地球の反対側から日本を見て-14 (2013年) 






地球の反対側から日本を見て-14 (2013年)




安倍政権となり多少は元気を取り戻している日本、この景気回復は本物でしょうか?

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147・半沢直樹(2013年09月25日)
普段余り日本のドラマなど見ないのですがTBSで放送されている「半沢直樹」がとにかく非常に面白いという話がネット上に溢れていましたので興味を持ちました。銀行が舞台のサラリーマンのドラマというので何でそのようなものが今頃大人気になっているのか不思議に思いましたが余りに盛り上がり、人気なので取り敢えず見る事にしました。確かに銀行に勤務するサラリーマンが主人公で銀行で働くお話ですが、実際の内容は時代活劇という印象でした。悪役が出て来ますがそのまま水戸黄門の悪代官になりそうな人で銀行員の職員でもその人が悪役か良い役なのかが一目で分かる作りでした。銀行が舞台の金融ドラマというのは今までもあったのかも知れませんが、このドラマは銀行を舞台にした勧善懲悪の伝統的な日本人好みのドラマであると分かりました。また銀行の行内はセットなのでしょうが細部に渡り銀行を再現していて本物にしか見えませんでした。架空の銀行東京中央銀行」のロゴもなかなかの出来栄えでした。日曜日の夜の放送という事で固い内容であることから女性からの支持が余り得られないという予想もあったようで当初の視聴率の目標は20%程度であったようです。

原作は2冊の本で全体が10回の放送の中、前半の5回が一冊目の本が元になっているようで大阪が舞台、後半はもう一冊が原作で東京本社が舞台でした。個人的には前半のアクションたっぷりの大阪編が好きで支店長との戦いの話がメインではありますが、社外の話が主題であり、壇蜜さんが登場するなど脇役がなかなかのもので最後の方にはチャンバラまであり楽しめました。主役の半沢を演じた堺雅人さん、奥さん役の上戸彩さんは素晴らしい演技で好評なのは当然ですが机バンバンの小木曽次長、金融庁のおネエ言葉の黒崎検査官などの名演技が目立ちました。出番は一回だけですが、慶応義塾大学経済学部時代の同期、大学時代はラグビー部所属という役で出演したTKOの木下氏は普段のお笑い芸人とは異なりしっかりと慶応出身の銀行員に見えたのには驚きました。ただその時の会話の内容が理解出来なかったのでインターネットで確認したところ、慶応大学三田キャンパス近くの「ラーメン二郎」の注文の仕方で慶応ネタであったので分からなかったのは当然という事のようです。見ていても半沢と友人達が如何にも慶応的な雰囲気を出していたのは興味深かったですね、原作者が慶応経済出身の元銀行マン、監督の福澤さんは福沢諭吉の子孫で勿論慶応の出身なので当然なのかも知れませんね、これを早稲田出身の堺さんが演じるというのは結構面白い話ですが、そこはさすがに堺さん、何でもしっかりと「学問のすすめ」を読んで撮影に臨んだそうです。ただ半沢は派閥が何だと文句を言っているのに学閥(慶応閥)を利用して戦うというのは何となく矛盾しているような気がします。

お手軽に人気のマンガを原作としてAKBとかジャニーズで出演者を固め、事務所の都合で残りの配役を割り振り軽いドラマを作るという手法に皆がそろそろ飽きて来たのかも知れませんね、小説が原作であり、受ける事を目指すよりもとにかく作り手が納得が行くようにと制作したのでこれだけの人気を得たのでしょう。半沢直樹の次回作を望む意見をよく目にしますが個人的には面白い小説は多く在り、才能のある脚本家も多く居ると思うのでテレビで制作に携わる人達の意識さえしっかりとしていれば「あまちゃん」、「半沢直樹」のような作品がまた登場すると思います。テレビが面白くないという話をよく聞きます、確かに最近のバラエティーはどれも同じようで、視聴率が取れた番組の真似ばかりで、人気があるとされる芸をしない芸人をひな壇に並べてアドリブで内容が無い馬鹿話をするという事ばかりで飽きられてしまったように見えます。そのような状況という事もありドラマが復権したんでしょう、面白いドラマが次々と登場する事を願っています。






