■クミコ■ 五月晴れライブ
in Showboat
2001年5月21日(月)
Open 19:00 Start 19:30

  Piano> 上條泉 Bass> 大坪寛彦 
Violin&胡弓> 土屋玲子 Vocal> クミコ




高円寺に着いた時、すでに開場時間の7時を過ぎていた。
もっと早く来て商店街をゆっくり見て回りたかったなぁ・・・なんて
思いつつShowboatを探す。
知らない街ではすぐ迷子になる私。やっぱり今回も迷ってしまった。
会場に電話をかけ、行き方を確かめる。細い道をずんずん歩く。

やっと会場を見つけ中に入ると、開演間近だったのでびっしりのお客さん。
初老のご婦人とその娘さんらしき人、会社帰りのサラリーマン、
そしてミュージシャンの方等、いろいろな人がザワザワと開演の時を
待っていました。

■ 1部 ■

客電がすぅっと落ちて、メンバーの方達がステージに。
向かって右からヴァイオリンの土屋さん、中央奥がベースの大坪さん、
左側にピアノの上條さん、中央手前がVocalのクミコさん。
チューニングを確かめてから、軽快な前奏が始まり
軽やかにクミコさんの歌が会場に広がる。

◆1曲目「明日があるさ」

私の近くに居たご婦人が、「まぁ、綺麗。ねぇ、見て。クミコさんとても綺麗。」 と、
隣りのお友達らしき人にニコニコと言う。
この日のクミコさんの衣装は黒のノースリーブにタイトな感じの黒のロングスカート。
ウエストには細い黒いベルトを二重にまいていた。
ベルトには金属かライトストーンが付いているらしく
ライトを浴びて光りの二重の輪の様に見える。
耳元でキラキラ光るイヤリング。それに負けない位輝くクミコさんの表情。
私は「うん、とっても綺麗!」と心の中で相づちを打っていた。

2曲目に入る前にMC。
高円寺は実家も近いし、とても地元感覚。と言うお話の後、メンバー紹介。
ベースの方は電子ウッドベースと言うかサイレントウッドベースと言うか、
普通のウッドベースよりもフォルムがシェイプされていて
アンプで音を増幅するタイプのモノを使っていました。
楽器店ではよく見かけていたけど、ちゃんと演奏を聴くのは始めて。
ベースの音にも気を付けて聞いてみよう・・・なんて思う。
ピアノも今日はグランドピアノでは無く、エレピ。
上條さんの紹介の時、客席から「上條さぁ〜ん。」と声援が。
驚いた表情で、エレピを弾いて声援に答える上條さん。
今回のメンバーは、心斎橋クワトロのライブの時に結成されたメンバーで、
東京ではこのメンバーでやるのは始めてだとか。

◆2曲目「愛の小径」
この曲は、本当はもっとソプラノの人が歌う歌だそうですが、
クミコさんの声に合わせてキーを落としての演奏。
ベースの低い音が響く。ため息みたいなヴァイオリンの音。
うっとりする様なクミコさんの歌声に、みんな全ての音を受け止めようと
じっと聞き入っていた。

◆3曲目「OTTO E MEZZO(8 1/2)」
「フェリーニの8 1/2」と言う映画の主題歌になっていた曲。
「キーを3度落としたら、イタリアの曲なのにドイツの曲みたいに
なってしまった。」なんておっしゃってました。
大坪さんがベースをリコーダーに持ち替え、ポーッピッポッと試し吹き。
会場にくすくすっと笑いが起きる。
ちょっと懐かしい縦笛の響き。くるくると踊り出したくなる様な曲。
クミコさんの歌も踊っている様。力強く、躍動的に。
歌の向こうに踊る人達まで見える気がした。
先程の曲とはまた違った風景。
クミコさんのステージは、まるでオムニバスの映画みたいだ。

