パラグアイ・未来に向けて、夢を語る

のどかなパラグアイも来年には2千年を迎え、好むと好まざるとに拘わらず世界の一員として発展を模索し未来に向けて進んで行かなくてはなりません。ここでは作者のパラグアイの未来に関する夢を語ってみたいと思います。

世界の潮流は「脱工業化」に向かい、経済専門雑誌などを見ていると21世紀は情報化社会となり、高度に情報化された環境の中、緑に囲まれた田園都市の中でゆったりと人間が暮らす社会が出現するような事を目にします。よく考えてみるとある意味ではアスンシオンなどは一番近い存在かも知れません。工業化というプロセスを省略して一足飛びに進んだ社会を実現出来る可能性もあるのではないでしょうか?

パラグアイはメルコスールの中でブラジルの1州のような存在として生きて行くという方法もあるかも知れませんが、折角今まで独立国家として今までやって来たのでなんとか独自性を発揮して発展して行ければなあ等と考えます。

基本的には、従来の発展途上国のような工業化、軽工業から重工業という方向は目指さないで(エステ市を除いて)、現在一番強力な大豆などの農業部門を強化し、工業は一部最先端の技術だけに特化し、後は情報化を急ぎ、通信設備、交通網等のインフラ・ソフトの整備を行い、サービスの向上、人的資源の向上を目指し、サービス産業で稼ぎ出すというのは如何でしょうか?

エステ市だけはその特異性を生かし、例外的に軽工業を発展させて南米の香港を目指すというのは如何でしょうか?

1・地理的優位性の活用

パラグアイは海の無い国です、現在、外国から貨物を送る場合にはブエノスアイレスかモンテヴィデオで川船に積み換えるか、ブラジルから陸送で運ぶしか無く、今までは交通の便の悪い国であり、これがネックになり、長い期間、発展が阻害されて来たように思います。

今後は不利が有利に変わるという逆転の発想がは如何でしょうか?南米の中央部に位置するという優位性が今後は有利に働くのではと期待しています。サンティアゴ、ブエノスアイレス、サンパウロ、ラパス、リマ、モンテヴィデオ等南米の主要都市に2時間程度で到達出来る都市はアスンシオンだけです。この利点、利便を全面の押し出し、今後次第に南米が一体化するにつれて必要となって来ると考えられる南米全体を管轄する各種のセンターを誘致して行くのです。大国(アルゼンチン、ブラジル)の利害・対立を巧みに利用し、要するにヨーロッパのベルギー、ルクセンブルクのような立場を目指すことが出来るのでは?例えば最近アスンシオン空港の近くには「南米サッカー協会本部」が出来ました。今後もこのような諸団体の本部誘致を進めて行けば面白いのではないでしょうか?

また軽量で附加価値の高い商品、航空機での輸送が中心となる商品、例えばセミコンダクターのような軽量で価格の高い商品は有望ではないでしょうか?工業に対するベースのほとんど無いパラグアイですが、これも逆に考えて、既存の利益を保護するなどの配慮も必要が無い分有利と考えるのです。特殊なものであれば可能性があると思うのですが如何でしょうか?


2・税法、会社法制度の活用

パラグアイは現在でも個人所得税が無く、外国への送金に関しても比較的自由に出来ます。会社を設立する際にも外国資本だけで設立が可能です。国際的に活動する企業のメルコスール、広くは南米・管轄会社をパラグアイへ誘致しては如何でしょうか?簡単に言えばアセアンでのシンガポールの地位を目指すもので、でも来てもらう為には、通信などの整備、人的資源の育成、特に教育(外国語、コンピュータ等)また投資を呼びこむ為の外国資本へのより細かな法制面での優遇サービスを実施する必要があるかも知れませんね。「南米の金融センター」実現出来ればすばらしいですね。