146・アベノミクス(2013年06月02日)
世界最悪水準とも言われる財政の悪化、貿易収支は赤字基調で経常収支も悪化しており近い将来赤字になる可能性もあり、少子高齢化は急速に進行し、エネルギー事情は逼迫し、産業の競争力は低下している、どう見ても悲観的な材料しか無い日本ですが安倍政権が誕生し黒田日銀総裁と共に経済再建に乗り出し経済をとにかく復調させる事に成功しています、このような厳しい状況の中で本当に素晴らしいと思います。政策の基本は円安を実現し、株価を少しづつ上げ長期金利は低いまま抑えるという非常に難しいサーカスの綱渡り的なオペレーションに打って出ました。数年前の議論では国債を大量に売り続けるとその内に価格が下がり(長期金利が上がり)中央銀行である日銀が介入せざるを得ないと囁かれていて、その時にはこれは禁手というような扱いでした。日銀は大幅な金融緩和の名の元に国債の実に7割を買うという行動に出てマーケットに出る国債の量を減らして価格の維持に努めています。国債不足、金余りの状態、円がふんだんに在る状態を演出しそれが株に向い株価を上げて行くというシナリオです。当然ですがインフレが起き長期金利が上がる傾向になりますがそれを抑えられるのかどうかが鍵となります。そのような中で民間投資を喚起する即効性の在る強力な政策を打ち出し余った資金が投資に向い経済を成長させるというのが政権の目論見です。金利が上がると国債の価値が下がり金融機関特にゆうちょ銀行に大きなダメージを与えてしまうので金利を維持しながら、預貯金が通常の企業貸付に行くよう仕向け金融機関の健全性を維持するのが目的でしょう。

円は安く、金利は低く、株価は次第に上昇この3つを同時に実現するという難題に挑戦し五月初旬までは順調に推移していました、これは大変な事で評価されるべきであると思います。ただ思惑よりも株価上昇のテンポが速く、多くの資金が国債から株式に移動しその結果長期金利が一気に上昇、0.6%程度で推移していたものが0.9%まで上がりこれ以上の上昇を抑える必要があり誰かが何らかの手を講じて株価の下げを演出したのだと思います。ただこれも効果は予想以上で株価は急速に下落し発行総額で40兆円が消えたとも言います。多少株価は戻していますが金利は0.9%付近で留まっています。1%未満を何とか維持して株価を上昇基調に戻し円安を維持して行かなければなりません、その間に投資を促進する政策を打ち出し中身の在る成長に変えて行かなければなりません。政権は来月の後半には参議院選挙があり、それまでは何とかこのような状況を維持して行きたいと考えていることでしょう。また一度株価の下落を経験してしまった中、どのような状況を実現するまで、また何時までこの難しいオペレーションを続けて行く事が出来るのか注目しています。新年度も大量の新規国債が発行され、財政は一段と悪化して行きます、長期金利が2%以上になると国家予算が立て難い状況になるでしょう。インフレは2%、長期金利は1パーセント未満に抑える事が現実的では無いのは明らかでどのような出口を模索し政策を立案するのか、またいつまた今回のような株価の急激な下落など突発的な状況が起きるかも知れません、次にどのような状況になるのか注目しています。






145・日本経済の復調(2013年04月14日)
昨年末に安倍首相が登場し新たな経済政策を打ち出しマスコミはアベノミクスと呼ぶようになっており、現在では多くの国民から支持され世界でも注目されています。これはとにかくデフレからの脱却を目指しそこから景気の回復を図るというものなのだそうで、リフレ政策と呼ばれているのだそうです。このようなリフレすなわちリフレーションを提唱する経済学者の意見を取り入れ国債の買取などを通じて無制限に資金を供給する、要するにお札をどんどんと刷って世間に出すという政策です。今まで行わなかったのは資金を過剰に供給すると金利が上がる即ち国債の値段が下がりギリシアのような信用不安が発生する可能性があると考えられていたからだと思います。要するに景気が回復せずにインフレだけが起きるスタグフレーションの状態になるのではという危惧からでしょう。

デフレ脱却、円高の是正の中で金利を安定させ国債の価値を維持するという矛盾するような事を同時に実現する政策は果たして可能化のか疑問視する意見が多かったのですが政権交代後、政府は一貫して強い意思で実行して来ました。結果はお見事と言うしかありません、株は右肩上がりとなり円は下がり一気に景気が浮上しました。これは世界恐慌後の高橋是清以来の快挙かも知れません。物価がある程度上昇しても名目賃金が変わらないと実質的な収入は減り個人消費が落ち込み景気は減速してしまいますが今年の春闘は政治主導もあり景気が上昇基調にあるという事からかなり上昇しここでも政策が成功し安倍政権は磐石という印象です。この夏に行われる参議院選挙でも勝利すると見られています。