◆4曲目「カスバの女」
「望郷」と言うジャンギャバンの映画の舞台がカスバと言う街。
「この映画はとても良い映画なので是非ご覧になってください。」と、
曲にからめたMCが。
胡弓の切ない音が響く。その音の中を漂う様に歌が始まる。
グリーンのライトの中、クミコさんが目を閉じ、ふっと開けた時から
ベースとピアノが入ってがらりと曲の表情が変わる。
サビの部分の上條さんのピアノがとても歯切れ良く力強いのが
印象的だった。

◆5曲目「最后のダンスステップ」
この曲はクミコさんの CD「世紀末の円舞曲(ワルツ)」の1曲目に入っている曲。
あがた森魚さんの曲なのですが、この曲が入ったあがたさんのLPを
松本隆さんがプロデュースしていた・・・と言う事が縁で
現在クミコさんのプロデュースを松本さんがやる事に至ったとか。
ステージでピアノの方を向いたままのクミコさん。
キラキラとしたピアノの音をバックにセリフが始まる。
クミコさんは横顔のまま。そこからゆっくり正面を向き、最後のセリフ。
ライトがブルーに。そして歌へ。
ヴァイオリンもピアノも軽快なリズム。
「ダンスステップ」と言う感じ。

次はシャンソンを2曲と言う事で・・・
◆6曲目「あきれたアンタ」
背もたれのない椅子に腰掛けて思い出をつづる様に歌が始まる。
この歌は泣けてしまった。
逃してしまった日だまりの中の優しくてかわいい時間。
愛(いと)おしむ様に、懐かしむように、コトバがメロディーに乗って心を紡ぎ出す。
ちょっぴり潤む様な風景。
歌が終わると、ライトがすぅっと消えてシルエットのクミコさん。
思い出の余韻を残す様な終わり方にもじ〜んと来てしまった。

◆7曲目「ノワイエ〜溺れるあなた〜」
セルジュゲンズブールの最後に書いた曲。
20才の女性と40才の男性の別れの歌。
「人生の最後にこんな曲が書けるなんて凄い。本当に不良だったんだ。(笑)
人生かくあらねば。」とMCの時クミコさんが言ってました。
座っていた椅子からクミコさんが立ち上がり、歌が始まる。
ヴァイオリンは、弦を指でつま弾くとかわいらしく、
弓で弾くと切なく響く。
さようならの風景にも、20才の年の差が有っても、
母性をくすぐられるってのはやっぱりあるんだろうなぁ・・・
なんて思いながら聞いていた。

「次の2曲で一旦休憩に入ります。
立っている方にもいろんな体調の方が居るから
席を替わっても良いと言う方は変わってあげてください。」と、
お客さんを気使うMCの後、曲紹介をしてから次の2曲へ。

◆8曲目「アンノウン・トリップ」
ライブで良く歌ってくれる曲。スピード感溢れる曲なので、
前奏の入りを体を小刻みに揺らして待つクミコさん。
勇ましく、冒険に出るような歌。
あたかもステージの上には風が吹き、旅の楽団となったクミコさん達が
みんなで突き進んでいる姿がそこにイメージされる。
ピアノもヴァイオリンもベースも歌も、凄く一体感があって気持ち良かった。
拍手も大きかった気がします。

◆9曲目「めぐり逢い」
この曲はピアニストで作曲家のアンドレギャニオンさんの曲。
(9月に来日予定もあるとか。日本でも人気が高い方だそうです。)
とても美しい曲。美しくて優しくて切なくなる。
「さよなら」を言わなくても永遠の別れはある。
いっその事、言えたほうが良かったんじゃないかと思う。
それでも、せめて痛みでも良いから、言えなかった後悔でも良いから
忘れたく無くて口に出来ない別れ。
ほんの少しの「めぐり逢う」時への希望も潜ませて。
そんな深い想い。激しい恋。それ故の深い悲しみ。
穏やかに語る様に、クミコさんの歌が胸にしみ込んでいく。
歌が終わってから、私は溢れた涙をそっと拭いた。