3・農業部門:大豆を中心とする農業事業のさらなる発展

現在パラグアイは、米国、中国、ブラジル、アルゼンチンなどと並び世界の主要大豆生産国になり主力の輸出品となっています。パラグアイでこれだけ大豆が振興したのには日系移住者の力が大いに影響してきました。単当たりの収量は一番成績のいい米国で2.5t/haですが、近年パラグアイの日系農家の平均は3.0t/haとなり、その成績は世界に誇りうるものです。高収量の原因の一つに最近漸く日本でも注目されだした不耕起栽培方式があり、日系農家の殆どがこの方式を採用していますが、この技術が定着するためには彼等の努力もさりながら、それを支えてきたのが国際協力事業団(JICA)の存在が大きかったと思います。現在、主要穀物である稲、小麦、トウモロコシには各々フィリピンやメキシコにそれぞれ国際研究所が設置されていますが、今後は国際的にも通用する試験研究機関をパラグアイに設立し、発展させて行くというのは如何でしょうか。現在のところ、大豆には解放された国際研究機関がないので、大豆に関する研究情報を発信しうる国際研究機関を設置し、世界の農業界に貢献するというものです。最強部門である大豆に関してはさらに基盤を整えるというわけです。

また古くから利用されている薬草の中でステビアというノンカロリー甘味料が注目されていますが、さらに糖尿病対策、肥満への効用のあるものなど薬草への期待は深まるばかりです。この分野での研究、事業化への試行などを考えると夢が膨らみます。また果樹などどうなのでしょうか?東南アジアで食べられているようなライチー、マンゴスチィンなど、気候が似ているので試してみても良いように思いますが如何でしょうか?


4.ボリビアとの連携の強化

パラグアイの隣国と言いますとブラジルとアルゼンチン、住んでいる我々にはこの2大国の存在が大きいものです。例えばブエノスアイレスに住んでいると、北部のミシオネス州さえ遙か遠く感じるのにパラグアイはその河向こうにあるということで正に僻遠の地という認識です。サンパウロに住んでいる人にとってはマットグロッソの奥、パンタナウの先に在る未開の地(インディオが槍持って生活してというイメージでしょうか。)さらに、悲劇的なのはアルゼンチンやブラジルからアスンシオンに達するとそこから先は無いという行き止まりになっていることでしょう、従ってパラグアイは伝統的に閉鎖的な社会になっているのは否めないと思います。

 これを解決するにはボリビアとの連携でしょう。もう一つの隣国との繋がりを強める事により経済的ばかりでなく社会的文化的にも孤立感僻地感から脱することを目指すのです。具体的にはアスンシオンからボリビアのサンタクルス市へ道路を建設し石油やガスを産出するサンタクルス州と連結し、更に太平洋岸(チリのアリカやアントファガスタ等)への通路を確保するのです。 

かつてチャコ戦争で戦い、未だに親密ではなく、同じラテンと言っても歴史的にも文化的にも違う道を辿って来た両国、でも内陸国で地政的にも似たような状況にあるので今後の両国関係、協力関係は両国にとって飛躍のチャンスとなるのでは?パラグアイに近い西部ボリビアの中心都市サンタクルスが大発展を遂げ、40年前人口10万人にも満たない田舎町が今や80万人の近代都市に変貌していることは大きなインパクトを与えるものと思います。

実際、経済規模から考えてブラジル、アルゼンチンを対等のパートナーとする事は難しいですが、経済力もさほど違いが無い、また共通の利害を持つ隣国ボリビアとであれば対等のパートナーとして協力が可能だと思うのですが。


6.水資源の利用

  パラグアイは天然資源に恵まれていないと云われていますが、一番の基本である資源、土地と水と太陽は豊富にあります。イタイプーやヤシレタのダムは水量を誇り、単に発電に利用するばかりでなく(国内の電力消費量は発電量の1/10といわれ、当然より一層の活用も考えなくてはならないのかも知れません)、如何に農業用灌漑に利用するかが、農業国パラグアイの基本となるはずです。もう一つの利用方法として魚の養殖など如何でしょうか?パラグアイ河やパラナ河には昔からドラードやパクーの他にスルビーというナマズ系の美味しい大魚がおりこれの養殖は大きな産業に結ぶ可能性があると考えます。