批判はどのような政策でもありますが、確かに今回の政策は無理矢理感があります、反動も大きいかも知れません。財政赤字の増大が加速され財政破綻の時期を早める事になるのではとか近い将来ハイパーインフレーションになるのではという心配も尤もだと思います。インフレが始まりその後数%のインフレで安定させる事は至難の業だと思います。日本国債が全面的に売られ国債の価値が一気に下がり銀行のバランスシートが危機的な状態となり金融不安になってしまう可能性があります。ただ何もしないで座して衰退して行くのを待つよりも行動を起こした方が良いという思いも理解出来ます。金がジャブジャブとなっても投資に向かわずにマネーゲームになっているだけという指摘もありますが、とにかく景気を活性化させる事が何より先という論法のようです。

ただし、将来、明日何が起きるか分かりません、例えば朝鮮有事の際には第二次世界大戦後の再現で朝鮮特需があるかも知れません、一気に今までの問題をチャラに出来る日本経済に利する事態が何か発生するかも知れません、現在の将来への見通しが立たないネガティブな状況の中で強烈な政策を執った安倍政権、カンフル剤的な政策だけに今後どのように経済を安定的な復調基調にして行くのか注目しています。強い薬には副作用が付き物でそれを恐れていては病気は治せません、ただ強烈な副作用が来る事が考えられるだけに国際社会が納得する次の一手を早めに打ち出して行く必要はあるでしょう。


効果続かぬ“日銀異次元緩和” 財政再建せねばヘッジファンドの餌食連載(ザックザック)
大前研一のニュース時評・日銀の黒田総裁による“バズーカ砲”は驚異的な効果を上げているが:日銀の大胆かつ次元の違う「量的・質的金融緩和」が世界市場を動かしている。東京市場でも、日経平均株価はリーマン・ショック以前の1万3000円台を回復、為替も一時1ドル99円台となった。日銀の黒田東彦総裁はマネタリーベース(資金供給量)を年間60兆〜70兆円に増やし、供給残高を2012年末時点の138兆円から14年末には270兆円へ倍増させるという異例の緩和に踏み切った。カネをバラまくので、円の価値が薄れ、円安になったわけだが、マーケットは「円安になると日本の企業の収益はよくなる」と思い込んでいる。そのため、日経平均も大幅に上がることになる。一方、銀行も日銀の国債買い入れに応じて現金を手に入れるのでカネが大量に余って貸出金利が下がるわけだが、企業の設備投資などへの反応はイマイチだ。それも当然。銀行に集まった金は投資先がなく、国債を買っていたわけだが、それを今度は日銀に売って、また現金に戻す、といういたちごっこをやっているだけだからだ。個人向け住宅ローンの金利も下がるので、住宅ブームが起こることも期待されている。しかし今、日本は空家率が10%を超えている。だから、家を建てたいという人も少ない。となると、この金を吸収できるのは株式市場と優良不動産しかない。だから、株価がドーンと上がるのだ。この効果は持続するのか? 私は持続しないと思う。アベノミクスに「ええじゃないか」とバカ踊りしている人たちの声にかき消されているが、副作用のリスクを伝えている人も少なくない。一橋大学の斎藤誠教授(金融経済学者)はロイターのインタビューで、日本のデフレは国際競争力の低下に起因するもので金融政策だけで克服するのは難しいとし、日銀の巨額の国債買い入れによる量的緩和は長期金利の反転急上昇を招きかねず、「正気の沙汰と思えない」と批判している。私も「心理経済学」などの著書で、凍てついた消費者心理が原因のデフレは規制の撤廃など心理をガラッと変える政策が伴わなければ実需にはつながらないと言ってきている。また、サブプライムローンの崩壊で大儲けをした米国のヘッジファンド「ヘイマン・キャピタル・マネジメント」のカイル・バス代表も、「すでに日本市場の終わりが始まっている。日本が国債危機に陥るのは時間の問題だ」と国債暴落で大儲けをもくろんでいる。著名投資家のジョージ・ソロスなども円安に賭けてボロ儲けしている。日経新聞も「米国の財政対立を笑えない安倍流楽観の大リスク」という1日付のコラムで、「財政赤字削減に躍起となっている米国に比べ、金融緩和頼みの安倍政権はリスクが大きく、財政健全化策という第4の矢が必要」とアベノミクスに警鐘を鳴らしている。しかし自民党は参議院選挙までは財政健全化は封印、というスタンスである。安倍さんは大健闘している。しかし、財政再建をやっておかないと、遠からずひっくり返る可能性が高いということを認識しておく必要がある。国債の金利が上昇し始めたら、手がつけられなくなる。過去2週間で見ると、1〜2回、国債の金利がキュッと上がり始めたことがある。これがヘッジファンドの狙っている空売りの瞬間、となるので要注意のサインと思った方がいいだろう。






