都電に乗ったんです!
しかしその実体は…… その1
中央の青年が”枕投げ”仕掛人。
これは本物のりんごをむいてちゃんと配っている。
大塚駅前”電停”。ありふれた都電風景。下はイベントに使われる貸切り車両の入線。
2006年11月19日、初めて東京都電に乗りました……
鉄としては許されざる怠慢、などと糾弾しないでクダサイ。本当なんだからしかたがない。都内に住んでいると、「いつでもいいや」とか、「もう紹介され尽くしたし」と億劫がって足を運ばないもんなんですね。

ところで今回の都電乗車は、実は鉄方面とは別の目的でありまして、1両借り切って、車内でパフォーマンスが行われる、というんで見に行ったわけです。

JR大塚駅に12時半集合。なぜ大塚か。 この大塚の駅から数分の場所にある、解体間近のビルの最上階に、OUT LOUNGEというインディペンデントなイベントスペースがあります。そのビルが2006年11月22日をもってついに解体されるということで、OUT LOUNGEの最期を飾る企画として、今回の催しとなったのです。入場料2000円也。

しかしただのパフォーマンスではありません。1960年代から活動する肉体派反芸術集団”ゼロ次元”がやるのです!なにしろコイツらは、古くは読売アンデパンダンのときから活動し、大阪万博のときには集団で路上を這いずりまわる反万博デモンストレーションを行ってきた、筋金入りの肉体派。他にも自由ラジオ活動で知られる粉川哲夫や「大東亜共栄軒」の荒井真一、その他よく知らない人たち。だからイベントの名前も「ゼロ次元以後のアクションアート」。
初めて間近で見る(笑)都電の車両は、もちろん全盛期の面 影もない近代化されたものですが、”大塚”という下町の雑然とした景観にはさりげなく収まっています。駅前は特に道路と軌道が複雑に絡まっているせいか、急カーブと急勾配、バス停付近の併用軌道(風)がいい感じ。おりからの小雨も演出効果 を出しています。

今回のイベントでは、出演者が途中の停留所から乗り込んできて一発かまし、また別 の停留所で去っていく、というスタイルがとられています。
まず最初は粉川哲夫。彼は電波法の規制に乗らない極小出力の個人放送局(?)をネットワーク化し、大メディアの世論操作をかいくぐった自由ラジオ運動を提唱している人です。インターネット全盛の現在であっても、”微弱電波”へのこだわりを持っている。
というわけで、ここでもラジオをいくつも抱えて入ってきました。体に発振器を取り付け、車内のあちことに置いたラジオでその電波を拾い、ノイズとして放出する。ワタクシとしては音に特に関心があるので、これが一番気に入っています。

続いて、袋をいっぱい抱えて入ってきた青年。 「これから枕投げをやっていただきます!」と宣言するやいなや、猛烈な勢いで”枕”がバラまかれました。観客も飛んできたのを投げかえし、狭い車内は阿鼻叫喚。
ところが停留所を3つ4つ過ぎても出ていく気配がない。観客もだんだんくたびれてきて、暗黙の内に「いいかげん終わりにしろ」とばかり、青年に集中的に枕攻撃されるようになっていました。

その後、男性観客のイチモツの寸法を計る女性パフォーマー、かたわらでは日本軍「慰安婦」についてのアジテーションのチラシを展示するイトー・ターリ、りんごをむいて観客に配る人……。
「都電の情景を楽しみつつ、異端イベントも見る」なんてモクロミだったのが、とても外を眺めてる余裕はない。雨でガラスが曇ってるし。

 

粉川哲夫のパフォーマンス。手の中や上着の中に発振器が隠され、ちょっとした身振りでラジカセの反応が変化する。