<休憩>

■ 第2部 ■

ステージにはブルーのライト。
メンバーが所定の位置に着く。最後にクミコさんが登場。
上は白いボートネックのノースリーブで、スカートは先程と同じモノ。
ウエストのベルトは黒くて幅のあるもので、存在感があった。
第1部でも使用された一本足の背もたれのない椅子に腰掛けた。

◆1曲目「魚のいない水族館」
リコーダーの音が印象的。
「劇団黒テントのお芝居の中で使われた挿入歌ではないか?」
と、歌い終わってからコメントが。

◆2曲目「かみかくし」
アルバム「AURA」からの曲。
ファシズム時代のある女性の気持ちを歌ったこの歌は、なぜか高円寺に合う・・・
と言う紹介がありました。
胡弓をこすりあげる様なキュルキュルと言う音が怖さと緊張感を盛り上げる。
ベースの地下に響く様な音が、時代の暗い面を強調している様。
「菩薩」と言う言葉を出した時のクミコさん自身のたたずまいが、
私には「菩薩」のイメージにだぶって見えた。

次の曲も黒テントの「阿部定の犬」と言うお芝居で使われていた曲。
佐藤信さん作詞の曲で、クミコさんのCD「世紀末の円舞曲」にも
収録されている。
◆3曲目「お定のモリタート」
ベースの音からジャズっぽい感じで始まった。
横顔から正面を向きつつ妖しく艶っぽく歌い出すクミコさん。
この詩の内容は、安部定事件が背景にあるだけにショッキングだ。
狂気の恍惚とした微笑み。バランスを崩したピアノの旋律が
崩れていく精神状態をなぞる。
次第に泣きそうな表情。寂しい顔。
幸せでも心はココにいない人。
この曲をこんなふうに歌える人はクミコさんだけだと思った。

今日は松本隆さんはパリに行ってしまったそうで、
いらしてませんでした。
「パリに行った事の無いシャンソン歌手。」なんて、
クミコさんは冗談っぽく自分の事を言い、
「バリは行った事があるんですよ。」なんて落ちを付けてました。(^^)

2曲とも新曲が続きます。と言う事で
◆4曲目「冷たい部屋の世界地図」
この曲は井上陽水さんの曲。歌い始めて歌詞に詰まってしまって
もう一度歌う事に。お客さんの中で詰まった部分の歌詞を
教えてくれる人がいました。
この曲も見事にクミコさんの歌になっていた様に思う。

◆5曲目「浅い夢」
来生えつこさん作詞・来生たかおさん作曲の曲。
穏やかにいろんな思い出を胸に思い起こさせてくれる曲。

◆6曲目「情熱」
アルバム「AURA」から。
大坪さんのベースとクミコさんの歌のみの「情熱」。
鼓動の様なベースの音。自分の中でつぶやくように、
そして、内側で青く白く高温で燃えている感じの情熱。

MCでは、最近居酒屋さんで26才の人にナンパされた話を
笑いを交えて話してくれました。
◆7曲目「こころ」
この曲は、東芝EMIで同じセクションでCDを出している
沢知恵(さわともえ)さんの曲。
間奏の時、マイクを少し離してアァ〜♪と歌う声が後ろの私にも
ちゃんと肉声で聞こえました。小さい会場ならではな感じです。

◆8曲目「幽霊」
スピードと一体感のある曲。
間奏のヴァイオリンがかっこいい。
力の入ったピアノ。歌いきると言う感じ。

◆9曲目「接吻」
いつもコンサートの頭の方で歌って、上手く歌えないので
今回は後ろの方に持って来たとの解説が。
スポットライトは直接クミコさんを照らさず、少し暗め。
漂うようなイメージの中、しっとり歌が会場に満ちてゆく。
そのままライトダウンして曲が終った。
とってもステキな「接吻」でした。