スポーツフィシングと観光にも使えるし輸出用にも加工用原料にもなり得ます。また広大な未利用の湿地帯を利用して中国江南で行われているようなアヒルの養殖なども検討出来ると思います。(消費の拡大が必要ですが)


7・西パラグアイ(チャコ平原)の開発

  アルゼンチン北部ボリビア南東部パラグアイ北部にまたがるチャコ平原は一部ではセラードの次はチャコ平原の農業開発といわれたこともありますが、投下資本、農業技術、食糧需給等の観点からもまだまだ時期尚早でしょう、これは21世紀の終わりか22世紀の課題になると思います。

現在、中華民国(台湾)政府が援助を行うというアスンシオン市中心部から向かい側へのアクセス橋を建設する際に車線を多くして交通容量を大きくし、アスンシオンを向かい側にまで広げるというのはどうでしょうか?現在この対岸地区にはほとんど何も無いので計画的な街作りが可能でしょうし、現在アスンシオンの持つ行き止まり、閉塞感を打破出来ると思います。心理的な効果も大きいと思います、街が反対側に広がれば必然的に目が西に向き、西の諸国との交流も増え経済活動も多角化して行くのではないでしょうか。

対岸の一定の地域を対象に光ファイバー網を巡らしオフィス地区を建設し、そこに現在市内に分散している官庁を集合させ、企業が入るビルを建設するというのは如何でしょうか?非常に効率的な首都として機能するでしょうし、現在の市街地からはオフ市が減り、商業地域として行くというものです。

(写真)アスンシオンの中心部、向かい側は何も無い...

またチャコの一角(出来るだけアスンシオン市の近く)を仮に5万ha位囲ってアフリカの大動物(象、サイ、キリン等)を放牧してケニヤやタンザニヤにある様な自然公園にするというアイディアはどうでしょうか。大動物の居なかった南米にアフリカの動物を移住させた場合の生態学的学問上の興味もあるはずだし、観光的にも一大産業になる可能性を秘めているのではないかと夢は果てし無く広がります。


8・観光立国を目指して

南米で外国旅行に行く際、パラグアイ、アスンシオンを考える人は余り多くないと思います。有名リゾートも遺跡も無い国、これといって見世物の無いパラグアイ、しかしながら、これ関しても逆転の発想が可能なのでは?北米のフロリダのように人工的なテーマ・パークを誘致し、またサファリ・パークなど広大な土地と自然を利用した施設も良いと思います。また「ラテン・パーク」というのは如何でしょうか?ジェットコースターなどの遊戯設備を備え、かつ南米各国の文化を紹介し愛国心をくすぐるというものです。施設の利用料金は出来るだけ低く押さえ、併設するショッピングに客を呼び込み、各国料理のレストランを建設し、ホテルにはカジノを造り、滞在型のリゾートとして、そこでお金を使ってもらうというのはどうでしょうか?

主な南米の都市から2時間内外で来られる利点を生かし、テーマパークと買い物で客を呼び込む作戦です。チャーター便が飛ぶようになれば距離的な利点が生かせかなり割安な旅行が可能になるように思います。勿論現在以上に買い物客に喜ばれ満足していただけるような品揃えを行う工夫も大切だと思います。

これには外国からの観光投資に対して皆で取り組み、もし有名テーマパーク(ディスニー、ユニバーサルスタジオなど)の誘致が出来れば、南米中から観光客が来るようになると思います。勿論、空港サービスの改善、など来た人が心地良い環境を整備する必要があるでしょうね。


9・エステの軽工業化

エステ市はパラグアイにとって特殊な存在です。特徴をさらに特化させて南米の香港を目指すというのは如何でしょうか?市周辺をフリーゾーンとして物品の出入りを自由にして、工業に関して特別優遇処置を講じ、余り活用されていないグアラニ国際空港を利用して活性化を図るというのは如何でしょうか?それにはブラジルとの間に在る「友情の橋」をもう一つ平行して建設し、複線にする必要があるでしょう。



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