144・日本の危機の現状(2013年04月14日)
少子高齢化と人口減少、財政破綻危機、国際競争力低下など厳しい状況にある日本、ハードの面でも自然災害として地震(直下型・南海トラフ)、火山噴火(富士山)が心配されていますが、それ以上に問題なのは人間が作り出している危機であるように思います。具体的な例として例えば東京の人は東からは放射能、西からは大気汚染された微粒子を含む黄砂、上からは朝鮮からのミサイルの危機に晒されています。豊かな植生を考えずに経済的な理由で杉ばかりを植林したので花粉症などという問題まで引き起こしています。日本では海外安全情報なるものを出し外国が如何に危険な所なのかという情報を出していますが「国内安全情報」でも出して国民に正確に知らせて行く必要があるように思います。TPPに関しては賛成、反対の両論がありますが、座しているだけであると世界の競争に取り残されてしまい、日本抜きの世界となり不必要国家と化してしまう可能性があるように思います。30年以上にわたり、世界のGDPの10%を占めて北米、欧州と共に三極を形成し一国で世界と張り合って来たので厳しい現状を素直には受け入れる事が出来ないように見えます。例えば東京に住んでいてある程度の収入があるような人にとっては都市の再開発が進み、新しい商業施設が次々に出来ていてより便利になっており、日本が危機に瀕しているとは到底思えないと思います。

日本は資源の無い国で貿易で成り立っている国です。エネルギー、食糧など基幹的な物資もほとんど外国に頼っているのが実情であり、国家として脆弱な状況は否めません。普通に生活していますと誰かが何とかやっているので日本は変わらないし大丈夫だろうと考えてしまうのでしょう、自分と身の回りで精一杯なのかも知れません、日本の人と話をしてて日本の将来とか今やるべきことは何かというような前向きな議論はほとんど聞いた事がありません、批判等の後ろ向きな話ばかりなのは気掛かりです。貿易収支は2年くらい前から赤字基調であり、経常収支もトントンから赤字に転落し始めています。国際収支も今までやりくりした事で何とか動いているというのが実情でこのままでは今後は赤字が増大して行きそうです。政府債務残高も世界最悪の水準で、悪化の一途を辿っています。ユーロを導入しているギリシア、イタリア等の悪さが顕在化し世界的な問題になっていますが、日本は単独で円を使用しているのでそれ程ニュースに取り上げられていないだけです。大方の日本人はこのような問題に対して真剣に向かうのを避けて目の前の問題に終始し将来を展望しなくなってしまっているように見えます、時間の経過は待った無しで放置していると問題が膨張し顕在化した時には対処出来ない事態になるのではと心配になります。








143・放射能・原発で引越し(2013年04月14日)
2年前に起きた東日本大震災、地震そして津波、物理的な損壊は時間の経過と共に次第に復旧が進むのでしょうが原発事故だけは大きな影響が長い期間続くようです。放射能が危険である事は誰でも承知している事ですが目に見えないものであり、危険に対する感じ方は個々それぞれのようです。福島県に住んでいる方は立ち入りが規制されている地域もあり危険が身近にあるので避難をされている方も多いのは理解が出来ますが東京を始めとする関東の方は悲観的な方から楽観的な方まで様々なようで行動も多様なようです。多くの人は最初は気にしていても日常に追われ周囲には特に目に見えて被害に遭った人が見当たらないので、気にしないもしくは気にしないようにして次第に慣れてしまい以前通りの生活に戻っている人も多いようです。

遠く離れて住んでいるので余り詳しく調べる事はしていませんが、傾向としては悲観派は女性特に子供を持つ母親に多いようです。多くの男性は仕事などを優先するので気にしてはいられないのかも知れません。放射線量に関しては諸説があり、色々な情報やマップが出ていますが原発から北西方向は相当放射能が拡散したようです、関東では柏市や流山市などが相当汚染されたという情報があります。相当数の方が危ないと思われている場所から母と子供で避難をし、お父さんは仕事でそのまま残るというような事が多いようです。多くはそれ程遠くない場所、例えば福島市から山形市等という例が多いようですが、中には関東の人が九州へ引越しをするというケースも多いようです。九州でも不安というような方は外国に引越しをされる方も居て中には南米に来られる方も居ます。放射能は一つの原因ですが日本に住んでいると他にもリスクがあり、将来が不安だ、可能性にチャレンジしたいということで外国に引越しをする人も多く居て、放射能問題が拍車をかけるようになっているようです。日本では他の要因もあり住みやすくは無いと感じる人が増えているようで、今後も外国への引越しが増加して行くのかも知れませんね。



