
教育の支障について
CSの診断を受けた子供達は、それぞれの状況に応じた様々な形で教育を受けていますが、特に学校教育に関してはその症状のレベルによってはかなり支障が起きています。
下記に当会がこれまで観てきた状況をまとめてみましたが、対応方法等については現場での前例がないということで、保護者と学校(教育委員会)との取り組み方や交渉は試行錯誤の繰り返しとなっていたり、交渉が難航してしまったために子供の教育が停滞してしまうこともあります。
分類 状態 対応方法等 1 個別配慮をしてもらえば
通常通り学校に通学できる。
- 入ることが出来ない部屋が ある →代替の部屋
- 使えない教材が ある →代替教材の用意や使用場所の配慮等
- 参加できない行事等が ある →参加可能な部分の協議
- その他できないことについての代替法をチェックすることが必要
2 入れない部屋があり、その部屋で授業を行なう場合には1人で別室での自習、もしくは早退。
または使えない教材があり、違う部屋で1人で違うことを自習、もしくは早退。
- 自習の場合はどこでやるか、部屋の選択
- 自習時の担当教師の手配
- 参加できない時の代替方法
- 使えない教材の代替方法
- 自習課題等の与え方など
3 総量の問題(一日のその子供が浴びる総量の限界)で、1日に数時間程度しか学校に居ることが出来ない。
- 普通学校の在籍で充分配慮が可能か?
- 個別指導等の計画・サポートをしてもらえるのか。
- 参加可能な部分だけ参加するのか。
4 通学できないことが多い
- 石油ストーブを使用する時期は通学が出来なくなる。
- 工事が行なわれている間は通学が出来ない。
- 工事をして化学物質が揮発するまでの間通学が出来ない等。
- 通学できないのは時期的な問題なのか?(花粉・カビ・周辺の環境等)
- 工事や教材使用、農薬、その他化学的な問題か?
- 年間教育計画からある程度支障について予測をたて、事前に準備しておくことが必要。
- 通学できない間のフォローをどうするか?
- 場合によっては学校だけの対応ではまかなえない。
「学校施設における化学物質による室内空気汚染防止対策に関する調査研究報告書」の内容を参考に訪問教育等の選択も視野に入れる。(※1)
- 就学指定校の変更
- 区域外就学の模索
- 養護に籍を移した上で個別対応
5 全く通学は不可能
- 教材や人の持ち物にまで反応する為学校にいることが通学できない。
- 居住地域内(学区域)にある学校全部が改築や工事などにあたって通学出来ない。
- 居住している地域で行われる薬剤散布や環境汚染問題等から避難しているために通学ができなくなってしまう。
- 学校現場だけの
対応では無理- 教育委員会をはじめ、
関係各課との連携が必要- 教育方法の検討・選択
(※1)平成15年7月、文部科学省文教施設部施設企画課のホームページに「学校施設における化学物質による室内空気汚染防止対策に関する調査研究報告書」が掲載されました。
この報告書には化学物質過敏の為に通学ができない子供に対する文部科学省の対策として、養護学校への転学による訪問教育の可能性等が明記されており、時間と共にCSの子供に対する門戸が開けてきたように思います。
支障度を左右するもの
- 学校の築年数
- 学校の条件(周りの環境、田舎か都会か)
- 学校の配慮のレベル
- 個人の体の状態(既往症のレベル)
- 地域の問題(農薬の空中散布や衛生害虫等の駆除薬剤の散布等)
- 化学物質以外の因子
- 季節の違い(特に冬と夏の違い:通常建物の場合は温度の上昇によって化学物質の濃度が上がると言われ、夏場に問題がありそうですが、CS・MCSの患者の場合は、逆に冬場の暖房器具使用時にもかなり問題がある。)
- 特に学校で石油ストーブをつけるようになると、反応して通えない子供、総量の問題で学校に長く滞在出来ない子供が増える。
- その他
通常の就学が困難な場合
学区にある学校に在籍して様々な配慮を行って頂いても、体の状態や学校環境の問題、周辺環境の問題等、様々な問題によって登校が出来なくなる場合もあります。
教育を受ける機会を失わないように、主治医の意見や診断に関する書面を添えた上で学校や教育委員会とよく話し合い、学校の変更や教育方法の変更等を行うようにします。
登校できない原因は何か?・・・・・ 学校建物や周辺環境 体の状態(症状) ↓ ↓ 環境改善が可能だったらできる範囲内で配慮・対応を試みてみる。この場合、必ずしも保護者の要望どおりにできるとは限らないということを理解すべき。
全く可能性がゼロ(見込みがない場合)は次へ外の環境は無理でも家庭内等の環境が整った場所なら過ごせるのか、それとも症状の悪化等により入退院を繰り返している状態か。 ↓ ↓ 通学が可能な範囲にある学校に変更することで登校の可能性がある場合は、学校を変更して配慮を試みる。しかし耐震化工事や農薬の空中散布等、様々な要因により周辺の学校全てで通学できないことが予め判っている場合は次へ 現在在籍している学校の先生に協力していただけるかどうか。例えば登校できない時の課題の進め方や家庭訪問によるフォロー、他の児童との交流の機会確保など。しかし状況によりこのような配慮をして頂くことが難しい場合は次へ ↓ ↓ 如何なる方法を考えても現在の学校での教育が困難だと判断される場合最終的な方法として、学校籍を養護に移した上で、配慮された特別な環境下での通学・通級(院内学級の活用等も含む)による教育や訪問教育などの方法を考えていくことになります。
文部科学省の報告書の中でもこの点については訪問教育の確保について記述されていますが、こうした個別配慮の内容は全てケースバイケースによる各教育委員会での判断・対応になることを保護者はわきまえた上で、教育委員会と話を進めるべきである。