雨の中で魚獲りに

漕ぎだした老船頭を見つけ、船賃は払うから都まで乗せていってくれとせがみます。

老船頭は若い書生が今しがた別の船で都に上っていったことを陳妙常に告げますが、嬉しさになおも

焦る彼女をよそに、なかなか船を出そうとはしません。

終日河で魚を釣ってのんびり暮らす老船頭は突然現れたうら若き恋する尼僧をひとつふたつからかっ

てみないと気が済まない様です。

陳妙常はあと一歩で恋人に追い付けるというところ、老船頭を怒ったりなだめたり。

ひとしきりやり合った後、もともと気の良い老船頭は自慢の釣り舟に陳妙常を乗せて都へ向かい、

矢のような勢いで漕ぎ出すのでした。