放射能ストレスで前進する女と、立ち止まる男(日経ビジネス)
1歩を踏み出せば、異なる風景が見えてくる:目に見えない恐怖への“不安”が、未知なる将来への “決断”へと変わり始めた。母親たちが、「我が子」を守るために、家も、仕事も捨てて、新たな生活へと動き始めたという。 「妻は仕事を辞めて引っ越そうと言い出した。僕の実家の近くに引っ越して、そこで新しい仕事を見つけてほしいと言うんです。今からあの田舎に帰って何をするって言うのか。我が家は家庭崩壊寸前です」以前、子供を持つ家庭、とりわけ母親の放射能に対する不安が大きいことはこのコラムでも取り上げた(関連記事:放射能という“目に見えない恐怖”がもたらすストレスの脅威)。この男性の妻も放射能に当初から大きな不安を抱いていたという。それは、夫の目から見れば、過剰に思えたそうだ。東京電力の福島第1原子力発電所の事故以来、週末だけは夫の実家のある中国地方に子供と出かけ、思う存分に外で遊ばせてきた。しかし今、「このままここ(東京郊外)に住み続けるのは危険」と思い立った妻が、生活の基盤をすべて中国地方に移そうと言い始めた。先述のコラムを書いて以来、「あの大手商社マンの家庭とうちとは全く同じ」というものだけなく、「西日本の支店に異動願いを出している」「妻と子供だけ、大阪に避難している」といった話をいろいろなところで耳にした。その中には、既に夫婦で仕事を辞め、引っ越しをした方もいた。家庭内の“出来事”なので、他人に話していない人も多い。放射能への恐怖は、終息に向かうというよりも、時間の経過とともに高まっているようにさえ思える。そもそもいつ終わるかも分からないし、今になって「ウソ!」と叫びたくなるような話が次々と出てきているのだ。

報道だけでなく口コミ情報でも不安が増幅:メルトダウン(炉心溶融)が起こっていた、とか、「SPEEDI(スピーディ=放射性物質の拡散予測システム)」の計算結果が公開されていなかったとか、4月末に内閣参与を自ら辞任した小佐古敏荘氏(東京大学教授)が、「国の放射能の基準値は低すぎる」と指摘していたとか、まるで日替わりメニューのように報道される新事実。放射能楽観派の人たちだって、「マジ? 大丈夫なのかな?」と心配になるのだから、悲観派の方たちの不安感といったら、とてつもなく大きいものに違いない。加えて、文部科学省の子供の被曝線量への対応にも一貫性がない。子供を持つ母親たちの混乱は最高潮に達しているのだろう。おまけにいわゆるママ友たちの間には、さまざまな情報が錯綜している。 「(プロテニスプレーヤーの)シャラポワの両親がアメリカへの移住を決断したのは、チェルノブイリ事故だったそうよ」といったテレビや雑誌の情報……。 「○○さんのご主人の話では、報道できないくらいとんでもないことが起こっているって」 「○○さんのご主人って、あの××新聞の記者さんよね?」 「確か政治部だった」 「そう。だから奥さんだけ子供を連れて宮崎県の実家に戻るんですって」 「うちも主人と相談してみようかしら」 といった“ウワサ”などなど。情報が増えれば触れるほど、「取り残されないようにしなきゃ」と焦るママたちも少なくないという。そもそも人間は、何らかのストレスフルな環境にさらされると、そのストレスをどうにかしようと反作用を起こす動物である。自分が生き延びるために行動を取るのだ。そして、そこに“大切な人”がいた時、自分でも驚くような決断をしたり行動に出たりしてしまうことがある。今になって出てくるさまざまな事実や口コミ情報に、「どうにかしなきゃ」という気持ちが強まり、「だったら動くしかない」と、子供を守るために、生き方を変える決断を母親たちは始めたのだろう。そんな妻の決断に、少しばかりたじろいでいる夫たち(もちろんその逆もあるのだろうけど)──。たとえ「子供のため」とはいえ、自分の積み重ねてきたものを捨てるのだから、誰だって躊躇する。変わるのはそうそう簡単なことではないのだ。まぁ、冒頭の男性のような、ある意味、究極の選択を強いられる境遇に追い込まれている方がどれだけいるかは定かではない。しかしながら、震災や原発事故をきっかけに仕事へのかかわり方を見つめ直している人も多い。









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