MC・・・これからCDの制作期間に入ってしまうので、
大きいコンサートは出来ないのですが、シャンソニエ等で
時々歌っているので聞きに来てください。との事。

前回のお台場でのコンサートの事に触れ、
「とても楽しいコンサートだったけど、自分の歌を後から聴いてみたら
酷すぎて 自殺したくなるほど だった。」とコメント。
でも、そんなクミコさんの気持ちとは逆に、私はあの時とても
良かった〜って思ってました。
クミコさんは、ホントはもっともっと上を目指していたんだなぁ・・・
凄いなぁって、思った。

次の曲を説明する時、その曲を作った大槻ケンヂさん率いる
バンドの名前を思い出せないで「う〜ん、盗撮じゃなくて・・・。」
と、困っていらしたので恥ずかしながら私が「特撮〜! 」と
叫ばせていただきました。(笑)
たぶん、特撮も好きでクミコさんも好きな人って、あの中に
私位しか居なかったのではないかと・・・。(汗)

◆10曲目「アザナエル」
特撮のCDではギターのナラサキさんが歌っていて、作った大槻さんは
特撮ライブでは歌わず、イベント等でアコースティックギターに合わせて
歌うくらい。でも、それぞれの「アザナエル」があって良い感じ。
この曲を聴くと、自分の手のひらを見たくなる。
手相って、線が縄目になっていると、吉凶混合なんだとか。
歌っている時、クミコさんは手のひらをそっと上に向けて何か受け止める様な形。
まるで運命線をたどる様に歌う。
そういえば、私の運命線も縄目になっていたなぁ、なんて思い出す。
エンディング中、ふうっと大きく息を吐いて、よしっ、歌ったぞっ。
って感じで、お辞儀をしてステージを後に。

■ アンコール ■

お客さんの拍手が鳴りやまない中、メンバーがステージに登場。
そして、もう一度メンバー紹介。

次に歌う鳥の歌は、本当は毎回歌うつもりは無かったけれど、
訳詞を作った松本さんは事ある毎に歌ってと言うそうです。
大切な誰かを看取った事がある人は、この歌にずいぶんと
慰められると思う。
私も、すでに他界した親戚の事を思い、聞きながら涙を流す事がある。
そういう人、多いんじゃないかな?
◆「鳥の歌」
ピアノの音が綺麗に響き、浄化されて行く様な歌が響く。
マイクは胸の前に持って歌っていた。
最後、何か眩しいモノを見るように手を上に掲げ
光の国へ旅立つ鳥達を見送る様な感じ。
そのまま、羽根を休める鳥の様に手を脇に下ろし、
曲は終わりました。
静かな感動が私を包んでいました。

◆「翼」
クミコさんの手が目線が声が風景を鮮やかに描いて行く。
伸びやかに、飛んでゆくその翼越しに見える自由を
空から響いてくる様に歌ってくれた。
歌の翼で本当に飛んでいるように。
聞いている私も歌に包まれて飛んで居るような錯覚を覚えました。
とても気持ちの良い歌でした。

曲が終わり、ステージ前方にメンバー全員が一列に並んで一礼し、
ステージ脇へと消えてゆきました。

このまま記憶が薄れていくのがもったいないなぁ・・・って思える
ホントに良いステージでした。

セットリスト
■ 1部 ■
1・明日があるさ
-MC-
2・愛の小径
3・OTTO E MEZZO (8 1/2)
-MC-
4・カスバの女
5・最后のダンスステップ
-MC-
6・あきれたアンタ
7・ノワイエ〜溺れるあなた〜
-MC-
8・アンノウン・トリップ
9・めぐり逢い
■ 2部 ■
10・魚のいない水族館
-MC-
11・かみかくし
12・お定のモリタート
-MC-
13・冷たい部屋の世界地図
14・浅い夢
15・情熱
-MC-
16・こころ
17・幽霊
18・接吻
-MC-
19・アザナエル
-ENCORE-
-MC-
20・鳥の歌
21・翼

<2001年05月26日・とーやま>