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新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論 2 小林よしのり著 税込価格 : \1,995 (本体 : \1,900) 出版 : 幻冬舎 サイズ : A5判 / 529p ISBN : 4-344-00131-1 発行年月 : 2001.11 |
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| 和田春樹並みの自己検証欠如 評価 ★ |
結論から言えば,南京虐殺や従軍慰安婦問題の肯定派であれ,否定派であれ,もっとマシな本を読むべき. 筆者が自説の論拠としているものの中に間違いが多く,よって,その言説はにわかに信用できない. なお悪いことに,前作「戦争論」で見られた誤りが殆ど修正されていない.客観的に自説を自己検証していないことが明らか.読者の肯定意見でページを埋める様にも鼻白むし,BC戦犯の中に明かな冤罪があったからと言って,それで全ての戦争犯罪を否定できるかのように書いているのもおかしい.「つくる会」の教科書については,「トンデモ本の逆襲」にすら取り上げられているのに,それへの批判を全てサヨク呼ばわりする態度は,自己検証に欠けた思考停止以外の何物でもない. 本書の中に,筆者が「やり手弁護士」を演じて(やれやれ……)被告「日本国」を,南京虐殺容疑に対して弁護していく章があるが,そこの一節を真似て,本書はこのように述べることができる. 「証人の小林氏にお伺いします.証人は,当時の東宝が撮った記録映画『南京』を,南京に虐殺はなく,のどかだったことの証拠として挙げていますが,これがやらせでないという根拠は何ですか?」 「南京は東京の世田谷区より狭く,城壁で囲まれ,門を塞がれたら逃げ場がないんですよ.こんな街の一部がこんなに穏やかで,一部では大虐殺が行われていたなんて,本当にありえるかどうか…」(本書より抜粋) 「なるほど. ところで証人はご存じですか? この映画が軍特務部の指導の下に撮影されていたことを.これは社史を調べればすぐ分かることですが,それは調べたので?」 「……」(本書に記載なし) 「また,この映画の撮影を目撃したとおぼしき記述が,南京国際委員会のマッカラム氏の日記にあります.それに曰く, 『難民キャンプの入口に新聞記者が数名やって来て、ケーキ、リンゴを配り、僅かな硬貨を難民に手渡して、この場面を映画撮影していた。こうしている間にも、かなりの数の兵士が裏の塀をよじ登り、構内に侵入して10名ほどの婦人を強姦したが、こちらの写真は一枚も撮らなかった』 これは本書執筆前に調べたのですか?」 「……」(本書に記載なし) 「当時の検閲制度についてはどうです? 当時の検閲基準は, 『4. 左に列記するものは掲載を許可せず (12)我が軍に不利なる記事写真 (13)支那兵または支那人逮捕訊問等の記事写真中、虐待の感を与える虞あるもの (14)惨虐なる写真、ただし支那兵または支那人の惨虐性に関する記事は差し支えなし …… 5. 映画は本要領に準じ検閲するものとす』 となっていますが,それは当然調べたんでしょうね?」 「……」(本書に記載なし) 「あなたは,『外国人ジャーナリスト、日本の新聞記者も、そこ〔南京〕にいっぱいいたのにだれも虐殺など見ていない』と主張していますね? 「その通り! このこととは前作『戦争論』で詳述しているので……」 「はいはい.では,あなたは『ニューヨーク・タイムズ』記者,F.T.ダーディン氏が,それを目撃しており,タイムズに記事を載せていることを知らないわけですね?」 「……」(本書に記載なし) 「では,毎日の鈴木二郎記者の記事は? 『13日に中山門の城壁の上で一列に並べられた捕虜が一人一人銃剣で突き殺されていた』と書いていることも知らない?」 「……」(本書に記載なし) 「さきほどあなたは,映画『南京』の話をしておられましたが,その映画の製作者,白井茂氏が, 『虐殺の現場は二度見た。一度は柵があったように思う。はるか離れているところで、銃殺していた。数は憶えていない。揚子江でない川のところで、機関銃で撃っているところも見た。 私なら抵抗すると思ったが、彼等は従順に死を待っていたようだ。川にとび込んで、向うに泳き着いた者もいた。二百人ぐらいいたと思う。場所は憶えていない』 と証言していることも知らない?」 「……」(本書に記載なし) 「同じく,その映画の録音技師,藤井慎一氏も,こう証言しています. 『小さな川の傍の門の中で捕虜らしき者を撃っているのを見た。白井氏と一緒だった。いくつかの死体に石油をまき、火をつけた。 中に生きている兵隊がいて"早く射て”と胸を指さし、"蒋介石万歳”と言ったので、大変驚いたのを憶えている。 それ以外にも、銀行の裏で百人以上が殺されているのを見た。胸のあたりを銃剣で突いていたように思う。虐殺の噂は聞いたように思うが、見たのはこの時だけである』 これも知らないわけですね? あなたは本当に南京事件についてちゃんと調べたのですか?」 「……」 「あなたは,日中戦争について,蒋介石が,保身と援助引き出しの目的で泥沼化させたと証言していますね?」 「その通り!」 「つまり,泥沼化した原因に,日本の稚拙な和平工作は関係ないと? 閻錫山工作のようなどうしようもない和平工作については調べましたか?」 「……」 「なるほどねえ. もう一つ,証人の小林よしのり氏に伺います. あなたは,ABCD包囲網が形成され,資源の兵糧攻めで日本を追い込んでいったと証言していますね?」 「その通り! 日本には『売らない』攻撃は致命的だった!」 「では,あなたは,1940年11月12日に調印された蘭印との交渉,いわゆる日蘭会商で,130万トンの石油買付契約が成立していることは調べましたか?」 「……」 「すると,この日蘭会商では,各種資源の日本側の売却要求に対し,その約7割(平均)相当の量の売却を認める妥協案を蘭印が出したが,これを撥ねつけたのは日本側である,という事実も調べていない?」 「……」 「あなたは,"『一次史料』『二次史料』をきちんと検証して事実に迫る.これが『歴史学』の基本だ"と書いていますね?」 「はい……」 「では,日蘭会商も,閻錫山工作も,映画『南京』関係者の証言も,日本軍の検閲基準も,マッカラム日記も,日本映画史も,ろくに調べていないとしか思えないあなたは,歴史学の基本をおろそかにしている,というわけですね?」 「……」 「陪審員の皆さん! こんな人の証言が信じられますか? しかも,以上の質問は,本書に対するツッコミのほんの一部ですよ!」 要するに,和田春樹と同レベル. 前作同様,肯定派の虚偽を暴いている部分以外は不要. 【関心率8.531%:全ページ中,興味あるページがどれだけあるかの割合.当方基準】 | |