匠の音技

ポップス・ロック作曲のための実践音楽理論ヒット曲分析

作曲における実践的音楽理論楽典からでは学べないヒット曲技法
和音コード進行メロディーを中心とした曲分析でその秘密に迫る。
そこには今まで語られなかったシンプルで美しい匠の技がちりばめられていた・・・

●TOP

●基礎編
これだけは避けて通るな音楽理論

   

●テクニック編
今まで語られなさすぎた体系的手法


●実践編
名曲には理由がある!ヒット曲分析


●お勧めリンク

●ゲストブック

●ご意見・ご感想

●サイトマップ




循環コード



いよいよコード進行の基本を学んでいこう。
ハ長調(C長調)の和音を例にコード進行のパターンを
いくつか紹介していく。



@基本形
循環コードとは、要はコード進行の繰り返しパターンのことである。

楽曲というものはコード進行のパターンを繰り返しながら展開していくので、そのパターンを身に付けてしまえば、曲の構成を把握したり、自分で曲を作る場合でも役に立つ。

ここで、厳密さを尊ぶクラシックの音楽理論で教えられる、コード進行の
大原則がある。
それが以下の2つだ。

・「音楽はトニックに始まり、トニックに終わる」
・「ドミナントからトニックへ行って完全に終始する」

まずはこの大原則にのっとって、トニック、ドミナント、サブドミナントだけを使った最も基本的な形から見ていくとしよう。するとこうなる。

<例1> T(C) → X(G) → T(C)

<例2> T(C) → W(F) → X(G) → T(C)


特に小節数には決まりはないので、大原則にのっとると、この2つの
循環コードが導き出される。

しかしこれではあまりにも単純すぎる。
そこで、大原則の一つを破って、少し変化を付けてみよう。
サブドミナントからトニックに行く動きにしてみる。

<例3> T(C) → X(G) → W(F) → T(C)

<例4> T(C) → W(F) → T(C)


これらは、X → T という強固な進行を持たないため薄弱に聞こえるが、
その分柔らかさを持ち、ポップス・ロックの世界ではよく使われる。
ちなみに、教会で「アーメン」と言う時には、<例4> の進行が使われている。

しかし、これだけでもやはりバリエーションに欠けて楽曲として面白みがない。

そこで、トニック、ドミナント、サブドミナント以外の代理和音を用いた形を
次に見ていくことにしよう。



A代理和音を用いた形
ではまず、W(F)の代わりに代理和音であるU(Dm)を使ってみよう。

<例5> T(C) → U(Dm) → X(G) → T(C)


これもよく見られる進行だ。<例2> に比べて骨組みの力強さは減るが、その分、柔らかで優しげなムードが漂うだろう。

あるいは、W(F)の後にU(Dm)に行ってもよい。

<例6> T(C) → W(F) → U(Dm) → X(G) → T(C)



今度はT(C)の代理和音であるY(Am)を使ってみる。
まずは、T(C)の後にY(Am)行く形。

<例7> T(C) → Y(Am) → W(F) → X(G) → T(C)


構成上はなくても構わないY(Am)を加えることで、ある種の遊び感覚を
感じさせる進行だ。


次に、T(C)の代わりにY(Am)にしてみる。

<例8> Y(Am) → W(F) → X(G) → T(C)


これは、ポップス・ロックでは黄金進行とされている。
この進行が使われているヒット曲は実に数知れない。
ぜひとも身に付けておきたいパターンだ。


では、次は代理和音を2つ続けてみる。

<例9> T(C) → Y(Am) → U(Dm) → X(G)


野暮ったさが抜けて洒落た感じのする進行になる。


次はT(C)とX(G)の両方の代理和音であるV(Em)を使ったものだ。

<例10> T(C) → V(Em) → W(F) → X(G)


ここでは、V(Em)にX(G)的な要素は一切なく、T(C)の代理として使っている。
ポップス・ロックではむしろこのような使い方が多い。


だいぶコード進行の基本形に慣れてきただろうか?
ではこれはどうだろう。

<例11> U(Dm) → X(G) → T(C) → Y(Am)


これはいわゆる逆循環と言われるものだ。
T(C)から始まってT(C)に終わる曲があまりにも多い中、途中のU(Dm)から始めることで新鮮さを出している。


最後に、これらの循環コードのパターンを組み合わせて、長いコード進行を作ることも可能だ。これだけ見ておこう。

<例12> T(C) → X(G) → T(C) → U(Dm) → X(G) → T(C)
            → Y(Am) → W(F) → U(Dm) → X(G) → T(C)



以上、ここまでで紹介したコード進行はどれも基本的なものなので、
よく身に付けておきたい。



B禁則進行
実は、コード進行の中にもやってはいけないとされる進行がある。

もちろん厳密なクラシックの音楽理論では禁則として扱われているし、
相当自由にやっているポップス・ロックの世界でも、これらの進行はめったにお目にかかることはない。
それがこの3つの進行だ。

<禁則1> U(Dm) → W(F)

<禁則2> Y(Am) → T(C)

<禁則3> V(Em) → X(G)


これらはどういうことかと言うと、つまり、

・「代理和音から本来の和音に行ってはいけない」

のだ。


例えば、W(F)が先に鳴り、ここはサブドミナント機能の場所ですよと働きを明示しておいて、聴く側にそろそろ変化がほしいなぁという気分が出てきた時に代理和音のU(Dm)に変える、これならば全く問題はない。

しかし、先に代理が出ておいて、機能上やっぱり必要でした、と後から
本来の和音が出てきたのでは、どうにもおさまりが悪いのである。
そして、だまされた感じのする気持ちの悪い音の流れになってしまうのだ。

もちろん、この感じを逆手に取り、効果的に見事に使いこなした名曲も確かに存在する。

しかしそれには巧みなセンスが必要だし、慣れないうちはむやみにこの進行は使わない方がよいだろう。




★ご意見・ご感想をお待ちしています。 → ゲストブックへ


基礎編へ


Copyright(C) 2005- , Takumi-no-Otowaza, All rights reserved.